JP2013078375A - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸収体の構成物が吸収体から漏洩することを抑制しつつ、トップシートに経血が残存しにくくし、トップシートのべたつき感をなくし、吸収性物品がサラサラ感を有するようにできる吸収性物品を提供する。
【解決手段】本発明の吸収性物品は、肌側の面と着衣側の面との間を貫通する貫通穴10を有する吸収体4を含み、トップシート2は、吸収体4の貫通穴10の穴内を被覆し、貫通穴10の穴内を被覆しているトップシート2には、血液改質剤8が塗布されており、血液改質剤8は、0〜0.60のIOBと、45℃以下の融点と、25℃の水100gに対する、0.05g以下の水溶解度とを有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、生理用ナプキンおよびおりもの吸収ライナなどの経血を吸収する吸収性物品に関する。
針状突起または円錐状突起を吸収体に刺入することによって、吸収体の裏面に貫通する貫通穴、または非貫通であって深さが吸収体厚みの50%以上の窪み穴を吸収体に形成した吸収性物品が従来技術として知られている(たとえば、特許文献1)。これにより、吸収体を柔軟にすることができる。
特許第3556581号公報
しかしながら、特許文献1に記載の吸収性物品では、トップシートにおける吸収体の貫通穴または非貫通穴の上の部分の下方には吸収体が存在しないため、トップシートに着用者の経血が付着した場合、その部分に付着した経血が吸収体に吸収されずに残存する場合がある。また、パルプと吸収性ポリマー(SAP)との混合物をティッシュで被覆することによって得られた吸収体では、貫通穴または非貫通穴を吸収体に形成したとき、ティッシュは破れてしまうので、吸収体の貫通穴または非貫通穴から吸収体のパルプおよび/または吸収性ポリマーが漏洩する場合がある。
本発明は、吸収体の構成物が吸収体から漏洩することを抑制しつつ、トップシートに経血が残存しにくくし、トップシートのべたつき感をなくし、吸収性物品がサラサラ感を有するようにできる吸収性物品を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の構成を採用した。
本発明は、肌側に設けられた液透過性のトップシート、着衣側に設けられた液不透過性のバックシート、ならびに該トップシートと該バックシートとの間に介在し、肌側の面と着衣側の面との間を貫通する貫通穴を有する液保持性の吸収体を含む吸収性物品であって、トップシートは、吸収体の貫通穴の穴内を被覆し、貫通穴の穴内を被覆しているトップシートには、血液改質剤が塗布されており、血液改質剤は、0〜0.60のIOBと、45℃以下の融点と、25℃の水100gに対する、0.05g以下の水溶解度とを有する。
本発明によれば、吸収体の構成物が吸収体から漏洩することを抑制しつつ、トップシートに経血が残存しにくくし、トップシートのべたつき感をなくし、吸収性物品がサラサラ感を有するようにできる。
図1は本発明の一実施形態の吸収性物品の部分破断平面図である。 図2(a)は図1のA−A線断面を示す模式断面図であり、図2(b)は、本発明の一実施形態の吸収性物品の貫通穴の模式断面図である。 図3は本発明の一実施形態の吸収性物品の吸収体の平面図である。 図4はトップシートおよび吸収体に貫通穴を形成する方法の一例を説明するための図である。 図5(a)は、本発明の一実施形態の吸収性物品の変形例の模式断面図であり、図5(b)は、変形例の貫通穴の模式断面図である。 図6は、例1において、トップシートが血液改質剤を含む範囲を示す図である。 図7は、トップシートがトリC2L油脂肪酸グリセリドを含む生理用ナプキンにおける、トップシートの肌当接面の電子顕微鏡写真である。 図8は、血液改質剤を含むまたは含まない経血の顕微鏡写真である。 図9は、表面張力の測定方法を説明するための図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態における吸収性物品を説明する。しかし、本発明は図面に記載されたものに限定されるものではない。
図1は本発明の一実施形態の吸収性物品の部分破断平面図であり、図2は図1のA−A線断面を示す模式断面図である。吸収性物品1は、肌側に設けられた液透過性のトップシート2、着衣側に設けられた液不透過性のバックシート3および該トップシート2と該バックシート3との間に介在する液保持性の吸収体4を含む。吸収体4は、吸収体4の肌側の面と着衣側の面との間を貫通する貫通穴10を有する。トップシート2は、吸収体4の貫通穴を被覆する。また、トップシート2は、貫通穴10が形成されている領域に血液改質剤が塗布された血液改質剤塗布領域8を有する。
吸収性物品1は、トップシート2の幅方向の両側の上に設けられた一対のサイドシート5をさらに含む。また、吸収性物品1は、本体部6と本体部6から幅方向に延出する一対のウイング部7とを有する。
エンボス加工によってトップシート2とバックシート3とはシール部11で接合されている。また、エンボス加工によってバックシート3とサイドシート5とはシール部12で接合されている。シール部11,12は、吸収性物品1の外周に設けられている。バックシート3の着衣側には、粘着部13,14が設けられている。なお、図1において、吸収性物品1の幅方向がX軸方向であり、長手方向がY軸方向である。また、平面方向は、X軸Y軸方向に広がる平面の方向である。
本体部6の形状は、略長方形、略楕円型、略瓢箪型など、女性の身体およびショーツの形状に適合する形状であれば特に限定されない。本体部6の外形における長手方向の延べ寸法は、好ましくは100〜500mmであり、より好ましくは150〜350mmである。また、本体部6の外形における幅方向の延べ寸法は、好ましくは30〜200mmであり、より好ましくは40〜180mmである。
トップシート2は、着用者から排出された経血を、その下に設けた吸収体4へ通過させる。また、トップシート2は、バックシート3との間に吸収体4を挟むことにより吸収体4を保持する。トップシート2はその全部または一部が液透過性であり、トップシート2の液透過域は、液透過性の不織布、織布、多数の液透過孔が形成された樹脂フィルムまたは多数の網目を有するネット状シートなどで形成され得る。
トップシート2に用いる不織布または織布の素材としては、天然繊維、化学繊維のいずれも使用することが可能である。天然繊維の例としては、粉砕パルプ、コットンなどのセルロースが挙げられる。化学繊維の例としては、レーヨンおよびフィブリルレーヨンなどの再生セルロース、アセテートおよびトリアセテートなどの半合成セルロース、熱可塑性疎水性化学繊維、ならびに親水化処理を施した熱可塑性疎水性化学繊維が挙げられる。熱可塑性疎水性化学繊維としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの単繊維、PEとPPとをグラフト重合してなる繊維および芯鞘構造などの複合繊維が挙げられる。
トップシート2に用いる不織布の作製のとき、乾式法(カード法、スパンボンド法、メルトブローン法、エアレイド法等)および湿式法のいずれか、また乾式法および湿式法を組み合わせてウェブフォーミングを実施してもよい。トップシート2に用いる不織布の作製のときにおけるウェブのボンディング方法としては、サーマルボンディング、ニードルパンチ、ケミカルボンディングなどの方法が挙げられるが、これらの方法に限定されない。また、水流交絡法によりシート状に形成したスパンレースをトップシート2に用いてもよい。また、熱収縮繊維などを用いて下層側を収縮させることによって上層側に凹凸を成形した不織布、およびウェブ形成時にエアーを当てることで凹凸を形成した不織布などの肌側の面に凹凸をつけた不織布をトップシート2として使用してもよい。このように肌側の面に凹凸をつけることによってトップシート2と肌との間の接触面積を低減させることができる。
トップシート2に用いる不織布の繊維には、芯成分の融点が鞘成分より高い芯鞘タイプ、芯鞘の偏芯タイプ、または左右成分の融点が異なるサイドバイサイドタイプの複合繊維を使用してもよい。また、中空タイプの繊維や、扁平、Y型およびC型などの異型繊維や、潜在捲縮もしくは顕在捲縮の立体捲縮繊維や、水流、熱またはエンボス加工などの物理的負荷により分割する分割繊維などの繊維がトップシート2に用いる不織布に混合されていてもよい。
液体の入り込みや肌触りを考慮すると、トップシート2に用いる不織布の繊維の繊度は、好ましくは1.1〜8.8dtexである。
トップシート2に疎水性合成繊維を使用する場合、トップシート2の液体の入り込み性やリウェットバックを考慮して、親水剤や撥水剤などを疎水性合成繊維に練りこんだり、親水剤や撥水剤などで疎水性合成繊維をコーティングしたりしてもよい。また、コロナ処理やプラズマ処理によって疎水性合成繊維に親水性を付与してもよい。これにより、血液改質剤が親油性の場合、血液改質剤塗布領域8に親水性の箇所と親油性の箇所とがまばらに共存することになり、経血の親水性成分(主に血しょう)および親油性成分(主に血球)の両方がトップシート2から吸収体4へ速やかに移行する。
トップシート2の隠ぺい性を高めるために、トップシート2に用いる不織布の繊維に酸化チタン、硫酸バリウムおよび炭酸カルシウムなどの無機フィラーを含有させてもよい。不織布の繊維が芯鞘タイプの複合繊維である場合、芯のみに無機フィラーを含有させてもよいし、鞘のみに含有させてもよい。
トップシート2として樹脂フィルムまたはネット状シートを使用する場合、樹脂フィルムまたはネット状シートは、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などから形成され得る。
上述したように、トップシート2は、血液改質剤が塗布された血液改質剤塗布領域8を有する。血液改質剤の詳細は後述する。後述するように、血液改質剤塗布領域8の血液改質剤によって、経血の粘度および表面張力は下がり、トップシート2の血液改質剤塗布領域8に排出された経血は、トップシート2から吸収体4へ速やかに移行され、そして、吸収体4に吸収される。これにより、経血が吸収体4に吸収される吸収速度が速くなるので、トップシート2に粘度の高い経血が残存しにくく、トップシート2にべたつき感がなく、サラサラ感を有することができる。また、この血液改質剤によって、粘度の高い経血の粘度および表面張力が下がり、経血は吸収体4に移行させるため、トップシート上に粘度の高い経血の塊が残存しにくく、着用者が視覚的に不快感を覚えにくい。さらに、着用者がトップシート2に排出した経血が、吸収性物品1の幅方向側から漏れ出すのを抑制することができる。
トップシート2への血液改質剤の塗工目付は、好ましくは1〜30g/m2であり、より好ましくは、3〜10g/m2である。血液改質剤の塗工目付が1g/m2よりも小さいと、血液改質剤をトップシート2に安定的に塗布することが難しい場合があり、血液改質剤の塗工目付が30g/m2よりも大きいと、トップシート2がぬるぬるする場合がある。
血液改質剤は、所望の温度に加熱した後、スロットコーターなどの接触式コーターや、スプレーコーター、カーテンコーター、スパイラルコーターなどの非接触式コーターを使用して、トップシート2に塗布される。血液改質剤塗布領域8に液滴状の血液改質剤を均一に分散できる点、およびトップシート2にダメージを与えない点から、非接触式コーターを使用して血液改質剤をトップシート2に塗布することが好ましい。
トップシート用の不織布を作製するときに、血液改質剤を不織布に塗布してもよい。また、吸収性物品1の製造工程で、血液改質剤をトップシート2に塗布するようにしてもよい。しかし、設備投資を抑制できることから、吸収性物品1の製造工程で、血液改質剤をトップシート2に塗布することが好ましい。また、吸収性物品1の製造工程の間に、トップシート2に塗布した血液改質剤が減少することを抑制するために、吸収性物品1の完成に近い工程で血液改質剤をトップシート2に塗布することが好ましい。たとえば、吸収性物品1を包装する工程の直前に、血液改質剤をトップシート2に塗布してもよい。
バックシート3は、吸収体4に吸収された経血が外へ漏れ出すのを防止する。バックシートには、ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)などを主体とした液不透過性フィルム、通気性の樹脂フィルム、スパンボンドまたはスパンレースなどの不織布に通気性の樹脂フィルムが接合された複合フィルム、耐水性の高いメルトブローン不織布を強度の強いスパンボンド不織布で挟んだSMS不織布などを使用することができる。吸収性物品1の着用感を損なわないように吸収性物品1Aを柔軟にするために、バックシート3には、たとえば、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂を主体とした目付15〜30g/m2の樹脂フィルムを使用することが好ましい。
吸収体4は、経血を吸収して保持する機能を有する。吸収体4は、嵩高であり、型崩れし難く、化学的刺激が少ないことが好ましい。吸収体4として、たとえば、親水性繊維および吸収性ポリマー(SAP)などの吸収体4の構成物を被覆材で覆った吸収体およびフラッフ状パルプもしくはエアレイド不織布などの吸収体4の構成物と高吸収性ポリマーなどの吸収体4の構成物とからなる吸収体などを使用できる。
親水性繊維や吸収性ポリマーを被覆材で覆った吸収体4の親水性繊維には、粉砕パルプおよびコットンなどのセルロース、レーヨンおよびフィブリルレーヨンなどの再生セルロース、アセテートおよびトリアセテートなどの半合成セルロース、粒子状ポリマー、繊維状ポリマー、熱可塑性疎水性化学繊維、親水化処理を施した熱可塑性疎水性化学繊維、ならびにこれらの混合物が挙げられる。また、セルロース発泡体および合成樹脂の連続発泡体なども吸収体4に使用することができる。さらに、発泡体またはシート化した材料を粉砕した後に吸収体の形状に成形したものを吸収体4に使用することも可能である。これらの中で、低コストであることおよび成形がしやすいことから考慮すると、吸収体4の親水性繊維として粉砕パルプを使用することが好ましい。
吸収体4の高吸水性ポリマーには、吸収性および吸湿性を有するアクリル酸ナトリウム共重合体などの粒状ポリマーが一般的に用いられる。また、他の機能をポリマーに付与するために、銀、銅、亜鉛、シリカ、活性炭、アルミノケイ酸塩化合物またはゼオライトなどをポリマーに添加してもよい。これにより、消臭性、抗菌性、または吸熱効果などの機能をポリマーに付与することができる。
親水性繊維および吸収性ポリマーなどの吸収体4の構成物を被覆材で覆った吸収体4の被覆材は、液透過性および高分子吸収体がすり抜けないバリアー性を有すればとくに限定されない。たとえば、被覆材に、織布または不織布などを使用することができる。織布および不織布の素材としては、天然繊維、化学繊維のいずれも使用することが可能である。天然繊維には、粉砕パルプおよびコットンなどのセルロースが挙げられる。化学繊維には、レーヨンおよびフィブリルレーヨンなどの再生セルロース、アセテートおよびトリアセテートなどの半合成セルロース、熱可塑性疎水性化学繊維、および親水化処理を施した熱可塑性疎水性化学繊維が挙げられる。
被覆材に用いる不織布の製法で、ウェブフォーミングは、乾式法(カード法、スパンボンド法、メルトブローン法、エアレイド法など)または湿式法のいずれか、または乾式法と湿式法とを組み合わせて実行される。また、被覆材に用いる不織布のボンディングの方法として、サーマルボンディング、ニードルパンチ、ケミカルボンディングなどの方法が挙げられるが、とくにこれらの方法に限定されない。また、水流交絡法によりシート状に形成したスパンレースを被覆剤に用いてもよい。これらの中でも、低コストであることおよびバリアー性が高いことから考慮すると、被覆材は、好ましくは粉砕パルプを主材料とし湿式法で成形されるティッシュである。
吸収性シートおよびポリマーシートを吸収体4に使用することができる。これにより、吸収体4を薄くできる。この場合、吸収体4の厚さは、好ましくは0.3〜5mmである。吸収性シートには、バインダーなどを使用して繊維などの構成物をシート化したパルプシートなどが挙げられる。ポリマーシートとしては、粒子状ポリマーなどの構成物を混合した粉砕パルプまたは繊維などの構成物をシート状に形成した複合シートなどが挙げられる。なお、粒子状ポリマーを繊維に混合してシート状に形成したシートには、繊維の中で粒子状ポリマーが層状に分散されているシート、および繊維の中で粒子状ポリマーが三次元状に分散されているシートなどが挙げられる。
吸収性シートまたはポリマーシートに用いられる繊維には、木材パルプなどのセルロース繊維、レーヨンおよびキュプラなどの再生セルロース繊維、ポリビニルアルコール繊維およびポリアクリロニトリル繊維などの親水性合成繊維、ならびに界面活性剤などで繊維表面を親水化したポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン/ポリプロピレン複合繊維、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート複合繊維などの繊維が好ましくは使用される。繊維の親水性が良好に維持される点からは、吸収性シートまたはポリマーシートに用いられる繊維には、セルロース繊維がより好ましい。ポリマーシートに用いられる粒子状ポリマーとしては、自重の20倍以上の液体を吸収・保持でき、かつゲル化し得るポリマーが好ましい。そのようなポリマーには、デンプン、架橋カルボキシメチル化セルロース、ポリアクリル酸およびその塩、ならびにポリアクリル酸塩グラフト重合体などが挙げられる
上述したように、吸収体4は、吸収体4の肌側の面と着衣側の面との間を貫通する貫通穴10を有する。これにより、吸収体4の肌側の面および着衣側の面のみならず貫通穴10の穴内でも着両者から排出された経血を吸収体4は吸収することができるので、吸収体4は、経血を速く吸収することができる。また、貫通穴10の穴内のバックシート3に近い部分で吸収体4は経血を吸収することができるの、吸収体4の着用者の肌から離れている部分で吸収体4は経血を吸収することができる。これにより、経血が吸収性物品1に排出された後も、着用者は、吸収性物品を快適に着用することができる。また、吸収体4に設けられた貫通穴10によって、吸収性物品1の通気性が良好になる。
吸収体4の肌側の面の1cm2当たりの貫通穴10の数は、好ましくは1〜10個であり、より好ましくは1〜5個である。吸収体4の肌側の面の1cm2当たりの貫通穴10の数が1個よりも小さいと、上述の貫通穴10によって経血の吸収が速くなるという効果が現れない場合がある。また、吸収体4の肌側の面の1cm2当たりの貫通穴10の数が10個よりも大きいと、吸収体4によって吸収された経血が平面方向にあまり広がらなくなり、吸収体4の肌側の面の広い範囲で経血を吸収できない場合がある。また、吸収体4の肌側の面の1cm2当たりの貫通穴10の数が10個よりも大きいと、吸収体4が吸収できる経血の吸収量が低下する場合がある。
貫通穴10の開口面積は、好ましくは、0.01〜10mm2であり、より好ましくは、0.1〜2.5mm2である。貫通穴10の開口面積が、0.01mm2よりも小さいと、経血が貫通穴10の穴内に浸入しない場合がある。また、貫通穴10の開口面積が、10mm2よりも大きいと、上述の貫通穴10によって経血の吸収が速くなるという効果が現れない場合がある。
図3に示すように、吸収体4は、貫通穴10が形成されている吸収体コア領域41と、吸収体コア領域40の周りの吸収体周囲領域42とを有する。吸収体4の厚さは、吸収体4全体にわたって一定である必要はなく、たとえば、吸収体コア領域41における吸収体4の厚さを吸収体周囲領域42における吸収体4の厚さと異なるようにしてもよい。たとえば、吸収体コア領域41における吸収体4の厚さは、吸収体周囲領域42における吸収体4の厚さよりも厚くてもよい。これにより、吸収性物品1を着用者の肌に密着しやすくできる。たとえば、吸収体コア領域41における吸収体4の厚さは2mmであり、吸収体周囲領域42における吸収体4の厚さは1mmであってもよい。
吸収体4の目付は、吸収体4全体にわたって一定である必要はなく、たとえば、吸収体コア領域41における吸収体4の目付を吸収体周囲領域42における吸収体4の目付と異なるようにしてもよい。たとえば、吸収体コア領域41における吸収体4の目付を吸収体周囲領域42における吸収体4の目付よりも高くしてもよい。これにより、吸収体4に吸収された経血が吸収体コア領域41に集まるようになる。たとえば、吸収体4の構成物がパルプと吸収性ポリマー(SAP)とである場合、吸収体コア領域41における吸収体4のパルプの目付が300g/m2であり、吸収性ポリマーの目付が30g/m2であり、吸収体周囲領域42における吸収体4のパルプの目付が100g/m2であり、吸収性ポリマーの目付が10g/m2であってもよい。
上述したように吸収体4の貫通穴10の穴内は、トップシート2によって被覆されている。これにより、吸収体4の構成物が吸収体4の貫通穴10から漏洩することを抑制できる。なお、吸収体4の構成物が吸収体4の貫通穴10から漏洩することを抑制できるようにトップシート2が貫通穴10の穴内を被覆していれば、トップシート2は、貫通穴10の穴内を完全に被覆する必要はない。
トップシート2は貫通穴10の穴内を被覆しているので、トップシート2における吸収体4の貫通穴10の上の部分の下方には吸収体が存在しないという状態にならない。このため、経血がトップシート2に残存することを抑制できる。
トップシート2が貫通穴の穴内を被覆することによって、穴内に浸入した経血は、トップシート2を通って速やかに穴内全体に広がり、吸収体2にさらに速く吸収され得る。トップシート2が貫通穴の穴内を被覆することによって、吸収体2は、高粘度の経血も速く吸収できる。
着用者の肌とトップシート2との間の摩擦が少ない程、吸収性物品1が着用者に与えるストレスは小さくなる。トップシート2における貫通穴の穴内を被覆している部分は、着用者の肌と接触しておらず、着用者の肌との間で摩擦が起こらない。このため、トップシート2が貫通穴の穴内を被覆することによって、吸収性物品1が着用者に与えるストレスを小さくできる。
次に、トップシート2によって穴内が被覆されている貫通穴10を吸収体4に形成する方法を説明する。図4は、トップシート2および吸収体4に貫通穴10を形成する方法の一例を説明するための図である。
トップシートロール120から供給されたトップシート122がベルトコンベア110の上に配置される。
不図示の粉砕パルプおよび吸収性ポリマーの供給装置から粉砕パルプおよび吸収性ポリマー122をパターンドラム130に供給する。パターンドラム130の外周部には粉砕パルプおよび吸収性ポリマーの混合物を詰める型として凹部134が形成されている。パターンドラム130の内部は吸引136されており、パターンドラム130に供給された粉砕パルプ132は、凹部134の中に吸い込まれ、圧縮される。そして、凹部134の中で成形された吸収体112はトップシート122の上に配置される。
次に、貫通穴形成装置140を使用して、厚み方向に貫通した貫通穴を表面シート122および吸収体112に形成する。貫通穴形成装置140は、針状、円筒形状および円錐形状などの形状の複数の突起141aを外周の表面に有する突起ロール141と、突起ロール141の突起141aに対応する位置に突起141aと嵌合する凹部142aを外周の表面に有するアンビルロール142とを含む。
表面シート132が積層された吸収体122を突起ロール141の突起141aが貫通することによって、表面シート132および吸収体122に貫通穴が形成される。ここで、トップシート2が延びた後にトップシート2に穴が開くように、突起ロール141およびアンビルロール142の回転速度を調節する。これにより、トップシート2によって穴内が被覆された貫通穴を吸収体122に形成することができる。
上述したように、トップシート2の貫通穴10が形成されている領域には、血液改質剤が塗布された血液改質剤塗布領域8が設けられている。したがって、吸収体4の肌側の面に配置されたトップシート2のみならず、貫通穴10の穴内を被覆しているトップシート2にも血液改質剤が塗布されている。後述するように、血液改質剤塗布領域8の血液改質剤によって、血液改質剤塗布領域8に排出された経血の粘度および表面張力は下がり、トップシート2の血液改質剤塗布領域8に排出された経血は、トップシート2から吸収体4へ速やかに移行され、そして、吸収体4に吸収される。したがって、貫通穴10の穴内を被覆しているトップシート2に血液改質剤が塗布されていることによって、貫通穴10に浸入した経血は、トップシート2から吸収体4へ速やかに移行され、そして、吸収体4にさらに速く吸収される。また、この血液改質剤によって、粘度の高い経血の粘度および表面張力が下がり、経血は吸収体4に移行させるため、貫通穴10の穴内に粘度の高い経血の塊が残存しにくくなり、貫通穴10が粘度の高い経血の塊によって塞がれることを抑制することができる。
なお、吸収性物品1に形成された複数の貫通穴10のすべてに血液改質剤を塗布してもよいし、吸収性物品1に形成された複数の貫通穴10の一部の貫通穴10に血液改質剤を塗布してもよい。
図1および図2に示すサイドシート5は、経血がトップシート2を通って吸収性物品1の幅方向外側へ漏れることを防止する。サイドシート5は、疎水性または撥水性を有することが好ましい。サイドシート5には、たとえば、スパンボンド不織布やSMS不織布などが使用される。また、サイドシート5は着用者の肌と接触するため、肌への擦れ刺激を低減できるエアスルー不織布をサイドシート5に使用することが好ましい。なお、吸収性物品1は、サイドシート5を有さなくてもよい。
トップシート2、バックシート3、吸収体4、およびサイドシート5は、それぞれの層間分離を防止するためにも相互に接合されていることが好ましい。これらの接合には、たとえば、エンボス加工、超音波、ホットメルト型接着剤およびそれらの組み合わせを使用できる。トップシート2とバックシート3とは、エンボス加工によってシール部11において接合している。バックシート3とサイドシート5とは、エンボス加工によってシール部12において接合している。トップシート2とサイドシート5とは、本体部6の両側において、ホットメルト接着剤によって接合されている。
エンボス加工の例としては、パターニングされたエンボスロールとフラットロールとの間に、トップシートとバックシート、もしくはトップシートとバックシートとサイドシートとを合わせて通過させることによって、吸収体の周縁部をエンボス加工する方法がある(いわゆるラウンドシールと呼ばれる方法である)。これにより、吸収性物品1にシール部11,12が形成される。エンボスロールおよび/またはフラットロールを加熱することで、各シートが軟化するため、シール部11,12が明瞭になりやすい。エンボスパターンには、格子状パターン、千鳥状パターンおよび波状パターンなどが挙げられる。シール部11,12の境界で吸収性物品1が折り曲がりにくくするために、エンボスパターンは間欠で細長状の方が好ましい。
ホットメルト接着剤を使用して、トップシート、バックシート,吸収体,およびサイドシートを接合する場合、スパイラル塗工、コーター塗工、カーテンコーター塗工およびサミットガン塗工などの塗工方法でホットメルト接着剤は各シートに塗布される。そして、その後、シート同士を重ね合わせられ、シート同士が接合される。シート同士が接合された後に、さらにエンボス加工を施し、シート同士の剥離強度を高めてもよい。
シート同士の接合に使用するホットメルト型接着剤には、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)などのゴム系を主体とした、もしくは、直鎖状低密度ポリエチレンなどのオレフィン系を主体とした感圧型接着剤もしくは感熱型接着剤、または水溶性高分子からなるポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセルロースおよびゼラチンなどの、もしくは、水膨潤性高分子からなるポリビニルアセテートおよびポリアクリル酸ナトリウムなどの感水性接着剤が挙げられる。外面に接着剤が滲み出してしまった場合、タック性を有さない感熱型接着剤が、シート同士の接合に使用するホットメルト型接着剤として好ましくは使用される。具体的な例としては、5〜25%のSEBS、40〜60%の脂環族飽和炭化水素、1〜10%の芳香族変性テルペンおよび15〜35%の添加剤を溶融混合することによって作製された接着剤が挙げられる。
ウイング部7は、吸収性物品1を下着に安定して固定するために吸収性物品1に設けられている。ウイング部7を下着の外面側に折り曲げた後、粘着部13を介して下着のクロッチ部に貼り付けることによって、吸収性物品1を下着に安定して固定できる。ウイング部7の形状は略矩形形状である。
バックシート3の着衣側の粘着部14は、本体部6を下着のクロッチ部の内側に固定し、ウイング部7の着衣側の粘着部13は、ウイング部7を下着のクロッチ部の外側に固定する。粘着部13,14を形成する粘着剤としては、たとえばスチレン系ポリマー、粘着付与剤、可塑剤のいずれかが主成分であるものが好適に使用される。スチレン系ポリマーとしては、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブチレン重合体、スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体などが挙げられるが、これらのうち1種のみを使用しても、これらの2種以上のポリマーブレンドを使用してもよい。これらの中で、熱安定性が良好であるという点で、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体が粘着部13,14の粘着剤として好ましい。
また、粘着付与剤および可塑剤として、常温で固体の有機化合物を好ましく用いることができる。粘着付与剤には、たとえばC5系石油樹脂、C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、ロジン系石油樹脂、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂などが挙げられ、可塑剤には、たとえば、リン酸トリフレシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチルなどのモノマー可塑剤の他、ビニル重合体やポリエステルのようなポリマー可塑剤などが挙げられる。
次に、血液改質剤塗布領域8に塗布される血液改質剤について詳細に説明する。この血液改質剤によって、トップシート2が粘度の高い経血を吸収した後に、経血の粘度および表面張力が下がり、トップシート2から吸収体4へ速やかに経血を移行させることができる。これにより、トップシート2に粘度の高い経血が残存しにくく、トップシート2にべたつき感がなく、サラサラ感を有することができる。また、この血液改質剤によって、粘度の高い経血の粘度および表面張力が下がり、経血は吸収体4に移行させるため、トップシート上に粘度の高い経血の塊が残存しにくく、着用者が視覚的に不快感を覚えにくい。
[血液改質剤]
本開示に係る血液改質剤は、約0〜約0.60のIOBと、約45℃以下の融点と、25℃における、約0.05g以下の水溶解度を有する。
IOB(Inorganic Organic Balance)は、親水性および親油性のバランスを示す指標であり、本明細書では、小田らによる次式:
IOB=無機性値/有機性値
により算出される値を意味する。
上記無機性値と、有機性値とは、藤田穆「有機化合物の予測と有機概念図」化学の領域Vol.11,No.10(1957)p.719−725)に記載される有機概念図に基づく。
藤田氏による、主要な基の有機性値および無機性値を、以下の表1にまとめる。
たとえば、炭素数14のテトラデカン酸と、炭素数12のドデシルアルコールとのエステルの場合には、有機性値が520(CH2,20×26個)、無機性値が60(−COOR,60×1個)となるため、IOB=0.12となる。
上記血液改質剤において、IOBは、約0〜約0.60であり、約0〜約0.50であることが好ましく、約0〜約0.40であることがより好ましく、そして約0〜約0.30であることがさらに好ましい。IOBが低いほど、有機性が高く、血球との親和性が高くなると考えられるからである。
本明細書において、「融点」は、示差走査熱量分析計において、昇温速度10℃/分で測定した場合の、固形状から液状に変化する際の吸熱ピークのピークトップ温度を意味する。上記融点は、たとえば、島津製作所社製のDSC−60型DSC測定装置を用い、昇温速度10℃/分で測定することができる。
上記血液改質剤は、約45℃以下の融点を有すれば、室温で液体であっても、または固体であってもよい、すなわち、融点が約25℃以上でも、または約25℃未満でもよく、そしてたとえば、約−5℃、約−20℃等の融点を有することができる。上記血液改質剤の融点が約45℃以下である根拠は、後述する。
上記血液改質剤は、その融点に下限は存在しないが、その蒸気圧が低いことが好ましい。上記血液改質剤の蒸気圧は、1気圧および25℃で約0.01Pa以下であることが好ましく、約0.001Pa以下であることがより好ましく、そして約0.0001Pa以下であることがさらに好ましい。本開示の吸収性物品が、人体に接して用いられることを考慮すると、上記蒸気圧は、1気圧および40℃で約0.01Pa以下であることが好ましく、約0.001Pa以下であることがより好ましく、そして約0.0001Pa以下であることがさらに好ましい。蒸気圧が高いと、保存中に気化し、血液改質剤の量の減少、着用時の臭気等の問題が発生する場合があるからである。
また、血液改質剤の融点を、気候、着用時間の長さ等に応じて、使い分けることができる。たとえば、平均気温が10℃以下の地域では、約10℃以下の融点を有する血液改質剤を採用することにより、経血が排泄された後、周囲温度によって冷却された場合であっても、血液改質剤が、安定して血液を改質することができると考えられる。
また、吸収性物品が長時間にわたって使用される場合には、血液改質剤の融点は、45℃以下の範囲で高い方が好ましい。汗、着用時の摩擦等の影響を受けにくく、長時間着用した場合であっても、血液改質剤が移動しにくいからである。
上記水溶解度は、25℃において、100gの脱イオン水に、0.05gの試料を添加して24時間静置し、24時間後に、必要に応じて軽く攪拌し、試料が溶解したか否かにより、0.05g以下の水溶解度を有するか否か判断することができる。
なお、本明細書では、水溶解度に関して、「溶解」には、試料が脱イオン水に完全に溶解し、均一混合物を形成した場合と、試料が完全にエマルション化した場合とが含まれる。なお、「完全」とは、脱イオン水に、試料の塊が存在しないことを意味する。
当技術分野では、血液の表面張力等を変化させ、血液を迅速に吸収することを目的として、トップシートの表面を、界面活性剤でコーティングすることが行われている。しかし、界面活性剤は、一般に水溶解度が高いため、界面活性剤がコーティングされたトップシートは、血液中の親水性成分(血漿等)となじみがよく、むしろ血液をトップシートに残存させるようにはたらく傾向がある。上記血液改質剤は、水溶解度が低いため、従来公知の界面活性剤と異なり、血液をトップシートに残存させず、迅速に吸収体に移行させることができると考えられる。
本明細書において、25℃における、100gの水に対する溶解度を、単に、「水溶解度」と称する場合がある。
上記血液改質剤は、約0gの水溶解度を有することができる。したがって、上記血液改質剤において、上記水溶解度の下限は、約0gである。
上記血液改質剤の例として、以下の構造を有する化合物が挙げられる。
(i)炭化水素、
(ii)炭化水素のC−C単結合間に、少なくとも1つのカルボニル結合(−CO−)および/もしくは少なくとも1つのエーテル結合(−O−)が挿入された化合物、または
(iii)炭化水素のC−C単結合間に、少なくとも1つのカルボニル結合(−CO−)および/もしくは少なくとも1つのエーテル結合(−O−)が挿入され、かつ炭化水素上の少なくとも1つの水素原子が、カルボキシル基(−COOH)もしくはヒドロキシル基(−OH)で置換された化合物。
本明細書において、「炭化水素」は、炭素と水素とから成る化合物を意味し、鎖状炭化水素、たとえば、パラフィン系炭化水素(二重結合および三重結合を含まない、アルカンとも称される)、オレフィン系炭化水素(二重結合を1つ含む、アルケンとも称される)、アセチレン系炭化水素(三重結合を1つ含む、アルキンとも称される)、および二重結合および三重結合から成る群から選択される結合を2つ以上含む炭化水素、並びに環状炭化水素、たとえば、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素が挙げられる。
上記炭化水素としては、鎖状炭化水素および脂環式炭化水素であることが好ましく、鎖状炭化水素であることがより好ましく、パラフィン系炭化水素、オレフィン系炭化水素、および二重結合を2つ以上含む炭化水素(三重結合を含まない)であることがさらに好ましく、そしてパラフィン系炭化水素であることが最も好ましい。
上記鎖状炭化水素には、直鎖状炭化水素および分岐鎖状炭化水素が含まれる。
上記(ii)および(iii)の化合物において、エーテル結合(−O−)が2つ以上挿入されている場合には、エーテル結合(−O−)同士は隣接していない。したがって、上記(ii)および(iii)の化合物には、エーテル結合が連続する化合物(いわゆる、過酸化物)は含まれない。
また、上記(iii)の化合物では、炭化水素上の少なくとも1つの水素原子が、カルボキシル基(−COOH)で置換された化合物よりも、炭化水素上の少なくとも1つの水素原子が、ヒドロキシル基(−OH)で置換された化合物の方が好ましい。表1に示すように、カルボキシル基は、経血中の金属等と結合し、無機性値が150から、400以上へと大幅に上昇するため、カルボキシル基を有する血液改質剤は、使用時にIOBの値が約0.6を上回り、血球との親和性が低下する可能性があるからである。
上記血液改質剤は、好ましくは、以下の構造を有する化合物であることができる。
(i’)炭化水素、
(ii’)炭化水素のC−C単結合間に、少なくとも1つのカルボニル結合(−CO−)、少なくとも1つのエステル結合(−COO−)、少なくとも1つのカーボネート結合(−OCOO−)および/もしくは少なくとも1つのエーテル結合(−O−)が挿入された化合物、または
(iii’)炭化水素のC−C単結合間に、少なくとも1つのカルボニル結合(−CO−)、少なくとも1つのエステル結合(−COO−)、少なくとも1つのカーボネート結合(−OCOO−)および/もしくは少なくとも1つのエーテル結合(−O−)が挿入され、かつ炭化水素上の少なくとも1つの水素原子が、カルボキシル基(−COOH)もしくはヒドロキシル基(−OH)で置換された化合物。
上記(ii’)および(iii’)の化合物において、2以上の結合が挿入されている場合、すなわち、カルボニル結合(−CO−)、エステル結合(−COO−)、カーボネート結合(−OCOO−)およびエーテル結合(−O−)から選択される2以上の結合が挿入されている場合には、各結合は隣接しておらず、各結合の間には、少なくとも、炭素原子が1つ介在する。
上記血液改質剤は、さらに好ましくは、炭化水素中に、炭素原子10個当たり、カルボニル結合(−CO−)を約1.8個以下、エステル結合(−COO−)を2個以下、カーボネート結合(−OCOO−)を約1.5個以下、エーテル結合(−O−)を約6個以下、カルボキシル基(−COOH)を約0.8個以下、そして/またはヒドロキシル基(−OH)を約1.2個以下有する化合物であることができる。
上記血液改質剤は、さらに好ましくは、
(A)2〜4個のヒドロキシル基を有する化合物と、1個のカルボキシル基を有する化合物とのエステル、
(B)2〜4個のヒドロキシル基を有する化合物と、1個のヒドロキシル基を有する化合物とのエーテル、
(C)2〜4個のカルボキシル基を有する化合物と、1個のヒドロキシル基を有する化合物とのエステル、
(D)炭化水素に、カルボニル結合(−CO−)、エステル結合(−COO−)、カーボネート結合(−OCOO−)およびエーテル結合(−O−)から成る群から選択されるいずれか1つが挿入された化合物、
(E)ポリC3~6アルキレングリコール、またはそのアルキルエステルもしくはアルキルエーテル、あるいは
(F)鎖状炭化水素、
であることができる。
以下、(A)〜(F)について詳細に説明する。
[(A)2〜4個のヒドロキシル基を有する化合物と、1個のカルボキシル基を有する化合物とのエステル]
(A)2〜4個のヒドロキシル基を有する化合物と、1個のカルボキシル基を有する化合物とのエステル(以下、「化合物(A)」と称する場合がある)には、4個、3個、または2個のヒドロキシル基を有する化合物と、1個のカルボキシル基を有する化合物とのエステルが含まれ、上述のIOB、融点および水溶解度を有する範囲にある限り、全てのヒドロキシル基がエステル化されていなくともよい。
上記2〜4個のヒドロキシル基を有する化合物としては、たとえば、鎖状炭化水素テトラオール、たとえば、アルカンテトラオール、たとえば、ペンタエリトリトール、鎖状炭化水素トリオール、たとえば、アルカントリオール、たとえば、グリセリン、および鎖状炭化水素ジオール、たとえば、アルカンジオール、たとえば、グリコールが挙げられる。上記1個のカルボキシル基を有する化合物としては、たとえば、炭化水素上の1つの水素原子が、1つのカルボキシル基(−COOH)で置換された化合物、たとえば、脂肪酸が挙げられる。
化合物(A)としては、たとえば、(A1)鎖状炭化水素テトラオールと脂肪酸とのエステル、(A2)鎖状炭化水素トリオールと脂肪酸とのエステル、および(A3)鎖状炭化水素ジオールと脂肪酸とのエステルが挙げられる。
[(A1)鎖状炭化水素テトラオールと脂肪酸とのエステル]
上記鎖状炭化水素テトラオールと脂肪酸とのエステルとしては、たとえば、次の式(1):
のペンタエリトリトールと脂肪酸とのテトラエステル、次の式(2):
のペンタエリトリトールと脂肪酸とのトリエステル、次の式(3):
のペンタエリトリトールと脂肪酸とのジエステル、次の式(4):
のペンタエリトリトールと脂肪酸とのモノエステルが挙げられる。
(式中、R1〜R4は、それぞれ、鎖状炭化水素である)
上記ペンタエリトリトールと脂肪酸とのエステルを構成する脂肪酸(R1COOH、R2COOH,R3COOH,およびR4COOH)としては、ペンタエリトリトールと脂肪酸とのエステルが、上記IOB、融点および水溶解度の要件を満たすものであれば、特に制限されないが、たとえば、飽和脂肪酸、たとえば、C2〜C30の飽和脂肪酸、たとえば、酢酸(C2)(C2は、炭素数を示し、R1C、R2C,R3CまたはR4Cの炭素数に相当する、以下同じ)、プロパン酸(C3)、ブタン酸(C4)およびその異性体、たとえば、2−メチルプロパン酸(C4)、ペンタン酸(C5)およびその異性体、たとえば、2−メチルブタン酸(C5)、2,2−ジメチルプロパン酸(C5)、ヘキサン酸(C6)、ヘプタン酸(C7)、オクタン酸(C8)およびその異性体、たとえば、2−エチルヘキサン酸(C8)、ノナン酸(C9)、デカン酸(C10)、ドデカン酸(C12)、テトラデカン酸(C14)、ヘキサデカン酸(C16)、ヘプタデカン酸(C17)、オクタデカン酸(C18)、エイコサン酸(C20)、ドコサン酸(C22)、テトラコサン酸(C24)、ヘキサコサン酸(C26)、オクタコサン酸(C28)、トリアコンタン酸(C30)等、並びにこれらの異性体(上述のものを除く)が挙げられる。
上記脂肪酸はまた、不飽和脂肪酸であることができる。上記不飽和脂肪酸としては、たとえば、C3〜C20の不飽和脂肪酸、たとえば、モノ不飽和脂肪酸、たとえば、クロトン酸(C4)、ミリストレイン酸(C14)、パルミトレイン酸(C16)、オレイン酸(C18)、エライジン酸(C18)、バクセン酸(C18)、ガドレイン酸(C20)、エイコセン酸(C20)等、ジ不飽和脂肪酸、たとえば、リノール酸(C18)、エイコサジエン酸(C20)等、トリ不飽和脂肪酸、たとえば、リノレン酸、たとえば、α-リノレン酸(C18)およびγ-リノレン酸(C18)、ピノレン酸(C18)、エレオステアリン酸、たとえば、α-エレオステアリン酸(C18)およびβ-エレオステアリン酸(C18)、ミード酸(C20)、ジホモ-γ-リノレン酸(C20)、エイコサトリエン酸(C20)等、テトラ不飽和脂肪酸、たとえば、ステアリドン酸(C20)、アラキドン酸(C20)、エイコサテトラエン酸(C20)等、ペンタ不飽和脂肪酸、たとえば、ボセオペンタエン酸(C18)、エイコサペンタエン酸(C20)等、並びにこれらの部分水素付加物が挙げられる。
上記ペンタエリトリトールと脂肪酸とのエステルとしては、酸化等により変性する可能性を考慮すると、飽和脂肪酸に由来する、ペンタエリトリトールと脂肪酸とのエステル、すなわち、ペンタエリトリトールと飽和脂肪酸とのエステルであることが好ましい。
また、上記ペンタエリトリトールと脂肪酸とのエステルとしては、IOBを小さくし、より疎水性とするために、ジエステル、トリエステルまたはテトラエステルであることが好ましく、トリエステルまたはテトラエステルであることがより好ましく、そしてテトラエステルであることが最も好ましい。
上記ペンタエリトリトールと脂肪酸とのテトラエステルでは、ペンタエリトリトールと脂肪酸とのテトラエステルを構成する脂肪酸の炭素数の合計、すなわち、上記式(1)において、R1C、R2C、R3CおよびR4C部分の炭素数の合計が15の場合にIOBが0.60となる。したがって、上記ペンタエリトリトールと脂肪酸とのテトラエステルでは、上記炭素数の合計が約15以上である場合に、IOBが約0〜約0.6の要件を満たす。
上記ペンタエリトリトールと脂肪酸とのテトラエステルでは、たとえば、ペンタエリトリトールと、ヘキサン酸(C6)、ヘプタン酸(C7)、オクタン酸(C8)、たとえば、2−エチルヘキサン酸(C8)、ノナン酸(C9)、デカン酸(C10)および/またはドデカン酸(C12)とのテトラエステルが挙げられる。
上記ペンタエリトリトールと脂肪酸とのトリエステルでは、ペンタエリトリトールと脂肪酸とのトリエステルを構成する脂肪酸の炭素数の合計、すなわち、上記式(2)において、R1C、R2CおよびR3C部分の炭素数の合計が19の場合にIOBが0.58となる。したがって、上記ペンタエリトリトールと脂肪酸とのトリエステルでは、脂肪酸の炭素数の合計が約19以上である場合に、IOBが約0〜約0.6の要件を満たす。
上記ペンタエリトリトールと脂肪酸とのジエステルでは、ペンタエリトリトールと脂肪酸とのジエステルを構成する脂肪酸の炭素数の合計、すなわち、上記式(3)において、R1CおよびR2C部分の炭素数の合計が22の場合にIOBが0.59となる。したがって、上記ペンタエリトリトールと脂肪酸とのジエステルでは、脂肪酸の炭素数の合計が約22以上である場合に、IOBが約0〜約0.6の要件を満たす。
上記ペンタエリトリトールと脂肪酸とのモノエステルでは、ペンタエリトリトールと脂肪酸とのモノエステルを構成する脂肪酸の炭素数、すなわち、上記式(4)において、R1C部分の炭素数が25の場合にIOBが0.60となる。したがって、上記ペンタエリトリトールと脂肪酸とのモノエステルでは、脂肪酸の炭素数が約25以上である場合に、IOBが約0〜約0.6の要件を満たす。
なお、上記計算に当たっては、二重結合、三重結合、iso分岐、およびtert分岐の影響は、考慮していない。
上記ペンタエリトリトールと脂肪酸とのエステルの市販品としては、ユニスター H−408BRS、H−2408BRS−22(混合品)等(以上、日油株式会社製)が挙げられる。
[(A2)鎖状炭化水素トリオールと脂肪酸とのエステル]
上記鎖状炭化水素トリオールと脂肪酸とのエステルとしては、たとえば、次の式(5):
のグリセリンと脂肪酸とのトリエステル、次の式(6):
のグリセリンと脂肪酸とのジエステル、および次の式(7):
(式中、R5〜R7は、それぞれ、鎖状炭化水素である)
のグリセリンと脂肪酸とのモノエステルが挙げられる。
上記グリセリンと脂肪酸とのエステルを構成する脂肪酸(R5COOH、R6COOHおよびR7COOH)としては、グリセリンと脂肪酸とのエステルが、上記IOB、融点および水溶解度の要件を満たすものであれば、特に制限されず、たとえば、「(A1)鎖状炭化水素テトラオールと脂肪酸とのエステル」において列挙される脂肪酸、すなわち、飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸が挙げられ、酸化等により変性する可能性を考慮すると、飽和脂肪酸に由来する、グリセリンと脂肪酸とのエステル、すなわち、グリセリンと飽和脂肪酸とのエステルであることが好ましい。
また、上記グリセリンと脂肪酸とのエステルとしては、IOBを小さくし、より疎水性とするために、ジエステルまたはトリエステルであることが好ましく、そしてトリエステルであることがより好ましい。
上記グリセリンと脂肪酸とのトリエステルは、トリグリセリドとも称され、たとえば、グリセリンとオクタン酸(C8)とのトリエステル、グリセリンとデカン酸(C10)とのトリエステル、グリセリンとドデカン酸(C12)とのトリエステル、およびグリセリンと、2種または3種の脂肪酸とのトリエステル、並びにこれらの混合物が挙げられる。
上記グリセリンと、2種以上の脂肪酸とのトリエステルとしては、たとえば、グリセリンと、オクタン酸(C8)およびデカン酸(C10)とのトリエステル、グリセリンと、オクタン酸(C8)、デカン酸(C10)およびドデカン酸(C12)とのトリエステル、グリセリンと、オクタン酸(C8)、デカン酸(C10)、ドデカン酸(C12)、テトラデカン酸(C14)、ヘキサデカン酸(C16)およびオクタデカン酸(C18)とのトリエステル等が挙げられる。
上記グリセリンと脂肪酸とのトリエステルとしては、融点を約45℃以下とするために、グリセリンと脂肪酸とのトリエステルを構成する脂肪酸の炭素数の合計、すなわち、式(5)において、R5C、R6CおよびR7C部分の炭素数の合計が、約40以下であることが好ましい。
また、上記グリセリンと脂肪酸とのトリエステルでは、グリセリンと脂肪酸とのトリエステルを構成する脂肪酸の炭素数の合計、すなわち、式(5)において、R5C、R6CおよびR7C部分の炭素数の合計が12の場合にIOBが0.60となる。したがって、上記グリセリンと脂肪酸とのトリエステルでは、脂肪酸の炭素数の合計が約12以上である場合に、IOBが約0〜約0.6の要件を満たす。
上記グリセリンと脂肪酸とのトリエステルは、いわゆる、脂肪であり、人体を構成しうる成分であるため、安全性の観点から好ましい。
上記グリセリンと脂肪酸とのトリエステルの市販品としては、トリヤシ油脂肪酸グリセリド、NA36、パナセート800、パナセート800Bおよびパナセート810S、並びにトリC2L油脂肪酸グリセリドおよびトリCL油脂肪酸グリセリド(以上、日油株式会社製)等が挙げられる。
上記グリセリンと脂肪酸とのジエステルは、ジグリセリドとも称され、たとえば、グリセリンとデカン酸(C10)とのジエステル、グリセリンとドデカン酸(C12)とのジエステル、グリセリンとヘキサデカン酸(C16)とのジエステル、およびグリセリンと、2種の脂肪酸とのジエステル、並びにこれらの混合物が挙げられる。
上記グリセリンと脂肪酸とのジエステルでは、グリセリンと脂肪酸とのジエステルを構成する脂肪酸の炭素数の合計、すなわち、式(6)において、R5CおよびR6C部分の炭素数の合計が16の場合にIOBが0.58となる。したがって、上記グリセリンと脂肪酸とのジエステルでは、脂肪酸の炭素数の合計が約16以上である場合に、IOBが約0〜約0.6の要件を満たす。
上記グリセリンと脂肪酸とのモノエステルは、モノグリセリドとも称され、たとえば、グリセリンのオクタデカン酸(C18)モノエステル、グリセリンのドコサン酸(C22)モノエステル等が挙げられる。
上記グリセリンと脂肪酸とのモノエステルでは、グリセリンと脂肪酸とのモノエステルを構成する脂肪酸の炭素数、すなわち、式(7)において、R5C部分の炭素数が19の場合にIOBが0.59となる。したがって、上記グリセリンと脂肪酸とのモノエステルでは、脂肪酸の炭素数が約19以上である場合に、IOBが約0〜約0.6の要件を満たす。
[(A3)鎖状炭化水素ジオールと脂肪酸とのエステル]
上記鎖状炭化水素ジオールと脂肪酸とのエステルとしては、たとえば、C2〜C6の鎖状炭化水素ジオール、たとえば、C2〜C6のグリコール、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコールまたはヘキシレングリコールと、脂肪酸とのモノエステルまたはジエステルが挙げられる。
具体的には、上記鎖状炭化水素ジオールと脂肪酸とのエステルとしては、たとえば、次の式(8):
8COOCk2kOCOR9 (8)
(式中、kは、2〜6の整数であり、そしてR8およびR9は、それぞれ、鎖状炭化水素である)
のC2〜C6グリコールと脂肪酸とのジエステル、および次の式(9):
8COOCk2kOH (9)
(式中、kは、2〜6の整数であり、そしてR8は、鎖状炭化水素である)
のC2〜C6グリコールと脂肪酸とのモノエステルが挙げられる。
上記C2〜C6グリコールと脂肪酸とのエステルにおいて、エステル化すべき脂肪酸(式(8)および式(9)において、R8COOHおよびR9COOHに相当する)としては、C2〜C6グリコールと脂肪酸とのエステルが、上記IOB、融点および水溶解度の要件を満たすものであれば、特に制限されず、たとえば、「(A1)鎖状炭化水素テトラオールと脂肪酸とのエステル」において列挙されている脂肪酸、すなわち、飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸が挙げられ、酸化等により変性する可能性を考慮すると、飽和脂肪酸が好ましい。
式(8)に示されるブチレングリコール(k=4)と脂肪酸とのジエステルでは、R8CおよびR9C部分の炭素数の合計が6の場合に、IOBが、0.6となる。したがって、式(8)に示されるブチレングリコール(k=4)と脂肪酸とのジエステルでは、上記炭素数の合計が約6以上の場合に、IOBが約0〜約0.6の要件を満たす。また、式(9)に示されるエチレングリコール(k=2)と脂肪酸とのモノエステルでは、R8C部分の炭素数が12の場合に、IOBが0.57となる。したがって、式(9)に示されるエチレングリコール(k=2)と脂肪酸とのモノエステルでは、脂肪酸の炭素数が約12以上である場合に、IOBが約0〜約0.6の要件を満たす。
上記C2〜C6グリコールと脂肪酸とのエステルとしては、酸化等により変性する可能性を考慮すると、飽和脂肪酸に由来する、C2〜C6グリコールと脂肪酸とのエステル、すわなち、C2〜C6グリコールと飽和脂肪酸とのエステルであることが好ましい。
また、上記C2〜C6グリコールと脂肪酸とのエステルとしては、IOBを小さくし、より疎水性とするために、炭素数の大きいグリコールに由来する、グリコールと脂肪酸とのエステル、たとえば、ブチレングリコール、ペンチレングリコールまたはヘキシレングリコールに由来するグリコールと脂肪酸とのエステルであることが好ましい。
さらに、上記C2〜C6グリコールと脂肪酸とのエステルとしては、IOBを小さくし、より疎水性とするために、ジエステルであることが好ましい。
上記C2〜C6グリコールと脂肪酸とのエステルの市販品としては、たとえば、コムポールBL、コムポールBS(以上、日油株式会社製)等が挙げられる。
[(B)2〜4個のヒドロキシル基を有する化合物と、1個のヒドロキシル基を有する化合物とのエーテル]
(B)2〜4個のヒドロキシル基を有する化合物と、1個のヒドロキシル基を有する化合物とのエーテル(以下、「化合物(B)」と称する場合がある)には、4個、3個、または2個のヒドロキシル基を有する化合物と、1個のヒドロキシル基を有する化合物とのエーテルが含まれ、上述のIOB、融点および水溶解度を有する範囲にある限り、全てのヒドロキシル基がエーテル化されていなくともよい。
上記2〜4個のヒドロキシル基を有する化合物としては、「化合物(A)」において列挙されるもの、たとえば、ペンタエリトリトール、グリセリン、およびグリコールが挙げられる。
上記1個のヒドロキシル基を有する化合物としては、たとえば、炭化水素の1個の水素原子が、1個のヒドロキシル基(−OH)で置換された化合物、たとえば、脂肪族1価アルコール、たとえば、飽和脂肪族1価アルコールおよび不飽和脂肪族1価アルコールが挙げられる。
上記飽和脂肪族1価アルコールとしては、たとえば、C1〜C20の飽和脂肪族1価アルコール、たとえば、メチルアルコール(C1)(C1は、炭素数を示す、以下同じ)、エチルアルコール(C2)、プロピルアルコール(C3)およびその異性体、たとえば、イソプロピルアルコール(C3)、ブチルアルコール(C4)およびその異性体、たとえば、sec−ブチルアルコール(C4)およびtert−ブチルアルコール(C4)、ペンチルアルコール(C5)、ヘキシルアルコール(C6)、ヘプチルアルコール(C7)、オクチルアルコール(C8)およびその異性体、たとえば、2−エチルヘキシルアルコール(C8)、ノニルアルコール(C9)、デシルアルコール(C10)、ドデシルアルコール(C12)、テトラデシルアルコール(C14)、ヘキサデシルアルコール(C16)、へプラデシルアルコール(C17)、オクタデシルアルコール(C18)、およびエイコシルアルコール(C20)、並びにこれらの列挙されていない異性体が挙げられる。
上記不飽和脂肪族1価アルコールとしては、上記飽和脂肪族1価アルコールのC−C単結合の1つを、C=C二重結合で置換したもの、たとえば、オレイルアルコールが挙げられ、たとえば、新日本理化株式会社から、リカコールシリーズおよびアンジェコオールシリーズの名称で市販されている。
化合物(B)としては、たとえば、(B1)鎖状炭化水素テトラオールと脂肪族1価アルコールとのエーテル、たとえば、モノエーテル、ジエーテル、トリエーテルおよびテトラエーテル、好ましくはジエーテル、トリエーテルおよびテトラエーテル、より好ましくはトリエーテルおよびテトラエーテル、そしてさらに好ましくはテトラエーテル、(B2)鎖状炭化水素トリオールと脂肪族1価アルコールとのエーテル、たとえば、モノエーテル、ジエーテルおよびトリエーテル、好ましくはジエーテルおよびトリエーテル、そしてより好ましくはトリエーテル、並びに(B3)鎖状炭化水素ジオールと脂肪族1価アルコールとのエーテル、たとえば、モノエーテルおよびジエーテル、そして好ましくはジエーテルが挙げられる。
上記鎖状炭化水素テトラオールと脂肪族1価アルコールとのエーテルとしては、たとえば、次の式(10)〜(13):
(式中、R10〜R13は、それぞれ、鎖状炭化水素である。)
の、ペンタエリトリトールと脂肪族1価アルコールとのテトラエーテル、トリエーテル、ジエーテルおよびモノエーテルが挙げられる。
上記鎖状炭化水素トリオールと脂肪族1価アルコールとのエーテルとしては、たとえば、次の式(14)〜(16):
(式中、R14〜R16は、それぞれ、鎖状炭化水素である。)
の、グリセリンと脂肪族1価アルコールとのトリエーテル、ジエーテルおよびモノエーテルが挙げられる。
上記鎖状炭化水素ジオールと脂肪族1価アルコールとのエーテルとしては、次の式(17):
17OCn2nOR18 (17)
(式中、nは、2〜6の整数であり、そしてR17およびR18は、それぞれ、鎖状炭化水素である)
のC2〜C6グリコールと脂肪族1価アルコールとのジエーテル、および次の式(18):
17OCn2nOH (18)
(式中、nは、2〜6の整数であり、そしてR17は、鎖状炭化水素である)
のC2〜C6グリコールと脂肪族1価アルコールとのモノエーテルが挙げられる。
上記ペンタエリトリトールと脂肪族1価アルコールとのテトラエーテルでは、ペンタエリトリトールと脂肪族1価アルコールとのテトラエーテルを構成する脂肪族1価アルコールの炭素数の合計、すなわち、上記式(10)において、R10、R11、R12およびR13部分の炭素数の合計が4の場合にIOBが0.44となる。したがって、上記ペンタエリトリトールと脂肪族1価アルコールとのテトラエーテルでは、脂肪族1価アルコールの炭素数の合計が約4以上である場合に、IOBが約0〜約0.6の要件を満たす。
上記ペンタエリトリトールと脂肪族1価アルコールとのトリエーテルでは、ペンタエリトリトールと脂肪族1価アルコールとのトリエーテルを構成する脂肪族1価アルコールの炭素数の合計、すなわち、上記式(11)において、R10、R11およびR12部分の炭素数の合計が9の場合にIOBが0.57となる。したがって、上記ペンタエリトリトールと脂肪族1価アルコールとのトリエーテルでは、脂肪族1価アルコールの炭素数の合計が約9以上である場合に、IOBが約0〜約0.6の要件を満たす。
上記ペンタエリトリトールと脂肪族1価アルコールとのジエーテルでは、ペンタエリトリトールと脂肪族1価アルコールとのジエーテルを構成する脂肪族1価アルコールの炭素数の合計、すなわち、上記式(12)において、R10およびR11部分の炭素数の合計が15の場合にIOBが0.60となる。したがって、上記ペンタエリトリトールと脂肪族1価アルコールとのジエーテルでは、脂肪族1価アルコールの炭素数の合計が約15以上である場合に、IOBが約0〜約0.6の要件を満たす。
上記ペンタエリトリトールと脂肪族1価アルコールとのモノエーテルでは、ペンタエリトリトールと脂肪族1価アルコールとのモノエーテルを構成する脂肪族1価アルコールの炭素数、すなわち、上記式(13)において、R10部分の炭素数が22の場合にIOBが0.59となる。したがって、上記ペンタエリトリトールと脂肪族1価アルコールとのモノエーテルでは、脂肪族1価アルコールの炭素数が約22以上である場合に、IOBが約0〜約0.6の要件を満たす。
また、上記グリセリンと脂肪族1価アルコールとのトリエーテルでは、グリセリンと脂肪族1価アルコールとのトリエーテルを構成する脂肪族1価アルコールの炭素数の合計、すなわち、式(14)において、R14、R15およびR16部分の炭素数の合計が3の場合にIOBが0.50となる。したがって、上記グリセリンと脂肪族1価アルコールとのトリエーテルでは、脂肪族1価アルコールの炭素数の合計が約3以上である場合に、IOBが約0〜約0.6の要件を満たす。
上記グリセリンと脂肪族1価アルコールとのジエーテルでは、グリセリンと脂肪族1価アルコールとのジエーテルを構成する脂肪族1価アルコールの炭素数の合計、すなわち、式(15)において、R14およびR15部分の炭素数の合計が9の場合にIOBが0.58となる。したがって、上記グリセリンと脂肪族1価アルコールとのジエーテルでは、脂肪族1価アルコールの炭素数の合計が約9以上である場合に、IOBが約0〜約0.6の要件を満たす。
上記グリセリンと脂肪族1価アルコールとのモノエーテルでは、グリセリンと脂肪族1価アルコールとのモノエーテルを構成する脂肪族1価アルコールの炭素数、すなわち、式(16)において、R14部分の炭素数が16の場合にIOBが0.58となる。したがって、上記グリセリンと脂肪族1価アルコールとのモノエーテルでは、脂肪族1価アルコールの炭素数が約16以上である場合に、IOBが約0〜約0.6の要件を満たす。
式(17)に示されるブチレングリコール(n=4)と脂肪族1価アルコールとのジエーテルでは、R17およびR18部分の炭素数の合計が2の場合に、IOBが、0.33となる。したがって、式(17)に示されるブチレングリコール(n=4)と脂肪族1価アルコールとのジエーテルでは、脂肪族1価アルコールの炭素数の合計が2以上の場合に、IOBが約0〜約0.6の要件を満たす。また、式(18)に示されるエチレングリコール(n=2)と脂肪族1価アルコールとのモノエーテルでは、R17部分の炭素数が8の場合に、IOBが0.60となる。したがって、式(18)に示されるエチレングリコール(n=2)と脂肪族1価アルコールとのモノエーテルでは、脂肪族1価アルコールの炭素数が約8以上である場合に、IOBが約0〜約0.6の要件を満たす。
化合物(B)としては、2〜4個のヒドロキシル基を有する化合物と、脂肪族1価アルコール等の1個のヒドロキシル基を有する化合物とを、酸触媒の存在下で、脱水縮合することにより生成することができる。
[(C)2〜4個のカルボキシル基を有する化合物と、1個のヒドロキシル基を有する化合物とのエステル]
(C)2〜4個のカルボキシル基を有する化合物と、1個のヒドロキシル基を有する化合物とのエステル(以下、「化合物(C)」と称する場合がある)には、4個、3個または2個のカルボキシル基を有する化合物と、1個のヒドロキシル基を有する化合物とのエステルが含まれ、上述のIOB、融点および水溶解度を有する範囲にある限り、全てのカルボキシル基がエステル化されていなくともよい。
上記2〜4個のカルボキシル基を有する化合物としては、たとえば、2〜4個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素、たとえば、鎖状炭化水素ジカルボン酸、たとえば、アルカンジカルボン酸、たとえば、エタン二酸、プロパン二酸、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸およびデカン二酸、鎖状炭化水素トリカルボン酸、たとえば、アルカントリカルボン酸、たとえば、プロパン三酸、ブタン三酸、ペンタン三酸、ヘキサン三酸、ヘプタン三酸、オクタン三酸、ノナン三酸およびデカン三酸、並びに鎖状炭化水素テトラカルボン酸、たとえば、アルカンテトラカルボン酸、たとえば、ブタン四酸、ペンタン四酸、ヘキサン四酸、ヘプタン四酸、オクタン四酸、ノナン四酸およびデカン四酸が挙げられる。
また、上記2〜4個のカルボキシル基を有する化合物には、2〜4個のカルボキシル基を有するヒドロキシ酸、たとえば、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、イソクエン酸等、2〜4個のカルボキシル基を有するアルコキシ酸、たとえば、O−アセチルクエン酸、および2〜4個のカルボキシル基を有するオキソ酸が含まれる。
上記1個のヒドロキシル基を有する化合物としては、「化合物(B)」の項で列挙されるもの、たとえば、脂肪族1価アルコールが挙げられる。
化合物(C)としては、(C1)4個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素テトラカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸またはオキソ酸と、脂肪族1価アルコールとのエステル、たとえば、モノエステル、ジエステル、トリエステルおよびテトラエステル、好ましくはジエステル、トリエステルおよびテトラエステル、より好ましくはトリエステルおよびテトラエステル、そしてさらに好ましくはテトラエステル、(C2)3個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素トリカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸またはオキソ酸と、脂肪族1価アルコールとのエステル、たとえば、モノエステル、ジエステルおよびトリエステル、好ましくはジエステルおよびトリエステル、そしてより好ましくはトリエステル、並びに(C3)2個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素ジカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸またはオキソ酸と、脂肪族1価アルコールとのエステル、たとえば、モノエステルおよびジエステル、好ましくはジエステルが挙げられる。
化合物(C)の例としては、アジピン酸ジオクチル、リンゴ酸ジイソステアリル、クエン酸トリブチル、O−アセチルクエン酸トリブチル等が挙げられ、そして市販されている。
[(D)炭化水素に、エーテル結合(−O−)、カルボニル結合(−CO−)、エステル結合(−COO−)、およびカーボネート結合(−OCOO−)から成る群から選択されるいずれか1つが挿入された化合物]
(D)炭化水素に、エーテル結合(−O−)、カルボニル結合(−CO−)、エステル結合(−COO−)、およびカーボネート結合(−OCOO−)から成る群から選択されるいずれか1つが挿入された化合物(以下、「化合物(D)」と称する場合がある)としては、(D1)脂肪族1価アルコールと脂肪族1価アルコールとのエーテル、(D2)ジアルキルケトン、(D3)脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステル、および(D4)ジアルキルカーボネートが挙げられる。
[(D1)脂肪族1価アルコールと脂肪族1価アルコールとのエーテル]
上記脂肪族1価アルコールと脂肪族1価アルコールとのエーテルとしては、次の式(19):
19OR20 (19)
(式中、R19およびR20は、それぞれ、鎖状炭化水素である)
を有する化合物が挙げられる。
上記エーテルを構成する脂肪族1価アルコール(式(19)において、R19OHおよびR20OHに相当する)としては、上記エーテルが、上記IOB、融点および水溶解度の要件を満たすものであれば、特に制限されず、たとえば、「化合物(B)」の項で列挙される脂肪族1価アルコールが挙げられる。
脂肪族1価アルコールと脂肪族1価アルコールとのエーテルでは、当該エーテルを構成する脂肪族1価アルコールの炭素数の合計、すなわち、上記式(19)において、R19およびR20部分の炭素数の合計が2の場合にIOBが0.50となるため、当該炭素数の合計が約2以上であれば、上記IOBの要件を満たす。しかし、上記炭素数の合計が6程度では、水溶解度が約2gと高く、蒸気圧の観点からも問題がある。水溶解度が約0.05g以下の要件を満たすためには、上記炭素数の合計が約8以上であることが好ましい。
[(D2)ジアルキルケトン]
上記ジアルキルケトンとしては、次の式(20):
21COR22 (20)
(式中、R21およびR22は、それぞれ、アルキル基である)
を有する化合物が挙げられる。
上記ジアルキルケトンでは、R21およびR22の炭素数の合計が5の場合にIOBが0.54となるため、当該炭素数の合計が約5以上であれば、上記IOBの要件を満たす。しかし、上記炭素数の合計が5程度では、水溶解度が約2gと高い。したがって、水溶解度が約0.05g以下の要件を満たすためには、上記炭素数の合計が約8以上であることが好ましい。また、蒸気圧を考慮すると、上記炭素数は、約10以上であることが好ましく、そして約12以上であることが好ましい。
なお、上記炭素数の合計が約8の場合、たとえば、5−ノナノンでは、融点は約−50℃であり、蒸気圧は20℃で約230Paである。
上記ジアルキルケトンは、市販されている他、公知の方法、たとえば、第二級アルコールを、クロム酸等で酸化することにより得ることができる。
[(D3)脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステル]
上記脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステルとしては、たとえば、次の式(21):
23COOR24 (21)
(式中、R23およびR24は、それぞれ、鎖状炭化水素である)
を有する化合物が挙げられる。
上記エステルを構成する脂肪酸(式(21)において、R23COOHに相当する)としては、たとえば、「(A1)鎖状炭化水素テトラオールと脂肪酸とのエステル」において列挙されている脂肪酸、すなわち、飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸が挙げられ、酸化等により変性する可能性を考慮すると、飽和脂肪酸が好ましい。上記エステルを構成する脂肪族1価アルコール(式(21)において、R24OHに相当する)としては、たとえば、「化合物(B)」の項で列挙される脂肪族1価アルコールが挙げられる。
なお、上記脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステルでは、脂肪酸および脂肪族1価アルコールの炭素数の合計、すなわち、式(21)において、R23CおよびR24部分の炭素数の合計が5の場合にIOBが0.60となるため、上記脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステルでは、R23CおよびR24部分の炭素数の合計が約5以上である場合に、上記IOBの要件を満たす。しかし、たとえば、上記炭素数の合計が6の酢酸ブチルでは、蒸気圧が2000Pa超と高い。したがって、蒸気圧を考慮すると、上記炭素数の合計が約12以上であることが好ましい。なお、上記炭素数の合計が約11以上であれば、水溶解度が約0.05g以下の要件を満たすことができる。
上記脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステルの例としては、たとえば、ドデカン酸(C12)と、ドデシルアルコール(C12)とのエステル、テトラデカン酸(C14)と、ドデシルアルコール(C12)とのエステル等が挙げられ、上記脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステルの市販品としては、たとえば、エレクトールWE20、およびエレクトールWE40(以上、日油株式会社製)が挙げられる。
[(D4)ジアルキルカーボネート]
上記ジアルキルカーボネートとしては、次の式(22):
25OC(=O)OR26 (22)
(式中、R25およびR26は、それぞれ、アルキル基である)
を有する化合物が挙げられる。
上記ジアルキルカーボネートでは、R25およびR26の炭素数の合計が6の場合にIOBが0.57となるため、R25およびR26の炭素数の合計が、約6以上であれば、IOBの要件を満たす。
水溶解度を考慮すると、R25およびR26の炭素数の合計が約7以上であることが好ましく、そして約9以上であることがより好ましい。
上記ジアルキルカーボネートは、市販されている他、ホスゲンとアルコールとの反応、塩化ギ酸エステルとアルコールまたはアルコラートとの反応、および炭酸銀とヨウ化アルキルとの反応により合成することができる。
[(E)ポリC2~6アルキレングリコール、またはそのエステルもしくはエーテル]
上記ポリC2~6アルキレングリコール、またはそのエステルもしくはエーテル(以下、化合物(E)と称する場合がある)としては、(E1)ポリC2~6アルキレングリコール、(E2)ポリC2~6アルキレングリコールと脂肪酸とのエステル、(E3)ポリC2~6アルキレングリコールと脂肪族1価アルコールとのエーテル、(E4)ポリC2~6アルキレングリコールと、鎖状炭化水素テトラカルボン酸、鎖状炭化水素トリカルボン酸、または鎖状炭化水素ジカルボン酸とのエステル、および(E5)ポリC2~6アルキレングリコールと、鎖状炭化水素テトラオール、鎖状炭化水素トリオール、または鎖状炭化水素ジオールとのエーテルが挙げられる。以下、説明する。
[(E1)ポリC2~6アルキレングリコール]
(E1)ポリC2~6アルキレングリコールには、単一のグリコールのホモポリマーだけでなく、2種以上のグリコールのコポリマーおよびランダムポリマーも含まれる。グリコール種としては、C2~6アルキレングリコール、すなわち、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、またはヘキシレングリコールが挙げられる。上記グリコール種としては、ポリC2~6アルキレングリコールのIOBを低くする観点から、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコールまたはヘキシレングリコールであることが好ましく、ブチレングリコール、ペンチレングリコールまたはヘキシレングリコールであることがより好ましい。
なお、本明細書において、「ポリC2~6アルキレングリコール」は、C2~6アルキレングリコール、すなわち、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコールおよびヘキシレングリコールから成る群から選択されるいずれか1種のホモポリマー、上記群から選択される2種以上のコポリマー、または上記群から選択される2種以上のランダムポリマーを意味する。
上記ポリC2~6アルキレングリコールがホモポリマーである場合には、ポリC2~6アルキレングリコールは、次の式(23):
HO−(Cm2mO)n−H (23)
により表わされる。
なお、本発明者が確認したところ、ポリエチレングリコール(式(23)において、m=2の場合に相当する)は、n≧45(おおよそ、分子量2,000超)の場合に、約0〜約0.60のIOBの要件を満たすものの、分子量が4,000を超えた場合であっても、水溶解度の要件を満たさなかった。したがって、(E1)ポリC2~6アルキレングリコールには、エチレングリコールのホモポリマーは含まれないと考えられ、エチレングリコールは、他のグリコールとのコポリマーまたはランダムポリマーとして、(E1)ポリC2~6アルキレングリコールに含まれるべきである。
したがって、式(23)のホモポリマーには、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコールまたはヘキシレングリコールのホモポリマーが含まれうる。
以上より、式(23)において、mは、約3〜約6であり、そして約4〜約6であることがより好ましく、そしてnは1以上である。
上記式(23)において、nの値は、ポリC2~6アルキレングリコールが、約0〜約0.60のIOBと、約45℃以下の融点と、25℃の水100gに対する、約0.05g以下の水溶解度とを有するような値である。
たとえば、式(23)がポリプロピレングリコール(m=3)である場合には、n=12の場合に、IOBが0.58となる。したがって、式(23)がポリプロピレングリコール(m=3)である場合には、m≧約12の場合に、上記IOBの要件を満たす。
また、式(21)がポリブチレングリコール(m=4)である場合には、n=7の場合に、IOBが0.57となる。したがって、式(23)がポリブチレングリコール(m=4)である場合には、n≧約7の場合に、上記IOBの要件を満たす。
OB、融点および水溶解度の観点から、ポリC4~6アルキレングリコールの重量平均分子量は、好ましくは約200〜約10,000、より好ましくは約250〜約8,000、そしてさらに好ましくは、約250〜約5,000の範囲にある。
また、OB、融点および水溶解度の観点から、ポリC3アルキレングリコール、すなわち、ポリプロピレングリコールの重量平均分子量は、好ましくは約1,000〜約10,000、より好ましくは約3,000〜約8,000、そしてさらに好ましくは、約4,000〜約5,000の範囲にある。上記重量平均分子量が約1,000未満では、水溶解度が要件を満たさず、そして重量平均分子量が大きいほど、特に、吸収体移行速度およびトップシートの白さが向上する傾向があるからである。
上記ポリC2~6アルキレングリコールの市販品としては、たとえば、ユニオール(商標)D−1000,D−1200,D−2000,D−3000,D−4000,PB−500,PB−700,PB−1000およびPB−2000(以上、日油株式会社製)が挙げられる。
[(E2)ポリC2~6アルキレングリコールと脂肪酸とのエステル]
上記ポリC2~6アルキレングリコールと脂肪酸とのエステルとしては、「(E1)ポリC2~6アルキレングリコール」の項で説明したポリC2~6アルキレングリコールのOH末端の一方または両方が、脂肪酸によりエステル化されているもの、すなわち、モノエステルおよびジエステルが挙げられる。
ポリC2~6アルキレングリコールと脂肪酸とのエステルにおいて、エステル化すべき脂肪酸としては、たとえば、「(A1)鎖状炭化水素テトラオールと脂肪酸とのエステル」において列挙されている脂肪酸、すなわち、飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸が挙げられ、酸化等により変性する可能性を考慮すると、飽和脂肪酸が好ましい。
上記ポリC3~6アルキレングリコールと脂肪酸とのエステルの市販品としては、たとえば、ウィルブライトcp9(日油株式会社製)が挙げられる。
[(E3)ポリC2~6アルキレングリコールと脂肪族1価アルコールとのエーテル]
上記ポリC2~6アルキレングリコールと脂肪族1価アルコールとのエーテルとしては、「(E1)ポリC2~6アルキレングリコール」の項で説明したポリC2~6アルキレングリコールのOH末端の一方または両方が、脂肪族1価アルコールによりエーテル化されているもの、すなわち、モノエーテルおよびジエーテルが挙げられる。
ポリC2~6アルキレングリコールと脂肪族1価アルコールとのエーテルにおいて、エーテル化すべき脂肪族1価アルコールとしては、たとえば、「化合物(B)」の項で列挙されている脂肪族1価アルコールが挙げられる。
[(E4)ポリC2~6アルキレングリコールと、鎖状炭化水素テトラカルボン酸、鎖状炭化水素トリカルボン酸、または鎖状炭化水素ジカルボン酸とのエステル]
上記ポリC2~6アルキレングリコールと、鎖状炭化水素テトラカルボン酸、鎖状炭化水素トリカルボン酸、または鎖状炭化水素ジカルボン酸とのエステルにおいて、エステル化すべきポリC2~6アルキレングリコールとしては、「(E1)ポリC2~6アルキレングリコール」の項で説明したポリC2~6アルキレングリコールが挙げられる。また、エステル化すべき鎖状炭化水素テトラカルボン酸、鎖状炭化水素トリカルボン酸、および鎖状炭化水素ジカルボン酸としては、「化合物(C)」の項で説明されるものが挙げられる。
上記ポリC2~6アルキレングリコールと、鎖状炭化水素テトラカルボン酸、鎖状炭化水素トリカルボン酸、または鎖状炭化水素ジカルボン酸とのエステルは、市販されているほか、鎖状炭化水素テトラカルボン酸、鎖状炭化水素トリカルボン酸、または鎖状炭化水素ジカルボン酸に、C2~6アルキレングリコールを、公知の条件で重縮合させることにより製造することができる。
[(E5)ポリC2~6アルキレングリコールと、鎖状炭化水素テトラオール、鎖状炭化水素トリオール、または鎖状炭化水素ジオールとのエーテル]
上記ポリC2~6アルキレングリコールと、鎖状炭化水素テトラオール、鎖状炭化水素トリオール、または鎖状炭化水素ジオールとのエーテルにおいて、エーテル化すべきポリC2~6アルキレングリコールとしては、「(E1)ポリC2~6アルキレングリコール」の項で説明したポリC2~6アルキレングリコールが挙げられる。また、エーテル化すべき鎖状炭化水素テトラオール、鎖状炭化水素トリオール、および鎖状炭化水素ジオールとしては、「化合物(A)」の項で説明されるもの、たとえば、ペンタエリトリトール、グリセリン、およびグリコールが挙げられる。
上記ポリC2~6アルキレングリコールと、鎖状炭化水素テトラオール、鎖状炭化水素トリオール、または鎖状炭化水素ジオールとのエーテルの市販品としては、たとえば、ユニルーブ(商標)5TP−300KB,並びにユニオール(商標)TG−3000およびTG−4000(日油株式会社製)が挙げられる。
ユニルーブ(商標)5TP−300KBは、ペンタエリトリトール1モルに、プロピレングリコール65モルと、エチレングリコール5モルとを重縮合させた化合物であり、そのIOBは0.39であり、融点は45℃未満であり、そして水溶解度は0.05g未満であった。
ユニオール(商標)TG−3000は、グリセリン1モルに、プロピレングリコール50モルを重縮合させた化合物であり、そのIOBは0.42であり、融点は45℃未満であり、水溶解度は0.05g未満であり、そして重量平均分子量は約3,000であった。
ユニオール(商標)TG−4000は、グリセリン1モルに、プロピレングリコール70モルを重縮合させた化合物であり、そのIOBは0.40であり、融点は45℃未満であり、水溶解度は0.05g未満であり、そして重量平均分子量は約4,000であった。
上記ポリC2~6アルキレングリコールと、鎖状炭化水素テトラオール、鎖状炭化水素トリオール、または鎖状炭化水素ジオールとのエーテルはまた、鎖状炭化水素テトラオール、鎖状炭化水素トリオール、または鎖状炭化水素ジオールに、C2~6アルキレングリコールを、公知の条件で重縮合させることにより製造することができる。
[(F)鎖状炭化水素]
上記鎖状炭化水素は、上記無機性値が0であることから、IOBが0であり、そして水溶解度がほぼ0gであるので、融点が約45℃以下のものであれば、上記血液改質剤に含まれうる。上記鎖状炭化水素としては、たとえば、(F1)鎖状アルカン、たとえば、直鎖アルカンおよび分岐鎖アルカンが挙げられ、たとえば、直鎖アルカンの場合には、融点が約45℃以下であることを考慮すると、おおむね、炭素数が22以下のものが含まれる。また、蒸気圧を考慮すると、おおむね、炭素数が13以上のものが含まれる。分岐鎖アルカンの場合には、直鎖アルカンよりも、同一炭素数において、融点が低くなる場合があるため、炭素数が22以上のものも含まれうる。上記炭化水素の市販品としては、たとえば、パールリーム6(日油株式会社)が挙げられる。
上記血液改質剤は、実施例とともに詳細に考察するが、血液の粘度および表面張力を下げるメカニズムを有すると考えられる。吸収性物品が吸収すべき経血は、通常の血液と比較して、子宮内膜壁等のタンパク質を含むため、それらが血球同士を繋ぐように作用して、血球が連銭した状態をとりやすい。そのため、吸収性物品が吸収すべき経血は、高粘度となりやすく、トップシートが不織布である場合には、経血が繊維の間に目詰まりしやすく、着用者はベタつき感を覚えやすく、そしてトップシートの表面で経血が拡散し、漏れやすくなる。
本開示の吸収性物品では、トップシートが、血液の粘度および表面張力を下げるメカニズムを有すると考えられる血液改質剤を含むため、トップシートの繊維の間に経血が目詰まりしにくく、経血をトップシートから吸収体に迅速に移行させることが可能となる。
また、本開示の吸収性物品では、血液改質剤の融点が約45℃以下であることにより、常温(25℃)で液体であるか、または固体であるかを問わず、約30〜約40℃の体液と接触した際に液化し(または液体であり)、体液に溶解しやすくなると考えられる。
さらに、IOBが約0〜約0.60である血液改質剤は、有機性が高く、血球の間に入り込みやすいので、血球を安定化させ、血球に連銭構造を形成しにくくすることができると考えられる。
上記改質剤が、血球を安定化させ、血球に連銭構造を形成しにくくすることにより、吸収体が経血を吸収しやすくなると考えられる。たとえば、アクリル系高吸収ポリマー、いわゆる、SAPを含む吸収性物品では、経血を吸収すると、連銭した血球がSAP表面を覆い、SAPが吸収性能を発揮しにくくなることが知られているが、血球を安定化することにより、SAPが吸収性能を発揮しやすくなると考えられる。また、赤血球と親和性の高い血液改質剤が、赤血球膜を保護するため、赤血球が破壊されにくくなると考えられる。
上記血液改質剤は、約2,000以下の重量平均分子量を有することが好ましく、そして1,000以下の重量平均分子量を有することがより好ましい。重量平均分子量が高くなると、血液改質剤の粘度を、塗工に適した粘度に下げることが難しくなり、溶媒で希釈すべき場合が生ずるからである。また、数平均分子量が大きくなると、血液改質剤にタック性が生じ、着用者に不快感を与える場合があるからである。
以上の一実施形態の吸収性物品を以下のように変形することができる。
(1)図5(a)に示すように、吸収性物品1Aは、トップシート2と吸収体4との間にセカンドシート9を含んでもよい。セカンドシート9は、トップシート2に排出された着用者の経血を平面方向に拡散させることによって吸収体4の肌側の面からの経血の吸収を速めたり、吸収性物品1Aのクッション性を上げたりするために使用される。セカンドシート9には、親水性で液透過性の材料、たとえば、織布、不織布、多孔性プラスチック、フラッフパルプなどを使用することができる。
セカンドシート9は、ホットメルト接着剤などの接着剤を使用してトップシート2および吸収体4と接着していてもよい。これにより、トップシート2は着用者の経血を素早く吸収して吸収体4に移行できる。また、トップシート60よりも目付けが高く、密度の高い材料をセカンドシート9に用いてもよい。これにより、トップシート2からセカンドシート9への経血の移行を速くできる。
図5(b)に示すように、貫通穴10の穴内においても、トップシート2と吸収体4との間にセカンドシート9は設けられている。これにより、着用者から排出された経血が貫通穴10の穴内全体に拡散する速度が速くなり、経血が吸収体2に吸収される吸収速度を速くすることができる。
貫通穴10の穴内を被覆するトップシート2に塗布された血液改質剤は、トップシート2からセカンドシート9に移行する。したがって、貫通穴10の穴内を被覆するトップシート2に血液改質剤を塗布することによって、セカンドシート9にも血液改質剤を塗布できる。貫通穴10の穴内を被覆しているセカンドシート9に血液改質剤を塗布することによって、貫通穴10に浸入した経血は、トップシート2から吸収体4へさらに速やかに移行され、そして、吸収体4にさらに速く吸収される。
実施形態と変形例の一つ、もしくは複数を組み合わせることも可能である。変形例同士をどのように組み合わせることも可能である。
以上の説明はあくまで一例であり、発明は、上記の実施形態に何ら限定されるものではない。
以下の実施例により、血液改質剤が、経血の粘度および表面張力を下げ、トップシート2から吸収体4へ速やかに経血を移行させることができることを確認した。以下、例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
[例1]
[リウェット率および吸収体移行速度の評価]
市販の生理用ナプキンを準備した。当該生理用ナプキンは、親水剤で処理されたエアスルー不織布(ポリエステルおよびポリエチレンテレフタレートから成る複合繊維、坪量:35g/m2)から形成されたトップシートと、エアスルー不織布(ポリエステルおよびポリエチレンテレフタレートから成る複合繊維、坪量:30g/m2)から形成されたセカンドシートと、パルプ(坪量:150〜450g/m2、中央部ほど多い)、アクリル系高吸収ポリマー(坪量:15g/m2)およびコアラップとしてのティッシュを含む吸収体と、撥水剤処理されたサイドシートと、ポリエチレンフィルムから成るバックシートとから形成されていた。
以下に、実験に用いられた血液改質剤を列挙する。
[(A1)鎖状炭化水素テトラオールと脂肪酸とのエステル]
・ユニスター H−408BRS,日油株式会社製
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリトール
・ユニスター H−2408BRS−22,日油株式会社製
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリトールと、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコールとの混合物(58:42、重量比)
[(A2)鎖状炭化水素トリオールと脂肪酸とのエステル]
・Cetiol SB45DEO,コグニスジャパン株式会社製
脂肪酸が、オレイン酸またはステアリル酸である、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル
・トリC2L油脂肪酸グリセリド,日油株式会社製
8の脂肪酸:C10の脂肪酸:C12の脂肪酸がおおよそ37:7:56の重量比で含まれている、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル
・トリCL油脂肪酸グリセリド,日油株式会社製
8の脂肪酸およびC12の脂肪酸がおおよそ44:56の重量比で含まれている、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル
・パナセート810s,日油株式会社製
8の脂肪酸:C10の脂肪酸がおおよそ85:15の重量比で含まれている、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル
・パナセート800,日油株式会社製
脂肪酸が全てオクタン酸(C8)である、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル
・パナセート800B,日油株式会社製
脂肪酸が全て2−エチルヘキサン酸(C8)である、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル
・NA36,日油株式会社製
16の脂肪酸:C18の脂肪酸:C20の脂肪酸(飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸の両方を含む)がおおよそ5:92:3の重量比で含まれている、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル
・トリヤシ油脂肪酸グリセリド,日油株式会社製
8の脂肪酸:C10の脂肪酸:C12の脂肪酸:C14の脂肪酸:C16の脂肪酸(飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸の両方を含む)がおおよそ4:8:60:25:3の重量比で含まれている、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル
・SOY42,日油株式会社製
14の脂肪酸:C16の脂肪酸:C18の脂肪酸:C20の脂肪酸(飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸の両方を含む)がおおよそ0.2:11:88:0.8の重量比で含まれている、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル
・カプリル酸ジグリセリド,日油株式会社製
脂肪酸がオクタン酸である、グリセリンと脂肪酸とのジエステル
[(A3)鎖状炭化水素ジオールと脂肪酸とのエステル]
・コムポールBL,日油株式会社製
ブチレングリコールのドデカン酸(C12)モノエステル
・コムポールBS,日油株式会社製
ブチレングリコールのオクタデカン酸(C18)モノエステル
・ユニスター H−208BRS,日油株式会社製
ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール
[(C3)2個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素ジカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸またはオキソ酸と、脂肪族1価アルコールとのエステル]
・アジピン酸ジオクチル,和光純薬工業製
[(D3)脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステル]
・エレクトールWE20,日油株式会社製
ドデカン酸(C12)と、ドデシルアルコール(C12)とのエステル
・エレクトールWE40,日油株式会社製
テトラデカン酸(C14)と、ドデシルアルコール(C12)とのエステル
[(E1)ポリC2~6アルキレングリコール]
・ユニオールD−1000(ユニオールは、全て日油株式会社製)
重量平均分子量約1,000のポリプロピレングリコール
・ユニオールD−1200
重量平均分子量約1,200のポリプロピレングリコール
・ユニオールD−3000
重量平均分子量約3000のポリプロピレングリコール
・ユニオールD−4000
重量平均分子量約4000のポリプロピレングリコール
・ユニオールPB500
重量平均分子量約500のポリブチレングリコール
・ユニオールPB700
重量平均分子量約700のポリオキシブチレンポリオキシプロピレングリコール
・ユニオールPB1000R
重量平均分子量約1000のポリブチレングリコール
[(E2)ポリC2~6アルキレングリコールと脂肪酸とのエステル]
・ウィルブライトcp9,日油株式会社製
両末端のOH基がヘキサデカン酸(C16)によりエステル化されている、重量平均分子量約1,100のポリブチレングリコール
[(E3)ポリC2~6アルキレングリコールと脂肪酸とのエーテル]
・ユニルーブMS−70K,日油株式会社製
ポリプロピレングリコールのステアリルエーテル,約15の繰返し単位
[(F1)鎖状アルカン]
・パールリーム6,日油株式会社製
流動イソパラフィン、イソブテンおよびn-ブテンを共重合し、次いで水素を付加することにより生成された分岐鎖炭化水素、重合度:約5〜約10
[その他]
・NA50,日油株式会社製
NA36に水素を付加し、原料である不飽和脂肪酸に由来する二重結合の比率を下げたグリセリンと脂肪酸とのトリエステル
・(カプリル酸/カプリン酸)モノグリセリド,日油株式会社製
オクタン酸(C8)およびデカン酸(C10)がおおよそ85:15の重量比で含まれている、グリセリンと脂肪酸とのモノエステル
・Monomuls 90−L2ラウリン酸モノグリセリド,コグニスジャパン株式会社製
・ユニオックスHC60,日油株式会社製
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
・ウィルブライトs753,日油株式会社製
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシブチレングリセリン
・クエン酸イソプロピル,東京化成工業製
・ユニオールD−400
重量平均分子量約400のポリプロピレングリコール
・ユニオール TG−330,日油株式会社製
ポリプロピレングリコールのグリセリルエーテル,約6の繰返し単位,重量平均分子量:約330
・ユニオール TG−1000,日油株式会社製
ポリプロピレングリコールのグリセリルエーテル,約16の繰返し単位,重量平均分子量:約1000
・ユニルーブ DGP−700,日油株式会社製
ポリプロピレングリコールのジグリセリルエーテル,約9の繰返し単位,重量平均分子量:約700
・PEG1500,日油株式会社製
重量平均分子量約1,500〜約1,600のポリエチレングリコール
・ノニオンS−6,日油株式会社製
ポリオキシエチレンモノステアレート、約7の繰返し単位、重量平均分子量:約600
・ワセリン,コグニスジャパン株式会社製
石油に由来する炭化水素、半固形
上記試料の、IOB,融点および水溶解度を表2に示す。
なお、水溶解度は、上述の方法にしたがって測定したが、100gの脱塩水に、20.0gを添加し、24時間後に溶解した試料は、「20g<」と評価し、そして100gの脱塩水に、0.05gは溶解したが、1.00gは溶解しなかった試料は、0.05〜1.00gと評価した。
また、融点に関し、「<45」は、融点が45℃未満であることを意味する。
上記生理用ナプキンのトップシートの肌当接面を、上述の血液改質剤で塗工した。各血液改質剤を、血液改質剤が室温で液体である場合にはそのまま、そして血液改質剤が室温で固体である場合には、融点+20℃まで加熱し、次いで、コントロールシームHMAガンを用いて、各血液改質剤を微粒化し、トップシートの肌当接面に、坪量がおおよそ5g/m2となるように塗布した。
例1において、トップシートが血液改質剤を含む範囲を、図6に示す。図6に示されるように、例1では、生理用ナプキン200のトップシート220のほぼ全面が、血液改質剤を含む、血液改質剤含有領域240である。なお、図6において、符号230は、圧搾部を示す。
図7は、トップシートがトリC2L油脂肪酸グリセリドを含む生理用ナプキン(No.5)における、トップシートの肌当接面の電子顕微鏡写真である。図7から明らかなように、トリC2L油脂肪酸グリセリドは、微粒子状で、繊維の表面に存在している。
[試験方法]
各血液改質剤を含むトップシートの上に、穴の開いたアクリル板(200mm×100mm,125g,中央に、40mm×10mmの穴が開いている)を置き、上記穴から、37±1℃のウマEDTA血(ウマの血液に、凝結防止のため、エチレンジアミン四酢酸(以下、「EDTA」と称する)が添加されたもの)3gを、ピペットを用いて滴下(1回目)し、1分後、37±1℃のウマEDTA血3gを、アクリル板の穴から、ピペットで再度滴下した(2回目)。
2回目の血液の滴下後、直ちに上記アクリル板を外し、血液を滴下した場所に、ろ紙(50mm×35mm)10枚を置き、その上から、圧力が30g/cm2となるようにおもりを置いた。1分後、上記ろ紙を取出し、以下の式にしたがって、「リウェット率」を算出した。
リウェット率(%)=100×(試験後のろ紙質量−当初のろ紙質量)/6
また、リウェット率の評価とは別に、2回目の血液の滴下後、血液がトップシートから吸収体に移行する時間である「吸収体移行速度」を測定した。上記吸収体移行速度は、吸収体に血液を投入してから、トップシートの表面および内部に、血液の赤さが見られなくなるまでの時間を意味する。
リウェット率と、吸収体移行速度の結果を、以下の表2に示す。
また、吸収体移行速度の試験後のトップシートの肌当接面の白さを、以下の基準にしたがって、目視で評価した。
◎:血液の赤さがほとんど残っておらず、血液が存在した場所と、存在していない場所の区別がつかない
○:血液の赤さが若干残っているが、血液の存在した場所と、存在していない場所の区別がつきいにくい
△:血液の赤さが若干残っており、血液が存在した場所が分かる
×:血液の赤さがそのまま残っている
結果を、併せて以下の表2に示す。
血液改質剤を有しない場合には、リウェット率は22.7%であり、そして吸収体移行速度は60秒超であったが、グリセリンと脂肪酸とのトリエステルは、いずれも、リウェット率が7.0%以下であり、そして吸収体移行速度が8秒以下であることから、吸収性能が大幅に改善されていることが分かる。しかし、グリセリンと脂肪酸とのトリエステルのうち、融点が45℃を超えるNA50では、吸収性能に大きな改善はみられなかった。
同様に、約0〜約0.60のIOBと、約45℃以下の融点と、25℃の水100gに対する、約0.05g以下の水溶解度を有する血液改質剤では、吸収性能が大きく改善されることが分かった。
次に、No.1〜42の生理用ナプキンを、複数のボランティアの被験者に着用してもらったところ、No.1〜28の血液改質剤を含む生理用ナプキンでは、経血を吸収した後であってもトップシートにべたつき感がなく、トップシートがサラサラしているとの回答を得た。特に、これらは、No.29,32,39,41および42の生理用ナプキンとの差異が顕著であるとの回答を得た。
また、No.1〜28の生理用ナプキンでは、そして、とくにNo.1〜11,15〜18および28の血液改質剤を含む生理用ナプキンでは、経血を吸収後のトップシートの肌当接面が、血液で赤く染まっておらず、不快感が少ないとの回答を得た。
[例2]
動物の各種血液に関して、上述のリウェット率を評価した。実験に用いられた血液は、以下の通りである。
[動物種]
(1)ヒト
(2)ウマ
(3)ヒツジ
[血液種]
・脱繊維血:血液を採取後、ガラスビーズと共に、三角フラスコ内で約5分間撹拌したもの
・EDTA血:静脈血65mLに、12%EDTA・2K生理食塩液0.5mLを添加したもの
[分画]
血清または血漿:それぞれ、脱繊維血またはEDTA血を、室温下で、約1900Gで10分間遠心分離した後の上清
血球:血液から血清を除去し、残差をリン酸緩衝生理食塩液(PBS)で2回洗浄し、次いで除去した血清分のリン酸緩衝生理食塩液を加えたもの
トリC2L油脂肪酸グリセリドが、坪量がおおよそ5g/m2となるように塗布されている以外は、例1と同様にして吸収性物品を製造し、上述の各種血液のリウェット率を評価した。各血液に関して測定を3回行い、その平均値を採用した。
結果を、以下の表3に示す。
例1で得られた、ウマEDTA血と同様の傾向が、ヒトおよびヒツジの血液でも得られた。また、脱繊維血およびEDTA血においても、同様の傾向が観察された。
[例3]
[血液保持性の評価]
血液改質剤を含むトップシートと、血液改質剤を含まないトップシートとにおける血液保持性を評価した。
[試験方法]
(1)エアスルー不織布(ポリエステルおよびポリエチレンテレフタレートから成る複合繊維、坪量:35g/m2)から形成されたトップシートの肌当接面に、トリC2L油脂肪酸グリセリドを、コントロールシームHMAガンを用いて微粒化し、坪量がおおよそ5g/m2となるように塗布する。また、比較のため、トリC2L油脂肪酸グリセリドを塗布していないものも準備する。次いで、トリC2L油脂肪酸グリセリドが塗布されているトップシートと、塗布されていないトップシートとの両方を、0.2gの大きさにカットし、セルストレイナー+トップシートの質量(a)を正確に測定する。
(2)ウマEDTA血約2mLを、肌当接面側から添加し、1分間静置する。
(3)セルストレイナーを、遠心管にセットし、スピンダウンして、余剰のウマEDTA血を取り除く。
(4)セルストレイナー+ウマEDTA血を含むトップシートの重量(b)を測定する。
(5)下式にしたがって、トップシート1g当たりの当初吸収量(g)を算出する。
当初吸収量=[重量(b)−重量(a)]/0.2
(6)セルストレイナーを、遠心管に再セットし、室温下、約1200Gで1分間遠心分離する。
(7)セルストレイナー+ウマEDTA血を含むトップシートの重量(c)を測定する。
(8)下式にしたがって、トップシート1g当たりの試験後吸収量(g)を算出する。
試験後吸収量=[重量(c)−重量(a)]/0.2
(9)下式にしたがって血液保持率(%)を算出した。
血液保持率(%)=100×試験後吸収量/当初吸収量
なお、測定は3回行い、その平均値を採用した。
結果を、以下の表4に示す。
血液改質剤を含むトップシートは、血液保持性が低く、血液を吸収後、迅速に吸収体に移行させることができることが示唆される。
[例4]
[血液改質剤を含む血液の粘性]
血液改質剤を含む血液の粘性を、Rheometric Expansion System ARES(Rheometric Scientific,Inc)を用いて測定した。ウマ脱繊維血に、パナセート810sを2質量%添加し、軽く撹拌して試料を形成し、直径50mmのパラレルプレートに試料を載せ、ギャップを100μmとし、37±0.5℃で粘度を測定した。パラレルプレートゆえ、試料に均一なせん断速度はかかっていないが、機器に表示された平均せん断速度は、10s-1であった。
パナセート810sを2質量%含むウマ脱繊維血の粘度は、5.9mPa・sであり、一方、血液改質剤を含まないウマ脱繊維血の粘度は、50.4mPa・sであった。したがって、パナセート810sを2質量%含むウマ脱繊維血は、血液改質剤を含まない場合と比較して、約90%粘度を下げることが分かる。
血液は、血球等の成分を含み、チキソトロピーの性質を有することが知られているが、本開示の血液改質剤は、低粘度域で、血液の粘度を下げることができると考えられる。血液の粘度を下げることにより、吸収した経血を、トップシートから吸収体に速やかに移行させることができると考えられる。
上記血液改質剤は、吸収した経血を、トップシートから吸収体に速やかに移行させるために、ウマ脱繊維血に、上記血液改質剤を2質量%添加し、37℃およびせん断速度10s-1の条件下で粘度を測定した場合に、上記ウマ脱繊維血の粘度を、添加前と比較して、少なくとも50%下げることが好ましく、少なくとも60%下げることがより好ましく、少なくとも70%下げることがさらに好ましく、そして少なくとも80%下げることが最も好ましい。
[例5]
[血液改質剤を含む血液の顕微鏡写真]
健常ボランティアの経血をサランラップ上に採取し、その一部に、10倍の質量のリン酸緩衝生理食塩水中に分散されたパナセート810sを、パナセート810sの濃度が1質量%となるように添加した。経血を、スライドグラスに適下し、カバーグラスをかけ、光学顕微鏡にて、赤血球の状態を観察した。血液改質剤を含まない経血の顕微鏡写真を図8(a)に、そしてパナセート810sを含む経血の顕微鏡写真を図8(b)に示す。
図8から、血液改質剤を含まない経血では、赤血球が連銭等の集合塊を形成しているが、パナセート810sを含む経血では、赤血球が、それぞれ、安定に分散していることが分かる。したがって、血液改質剤は、血液の中で、赤血球を安定化させる働きをしていることが示唆される。
[例6]
[血液改質剤を含む血液の表面張力]
血液改質剤を含む血液の表面張力を、協和界面科学社製接触角計 Drop Master500を用い、ペンダントドロップ法にて測定した。表面張力は、ヒツジ脱繊維血に、所定の量の血液改質剤を添加し、十分振とうした後に測定した。
測定は、機器が自動で行うが、密度γは、以下の式により求められる(図9を参照)。
γ=g×ρ×(de)2×1/H
g:重力定数
1/H:ds/deから求められる補正項
ρ:密度
de:最大直径
ds:滴下端よりdeだけ上がった位置での径
密度ρは、JIS K 2249−1995の「密度試験方法および密度・質量・容量換算表」の5.振動式密度試験方法に準拠し、表5に示される温度で測定した。
測定には、京都電子工業株式会社のDA−505を用いた。
結果を、下記表5に示す。
表5から、血液改質剤は、25℃の水100gに対する、0.05g以下の水溶解度を有することからも明らかなように、水への溶解性が非常に低いが、血液の表面張力を下げることができることが分かる。
血液の表面張力を下げることにより、吸収した血液をトップシートの繊維間に保持せず、速やかに吸収体に移行させることができると考えられる。
1,1A 吸収性物品
2 トップシート
3 バックシート
4 吸収体
5 サイドシート
6 本体部
7 ウイング部
8 血液改質剤塗布領域
9 セカンドシート
10 貫通穴
11,12 シール部
13,14 粘着部
120 パターンドラム
130 トップシートロール
140 貫通穴形成装置
200 生理用ナプキン

Claims (10)

  1. 肌側に設けられた液透過性のトップシート、着衣側に設けられた液不透過性のバックシート、ならびに該トップシートと該バックシートとの間に介在し、肌側の面と着衣側の面との間を貫通する貫通穴を有する液保持性の吸収体を含む吸収性物品であって、
    前記トップシートは、前記吸収体の前記貫通穴の穴内を被覆し、
    前記貫通穴の穴内を被覆しているトップシートには、血液改質剤が塗布されており、
    前記血液改質剤は、0〜0.60のIOBと、45℃以下の融点と、25℃の水100gに対する、0.05g以下の水溶解度とを有する吸収性物品。
  2. 前記吸収体の前記貫通穴の穴内において、前記トップシートと前記吸収体との間にセカンドシートがさらに設けられ、
    前記血液改質剤が前記セカンドシートに塗布されている請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記吸収体の肌側の面の1cm2当たりの前記貫通穴の数は、1〜10個である請求項1または2に記載の吸収性物品。
  4. 前記吸収体の前記貫通穴の開口面積は、0.01〜10mm2である請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記血液改質剤が、
    (i)炭化水素、
    (ii)炭化水素のC−C単結合間に、少なくとも1つのカルボニル結合(−CO−)および/もしくは少なくとも1つのエーテル結合(−O−)が挿入された化合物、または
    (iii)炭化水素のC−C単結合間に、少なくとも1つのカルボニル結合(−CO−)および/もしくは少なくとも1つのエーテル結合(−O−)が挿入され、かつ炭化水素上の少なくとも1つの水素原子が、カルボキシル基(−COOH)もしくはヒドロキシル基(−OH)で置換された化合物、
    であり、ここで、(ii)または(iii)の化合物において、エーテル結合が2つ以上挿入されている場合には、エーテル結合同士は隣接していない、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  6. 前記血液改質剤が、
    (i’)炭化水素、
    (ii’)炭化水素のC−C単結合間に、少なくとも1つのカルボニル結合(−CO−)、少なくとも1つのエステル結合(−COO−)、少なくとも1つのカーボネート結合(−OCOO−)および/もしくは少なくとも1つのエーテル結合(−O−)が挿入された化合物、または
    (iii’)炭化水素のC−C単結合間に、少なくとも1つのカルボニル結合(−CO−)、少なくとも1つのエステル結合(−COO−)、少なくとも1つのカーボネート結合(−OCOO−)および/もしくは少なくとも1つのエーテル結合(−O−)が挿入され、かつ炭化水素上の少なくとも1つの水素原子が、カルボキシル基(−COOH)もしくはヒドロキシル基(−OH)で置換された化合物、
    であり、ここで、(ii’)または(iii’)の化合物において、2以上の結合が挿入されている場合には、各結合は隣接していない、請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  7. 前記血液改質剤が、炭化水素中に、炭素原子10個当たり、カルボニル結合(−CO−)を1.8個以下、エステル結合(−COO−)を2個以下、カーボネート結合(−OCOO−)を1.5個以下、エーテル結合(−O−)を6個以下、カルボキシル基(−COOH)を0.8個以下、そして/またはヒドロキシル基(−OH)を1.2個以下有する化合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  8. 前記血液改質剤が、
    (A)2〜4個のヒドロキシル基を有する化合物と、1個のカルボキシル基を有する化合物とのエステル、
    (B)2〜4個のヒドロキシル基を有する化合物と、1個のヒドロキシル基を有する化合物とのエーテル、
    (C)2〜4個のカルボキシル基を有する化合物と、1個のヒドロキシル基を有する化合物とのエステル、
    (D)炭化水素に、エーテル結合(−O−)、カルボニル結合(−CO−)、エステル結合(−COO−)、およびカーボネート結合(−OCOO−)から成る群から選択されるいずれか1つが挿入された化合物、
    (E)ポリC2~6アルキレングリコール、またはそのエステルもしくはエーテル、あるいは
    (F)鎖状炭化水素、
    である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  9. 前記血液改質剤が、(A1)鎖状炭化水素テトラオールと脂肪酸とのエステル、(A2)鎖状炭化水素トリオールと脂肪酸とのエステル、(A3)鎖状炭化水素ジオールと脂肪酸とのエステル、(B1)鎖状炭化水素テトラオールと脂肪族1価アルコールとのエーテル、(B2)鎖状炭化水素トリオールと脂肪族1価アルコールとのエーテル、(B3)鎖状炭化水素ジオールと脂肪族1価アルコールとのエーテル、(C1)4個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素テトラカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸またはオキソ酸と、脂肪族1価アルコールとのエステル、(C2)3個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素トリカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸またはオキソ酸と、脂肪族1価アルコールとのエステル、(C3)2個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素ジカルボン酸、ヒドロキシ酸、アルコキシ酸またはオキソ酸と、脂肪族1価アルコールとのエステル、(D1)脂肪族1価アルコールと脂肪族1価アルコールとのエーテル、(D2)ジアルキルケトン、(D3)脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステル、(D4)ジアルキルカーボネート、(E1)ポリC2~6アルキレングリコール、(E2)ポリC2~6アルキレングリコールと脂肪酸とのエステル、(E3)ポリC2~6アルキレングリコールと脂肪族1価アルコールとのエーテル、(E4)ポリC2~6アルキレングリコールと、鎖状炭化水素テトラカルボン酸、鎖状炭化水素トリカルボン酸、または鎖状炭化水素ジカルボン酸とのエステル、(E5)ポリC2~6アルキレングリコールと、鎖状炭化水素テトラオール、鎖状炭化水素トリオール、または鎖状炭化水素ジオールとのエーテル、および(F1)鎖状アルカンから成る群から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  10. 前記血液改質剤が、2000以下の重量平均分子量を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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