JP2013078784A - プロジェクション溶接継手の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】所定の成分組成を有するナット2と、引張強さ:750〜1600MPa、板厚:0.8〜3.0mm、炭素等量Ceq:0.22〜0.50%の範囲である高強度鋼板1とをプロジェクション溶接する際、電極の加圧力EFおよび通電時間Wtで本通電を行った直後に、後通電電流POC1および後通電時間POt1で後通電を実施し、その後、電極保持時間Htで保持することで、ナット2と高強度鋼板1との接合部Aの面積SJと、ナット2の呼び径部分の面積SRとの比が次式{0.7≦SJ/SR≦1.5}で表される関係を満たし、かつ、接合部Aおよび熱影響部Bのビッカース硬さの最大値が550Hv以下となるように制御する。
【選択図】図1
Description
一般に、上述した静的強度は、プロジェクション溶接した接合部および熱影響部(HAZ)の硬さの値が適度に高く十分な強度があり、かつ靭性も高い場合には、十分に高い値が得られるが、接合部および熱影響部の硬さの値が高過ぎて靭性が低い場合には著しく低下する。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
Ceq = [C]+[Si]/30+[Mn]/20+2[P]+4[S] ・・・(1)
1.96 ≦ EF ≦5.88 ・・・(2)
50 ≦ Wt ≦ 240 ・・・(3)
0.40×WC ≦ POC1 ≦ 0.95×WC ・・・(4)
30 ≦ POt1 ≦ 200 ・・・(5)
Ht ≦ 160 ・・・(6)
0.7 ≦ SJ/SR ≦ 1.5 ・・・(7)
{但し、上記(1)式において、Ceq:炭素当量(質量%)、[C]、[Si]、[Mn]、[P]、[S]:C、Si、Mn、P、Sの各々の含有量(質量%)を示し、上記(2)、(3)式において、EF:通電時の電極の加圧力(kN)、Wt:通電時間(ms)を示し、上記(4)〜(6)式において、WC::プロジェクション溶接電流(kA)、POC1:後通電電流(kA)、POt1:後通電時間(ms)、Ht:後通電後の電極保持時間(ms)を示し、また、上記(7)式において、SJ:ナットまたはボルトと高強度鋼板との接合部の面積(mm2)、SR:ナットまたはボルトの呼び径部分の面積(mm2)を示す。}
16 ≦ Ct ≦ 300 ・・・(8)
0.40×WC ≦ POC2 ≦ 0.95×WC ・・・(9)
30 ≦ POt3 ≦ 200 ・・・(10)
{但し、上記(8)〜(10)式において、Ct:溶接通電後の冷却時間(ms)、POC2:後通電電流(kA)、POt2:後通電時間(ms)を示す。}
[3] 上記[1]または[2]に記載のプロジェクション溶接継手の製造方法であって、前記溶接通電の後から、電極保持時間Htが終了するまでの電極加圧力PEF(kN)を、下記(11)式で表される関係を満たす範囲とすることを特徴とするプロジェクション溶接継手の製造方法。
1.2×EF ≦ PEF ≦ 1.5×EF ・・・(11)
{但し、上記(11)式において、PEF:溶接後の電極加圧力(kN)、EF:通電時の電極の加圧力(kN)を示す。}
以下、本発明のプロジェクション溶接継手の製造方法の第1の実施形態について、主に図1〜図4を適宜参照しながら説明する。なお、本実施形態は、本発明の趣旨をより良く理解させるために詳細に説明するものであるから、特に指定の無い限り本発明を限定するものではない。
Ceq = [C]+[Si]/30+[Mn]/20+2[P]+4[S] ・・・(1)
1.96 ≦ EF ≦5.88 ・・・(2)
50 ≦ Wt ≦ 240 ・・・(3)
0.40×WC ≦ POC1 ≦ 0.95×WC ・・・(4)
30 ≦ POt1 ≦ 200 ・・・(5)
Ht ≦ 160 ・・・(6)
0.7 ≦ SJ/SR ≦ 1.5 ・・・(7)
但し、上記(1)式において、Ceq:炭素当量(質量%)、[C]、[Si]、[Mn]、[P]、[S]:C、Si、Mn、P、Sの各々の含有量(質量%)を示し、上記(2)、(3)式において、EF:通電時の電極の加圧力(kN)、Wt:溶接通電時間(ms)を示し、上記(4)〜(6)式において、WC:溶接電流(kA)、POC1:後通電電流(kA)、POt1:後通電時間(ms)、Ht:後通電後の電極保持時間(ms)を示し、また、上記(7)式において、SJ:ナット2と高強度鋼板1との接合部Aの面積(mm2)、SR:ナット2の呼び径部分の面積(mm2)を示す。
本発明において説明するプロジェクション溶接とは、被接合物の接合箇所に大電流を流し、この接合箇所を抵抗発熱によって加熱しながら圧力を加えて接合を行う、いわゆる抵抗溶接方法の一種である。具体的には、図2(a)、(b)に示す例のように、ナット2の、高強度鋼板1と接合される接合面2aにプロジェクション部21を設け、このプロジェクション部に電流を集中して流すことで、加熱すると同時に加圧を行って接合する方法である。また、プロジェクション溶接は、重ね合わせた被接合物を電極の先端で挟持し、通電と同時に電極で加圧することで溶接を行う、いわゆるスポット溶接法の装置を用い、プロジェクション溶接用に電極を変更して行うことができる方法である。
以下、本実施形態における各限定理由について詳述する。
本実施形態のプロジェクション溶接継手10は、図1に例示するように、高強度鋼板1と、図2(a)、(b)に示すような、接合面2aにプロジェクション部21が備えられたナット(溶接ナット)2を用い、これらがプロジェクション溶接されて構成される。また、図1においては、上記構成のプロジェクション溶接継手10が備えられてなる、自動車部品等の分野において適用可能な構造部材50を例示している。
本実施形態で用いられるナット2は、上述したように、質量%で、C:0.07〜0.28%、Si:0.007〜0.35%、Mn:0.20〜1.20%、P:0.020%以下、S:0.035%以下、Cu:0.30%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成とされたものである。
以下、ナット2の成分中における各元素の限定理由について説明するが、以下の説明における含有量「%」は、特に指定がない限り「質量%」を表すものとする。
Cは、鋼の強度を確保するために必要な元素であり、その含有量が0.07%以下ではナットの強度が不足するため、下限を0.07%とした。一方、Cを過剰に添加すると、接合部の硬さが増加し過ぎて靱性が低下し、また、高温割れや低温割れが生じやすくなるため、その上限を0.28%に制限した。
Siは、脱酸や強度の確保に必要な元素であり、このような効果を得るためには0.007%以上の添加が必要である。一方、Siを過剰に添加すると、ナットの接合性や靱性が低下することから、その上限を0.35%に制限した。
Mnは、焼入れ性の向上や、ナットの強度向上に必要な元素であり、このような効果を得るためには0.20%以上の添加が必要である。一方、Mnを過剰に添加すると、ナットの接合性や靱性が低下することから、その上限を1.20%に制限した。
Pは、ナットをなす鋼中に不可避的に混入してくる元素であり、その含有量は少ないほうが好ましい。Pの含有量が多くなると、ナットの靭性低下や接合部の高温割れを引き起こすことから、その上限を0.020%以下に制限した。
Sは、Pと同様、ナットをなす鋼中に不可避的に混入してくる元素である。Sの含有量が多くなると、ナットの靭性低下や接合部の高温割れを引き起こすため、その上限を0.035%以下に制限した。
Cuは、ナットの強度向上に必要な元素であることから、ある程度の量で添加されていることが好ましい。しかしながら、Cuを過剰に添加すると熱間加工性が低下し、また、高温割れを引き起こすことから、その上限を0.30%に制限した。一方、Cuの含有量は、接合性を確保する観点から、強度向上効果が得られる範囲内で可能な限り少量とすることがより好ましく、具体的には0.1%以下とすることが好ましい。
本実施形態で用いられるナット2の強度レベルとしては、特に制限されるものではなく、一般的な強度レベル、例えば、5T(490MPa相当)や、8T(785MPa相当)のものを好適に用いることができる。
またさらに、ナット2のビッカース硬さも特に制限されるものではなく、適宜、設定することが可能である。
以下に、本実施形態のプロジェクション溶接継手10をなす高強度鋼板1の鋼板特性について詳述する。
本実施形態において、プロジェクション溶接によってナット2と接合される高強度鋼板1は、引張強さが950〜1600MPa、板厚が0.8〜3.0mmであるとともに、下記(1)式で表される炭素当量Ceqが質量%で0.22〜0.50%の範囲とされている。
Ceq = [C]+[Si]/30+[Mn]/20+2[P]+4[S] ・・・(1)
但し、上記(1)式において、Ceq:炭素当量(質量%)、[C]、[Si]、[Mn]、[P]、[S]:C、Si、Mn、P、Sの各々の含有量(質量%)を示す。
本実施形態のプロジェクション溶接継手10においては、母材強度、すなわち、高強度鋼板1の引張強さを950〜1600MPaの範囲に規定する。
鋼板の強度は、プロジェクション溶接後のプロジェクション溶接継手10の静的強度や、割れの抑制等に対して大きな影響を及ぼす。本実施形態においては、まず、鋼板として、引張強さが950〜1600MPaの範囲とされた高強度鋼板1を用いることで、ナット2とプロジェクション溶接することで得られるプロジェクション溶接継手10の静的強度が高められ、また、高温割れや低温割れが発生するのを抑制できる。
また、高強度鋼板の引張強さが1600MPaを超えると、溶接後の冷却収縮時における接合部への負荷が大きいため、高温割れや低温割れが発生し易くなるので、本発明の適用範囲外である。
本実施形態において用いられる高強度鋼板1の板厚を、0.8〜3.0mmの範囲に規定する。高強度鋼板1の板厚が上記範囲であれば、本発明の適用による静的強度の向上、ならびに、高温割れや低温割れを抑制する十分な効果が得られる。
また、高強度鋼板の板厚が3.0mmを超えると、溶接後の冷却収縮時における接合部への負荷が大きいため、高温割れや低温割れが発生し易くなるので、本発明の適用対象外である。
(鋼組織)
本実施形態のプロジェクション溶接継手10において用いられる高強度鋼板1の鋼種については、特に限定されず、例えば、2相組織型(例えば、フェライト中にマルテンサイトを含む組織、フェライト中にベイナイトを含む組織等)、加工誘起変態型(フェライト中に残留オーステナイトを含む組織)、焼入れ型(マルテンサイト組織)、微細結晶型(フェライト主体組織)等、何れの型の鋼板であっても良い。何れの鋼種からなる高強度鋼板を用いた場合であっても、鋼板の特性を失うことなく、本発明を適用することによる上記効果が確実に得られる。
高強度鋼板1の成分組成としても、特に限定されるものではなく、この分野で一般的に用いられている炭素鋼や合金鋼等を採用することが可能である。但し、本実施形態の高強度鋼板1としては、以下に詳述するように、上記(1)式で表される炭素当量Ceqと各元素との関係を満足する組成のものを採用することが必須となる。
本実施形態においては、下記(1)式で規定される、高強度鋼板1の炭素当量Ceqを、0.22〜0.50質量%の範囲に規定する。
Ceq = [C]+[Si]/30+[Mn]/20+2[P]+4[S] ・・・(1)
但し、上記(1)式において、Ceq:炭素当量(質量%)、[C]、[Si]、[Mn]、[P]、[S]:C、Si、Mn、P、Sの各々の含有量(質量%)を示す。
また、高強度鋼板の炭素当量Ceqが0.50質量%を超えると、接合部の強度低下や高温割れ、低温割れの発生が顕著となり、本発明の適用対象外である。
Ceqh = [C]+[Si]/40+[Cr]/20 ・・・・・(12)
Ceqt = [C]+[Si]/30+[Mn]/20+2[P]+4[S] ・・・・・(13)
但し、上記(12)、(13)式において、[C]、[Si]、[Mn]、[P]および[S]は、それぞれ高強度鋼板中のC、Si、Mn、P、Sの各含有量(質量%)を示す。
本実施形態において用いられる高強度鋼板1は、表面処理を施さずに、冷間圧延・熱間圧延後の状態で使用することもできるが、必要に応じてめっき処理を施しても良い。また、この際のめっき層の種類についても、例えば、Zn系、Zn−Fe系、Zn−Ni系、Zn−Al系、Zn−Mg系、Pb−Sn系、Sn−Zn系、Al-Si系等、何れのめっき層であっても良い。また、めっき層の表層に無機系、有機系の皮膜(例えば、潤滑皮膜等)が施されていても良い。
高強度鋼板1の表面に上述のようなめっき処理を施すことにより、鋼板の耐食性を確保することが可能となる。
本実施形態においては、ナット2と高強度鋼板1との接合部Aの面積SJと、ナット2の呼び径部分の面積SRとの比が下記(2)式で表される関係を満たすことが必要である。
0.7 ≦ SJ/SR ≦ 1.5 ・・・・・(7)
但し、上記(7)式において、SJ:ナット2と高強度鋼板1との接合部Aの面積(mm2)、SR:ナット2の呼び径部分の面積(mm2)を示す。
本実施形態においては、上記(7)式で表されるSJ/SRを規定したうえで、さらに、ナット2と高強度鋼板1との接合部Aおよび熱影響部Bのビッカース硬さの最大値を550Hv以下に規定する。接合部および熱影響部のビッカース硬さの最大値が550Hvを超えると、靭性低下による接合部の強度低下や高温割れ、低温割れの発生が顕著に起こるようになるので好ましくない。また、接合部Aおよび熱影響部Bのビッカース硬さの最大値は、接合強度の観点からは、300Hv以上であることが好ましい。
以下に、上述したような本実施形態のプロジェクション溶接継手を製造する方法の一例について説明する。
上述したように、本実施形態のプロジェクション溶接継手の製造方法は、上記化学成分を有するナット2と、上記引張強さ、板厚、ならびに、炭素当量Ceqを有する高強度鋼板1とをプロジェクション溶接によって接合する方法である。そして、本実施形態では、通電時の電極(図3中に示す上部電極81および下部電極82)の加圧力EF、溶接通電時間Wtが、それぞれ下記(2)、(3)式で表される関係を満たす条件で溶接通電を行い、この溶接通電の直後に、下記(4)、(5)式で表される関係式を満たす条件で後通電を実施し、次いで、下記(6)式で表される通電終了後の電極保持時間Htにて電極保持を行う。これにより、ナット2と高強度鋼板1との接合部Aの面積SJと、ナット2の呼び径部分の面積SRとの比が下記(2)式で表される関係となるようにし、かつ、接合部Aおよび熱影響部Bのビッカース硬さの最大値が550Hv以下となるように制御しながらプロジェクション溶接を行う方法を採用している。
1.96 ≦ EF ≦5.88 ・・・(2)
50 ≦ Wt ≦ 240 ・・・(3)
0.40×WC ≦ POC1 ≦ 0.95×WC ・・・(4)
30 ≦ POt1 ≦ 200 ・・・(5)
Ht ≦ 160 ・・・(6)
0.7 ≦ SJ/SR ≦ 1.5 ・・・(7)
但し、上記(2)、(3)式において、EF:通電時の電極の加圧力(kN)、Wt:溶接通電時間(ms)を示し、上記(4)〜(6)式において、WC:溶接電流(kA)、POC1:後通電電流(kA)、POt1:後通電時間(ms)、Ht:後通電後の電極保持時間(ms)を示し、また、上記(7)式において、SJ:ナット2と高強度鋼板1との接合部Aの面積(mm2)、SR:ナット2の呼び径部分の面積(mm2)を示す。
本実施形態においては、プロジェクション溶接による通電を行う際の、上部電極81および下部電極82による加圧力EF(kN)を、上記(2)式で表される範囲、すなわち、1.96〜5.88(kN)の範囲に規定する。
電極による加圧力EFは、溶接後の接合部面積SJや接合部の残留応力に影響を与え、接合部の強度、特に剥離方向の強度や、接合部における割れの発生に大きな影響を及ぼす。本実施形態においては、溶接通電時間Wtや、後通電後の電極保持時間Htを所定範囲に規定するとともに、上部電極81および下部電極82による加圧力EFを上記範囲に規定することにより、ナット2に備えられるプロジェクション部21を十分に潰しながら、溶接後の接合部面積を適正に制御し、接合部の強度向上や、割れの発生を防止する顕著な効果が得られる。
一方、電極による加圧力EFが5.88kNを超えると、プロジェクション部の変形が大きくなり過ぎ、溶接途中で電流密度が下がり、拡散が不十分になって接合部の強度が低下する。また、溶融金属がはみ出して散りが発生することがある。さらに、過度な加圧により、接合部等に割れが生じることもある。
本実施形態では、プロジェクション溶接による溶接通電時間Wtを、上記(3)式で表される範囲、すなわち、50〜240msの範囲に規定する。
本実施形態では、通電時の電極の加圧力EFおよび後通電後の電極保持時間Htを所定範囲に規定するとともに、溶接通電時間Wtを上記範囲とすることにより、ナット2に備えられるプロジェクション部21を十分に潰しながら、溶接後の接合部のビッカース硬さを適正に制御し、接合部の強度向上や、割れの発生を防止する顕著な効果が得られる。
一方、溶接通電時間Wtが240msを超えると、溶接入熱が大きくなり過ぎて散りが発生する。また、熱影響部(HAZ)の軟化等が起こってナットや鋼板の強度低下を招き、さらに、作業効率も低下するという問題が生じる。また、入熱が大きいため、高温割れが生じることもある。
本実施形態では、上記条件で溶接通電を行った後に後通電を行うにあたり、後通電電流POC1(kA)を、上記(4)式で表される範囲、すなわち、上記加圧力EFならびに溶接通電時間Wtで溶接する際の溶接電流WC(kA)の0.40〜0.95倍の範囲に規定する。本実施形態では、溶接通電の後に、適正な条件で後通電を行うことにより、溶接後の冷却速度を低下させ、溶接後の高温割れや低温割れを防ぎ、十分な継手強度を得る効果が得られる。
本実施形態では、上記条件で溶接通電を行った後に後通電を行うにあたり、後通電電流POC1を上記範囲とするとともに、後通電時間POt1を、上記(5)式で表される範囲、すなわち、30〜200(ms)の範囲に規定する。
後通電時間POt1が30(ms)未満だと、溶接後の冷却速度を十分に低下させることができず、溶接後の高温割れや低温割れを防ぐ十分な効果が得られない。一方、後通電時間POt1が200(ms)を超えると、接合部近傍において熱影響部(HAZ)が軟化する部分が出てくる他、作業効率が低下するという問題が生じる。
本実施形態においては、後通電を行った後の電極保持時間Htを、上記(6)式で表される範囲、すなわち、160ms以下に規定する。なお、上記範囲の電極保持時間Htで、上部電極81および下部電極82によってナット2および高強度鋼板1を加圧する際の加圧力EFは、上記(2)式で表される範囲とすることができる。
後通電後の電極保持時間Htが160msを超えると、接合部、特に、鋼板側の冷却速度が早くなるため、接合部近傍の硬さが過剰に増加する。また、工程時間が長くなるため、作業効率も低下するという問題が生じる。強度のばらつき低下や強度向上の観点からは、保持時間Htは出来るだけ短い方が好ましい。
本実施形態においては、ナット2と高強度鋼板1とをプロジェクション溶接する際の基本通電パターンとしては、従来からこの分野において採用されている通電パターンを何ら制限なく採用することができる。また、本実施形態においては、その他、大電流・短時間通電や、小電流・長時間通電等、様々な通電パターンも想定されるが、上記した通電時の電極の加圧力EFと溶接通電時間Wt、ならびに、後通電電流POC1と後通電時間POt1は、適宜最適条件に調整することが好ましい。
以下に、本実施形態のプロジェクション溶接継手10の製造方法における、プロジェクション溶接の手順について概略を説明する。
本実施形態においてプロジェクション溶接で用いる溶接機としては、例えば、従来公知の通電方式で、電源としては単相交流、直流インバータ、交流インバータ等、何れの電源も使用することができる。また、溶接に用いられる電極としては、例えば、ナットと鋼板との接合に一般的に用いられる、クロム銅合金やアルミナ分散銅等からなる、プロジェクション溶接用電極を採用することができる。
プロジェクション溶接継手10を製造する手順について、図3に示すプロジェクション溶接機80を用いてナット2と高強度鋼板1とを接合し、プロジェクション溶接継手10を備える構造部材50を製造する場合を例に挙げて以下に説明する。
また、高強度鋼板1の表面1aには、必要に応じて、予め、合金化溶融亜鉛めっきまたは溶融亜鉛めっき等が、溶接の障害とならない程度の目付け量で施されていても良い。さらに、めっきの表層には、無機系、有機系の皮膜等が形成されていても良い。
次に、ねじ孔22に位置決めピン85を挿入して位置合わせしながら、ナット2を高強度鋼板1上にセットする。これにより、高強度鋼板1に形成されたピアス孔11の中心11aと、ナット2のねじ孔22の中心22aとが概略一致した状態でセットされる。また、この際、ナット2の接合面2aに設けられたプロジェクション部21が高強度鋼板1の表面1aと接触するようにセットされる。
本発明に係るプロジェクション溶接継手の製造方法の第2の実施形態について、図11〜図13を参照しながら以下に説明する。なお、本実施形態は、本発明のプロジェクション溶接継手の製造方法の趣旨をより良く理解させるために詳細に説明するものであるから、特に指定の無い限り本発明を限定するものではない。また、本実施形態では、上記第1の実施形態と共通する構成については同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。
また、高強度鋼板1の表面1aには、第1の実施形態と同様、必要に応じて、予め、合金化溶融亜鉛めっきや溶融亜鉛めっき等を施されていても良く、さらに、めっきの表層に、無機系や有機系の皮膜等が形成されていても良い。
このような概略手順により、図11に示すような、ボルト12と高強度鋼板1とが接合された、プロジェクション溶接継手10Aを備える構造部材50Aを製造することができる。
本発明におけるプロジェクション溶接継手の製造方法の第3の実施形態について、以下に説明する。本実施形態では、上記第1、2の実施形態と同じ図面を参照してその構成を説明するとともに、共通する構成については同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。
16 ≦ Ct ≦ 300 ・・・(8)
0.40×WC ≦ POC2 ≦ 0.95×WC ・・・(9)
30 ≦ POt3 ≦ 200 ・・・(10)
但し、上記(8)〜(10)式において、Ct:溶接通電後の冷却時間(ms)、POC2:後通電電流(kA)、POt2:後通電時間(ms)を示す。
本実施形態では、上記条件で溶接通電を行った後、後通電電流を通電する前に、(8)式で表される条件、すなわち、16〜300(ms)の範囲で通電を停止する冷却時間Ct(ms)を設けている。このような冷却時間Ctを設けた後に後通電電流を通電するパターンとすることにより、接合部が一旦急冷された後に後通電で冷却速度が緩和され、その結果、接合部の偏析が減少し、また、一部焼戻しが起こり、靭性の高い接合部が形成されて高い継手強度を確保することが可能となる。冷却時間Ctが16(ms)未満だと、接合部を急速に冷却することができないため、上述した継手強度向上の効果が得られない。一方、冷却時間Ctが300(ms)を超えると、接合部が急冷されて硬さが増加し、また、焼戻しが起こり難くなったり不均一になったりする。また、接合部の冷却速度が早くなり過ぎて引張の残留応力が発生し易くなるとともに、プロジェクション溶接時の作業効率が低下する。
本実施形態では、上記条件で溶接通電を行い、次いで、上記条件の冷却時間Ctを設けた後に後通電の電流を通電するにあたり、後通電電流POC2(kA)を、上記(9)式で表される範囲に規定する。すなわち、本実施形態では、第1、2の実施形態における(4)式と同様、後通電電流POC2を、上記加圧力EFならびに溶接通電時間Wtで溶接する際の溶接電流WC(kA)の、0.40〜0.95倍の範囲に規定する。本実施形態では、溶接通電の後に冷却時間Ctを設け、その後、上記範囲の後通電電流POC2で後通電を行うことにより、上述のように、接合部の靱性が向上して継手の強度が向上し、また、冷却速度を遅くすることによって高温割れを防止することができる。また、冷却時間Ctの後に後通電電流POC2で後通電を行うことで、接合部における引張残留応力を低減させて、低温割れを防止することができる。従って、継手強度ならびに耐割れ性に優れたプロジェクション溶接継手10、10Aを得ることが可能となる。
本実施形態では、上記条件で溶接通電を行い、次いで、上記条件の冷却時間Ctを設けた後に後通電電流POC2で通電するにあたり、後通電電流POC2を上記範囲とするとともに、後通電時間POt2を、上記(10)式で表される範囲、すなわち、30〜200(ms)の範囲に規定する。本実施形態では、冷却時間Ct後に、上記後通電電流POC2および後通電時間POt2の条件で後通電を行うことにより、上記のように接合部の靱性を向上させて継手の強度を向上させ、また、冷却速度を遅くすることによって高温割れを防止することができる。また、上記条件の後通電を行うことで、溶接部における引張残留応力を低減させて、低温割れを防止することができる。従って、継手強度ならびに耐割れ性に優れたプロジェクション溶接継手10、10Aを得ることが可能となる。
本実施形態では、具体的には、図5のグラフに例示するような通電パターンとすることができる。図5においては、まず、電極の加圧力EFで、溶接電流WC、溶接通電時間Wtで溶接通電を行い、次いで、冷却時間Ctによる一定の通電休止時間を設けた後、後通電電流POC2、後通電時間POt2で後通電を行うパターンとされている。なお、本実施形態では、図5に例示するように、上記条件の冷却時間Ct、ならびに、後通電電流POC2および後通電時間POt2で通電する際の電極の加圧力は、上記した溶接通電時の電極の加圧力EFと同じ加圧力とすることができる。
本発明におけるプロジェクション溶接継手の製造方法の第4の実施形態について、以下に説明する。本実施形態では、上記第1〜3の実施形態と同じ図面を参照してその構成を説明するとともに、共通する構成については同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。
1.2×EF ≦ PEF ≦ 1.5×EF ・・・(11)
但し、上記(9)式において、PEF:溶接通電後の電極加圧力(kN)、EF:通電時の電極の加圧力(kN)を示す。
また、本実施形態においては、図6に例示するパターンには限定されない。例えば、図7のグラフに示すとともに、上記第3の実施形態において説明したように、溶接通電後の冷却時間Ctを設けた後に、後通電電流POC2および後通電時間POt2で通電し、電極保持時間Htを設ける場合もあるが、溶接後の冷却時間から電極保持時間までを電極加圧力PEFで保持するパターンとすることも可能である。
したがって、例えば、自動車用部品や車体、ならびにそれらの製造、組立工程において本発明のプロジェクション溶接継手10、10Aおよびその製造方法を適用することにより、高強度鋼板の採用による安全性の向上の他、車体全体の軽量化による低燃費化や炭酸ガス(CO2)の排出量削減等のメリットを十分に享受することができ、その社会的貢献は計り知れない。
以下、本発明に係るプロジェクション溶接継手の製造方法の実施例1について、図面1〜4、8〜10を適宜参照しながら説明する。
本実施例では、まず、下記表1に示すような成分組成を有する各種のナットを準備した。そして、これらのナットを、以下に説明するような条件ならびに手順により、下記表2および表3に示すような鋼板特性を有する各種の高強度鋼板にプロジェクション溶接し、接合部の特性を調査するための試験片を作製した。
実施例1においては、図3に示すようなプロジェクション溶接機80を用いてナット2と高強度鋼板1とをプロジェクション溶接した。このプロジェクション溶接機80は、上部電極81、下部電極82、位置決めピン85を備えている。
(1)溶接機:定置式60kVAエアー加圧型(単相交流)
(2)電極:F型、φ25、Cu−Cr合金製
(3)冷却水流量:上下2l/分
(4)初期加圧時間:600ms
(5)電極による加圧力EF:1.76〜6.08kN
(6)溶接電流WC:8.5〜15.5kA
(7)溶接通電時間Wt:40〜260ms
(8)後通電電流POC1:3.6〜11.4kA
(9)後通電時間POt1:20〜220ms
(10)後通電後の電極保持時間Ht:60〜180ms
このようなプロジェクション溶接を行った際の、各溶接条件の一覧を表2および表3に示す。
次に、上記手順で得られた、プロジェクション溶接後の試験片について、以下に説明するような各種評価試験を行ない、結果を表2および表3に示した。
上記手順で得られた各試験片について、接合部をマイクロカッターで切断して研磨し、ピクリン酸でエッチングした後、その組織を光学顕微鏡で観察して、接合状態(圧接または溶融接合)、および割れを観察した。また、耐低温割れ(耐遅れ破壊)性を調査するために、溶接試験片を0.2Nの硫酸中に24時間浸漬し、取り出した後に水洗して断面組織を観察し、割れが発生しているかどうかを調べた。
図8は、プロジェクション溶接継手の接合部、熱影響部のビッカース硬さの分布を測定する方法を説明するための概略図であり、図1や図2(a)、(b)等と対応する部分には同一の符号を付している。図1に示すように、ナット2のプロジェクション部21と高強度鋼板1とは、プロジェクション溶接されることによって、接合部(接合界面:図中Aで示す部分)およびその周囲にHAZ部(熱影響部:図中Bで示す部分)が形成されるが、本実施例では、この部分の硬さを、接合部の断面から垂直方向および水平方向に向かって測定した。なお、各試験片での測定にあたっては、4箇所の突起(プロジェクション部)のうち、対角の位置にある2つの突起について硬さ分布を測定した。
図9は、プロジェクション溶接継手のトルク剥離試験方法を説明するための概略図である。図9に示すように、本試験では、ナット2と高強度鋼板1とを接合した試験片におけるナット2に、トルクレンチ110付きのソケット111を嵌め込み、トルクレンチ110によって、ナット2のねじ孔22の中心(軸心)22aに垂直な平面内で回転力を与え、ナット2が剥離した際、すなわち、図1等に示すプロジェクション部21が高強度鋼板1から剥離した際のトルク(トルク剥離強さ)を測定した。この際、各条件において、5個の試験片を用いてそれぞれ測定を行ない、その平均値を求めた。なお、トルク剥離強度のばらつきについては、5個の試験片について測定した際の最大値と最小値の差(最大値−最小値)から求めた。また、本試験におけるトルク剥離強さの基準値は、JISで規定される合格値を用いた。
図10は、プロジェクション溶接継手の押込み剥離試験方法を説明するための概略図である。図10に示すように、本試験では、ナット2と高強度鋼板1を接合した試験片における高強度鋼板1側から、ピアス孔11を通じてボルト108をねじ込み、このボルト108の頭部から圧縮荷重Fを付与し、ナット2が剥離した際、すなわち、図1等に示すプロジェクション部21が高強度鋼板1から剥離した際の荷重(押込み剥離強さ)を測定した。この際、各条件において、5個の試験片を用いてそれぞれ測定を行ない、その平均値を求めた。なお、押込み剥離強さのばらつきについては、5個の試験片について測定した際の最大値と最小値の差(最大値−最小値)から求めた。また、本試験における押込み剥離強さの基準値は、JISで規定される合格値を用いた。また、上記条件および手順による押込み剥離試験の後、接合部の面積(SJ)ならびに呼び径部分の面積(SR)を測定し、その比を計算した。
表1は、本実施例において用いたナットの化学成分組成の一覧を示すものであり、また、表2および表3は、ナット仕様ならびに高強度鋼板の特性、プロジェクション溶接条件、各評価結果の一覧を示すものである。ここで、表2および表3には、溶接時の散り発生有無、ナット/高強度鋼板間の隙間、接合状態、接合率(SJ/SR)、接合部における割れの有無、接合部・熱影響部(HAZ)における最高硬さとともに、トルク剥離強さとそのばらつき、押込み剥離強さとそのばらつきも示している。なお、ナットと高強度鋼板の接合状態(圧接または溶接)については、光学顕微鏡で観察した。また、表2および表3中における各評価結果では、本発明で規定する要件を満足し、良好な値を示したものの評価を「○」で示しており、やや特性が劣るものの評価を「△」で示し、また、特性がかなり劣るものを「×」で示している。
これに対し、表3に示すように、本発明で規定するいずれかの要件が外れる比較例(実験No.A−40〜A−75)においては、上記各評価項目のうちの何れかが「×」あるいは「△」となっており、特性が劣っていることが明らかである。なお、表3中に示すように、ナットの成分であるC、Si、Mnが本発明の規定範囲外である場合(A−40〜A−42)には、ナットの強度が不足するという問題はあるものの、プロジェクション溶接された接合部としては問題がないことが確認された。
実験No.A−44では、ナットの化学成分中におけるSi量が本発明の規定範囲を超えているため、接合部の靱性が低下し、硫酸浸漬後に割れが発生し、トルク剥離強さとそのばらつき、押込み剥離強さとそのばらつきの評価が劣っている。
実験No.A−45では、ナットの化学成分中におけるMn量が本発明の規定範囲を超えているため、接合部の靱性が低下し、硫酸浸漬後に割れが発生し、トルク剥離強さとそのばらつき、押込み剥離強さとそのばらつきの評価が劣っている。
実験No.A−47では、ナットの化学成分中におけるS量が本発明の規定範囲を超えているため、接合部で偏析が顕著になって割れが発生し、トルク剥離強さとそのばらつき、押込み剥離強さとそのばらつきの評価が劣っている。
実験No.A−48では、ナットの化学成分中におけるCu量が本発明の規定範囲を超えているため、接合部で偏析が顕著になって割れが発生し、トルク剥離強さとそのばらつき、押込み剥離強さとそのばらつきの評価が劣っている。
実験No.A−50では、上記同様、鋼板の引張強さが本発明の規定範囲を超えているため、溶接後の冷却収縮時における接合部への負荷が大きく、溶接後の接合部に割れが発生するとともに、硫酸浸漬後に割れが発生し、トルク剥離強さとそのばらつき、押込み剥離強さとそのばらつきの評価が劣っている。
実験No.A−53、54では、鋼板の板厚が本発明の規定範囲を超えているため、溶接後の冷却収縮時における接合部への負荷が大きく、溶接後の接合部に割れが発生するとともに、硫酸浸漬後に割れが発生し、トルク剥離強さとそのばらつき、押込み剥離強さとそのばらつきの評価が劣っている。
実験No.A−57、58では、CR980Yを高い電流で溶接した結果、接合率(SJ/SR)が本発明の規定範囲を超えており、溶接時に散りが発生するとともに、接合状態が溶融接合となっており、さらに、溶接後の接合部に割れが発生したことから、総合評価が劣っている。
実験No.A−61では、溶接時の加圧力が本発明の規定範囲を下回っているため、溶接時に散りが発生し、ナット/高強度鋼板間に隙間が発生するとともに、硫酸浸漬後に接合部の割れが発生し、さらに、トルク剥離強さとそのばらつき、押込み剥離強さとそのばらつきの評価が劣っている。
実験No.A−62では、溶接時の加圧力が本発明の規定範囲を超えているため、溶接時に散りが発生し、また、接合率(SJ/SR)が本発明の規定範囲を超えていることから、押込み剥離強さとそのばらつきの評価が劣っている。
実験No.A−63では、溶接時の加圧力が本発明の規定範囲を超えているため、溶接時に散りが発生するとともに、溶接後の接合部に割れが発生し、トルク剥離強さとそのばらつき、押込み剥離強さとそのばらつきの評価が劣っている。
実験No.A−65では、溶接時の通電時間が本発明の規定範囲を下回っているため、ナット/高強度鋼板間に隙間が発生するとともに、硫酸浸漬後の接合部に割れが発生し、トルク剥離強さとそのばらつき、押込み剥離強さとそのばらつきの評価が劣っている。
実験No.A−66、67では、溶接時の通電時間が本発明の規定範囲を超えているため、溶接時に散りが発生するとともに、溶接後の接合部に割れが発生し、トルク剥離強さとそのばらつき、押込み剥離強さとそのばらつきの評価が劣っている。
実験No.A−69では、溶接後の後通電電流が本発明の規定範囲を下回っているため、溶接後の接合部に割れが発生するとともに、硫酸浸漬後の接合部に割れが発生し、トルク剥離強さとそのばらつき、押込み剥離強さとそのばらつきの評価が劣っている。
実験No.A−71では、溶接後の後通電時間が本発明の規定範囲を下回っているため、溶接後の接合部に割れが発生するとともに、硫酸浸漬後の接合部に割れが発生し、トルク剥離強さとそのばらつき、押込み剥離強さとそのばらつきの評価が劣っている。
実験No.A−72、73では、溶接後の後通電時間が本発明の規定範囲を超えており、接合部に割れが発生せず、また、各強度特性も良好であったものの、工程時間が長くなって生産性に劣ることから、総合評価が劣っている例である。
実験No.A−75では、溶接後の保持時間が本発明の規定範囲を超えているため、溶接後の接合部に割れが発生するとともに、硫酸浸漬後の接合部に割れが発生し、トルク剥離強さとそのばらつき、押込み剥離強さとそのばらつきの評価が劣っている。
以下、本発明の実施例2について、図11〜図16を適宜参照ながら説明する。
本実施例では、まず、上記表1に示すような成分組成を有する各種のボルトを準備した。そして、これらのボルトを、以下に説明するような条件ならびに手順により、下記表4および表5に示すような鋼板特性を有する各種の高強度鋼板にプロジェクション溶接し、接合部の特性を調査するための試験片を作製した。
実施例2においては、図13に示すようなプロジェクション溶接機90を用いてボルト12と高強度鋼板1とをプロジェクション溶接した。このプロジェクション溶接機90は、上部電極91、下部電極92、位置決め孔94を備えている。
(1)溶接機:定置式60kVAエアー加圧型(単相交流)
(2)電極:F型、φ25、Cu−Cr合金製
(3)冷却水流量:上下2l/分
(4)初期加圧時間:600ms
(5)電極による加圧力EF:1.76〜6.08kN
(6)溶接電流WC:8.5〜15.5kA
(7)溶接通電時間Wt:40〜260ms
(8)後通電電流POC1:3.6〜11.4kA
(9)後通電時間POt1:20〜220ms
(10)後通電後の電極保持時間Ht:60〜180ms
このようなプロジェクション溶接を行った際の、各溶接条件の一覧を表4および表5に示す。
次に、上記手順で得られた、プロジェクション溶接後の試験片について、以下に説明するような各種評価試験を行ない、結果を表4および表5に示した。
上記手順で得られた各試験片について、接合部をマイクロカッターで切断して研磨し、ピクリン酸でエッチングした後、その組織を光学顕微鏡で観察して、接合状態(圧接または溶融接合)、および割れを観察した。また、耐低温割れ(耐遅れ破壊)性を調査するために、溶接試験片を0.2Nの硫酸中に24時間浸漬し、取り出した後に水洗して断面組織を観察し、割れが発生しているかどうかを調べた。
図14は、プロジェクション溶接継手の接合部、熱影響部のビッカース硬さの分布を測定する方法を説明するための概略図であり、図11や図12(a)、(b)等と対応する部分には同一の符号を付している。図14に示すように、ボルト12のプロジェクション部12aと高強度鋼板1とは、プロジェクション溶接されることによって、接合部(接合界面:図中A1で示す部分)およびその周囲にHAZ部(熱影響部:図中B1で示す部分)B1が形成されるが、本実施例では、この部分の硬さを、接合部の断面から垂直方向および水平方向に向かって測定した。なお、各試験片での測定にあたっては、4箇所の突起(プロジェクション部)のうち、対角の位置にある2つの突起について硬さ分布を測定した。
図15は、プロジェクション溶接継手のトルク剥離試験方法を説明するための概略図である。図15に示すように、本試験では、ボルト12と高強度鋼板1とを接合した試験片におけるボルト12に、トルクレンチ210付きのソケット211a、211bを嵌め込み、トルクレンチ210によって、ボルト12の軸心に垂直な平面内で回転力を与え、ボルト12が剥離した際、すなわち、図11等に示すプロジェクション部12aが高強度鋼板1から剥離した際のトルク(トルク剥離強さ)を測定した。この際、各条件において、5個の試験片を用いてそれぞれ測定を行ない、その平均値を求めた。なお、トルク剥離強さのばらつきについては、5個の試験片について測定した際の最大値と最小値の差(最大値−最小値)から求めた。また、本試験におけるトルク剥離強さの基準値は、JISで規定される合格値を用いた。
図16は、プロジェクション溶接継手の押込み剥離試験方法を説明するための概略図である。図16に示すように、本試験では、ボルト12と高強度鋼板1を溶接した試験片におけるボルト12のねじ切り部側から、荷重中心が軸芯と一致するように、ねじ切り部側軸端に圧縮荷重Fを徐々に付与し、ボルト12が剥離した際、すなわち、プロジェクション部12aが高強度鋼板1から剥離した際の荷重(押込み剥離強さ)を測定した。この際、各条件において、5個の試験片を用いてそれぞれ測定を行ない、その平均値を求めた。なお、押込み剥離強さのばらつきについては、5個の試験片について測定した際の最大値と最小値の差(最大値−最小値)から求めた。また、本試験における押込み剥離強さの基準値は、JISで規定される合格値を用いた。また、上記条件および手順による押込み剥離試験の後、接合部の面積(SJ)ならびに呼び径部分の面積(SR)を測定し、その比を計算した。
表1は、本実施例において用いたボルトの化学成分組成の一覧を示し、また、表4および表5は、ボルト仕様ならびに高強度鋼板の特性、プロジェクション溶接条件、各評価結果の一覧を示すものである。ここで、表4および表5には、溶接時の散り発生有無、ボルト/高強度鋼板間の隙間、接合状態、接合率(SJ/SR)、接合部における割れの有無、接合部・熱影響部における最高硬さ、とともに、トルク剥離強さとそのばらつき、押込み剥離強さとそのばらつきも示している。なお、ボルトと高強度鋼板の接合状態(圧接または溶接)については、光学顕微鏡で観察した。また、表4および表5中における各評価結果では、本発明で規定する要件を満足し、良好な値を示したものの評価を「○」で示しており、やや特性が劣るものの評価を「△」で示し、また、特性がかなり劣るものを「×」で示している。
これに対し、表5に示すように、本発明で規定するいずれかの要件が外れる比較例(実験No.B−40〜A−75)においては、上記各評価項目のうちの何れかが「×」あるいは「△」となっており、特性が劣っていることが明らかである。なお、表4中に示すように、ボルトの成分であるC、Si、Mnが本発明の規定範囲外である場合(B−40〜A−42)には、ボルトの強度が不足するという問題はあるものの、プロジェクション溶接された接合部としては問題がないことが確認された。
実験No.B−44では、ボルトの化学成分中におけるSi量が本発明の規定範囲を超えているため、接合部の靱性が低下し、硫酸浸漬後に割れが発生し、トルク剥離強さとそのばらつき、押込み剥離強さとそのばらつきの評価が劣っている。
実験No.B−45では、ボルトの化学成分中におけるMn量が本発明の規定範囲を超えているため、接合部の靱性が低下し、硫酸浸漬後に割れが発生し、トルク剥離強さとそのばらつき、押込み剥離強さとそのばらつきの評価が劣っている。
実験No.B−47では、ボルトの化学成分中におけるS量が本発明の規定範囲を超えているため、接合部で偏析が顕著になって割れが発生し、トルク剥離強さとそのばらつき、押込み剥離強さとそのばらつきの評価が劣っている。
実験No.B−48では、ボルトの化学成分中におけるCu量が本発明の規定範囲を超えているため、接合部で偏析が顕著になって割れが発生し、トルク剥離強さとそのばらつき、押込み剥離強さとそのばらつきの評価が劣っている。
実験No.B−50では、上記同様、鋼板の引張強さが本発明の規定範囲を超えているため、溶接後の冷却収縮時における接合部への負荷が大きく、溶接後の接合部に割れが発生するとともに、硫酸浸漬後に割れが発生し、トルク剥離強さとそのばらつき、押込み剥離強さとそのばらつきの評価が劣っている。
実験No.B−53、54では、鋼板の板厚が本発明の規定範囲を超えているため、溶接後の冷却収縮時における接合部への負荷が大きく、溶接後の接合部に割れが発生するとともに、硫酸浸漬後に割れが発生し、トルク剥離強さとそのばらつき、押込み剥離強さとそのばらつきの評価が劣っている。
実験No.B−57、58では、CR980Yを高い電流で溶接した結果であることから、接合率(SJ/SR)が本発明の規定範囲を超えており、溶接時に散りが発生するとともに、接合状態が溶融接合となっており、さらに、溶接後の接合部に割れが発生したことから、総合評価が劣っている。
実験No.B−61では、溶接時の加圧力が本発明の規定範囲を下回っているため、溶接時に散りが発生し、ボルト/高強度鋼板間に隙間が発生するとともに、硫酸浸漬後に接合部の割れが発生し、さらに、トルク剥離強さとそのばらつき、押込み剥離強さとそのばらつきの評価が劣っている。
実験No.B−62では、溶接時の加圧力が本発明の規定範囲を超えているため、溶接時に散りが発生し、また、接合率(SJ/SR)が本発明の規定範囲を超えていることから、押込み剥離強さとそのばらつきの評価が劣っている。
実験No.B−63では、溶接時の加圧力が本発明の規定範囲を超えているため、溶接時に散りが発生するとともに、溶接後の接合部に割れが発生し、トルク剥離強さとそのばらつき、押込み剥離強さとそのばらつきの評価が劣っている。
実験No.B−65では、溶接時の通電時間が本発明の規定範囲を下回っているため、ボルト/高強度鋼板間に隙間が発生するとともに、硫酸浸漬後の接合部に割れが発生し、トルク剥離強さとそのばらつき、押込み剥離強さとそのばらつきの評価が劣っている。
実験No.B−66、67では、溶接時の通電時間が本発明の規定範囲を超えているため、溶接時に散りが発生するとともに、溶接後の接合部に割れが発生し、トルク剥離強さとそのばらつき、押込み剥離強さとそのばらつきの評価が劣っている。
実験No.B−69では、溶接後の後通電電流が本発明の規定範囲を下回っているため、溶接後の接合部に割れが発生するとともに、硫酸浸漬後の接合部に割れが発生し、トルク剥離強さとそのばらつき、押込み剥離強さとそのばらつきの評価が劣っている。
実験No.B−71では、溶接後の後通電時間が本発明の規定範囲を下回っているため、溶接後の接合部に割れが発生するとともに、硫酸浸漬後の接合部に割れが発生し、トルク剥離強さとそのばらつき、押込み剥離強さとそのばらつきの評価が劣っている。
実験No.B−72、73では、溶接後の後通電時間が本発明の規定範囲を超えており、接合部に割れが発生せず、また、各強度特性も良好であったものの、工程時間が長くなって生産性に劣ることから、総合評価が劣っている例である。
実験No.B−75では、溶接後の保持時間が本発明の規定範囲を超えているため、溶接後の接合部に割れが発生するとともに、硫酸浸漬後の接合部に割れが発生し、トルク剥離強さとそのばらつき、押込み剥離強さとそのばらつきの評価が劣っている。
実施例3においては、実施例1と同様の方法で、下記表6および表7に示した通電条件で、表1に示す成分組成を有するナットと各種の高強度鋼板とをプロジェクション溶接し、接合部の特性を調査するための試験片を作製した。そして、得られた試験片について、実施例1と同様の評価を行った。なお、実施例3においては、下記表6および表7に示すように、本通電の後、冷却時間Ct(ms)で通電を停止した後、後通電電流POC1および後通電時間POt1で後通電を行った。
表6に示すように、本発明で規定する条件で本通電を行うとともに、本通電の後、本発明の請求項2で規定する冷却時間Ctを設けた後に後通電を行った本発明例(実験No.C−1〜C−43)においては、何れの例においても、接合部の割れが発生せず、トルク剥離強さと押込み剥離強さのばらつきが小さく、優れた特性を示すことが明らかとなった。また、これら本発明例においては、上記実施例1における本発明例と比較して、耐割れ性が特に高く、さらに優れた継手特性を備えていることが明らかである。
実施例4においては、実施例2と同様の方法で、下記表8および表9に示した通電条件で、表1に示す成分組成を有するボルトと各種の高強度鋼板とをプロジェクション溶接し、接合部の特性を調査するための試験片を作製した。そして、得られた試験片について、実施例1と同様の評価を行った。なお、実施例4においては、下記表8および表9に示すように、本通電の後、冷却時間Ct(ms)で通電を停止した後、後通電電流POC1および後通電時間POt1で後通電を行った。
表8に示すように、本発明で規定する条件で本通電を行うとともに、本通電の後、本発明の請求項2で規定する冷却時間を設けた後に後通電を行った本発明例(実験No.D−1〜D−43)においては、何れの例においても、接合部の割れが発生せず、トルク剥離強さと押込み剥離強さのばらつきが小さく、優れた特性を示すことが明らかとなった。また、これら本発明例においては、上記実施例2における本発明例と比較して、耐割れ性が特に高く、さらに優れた継手特性を備えていることが明らかである。
実施例5においては、実施例1、3と同様の方法で、下記表10および表11に示した通電条件で、表1に示す成分組成を有するナットと各種の高強度鋼板とをプロジェクション溶接し、接合部の特性を調査するための試験片を作製した。そして、得られた試験片について、実施例1と同様の評価を行った。なお、実施例5においては、後通電を行った後に電極を保持する際、電極保持加圧力PEFを下記表10および表11に示す条件とした。
表10に示すように、本発明で規定する条件で本通電および後通電を行った後、本発明の請求項3で規定する条件で電極保持を行った本発明例(実験No.E−1〜E−49)は、何れの例においても、接合部の割れが発生せず、トルク剥離強さと押込み剥離強さのばらつきが小さく、優れた特性を示すことが明らかとなった。また、これら本発明例においては、上記実施例1における本発明例と比較して、耐割れ性が特に高く、さらに優れた継手特性を備えていることが明らかである。
実施例6においては、実施例2、4と同様の方法で、下記表12および表13に示した通電条件で、表1に示す成分組成を有するボルトと各種の高強度鋼板とをプロジェクション溶接し、接合部の特性を調査するための試験片を作製した。そして、得られた試験片について、実施例1と同様の評価を行った。なお、実施例6においては、後通電を行った後に電極を保持する際、電極保持加圧力PEFを下記表12および表13に示す条件とした。
表12に示すように、本発明で規定する条件で本通電および後通電を行った後、本発明の請求項3で規定する条件で電極保持を行った本発明例(実験No.F−1〜F−49)は、何れの例においても、接合部の割れが発生せず、トルク剥離強さと押込み剥離強さのばらつきが小さく、優れた特性を示すことが明らかとなった。また、これら本発明例においては、上記実施例1における本発明例と比較して、耐割れ性が特に高く、さらに優れた継手特性を備えていることが明らかである。
1a…表面
11…ピアス孔、
11a…ピアス孔の中心、
2…ナット、
2a…接合面、
21…プロジェクション部、
22…ねじ孔、
22a…ねじ孔の中心、
A、A1…接合部、
B、B1…熱影響部(HAZ)、
10、10A…プロジェクション溶接継手、
12…ボルト、
12A…下面、
12a…プロジェクション部、
50、50A…構造部材(プロジェクション溶接継手を備える構造部材)、
80、90…プロジェクション溶接機、
81、91…上部電極、
82、92…下部電極(固定電極)、
94…位置決め穴、
85…位置決めピン、
SJ…ナットまたはボルトと高強度鋼板との接合部の面積、
SR…ナットまたはボルトの呼び径部分の面積、
Claims (3)
- 質量%で、
C :0.07〜0.28%、
Si:0.007〜0.35%、
Mn:0.20〜1.20%、
P :0.020%以下、
S :0.035%以下、
Cu:0.30%以下
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるナットまたはボルトと、引張強さが950〜1600MPa、板厚が0.8〜3.0mmであるとともに、下記(1)式で表される炭素当量Ceqが質量%で0.22〜0.50%の範囲である高強度鋼板とをプロジェクション溶接によって接合する、プロジェクション溶接継手の製造方法であって、
電極の加圧力EF、通電時間Wtが、それぞれ下記(2)、(3)式で表される関係を満たす条件で本通電を行い、
前記本通電の直後に、下記(4)、(5)式で表される関係式を満たす条件で後通電を実施し、
次いで、下記(6)式で表される通電終了後の電極保持時間Htにて電極保持を行うことにより、前記ナットまたはボルトと前記高強度鋼板との接合部の面積SJと、前記ナットまたはボルトの呼び径部分の面積SRとの比が下記(7)式で表される関係を満たし、かつ、前記接合部および熱影響部のビッカース硬さの最大値が550Hv以下となるように制御しながらプロジェクション溶接を行うことを特徴とするプロジェクション溶接継手の製造方法。
Ceq = [C]+[Si]/30+[Mn]/20+2[P]+4[S] ・・・(1)
1.96 ≦ EF ≦5.88 ・・・(2)
50 ≦ Wt ≦ 240 ・・・(3)
0.40×WC ≦ POC1 ≦ 0.95×WC ・・・(4)
30 ≦ POt1 ≦ 200 ・・・(5)
Ht ≦ 160 ・・・(6)
0.7 ≦ SJ/SR ≦ 1.5 ・・・(7)
{但し、上記(1)式において、Ceq:炭素当量(質量%)、[C]、[Si]、[Mn]、[P]、[S]:C、Si、Mn、P、Sの各々の含有量(質量%)を示し、上記(2)、(3)式において、EF:通電時の電極の加圧力(kN)、Wt:通電時間(ms)を示し、上記(4)〜(6)式において、WC::プロジェクション溶接電流(kA)、POC1:後通電電流(kA)、POt1:後通電時間(ms)、Ht:後通電後の電極保持時間(ms)を示し、また、上記(7)式において、SJ:ナットまたはボルトと高強度鋼板との接合部の面積(mm2)、SR:ナットまたはボルトの呼び径部分の面積(mm2)を示す。} - 請求項1に記載のプロジェクション溶接継手の製造方法であって、
電極の加圧力EF、通電時間Wtが、それぞれ上記(2)、(3)式で表される関係を満たす条件で本通電を行い、
前記本通電の直後に、下記(8)〜(10)式で表される関係式を満たす条件の後通電を実施し、
次いで、上記(6)式で表される通電終了後の電極保持時間Htにて電極保持を行うことにより、前記ナットまたはボルトと前記高強度鋼板との接合部の面積SJと、前記ナットまたはボルトの呼び径部分の面積SRとの比が上記(7)式で表される関係を満たし、かつ、前記接合部および熱影響部のビッカース硬さの最大値が550Hv以下となるように制御しながらプロジェクション溶接を行うことを特徴とするプロジェクション溶接継手の製造方法。
16 ≦ Ct ≦ 300 ・・・(8)
0.40×WC ≦ POC2 ≦ 0.95×WC ・・・(9)
30 ≦ POt3 ≦ 200 ・・・(10)
{但し、上記(8)〜(10)式において、Ct:溶接通電後の冷却時間(ms)、POC2:後通電電流(kA)、POt2:後通電時間(ms)を示す。} - 請求項1または請求項2に記載のプロジェクション溶接継手の製造方法であって、
前記溶接通電の後から、電極保持時間Htが終了するまでの電極加圧力PEF(kN)を、下記(11)式で表される関係を満たす範囲とすることを特徴とするプロジェクション溶接継手の製造方法。
1.2×EF ≦ PEF ≦ 1.5×EF ・・・(11)
{但し、上記(11)式において、PEF:溶接後の電極加圧力(kN)、EF:通電時の電極の加圧力(kN)を示す。}
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