JP2013089454A - 電極活物質の製造方法 - Google Patents
電極活物質の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2013089454A JP2013089454A JP2011228869A JP2011228869A JP2013089454A JP 2013089454 A JP2013089454 A JP 2013089454A JP 2011228869 A JP2011228869 A JP 2011228869A JP 2011228869 A JP2011228869 A JP 2011228869A JP 2013089454 A JP2013089454 A JP 2013089454A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- active material
- electrode active
- temperature
- raw material
- lithium
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
Landscapes
- Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
- Secondary Cells (AREA)
- Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
Abstract
【解決手段】本発明によって提供される二次電池用の粒状電極活物質の製造方法では、電極活物質を形成するための原料化合物が水系溶媒に溶解又は分散した水性原料液であって、所定の下限臨界溶解温度以上で水に不溶性となる温度応答性高分子を該下限臨界溶解温度以下の温度で溶解させた水性原料液を用意し、該用意した水性原料液を前記下限臨界溶解温度を上回る温度域まで昇温し、該昇温した水性原料液中に不溶性凝集物を生成し、前記生成された不溶性凝集物を焼成することで、電極活物質を製造する。
【選択図】図3
Description
ところで、二次電池の性能を向上させるための一つの方策として、二次電池を構成する電極活物質粒子の微小化が挙げられる。電極活物質(例えばリチウム二次電池の正極活物質)の粒子サイズを微小化することによって、当該電極活物質粒子の充填性が向上する。かかる充填性の向上により、電極(具体的には集電体上に形成される電極活物質を主体とする電極層)における活物質密度を高めることができる。また、電極活物質の粒子サイズを微小化することによって、活物質の単位質量あたりの表面積が増大する。このため、ハイレート特性、急速充放電特性等の向上を図ることができる。
かかる結晶構造の変化や結晶性の低下、或いは活物質粒子からの成分溶出は、当該電極活物質(例えばリチウム二次電池等の正極活物質)の性能低下(例えば充放電容量の低下)の原因となる場合があり、好ましくない。
即ち、ここで開示される一つの製造方法は、二次電池用の電極活物質を製造する方法である。かかる方法は、
(1)上記電極活物質を形成するための1種又は2種以上の原料化合物が水系溶媒に溶解又は分散した水性原料液であって、所定の下限臨界溶解温度以上で水に不溶性となる温度応答性高分子を該下限臨界溶解温度以下の温度で溶解させた水性原料液を用意すること、
(2)上記用意した水性原料液を上記下限臨界溶解温度を上回る温度域まで昇温し、該昇温した水性原料液中に不溶性凝集物を生成すること、
(3)上記生成された不溶性凝集物を焼成し、粒状の上記電極活物質(即ち電極活物質として機能する元素組成の化合物)を形成すること、
を包含する。
ここで「温度応答性高分子(temperature-responsive polymer)」とは、大気圧条件下において所定の下限臨界溶解温度(Lower Critical Solution Temperature)(以下、単に「LCST」ともいう。)を有し、当該温度以下では水溶性(即ち親水性)が顕著になる一方で、当該LCSTを超えると水に対して不溶性(即ち疎水性)が顕著になる可逆的な相転移挙動を示す高分子物質をいう。
かかる水性原料液は、上記LCST以下の温度条件下にあるとき、目的とする組成の電極活物質を形成するための1種又は2種以上の原料化合物(例えばリチウム二次電池の正極活物質であるリチウム遷移金属複合酸化物を形成する場合は、リチウム源となる化合物ならびに1種又は2種以上の遷移金属源となる化合物)が、水系溶媒中に溶解又は分散された状態で存在する。
そして、かかる水性原料液を上記LCST以上になるまで加熱(昇温)する。これにより、当該原料液中に含まれる温度応答性高分子が不溶化し、水性原料液中に共存する上記原料化合物を取り込んだ状態の微小な凝集物(ミセル)を生成することができる。換言すれば、該不溶性の微小な凝集物の生成によって、水性原料液中に含まれる原料化合物を当該微小な凝集物として小分けすることが実現される。即ち、当該原料化合物を含む微小な凝集物の生成により、その後の焼成によって得られる活物質の粒子のサイズを規定することができる。
これらは温度応答性高分子として代表的で温度応答性挙動が詳細に調べられており、また下限臨界溶解温度の制御等も可能とされている。例えば、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリビニルメチルエーテルは、常温よりやや高い温度に下限臨界溶解温度を有するため、温度制御が容易に行え、目的とする粒状電極活物質の製造がより簡便となる。
(2)’上記ゲル化剤を含む水性原料液を上記下限臨界溶解温度を上回る温度域まで昇温し、該温度域において該水性原料液から水系溶媒を蒸発させて上記生成した不溶性凝集物を含むゲル化体を形成すること、
(3)’かかるゲル化体を焼成することによって上記電極活物質を形成すること、
を包含する。
ここで開示される電極活物質製造方法によると、均一な混合状態の原料化合物を比較的低温の反応で目的の複合酸化物に転換することができ、原料金属元素の固溶が十分進んだ電極活物質を得ることができる。ゆえに、電池として高い充放電容量を具備させることが可能な電極活物質が提供される。
ここで開示される電極活物質製造方法の好ましい一態様では、製造対象とする電極活物質がリチウム二次電池の正極活物質であることを特徴とする。そのようなリチウム二次電池の正極活物質として好適なものとして、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)およびマンガン(Mn)のうちの少なくとも一種の遷移金属元素を構成元素とするリチウム遷移金属複合酸化物が挙げられる。なかでも特に、一般式:
Li(LiaMnxCoyNiz)O2
(式中のa、x、y、zはa+x+y+z=1を満足する正の実数)
で示されるリチウム過剰型遷移金属複合酸化物を主体に構成される正極活物質が挙げられる。或いは、一般式:SiOx(式中のxは0<x<2を満足する実数)で示されるケイ素酸化物を主体に構成される負極活物質が挙げられる。ここで開示される製造方法によると、これら高容量活物質の単位質量あたりの容量を更に拡大することができる。
従って、ここで開示される製造方法によると、電極活物質の粒子同士の凝集を抑止しつつ当該生成される不溶性凝集体(ミセル)のサイズに応じて焼成後の電極活物質の粒子のサイズ(粒径)を規定することができる。即ち、典型的には、焼成後に粉砕処理を行うことなく粒度分布の小さい(好ましくはほぼ均一な粒径サイズの)粒状電極活物質を好適に製造することができる。即ち、本構成の製造方法によると、温度応答性高分子の相転移挙動を利用することにより、過度な凝集が抑制された良好な分散状態の電極活物質粒子を、より微細化された粒度の粒状電極活物質として製造することができる。
ここで開示されるリチウム二次電池は、上記のとおり、過度な機械的な粉砕処理が加えられずに結晶性が高く維持された微小な粒子サイズの電極活物質を備えることによって高容量化と良好な電気伝導性を実現し得る。このため、特にハイレート充放電が要求される車両に搭載されるモーター駆動のための動力源(電源)として使用される電池として適した性能を備える。
従って、本発明によると、ここで開示されるリチウム二次電池を備えた車両が提供される。特に、該リチウム二次電池を動力源(典型的には、ハイブリッド車両または電気車両の動力源)として備える車両(例えば自動車)が提供される。
なお、本明細書において「電極活物質」は、正極側で使用される正極活物質と負極側で使用される負極活物質を包含する用語である。ここで活物質とは、正極側又は負極側において蓄電に関与する物質(化合物)をいう。即ち、電池の充放電時において電子の放出若しくは取り込みに関与する物質をいう。
また、本明細書において「リチウム二次電池」は、電解質中のリチウムイオンが電荷の移動を担う電池をいい、いわゆるリチウムイオン電池(若しくはリチウムイオン二次電池)、リチウムポリマー電池等と呼ばれているものは、ここでいう「リチウム二次電池」に包含される典型例である。
以下に本発明の好ましい一実施形態として、電極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物を製造する場合について例示し、本発明を詳細に説明する。
ここで開示される製造方法は、図1の工程フロー図に示されるように、先ず、(1)上記電極活物質を形成するための1種又は2種以上の原料化合物が水系溶媒に溶解又は分散し、さらに所定の下限臨界溶解温度以上で水に不溶性となる温度応答性高分子を該下限臨界溶解温度以下の温度で該水系溶媒に溶解させた水性原料液を用意する。
かかる原料化合物としては、所望の電極活物質を構成するための構成元素を包含する水溶性の化合物を用いることができる。電極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物を製造する場合には、典型的には原料化合物として、リチウム源と、1種または2種以上の遷移金属元素源とを用意する。
更に、本発明においては、電極活物質の粒子サイズを規定するものとして、温度応答性高分子を用いるようにしている。
温度応答性高分子としては、水系溶媒の沸点より低い温度に下限臨界溶解温度(LCST)を有し、所定のLCST以下で水溶性で、所定のLCSTを超える温度で水に不溶性となる各種のものより選択される少なくとも1種を用いることができる。例えば、2種以上を複合して用いることもできる。このような温度応答性高分子としては、代表的には、以下に示す化学構造を有する高分子を挙げることができる。
(e)ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体
なかでも、LCSTが室温(例えば25℃)より5℃〜30℃程度、より好ましくは5℃〜15℃程度高い温度応答性高分子を用いるのが製造面において簡便であるため好適である。このような温度応答性高分子としては、例えば、(a)ポリ(N−アルキルアクリルアミド)における官能基Rがi−Pr(イソプロピル基)であるポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(LCST:約32℃)、(c)ポリビニルアルキルエーテルにおける官能基RがMe(メチル基)であるポリビニルメチルエーテル(LCST:約34℃)等を例示することができる。
次いで、各出発原料を秤量する。各出発原料の混合比は、所望のリチウム含有遷移金属複合酸化物の組成比に応じて適宜調整することができる。そして、各出発原料を水系溶媒に混合し、十分に拡散または浸透させる。水系溶媒としては、典型的には、水(蒸留水や脱イオン水を包含する。)を使用することができる。必要に応じてアルコール等が含まれていてもよい。そして更に、温度応答性高分子を下限臨界溶解温度以下の温度で水系溶媒に溶解させることで、水性原料液を用意することができる。
下限臨界溶解温度以下の温度での水性原料液は、図2に概念的に示したように、水系溶媒(例えば水)中に出発原料102と温度応答性高分子104とが分散あるいは溶解して混合した状態で存在している。
なお、ここで、後述するゲル化を促進するために、上記の出発原料および温度応答性高分子と共にゲル化剤を添加してもよい。ゲル化剤としては、金属イオンを含まない非イオン水溶性有機化合物、たとえば、金属イオンを含まないカルボン酸基を有する有機化合物を用いることができる。より具体的には、グリコール酸(C2H4O3)、リンゴ酸(C4H6O5)、クエン酸(C6H8O7)、ヒドロキシカルボン酸あるいはその誘導体などを好ましく用いることができる。ゲル化剤の添加量は特に限定されず、所望のゲル状を呈するように適宜調整するとよい。
なお、上記混合に際し、必要に応じて攪拌(混練、粉砕を含む)を行ってもよい。混合に用いる装置としては特に限定するものではないが、例えば、プラネタリーミキサー、遊星式撹拌装置、デスパー、ボールミル、ニーダ、ミキサー等を使用することにより、上記原料混合物が均一に拡散または浸透され安定した混合状態を形成することができる。
ここで開示される製造方法では、次に、(2)用意した水性原料液を上記下限臨界溶解温度を上回る温度域にまで加熱(昇温)し、水性原料液中に不溶性凝集物を生成させる。この状態において、水性原料液中の温度応答性高分子104は不溶化し、図3に示すように、水性原料液中に共存する原料化合物102を取り込んだ状態で微小な不溶性の凝集物(ミセル)110を生成する。換言すれば、該不溶性の微小な凝集物110の生成によって、水性原料液中に含まれる原料化合物102を微小な凝集物110の形態に区分けすることができる。即ち、当該原料化合物102を含む微小な凝集物110の生成により、その後の焼成によって得られる活物質の粒子のサイズが規定されることになる。
なお、上記のとおり、水性原料液にゲル化剤が添加された状態では、原料化合物はゲル化剤が塩を形成し、より反応しやすいイオンとなって水性原料液中により均一な分散状態で保持され得る。従って、ゲル化剤を含む状態で水性原料液を上記の下限臨界溶解温度を上回る温度域まで昇温することにより形成される不溶性凝集物は、より均一な組成を有するものとなる。
そして、ここで開示される製造方法の好ましい形態では、上記水性原料液をゲル化し、上記の不溶性要宗物110を含むゲル化体を形成する。ゲル化においては、水系溶媒が蒸発する温度で原料混合物を加熱(乾燥)させることにより、ゲル化を促進することができる。この場合の加熱の温度は特に限定されないが、好適には室温以上100℃以下の温度域(典型的には20〜90℃、好ましくは50〜90℃、概ね80±5℃程度)で加温することにより、水系溶媒の一部(あるいは全部)が揮発し、粒子分散状態のゾル状態から流動性のないゲル状態に変化させることができる。
加熱時間は、原料混合物の乾燥状態を確認しながら、適宜時間を調整すればよい。なお、加熱方法としては、熱風、真空、赤外線、遠赤外線等のいずれの加熱(乾燥)手段でも好適に使用し得る。さらに、加熱時の雰囲気は、使用した溶剤や出発原料の種類により必要に応じて、大気雰囲気中の他、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下、あるいは密閉容器内に入れてもよい。
また、酸を加えるなどして水系溶媒のpHを1〜2程度に調製することでもゲル化を促進させることができる。
次いで、(3)焼成について説明する。水性原料液の水系溶媒を蒸発させて残った不溶性凝集体、もしくは不溶性凝集体を含むゲル化体を焼成する。焼成は、酸化性の雰囲気、例えば大気中または大気よりも酸素がリッチな雰囲気中で行うことが望ましい。焼成温度は、1000℃以下の温度であって、典型的には700〜900℃、例えば800℃程度まで加熱して焼成するのが好ましい。また、焼成時間については、特に限定するものではないが、上記設定した温度まで昇温した後、該温度域で5〜24時間程度焼成することができる。
かかる熱処理をすることにより、目的のリチウム遷移金属酸化物の前駆体を正極活物質へと変換させることができる。このようにして得られる正極活物質は、上記の不溶性凝集体のサイズに対応した粒径を有する粒子状となる。その大きさは、対象となるリチウム遷移金属酸化物の組成、温度応答性高分子の種類、その他の製造条件等に応じて異なってくるため一概には言えないものの、nmオーダー〜数μmオーダーの粒子として得ることができる。
さらに、重量当たりの容量密度を増加することができる正極活物質として注目されている、Liが遷移金属サイトに配置されたリチウム過剰型遷移金属複合酸化物もまた、好適な製造対象である。この種の活物質の典型例として、Li(Li1/3Mn2/3)O2とLi(NiCoMn)O2の固溶体であって、一般式:
Li(LiaMnxCoyNiz)O2
で示されるリチウム過剰型遷移金属複合酸化物を主体に構成される電極活物質を挙げることができる。ここで式中のa、x、y、zは、典型的にはa+x+y+z=1を満足する正の実数である。
また、ここで開示される製造方法によって好適に製造されるリチウム二次電池用の正極活物質は、上記リチウム遷移金属複合酸化物(リチウム過剰型遷移金属複合酸化物を包含する。)に限られず、例えば、一般式:LiMAO4で示されるポリアニオン化合物であり得る。かかる式中のMは、典型的にはFe、Co、Ni及びMnから成る群から選択される少なくとも1種の金属元素を含む1種又は2種以上の元素(典型的には1種又は2種以上の金属元素)である。即ち、Fe、Co、Ni及びMnから成る群から選択される少なくとも1種の金属元素を含むが他の少量含有され得るマイナー添加元素の存在を許容する(かかるマイナー添加元素は存在しなくてもよい。)。上記式中のAは、典型的には、P、Si、S及びVから成る群から選択される1種又は2種以上の元素である。
特に、一般式:SiOxにより規定されるようなケイ素酸化物を主体に構成されている金属酸化物等は好ましく採用することができる。ここで式中のxは典型的には0<x<2を満足する実数であり、好ましくは0<x<0.6程度であり得る。市販されるSiO等のケイ素酸化物から成る粉末材料を好適に使用することができる。かかるケイ素酸化物を負極活物質として利用することにより、特に高い充放電容量を有するリチウム二次電池が得られ得る。
そして、上記したような正極活物質および導電補助材を含む粉末状材料を適当なバインダとともに適当な分散媒体に分散させて混練することによって、ペースト状の正極合材(以下、「正極合材ペースト」という。)を調製する。この正極合材ペーストを正極集電体上に適当量塗布し、さらに乾燥ならびにプレスすることによってリチウムイオン電池用正極を作製することができる。
リチウム二次電池の形状(容器の外形)は特に限定されず、例えば、円筒型、角型、コイン型等の形状であり得る。
なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚み等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
ここで開示される組電池10は、所定数(典型的には10個以上、好ましくは10〜30個程度、例えば20個)の同形状の単電池12を備える。単電池12は、後述する扁平形状の捲回電極体を収容し得る形状(本実施形態では扁平な箱形)の容器14を備える。単電池12の各部のサイズ(例えば、積層方向の厚み等の外形形状)は、使用する容器14の製造時における寸法誤差等によりばらつき得る。
容器14には、捲回電極体の正極と電気的に接続する正極端子15及び該電極体の負極と電気的に接続する負極端子16が設けられている。図示するように、隣接する単電池12間において一方の正極端子15と他方の負極端子16とが接続具17によって電気的に接続される。このように各単電池12を直列に接続することにより、所望する電圧の組電池10が構築される。
なお、容器14には、容器内部で発生したガス抜きのための安全弁13等が従来の単電池容器と同様に設けられ得る。かかる容器14の構成自体は本発明を特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。
図5及び図6に示すように、単電池12は、通常のリチウムイオン電池の捲回電極体と同様、シート状正極32(以下「正極シート32」ともいう。)とシート状負極34(以下「負極シート34」ともいう。)とを計二枚のシート状セパレータ36(以下「セパレータシート36」ともいう。)とともに積層し、さらに当該正極シート32と負極シート34とをややずらしつつ捲回し、次いで得られた捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって作製される扁平形状の捲回電極体30を備える。
正極シート32は長尺状の正極集電体(例えば長尺状アルミニウム箔)の上にリチウム二次電池用正極活物質層が付与されて形成される。本実施形態では、捲回電極体30を備えるリチウム二次電池(単電池)12に好ましく使用され得る形状であるシート状正極集電体が用いられている。例えば、長さ2m〜4m(例えば2.7m)、幅8cm〜12cm(例えば10cm)、厚み5μm〜30μm(例えば10μm〜20μm)程度のアルミニウム箔を集電体として使用し、予め調製された正極合材ペーストを当該集電体表面に塗布することにより、正極活物質層を形成する。そして、グラビアコーター、スリットコーター、ダイコーター、コンマコーター等の適当な塗付装置を使用することにより、正極集電体の表面に上記ペーストを好適に塗付することができる。
なお、電解質として固体電解質若しくはゲル状電解質を使用するリチウム二次電池(リチウムポリマー電池)の場合には、セパレータが不要な場合(即ちこの場合には電解質自体がセパレータとしても機能し得る。)があり得る。
また、本発明によると、図7に示すように、リチウムイオン電池12(組電池10)を備えた車両1が提供される。特に、該電池12を動力源(典型的には、ハイブリッド車両または電気車両の動力源)として備える車両(例えば自動車)が提供される。
以下の手順で、一般式:Li(Li0.2Mn0.54Co0.13Ni0.13)O2で表わされるリチウム二次電池用の正極活物質を合成した。
すなわち、リチウム源としての酢酸リチウム・二水和物〔Li(CH3COO)・2H2O〕と、マンガン源としての酢酸マンガン(II)・四水和物〔Mn(CH3COO)2・4H2O〕と、コバルト源としての酢酸コバルト(II)・四水和物〔Co(CH3COO)2・4H2O〕、ニッケル源としての酢酸ニッケル(II)・四水和物〔Ni(CH3COO)2・4H2O〕とを包含する、上記組成比の複合酸化物を構成するための出発原料を用意した。この出発原料を、ゲル化剤としてのグリコール酸および温度応答性高分子としてのポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(以下、「PNIPAM」と示すこともある。)と共に1Lのビーカーに入れてイオン交換水を加え、下限臨界溶解温度以下の20℃にて混合溶解し、水性原料液を用意した。
得られた前駆体を回収し、800℃で焼成することによって、実施例1に係る粒状電極活物質を合成した。
<比較例に係る粒状電極活物質の合成>
温度応答性高分子としてのPNIPAMを添加しないこと以外は、上記実施例と同様の材料を使用し同様のプロセスによって、比較例に係る粒状電極活物質を合成した。
実施例および比較例で得られた粒状電極活物質について、レーザー回折法により粒度分布を調べた。その結果(粒度分布)を図8に示す。
図8から明らかなように、水性原料液に温度応答性高分子を添加することで得られた実施例の活物質は、温度応答性高分子を用いずに得られた比較例の活物質と比較して粒度分布が小粒子径側にシフトしており、全体的により微細な粒子が得られていることが確認された。即ち、上記のように水性原料液に温度応答性高分子を添加することによって、合成後の活物質に余計な外力を加えることなく、合成過程での粒子サイズの微小化を実現し、粒子サイズがより小さく結晶性が損なわれることのない粒状活物質の製造が可能なことを示したものである。
上記得られた実施例ならびに比較例の粒状電極活物質を用いて評価用セルを構築した。
即ち、各活物質をアルゴンガス雰囲気中において最高焼成温度を約1000℃に設定し、当該温度で約6時間の焼成を行った。なお、試料を200℃〜300℃の温度域で予め1〜5時間程度の仮焼成を行った後に最高焼成温度まで昇温した。これによりPVAの不要なヒドロキシ基を消失させることができる。
これらの構成要素をステンレス製容器に組み込んで、厚み2mm、直径32mm(いわゆる2032型)の一般的形状の評価用コインセルを構築した。
10 組電池
12 リチウム二次電池(単電池)
15 正極端子
16 負極端子
30 捲回電極体
32 正極シート
34 負極シート
102 原料化合物
104 温度応答性高分子
110 不溶性凝集物
Claims (8)
- 二次電池用の粒状電極活物質を製造する方法であって、
前記電極活物質を形成するための1種又は2種以上の原料化合物が水系溶媒に溶解又は分散した水性原料液であって、所定の下限臨界溶解温度以上で水に不溶性となる温度応答性高分子を該下限臨界溶解温度以下の温度で溶解させた水性原料液を用意すること、
前記用意した水性原料液を前記下限臨界溶解温度を上回る温度域まで昇温し、該昇温した水性原料液中に不溶性凝集物を生成すること、
前記生成された不溶性凝集物を焼成し、前記電極活物質を形成すること、
を包含する、製造方法。 - 前記温度応答性高分子は、ポリ(N−アルキルアクリルアミド)、ポリ(N−ビニルアルキルアミド)、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ(2−アルキル−2−オキサゾリン)およびポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の製造方法。
- 前記温度応答性高分子は、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)および/またはポリビニルメチルエーテルである、請求項2に記載の製造方法。
- 前記水性原料液は水溶性ゲル化剤を含んでおり、
該ゲル化剤を含む水性原料液を前記温度域まで昇温し、該温度域において該水性原料液から水系溶媒を蒸発させて前記生成した不溶性凝集物を含むゲル化体を形成し、
該ゲル化体を焼成することによって前記電極活物質を形成する、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。 - 前記電極活物質は、一般式:Li(LiaMnxCoyNiz)O2(式中のa、x、y、zはa+x+y+z=1を満足する正の実数)で示されるリチウム過剰型遷移金属複合酸化物を主体に構成されている、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- 前記電極活物質は、一般式:SiOx(式中のxは0<x<2を満足する実数)で示されるケイ素酸化物を主体に構成されている、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により製造された電極活物質を正極または負極に備えるリチウム二次電池。
- 請求項7に記載のリチウム二次電池を備える車両。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011228869A JP5585847B2 (ja) | 2011-10-18 | 2011-10-18 | 電極活物質の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011228869A JP5585847B2 (ja) | 2011-10-18 | 2011-10-18 | 電極活物質の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013089454A true JP2013089454A (ja) | 2013-05-13 |
JP5585847B2 JP5585847B2 (ja) | 2014-09-10 |
Family
ID=48533158
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011228869A Active JP5585847B2 (ja) | 2011-10-18 | 2011-10-18 | 電極活物質の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5585847B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020041107A (ja) * | 2018-09-13 | 2020-03-19 | 東ソー株式会社 | 温度応答性共重合体の精製法 |
JP2020095780A (ja) * | 2018-12-10 | 2020-06-18 | トヨタ自動車株式会社 | 正極 |
WO2021010321A1 (ja) * | 2019-07-18 | 2021-01-21 | 株式会社豊田自動織機 | アルミニウムの分散が均一である正極活物質 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10247497A (ja) * | 1996-12-05 | 1998-09-14 | Samsung Display Devices Co Ltd | リチウム2次電池用陽極活物質の製造方法 |
-
2011
- 2011-10-18 JP JP2011228869A patent/JP5585847B2/ja active Active
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10247497A (ja) * | 1996-12-05 | 1998-09-14 | Samsung Display Devices Co Ltd | リチウム2次電池用陽極活物質の製造方法 |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020041107A (ja) * | 2018-09-13 | 2020-03-19 | 東ソー株式会社 | 温度応答性共重合体の精製法 |
JP7135631B2 (ja) | 2018-09-13 | 2022-09-13 | 東ソー株式会社 | 温度応答性共重合体の精製法 |
JP2020095780A (ja) * | 2018-12-10 | 2020-06-18 | トヨタ自動車株式会社 | 正極 |
WO2021010321A1 (ja) * | 2019-07-18 | 2021-01-21 | 株式会社豊田自動織機 | アルミニウムの分散が均一である正極活物質 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5585847B2 (ja) | 2014-09-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6236197B2 (ja) | リチウム電池用正極及びリチウム電池 | |
JP5445878B2 (ja) | 電極活物質の製造方法 | |
JP5370790B2 (ja) | リチウム二次電池及び該電池用正極 | |
JP5553180B2 (ja) | 電極活物質の製造方法 | |
JP2008147068A (ja) | 非水電解液二次電池用リチウム複合酸化物 | |
JP2011134670A (ja) | リチウム二次電池用正極活物質 | |
JP2007184145A (ja) | リチウム二次電池 | |
WO2011027455A1 (ja) | リチウム二次電池用正極活物質およびその利用 | |
JP2008153017A (ja) | 非水電解液二次電池用正極活物質 | |
KR20120061952A (ko) | 리튬 2차 전지 및 상기 전지용 정극 | |
JP6350376B2 (ja) | 非水系電解質二次電池用正極活物質及びその製造方法、並びにその正極活物質を用いた非水系電解質二次電池 | |
WO2011099145A1 (ja) | リチウム二次電池用正極活物質 | |
JP2016066508A (ja) | 非水電解質二次電池用負極及び非水電解質二次電池 | |
JP2006261061A (ja) | 電極材料及びそれを用いた電極並びにリチウム電池と電極材料の製造方法 | |
JP5674056B2 (ja) | 正極活物質及びその製造方法、並びにこれを用いたリチウム二次電池 | |
JP2011204564A (ja) | 電極活物質の製造方法 | |
JP2011171012A (ja) | リチウム二次電池用正極 | |
JP7040832B1 (ja) | リチウムイオン二次電池用負極活物質、その製造方法、及びリチウムイオン二次電池用負極電極 | |
KR101063934B1 (ko) | 활물질의 제조방법 | |
JP5176317B2 (ja) | 非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法、および、これを用いた非水系電解質二次電池 | |
JP5585847B2 (ja) | 電極活物質の製造方法 | |
JP5017010B2 (ja) | リチウム二次電池 | |
JP2018195419A (ja) | 非水系電解質二次電池用正極材料、該正極材料を用いた非水系電解質二次電池、および非水系電解質二次電池用正極材料の製造方法。 | |
JP2015130272A (ja) | 非水系二次電池用正極、非水系二次電池用正極活物質、非水系二次電池及び車載用非水系二次電池モジュール | |
KR100972054B1 (ko) | 활물질의 제조방법 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140116 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20140530 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140626 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140709 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 5585847 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |