JP2013091839A - 鋼板の製造設備及び製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】搬送されてくる鋼帯Cの表面から水分を除去するリンガーロール2と、リンガーロール2よりも鋼帯Cの搬送方向下流に配置され、且つ連続焼鈍炉の入側において鋼帯Cの表面を乾燥させるドライヤー4と、リンガーロール2とドライヤー4との間に配置され、鋼帯Cの表面へ霧状の冷却水を噴霧する噴霧設備6を備える。
【選択図】図1
Description
しかしながら、図3中に示すような構成の鋼板製造設備1では、Si(珪素)元素を含み、ガスジェット(GJ)を用いて冷却した高強度冷延鋼板(Si鋼板)を製造する際に、リンガーロール2において十分に水切り作業が行われず、鋼帯Cの表面において、水分が局所的に残存するおそれがある。
連続的に搬送されてくる鋼帯Cに対し、リンガーロール2を用いて連続的に水分の除去を行う状況では、リンガーロール2のうち鋼帯Cのエッジ部分を押圧する部分に、磨耗が発生する場合がある。
したがって、磨耗が発生したリンガーロール2を通過した鋼帯Cの表面には、水分が局所的に残存することとなる。
特許文献1には、連続焼鈍炉の出側に設けられた水冷槽の上流側に、鋼帯の表面に冷却水を噴射する液体噴射装置を設けた水冷設備と、連続焼鈍炉の出側に設けられた洗浄槽の上流側に、鋼帯の表面に洗浄液を噴射する液体噴射装置を設けた洗浄設備が開示されている。
具体的には、特許文献2では、ミスト状(平均粒子径50[μm]以下)の冷却水を空中で鋼帯に直接接触させる設備を、洗浄設備の上流側に配置することにより、局所的な腐食を発生させずに鋼帯の温度を低下させ、鋼帯と冷却水の腐食進行を低減させることを目的としている。
しかしながら、連続焼鈍炉の出側では、鋼帯の表面は、焼鈍過程により表面の還元反応が完了しているために、鋼帯の表面におけるSiの局所的な腐食は発生しない。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、鋼帯の表面における模様状欠陥の発生を抑制することが可能な、鋼板の製造設備及び製造方法を提供することを課題とする。
前記リンガーロールよりも前記鋼帯の搬送方向下流に配置され、且つ連続焼鈍炉の入側において前記鋼帯の表面を乾燥させるドライヤーと、
前記リンガーロールと前記ドライヤーとの間に配置され、前記鋼帯の表面へ霧状の冷却水を噴霧する噴霧設備と、を備えることを特徴とする鋼板の製造設備である。
このため、鋼帯の表面に水分が局所的に残存している場合であっても、鋼帯の表面へ噴霧した霧状の冷却水により、リンガーロールからドライヤーへ搬送される鋼帯の表面に対して、水膜を全体的に形成することが可能となる。
本発明によると、鋼帯の表面へ噴霧する霧状の冷却水の噴霧量を、150g/m2以上350g/m2以下の範囲内としている。
本発明によると、噴霧設備が、鋼帯の表面へ噴霧する霧状の冷却水の温度を、30℃以下としている。
このため、冷却水の温度を、30℃を超える温度とした場合と比較して、鋼帯の温度が100℃以上である場合であっても、噴霧設備が噴霧した霧状の冷却水により、鋼帯の温度を常温まで冷却することが可能となる。
本発明によると、鋼帯を、Siを含有した鋼帯としている。
このため、リンガーロールからドライヤーへ搬送される鋼帯の表面に対して全体的に形成した水膜により、鋼帯の表面に発生する局所的なSiの電気的腐食を抑制することが可能となり、鋼帯の表面に発生する局所的なSi酸化物の生成を抑制することが可能となる。特に、Siの含有量が0.20[mass%]以上の鋼帯に適用した場合に、その効果が大きい。
本発明によると、リンガーロールとドライヤーとの間において、鋼帯の表面へ霧状の冷却水を噴霧する。
このため、鋼帯の表面に水分が局所的に残存している場合であっても、鋼帯の表面へ噴霧した霧状の冷却水により、リンガーロールからドライヤーへ搬送される鋼帯の表面に対して、水膜を全体的に形成することが可能となる。
このため、ドライヤーによって鋼帯の表面に残存している水分が蒸発する際に、鋼帯の表面と空気との接触を、鋼帯の表面に対して全体的に抑制することが可能となるため、連続焼鈍炉の入側において、鋼帯に発生する局所的な腐食を抑制することが可能となる。
以下、本発明の第一実施形態(以下、「本実施形態」と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
まず、図1を用いて、本実施形態の鋼板の製造設備(以下、「鋼板製造設備」と記載する)の構成を説明する。
図1は、本実施形態の鋼板製造設備の概略構成を示す図である。なお、図1中では、図3及び図4中に示したものと同様の構成について、同一の符号を付して示している。
鋼板製造設備1では、図外の連続焼鈍炉による連続焼鈍を行う前に、鋼帯Cの表面に付着した圧延油の洗浄工程と、鋼帯Cの表面に付着している水分を除去する水分除去工程を行う。
また、鋼板製造設備1は、図1中に示すように、リンガーロール2と、ドライヤー4と、噴霧設備6を備えている。
また、リンガーロール2は、二つ一組で構成されており、これら一組のリンガーロール2は、それぞれ、鋼帯Cの一方の面(例えば、図1中では右側の面)と、鋼帯Cの他方の面(例えば、図1中では左側の面)へ押圧されている。なお、図1中では、一例として、鋼板製造設備1の構成を、二組のリンガーロール2を備える構成とした場合を示している。
以上により、洗浄設備8から搬送されてきた鋼帯Cの表面に押圧したリンガーロール2は、鋼帯Cの搬送に伴って回動しつつ、鋼帯Cの表面に付着している水分(温水)を、鋼帯Cの表面から除去する。
ドライヤー4は、例えば、100〜150[℃]程度の温風を、鋼帯C、具体的には、鋼帯Cの両面(表面、裏面)へ向けて吹き付け可能に配置されている。
以上により、リンガーロール2から搬送されてきた鋼帯Cに温風を吹き付けるドライヤー4は、連続焼鈍炉の入側において、鋼帯Cの表面を乾燥させる。
冷却水タンク10は、噴霧部16から鋼帯Cへ噴霧するための冷却水を貯蔵するタンクである。
温度調節部12は、冷却水タンク10に設けられており、噴霧コントローラ18が出力する温度調節指令信号に基づいて、冷却水タンク10に貯蔵されている液体の温度(水温)を調節する。
また、噴霧用ポンプ14は、噴霧コントローラ18が出力する噴霧量指令信号に基づいて、噴霧部16へ吐出する液体の吐出量を調節する。
噴霧部16は、図示しない噴霧用ノズルを有しており、噴霧用ポンプ14から吐出された液体(冷却水)を霧状(ミスト状)にして、鋼帯Cの表面へ向けた噴霧用ノズルから噴霧する。
また、噴霧用ノズルの構成は、冷却水を噴霧する噴霧口を、例えば、リンガーロール2の中心から、リンガーロール2の幅方向に沿って、580〜750[mm]の範囲でミスト状の冷却水を噴霧可能に形成した構成とする。この構成は、鋼帯Cの幅が、例えば、1000[mm]である場合に適用する。
ここで、本実施形態では、一例として、噴霧コントローラ18が、噴霧用ノズルから鋼帯Cの表面へ向けて噴霧される冷却水の温度が30[℃]以下となるように、冷却水タンク10に貯蔵されている液体の温度を演算する場合について説明する。
以上により、噴霧設備6は、リンガーロール2とドライヤー4との間に配置されており、鋼帯Cの表面(両面)へ、霧状(ミスト状)の冷却水を噴霧する。
また、本実施形態では、一例として、鋼帯Cが、Siを含有した鋼帯(Si鋼帯)である場合を説明する。
以下、図1と、図3及び図4を参照しつつ、図2を用いて、上記の構成を備えた鋼板製造設備1が行う動作・作用等について説明する。
本実施形態の鋼板製造設備1を用いて、冷延鋼板を製造する際には、ペイオフリール20から払い出された鋼帯Cが、洗浄設備8において洗浄工程が行われた後に、搬送方向に沿って移動して、水分除去工程が行われる。
水分除去工程では、搬送されてくる鋼帯Cが、一組のリンガーロール2によって押圧される。一組のリンガーロール2は、鋼帯Cの表面(両面)を押圧しながら回動して鋼帯Cを搬送するとともに、洗浄設備8において鋼帯Cの表面に付着している水分(温水)を、鋼帯Cの表面から除去する。
このため、噴霧部16が有する噴霧用ノズルから冷却水が噴霧された鋼帯Cの表面には、霧状(ミスト状)の冷却水により、全体的に水膜が形成される。
ここで、本実施形態の鋼板製造設備1では、噴霧用ノズルから噴霧された霧状の冷却水により、ドライヤー4へ搬送される前の鋼帯Cの表面に、全体的に水膜が形成されている。
これにより、リンガーロール2において、鋼帯Cの表面に付着している水分が完全に除去できず、鋼帯Cの表面に水分が局所的に残存している場合であっても、局所的に残存している水分を、水膜と一体化させることが可能となる。
また、本実施形態の鋼板製造設備1では、噴霧部16が有する噴霧用ノズルから、噴霧量を150g/m2以上350g/m2以下の範囲内に設定した霧状の冷却水を、鋼帯Cの表面へ噴霧する。
一方、霧状の冷却水の噴霧量を、150g/m2未満に設定すると、図2中に示すように、鋼帯Cの表面に形成する水膜が不十分(図2中に示す「水膜不十分」)なものとなり、特に、リンガーロール2のうち、鋼帯Cのエッジ部分を押圧する部分に、磨耗が発生する。そして、鋼帯Cのうち、磨耗が発生した部分と対向する部分に、ステインが発生(図2中に示す「エッジステイン発生」)することとなる。
また、ドライヤー4にて十分に乾燥された後、鋼帯Cは連続焼鈍に移される。ここで、連続焼鈍の好ましい条件としては、焼鈍温度が730〜880[℃]、均熱時間が100〜600秒、雰囲気(H2濃度)が5〜10%にて焼鈍し、平均冷却速度を5〜50[℃/s]で冷却する条件が挙げられる。
以下、本実施形態の効果を列挙する。
(1)本実施形態の鋼板製造設備1では、リンガーロール2とドライヤー4との間に、鋼帯Cの表面へ霧状の冷却水を噴霧する噴霧設備6を配置している。
このため、鋼帯Cの表面に水分が局所的に残存している場合であっても、鋼帯Cの表面へ噴霧した霧状の冷却水により、リンガーロール2からドライヤー4へ搬送される鋼帯Cの表面に対して、全体的に水膜を形成することが可能となる。
これにより、ドライヤー4によって鋼帯Cの表面に残存している水分が蒸発する際に、鋼帯Cの表面と空気との接触を、鋼帯Cの表面に対して全体的に抑制することが可能となるため、連続焼鈍炉の入側において、鋼帯Cに発生する局所的な腐食を抑制することが可能となる。
したがって、鋼帯Cの表面における、模様状欠陥(ステイン)の発生を抑制することが可能となる。
このため、リンガーロール2の交換に伴う製造ロスの発生や、製造コストの増加を抑制することが可能となるとともに、鋼帯Cの表面におけるステインの発生を抑制することが可能となる。
このため、噴霧設備6が、霧状の冷却水の噴霧量を150g/m2未満とした場合と比較して、鋼帯Cの表面における水膜の形成度合いを向上させることが可能となる。また、噴霧設備6が、霧状の冷却水の噴霧量を350g/m2を超える量とした場合と比較して、鋼帯Cの表面における水分の残存量がドライヤー4の乾燥能力を超えることを、防止することが可能となる。
その結果、噴霧設備6が、霧状の冷却水の噴霧量を、150g/m2未満とした場合や350g/m2を超える量とした場合と比較して、鋼帯Cの表面における、模様状欠陥(ステイン)の発生を抑制することが可能となる。
このため、鋼帯Cの温度が100℃以上である場合であっても、噴霧設備6が噴霧した霧状の冷却水により、鋼帯Cの温度を常温まで冷却することが可能となり、冷却水の温度を、30℃を超える温度とした場合と比較して、安定した水膜を形成することが可能となる。
その結果、冷却水の温度を、30℃を超える温度とした場合と比較して、ドライヤー4によって鋼帯Cの表面に残存している水分が蒸発する際に、鋼帯Cの表面と空気との接触を、鋼帯Cの表面に対して全体的に抑制することが可能となるため、鋼帯Cの表面における、模様状欠陥(ステイン)の発生を抑制することが可能となる。
このため、リンガーロール2からドライヤー4へ搬送される鋼帯Cの表面に対して全体的に形成した水膜により、鋼帯Cの表面に発生する局所的なSiの電気的腐食を抑制することが可能となる。
その結果、鋼帯Cの表面に発生する局所的なSi酸化物の生成を抑制することが可能となり、鋼帯Cの表面における、模様状欠陥(ステイン)の発生を抑制することが可能となる。
このため、鋼帯Cの表面に水分が局所的に残存している場合であっても、鋼帯Cの表面へ噴霧した霧状の冷却水により、リンガーロール2からドライヤー4へ搬送される鋼帯Cの表面に対して、全体的に水膜を形成することが可能となり、鋼帯Cの表面における、模様状欠陥(ステイン)の発生を抑制することが可能となる。
その結果、リンガーロール2の交換に伴う製造ロスの発生や、製造コストの増加を抑制することが可能となるとともに、鋼帯Cの表面におけるステインの発生を抑制することが可能となる。
以下、本実施形態の変形例を記載する。
(1)本実施形態の鋼板製造設備1では、噴霧設備6が、鋼帯Cの表面へ噴霧する霧状の冷却水の噴霧量を、150g/m2以上350g/m2以下の範囲内としたが、これに限定するものではない。すなわち、霧状の冷却水の1秒当たりの噴霧量を、150g/m2未満、または、350g/m2を超える値としてもよい。
(2)本実施形態の鋼板製造設備1では、噴霧設備6が、鋼帯Cの表面へ噴霧する霧状の冷却水の温度を、30℃以下としたが、これに限定するものではなく、冷却水の温度を、30℃を超える温度としてもよい。
以下、図1から図4を参照しつつ、比較例及び本発明例の鋼板製造設備を用いて、本発明例の鋼板製造設備が奏する効果を検証した結果について説明する。なお、効果の検証に用いた本発明例の鋼板製造設備1及び鋼帯Cの構成を、以下に示す。
リンガーロール2の半径:150[mm]
鋼帯Cの表面と噴霧部16との距離:300[mm]
ミスト噴霧量(霧状の冷却水の噴霧量):250[g/m2]
水温:20[℃]
平均粒子径:50[μm]以下
ドライヤー温度:100‐150[℃]
ホットリンス温度:80[℃]
幅方向でのミスト噴霧位置:リンガーロール2の幅方向中心から、それぞれ、580〜750[mm]
鋼帯Cの寸法:板厚1.2[mm]、板幅1000[mm]
鋼帯Cの成分:質量[%]で、C:0.08[%]、Si:0.25[%]、Mn:1.55[%]、P:0.030[%]、S:0.002[%]、残部はFe及び不可避的不純物の組成
次に、本発明例及び比較例の鋼板製造設備1を用いて、鋼帯Cを通板させて冷延鋼板を製造し、模様状欠陥の発生割合を検出し、その検出した発生割合を比較した結果について説明する。
そして、本発明例及び比較例の鋼板製造設備1を用いて製造した冷延鋼板に対し、模様状欠陥の発生割合を検出した結果、本発明例の鋼板製造設備1を用いて製造した冷延鋼板は、模様状欠陥の発生割合が5[%]であると検出された。
模様状欠陥の発生割合=
{ステインが発生したコイル数/全コイル数(3万km分)}×100(%)
したがって、本発明例の鋼板製造設備1では、比較例の鋼板製造設備1と比較して、製造した冷延鋼板における模様状欠陥の発生割合を低下させることが可能であることが確認された。
2 リンガーロール
4 ドライヤー
6 噴霧設備
8 洗浄設備
10 冷却水タンク
12 温度調節部
14 噴霧用ポンプ
16 噴霧部
18 噴霧コントローラ
20 ペイオフリール
22 連続焼鈍炉
C 鋼帯
Claims (5)
- 搬送されてくる鋼帯の表面から水分を除去するリンガーロールと、
前記リンガーロールよりも前記鋼帯の搬送方向下流に配置され、且つ連続焼鈍炉の入側において前記鋼帯の表面を乾燥させるドライヤーと、
前記リンガーロールと前記ドライヤーとの間に配置され、前記鋼帯の表面へ霧状の冷却水を噴霧する噴霧設備と、を備えることを特徴とする鋼板の製造設備。 - 前記霧状の冷却水の噴霧量を、150g/m2以上350g/m2以下の範囲内としたことを特徴とする請求項1に記載した鋼板の製造設備。
- 前記霧状の冷却水の温度を、30℃以下としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載した鋼板の製造設備。
- 前記鋼帯は、Siを含有した鋼帯であることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載した鋼板の製造設備。
- 搬送されてくる鋼帯の表面から水分を除去するリンガーロールと、当該リンガーロールよりも前記鋼帯の搬送方向下流に配置され、且つ連続焼鈍炉の入側において前記鋼帯の表面を乾燥させるドライヤーとの間において、前記鋼帯の表面へ霧状の冷却水を噴霧することを特徴とする鋼板の製造方法。
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