JP2013078908A - 記録装置、及び搬送ローラの回転量と回転位置の特定方法 - Google Patents

記録装置、及び搬送ローラの回転量と回転位置の特定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】1つのエンコーダセンサで、搬送ローラ等の回転体の回転位置を特定し、かつ搬送ローラ1周にわたって一定の分解能で回転量を特定する。
【解決手段】搬送ローラの回転軸を中心とした円周部に沿って、所定の波長域の光を透過する透過部と、光を遮断する遮光部とが所定のピッチで交互に複数配置されたパターン部を備え、複数の透過部のうち1つの透過部は、他の全ての透過部と異なる光の透過率を有し、搬送ローラを回転させる工程と、パターン部へ光を発光させる工程と、複数の透過部を透過した光を受光して電圧に変換する工程と、搬送ローラの回転に伴って変化する電圧に基づいて、搬送ローラの回転量及び回転位置を特定する工程とを備え、特定する工程は、ピッチと搬送ローラの回転速度とに従う電圧の変化に基づいて回転量を特定し、1つの透過部に対応して得られる電圧値に基づいて基準位置を特定し、基準位置と回転量から回転位置を特定する。
【選択図】 図7

Description

本発明は、記録装置、及び搬送ローラ等の回転体の回転量と回転位置の特定方法に関する。
近年記録装置の高画質化及び高生産性の要求が高まっている。その対策として、記録ヘッドの記録精度(例えばインクジェット記録装置の場合、インクの吐出量や吐出タイミング等)が考えられる。また、レーザプリンタ等であれば感光体ドラムの動作精度、インクジェット記録装置であれば記録ヘッドの搭載したキャリッジの動作精度、及び記録媒体の搬送精度を向上すること等が考えられる。
これらの対策の中で、記録媒体の搬送精度について着目する。搬送精度を向上させることにより、例えばインクジェット記録装置であれば、記録媒体上のより正確な位置にインクを吐出させることができる。インクジェット記録装置において、通常、記録媒体は搬送ローラを介して間欠搬送され、間欠搬送のタイミングに合わせて記録が行われる。搬送ローラが正確な円筒であれば、搬送ローラの回転量と記録媒体の搬送量の間には一定の関係が成り立つため、1回の搬送において所定の回転量だけ搬送ローラを回転させればよい。回転量は、通常、搬送ローラの端部に備えられたロータリエンコーダ等で検出し、所定の回転量に達すると搬送ローラを駆動するモータは検出信号に基づいて駆動を停止する。
しかし、実際には製造ばらつき等により、搬送ローラの形状は正確な円筒形状ではなく、例えば楕円形の断面を有し、搬送ローラの回転位置によって、回転量に対する搬送量の関係が変化する(搬送誤差が生じる)。そのため、記録媒体におけるインクの付着位置に誤差が生じ、記録された像の歪みや記録の濃淡等が生じる。
このような、搬送誤差が生じることを防止する技術として、特許文献1及び2では、搬送ローラ1周内に生じる搬送量変動を算出し、ローラの回転位置に応じた補正を行う方法が開示されている。
特開2003―011344号公報 特開2006―272957号公報 特開平07―214857号公報
特許文献1及び2の方法においては、補正を行うためには、ローラの回転位置を特定する必要があり、そのためには基準となる回転位置を特定(原点出し)する必要がある。
従来、原点出しはロータリエンコーダに用いるスリット板に、エンコーダに用いるスリットよりも内(外)側の円周上に1か所のスリットを設け、このスリットの境界を光学式センサで検出し、原点とする方法がある。
しかし、この方法では、エンコーダセンサとは別にセンサを設ける必要があり、部品点数の増加ひいてはコストアップにつながる。
これに対し、特許文献3に記載の装置によれば、基準位置となるスリットの幅を大きくし、この部分を検出することで、既存のエンコーダセンサを用いて原点出しを行うことができる。
しかし、この方法では、基準位置付近の回転量についての分解能が低下し、ひいては搬送精度の低下につながる。
そこで、本発明は、1つのエンコーダセンサで、搬送ローラ等の回転体の回転位置を特定でき、かつ回転体1周にわたって一定の分解能で回転量を特定できる装置や方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明により、搬送ローラにより記録媒体を所定の方向に搬送しながら前記記録媒体に記録を行う記録装置であって、前記搬送ローラの回転軸を中心とした円周部に沿って、所定の波長域の光を透過する透過部と、前記光を遮断する遮光部とが所定のピッチで交互に複数配置され、前記搬送ローラに取り付けられたパターン部と、前記パターン部に向けて前記光を発光する発光部と、前記複数の透過部を透過した光を受光して電圧に変換して出力する受光部と、前記搬送ローラの回転に伴って変化する前記電圧に基づいて、前記搬送ローラの回転量及び回転位置を特定する特定手段と、を備え、前記複数の透過部のうち1つの透過部は、他の全ての透過部と異なる光の透過率を有し、前記特定手段は、前記ピッチと前記搬送ローラの回転速度とに従う前記電圧の変化に基づいて前記回転量を特定し、前記1つの透過部に対応して得られる電圧値に基づいて基準位置を特定し、該基準位置と前記回転量から前記回転位置を特定することを特徴とする記録装置が提供される。
また、本発明により、搬送ローラにより記録媒体を所定の方向に搬送しながら前記記録媒体に記録を行う記録装置における、前記搬送ローラを回転させたときの前記搬送ローラの回転量及び回転位置を特定する方法であって、前記記録装置は、前記搬送ローラの回転軸を中心とした円周部に沿って、所定の波長域の光を透過する透過部と、前記光を遮断する遮光部とが所定のピッチで交互に複数配置され、前記搬送ローラに取り付けられたパターン部を備え、前記複数の透過部のうち1つの透過部は、他の全ての透過部と異なる光の透過率を有し、前記搬送ローラを回転させる工程と、前記パターン部へ前記光を発光させる工程と、前記複数の透過部を透過した光を受光して電圧に変換する工程と、前記搬送ローラの回転に伴って変化する前記電圧に基づいて、前記搬送ローラの回転量及び回転位置を特定する工程とを備え、前記特定する工程は、前記ピッチと前記搬送ローラの回転速度とに従う前記電圧の変化に基づいて前記回転量を特定し、前記1つの透過部に対応して得られる電圧値に基づいて基準位置を特定し、該基準位置と前記回転量から前記回転位置を特定することを特徴とする方法が提供される。
さらに、本発明により、回転体の回転軸を中心とした円周部に沿って、所定の波長域の光を透過する透過部と、前記光を遮断する遮光部とが所定のピッチで交互に複数配置され、前記回転体に取り付けられたパターン部と、前記パターン部に向けて前記光を発光する発光部と、前記複数の透過部を透過した光を受光して電圧に変換して出力する受光部と、前記回転体の回転に伴って変化する前記電圧に基づいて、前記回転体の回転量及び回転位置を特定する特定手段と、を備え、前記複数の透過部のうち1つの透過部は、他の全ての透過部と異なる光の透過率を有し、前記特定手段は、前記ピッチと前記回転体の回転速度とに従う前記電圧の変化に基づいて前記回転量を特定し、前記1つの透過部に対応して得られる電圧値に基づいて基準位置を特定し、該基準位置と前記回転量から前記回転位置を特定することを特徴とする回転検出装置が提供される。
この構成では、1つのセンサにより得られた電圧のうち、透過部と遮光部の繰り返しによる短周期の変化に基づいて搬送ローラの回転量が、基準となる透過部を光が透過した時に出力される電圧が他の透過部における電圧と異なることから基準位置が特定できる。この基準位置からの回転量から回転位置が特定する。したがって、1つのエンコーダセンサで、搬送ローラ等の回転体の回転位置を特定でき、かつ回転体1周にわたって一定の分解能で回転量を特定できる。
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置を示す斜視図。 本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の機能的な構成を示す図。 搬送エンコーダの構成を示した図。 エンコーダセンサの構成とパターン部の位置関係の詳細を示した図。 エンコーダ信号検出回路構成を示す図。 受光部の2つの相から出力されるアナログ信号の波形を示す図。 本発明の一実施形態に係るエンコーダのパターン部を示す図。 本発明の一実施形態に係るエンコーダの出力の変化を示す図。 本発明の一実施形態の変形例に係るエンコーダのパターン部を示す図。 本発明の一実施形態に係る搬送ローラの断面を示す図。 本発明の他の実施形態におけるパターン部を示す図。 本発明の他の実施形態の構成により得られるエンコーダからの信号の振幅変化を示す図。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態の一つとしてインクジェット記録方式を用いた記録装置を例に挙げて説明する。記録装置としては、例えば、記録機能のみを有するシングルファンクションプリンタであってもよいし、また、例えば、記録機能、FAX機能、スキャナ機能等の複数の機能を有するマルチファンクションプリンタであってもよい。また、例えば、カラーフィルタ、電子デバイス、光学デバイス、微小構造物等を所定の記録方式で製造するための製造装置であってもよい。
なお、以下の説明において、「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わない。更に人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かも問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン、構造物等を形成する、又は媒体の加工を行なう場合も表す。
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、樹脂、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表す。
更に、「インク」とは、上記「記録」の定義と同様広く解釈されるべきものである。従って、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成又は記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば、記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表す。
以下の説明において、既に説明した部分には同一符号を付し重複説明を省略する。
<インクジェット記録装置の全体構成>
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置(以下、記録装置と呼ぶ)を示す斜視図である。
まず、記録媒体を搬送するための構成について説明する。記録待機中において記録媒体である記録用紙115は、給紙ベース106にスタックされており、記録開始時には給紙ローラ(不図示)により記録用紙115が給紙される。給紙された記録用紙115は搬送ローラ110とピンチローラ111との間に挟まれる。ピンチローラ111はピンチローラばね(不図示)により記録用紙に押圧される。この状態でDCモータである搬送モータ107を駆動し、ギア列(モータギア108、搬送ローラギア109)を介して搬送ローラ110を回転(及びピンチローラ111を従動回転)させて記録用紙115を搬送方向(第1の方向)に所定の搬送量だけ搬送する。ここで、搬送量は搬送ローラギア109に圧入されたコードホイール(ロータリエンコーダフィルム)116に設けられたパターン部とエンコーダセンサ117により、回転体である搬送ローラ110の回転量を検知することで管理する(詳細は後述する)。このコードホイール116に設けられたパターン部とエンコーダセンサ117を合わせて以下エンコーダ(回転検出装置)として、具体的な構成については後述する。記録用紙115上の記録しようとする部分がプラテン112上に達したら、搬送を停止し、記録ヘッド101により、この部分に記録が行われる。記録が行われた後、再び記録用紙115は搬送され、搬送と記録が交互に行われる(すなわち、間欠搬送しながら記録が行われる)。一連の記録が全て完了すると、排紙ローラ113によって排紙される。なお、本実施形態では記録媒体として記録用紙115を用いているが、構成・目的によっては、ロール紙を用いてもよい。
次に、記録媒体に記録を行うための構成について説明する。記録ヘッド101は、記録ヘッド101に供給するインクを貯留するインクタンクを備え、インクジェット方式に従ってインクを吐出して記録を行なうインクジェット記録ヘッドである。インクタンクは、マットブラック(MBk)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロ(Y)、ブラック(K)が備えられており、これら5つのインクタンクは、それぞれ独立して着脱可能である。記録ヘッド101はキャリッジ102に搭載されている。キャリッジ102は、キャリッジ駆動方向(第2の方向)に沿って往復移動が可能となるように、ガイドシャフト103により支持されている。ガイドシャフト103は、両端がシャーシ114に固定されている。キャリッジモータ105を駆動することにより、キャリッジ102と係合したベルト104を介してキャリッジ102が駆動される。この構成により、キャリッジ102を往復移動させながら記録ヘッド101は記録領域においてインクを吐出して記録を行う。反射型光学センサ118は、用紙に記録形成された調整パターンの濃度を検出し、インクの着弾位置ずれ量を検出する機能を果たす。キャリッジ走査(主走査方向)および用紙搬送動作(副走査方向)を組み合わせることにより、反射型光学センサ118は用紙上に形成された調整パターンの濃度を任意に検出することができる。なお、反射型光学センサ118は用紙の端部検知に利用しても良い。
本実施形態に係わる記録ヘッド101は、熱エネルギを利用してインクを吐出するインクジェット方式を採用している。そのため、記録ヘッド101は、発熱抵抗素子を備えている。発熱抵抗素子は、各吐出口のそれぞれに対応して設けられ、対応する発熱抵抗素子に記録信号に応じたパルス電圧を印加する。これにより、対応する吐出口からインクが吐出される。しかし、これに限定されず、例えば、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式など、様々なインクジェット方式を採用してもよい。
<インクジェット記録装置の機能的構成>
図2は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の機能的な構成を示す図である。コントローラ200は主制御部であり、CPU201、ROM202、特殊用途集積回路(ASIC)203、RAM204、システムバス205、A/D変換器206などを具備する。
CPU201は、モータ、記録ヘッド等の各部分を動作させるためのプログラムの実行、及び動作の補正等に必要な計算を行う。ROM202は、記録装置の動作を制御するためのプログラム、所要のテーブル、その他の固定データを格納する。ASIC203は、キャリッジモータ105、搬送モータ107、記録ヘッド101に備えられた記録素子の動作を制御するための制御信号の生成を行う。RAM204は、画像データの展開領域やプログラム実行のための作業用領域等として用いられる。システムバス205は、CPU201、ROM202、ASIC203、RAM204を相互に接続してデータの授受を行う。A/D変換器206は、後述するセンサ群から入力されるアナログ信号をA/D変換し、変換後のデジタル信号をCPU201に供給する。
ホスト装置210は、画像データの供給源となるコンピュータ(或いは、画像読取用のリーダやデジタルカメラなど)である。ホスト装置210と記録装置との間では、インタフェース(以下、I/Fと呼ぶ)211を介して画像データ、コマンド、ステータス信号等の授受が行なわれる。
操作部220は操作者による指示入力を受容するスイッチ群である。操作部220は、電源スイッチ221、プリントスイッチ222、回復スイッチ223、マニュアルでレジスト調整を行なうためのレジスト調整起動スイッチ224、マニュアルで該調整値を入力するためのレジスト調整値設定入力部225などを具備する。
センサ群230は装置の状態を検出するためのセンサ群であり、上述のエンコーダセンサ117、反射型光学センサ118、及び環境温度を検出するために適宜の部位に設けられた温度センサ231等を有する。
キャリッジモータドライバ240は、ASIC203からの信号を受信して、キャリッジモータ105を駆動するための電流を出力する。搬送モータドライバ242は、ASIC203からの信号を受信して、搬送モータ107を駆動するための電流を出力する。ヘッドドライバ246は、ASIC203からの信号を受信して、プリントデータ等に応じて記録ヘッド101内の吐出ヒータを駆動する。ヘッドドライバ246は、プリントデータを吐出ヒータの位置に対応させて整列させるシフト・レジスタ、適宜のタイミングでラッチするラッチ回路がある。さらに、駆動タイミング信号に同期して吐出ヒータを作動させる論理回路素子の他、ドット形成位置合わせのために駆動タイミング(吐出タイミング)を適切に設定するタイミング設定部等を有する。
<搬送ローラの回転量を特定するための構成>
図3は、搬送エンコーダの構成を示した図である。ここで、以下に説明にある「検出光」とは、エンコーダセンサ117に備えられた発光部が発する光に含まれる所定の波長域の光で、可視光に限らず、赤外線または紫外線であってもよい。
コードホイール116は搬送ローラ110の回転軸を中心とした円周部に沿って、検出光を透過する透過部31と、検出光を遮断する遮光部32とが所定のピッチで交互に複数配置されたパターン部30を有する。透過部31にはスリットが設けられており、スリットには検出光を透過するフィルム311が取り付けられている。透過部31及び遮光部32の数は記録装置の解像度に応じて定められている。本実施形態では、透過部31及び遮光部32の円周方向の幅は全て等しく、これによって搬送ローラ1回転にわたって一定の解像度が得られる。
図4は、エンコーダセンサの構成とパターン部の位置関係の詳細を示した図で、図3のA−A断面を示している。
エンコーダセンサ117はパターン部30に向けて検出光を発光する発光部41と、発光部に対し、パターン部30を挟む位置に光電変換素子を有する受光部42を備え、パターン部30における透過部31を透過した検出光を受光する。検出光が透過部31に当たった場合、検出光は受光部42に達し、受光部42は検出光を受光し、光電変換されて受光量に応じた電圧を出力する(以下、この電圧を検出値とする)。本実施形態では、検出値は信号としてプリンタの回路基板に出力される。一方、検出光が遮光部32に当たった場合、検出光は遮断され、受光部42は検出光を受光せず信号を出力しない。
受光部42は複数設けられ、A相及びB相の2相のセンサから構成され、透過部31の間隔を1周期とした場合、その1/4周期毎に交互に入れ替わる。B相から得られる信号はA相から得られる信号に対して90度ずれた位相の信号になるため、受光部42は透過部31の間隔の4倍の分解能で搬送ローラ110の回転量を特定できる。
また、受光部42は、平均化のために、A相に対し180度位相がずれる位置にA´相、B相に対し180度位相がずれる位置にB´相を備える。A´相はA相に対して、B´相はB相に対してそれぞれ反転した値を出力する。これにより、各相における位相の検出精度が高まる。上記からわかるように、A相とA´相、及びB相とB´相とは位相関係が同じであるため、以降、重ねあわせで作成した信号もA相及びB相と呼ぶ。エンコーダセンサ117はこのように生成されたA相及びB相の信号を出力する。
図5は、エンコーダ信号検出回路構成を示す図である。IC50は、比較機能やカウント機能を有する。この回路により、エンコーダセンサ117から出力されたA相、B相の信号から高分解能の信号を生成される。まず、A相及びB相の信号を加算する。2つの信号を重ねることで、振幅は、√2倍、位相はA相とB相の中央(A相に対し45度(π/4)のずれ)の信号が生成される。ここで、得られた波形に対し、1/√2を乗じることで、A相及びB相の信号に対して振幅が等しく、位相がA相、B相の中央になる信号が生成される。ここで生成された信号にさらにA相が加算され、同じように振幅が規格化(1/√(2+2cos(π/4))を乗じる)されて、A相に対して22.5度(π/8)位相をずらした信号が生成される。図のように、このような演算を4回繰り返すことで演算前に対して16逓倍(透過部31のピッチに対して64逓倍)の信号を生成できる。
図6は、受光部の2つの相(A相及びB相)から出力されるアナログ信号の波形を示す図である。なお、この図では実際の装置での検出値に合わせて横軸を時間としているが、搬送ローラが定速で回転していれば、横軸を位相としても同じ波形が得られる。以下の説明では、この波形の周期に必要な時間に搬送ローラ110の回転速度を乗じた値が透過部31のピッチとなる。この図において各々の波形は振幅が±1Vとなるように規格化されている。また、この図においてはA相の波形61に、B相の波形62、(A+B)相の波形63、及び(A+B)相およびA相から生成される波形64が示されている。CPU201はアナログ信号を受信することで検出値を取得し、それぞれの検出値が基準値(本実施形態では、出力0の点)を通過する回数を計数することで、搬送ローラ110の回転量を特定する。
<搬送ローラの回転位置を特定するための構成>
本実施形態によるエンコーダは、上で取得した検出値を用いて回転位置も特定できる。すなわち、搬送ローラ110の回転量を特定するためのエンコーダセンサ117及びパターン部30を用いて、搬送ローラ110の回転位置を特定することができる。以下にそのための構成について説明する。
図7は、本実施形態におけるエンコーダのパターン部を示した図で、隣り合う透過部31は、それぞれ検出光の透過率が異なり、搬送ローラ1回転分を周期として検出光の透過率が変化する。さらに、搬送ローラ110の回転基準位置を特定するために、基準位置70における透過部31の透過率は他の全ての透過部31の透過率よりも大きい(または小さい)。なお、透過部31の透過率を変化させる方法は、透過部31に取り付けられたフィルムの透過率を変化させれば良い。例えば、それぞれの透過部におけるフィルムに異なる透過率のインクを用いて印刷しても良く、また、エンコーダセンサの感度に対し、敏感に反応しない程度のドットで形成しても良い。
図8は、本実施形態において搬送ローラ110を回転させたときのエンコーダの出力の変化を示す図で、受光部における受光量(検出値)の変化を表している。この図において横軸は時間であるが、これに搬送ローラの回転速度を乗じれば回転位置となる。ローラを回転させることで、上でも述べたように、検出値81において透過部31と遮光部32との繰り返しによる短周期の変化が見られる。それに加えて、各々の透過部31の透過率は異なるため、各々の周期における振幅(最大値と最小値の差)も変化する。その振幅の変化を曲線82として示す。本実施形態では、搬送ローラ1回転を周期(以下、この周期を長周期とする)として振幅が変化し、この長周期において振幅が最大(または最小)となる位置から搬送ローラ110の回転原点(基準位置)70が特定される。この原点70とDUTY変化位置から初期位置の絶対位置が算出され、RAM204に記憶される。その後、搬送ローラ110は、初期位置に戻される。以降は、原点70からの回転量の積算値を搬送ローラ110の回転位置として特定する。なお、原点70の特定は、電源ON時、または、スリープ状態からの復帰時などに初期状態を設定する必要のあるとき、あるいは搬送ローラ110の駆動毎に行っても良い。
本実施形態のように、各々の透過部31の透過率は搬送ローラ1回転にわたって段階的に変化し、そのため透過部ごとに振幅も段階的に変化する。本体組立時に、ROM202に、振幅を搬送ローラ1回転分記憶する(長周期を1周期分記憶)。搬送ローラ110を駆動したとき、得られる振幅の値とROM202に記憶された振幅を比較することで、原点70の位置を特定できる。なお、原点70にある透過部31の透過率が最大である場合には、ROM202には振幅ではなく、電圧の波形でもよく、この場合は搬送ローラ1回転における電圧の最大値となる。
したがって、この構成では、搬送ローラ110を原点70まで回転させなくても原点位置を推定できる。例えば、原点に対して90度の位置から180度の位置まで回転させる場合でも、振幅の変化から原点70を推定できる。また、原点の特定は複数の振幅に基づいて行われるため、例えば、原点70における透過部31の傷などにより、直接原点70における検出値が得られなくとも、周囲の検出値の変化から原点70を推定できる。そのため、局所的な不具合による回転位置の誤検出を抑制することができる。さらに、振幅の値だけでなく、搬送ローラ1回転分の推移を比較することで、経時変化やインクミストによる汚れ等により、搬送ローラ1周にわたって透過部31の透過率が変化した場合であっても回転位置の特定が行える。
なお、本実施形態では透過率が最大または最小となる透過部31を基準としたが、他の全ての透過部と異なる透過率を有する透過部31であれば、基準となる透過部に対応する電圧値が得られ、原点70を特定できる。また、図9のようにパターン部の特定箇所(例えば1か所)の透過部31aのみ透過率を変える構成であっても、装置が正常な状態であれば、エンコーダセンサ117を用いた原点の特定は行える。しかし、上記のような透過部の傷等による異常値や経年劣化に対する誤検出を抑制することはできない。また、隣接する透過部との透過率の差を大きくすると、図5の計算を行うと、算出された波の位相のずれが大きくなる。そのため、透過部のコントラストを十分に確保して原点の特定を確実に行いたい場合は、分解能を上げるための図5のような演算を行えず、複雑な演算を行うことになる。
<搬送量の算出方法>
上記の構成により得られた回転量及び回転位置から記録媒体の搬送量を求める方法を説明する。図10は本実施形態における搬送ローラの断面を示す図である。搬送ローラ110の記録媒体に接する部分は図10に示すように歪んだ円筒形で、回転軸から外周までの距離が9〜11mmの間で変化する。また、パターン部には、透過部31が10度ピッチで36個設けられている。
まず、搬送ローラ110を単位回転量だけ駆動し、その時の記録媒体の搬送量を計測する。ここでは、単位回転量を透過部31のピッチ(10度)とする。また、回転位置は上で述べた方法により得られる。この操作を搬送ローラ1回転分繰り返すことで搬送ローラ110の回転位置毎の、単位回転量当たりの記録媒体の搬送量を求める。計測される搬送量は、例えば、原点から30〜40度の回転位置において、回転軸から外周までの距離が9mmであれば、9×2π×10/360=1.57mm/10度が得られる。また、120〜130度において、この距離が11mmであれば、11×2π×10/360=1.92mm/10度が得られる。なお、本実施形態ではテストパターンを記録してキャリッジ102に備えられた反射型光学センサ118を用いてテストパターンの濃度を測定し、濃度と搬送距離の関係から搬送量を求めるが、直接搬送距離を測定してもよい。
このようにして得られた複数の回転位置それぞれと関連付けた単位回転量当たりの搬送量をテーブルとしてROM202に記憶させる。以後の搬送時には、このテーブルを参照しながら、特定された回転位置と回転量に基づいて記録媒体の搬送量を求める。例えば、30度の回転位置で記録媒体を1mm搬送したい場合を考える。上記の通り30〜40度の回転位置における回転量10度当たりの搬送量は1.57mmであるため、1.57mm×θ/10度=1mmとなり、ここからθ=6.4度が得られる。このことから、30度の回転位置において1mm記録媒体を搬送させるためには搬送ローラ110を6.4度回転させれば良いことになる。120度の回転位置で記録媒体を1mm搬送する場合も同様の計算を行うと、θ=5.2度が得られる。
<本実施形態の効果>
以上の構成により、1つのエンコーダセンサで搬送ローラの回転量と回転位置の両方を特定できる。さらに、ここで得られた回転量と回転位置を用いて記録媒体の搬送量を算出すれば、部品点数の増加を防止しつつ高い精度で記録媒体を搬送することができる。
また、本実施形態ではインクジェット記録装置の搬送ローラについて説明したが、上記エンコーダの構成は、搬送ローラにより記録媒体の搬送を行う記録装置であれば、他の方式のもの(例えばドラム式の記録装置)に適用してもよい。
<他の実施形態>
上記の構成を実際のインクジェット記録装置に適用する例を説明する。ここで用いるパターン部30には、搬送ローラ1周内に約4000の透過部31が存在し、エンコーダセンサは上記のようにA相とB相の2相を備え、装置として4800dpiの分解能を有する。このエンコーダセンサからの信号に対して、図5に示したものと同様の演算を行い16逓倍の信号を生成する。したがって、本実施形態におけるエンコーダは、解像度76800dpi(4800dpi×16逓倍)まで対応できる。
図11は本実施形態におけるパターン部を示す図である。記録の分解能が高いと、必要とされる透過部31の数は多くなる。そのため、上記実施形態のように、搬送ローラ1周にわたって段階的に変化させると、隣り合う透過部間の透過率の差は小さいものとなり、基準位置の検出誤差が大きくなる。そこで、図11に示すように、原点1100における透過部31の透過率を最大として、原点1100の左右にある回転位置の一部の区間1101a及び1101bに含まれる透過部31において、透過率を段階的に変化させる。
図12は本実施形態の構成により得られるエンコーダからの信号の振幅変化を示す図である。本図において、区間1101a及び1101bの長さは、それぞれ回転位置の分解能と同じである。
ここで、それぞれの区間1101a、1101b内に必要な透過部31の数を求める。隣り合う透過部の透過率の差(検出値の隣り合う短周期における振幅の差)が20%を超えると、検出値の波形が大きく歪み、演算結果に影響を与える。一方で、原点だし(基準位置の特定)を行なうために必要な区間1101a、1101bそれぞれにおける透過率の差(振幅差)は、経時変化を考慮して、3倍以上とすることが好ましい。したがって、下記の計算より、必要な透過部の数を算出する。
1.2=3 ・・・(式1)
この式よりx=6が求まる。よって、最小の振幅となる透過部の位置から最大の振幅となる透過部の位置まで6ピッチ分必要となる。さらに、振幅を減少させていく場合も同様に6ピッチ必要となる。すなわち、区間1101a及び1101bにはそれぞれ6個の透過部が必要となる。
次に、搬送量を算出するために必要な回転位置の分解能について説明する。記録装置において記録の精度を確保するためには、搬送量を正確に算出する必要がある。そのため、搬送ローラの回転量の情報は高分解能が望ましい。一方で、搬送ローラの外形の歪み量は急激には変化しないため、単位搬送量も急激には変化しない。したがって、単位搬送量を決めるための回転位置は搬送量ほどの分解能は必要せず、むしろ最低限の分解能であればROM202に記憶するデータ量も少なくて済む。本実施形態では、単位搬送量は7.5度単位で1周360度分ROM202に記憶されている。そのため、回転位置は7.5度単位で判断できれば良い。搬送ローラ1回転(360度)における透過部の数は約4000であるため、7.5度の範囲に含まれる透過部の数は、4000×(7.5/360)となり約80となる。すなわち、区間1101a及び1101bはそれぞれ約80個の透過部31が含まれており、上記の条件を満たす。
この構成により、透過部の数が多い高分解能の記録を行う場合であっても、回転位置の精度を低下させずに記録媒体の搬送を行うことができる。

Claims (6)

  1. 搬送ローラにより記録媒体を所定の方向に搬送しながら前記記録媒体に記録を行う記録装置であって、
    前記搬送ローラの回転軸を中心とした円周部に沿って、所定の波長域の光を透過する透過部と、前記光を遮断する遮光部とが所定のピッチで交互に複数配置され、前記搬送ローラに取り付けられたパターン部と、
    前記パターン部に向けて前記光を発光する発光部と、
    前記複数の透過部を透過した光を受光して電圧に変換して出力する受光部と、
    前記搬送ローラの回転に伴って変化する前記電圧に基づいて、前記搬送ローラの回転量及び回転位置を特定する特定手段と、
    を備え、
    前記複数の透過部のうち1つの透過部は、他の全ての透過部と異なる光の透過率を有し、
    前記特定手段は、
    前記ピッチと前記搬送ローラの回転速度とに従う前記電圧の変化に基づいて前記回転量を特定し、
    前記1つの透過部に対応して得られる電圧値に基づいて基準位置を特定し、
    該基準位置と前記回転量から前記回転位置を特定する
    ことを特徴とする記録装置。
  2. 前記1つの透過部を含む前記複数の透過部の各々の光の透過率は段階的に変化することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記搬送ローラ1回転分に対応した前記電圧の変化を示す情報を記憶した記憶手段を備え、
    前記搬送ローラの回転に従って前記受光部から出力される前記電圧と前記記憶された前記電圧の変化を示す情報とを、比較することにより、前記1つの透過部の位置を特定すること
    を特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
  4. 前記記憶手段は、前記搬送ローラの複数の回転位置それぞれと関連付けられた前記搬送ローラの単位回転量当たりの前記記録媒体の搬送量を記憶し、
    前記特定された前記回転位置と前記回転量とに基づいて、前記記録媒体の搬送量を算出することを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
  5. 搬送ローラにより記録媒体を所定の方向に搬送しながら前記記録媒体に記録を行う記録装置における、前記搬送ローラを回転させたときの前記搬送ローラの回転量及び回転位置を特定する方法であって、
    前記記録装置は、
    前記搬送ローラの回転軸を中心とした円周部に沿って、所定の波長域の光を透過する透過部と、前記光を遮断する遮光部とが所定のピッチで交互に複数配置され、前記搬送ローラに取り付けられたパターン部を備え、
    前記複数の透過部のうち1つの透過部は、他の全ての透過部と異なる光の透過率を有し、
    前記搬送ローラを回転させる工程と、
    前記パターン部へ前記光を発光させる工程と、
    前記複数の透過部を透過した光を受光して電圧に変換する工程と、
    前記搬送ローラの回転に伴って変化する前記電圧に基づいて、前記搬送ローラの回転量及び回転位置を特定する工程と
    を備え、
    前記特定する工程は、
    前記ピッチと前記搬送ローラの回転速度とに従う前記電圧の変化に基づいて前記回転量を特定し、
    前記1つの透過部に対応して得られる電圧値に基づいて基準位置を特定し、
    該基準位置と前記回転量から前記回転位置を特定する
    ことを特徴とする方法。
  6. 回転体の回転軸を中心とした円周部に沿って、所定の波長域の光を透過する透過部と、前記光を遮断する遮光部とが所定のピッチで交互に複数配置され、前記回転体に取り付けられたパターン部と、
    前記パターン部に向けて前記光を発光する発光部と、
    前記複数の透過部を透過した光を受光して電圧に変換して出力する受光部と、
    前記回転体の回転に伴って変化する前記電圧に基づいて、前記回転体の回転量及び回転位置を特定する特定手段と、
    を備え、
    前記複数の透過部のうち1つの透過部は、他の全ての透過部と異なる光の透過率を有し、
    前記特定手段は、
    前記ピッチと前記回転体の回転速度とに従う前記電圧の変化に基づいて前記回転量を特定し、
    前記1つの透過部に対応して得られる電圧値に基づいて基準位置を特定し、
    該基準位置と前記回転量から前記回転位置を特定する
    ことを特徴とする回転検出装置。
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