JP2013079018A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の空気入りタイヤは、適用リムに装着したタイヤの、低内圧かつ無負荷状態のタイヤ姿勢での子午線断面において、最も幅の広い最大幅ベルト層のタイヤ幅方向長さをBWとし、最大幅ベルト層の、タイヤ幅方向中心位置からタイヤ幅方向側縁に至るタイヤ半径方向高さをBDとした場合に、BD/BWの値が0.01以上かつ0.04以下であり、カーカスの最大幅位置と最大幅ベルト層のタイヤ幅方向側縁とを結ぶ直線の、子午線に対する鋭角側の交角が30°以上かつ50°以下となる。
【選択図】図1
Description
このような問題に対応するタイヤとして、特許文献1には、タイヤの外表面の形状及びタイヤの内部構造を特定することで、耐摩耗性を維持しつつ転がり抵抗の低減を図ることができるタイヤが示されているものの、その他のタイヤの性能、特に、タイヤの質量の抑制、及び操縦安定性の十分な確保の点では、さらなる改善の余地が残されていた。
適用リムに装着したタイヤの、低内圧かつ無負荷状態のタイヤ姿勢でのタイヤ子午線断面において、
前記ベルトの、最も幅の広い最大幅ベルト層のタイヤ幅方向長さをBWとし、該最大幅ベルト層の、タイヤ幅方向中心位置からタイヤ幅方向側縁に至るタイヤ半径方向高さをBDとした場合に、BD/BWの値が0.01以上かつ0.04以下であり、
前記カーカスの最大幅位置と前記最大幅ベルト層のタイヤ幅方向側縁とを結ぶ直線の、タイヤ子午線に対する鋭角側の交角が30°以上かつ50°以下である空気入りタイヤである。
ここで適用リムとは下記の規格に規定されたリムをいい、規定の空気圧とは、下記の規格において、最大負荷能力に対応して規定される空気圧をいい、最大負荷能力とは、下記の規格でタイヤに負荷することが許される最大の質量をいう。
そして規格とは、タイヤが生産又は使用される地域に有効な産業規格によって決められたものであって、日本では日本自動車タイヤ協会の“JATMA YEAR BOOK”をいう。
そして、BD/TDの値が、0.6以上かつ0.9以下であることが特に好ましい。
ここで、タイヤの転がり抵抗の低減のためには、タイヤ子午線断面におけるトレッドゴムの剪断変形を抑えることが効果的であり、そのためには、タイヤの接地時にベルトが平らに伸ばされる変形を抑制することが有効である。本発明に係るタイヤでは、上記の数値範囲を選択して、変形の影響が最も大きい最大幅ベルトをフラットに近い状態で予め配設しているので、転がり抵抗を有効に低減させることができる。
また、トレッド幅が広すぎる場合はタイヤの質量を抑制することが難しく、トレッド幅が狭すぎる場合は操縦安定性の確保が困難となるところ、最大幅ベルト層のタイヤ幅方向側縁を、カーカスの最大幅位置からそれに引いた直線が、タイヤ子午線に対して鋭角側で30°以上かつ50°以下の交角をなすように配設することで、トレッド及び最大幅ベルト層のタイヤ幅方向長さが最適化されるので、タイヤの質量の増加を十分に抑えて優れた操縦安定性を確保することができる。
特に、BD/TDの値が、0.6以上かつ0.9以下である場合は、偏摩耗をより効果的に防止することができる。
図1に示す空気入りタイヤは、左右一対のビードコア1と、本体部分をこれらビードコア1間にトロイダルに延在させるとともに、両端部分を各ビードコア1の周りに半径方向外方へ巻き返してなるカーカス2とを備える。また、カーカス2のクラウン域の外周側に、複数本のベルトコードをタイヤ赤道面Eに対して傾斜させて配設した1層以上のベルト層、図示の例では内外2層のベルト層からなるベルト3を配設するとともに、そのさらに外周側にトレッド外表面を形成するトレッドゴム4を設けてなる。
それぞれのベルト層のベルトコードは、例えば赤道面Eに対して、相互に逆方向に延在させることで、層間で相互に交差させることができる。
ここで、ベルト3のうち、最も幅の広いベルト層である、図示の例では内層側の最大幅ベルト層3aは、トレッド幅の90%〜130%の範囲内に配設される。
ここで、タイヤの転がり抵抗は、トレッドゴム4内で発生するエネルギーロスが支配的であるので、タイヤ子午線断面におけるトレッドゴム4の剪断変形を抑えることが、タイヤの転がり抵抗の軽減には効果的である。そして、その軽減のためには、タイヤの接地時にベルト3が平らに伸ばされる変形を抑制することが有効であり、変形の影響が最も大きい最大幅ベルト層3aを、フラットに近い状態で配設することが特に効果的である。
この一方で、最大幅ベルト層3aをフラットに近づけすぎて、BD/BWの値が極端に小さくなると、ショルダー部での接地圧が高くなりすぎて、ショルダー部に偏摩耗が発生しやすくなる。
本発明者が検討を重ねたところ、BD/BWの値が0.01以上かつ0.04以下であれば、偏摩耗の発生を抑制して、転がり抵抗を有効に低減することができることを見出した。ここで望ましくは、BD/BWの値を0.02以上かつ0.04以下とする。
本発明者が検討を重ねた結果、交角θが50°よりも大きい場合は、トレッド幅及び最大幅ベルト層のタイヤ幅方向長さが大きくなりすぎて、タイヤの質量の増加を抑制することが難しくなり、交角θが30°よりも小さい場合は、トレッド幅が狭くなりすぎて、操縦安定性の確保が困難となるところ、上記の範囲であれば、タイヤの質量の増加が十分に抑えられ、また操縦安定性も確保することができるとの知見を得た。なお、望ましくは交角θを42°以上かつ50°以下とする。
タイヤの質量を抑制するためには、タイヤのゴム厚みをできるだけ薄くすることが望ましいものの、ゴム厚みが薄くなりすぎると、路面上の石等によってカーカスが損傷を受けるおそれがあるところ、G/CSHの値を0.030以上とした場合は、タイヤの質量を抑制しつつカーカスを十分に保護することができる。このことは、G/CSHの値を0.035以上かつ0.06以下とする場合に特に効果的である。
上記範囲とすることで、タイヤに負荷を作用させる場合のたわみが十分に小さくなって、ゴム厚みが比較的薄くなるサイドウォール部の半径方向外側部分が、路面に近づきにくくなるので、路面上の石等によるカーカスの損傷を、より有効に防止することができる。なお、望ましくは、δ/CSHの値を0.20以上かつ0.23以下とする。
この場合、特に、サイドウォール部の半径方向外側部分において、カーカスラインの曲率が局所的に大きくなる部分が形成されるので、タイヤに負荷が加わった際に、この部分が大きく変形することでトレッドゴム4内の変形を抑えることができ、タイヤの転がり抵抗をより一層低減させることができる。ここで望ましくは、CSWH/CSHの値を0.7以上かつ0.8以下とする。
上記の範囲とすることで、タイヤの外表面を形成するトレッド外表面の曲率が、最大幅ベルト層の曲率よりも大きくなって、路面接地時のショルダー部での接地圧が高くなりすぎることがないので、該ショルダー部の偏摩耗を有効に防止することができる。
なお、トレッド外表面の曲率が、最大幅ベルト層の曲率に対して極端に大きくなると、すなわち、TDの値がBDの値に対して極端に大きくなると、ショルダー部でのトレッドゴム4の厚みが薄くなりすぎるために、耐久性の確保が難しくなる。また、トレッド外表面の曲率が、最大幅ベルト層の曲率とほとんど変わらなくなれば、すなわち、TDの値が、BDの値とほぼ同一となる場合は、偏摩耗を防止する効果が薄れるため、BD/TDの値は0.6以上かつ0.9以下とすることがより好ましい。特に好ましくは、BD/TDの値を0.8以上かつ0.9以下とする。
2 カーカス
3 ベルト
3a 最大幅ベルト層
4 トレッドゴム
Claims (6)
- 一対のビードコア間にトロイダルに延在するカーカスと、複数本のベルトコードをタイヤ赤道面に対して傾斜させて配設したベルト層を、トレッドゴムの内周側に1層以上配設してなるベルトとを備える空気入りタイヤであって、
適用リムに装着したタイヤの、低内圧かつ無負荷状態のタイヤ姿勢でのタイヤ子午線断面において、
前記ベルトの、最も幅の広い最大幅ベルト層のタイヤ幅方向長さをBWとし、該最大幅ベルト層の、タイヤ幅方向中心位置からタイヤ幅方向側縁に至るタイヤ半径方向高さをBDとした場合に、BD/BWの値が0.01以上かつ0.04以下であり、
前記カーカスの最大幅位置と前記最大幅ベルト層のタイヤ幅方向側縁とを結ぶ直線の、タイヤ子午線に対する鋭角側の交角が30°以上かつ50°以下である空気入りタイヤ。 - 低内圧かつ無負荷状態のタイヤ姿勢でのタイヤ子午線断面において、前記カーカスの、前記最大幅ベルト層のタイヤ幅方向側縁に対応する位置から、該カーカスの最大幅位置に至る範囲における、タイヤ外表面との間の最も薄いゴム厚みをGとし、前記カーカスの最大半径位置からビードトウ部分の先端に至るタイヤ半径方向高さをCSHとした場合に、G/CSHの値が0.030以上である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 適用リムに装着したタイヤに規定の空気圧を充填したタイヤ姿勢において、規定の質量の80%に対応する負荷を該タイヤに作用させる前後での、タイヤ赤道面位置における該タイヤのたわみ量をδとした場合に、δ/CSHの値が0.23以下である請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
- 低内圧かつ無負荷状態のタイヤ姿勢でのタイヤ子午線断面において、前記カーカスの最大幅位置からビードトウ部分の先端に至るタイヤ半径方向高さをCSWHとした場合に、CSWH/CSHの値が0.6以上かつ0.9以下である請求項1〜3の何れかに記載の空気入りタイヤ。
- 低内圧かつ無負荷状態のタイヤ姿勢でのタイヤ子午線断面において、前記最大幅ベルト層のタイヤ幅方向側縁からタイヤ赤道面に対して平行に延びる直線の、タイヤの外表面と交差する点から、トレッドの最大半径位置に至る半径方向高さをTDとした場合に、TDをBDよりも大きくしてなる請求項1〜4の何れかに記載の空気入りタイヤ。
- BD/TDの値が、0.6以上かつ0.9以下である請求項5に記載の空気入りタイヤ。
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