JP2013078717A - 汚泥付着木材の洗浄廃水処理剤および処理法 - Google Patents
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Abstract
【課題】汚泥や塩分などが多く含まれ、且つ、木材からの溶出物が含まれる洗浄廃水を、良好に浄化できるようにする。
【解決手段】無機凝集剤40〜60質量%、無機凝集剤によるPHの変動を中性域に戻すPH調整剤20〜30質量%、吸着剤10〜40質量%、高分子凝集剤0.05〜2.0質量%を含む。
【選択図】なし
【解決手段】無機凝集剤40〜60質量%、無機凝集剤によるPHの変動を中性域に戻すPH調整剤20〜30質量%、吸着剤10〜40質量%、高分子凝集剤0.05〜2.0質量%を含む。
【選択図】なし
Description
本発明は、汚泥付着木材の洗浄廃水処理剤及び処理法に関する。
例えば、地震、津波、大雨による河川の洪水などの天災により、汚泥に浸かった木材は、再使用したり燃料として有効利用するために、洗浄して木材に付着した汚泥や塩分などを除去しなければならない。
しかし、その洗浄により発生する洗浄廃水には、汚泥中の濁度(SS)成分や有機成分や化学成分の他に、木材からの溶出成分が多く含まれ、それらの多くの成分が含まれる洗浄廃水を廃棄するには、SS値,BOD値,COD値などの放流廃水としての国や自治体の排水基準を満たす必要があり、その洗浄廃水を浄化処理しなければならない。
そこで、洗浄廃水の浄化処理のために、木材の製材廃液の浄化法として提案されている電解装置とセラミック炭で吸着処理する方法(例えば、特許文献1参照)や、汚濁成分を含む廃水に凝集剤を投入して浄化する方法(例えば、特許文献2参照)等を、利用することが考えられる。
しかし、その洗浄により発生する洗浄廃水には、汚泥中の濁度(SS)成分や有機成分や化学成分の他に、木材からの溶出成分が多く含まれ、それらの多くの成分が含まれる洗浄廃水を廃棄するには、SS値,BOD値,COD値などの放流廃水としての国や自治体の排水基準を満たす必要があり、その洗浄廃水を浄化処理しなければならない。
そこで、洗浄廃水の浄化処理のために、木材の製材廃液の浄化法として提案されている電解装置とセラミック炭で吸着処理する方法(例えば、特許文献1参照)や、汚濁成分を含む廃水に凝集剤を投入して浄化する方法(例えば、特許文献2参照)等を、利用することが考えられる。
しかし、上述した前者の方法では、コスト及び電力消費の面で災害地での使用は困難であり、また、後者の方法では、第1凝集剤粒子と第2凝集剤粒子を準備すべく、予め粘土鉱物に高分子凝集剤を担持させたり、粘土鉱物に無機凝集剤を担持させるなどの多くの手間を必要としたり、凝集剤中に多くの粘土鉱物が含まれるために、処理対象の廃水として、汚泥が多く含まれてSS成分が多く、しかも、木材から溶出したリグニンなどの着色成分の多い廃水の浄化には、不適であるという問題点があった。
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、汚泥や塩分などが多く含まれ、且つ、木材からの溶出物が含まれる洗浄廃水を、良好に浄化できるようにするところにある。
本発明の第1の特徴構成は、無機凝集剤40〜60質量%、前記無機凝集剤によるPHの変動を中性域に戻すPH調整剤20〜30質量%、吸着剤10〜40質量%、高分子凝集剤0.05〜2.0質量%を含むところにある。
本発明の第1の特徴構成によれば、前記無機凝集剤が木材からの溶出成分(例えばリグニン)などの色度成分と反応して金属塩の沈殿物が生成し、同時に、負電荷を持つ荷電性の有機物やSS成分の荷電中和が行われ、凝集沈殿しやすくなる。
そして、その無機凝集剤の配合割合が40質量%未満の場合、本発明の洗浄廃水処理剤の廃水に対する添加率を高くしなければならなくなり、配合割合が60質量%より多くなると、他の配合物の割合が低くなり、廃水中の様々な微量成分の吸着が果たせなくなる。
また、前記PH調整剤は、無機凝集剤により処理液のPHが酸性側に移動するのを防止すると同時に、廃水中のリン酸イオン、フッ素化合物、金属イオンなどの有害物質の吸着除去作用が期待できる。
従って、PH調整剤の配合割合は、無機凝集剤の半分の20〜30質量%が有効である。
また、前記10〜40質量%の吸着剤は、トータルリン(T−P)及びトータル窒素(T−N)の除去や、可溶性有機物の吸着、凝集生成フロック沈降性の改善が行われ、高分子凝集剤に拡散性を持たせる機能等もあり、その上、重金属の吸着、除去が行われる。つまり、配合率が、10質量%未満の場合、廃水中に溶解している有害成分、油分などの吸着機能が弱くなる。しかし、廃水中のSSが高い場合は、40質量%より配合率が高くなると、荷電中和のために必要な無機及び高分子凝集剤の量が多くなるために、40質量%以下が望ましい。
また、前記高分子凝集剤の配合により、吸着剤と吸着した汚濁物質の凝結と凝集が行われると共に、系全体の荷電性の調整が行われ、小さいフロックから大きいフロックを生成する。尚、配合割合が、0.05質量%未満の場合、荷電性の調整と荷電中和の役割は、十分発揮できなくなり、2.0質量%より多くなると、生成フロックが水分を多く含んで軽くなり、水面に浮上する現象がおこるために、沈殿分離ができなくなる虞がある。
そして、その無機凝集剤の配合割合が40質量%未満の場合、本発明の洗浄廃水処理剤の廃水に対する添加率を高くしなければならなくなり、配合割合が60質量%より多くなると、他の配合物の割合が低くなり、廃水中の様々な微量成分の吸着が果たせなくなる。
また、前記PH調整剤は、無機凝集剤により処理液のPHが酸性側に移動するのを防止すると同時に、廃水中のリン酸イオン、フッ素化合物、金属イオンなどの有害物質の吸着除去作用が期待できる。
従って、PH調整剤の配合割合は、無機凝集剤の半分の20〜30質量%が有効である。
また、前記10〜40質量%の吸着剤は、トータルリン(T−P)及びトータル窒素(T−N)の除去や、可溶性有機物の吸着、凝集生成フロック沈降性の改善が行われ、高分子凝集剤に拡散性を持たせる機能等もあり、その上、重金属の吸着、除去が行われる。つまり、配合率が、10質量%未満の場合、廃水中に溶解している有害成分、油分などの吸着機能が弱くなる。しかし、廃水中のSSが高い場合は、40質量%より配合率が高くなると、荷電中和のために必要な無機及び高分子凝集剤の量が多くなるために、40質量%以下が望ましい。
また、前記高分子凝集剤の配合により、吸着剤と吸着した汚濁物質の凝結と凝集が行われると共に、系全体の荷電性の調整が行われ、小さいフロックから大きいフロックを生成する。尚、配合割合が、0.05質量%未満の場合、荷電性の調整と荷電中和の役割は、十分発揮できなくなり、2.0質量%より多くなると、生成フロックが水分を多く含んで軽くなり、水面に浮上する現象がおこるために、沈殿分離ができなくなる虞がある。
本発明の第2の特徴構成は、 前記無機凝集剤は、硫酸アルミニウム、PAC、硫酸鉄、塩化鉄のいずれかからなり、前記PH調整剤は炭酸カルシウムまたは水酸化カルシウムからなり、前記吸着剤はカオリナイト、ベントナイト、硫酸カルシウムの内の少なくとも一種からなるところにある。
本発明の第2の特徴構成によれば、無機凝集剤の硫酸アルミニウム、PAC、硫酸鉄、塩化鉄などに有する金属イオンが、木材から溶出したリグニン等の色度成分と反応して、不溶性のリグニン金属塩を生成する。そして、無機凝集剤の混入により処理液のPHが酸性側になるのを、炭酸カルシウムまたは水酸化カルシウムからなるPH調整剤が、中性側に戻し、沈殿性能を向上させる。
特に、PH調整剤における炭酸カルシウムは、無機凝集剤中の余剰の硫酸アルミニウムと反応して硫酸カルシウムを生成し、その硫酸カルシウムは吸着性能を発揮する。また、同時に生成する炭酸(H2CO3)は、緩衝剤(buffer)として機能する。
更に、前記吸着剤として、カオリナイトやベントナイトは、特にマイナスの荷電性があるために、プラスの荷電性を持つ物質を中和し、沈殿分離しやすくなるばかりか廃水中の油分の吸着に役立つ。また、硫酸カルシウム(CaSO4)は、廃水中のSSの濃度によって、配合率を0〜20質量%の範囲で変えることにより対応できるのであるが、特にSS濃度が低い場合、着色物質の吸着に役立つ。これに対し、SSの濃度が高い場合は、吸着剤としての硫酸カルシウムの配合率を減らして、硫酸アルミニウムや炭酸カルシウムの配合率を上げて、反応により生成する硫酸カルシウムにより上記機能を期待することができる。
特に、PH調整剤における炭酸カルシウムは、無機凝集剤中の余剰の硫酸アルミニウムと反応して硫酸カルシウムを生成し、その硫酸カルシウムは吸着性能を発揮する。また、同時に生成する炭酸(H2CO3)は、緩衝剤(buffer)として機能する。
更に、前記吸着剤として、カオリナイトやベントナイトは、特にマイナスの荷電性があるために、プラスの荷電性を持つ物質を中和し、沈殿分離しやすくなるばかりか廃水中の油分の吸着に役立つ。また、硫酸カルシウム(CaSO4)は、廃水中のSSの濃度によって、配合率を0〜20質量%の範囲で変えることにより対応できるのであるが、特にSS濃度が低い場合、着色物質の吸着に役立つ。これに対し、SSの濃度が高い場合は、吸着剤としての硫酸カルシウムの配合率を減らして、硫酸アルミニウムや炭酸カルシウムの配合率を上げて、反応により生成する硫酸カルシウムにより上記機能を期待することができる。
本発明の第3の特徴構成は、前記高分子凝集剤は、でんぷん、カチオン性高分子凝集剤、ノニオン性高分子凝集剤の内の少なくとも1種であるところにある。
本発明の第3の特徴構成によれば、高分子凝集剤としてのでんぷん、カチオン性高分子凝集剤、ノニオン性高分子凝集剤は、吸着剤としての粘土成分と混合することにより、長期に亘って安定し、保存しやすい。
本発明の第4の特徴構成は、前記無機凝集剤、前記PH調整剤、前記吸着剤、前記高分子凝集剤の夫々を、粉粒体の状態で混合したものであるところにある。
本発明の第4の特徴構成によれば、従来技術のように、予め粘土鉱物に凝集剤を担持しておいたりするような多くの手間をかけずに、単純に夫々粉粒体の状態で混合するだけでも、他の配合物に優先して溶解性の良好な無機凝集剤が廃水中に溶解して反応した後に、吸着剤や高分子凝集剤が作用する。
本発明の第5の特徴構成は、前記高分子凝集剤と前記PH調整剤と前記吸着剤の混合物を造粒し、その造粒物の外周面を前記無機凝集剤で被覆してあるところにある。
本発明の第5の特徴構成によれば、造粒物の外周面に被覆してある無機凝集剤が、優先的且つ確実に、木材からの溶出物と反応して色度成分を除去でき、その後において、高分子凝集剤、PH調整剤、吸着剤が作用し、全体として凝集効果を確実に上げることができる。
また、高分子凝集剤は、一般的に単独では空気に触れると潮解性があるものが多く、そのために吸湿により固まったり、自己酸化分解を起こす虞があるが、PH調整剤や吸着剤と共に造粒することで、空気との接触が抑制され、酸化分解が防止される。その上、その造粒物の外周面を無機凝集剤で被覆してある事で、潮解性、酸化分解性を防止して凝集能力を長期に維持できるようになった。
また、高分子凝集剤は、一般的に単独では空気に触れると潮解性があるものが多く、そのために吸湿により固まったり、自己酸化分解を起こす虞があるが、PH調整剤や吸着剤と共に造粒することで、空気との接触が抑制され、酸化分解が防止される。その上、その造粒物の外周面を無機凝集剤で被覆してある事で、潮解性、酸化分解性を防止して凝集能力を長期に維持できるようになった。
本発明の第6の洗浄廃水処理法の特徴構成は、汚泥付着木材の洗浄廃水に無機凝集剤を投入して、前記洗浄廃水中の木材からの溶出物質を、前記無機凝集剤中の金属イオンと反応させて金属塩を生成させ、その金属塩を生成した処理液に、PH調整剤と吸着剤と高分子凝集剤の混合物を投入することにより、凝集沈殿させて固液分離するところにある。
本発明の第6の特徴構成によれば、凝集沈殿効果を高く期待できて、固液分離性能を向上させることができ、汚泥付着木材の洗浄廃水の処理を良好にできるようになった。
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
地震、津波、大雨による河川の洪水などの天災により汚泥に浸かった木材を、水により洗浄して有効利用する際に排出される洗浄廃水は、濁度(SS)成分や有機成分、化学成分、木材からの溶出成分等が多く含まれている。特に、木材からの溶出成分としては、リグニンやタンニンなどが含まれ、これが廃水を着色させる着色成分になると考えられており、排水基準を満たすための一つの障害になることが多い。
この汚泥付着木材の洗浄廃水は、凝集剤などの処理剤により凝集沈殿させて、固液分離することにより河川などに放流し易くするが、本発明は、凝集沈殿させる洗浄廃水処理剤として、次の組成物を提供する。
地震、津波、大雨による河川の洪水などの天災により汚泥に浸かった木材を、水により洗浄して有効利用する際に排出される洗浄廃水は、濁度(SS)成分や有機成分、化学成分、木材からの溶出成分等が多く含まれている。特に、木材からの溶出成分としては、リグニンやタンニンなどが含まれ、これが廃水を着色させる着色成分になると考えられており、排水基準を満たすための一つの障害になることが多い。
この汚泥付着木材の洗浄廃水は、凝集剤などの処理剤により凝集沈殿させて、固液分離することにより河川などに放流し易くするが、本発明は、凝集沈殿させる洗浄廃水処理剤として、次の組成物を提供する。
つまり、汚泥付着木材の洗浄廃水処理剤としては、硫酸アルミニウム、PAC、硫酸鉄、塩化鉄のいずれかからなる無機凝集剤40〜60質量%と、前記無機凝集剤によるPHの変動を中性域に戻す炭酸カルシウムまたは水酸化カルシウムなどからなるPH調整剤20〜30質量%と、カオリナイト、ベントナイト、硫酸カルシウムの内の少なくとも一種からなる吸着剤10〜40質量%と、でんぷん、カチオン性高分子凝集剤、ノニオン性高分子凝集剤の内の少なくとも1種からなる高分子凝集剤0.05〜2.0質量%とを、それぞれ粉粒体の状態で混合した混合物である。
これらの混合物は、洗浄廃水に投入して攪拌することで、混合物中の硫酸アルミニウムなどの無機凝集剤が水に溶けやすいために、優先的に溶解して洗浄廃水中の主たる色度成分であるリグニンなどの木材からの溶出成分と反応して、沈殿し易い金属塩を生成すると同時に、負電荷を持つ荷電性の有機物やSS成分の中和が行われ、全体として凝集沈殿しやすくなる。
その後、無機凝集剤により処理液のPHが酸性側に移動するのを、炭酸カルシウムなどのPH調整剤が防止すると同時に、廃水中のリン酸イオン、フッ素化合物、金属イオンなどの有害物質の吸着除去作用が行われ、カオリナイトなどの吸着剤によりトータルリン(T−P)及びトータル窒素(T−N)の除去や、可溶性有機物の吸着、凝集生成フロック沈降性の改善が行われ、その上、重金属の吸着、除去が行われる。
また、前記高分子凝集剤の配合により、吸着剤と吸着した汚濁物質の凝結と凝集が行われると共に、系全体の荷電性の調整が行われ、小さいフロックから大きいフロックを生成し、沈殿分離し易くなる。
また、前記高分子凝集剤の配合により、吸着剤と吸着した汚濁物質の凝結と凝集が行われると共に、系全体の荷電性の調整が行われ、小さいフロックから大きいフロックを生成し、沈殿分離し易くなる。
次に、前記特許文献2に該当する従来の凝集剤(比較処理剤)と、本発明の洗浄廃水処理剤との凝集性の比較を行う。
(比較処理剤)
比較例の凝集剤における全組成物を、単純な組成割合にすると、水溶性アルミニウム塩を20〜44.2質量%、5%水懸濁液でのPHが4.5〜10にあるモンモリロナイト粘土鉱物(酸性白土)を56〜80質量%、分子量が100万〜800万の範囲にある高分子凝集剤を0.00008〜0.53質量%となり、その範囲内で、モンモリロナイト64.86質量%、硫酸アルミニウム35質量%、高分子凝集剤0.14質量%(分子量800万)の比較例サンプルを作った。
比較例の凝集剤における全組成物を、単純な組成割合にすると、水溶性アルミニウム塩を20〜44.2質量%、5%水懸濁液でのPHが4.5〜10にあるモンモリロナイト粘土鉱物(酸性白土)を56〜80質量%、分子量が100万〜800万の範囲にある高分子凝集剤を0.00008〜0.53質量%となり、その範囲内で、モンモリロナイト64.86質量%、硫酸アルミニウム35質量%、高分子凝集剤0.14質量%(分子量800万)の比較例サンプルを作った。
(本件処理剤1)
無機凝集剤として硫酸アルミニウム40質量%、PH調整剤として炭酸カルシウム20質量%、吸着剤としてベントナイト20質量%と石膏(硫酸カルシウム)19.8質量%、高分子凝集剤としてカチオン高分子凝集剤0.5質量%とノニオン高分子凝集剤0.2質量%の粉粒体混合物を作った。
無機凝集剤として硫酸アルミニウム40質量%、PH調整剤として炭酸カルシウム20質量%、吸着剤としてベントナイト20質量%と石膏(硫酸カルシウム)19.8質量%、高分子凝集剤としてカチオン高分子凝集剤0.5質量%とノニオン高分子凝集剤0.2質量%の粉粒体混合物を作った。
(本件処理剤2)
無機凝集剤として硫酸アルミニウム58質量%、PH調整剤として炭酸カルシウム20質量%、吸着剤としてベントナイト20質量%、高分子凝集剤としてカチオン高分子凝集剤1.0質量%、ノニオン高分子凝集剤1.0質量%の粉粒体混合物を作った。
無機凝集剤として硫酸アルミニウム58質量%、PH調整剤として炭酸カルシウム20質量%、吸着剤としてベントナイト20質量%、高分子凝集剤としてカチオン高分子凝集剤1.0質量%、ノニオン高分子凝集剤1.0質量%の粉粒体混合物を作った。
比較処理剤と本件処理剤1、本件処理剤2とを、汚泥付着木材の洗浄廃水に投入して攪拌することにより、凝集沈殿させて固液分離し、夫々処理剤に対する色度除去率(図1(a)、(b))、濁度除去率(図2(a)、(b))、トータル炭素除去率(図3(a)、(b))について実験を行った。ただし、洗浄廃水は次の2種類(処理対象廃液1、処理対象廃液2)を準備し、夫々について各処理剤の凝集性能を確かめた。
(処理対象廃液1)
PH7.86、トータル炭素(TOC)=589mg/L、色度1001度、濁度21158mg/Lの廃木材水洗廃液。
PH7.86、トータル炭素(TOC)=589mg/L、色度1001度、濁度21158mg/Lの廃木材水洗廃液。
(処理対象廃液2)
PH6.83、TOC=107mg/L、色度440度、濁度50mg/Lの廃木材水洗廃液。
PH6.83、TOC=107mg/L、色度440度、濁度50mg/Lの廃木材水洗廃液。
(結果)
各実験結果として、図1((a)、(b))に示すように、いずれの処理対象廃液1,2に対しても比較処理剤よりも少ない添加量で色度除去率が大きくなることが明確で、特に比較処理剤においては、最大60%の除去率であるのに対し、本件処理剤1,2では、80〜90%の除去率が得られる。
また、図2((a)、(b))における濁度除去率も、図3((a)、(b))におけるトータル炭素(TOC)除去率においても、比較処理剤よりも本件処理剤1、本件処理剤2の方が、少ない添加率で高い除去率が得られる。
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
各実験結果として、図1((a)、(b))に示すように、いずれの処理対象廃液1,2に対しても比較処理剤よりも少ない添加量で色度除去率が大きくなることが明確で、特に比較処理剤においては、最大60%の除去率であるのに対し、本件処理剤1,2では、80〜90%の除去率が得られる。
また、図2((a)、(b))における濁度除去率も、図3((a)、(b))におけるトータル炭素(TOC)除去率においても、比較処理剤よりも本件処理剤1、本件処理剤2の方が、少ない添加率で高い除去率が得られる。
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
〈1〉 本発明の汚泥付着木材の洗浄廃水処理剤は、前記無機凝集剤、前記PH調整剤、前記吸着剤、前記高分子凝集剤の夫々を、粉粒体の状態で混合したものを示したが、無機凝集剤を確実に優先的に洗浄廃水に作用させるために、高分子凝集剤とPH調整剤と吸着剤の混合物を造粒し、その造粒物の外周面を無機凝集剤で被覆して、粒状又はペレット状に成形してあってもよい。これにより、無機凝集剤の優先的な反応の他に、高分子凝集剤が酸素と接触して潮解硬化するのを防止して、長期保存ができるようになる。
〈2〉 本発明の洗浄廃水処理剤は、前記無機凝集剤、前記PH調整剤、前記吸着剤、前記高分子凝集剤の混合物を、処理対象廃水に対して一度に投入する以外に、まず、汚泥付着木材の洗浄廃水に無機凝集剤を投入して、洗浄廃水中の木材からの溶出物質を、無機凝集剤中の金属イオンと反応させて金属塩を生成させた後、その金属塩を生成した処理液に、PH調整剤と吸着剤と高分子凝集剤の混合物を投入することにより、凝集沈殿させて固液分離するように、投入時期をずらせるようにして、無機凝集剤による色度成分との反応を確実に行わせるようしても良い。
〈2〉 本発明の洗浄廃水処理剤は、前記無機凝集剤、前記PH調整剤、前記吸着剤、前記高分子凝集剤の混合物を、処理対象廃水に対して一度に投入する以外に、まず、汚泥付着木材の洗浄廃水に無機凝集剤を投入して、洗浄廃水中の木材からの溶出物質を、無機凝集剤中の金属イオンと反応させて金属塩を生成させた後、その金属塩を生成した処理液に、PH調整剤と吸着剤と高分子凝集剤の混合物を投入することにより、凝集沈殿させて固液分離するように、投入時期をずらせるようにして、無機凝集剤による色度成分との反応を確実に行わせるようしても良い。
Claims (6)
- 無機凝集剤40〜60質量%、
前記無機凝集剤によるPHの変動を中性域に戻すPH調整剤20〜30質量%、
吸着剤10〜40質量%、
高分子凝集剤0.05〜2.0質量%を含む
汚泥付着木材の洗浄廃水処理剤。 - 前記無機凝集剤は、硫酸アルミニウム、PAC、硫酸鉄、塩化鉄のいずれかからなり、
前記PH調整剤は炭酸カルシウムまたは水酸化カルシウムからなり、
前記吸着剤はカオリナイト、ベントナイト、硫酸カルシウムの内の少なくとも一種からなる請求項1記載の汚泥付着木材の洗浄廃水処理剤。 - 前記高分子凝集剤は、でんぷん、カチオン性高分子凝集剤、ノニオン性高分子凝集剤の内の少なくとも1種である請求項1または2に記載の汚泥付着木材の洗浄廃水処理剤。
- 前記無機凝集剤、前記PH調整剤、前記吸着剤、前記高分子凝集剤の夫々を、粉粒体の状態で混合したものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の汚泥付着木材の洗浄廃水処理剤。
- 前記高分子凝集剤と前記PH調整剤と前記吸着剤の混合物を造粒し、その造粒物の外周面を前記無機凝集剤で被覆してある請求項1〜3の何れか1項に記載の汚泥付着木材の洗浄廃水処理剤。
- 汚泥付着木材の洗浄廃水に無機凝集剤を投入して、前記洗浄廃水中の木材からの溶出物質を、前記無機凝集剤中の金属イオンと反応させて金属塩を生成させ、その金属塩を生成した処理液に、PH調整剤と吸着剤と高分子凝集剤の混合物を投入することにより、凝集沈殿させて固液分離する汚泥付着木材の洗浄廃水処理法。
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