JP2013092001A - 建築板及び加飾方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表面に凸状部50が形成され、加飾された建築板20である。凸状部50は、上面51と第一傾斜面53と第二傾斜面55とを含み、凸状部50の基端57の側に向けて裾広がり状である。上面51は、凸状部50の頂部を形成する。建築板20が建築物に取り付けられた取付状態において、第一傾斜面53は、上面51に対して鉛直方向の下側に配置され、第二傾斜面55は、同上側に配置される。第一傾斜面53は、上面51より、JIS Z 8729:2004のL*a*b*表色系における明度が低く、第二傾斜面55は、高くなるように加飾される。
【選択図】図2
Description
式1:L*(1)=L*×cos(θ1)/cos(θ)
(但し、式1において、θは、前記上面の垂線と、前記建築板に照射される照射光の光線とのなす角度であり、θ1は、前記第一傾斜面の垂線と、前記光線とのなす角度である)
式2:L*(2)=L*×cos(θ2)/cos(θ)
(但し、式2において、θは、前記上面の垂線と、前記建築板に照射される照射光の光線とのなす角度であり、θ2は、前記第二傾斜面の垂線と、前記光線とのなす角度である)
式1:L*(1)=L*×cos(θ1)/cos(θ)
(但し、式1において、θは、前記上面の垂線と、前記建築板に照射される照射光の光線とのなす角度であり、θ1は、前記第一傾斜面の垂線と、前記光線とのなす角度である)
式2:L*(2)=L*×cos(θ2)/cos(θ)
(但し、式2において、θは、前記上面の垂線と、前記建築板に照射される照射光の光線とのなす角度であり、θ2は、前記第二傾斜面の垂線と、前記光線とのなす角度である)
建築板20について、図1及び図2等を参照して説明する。建築板としては、建築物の内装材(内壁等)として利用される建築板と、建築物の外装材(外壁等)として利用される建築板とがある。本実施形態における建築板20は、所定の光源からの照射光が照射される場所に取り付けられる建築板であればよく、内装材及び外装材の何れの建築板であっても、採用することができる。以下では、外装材としての建築板20を例として説明する。
建築板20の基材30の表面を加飾する加飾方法は、加飾のための各種の装置を用いて行うことができる。例えば、インクジェット記録装置を用いて行われる。インクジェット記録装置によれば、好適な品質の加飾を、効率よく行うことができる。インクジェット記録装置としては、従来使用されているインクジェット記録装置を利用することができる。インクジェット記録装置は、インクを吐出するインクジェットヘッドを備える。インクジェット記録装置は、加飾に用いられるインク色に対応した数のインクジェットヘッドを備える。各インクジェットヘッドからは、対応した色のインクが吐出される。加飾に用いられるインクとしては、活性エネルギー硬化型インクが例示される。この場合、インクジェット記録装置は、活性エネルギーを照射するための照射部を備える。活性エネルギー硬化型インクとしては、紫外線硬化型インク、電子線硬化型インク等が例示される。例えば、紫外線硬化型インクが用いられる場合、基材30の表面への加飾(インク吐出)が完了した状態で、基材30の表面(着弾したインク滴によるインクドット)に、紫外線が照射される。これによって、インクドットは硬化する。インクジェット記録装置が備える照射部は、紫外線照射部にて構成される。
式1:L*(1)=L*×cos(θ1)/cos(θ)
式2:L*(2)=L*×cos(θ2)/cos(θ)
ここで、θ,θ1及びθ2は、図3に示すような角度である。具体的に、θは、上面51の垂線PLと、建築板20に照射される照射光の光線とのなす角度である。θ1は、第一傾斜面53の垂線PL1と、建築板20に照射される照射光の光線(光線の角度は、前述の通り、θである)とのなす角度である。θ2は、第二傾斜面55の垂線PL2と、建築板20に照射される照射光の光線とのなす角度である。
L*(1)=L*×cos(θ3+θ)/cos(θ)
と定義することもできる。同様に、θ2に代えてθ4を用いれば、上記の式2は、
L*(2)=L*×cos(θ4−θ)/cos(θ)
と定義することもできる。
上述した式1及び式2によって算出される明度(L*(1),L*(2))に基づいた加飾がなされた凸状部50について、図4を参照して説明する。図4(A),(B)は、図2同様、凸状部50を、上面51の側から視た図である。図4に示す例は、第一傾斜面53及び第二傾斜面55の傾斜角度に関し、θ3及びθ4は、共に45°である。凸状部50は、何れの場合も、グレー色で加飾されている。上面51のL*は、図4(A),(B)で共通し、54である。
L*(1)=L*×cos(45°+30°)/cos30°=0.3L*
となり、L*(2)は、式2と、「θ2=θ4−θ」との関係より、
L*(2)=L*×cos(45°−30°)/cos30°=1.11L*
となる。上述した通り、L*は54であるから、L*(1)は「0.3×54=16」となり、L*(2)は「1.11×54=60」となる。L*及びL*(1)は、「L*(1)<L*」を満たし、L*及びL*(2)は、「L*<L*(2)」の関係を満たす。このように設定された加飾データ、具体的には、L*が54に設定された上面データ部と、L*(1)が16に設定された第一データ部と、L*(2)が60に設定された第二データ部とを含む加飾データに対応して加飾された凸状部50は、図4(A)に示すような状態となる。図4(A)から明らかな通り、このように加飾された凸状部50では、立体感を得ることができる。
L*(1)=L*×cos(45°+45°)/cos45°=0
となり、L*(2)は、式2と、「θ2=θ4−θ」との関係より、
L*(2)=L*×cos(45°−45°)/cos45°=1.41L*
となる。上述した通り、L*は54であるから、L*(2)は「1.41×54=76」となる。L*(1)は0である。L*及びL*(1)は、「L*(1)<L*」を満たし、L*及びL*(2)は、「L*<L*(2)」の関係を満たす。このように設定された加飾データ、具体的には、L*が54に設定された上面データ部と、L*(1)が0に設定された第一データ部と、L*(2)が76に設定された第二データ部とを含む加飾データに対応して加飾された凸状部50は、図4(B)に示すような状態となる。図4(B)から明らかな通り、このように加飾された凸状部50では、立体感を得ることができる。
今回、図1に示すような基材30の表面を、各種の加飾データにて加飾した供試板(建築板20を含む建築板)を作製し、各供試板に対する立体感を官能試験した。以下、実験結果について説明する。以下に記載する「実験結果」では、上述した説明と共通する構成については、同一の名称及び符号を用いて説明する。
今回の実験では、パターンの異なる実験1〜実験3及び実験4を実施した。実験1〜実験3では、複数の加飾データを生成し、生成された各加飾データにて、基材30の表面を加飾した各供試板を、下記に記載の評価基準に従い点数付けした。この評価基準の各項目における比較対象(基準)は、上面51、第一傾斜面53及び第二傾斜面55の全体(凸状部50の表面)を、同一明度で加飾された比較板である。例えば、評価点が2点である「僅かに立体感が強調されている」は、供試板が、比較板と比較し、僅かに立体感が強調されていると感じた場合に選択される項目である。1つの供試板に対し、10人が評価し、各人の点数から平均値を求め、評価対象の供試板の評価点とした。評価点が2以上である場合、評価を「○」(立体感を強調させることができる)とし、2未満である場合、評価を「×」(立体感を強調できていない)とした。なお、詳細は後述するが、実験2の表2における評価も、前述の基準に準じて行った結果である。
(評価基準)
立体感がなくなっている ・・・0点
立体感に差がない ・・・1点
僅かに立体感が強調されている・・・2点
顕著に立体感が強調されている・・・3点
実験1は、次のような条件に基づくものである。第一傾斜面53及び第二傾斜面55の傾斜角度に関し、実験1における供試板1〜10は、θ3及びθ4(図1(C)参照)を、共に45°(絶対値)とした凸状部50が形成されたものである。基材30は、窯業板である。供試板1〜10の加飾に用いた各加飾データに関し、実験1では、上面データ部に、L*(理論値)を54としたベージュ色を設定した。実験1では、光線の角度、即ち、図3に示すθを、0°〜80°の範囲で10°間隔の各角度と、45°とに設定した。設定したθの範囲に関し、下限としての0°は、日本における、日の出、日の入りの際の太陽の高度であり、上限としての80°は、日本における南中高度相当の角度である。
実験2は、次のような条件に基づくものである。第一傾斜面53及び第二傾斜面55の傾斜角度に関し、実験2における供試板1〜10は、θ3及びθ4(図1(C)参照)を、共に60°(絶対値)とした凸状部50が形成されたものである。基材30は、珪酸カルシウム板である。供試板1〜10の加飾に用いた各加飾データに関し、実験2では、上面データ部に、L*(理論値)を42とした茶色を設定した。実験2での光線の角度(図3に示す「θ」参照)は、実験1と同様である。これに関する説明は、省略する。
実験3は、次のような条件に基づくものである。第一傾斜面53及び第二傾斜面55の傾斜角度に関し、実験3における供試板1〜10は、θ3及びθ4(図1(C)参照)を、共に30°(絶対値)とした凸状部50が形成されたものである。基材30は、金属サイディングボードである。供試板1〜10の加飾に用いた各加飾データに関し、実験3では、上面データ部に、L*(理論値)を58としたグレー色を設定した。実験3での光線の角度(図3に示す「θ」参照)は、実験1と同様である。これに関する説明は、省略する。
実験4は、次のような条件に基づくものである。第一傾斜面53及び第二傾斜面55の傾斜角度に関し、実験4における供試板1〜12は、θ3及びθ4(図1(C)参照)を、共に50°(絶対値)とした凸状部50が形成されたものである。基材30は、窯業板である。供試板1〜12の加飾に用いた各加飾データに関し、実験4では、上面データ部に、L*(理論値)を40としたグレー色を設定した。上面51のL*の測定値は、40.7であり、理論値と同一視できる状態であった。
供試板(建築板20)における凸状部50の加飾状態を、第一傾斜面53の加飾に関する条件(「L*(1)<L*」及び式1)と、第二傾斜面55の加飾に関する条件(「L*<L*(2)」及び式2)とを満たすようにすることで、比較板に対して、凸状部50の立体感を強調させることが可能となることが確認された(実験1〜実験3参照)。また、「L*(1)<L*」及び「L*<L*(2)」を満たすことで、これを満たさない状態である場合(実験4の供試板1〜9参照)と比較し、凸状部50の立体感を強調させることが可能となることが確認された(実験4参照)。従って、「L*(1)<L*」及び「L*<L*(2)」等を満たすようにした加飾状態である建築板20を、上面51に対して鉛直方向の下側に第一傾斜面53を配置し、同上側に第二傾斜面55が配置されるように、建築物に取り付ければ、建築板20(建築物)を視認した観察者に対して、凸状部50の立体感を強調させることができる。
本実施形態は、次のようにすることもできる。上記では、第一傾斜面53及び第二傾斜面55が、平面又は平面状の面である構成を例として説明した。第一傾斜面53及び第二傾斜面55は、基端57の側に裾広がり状であれば、曲面であってもよい。この場合、上述した垂線(図3に示す「PL1」及び「PL2」参照)は、曲面における法線として定義される。
51 上面、 53 第一傾斜面、 55 第二傾斜面、 57 基端
PL,PL1,PL2 垂線
Claims (8)
- 表面に凸状部が形成され、表面が加飾された建築板であって、
前記凸状部は、
前記凸状部の頂部を形成する上面と、
前記上面に連続し、前記凸状部の基端側に向けて裾広がり状に傾斜し、前記建築板が建築物に取り付けられた取付状態において、前記上面に対して鉛直方向の下側に配置される第一傾斜面と、
前記上面に連続し、前記凸状部の基端側に向けて裾広がり状に傾斜し、前記取付状態において、前記上面に対して鉛直方向の上側に配置される第二傾斜面と、を含み、
前記第一傾斜面は、前記上面より、JIS Z 8729:2004のL*a*b*表色系における明度が低くなるように加飾され、
前記第二傾斜面は、前記上面より、前記明度が高くなるように加飾されている、建築板。 - 前記第一傾斜面の前記明度をL*(1)とし、前記上面の前記明度をL*としたとき、L*(1)及びL*は、下記式1の関係を満たす、請求項1に記載の建築板。
式1:L*(1)=L*×cos(θ1)/cos(θ)
(但し、式1において、θは、前記上面の垂線と、前記建築板に照射される照射光の光線とのなす角度であり、θ1は、前記第一傾斜面の垂線と、前記光線とのなす角度である) - 前記第二傾斜面の前記明度をL*(2)とし、前記上面の前記明度をL*としたとき、L*(2)及びL*は、下記式2の関係を満たす、請求項1又は請求項2に記載の建築板。
式2:L*(2)=L*×cos(θ2)/cos(θ)
(但し、式2において、θは、前記上面の垂線と、前記建築板に照射される照射光の光線とのなす角度であり、θ2は、前記第二傾斜面の垂線と、前記光線とのなす角度である) - 表面に凸状部が形成され、前記凸状部が、前記凸状部の頂部を形成する上面と、前記上面に連続し、前記凸状部の基端側に向けて裾広がり状に傾斜し、建築板が建築物に取り付けられた取付状態において、前記上面に対して鉛直方向の下側に配置される第一傾斜面と、前記上面に連続し、前記凸状部の基端側に向けて裾広がり状に傾斜し、前記取付状態において、前記上面に対して鉛直方向の上側に配置される第二傾斜面と、を含む、建築板の基材の表面を加飾する加飾方法であって、
前記上面と、前記第一傾斜面と、前記第二傾斜面と、を含む基材の表面を加飾する加飾工程を含み、
前記加飾工程では、
前記第一傾斜面は、前記上面より、JIS Z 8729:2004のL*a*b*表色系における明度が低くなるように加飾され、
前記第二傾斜面は、前記上面より、前記明度が高くなるように加飾される、加飾方法。 - 前記加飾工程において、前記上面と、前記第一傾斜面と、は、
前記第一傾斜面の前記明度をL*(1)とし、前記上面の前記明度をL*としたとき、L*(1)及びL*は、下記式1の関係を満たす状態で加飾される、請求項4に記載の加飾方法。
式1:L*(1)=L*×cos(θ1)/cos(θ)
(但し、式1において、θは、前記上面の垂線と、前記建築板に照射される照射光の光線とのなす角度であり、θ1は、前記第一傾斜面の垂線と、前記光線とのなす角度である) - 前記加飾工程において、前記上面と、前記第二傾斜面と、は、
前記第二傾斜面の前記明度をL*(2)とし、前記上面の前記明度をL*としたとき、L*(2)及びL*は、下記式2の関係を満たす状態で加飾される、請求項4又は請求項5に記載の加飾方法。
式2:L*(2)=L*×cos(θ2)/cos(θ)
(但し、式2において、θは、前記上面の垂線と、前記建築板に照射される照射光の光線とのなす角度であり、θ2は、前記第二傾斜面の垂線と、前記光線とのなす角度である) - 前記加飾工程では、インクジェット記録装置が備えるインクジェットヘッドからインクを吐出して、前記基材の表面を加飾する、請求項4から請求項6の何れか1項に記載の加飾方法。
- 前記加飾方法は、前記基材の表面を加飾するためのデータであって、前記上面を加飾するための上面データ部と、前記第一傾斜面を加飾するための第一データ部と、前記第二傾斜面を加飾するための第二データ部と、を含むデータ構造の加飾データを取得する取得工程を含み、
前記加飾工程では、前記取得工程にて取得された前記加飾データに対応してインクを吐出し、前記基材の表面を加飾する、請求項7に記載の加飾方法。
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