JP2013085974A - 処理装置 - Google Patents

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晃史 山崎
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Abstract

【課題】2軸連続式の処理装置において、その回転軸に装着された装着部材のケーシング内面との接触に起因する不具合を防止する。
【解決手段】ケーシング本体部1cの排出口8の近傍で回転軸2の外周に装着され、外周面の平坦な頂部5aでケーシング本体部1cの内周に嵌め込んだブッシュ13の内面に摺接するとともに、各回転軸2の同一軸方向位置に装着されたものどうしでセルフクリーニングを行う排出スクリュ5を、ガラス繊維を25wt%分散させたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で形成することにより、装着部材としての強度を確保しながら、排出スクリュ5とブッシュ13の摺接部および排出スクリュ5どうしの間で金属粉の発生や被処理物の固着が生じないようにしたのである。
【選択図】図4

Description

本発明は、ケーシング内で被処理物を移送しながら、その被処理物に対して混練・混合・反応操作等の処理を行う2軸連続式の処理装置に関する。
化学薬品、医薬品、食料品、樹脂等に対して混練・混合・反応操作等の処理を行う処理装置には、ケーシング内に一対の回転軸を互いに平行に配した2軸連続式のものがある。この2軸連続式の処理装置は、各回転軸の外周に複数のパドルやスクリュ等の装着部材が装着されており、各回転軸を回転駆動することにより、ケーシングの一端側から供給された被処理物を各装着部材でケーシング他端側へ移送しながら、その被処理物に対して所定の処理を行うものである。
このような2軸連続式の処理装置には、被処理物をケーシングの他端で回転軸の軸方向に排出する構造とすることにより、被処理物をケーシング他端側の下部から排出する一般的なものよりも回転軸の軸長を有効に活用して、処理効率の向上を図ったものがある(例えば、特許文献1参照。)。しかし、このように被処理物を回転軸の軸方向に排出する構造のものでは、回転軸の延長線上に被処理物の排出口が設けられ、回転軸の他端側を通常の軸受で支持することができないので、回転軸の他端側に軸受に代わる軸支手段を設ける必要がある。例えば、特許文献1に記載された混練機(処理装置)では、回転軸の他端部の外周にケーシング内面と摺接する螺旋羽根(スクリュ)を装着することにより、回転軸の他端部が支持されるようにしている。
特許第3822613号公報
上記特許文献1に記載された処理装置では、ケーシングやスクリュが通常は金属製であるため、回転軸の他端部に装着したスクリュがケーシング内面と摺動する際に、金属どうしの摩擦によって発生した金属粉が被処理物に混入し、被処理物の製品としての品質が低下するおそれがある。
これに対して、スクリュやケーシング内面を形成する金属として、耐摩耗性に優れ、かつ十分な強度と耐食性を備えたものを選定しようとすると、非常にコストの高いものに限定される。このため、現実的には、その他の条件も考慮して、いずれかの特性が不十分な金属を選定せざるをえない場合が多い。
さらに、被処理物が金属に対する付着性を有するものである場合は、ケーシングとスクリュの摺接部に被処理物が固着して大きな回転抵抗が生じ、回転軸を駆動するモータに容量の大きいものが必要になるという問題もある。
また、前述の一般的な排出方法の装置も含めて、これらの2軸連続式の処理装置では、特に回転軸の軸長の軸径に対する比が大きい場合に、処理抵抗等による回転軸のたわみが大きくなって、回転軸の長手方向中央部付近で回転軸に装着されたパドルやスクリュ等の装着部材がケーシング内面に接触し、上記と同様に金属粉の発生や被処理物の固着が問題となるおそれがある。一方、その接触を確実に防止しようとすると、ケーシング内面と装着部材外周面との隙間や回転軸の軸長等の設計に対する制約が大きくなり、必ずしも処理効率等の面で最適な設計ができなくなる。
そこで、本発明は、2軸連続式の処理装置において、その回転軸に装着された装着部材のケーシング内面との接触に起因する不具合を防止することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明では、ケーシング内に互いに平行に配された一対の回転軸の外周に複数の装着部材を装着し、前記各回転軸を回転駆動することにより、前記各装着部材で前記ケーシングに供給された被処理物を移送しながら、その被処理物に対して所定の処理を行う処理装置において、前記装着部材のうちの少なくとも一つは、その外周面がポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」とも称する。)で形成されているものとした。
すなわち、2軸連続式の処理装置の回転軸に装着された装着部材のうちの少なくとも一つの外周面を、金属に比べて摺動抵抗が小さく、耐食性が高く、被処理物が付着しにくいPTFEで形成することにより、そのPTFEで形成された外周面をもつ装着部材がケーシング内面と接触する場合でも、その接触部で金属粉の発生や被処理物の固着が生じないようにしたのである。
上記の構成において、前記外周面がPTFEで形成された装着部材は、その外周面の一部が前記ケーシングの内面と摺接し、その他の部分と前記ケーシングの内面との隙間を被処理物が通過するようにしたものとすることができる。
具体的な例として、前記外周面がPTFEで形成された装着部材は、前記各回転軸の同一軸方向位置に装着されたものどうしが、各回転軸を同一方向に同一回転速度で回転させたときに、互いの表面に付着した被処理物を除去し合うように噛み合う少なくとも一対のスクリュとすることができる。
また、前記ケーシングが前記回転軸の軸方向に被処理物を排出する排出口を有している場合には、前記外周面がPTFEで形成された装着部材を、前記排出口の近傍で被処理物を排出口に向けて移送するスクリュとすれば、回転軸を排出口近傍で安定して支持できるようになる。
前記PTFEとしては、ガラス繊維を分散させて強度を向上させたものを用いることができる。そして、前記外周面がPTFEで形成された装着部材を、その全体がガラス繊維を10〜30wt%の範囲で分散させたPTFEで形成されたものとして軽量化すれば、回転軸のたわみが少なくなり、装着部材とケーシング内面との不要な接触を生じにくくすることができるとともに、簡単な構成で十分な強度をもつ装着部材とすることができる。ここで、PTFEに分散させるガラス繊維の範囲を上記のように設定したのは、ガラス繊維が10wt%以上であれば装着部材として必要な強度が得られ、30wt%を超えるとPTFEとの混合に手間がかかるようになるからである。
本発明の処理装置は、上述したように、各回転軸に装着された装着部材のうちの少なくとも一つの外周面をPTFEで形成したものであるから、そのPTFEで形成された外周面をもつ装着部材がケーシング内面と接触しても、その接触部で金属粉の発生や被処理物の固着が生じない。したがって、金属粉の混入による被処理物の品質低下のおそれがないし、被処理物の固着によって回転抵抗が大幅に増加するおそれがないので、回転軸を駆動するモータの容量も抑えられる。また、装着部材とケーシング内面との不要な接触を避けるような設計を行う必要がないので、処理効率等を考慮した設計がしやすい。
第1実施形態の処理装置の縦断正面図 図1のII−II線に沿った断面図 図1の排出端側を拡大して示す縦断正面図 図3の横断平面図 図1の排出スクリュの外観斜視図 パドルの変形例を組み込んだ断面図(図2に対応) 第2実施形態の処理装置の縦断正面図
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1乃至図6は第1の実施形態を示す。この処理装置は、図1および図2に示すように、同径の2つの円が交差する断面形状を有する筒状ケーシング1の内部に2本の回転軸2を互いに平行に配した2軸連続式のものである。各回転軸2の外周面には、軸方向に沿って装着部材としての供給スクリュ3、パドル4および排出スクリュ5が装着(固定)されており、各回転軸2を回転駆動することにより、各装着部材でケーシング1に供給された被処理物を移送しながら、その被処理物に対して混練処理を行う構造となっている。なお、各構成部材の材質は、特に説明しない場合はすべて金属製である。
前記ケーシング1は、内面に軸受6が嵌め込まれた軸受保持部1aと、上部に供給口7が設けられた供給部1bと、内部が混練空間とされる本体部1cとを軸方向に突き合わせて一体化したもので、本体部1cの開放端を回転軸2の軸方向に被処理物を排出する排出口8としている。その軸受保持部1a、供給部1bおよび本体部1cは、それぞれ上下に2分割されており、各装着部材を装着した回転軸2の組み込みが容易に行えるようになっている。また、供給部1bと本体部1cの下部には床面Fに固定される脚9が設けられ、全体の外周には蒸気や冷却水等の媒体を通す加熱・冷却用のジャケット10が取り付けられている。
前記各回転軸2は、それぞれの一端の近傍部分をケーシング1の軸受保持部1aに嵌め込まれた軸受6で支持され、軸受保持部1aからの突出部に図示省略したモータが連結されている。一方、各回転軸2の他端側は、ケーシング1の本体部1c内に収まっており、後述するように排出スクリュ5を介して本体部1cに支持されている。
前記装着部材のうちの供給スクリュ3は、複数の同一形状の部品を軸方向に突き合わせて一体化したもので、各回転軸2に装着されたものどうしが互いに接触せず、ケーシング1の供給部1bおよび本体部1cの内面とも接触しないように配されている。
また、前記パドル4は、回転軸2の軸方向と直交する断面において3つの頂点を有する正三角形状の板材であり、後述するセルフクリーニング機能が得られるように、その正三角形の各辺縁部を一様に凸円弧状に張り出させている(図2参照)。また、これらのパドル4は、各回転軸2のそれぞれに軸方向の同一位置で固定されたものどうし(この2つを一組とする)が同位相で互いに近接し、かつ各回転軸2の軸方向に沿って所定角度ずつ位相がずれていくように多数配置されている。
そして、各回転軸2を同一方向に同一回転速度で回転させると、各組のパドル4は、その一方のパドル4の一つの頂点が他方のパドル4の一つの辺縁部に近接する状態を維持しながら回転して、互いの外周に付着した被処理物を除去し合うと同時に、それぞれが少なくとも二つの頂点をケーシング1の本体部1cの内面に近接させて本体部1c内面に付着した被処理物を除去し、セルフクリーニングが行われるようになっている。
図3乃至図5に示すように、前記排出スクリュ5は、2つの部品を軸方向に突き合わせて一体化したもので、各部品は全体がガラス繊維を25wt%分散させたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で形成されており、装着部材としての十分な強度(引張強度で約20MPa)を有している。その形状は、各回転軸2の同一軸方向位置に装着されたものどうしが、各回転軸2を同一方向に同一回転速度で回転させたときに、互いの表面に付着した被処理物を除去し合う(セルフクリーニングを行う)ように噛み合う噛み合いネジ形であり、軸方向断面で見ると外周面に平坦な頂部5aを有している。
この排出スクリュ5は、回転軸2にキー11で回り止めされ、回転軸2の他端にねじ止めされる押え板12で抜け止めされている。そして、その外周面の平坦な頂部5aでケーシング本体部1cの他端側内周に嵌め込まれたブッシュ13の内面と摺接しており、これによって各回転軸2の他端部がケーシング本体部1cに支持されている。なお、排出スクリュ5と摺接するブッシュ13も、複数のPTFE製の部品を軸方向に突き合わせて一体化したものである。ここで、排出スクリュ5の回転軸2への回り止めはスプライン継手としてもよく、ブッシュ13は必ずしもPTFE製でなくてもよい。
この処理装置は、上述した構成であり、各回転軸2を回転駆動することにより、ケーシング1の供給口7から供給部1bに供給された被処理物を、供給スクリュ3によってケーシング本体部1cに送り、パドル4で混練しながらケーシング1の他端側へ移送した後、排出スクリュ5によって排出口8から回転軸2の軸方向に排出するようになっている。
そして、回転軸2の軸方向に被処理物を排出する排出口8の近傍に設けた排出スクリュ5を、ケーシング本体部1cの内周に嵌め込んだブッシュ13の内面に摺接させることによって回転軸2の他端部を支持し、その排出スクリュ5とブッシュ13をPTFEで形成するようにしたので、回転軸2の軸長を有効に活用できるとともに、排出スクリュ5とブッシュ13の摺接部および排出スクリュ5どうしの間で金属粉の発生や被処理物の固着が生じず、被処理物の品質を確保しながら効率よく混練処理を行うことができるし、回転軸2を駆動するモータの容量も抑えられる。
上述した実施形態では装着部材のうちで排出スクリュのみをPTFE製としたが、供給スクリュやパドルもPTFE製とすることができる。その場合、実施形態と同様に各装着部材の全体をガラス繊維を10〜30wt%の範囲で分散させたPTFEで形成すれば、各装着部材の強度を確保しながら軽量化できるので、回転軸のたわみが少なくなり、装着部材とケーシング内面との不要な接触を生じにくくすることができる。また、装着部材とケーシング内面との接触を避けるような設計を行う必要がなくなり、処理効率等を考慮した設計がしやすくなる。
一方、実施形態のようなセルフクリーニング機能を有するパドル等で、金属粉の発生や被処理物の固着の防止を重視する場合は、各装着部材の表面のみをPTFEで形成することもできる。その場合のPTFEは、必ずしもガラス繊維を分散させたものでなくてもよい。
ここで、セルフクリーニング機能を有するパドルとしては、図2に示したような正三角形状のもののほか、図6に示すような断面レンズ形のパドル14を用いることもできる。このレンズ形パドル14も、各回転軸2のそれぞれに軸方向の同一位置で固定されたものどうしが、互いの外周に付着した被処理物を除去し合うと同時に、ケーシング本体部1cの内面に付着した被処理物を除去するようになっている。したがって、このパドル14の少なくとも表面をPTFEで形成することにより、金属粉の発生や被処理物の固着を効果的に防止することができる。
図7は第2の実施形態を示す。この第2実施形態では、ケーシング1の本体部1cの他端に第2軸受保持部1dを接続して、回転軸2の両端部を両側の軸受保持部1a、1dの軸受6で支持するようにし、ケーシング本体部1cの他端側の下部に排出口15を設けている。
そして、各回転軸2の外周面に装着される装着部材のうち、供給スクリュ16として、第1実施形態のPTFE製排出スクリュ5と供給スクリュ3の一部を軸方向に並べたものを用いている。合わせて、第1実施形態と同様のPTFE製ブッシュ17をケーシング供給部1bの内周に嵌め込み、このブッシュ17の内面に供給スクリュ16のPTFEで形成された部分が摺接するようにしている。また、回転軸2の他端側の装着部材として、第1実施形態の排出スクリュ5に代えて、被処理物を逆送りして排出口15からの排出を促す逆送りスクリュ18を設けている。その他の部分の構成は第1実施形態と同じである。また、供給スクリュ16以外の各装着部材をPTFEで形成してもよい点も、第1実施形態と同じである。
なお、本発明は、実施形態のような混練処理を行う装置だけでなく、混合・反応操作等の処理を行う種々の2軸連続式処理装置に適用することができる。
1 ケーシング
1c 本体部
2 回転軸
3 供給スクリュ
4 パドル
5 排出スクリュ
5a 頂部
7 供給口
8 排出口
13 ブッシュ
14 パドル
15 排出口
16 供給スクリュ
17 ブッシュ
18 逆送りスクリュ

Claims (6)

  1. ケーシング内に互いに平行に配された一対の回転軸の外周に複数の装着部材を装着し、前記各回転軸を回転駆動することにより、前記各装着部材で前記ケーシングに供給された被処理物を移送しながら、その被処理物に対して所定の処理を行う処理装置において、前記装着部材のうちの少なくとも一つは、その外周面がポリテトラフルオロエチレンで形成されていることを特徴とする処理装置。
  2. 前記外周面がポリテトラフルオロエチレンで形成された装着部材は、その外周面の一部が前記ケーシングの内面と摺接し、その他の部分と前記ケーシングの内面との隙間を被処理物が通過するようにしたものであることを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
  3. 前記外周面がポリテトラフルオロエチレンで形成された装着部材は、前記各回転軸の同一軸方向位置に装着されたものどうしが、各回転軸を同一方向に同一回転速度で回転させたときに、互いの表面に付着した被処理物を除去し合うように噛み合う少なくとも一対のスクリュであることを特徴とする請求項2に記載の処理装置。
  4. 前記ケーシングが前記回転軸の軸方向に被処理物を排出する排出口を有しており、前記外周面がポリテトラフルオロエチレンで形成された装着部材は、前記排出口の近傍で被処理物を排出口に向けて移送するスクリュであることを特徴とする請求項2または3に記載の処理装置。
  5. 前記ポリテトラフルオロエチレンは、ガラス繊維を分散させたものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の処理装置。
  6. 前記外周面がポリテトラフルオロエチレンで形成された装着部材は、その全体がガラス繊維を10〜30wt%の範囲で分散させたポリテトラフルオロエチレンで形成されたものであることを特徴とする請求項5に記載の処理装置。
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