JP2013083685A - 光学フィルターデバイス、光学モジュールおよび電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光の反射特性および透過特性を有する一対の第1反射膜25が設けられ、第1反射膜25間のギャップ寸法を変位させることができる第1波長可変干渉フィルター20と、光の反射特性および透過特性を有する一対の第2反射膜35が設けられ、第2反射膜35間のギャップ寸法を変位させることができる第2波長可変干渉フィルター30と、を備え、第1波長可変干渉フィルター20と同じ光軸上に、第2波長可変干渉フィルター30が配置され、第1反射膜25は誘電体多層膜、第2反射膜35は金属膜で形成されている。
【選択図】図2
Description
エタロンは一対の反射膜を対向させ、反射膜間にギャップ(間隙)を形成した光学フィルターであり、ギャップ寸法を変化させて透過する出射光の波長を変化させることができる(特許文献1参照)。
第1エタロンの第1反射膜は誘電体多層膜で形成されていることから、分光する光の波長帯域幅が広い場合、分光される光は半値幅が小さく分光精度が良いが、ノイズを含む。これに対して、第2エタロンの第2反射膜は金属膜で形成されていることから、所望の波長帯域付近のみの分光ができるが、半値幅が大きく分光精度は誘電体多層膜で形成した反射膜に比べて低下する。
このことから、第1エタロンと第2エタロンとのそれぞれが同一の波長を選択した場合、第1エタロンおよび第2エタロンを透過した光はノイズを含まず精度の高い分光を得ることができる。
このように、第1エタロンと第2エタロンとを用いて、2つの透過特性を合成することで、分光精度に優れた光学フィルターデバイスを提供することができる。
第1エタロンと第2エタロンとを用いて、2つの透過特性を合成することで、精度の高い分光ができ、さらにこの分光した光を受光する受光部を備えることで、分光精度に優れた光学モジュールを提供することができる。
第1エタロンと第2エタロンとを用いて、2つの透過特性を合成することで、精度の高い分光ができ、受光部にて受光した光の特性を分析する分析処理部を備えることで、測定および分析精度に優れた電子機器を提供することができる。
高次ピーク(第1選択ピーク)では分光される光は半値幅が小さく分光精度が良いが、ノイズを含む。これに対して、低次ピーク(第2選択ピーク)では所望の波長帯域付近のみの分光ができるが、半値幅が大きく分光精度は高次ピークを利用した場合に比べて分光精度は劣る。
このことから、第1エタロンと第2エタロンが同一の波長を選択した場合、第1エタロンおよび第2エタロンを透過した光はノイズを含まず精度の高い分光を得ることができる。
このように、第1エタロンと第2エタロンとを用いて、2つの透過特性を合成することで、分光精度に優れた光学フィルターデバイスを提供することができる。
このように、第1エタロンと第2エタロンとを用いて、2つの透過特性を合成することで、精度の高い分光ができ、さらにこの分光した光を受光する受光部を備えることで、分光精度に優れた光学モジュールを提供することができる。
このように、第1エタロンと第2エタロンとを用いて、2つの透過特性を合成することで、精度の高い分光ができ、受光部にて受光した光の特性を分析する分析処理部を備えることで、測定および分析精度に優れた電子機器を提供することができる。
高次ピーク(第1選択ピーク)では分光される光は半値幅が小さく分光精度が良いが、ノイズを含む。これに対して、低次ピーク(第2選択ピーク)では所望の波長帯域付近のみの分光ができるが、半値幅が大きく分光精度は高次ピークを利用した場合に比べて分光精度は劣る。
このことから、第1エタロンと第2エタロンが同一の波長を選択した場合、第1エタロンおよび第2エタロンを透過した光はノイズを含まず精度の高い分光を得ることができる。
このように、第1エタロンと第2エタロンとを用いて、2つの透過特性を合成することで、分光精度に優れた光学フィルターデバイスを提供することができる。
高次ピークでは分光される光は半値幅が小さく分光精度が良いが、ノイズを含む。これに対して、低次ピークは所望の波長帯域付近のみの分光ができるが、半値幅が大きく分光精度は高次ピークを利用した場合に比べて分光精度は劣る。
このことから、第1エタロンと第2エタロンが同一の波長を選択した場合、第1エタロンおよび第2エタロンを透過した光はノイズを含まず精度の高い分光を得ることができる。
このように、第1エタロンと第2エタロンとを用いて、2つの透過特性を合成することで、精度の高い分光ができ、さらにこの分光した光を受光する受光部を備えることで、分光精度に優れた光学モジュールを提供することができる。
このように、第1エタロンと第2エタロンとを用いて、2つの透過特性を合成することで、精度の高い分光ができる。そして、受光部にて受光した光の特性を分析する分析処理部を備えることで、測定および分析精度に優れた電子機器を提供することができる。
[第1実施形態]
図1は本実施形態の光学フィルターデバイスの構成を示すブロック図である。図2は図1のX−X断線に沿う断面図である。
図1、図2に示すように、光学フィルターデバイス5は、第1波長可変干渉フィルター(以下、第1エタロンと呼ぶ)20と、第2波長可変干渉フィルター(以下、第2エタロンと呼ぶ)30とを有し、第1エタロン20の光軸と第2エタロン30の光軸とが同じ光軸Y上に配置されている。
なお、光軸とは第1エタロン20、第2エタロン30を通過する光束の代表となる仮想的な光線であり、ここでは、後述する一対の第1反射膜25および一対の第2反射膜35の表面を垂直方向に貫く光線である。
第1エタロン20と第2エタロン30との光軸Yを同じとする配置のために、例えば、第1エタロン20を固定した第1基板81と、第2エタロン30を固定した第2基板82とを支柱83を介して支持する構造の保持具80が用いられる。
また、第1基板81には板厚方向に貫通する開口穴81aが設けられ、第2基板82には板厚方向に貫通する開口穴82aが設けられている。この開口穴81aは第1エタロン20の透過光L1が通過できるように設けられ、開口穴82aは第2エタロン30の透過光L2が通過できるように設けられている。
このように、本実施形態では、光学フィルターデバイス5に入射する入射光Lは、第1エタロン20を透過し、その透過した透過光L1は第2エタロン30を透過して透過光L2が出射する構造である。入射光Lは第1エタロン20および第2エタロン30を透過して所望の波長の透過光L2として分光することができる。
本実施形態に係る第1エタロン20と第2エタロン30とは、後述する反射膜の構成のみが異なり、他の構成は同じである。
まず、第1エタロン20の構成について説明する。
図1、図2に示すように、第1エタロン20は平面視で正方形状の板状の光学部材であり、一辺が例えば10mmに形成されている。この第1エタロン20は固定基板21と可動基板22とが対向し、両者の基板に形成された一対の第1反射膜25および駆動電極26a,26bからなる静電アクチュエーター26を備えている。
これらの固定基板21および可動基板22は、それぞれ例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラスなどの各種ガラスや、水晶などの基材からなり、板状の基材をエッチングすることにより形成されている。
そして、第1エタロン20は、固定基板21および可動基板22が接合されて一体に構成される。
この凸部24の平面には、光の反射特性と透過特性とを有する第1反射膜25aが形成されている。第1反射膜25aは凸部24の中央部に形成され、それを取り巻くように円環状の駆動電極26aが形成されている。
第1反射膜25aは誘電体多層膜で形成され、例えばTiO2膜とSiO2膜とを交互に積層した多層膜で構成されている。
駆動電極26a、引き出し電極26c、および電極パッド26e,26fは導電膜であり、例えばITO膜が用いられる。また、これらの導電膜はCr膜を下地とし、その上にAu膜を積層したCr/Au膜などを用いても良い。
この可動基板22には、基板中央を中心とする円柱状の可動部27と、その周りに可動部27を保持し可動部よりも板厚方向の厚みの薄い薄肉部28と、が形成されている。
薄肉部28は、固定基板21と対向する面とは反対の面に円環状にエッチングされて可動部27の厚みより薄くなるように形成されている。
このように、可動基板22はダイヤフラム構造を持ち、可動部27が可動基板22の厚み方向に変位しやすいように構成されている。
可動基板の可動部27に形成された第1反射膜25bは光の反射特性と透過特性とを有し、固定基板21に形成した第1反射膜25aと対向し、両者で一対の第1反射膜25を構成している。可動基板22に形成された第1反射膜25bは、固定基板21に形成された第1反射膜25aと同様に例えばTiO2膜とSiO2膜とを交互に積層した誘電体多層膜で構成されている。
そして、駆動電極26bは引き出し電極26dを介して、可動基板22の四隅のうちの一つの隅部に形成された電極パッド26gに接続されている。この電極パッド26gは、平面視で前述した固定基板21の電極パッド26eと対角となるように配置される。
駆動電極26b、引き出し電極26dおよび電極パッド26gは導電膜であり、例えばITO膜が用いられる。また、これらの導電膜はCr膜を下地とし、その上にAu膜を積層したCr/Au膜などを用いても良い。
なお、可動基板22の四隅は切り欠かれた切り欠き部29を有し、固定基板21と可動基板22を接合した状態で電極パッド26e,26fが可動基板22に隠れずに露出するように構成されている。そして、固定基板21の電極パッド26fと可動基板22の電極パッド26gとの間をAgペーストなどの導電性部材(図示せず)にて接続することで、固定基板21と可動基板22との電気的導通を果たすことができる。つまり、固定基板21の電極パッド26fを介して可動基板22の駆動電極26bと電気的接続が可能となる。
図2に示すように、この第2エタロン30は固定基板31および可動基板32が対向し、両者の基板に対向する一対の第2反射膜35および駆動電極36a,36bからなる静電アクチュエーター36を備えている。
これらの固定基板31および可動基板32は、それぞれ例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラスなどの各種ガラスや、水晶などの基材からなり、板状の基材をエッチングすることにより形成されている。
そして、第2エタロン30は、固定基板31および可動基板32が接合されて一体に構成される。
この凸部34の平面には、光の反射特性と透過特性とを有する第2反射膜35aが形成されている。第2反射膜35aは凸部34の中央部に形成され、それを取り巻くように円環状の駆動電極36aが形成されている。
第2反射膜35aは金属膜で形成され、例えばAg膜で構成されている。また、Ag膜の他にAg合金、Al膜、Au膜を用いても良い。
薄肉部38は、固定基板31と対向する面とは反対の面に円環状にエッチングされて可動部37の厚みより薄くなるように形成されている。
このように、可動基板32はダイヤフラム構造を持ち、可動部37が可動基板32の厚み方向に変位しやすいように構成されている。
可動基板32の可動部37に形成された第2反射膜35bは光の反射特性と透過特性とを有し、固定基板31に形成した第2反射膜35aと対向し、両者で一対の第2反射膜35を構成している。可動基板32に形成された第2反射膜35bは、固定基板31に形成された第2反射膜35aと同様に、例えばAg膜で構成されている。
そして、駆動電極36bは、第1エタロン20と同様の構成のため図示しないが、引き出し電極を介して電極パッドに接続されている。
駆動電極36b、引き出し電極および電極パッドは導電膜であり、例えばITO膜が用いられる。また、これらの導電膜はCr膜を下地とし、その上にAu膜を積層したCr/Au膜などを用いても良い。
次に、光学フィルターデバイス5の光の透過特性について説明する。
図3は光学フィルターデバイスにおける光の透過特性を説明するグラフである。このグラフでは、縦軸に光の透過率を示し、横軸に光の波長を示す。
まず、第1エタロン20の光の透過特性を図3(a)に示す。
ここでは一対の第1反射膜25として、SiO2膜とTiO2膜をそれぞれ14層積層した構造の反射膜を用いた。そして、第1エタロン20の静電アクチュエーター26を駆動して、第1反射膜間のギャップ寸法(250nm)を調整し、選択する波長を494nmとした。
この場合、図3(a)に示すように、選択した波長の494nmの他に、590nm、610nm、650nm付近の波長の光が透過していることがわかる。これらの透過した波長の光は、半値幅が小さく強いピークを有する特徴があるが、選択した以外の透過した光はノイズとなり、分光精度を低下させる。
ここでは、一対の第2反射膜35としてAg膜を用い、第1エタロン20と同様に、静電アクチュエーター36を駆動して、第2反射膜間のギャップ寸法(200nm)を調整し、選択する波長を494nmとした。なお、このときのAg膜の膜厚を45nmとしている。
この場合、図3(b)に示すように、選択した波長494nmのみに透過率が高いピークを有するが、半値幅が大きく分光精度が低い。なお、反射膜として金属膜を利用した場合、誘電体多層膜と比べて、選択する波長では半値幅が大きく分光精度が低い傾向がある。
光学フィルターデバイス5の透過特性は、第1エタロン20を透過した光が第2エタロン30に入射し透過した光の特性である。
光学フィルターデバイス5の光の透過特性は、図3(c)に示すように、選択した波長だけの透過率が高く、半値幅の小さい透過特性であり、第1エタロン20と第2エタロン30の透過特性が合成された特性となっている。
つまり、第1エタロン20にてノイズを含むが選択した波長を精度よく取り出し、第2エタロン30にてノイズを取り除き、選択した波長のみを取り出している。
第1エタロン20の第1反射膜25は誘電体多層膜で形成されていることから、分光する光の波長帯域幅が広い場合、分光される光は半値幅が狭く分光精度が良いが、複数のノイズを含む。これに対して、第2エタロン30の第2反射膜35は金属膜で形成されていることから、所望の波長帯域付近のみの分光ができるが、半値幅が大きく分光精度は誘電体多層膜で形成した反射膜に比べてよくない。
このことから、第1エタロン20と第2エタロン30が同一の波長を選択した場合、第1エタロン20および第2エタロン30を透過した光はノイズを含まず精度の高い分光を得ることができる。
このように、第1エタロン20と第2エタロン30とを用いて、2つの透過特性を合成することで、分光精度に優れた光学フィルターデバイス5を提供することができる。
[第2実施形態]
本実施形態の光学フィルターデバイスは、第1エタロンと第2エタロンの反射膜の構成が第1実施形態の光学フィルターデバイスと異なる。
このため、第1実施形態と同様な構成については同符号を付し、説明を省略する。
図4は、光学フィルターデバイスの構成を示す断面図である。
光学フィルターデバイス6は、第1エタロン40と、第2エタロン50とを有し、第1エタロン40の光軸と第2エタロン50の光軸とが同じ光軸Y上に配置されている。
第1エタロン40と第2エタロン50との光軸Yを同じとする配置のために、例えば、第1エタロン40を固定した第1基板81と、第2エタロン50を固定した第2基板82とを支柱83を介して支持する構造の保持具80が用いられる。
第2エタロン50には、一対の第2反射膜55が設けられている。第2反射膜55はAg膜にて形成され、膜厚が30nmに設定されている。
このように、第1反射膜45と第2反射膜55は同じ種類の金属膜を用い、膜厚が異なる設定である。
次に、光学フィルターデバイス6の光の透過特性について説明する。
図5は光学フィルターデバイスにおける光の透過特性を説明するグラフである。このグラフでは、縦軸に光の透過率を示し、横軸に光の波長を示す。
第1エタロン40では静電アクチュエーター26を駆動して、第1反射膜間のギャップ寸法(340nm)を調整し、選択する波長を400nmとした。このときの第1エタロン40の光の透過特性は、一点鎖線で示すように波長400nmと波長780nm付近に透過率の高いピークが生ずる。この波長780nm付近のピークは、第1反射膜45のAg膜(膜厚60nm)における透過特性の1次ピークであり、ノイズとなる。また、波長400nmのピークは透過特性の2次ピークである。
また、他の反射膜の材料として、Ag合金、Al膜、Au膜などの金属膜を利用することができる。
つまり、第1エタロン40にてノイズを含むが選択した波長を精度よく取り出し、第2エタロン50にてノイズを取り除き、選択した波長のみを取り出している。
なお、第1エタロン40と第2エタロン50とを入れ替えて、先に第2エタロン50に光を透過させてから第1エタロン40に光を透過させても本実施形態と同じ結果が得られる。
2次ピークでは分光される光は半値幅が狭く分光精度が良いが、ノイズを含む。これに対して、1次ピークでは所望の波長帯域付近のみの分光ができるが、半値幅が大きく分光精度は2次ピークを利用した場合に比べて分光精度は劣る。
このことから、第1エタロン40と第2エタロン50が同一の波長を選択した場合、第1エタロン40および第2エタロン50を透過した光はノイズを含まず精度の高い分光を得ることができる。
このように、第1エタロン40と第2エタロン50とを用いて、2つの透過特性を合成することで、分光精度に優れた光学フィルターデバイス6を提供することができる。
[第3実施形態]
本実施形態の光学フィルターデバイスは、第1エタロンと第2エタロンの反射膜の構成が第1実施形態の光学フィルターデバイスと異なる。
このため、第1実施形態と同様な構成については同符号を付し、説明を省略する。
図6は、光学フィルターデバイスの構成を示す断面図である。
光学フィルターデバイス7は、第1エタロン60と、第2エタロン70とを有し、第1エタロン60の光軸と第2エタロン70の光軸とが同じ光軸Y上に配置されている。
第1エタロン60と第2エタロン70との光軸Yを同じとする配置のために、例えば、第1エタロン60を固定した第1基板81と、第2エタロン70を固定した第2基板82とを支柱83を介して支持する構造の保持具80が用いられる。
第2エタロン70には、一対の第2反射膜75が設けられている。第2反射膜75はAl膜にて形成され、膜厚が20nmに設定されている。
このように、第1反射膜65と第2反射膜75は種類の異なる金属膜を用い、膜厚も異なる設定である。
次に、光学フィルターデバイス7の光の透過特性について説明する。
図7は光学フィルターデバイスにおける光の透過特性を説明するグラフである。このグラフでは、縦軸に光の透過率を示し、横軸に光の波長を示す。
第1エタロン60では静電アクチュエーター26を駆動して、第1反射膜間のギャップ寸法(340nm)を調整し、選択する波長を400nmとした。このときの第1エタロン60の光の透過特性は、一点鎖線で示すように波長400nmと波長775nm付近に透過率の高いピークが生ずる。この波長775nm付近のピークは、第1反射膜65のAg膜(膜厚60nm)における透過特性の1次ピークであり、ノイズとなる。また、波長400nmのピークは透過特性の2次ピークである。
なお、金属膜を反射膜として利用した場合、反射膜の膜厚を厚くして透過特性の高次ピークを利用でき、反射膜の膜厚を薄くすることで透過特性の低次ピークを利用することができる。
つまり、第1エタロン60にてノイズを含むが選択した波長を精度よく取り出し、第2エタロン70にてノイズを取り除き、選択した波長のみを取り出している。
なお、第1エタロン60と第2エタロン70とを入れ替えて、先に第2エタロン70に光を透過させてから第1エタロン60に光を透過させても本実施形態と同じ結果が得られる。
2ピークでは分光される光は半値幅が狭く分光精度が良いが、ノイズを含む。これに対して、1次ピークでは所望の波長帯域付近のみの分光ができるが、半値幅が大きく分光精度は高次ピークを利用した場合に比べて分光精度は劣る。
このことから、第1エタロン60と第2エタロン70が同一の波長を選択した場合、第1エタロン60および第2エタロン70を透過した光はノイズを含まず精度の高い分光を得ることができる。
このように、第1エタロン60と第2エタロン70とを用いて、2つの透過特性を合成することで、分光精度に優れた光学フィルターデバイス7を提供することができる。
[第4実施形態]
第4実施形態では、測定物の色度を測定する電子機器としての測色装置を例にとって説明する。
図8は測色装置の概略構成を示す図である。
測色装置1は、検査対象Aに光を照射する光源装置2と、測色センサー3(光学モジュール)と、測色装置1の全体動作を制御する制御装置4とを備える。
この測色装置1は、検査対象Aに光源装置2から光を照射し、検査対象Aから反射された検査対象光を測色センサー3にて受光し、測色センサー3から出力される検出信号に基づいて、検査対象光の色度を分析して測定する装置である。
なお、本実施形態では、光源装置2を備える測色装置1を例示するが、例えば検査対象Aが発光部材である場合、光源装置2を設けずに測色装置を構成してもよい。
また、測色センサー3は、検査対象Aで反射された反射光(検査対象光)を、光学フィルターデバイス5に導光する光学レンズ(図示せず)を備えている。そして、この測色センサー3は、光学レンズに入射した検査対象光を光学フィルターデバイス5で所定波長帯域の光に分光し、分光した光が受光部13にて受光される。
受光部13は、フォトダイオードなどの光電変換素子により構成されており、受光量に応じた電気信号を生成する。そして、受光部13は制御装置4に接続され、生成した電気信号を受光信号として制御装置4に出力する。
そして、制御装置4は、光源制御部15、測色センサー制御部16、および測色処理部17(分析処理部)などを備えて構成されている。
測色センサー制御部16は、測色センサー3に接続されている。そして、測色センサー制御部16は、例えば利用者の設定入力に基づいて、測色センサー3にて受光させる光の波長を設定し、この波長の受光量を検出する旨の制御信号を測色センサー3に出力する。これにより、測色センサー3の電圧制御部14は、制御信号に基づいて、利用者が所望する光の波長を透過させるよう、静電アクチュエーター26,36への印加電圧を設定する。
以上、第4実施形態では、電子機器として測色装置1を例示したが、その他、様々な分野に光学フィルターデバイス、光学モジュール、電子機器を用いることができる。
例えば、特定物質の存在を検出するための光ベースのシステムとして用いることができる。このようなシステムとしては、例えば、光学フィルターデバイスを用いた分光計測方式を採用して特定ガスを高感度検出する車載用ガス漏れ検出器や、呼気検査用の光音響希ガス検出器などのガス検出装置を例示できる。
[第5実施形態]
図10は、ガス検出装置の制御系の構成を示すブロック図である。
このガス検出装置100は、図9に示すように、センサーチップ110と、吸引口120A、吸引流路120B、排出流路120C、および排出口120Dを備えた流路120と、本体部130と、を備えて構成されている。
本体部130は、流路120を着脱可能な開口を有するセンサー部カバー131、排出手段133、筐体134、光学部135、フィルター136、光学フィルターデバイス5、および受光素子137(受光部)等を含む検出部(光学モジュール)と、検出された信号を処理し、検出部を制御する制御部138、電力を供給する電力供給部139等から構成されている。また、光学部135は、光を射出する光源135Aと、光源135Aから入射された光をセンサーチップ110側に反射し、センサーチップ側から入射された光を受光素子137側に透過するビームスプリッター135Bと、レンズ135C,135D,135Eと、により構成されている。
さらに、ガス検出装置100の制御部138は、CPU等により構成された信号処理部144、光源135Aを制御するための光源ドライバー回路145、光学フィルターデバイス5を制御するための電圧制御部146、受光素子137からの信号を受信する受光回路147、センサーチップ110のコードを読み取り、センサーチップ110の有無を検出するセンサーチップ検出器148からの信号を受信するセンサーチップ検出回路149、および排出手段133を制御する排出ドライバー回路150などを備えている。
本体部130の上部のセンサー部カバー131の内部には、センサーチップ検出器148が設けられており、このセンサーチップ検出器148でセンサーチップ110の有無が検出される。信号処理部144は、センサーチップ検出器148からの検出信号を検出すると、センサーチップ110が装着された状態であると判断し、表示部141へ検出動作を実施可能な旨を表示させる表示信号を出す。
これらのレイリー散乱光やラマン散乱光は、光学部135を通ってフィルター136に入射し、フィルター136によりレイリー散乱光が分離され、ラマン散乱光が光学フィルターデバイス5に入射する。そして、信号処理部144は、電圧制御部146を制御し、光学フィルターデバイス5の各エタロンに印加する電圧を調整し、検出対象となるガス分子に対応したラマン散乱光を各エタロンで分光させる。この後、分光した光が受光素子137で受光されると、受光量に応じた受光信号が受光回路147を介して信号処理部144に出力される。
信号処理部144は、上記のようにして得られた検出対象となるガス分子に対応したラマン散乱光のスペクトルデータと、ROMに格納されているデータとを比較し、目的のガス分子か否かを判定し、物質の特定をする。また、信号処理部144は、表示部141にその結果情報を表示させたり、接続部142から外部へ出力したりする。
[第6実施形態]
この食物分析装置200は、検出器(光学モジュール)210と、制御部220と、表示部230と、を備えている。検出器210は、光を射出する光源211と、測定対象物からの光が導入される撮像レンズ212と、撮像レンズ212から導入された光を分光する光学フィルターデバイス5と、分光された光を検出する撮像部(受光部)213と、を備えている。
また、制御部220は、光源211の点灯・消灯制御、点灯時の明るさの制御を実施する光源制御部221と、光学フィルターデバイス5を制御する電圧制御部222と、撮像部213を制御し、撮像部213で撮像された分光画像を取得する検出制御部223と、信号処理部224と、記憶部225と、を備えている。
そして、信号処理部224は、得られた検査対象の食物の成分や含有量、カロリーや鮮度等の情報を表示部230に表示させる処理をする。
さらには、鉱物の成分分析を実施する鉱物分析装置としても用いることができる。
例えば、各波長の光の強度を経時的に変化させることで、各波長の光でデータを伝送させることも可能であり、この場合、光学モジュールに設けられた光学フィルターデバイスにより特定波長の光を分光し、受光部で受光させることで、特定波長の光により伝送されるデータを抽出することができ、このようなデータ抽出用光学モジュールを備えた電子機器により、各波長の光のデータを処理することで、光通信を実施することもできる。
[第7実施形態]
図12は、分光カメラの構成を示す斜視図である。分光カメラ300は、図12に示すように、カメラ本体310と、撮像レンズユニット320と、撮像部330とを備えている。
カメラ本体310は、利用者により把持、操作される部分である。
撮像レンズユニット320は、カメラ本体310に設けられ、入射した画像光を撮像部330に導光する。また、この撮像レンズユニット320は、対物レンズ321、結像レンズ322、およびこれらのレンズ間に設けられた光学フィルターデバイス5を備えて構成されている。
撮像部330は、受光素子により構成され、撮像レンズユニット320により導光された画像光を撮像する。
このような分光カメラ300では、光学フィルターデバイス5により撮像対象となる波長の光を透過させることで、所望波長の光の分光画像を撮像することができる。
また、本発明の光学フィルターデバイスを生体認証装置として用いてもよく、例えば、近赤外領域や可視領域の光を用いた、血管や指紋、網膜、虹彩などの認証装置にも適用できる。
Claims (11)
- 入射光に対して、特定の波長帯域の光を透過させる光学フィルターデバイスであって、
光の反射特性および透過特性を有する一対の第1反射膜が設けられ、前記第1反射膜間のギャップ寸法を変位させることができる第1波長可変干渉フィルターと、
光の反射特性および透過特性を有する一対の第2反射膜が設けられ、前記第2反射膜間のギャップ寸法を変位させることができる第2波長可変干渉フィルターと、を備え、
前記第1波長可変干渉フィルターと同じ光軸上に前記第2波長可変干渉フィルターが配置され、
前記第1反射膜は誘電体多層膜、前記第2反射膜は金属膜で形成されている
ことを特徴とする光学フィルターデバイス。 - 光の反射特性および透過特性を有する一対の第1反射膜が設けられ、前記第1反射膜間のギャップ寸法を変位させることができる第1波長可変干渉フィルターと、
光の反射特性および透過特性を有する一対の第2反射膜が設けられ、前記第2反射膜間のギャップ寸法を変位させることができる第2波長可変干渉フィルターと、
前記第1波長可変干渉フィルターおよび前記第2波長可変干渉フィルターを透過した光が受光される受光部と、を備え、
前記第1波長可変干渉フィルターと同じ光軸上に前記第2波長可変干渉フィルターが配置され、前記第1反射膜は誘電体多層膜、前記第2反射膜は金属膜で形成されている
ことを特徴とする光学モジュール。 - 光の反射特性および透過特性を有する一対の第1反射膜が設けられ、前記第1反射膜間のギャップ寸法を変位させることができる第1波長可変干渉フィルターと、
光の反射特性および透過特性を有する一対の第2反射膜が設けられ、前記第2反射膜間のギャップ寸法を変位させることができる第2波長可変干渉フィルターと、
前記第1波長可変干渉フィルターおよび前記第2波長可変干渉フィルターを透過した光が受光される受光部と、
前記受光部により受光された光に基づいて、前記光の特性が分析される分析処理部と、を備え、
前記第1波長可変干渉フィルターと同じ光軸上に前記第2波長可変干渉フィルターが配置され、
前記第1反射膜は誘電体多層膜、前記第2反射膜は金属膜で形成されている
ことを特徴とする電子機器。 - 入射光に対して、特定の波長帯域の光を透過させる光学フィルターデバイスであって、
光の反射特性および透過特性を有する一対の第1反射膜が設けられ、前記第1反射膜間のギャップ寸法を変位させることができる第1波長可変干渉フィルターと、
光の反射特性および透過特性を有する一対の第2反射膜が設けられ、前記第2反射膜間のギャップ寸法を変位させることができる第2波長可変干渉フィルターと、を備え、
前記第1波長可変干渉フィルターと同じ光軸上に、前記第2波長可変干渉フィルターが配置され、
前記第1反射膜および前記第2反射膜は同種類の金属膜で形成され、
前記第1波長可変干渉フィルターは分光に透過特性の複数のピークのうちから選択された第1選択ピークを利用し、前記第2波長可変干渉フィルターは分光に前記第1選択ピークよりも低次の第2選択ピークを利用する
ことを特徴とする光学フィルターデバイス。 - 請求項4に記載の光学フィルターデバイスにおいて、
前記第1反射膜の膜厚と前記第2反射膜の膜厚とが異なる
ことを特徴とする光学フィルターデバイス。 - 光の反射特性および透過特性を有する一対の第1反射膜が設けられ、前記第1反射膜間のギャップ寸法を変位させることができる第1波長可変干渉フィルターと、
光の反射特性および透過特性を有する一対の第2反射膜が設けられ、前記第2反射膜間のギャップ寸法を変位させることができる第2波長可変干渉フィルターと、
前記第1波長可変干渉フィルターおよび前記第2波長可変干渉フィルターを透過した光が受光される受光部と、を備え、
前記第1波長可変干渉フィルターと同じ光軸上に、前記第2波長可変干渉フィルターが配置され、
前記第1反射膜および前記第2反射膜は同種類の金属膜で形成され、
前記第1波長可変干渉フィルターは分光に透過特性の複数のピークのうちから選択された第1選択ピークを利用し、前記第2波長可変干渉フィルターは分光に前記第1選択ピークよりも低次の第2選択ピークを利用する
ことを特徴とする光学モジュール。 - 光の反射特性および透過特性を有する一対の第1反射膜が設けられ、前記第1反射膜間のギャップ寸法を変位させることができる第1波長可変干渉フィルターと、
光の反射特性および透過特性を有する一対の第2反射膜が設けられ、前記第2反射膜間のギャップ寸法を変位させることができる第2波長可変干渉フィルターと、
前記第1波長可変干渉フィルターおよび前記第2波長可変干渉フィルターを透過した光が受光される受光部と、
前記受光部により受光された光に基づいて、前記光の特性が分析される分析処理部と、を備え、
前記第1波長可変干渉フィルターと同じ光軸上に、前記第2波長可変干渉フィルターが配置され、
前記第1反射膜および前記第2反射膜は同種類の金属膜で形成され、
前記第1波長可変干渉フィルターは分光に透過特性の複数のピークのうちから選択された第1選択ピークを利用し、前記第2波長可変干渉フィルターは分光に前記第1選択ピークよりも低次の第2選択ピークを利用する
ことを特徴とする電子機器。 - 入射光に対して、特定の波長帯域の光を透過させる光学フィルターデバイスであって、
光の反射特性および透過特性を有する一対の第1反射膜が設けられ、前記第1反射膜間のギャップ寸法を変位させることができる第1波長可変干渉フィルターと、
光の反射特性および透過特性を有する一対の第2反射膜が設けられ、前記第2反射膜間のギャップ寸法を変位させることができる第2波長可変干渉フィルターと、を備え、
前記第1波長可変干渉フィルターと同じ光軸上に、前記第2波長可変干渉フィルターが配置され、
前記第1反射膜および前記第2反射膜は異なる種類の金属膜で形成され、
前記第1波長可変干渉フィルターは分光に透過特性の複数のピークのうちから選択された第1選択ピークを利用し、前記第2波長可変干渉フィルターは分光に前記第1選択ピークよりも低次の第2選択ピークを利用する
ことを特徴とする光学フィルターデバイス。 - 請求項8に記載の光学フィルターデバイスにおいて、
前記第1反射膜の膜厚と前記第2反射膜の膜厚とが異なる
ことを特徴とする光学フィルターデバイス。 - 光の反射特性および透過特性を有する一対の第1反射膜が設けられ、前記第1反射膜間のギャップ寸法を変位させることができる第1波長可変干渉フィルターと、
光の反射特性および透過特性を有する一対の第2反射膜が設けられ、前記第2反射膜間のギャップ寸法を変位させることができる第2波長可変干渉フィルターと、
前記第1波長可変干渉フィルターおよび前記第2波長可変干渉フィルターを透過した光が受光される受光部と、を備え、
前記第1波長可変干渉フィルターと同じ光軸上に、前記第2波長可変干渉フィルターが配置され、
前記第1反射膜および前記第2反射膜は異なる種類の金属膜で形成され、
前記第1波長可変干渉フィルターは分光に透過特性の複数のピークのうちから選択された第1選択ピークを利用し、前記第2波長可変干渉フィルターは分光に前記第1選択ピークよりも低次の第2選択ピークを利用する
ことを特徴とする光学モジュール。 - 光の反射特性および透過特性を有する一対の第1反射膜が設けられ、前記第1反射膜間のギャップ寸法を変位させることができる第1波長可変干渉フィルターと、
光の反射特性および透過特性を有する一対の第2反射膜が設けられ、前記第2反射膜間のギャップ寸法を変位させることができる第2波長可変干渉フィルターと、
前記第1波長可変干渉フィルターおよび前記第2波長可変干渉フィルターを透過した光が受光される受光部と、
前記受光部により受光された光に基づいて、前記光の特性が分析される分析処理部と、を備え、
前記第1波長可変干渉フィルターと同じ光軸上に、前記第2波長可変干渉フィルターが配置され、
前記第1反射膜および前記第2反射膜は異なる種類の金属膜で形成され、
前記第1波長可変干渉フィルターは分光に透過特性の複数のピークのうちから選択された第1選択ピークを利用し、前記第2波長可変干渉フィルターは分光に前記第1選択ピークよりも低次の第2選択ピークを利用する
ことを特徴とする電子機器。
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