JP2013091733A - ケイ素含有化合物による多孔質膜の製造方法 - Google Patents

ケイ素含有化合物による多孔質膜の製造方法 Download PDF

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一子 鈴木
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俊巳 福井
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Abstract


【課題】
ポリシルセスキオキサン及びその誘導体を用い多孔質膜を作製するには、成膜作製と細孔作製の工程が別々であることにより作製に時間と手間がかかることが課題であった。
【解決手段】
ポリシルセスキオキサン及びその誘導体を疎水性有機溶媒中に溶解する工程、基板上に塗布して膜を形成する工程、前記塗布膜に高湿度の気体を吹き付けて膜中に液滴を形成する工程、前記有機溶媒及び前記液滴を蒸発させて前記膜中に空隙が形成されたフィルムを製造する工程を経て記のポリシルセスキオキサン及び前記のポリシルセスキオキサンと有機樹脂の混合物の多孔質膜を製造することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ポリシルセスキオキサン及びその誘導体の多孔質膜並びにポリシルセスキオキサン及びその誘導体を含む無機有機多孔質膜の製造方法に関する。
従来より、有機ケイ素化合物は、高い耐熱性や電気特性など、有機化合物には無い特性を持つので、シリコンを骨格の一部に含む高分子は、耐熱性材料、耐候性材料、撥水性材料、絶縁材料、電子材料、熱媒体、セラミック材の前駆体などの様々な分野で実用化されている。
従来より報告されているケイ素含有化合物は、その大部分はシロキサン主骨格に有機官能基が結合したシリコンオイル、シリコン樹脂と呼ばれる有機−無機ハイブリッド材料の一群である。また、主鎖がケイ素−ケイ素結合のみから構成されているポリシランポリマーについての報告も数多くなされている。
他方、下記一般式(2)で示されるトリハロシランや下記一般式(3)で示されるトリアルコキシシランを原料とし、このものの加水分解−重縮合反応により、ポリシルセスキオキサンと呼称する一連の化合物が合成できることが知られている。
1−nSiX (2)
Si(OR (3)
上記一般式(2)および(3)中のRとしては、水素原子、アルキル基、芳香族置換基、重合性置換基などの様々な官能基を導入できることが知られている。
とりわけ、カゴ形構造をとっているものや、カゴ形構造の一部が開環している不完全カゴ形構造を取っているポリシルセスキオキサンは、保存安定性の障害となるシラノール基を持たないかまたは少ないため、保存安定性は良好であり、取り扱いも容易である。他の有機モノマーとの相溶性や共重合性を持たせることも可能であり、分子構造の議論もある程度は可能である。このことから、カゴ形構造をとっているものや、カゴ形構造の一部が開環している不完全カゴ形構造を取っているポリシルセスキオキサンに関する研究が、ここ数年顕著に増加してきている。
一方、多孔質膜を形成する場合、相分離法と延伸法がある。しかしどちらも均一な微細孔を形成するには複雑な工程が必要である。
また、有機樹脂による多孔質膜の製造方法として以前から自己組織化として研究され報告されている製造方法がある(例えば、特許文献1参照)。
しかし、ポリシルセスキオキサン及びその誘導体を用いた貫通孔を有する多孔質膜はない。
WO2006/080362号公報
ポリシルセスキオキサン及びその誘導体を用い多孔質膜を作成するには、成膜作製と細孔作製の工程が別々であることにより作製に時間と手間がかかることが課題であった。
本発明者等は、ケイ素含有化合物あるいは有機樹脂とのハイブリッドの多孔質膜作製において、複雑な製造工程を経ることなく成膜と同時に貫通孔が得られる成膜技術を見出し本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記の構成を有する。
〔1〕完全カゴ形構造ポリシルセスキオキサン及びカゴ形構造の一部が開環している不完全カゴ形構造ポリシルセスキオキサン並びに前記完全カゴ形構造ポリシルセスキオキサン及不完全カゴ形構造ポリシルセスキオキサンの側鎖に有機基を導入したポリシルセスキオキサンの少なくとも1種のポリシルセスキオキサン、又は、前記少なくとも1種のポリシルセスキオキサンと相溶性、共重合性がある有機樹脂と前記少なくとも1種のポリシルセスキオキサンの混合物を疎水性有機溶媒中に溶解する工程、基板上に塗布して膜を形成する工程、前記塗布膜に高湿度の気体を吹き付けて膜中に液滴を形成する工程、前記有機溶媒及び前記液滴を蒸発させて前記膜中に空隙が形成されたフィルムを製造する工程を含むことを特徴とする多孔質膜の製造方法。
〔2〕前記ポリシルセスキオキサンは、下記一般式(1)で示されることを特徴とする前記〔1〕に記載の多孔質膜の製造方法。
(RSiO1.5)m(RSiOH)n (1)
式(1)中のR、Rは、次の二つの置換基群のいずれかから構成されている。RおよびRのどちらかは第一群の少なくとも一種類の置換基を必ず含む。また、R、Rは同一であっても良い。
第一群:水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、含芳香族置換基のうちいずれか。
第二群:含ビニル基、含メタクリル基、含アクリル基、含エポキシ基
また、mは1以上で1000以下の整数であり、n/mは0.0以上1.0以下(モル比)である。
〔3〕前記空隙が貫通孔で得られることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の多孔質膜の製造方法。
〔4〕前記液滴形成工程では、相対湿度50%〜99%の気体を前記塗布膜に吹き付けることを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の多孔質膜の製造方法。
〔5〕前記膜中に空隙が形成されたフィルムを熱硬化又は紫外線硬化により膜をより強固な構造にすることを特徴とする前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の多孔質膜の製造方法。
本発明が提供する、ケイ素含有化合物による多孔質膜の製造方法は、複雑な製造工程を経ることなく成膜と同時に貫通孔が得られる成膜技術である。また、シリコンを骨格の一部に含むポリシルセスキオキサンは、有機化合物と比べ耐熱性、耐侯性、耐食性、耐ラジカル性が良好である。
本発明の実施例で得られた多孔質膜の平面を観察したSEM写真である。 本発明の実施例で得られた多孔質膜の断面を観察したSEM写真である。
本発明に用いられるケイ素含有化合物としては、完全カゴ形構造ポリシルセスキオキサン及びカゴ形構造の一部が開環している不完全カゴ形構造ポリシルセスキオキサン並びに前記完全カゴ形構造ポリシルセスキオキサン及不完全カゴ形構造ポリシルセスキオキサンの側鎖に有機基を導入したポリシルセスキオキサンの少なくとも1種のポリシルセスキオキサン、又は、前記少なくとも1種のポリシルセスキオキサンと相溶性、共重合性がある有機樹脂と前記少なくとも1種のポリシルセスキオキサンの混合物である。
本発明の多孔質膜は、前記のポリシルセスキオキサン及び前記のポリシルセスキオキサンと有機樹脂の混合物を原料として、以下の製造方法により製造される。
すなわち、前記のポリシルセスキオキサン及び前記のポリシルセスキオキサンと有機樹脂の混合物を疎水性有機溶媒中に溶解する工程、基板上に塗布して膜を形成する工程、前記塗布膜に高湿度の気体を吹き付けて膜中に液滴を形成する工程、前記有機溶媒及び前記液滴を蒸発させて前記膜中に空隙が形成されたフィルムを製造する工程を経て前記のポリシルセスキオキサン及び前記のポリシルセスキオキサンと有機樹脂の混合物の多孔質膜を製造することができる。
まず、前記のポリシルセスキオキサン及び前記のポリシルセスキオキサンと有機樹脂の混合物は、疎水性有機溶媒中に溶解される。
前記のポリシルセスキオキサン及び前記のポリシルセスキオキサンと有機樹脂の混合物を溶解させる疎水性有機溶媒は、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン系有機溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルイソブチルケトン等の非水溶性ケトン類、ジエチルエーテル等のエーテル類、二硫化炭素などがあげられる。これらの有機溶媒は単独で用いても、またはこれらの溶媒を組み合わせた混合溶媒として使用してもかまわない。
次の工程である塗布工程に用いるのに、好適な溶液の濃度は、固形分に対する疎水性有機溶媒は0.1g/L〜20g/Lが好ましい。
続いて、前記濃度に調整されたポリシルセスキオキサン及び前記のポリシルセスキオキサンと有機樹脂の混合物の溶液を基板上に塗布する。
基板としては、ガラス、金属、シリコンウエハー等の無機材料、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテルケトン、ポリフッ化エチレン等の耐有機溶剤性に優れた有機材料が用いられる。また、これらの基板上に離型剤を塗布することも可能である。離型剤としては、シリコン系、フッ素系化合物が用いられる。
基盤に塗布する方法としては、スピンコート法とディップコート法、液滴を滴下する方法等から適宜選択して用いることができる。
塗布膜の厚さとしては、数十μm〜数nmが可能であるが、十数μm〜数十nmが好ましい。
次に、前記塗布膜に高湿度の気体を吹き付けることによって、塗布膜の表面及び塗布膜中に水滴を形成させる。
高湿度の気体は、相対湿度50%〜99%の気体を用いる。好ましくは70〜90%の気体が好ましい。
気体には、空気の他、窒素ガス・アルゴンガスなどの不活性ガスを用いることができる。
高湿度の気体中の水分が、まず塗布膜上で凝縮して水分が形成され、その液滴が塗布膜中に侵入していき、塗布膜の表面及び塗布膜中に水滴を形成させることができる。
前記液滴形成工程では一定量の気体を吹き付けることが必要である。 気体の流速は、0.1〜10min/Lが好ましい。特に好ましくは、0.5〜5min/Lである。吹き付け温度は、10〜80℃が好ましい。特に好ましくは、10〜50℃である。吹き付け角度は、0〜90°が好ましい。特に好ましくは、10〜60°である。
次に、前記有機溶媒及び前記液滴を蒸発させて前記膜中に空隙を形成させる。すなわち、塗膜中に生成した水滴を鋳型として多孔質膜を得ることができる。
本発明は自己組織化現象を利用した空孔製造方法である。基板上に塗布した溶液中、液滴形成後、疎水性有機溶媒が蒸発する際に潜熱を奪われ温度が下がった溶液表面で水が凝結して微小な液滴となり、溶液表面に付着する。更に気体を吹き付け続けることにより水滴が蒸発しそのあとが空孔となるものである。
本発明の多孔質膜の空隙は、条件により一定形状、一定サイズの空孔が連続かつ規則的に配列している。特に、貫通している空孔構造である。
貫通孔であることのより、多孔質な膜となることで、空隙中に異なる物質をろ過又は充填することが可能である。それにより、フィルター機能や、鋳型としての性能が付加可能である。
ひとつの空隙のサイズは、0.01μm〜100μmの孔径を有する。
以下、本発明に用いるポリシルセスキオキサン及びポリシルセスキオキサンと有機樹脂の混合物について説明する。
前記ポリシルセスキオキサンの中で、耐熱性の観点からは、完全カゴ形構造ポリシルセスキオキサンが好ましい。また、相溶性、柔軟性等の点からは、不完全カゴ形構造ポリシルセスキオキサンが好ましい。また、電気特性や、加工性、密着性、有機樹脂との相溶性等の各種用途により側鎖に有機基を導入したポリシルセスキオキサンが好ましい。
そして、前記ポリシルセスキオキサンとして、下記一般式(1)で示されるポリシルセスキオキサンが好ましい。
(RSiO1.5)m(RSiOH)n (1)
式(1)中のR、Rは、次の二つの置換基群のいずれかから構成されている。RおよびRのどちらかは第一群の少なくとも一種類の置換基を必ず含む。また、R、Rは同一であっても良い。
第一群:水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、含芳香族置換基のうちいずれか。
第二群:含ビニル基、含メタクリル基、含アクリル基、含エポキシ基
また、mは1以上で1000以下の整数であり、n/m比は0.0以上1.0以下(モル比)である。
前記第一群は、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、もしくは分岐状アルキル基、又は炭素数1〜20のフッ素化されたアルキル基、含芳香族置換基である。炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基等を例示でき、特に炭素数1〜12、とりわけ炭素数1〜10のものが好ましい。なお、フッ素化されたアルキル基は、上記アルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたものであり、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロピル基などが挙げられる。含芳香族置換基としては、フェニルアルキル基およびその誘導体、フェニル基およびその誘導体、ビフェニル基およびその誘導体、ナフチル基およびその誘導体などが挙げられるが、特にフェニルアルキル基およびその誘導体とフェニル基およびその誘導体が好ましく、とりわけフェニル基およびその誘導体が好ましい。
前記第二群の含ビニル基、含メタクリル基、含アクリル基、含エポキシ基は重合性置換基である。具体的には下記構造を持つ化合物を挙げることが出来る。
これらの重合性置換基のうち、原料となるケイ素モノマーの入手のし易さを考慮すると、ビニル基、アルキレン基、スチリル基、3−アクリロイルプロピル基、3−メタクリロイルプロピル基、3グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基が好ましい。
また、n/m比の値は、0.0以上1.0以下(モル比)であるが、好ましくは0〜0.5で、より好ましくはポリシルセスキオキサンがカゴ形構造を持つと推定できる、0〜0.34である。ポリシルセスキオキサン誘導体は、6〜100個のケイ素原子、つまり(m+n)が、6〜100である事が好ましい。より好ましくは、8〜50である。
電気特性や、機能性、加工性、密着性、光学特性等各種用途によりポリシルセスキオキサンと有機樹脂の混合物を原料として用いることが好ましい。
ポリシルセスキオキサンに混合する有機樹脂としては、ビニル樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂などが用いられる。
上記ビニル樹脂は、アルキルビニルエーテル類、スチレン、アルキニルビニルエーテル類、アリールビニルエーテル類、アルキルジビニルエーテール類等が挙げられる。これらを単独または2種類以上併用しても良い。
上記アクリル樹脂(メタクリル樹脂)は、アクリレート(メタクリレート)系オリゴマー、ポリアクリレート(メタクリレート)、またはそれらの混合物である。
上記エポキシ樹脂は、1分子中に1個以上のエポキシ基を有するオリゴマーであり、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリグリシジルエーテル、脂環式エポキサイド、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ダイマー酸変性エポキシ樹脂、NBR変性エポキシ樹脂、CTBN変性エポキシ樹脂等がある。これらを単独または2種類以上併用して用いることができる。
ポリシルセスキオキサンと有機樹脂を混合する場合の比率は、ポリシルセスキオキサンと有機樹脂の合計に対してポリシルセスキオキサンが、0.0001〜99.9(重量比)であることを特徴とする。特に10〜90(重量比)が好ましい。
本発明の多孔質膜を、より強固な膜や耐熱性を高める等の物性を向上させるには、多孔質膜を重合硬化させることが有効である。
熱硬化又は紫外線硬化により膜をより強固な構造にするために、前記シルセスキオキサン側鎖の第二群の重合性置換基含むシルセスキオキサンを用いて、塗布溶液に重合開始剤を仕込むことで硬化させることができる。あるいは、前記第二群側鎖を含むシルセスキオキサンと上記有機樹脂において反応基を含有する有機樹脂とを塗布溶液中に重合開始剤を仕込むことで反応硬化させることができる。
目的のため、熱ラジカル開始剤もしくは光ラジカル開始剤、カチオン開始剤で硬化することが可能である。
ラジカル重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤を使用することができるが、特に有機過酸化物または有機アゾ系化合物が好ましく用いられる。中でも、過酸化物、更に有機過酸化物が好ましい。また、カチオン重合開始剤としては、公知のカチオン重合開始剤を使用することもできるが、特にヨードニウム塩系光カチオン重合開始剤、或いは芳香族スルホニウム塩系熱カチオン重合開始剤が好ましい。
本発明においてラジカル重合開始剤は1種のみ、または2種以上を混合して用いてもよい。本発明において、重合開始剤の使用量はモノマー100部に対して、好ましくは0.001〜5部、より好ましくは0.01〜2部、特に好ましくは0.05〜1部である。
これらのカチオン開始剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明の樹脂組成物におけるカチオン開始剤の含有割合は、カチオン硬化型樹脂組成物100重量部中、好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.3〜4重量部であることが望ましい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
(合成例1)
反応性ポリシルセスキオキサンは、次の手法に従って合成した。還流冷却管を備えた2L容スリ付き三つ口フラスコに、テトラヒドロフラン1260ml、1N水酸化ナトリウム水溶液41.45g (水酸化ナトリウム 2.1 モル)、ビニルトリメトキシシラン44.82 g (0.14 モル)とフェニルトリメトキシシラン139.92g(0.34モル)を入れ、機械攪拌しつつ60℃に加熱し、3時間反応させた。反応後室温に戻し、1mol/L塩酸45.0gを加えて中和した後に、飽和炭酸水素ナトリウム溶液10mLを加えて弱アルカリ性とした。ロータリーエバポレーターにより低沸点部を留去した。次にジエチルエーテル200mLを加えて抽出し、有機相を蒸留水次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで3時間以上脱水した。塩などの不溶物を濾過により除き、減圧乾燥により濃縮した後に、ヘキサン200mLに攪拌しつつ加えて再沈殿により精製した。このシルセスキオキサンの、GPC、NMR分析から、部分開裂構造を有しかつビニル基を持つ籠型シルセスキオキサンであることを確認した。
<実施例1>
(塗布液調整)
上記合成ポリシルセスキオキサン1部をクロロホルム99部に溶解し、イルガキュア651を0.01部加えたものを0.45μmテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過し塗布液とした。本体材料の最終濃度を10mg/mLとなるように、塗布溶液を調製した。
(成膜)
シルコンウェハ基板上に上記塗布溶液0.5mlをキャストして液膜を形成した。この液膜に対して、温度23℃、湿度44%の環境下で高湿度アルゴン(湿度80%)を30°の角度から吹き付けた(2litter/分)。これにより中間体として、孔の貫通した多孔質膜を得た。
シリコン基板上に形成されている中間体多孔質膜を、紫外線照射装置(商品名:アイミニグランテージ ECS−151U、アイグラフィックス社製)を用いて、60秒の時間で紫外線照射することにより当該中間体多孔質膜の反応基の硬化を行い、完成体としての多孔質膜を製造した。
(評価)
得られた完成体の多孔質膜を走査型電子顕微鏡(SEM、商品名:JSM−6700F、JEOL製)により観察した。観察条件は、倍率を×10k倍とし、加速電圧を5kvとし、照射電流を10μAとした。その結果を図1、2に示す。
なお、図1は、基板を上部から観察した平面のSEM写真であり、図2は、基板を切断し、その断面を観察したSEM写真である。
図1、2に示す結果から明らかなように、貫通孔を有する多孔質膜を製造することが可能であった。
<実施例2>
(塗布液調整)
上記合成ポリシルセスキオキサン0.5部とポリメタクリルサンメチル0.5部をクロロホルム99部に溶解し、イルガキュア651を0.01部加えたものを0.45μmテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過し塗布液とした。本体材料の最終濃度を10mg/mLとなるように、塗布溶液を調製した。
(成膜)
シルコンウェハ基板上に上記塗布溶液0.5mlをキャストして液膜を形成した。この液膜に対して、温度23℃、湿度44%の環境下で高湿度アルゴン(湿度80%)を30°の角度から吹き付けた(2L/min)。これにより中間体として、孔の貫通した多孔質膜を得た。
シリコン基板上に形成されている中間体多孔質膜を、紫外線照射装置(商品名:アイミニグランテージ ECS−151U、アイグラフィックス社製)を用いて、60秒の時間で紫外線照射することにより当該中間体多孔質膜の反応基の硬化を行い、完成体としての多孔質膜を製造した。
(評価)
得られた完成体の多孔質膜を走査型電子顕微鏡(SEM、商品名:JSM−6700F、JEOL製)により観察した。観察条件は、倍率を×10k倍とし、加速電圧を5kvとし、照射電流を10μAとした。
以上のように、本発明によれば、ポリシルセスキオキサンを用いて簡便に多孔質膜が作製可能である。また、ポリシルセスキオキサン単独、あるいは有機樹脂とハイブリッド化することで高い耐熱性や、耐侯性、耐ラジカル性、耐食性を有する多孔質膜を開発することが可能であり、高機能材料として、自動車、光学、電気工学、バイオテクノロジー等の各分野に応用が期待できる。

Claims (5)

  1. 完全カゴ形構造ポリシルセスキオキサン及びカゴ形構造の一部が開環している不完全カゴ形構造ポリシルセスキオキサン並びに前記完全カゴ形構造ポリシルセスキオキサン及不完全カゴ形構造ポリシルセスキオキサンの側鎖に有機基を導入したポリシルセスキオキサンの少なくとも1種のポリシルセスキオキサン、又は、前記少なくとも1種のポリシルセスキオキサンと相溶性、共重合性がある有機樹脂と前記少なくとも1種のポリシルセスキオキサンの混合物、を疎水性有機溶媒中に溶解する工程、基板上に塗布して膜を形成する工程、前記塗布膜に高湿度の気体を吹き付けて膜中に液滴を形成する工程、前記有機溶媒及び前記液滴を蒸発させて前記膜中に空隙が形成されたフィルムを製造する工程を含むことを特徴とする多孔質膜の製造方法。
  2. 前記ポリシルセスキオキサンは、下記一般式(1)で示されることを特徴とする請求項1記載の多孔質膜の製造方法。
    (RSiO1.5)m(RSiOH)n (1)
    式(1)中のR、Rは、次の二つの置換基群のいずれかから構成されている。RおよびRのどちらかは第一群の少なくとも一種類の置換基を必ず含む。また、R、Rは同一であっても良い。
    第一群:水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、含芳香族置換基のうちいずれか。
    第二群:含ビニル基、含メタクリル基、含アクリル基、含エポキシ基
    また、mは1以上で1000以下の整数であり、n/mは0.0以上1.0以下(モル比)である。
  3. 前記空隙が貫通孔で得られることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の多孔質膜の製造方法。
  4. 前記液滴形成工程では、相対湿度50%〜99%の気体を前記塗布膜に吹き付けることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質膜の製造方法。
  5. 前記膜中に空隙が形成されたフィルムを熱硬化又は紫外線硬化により膜をより強固な構造にすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質膜の製造方法。
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