JP2013077558A - 電気化学素子用電極 - Google Patents

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Taku Matsumura
卓 松村
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Abstract

【課題】電極活物質層と集電体との密着性が高く、電解液に対する濡れ性に優れ、これにより、電池とした場合における、内部抵抗が低く、サイクル特性に優れた電気化学素子用電極を提供すること。
【解決手段】電極活物質及びバインダを含有する電極活物質層を備える電気化学素子用電極であって、前記電極活物質210の表面の少なくとも一部に前記バインダで被覆されてなるバインダ被覆部220と、複数の前記電極活物質210から構成される空隙部240内に、前記空隙部240を形成する複数の電極活物質210の表面に形成されたバインダ被覆部220同士を前記バインダにより連結してなるバインダ連結部230と、を備える電気化学素子用電極を提供する。
【選択図】図2

Description

本発明は、電気化学素子用電極に関する。
小型で軽量であり、エネルギー密度が高く、さらに繰り返し充放電が可能なリチウムイオン二次電池などの電気化学素子は、その特性を活かして急速に需要を拡大している。リチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が比較的に大きいことから携帯電話やノート型パーソナルコンピュータ、電気自動車などの分野で利用されている。
このような電気化学素子を構成する電極は、通常、バインダと、電極活物質と、溶媒とを含有するスラリーを、金属箔などの集電体上に塗布し、溶媒を除去することにより製造される。このような電気化学素子の電極を構成するためのスラリーとしては、バインダとして、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素系樹脂、溶媒として、N−メチル−ピロリドン(NMP)などの有機溶剤を用いた有機系のスラリーが一般的に用いられている。
しかしその一方で、有機系のスラリーを用いる方法においては、有機溶剤のリサイクルに要する費用の問題や、有機溶剤を使用することによる安全性確保の問題があり、そのため、これらの問題を解決するために、水を媒体とする水系スラリーに用いる水系のバインダが検討されている。
たとえば、特許文献1では、1,3−ブタジエン由来の構造単位、芳香族ビニル由来の構造単位及びエチレン性不飽和カルボン酸エステル由来の構造単位を有するポリマーとポリ1,3−ブタジエンとの混合物からなる水系のバインダが開示されている。なお、この特許文献1では、このような水系バインダを用い、電極活物質及び水と混合することにより水系スラリーを得て、得られた水系スラリーを、金属箔集電体上に塗布することで、電気化学素子用電極を得ている。
特許第3627586号公報
しかしながら、本発明者等が検討したところ、上述した特許文献1の技術では、得られる電気化学素子用電極は、電気化学素子用電極内において、バインダが、電極活物質と電極活物質との間に形成される空隙を塞ぐような形態で存在しており、そのため、電極活物質と電解液との界面が適切に形成されず、そのため、イオン伝導が不十分となり、結果として、抵抗が高くなってしまうという問題があった。
本発明は、電極活物質層と集電体との密着性が高く、電解液に対する濡れ性に優れ、これにより、電池とした場合における、内部抵抗が低く、サイクル特性に優れた電気化学素子用電極を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、電気化学素子用電極を、電極活物質の表面の少なくとも一部にバインダで被覆されてなるバインダ被覆部と、複数の電極活物質から構成される空隙部内に、該空隙部を形成する複数の電極活物質の表面に形成されたバインダ被覆部同士をバインダにより連結してなるバインダ連結部とを備えるような構成とすることにより、電気化学素子用電極を、電極活物質層と集電体との密着性が高く、電解液に対する濡れ性に優れ、これにより、電池とした場合における、内部抵抗が低く、サイクル特性に優れたものとすることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、電極活物質及びバインダを含有する電極活物質層を備える電気化学素子用電極であって、前記電極活物質の表面の少なくとも一部に前記バインダで被覆されてなるバインダ被覆部と、複数の前記電極活物質から構成される空隙部内に、前記空隙部を形成する複数の電極活物質の表面に形成されたバインダ被覆部同士を前記バインダにより連結してなるバインダ連結部と、を備える電気化学素子用電極が提供される。
本発明の電気化学素子用電極において、前記空隙部を形成する複数の電極活物質の表面に形成された各バインダ被覆部同士は、一体化されておらず、互いに独立して形成されていることが好ましい。
本発明の電気化学素子用電極において、前記バインダ連結部の長さが0.01〜5μmであることが好ましい。
本発明の電気化学素子用電極において、前記バインダ連結部は、糸状及び/又は板状の形状を有していることが好ましい。
本発明の電気化学素子用電極において、前記バインダが、アクリレート系重合体及び/又は共役ジエン系重合体であることが好ましい。
本発明の電気化学素子用電極において、前記電極活物質及びバインダが、複合粒子を形成していることが好ましい。
本発明の電気化学素子用電極において、前記電極活物質層は、前記複合粒子を、第1の圧力で加圧することで加圧体とし、前記加圧体を、前記第1の圧力よりも高い第2の圧力で加圧することにより得られたものであることが好ましい。
本発明によれば、電極活物質層と集電体との密着性が高く、電解液に対する濡れ性に優れ、これにより、電池とした場合における、内部抵抗が低く、サイクル特性に優れた電気化学素子用電極を提供することができる。
図1は、本発明の電気化学素子用電極の一例を示す概略図である。 図2は、本発明の電気化学素子用電極の微細構造を示す模式図である。 図3は、従来例に係る電気化学素子用電極の微細構造を示す模式図である。 図4は、従来例に係る電気化学素子用電極の微細構造を示す模式図である。 図5は、本発明の電気化学素子用電極を製造するための電極成形装置の一例を示す概略図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の電気化学素子用電極の一例を示す概略図である。図1に示すように、本発明の電気化学素子用電極100は、シート状の集電体300上に、シート状又はフィルム状の電極活物質層200が形成されてなる。電気化学素子用電極100としては、電気化学素子に用いられる電極であればよく、特に限定されないが、たとえば、リチウムイオン二次電池や、電気二重層キャパシタ、ハイブリッドキャパシタ(リチウムイオンキャパシタなど)などの各種電気化学素子用の電極が挙げられる。
本発明の電気化学素子用電極100を構成する電極活物質層200は、少なくとも電極活物質と、バインダとを含有してなる。以下、電極活物質層200を構成すする電極活物質及びバインダについて説明する。
(電極活物質)
本発明で用いる電極活物質は、電気化学素子の種類によって適宜選択される。たとえば、本発明の電気化学素子用電極100を、リチウムイオン二次電池用の正極として用いる場合、正極活物質としては、リチウムイオンを可逆的にドープ・脱ドープ可能な金属酸化物が挙げられる。かかる金属酸化物としては、例えば、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、燐酸鉄リチウム、燐酸マンガンリチウム、燐酸バナジウムリチウム、バナジン酸鉄リチウム、ニッケル− マンガン− コバルト酸リチウム、ニッケル− コバルト酸リチウム、ニッケル− マンガン酸リチウム、鉄− マンガン酸リチウム、鉄−マンガン− コバルト酸リチウム、珪酸鉄リチウム、珪酸鉄− マンガンリチウム、酸化バナジウム、バナジン酸銅、酸化ニオブ、硫化チタン、酸化モリブデン、硫化モリブデン、等を挙げることができる。なお、上記にて例示した正極活物質は適宜用途に応じて単独で使用してもよく、複数種混合して使用してもよい。さらに、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン、ポリキノンなどのポリマーが挙げられる。これらのうち、リチウム含有金属酸化物を用いることが好ましい。
また、本発明の電気化学素子用電極100を、上述したリチウムイオン二次電池用の正極の対極としての負極として用いる場合には、負極活物質としては、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素、活性炭、熱分解炭素などの低結晶性炭素(非晶質炭素)、グラファイト(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノウォール、カーボンナノチューブ、あるいはこれら物理的性質の異なる炭素の複合化炭素材料、錫やケイ素等の合金系材料、ケイ素酸化物、錫酸化物、バナジウム酸化物、チタン酸リチウム等の酸化物、ポリアセン等が挙げられる。なお、上記に例示した電極活物質は適宜用途に応じて単独で使用してもよく、複数種混合して使用してもよい。
リチウムイオン二次電池用の正極活物質及び負極活物質の形状は、粒状に整粒されたものが好ましく、粒子の形状が球形であると、電極成形時により高密度な電極が形成できる。また、リチウムイオン二次電池用の正極活物質及び負極活物質の体積平均粒子径は、正極、負極ともに通常0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは0.8〜20μmである。さらに、リチウムイオン二次電池用の正極活物質及び負極活物質のタップ密度は、特に制限されないが、正極では2g/cm以上、負極では0.6g/cm以上のものが好適に用いられる。
あるいは、本発明の電気化学素子用電極100を、リチウムイオンキャパシタの正極として用いる場合、正極用活物質としては、アニオン及び/又はカチオンを可逆的にドープ・脱ドープ可能な活性炭、ポリアセン系有機半導体(PAS)、カーボンナノチューブ、カーボンウィスカー、グラファイト等が挙げられる。これらのなかでも、活性炭、カーボンナノチューブが好ましい。
また、本発明の電気化学素子用電極100を、上述したリチウムイオンキャパシタの正極の対極としての負極として用いる場合には、負極活物質としては、リチウムイオン二次電池用の負極活物質として例示した材料をいずれも使用することができる。
リチウムイオンキャパシタ用の正極活物質及び負極活物質の体積平均粒子径は、通常0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、更に好ましくは0.8〜20μmである。また、リチウムイオンキャパシタ用の正極活物質として活性炭を用いる場合、活性炭の比表面積は、30m/g以上、好ましくは500〜3,000m/g、より好ましくは1,500〜2,600m/gである。比表面積が約2,000m/gまでは比表面積が大きくなるほど活性炭の単位重量あたりの静電容量は増加する傾向にあるが、それ以降は静電容量は然程増加せず、かえって電極合材層の密度が低下し、静電容量密度が低下する傾向にある。また、活性炭が有する細孔のサイズは電解質イオンのサイズに適合していることがリチウムイオンキャパシタとしての特徴である急速充放電特性の面で好ましい。従って、電極活物質を適宜選択することで、所望の容量密度、入出力特性を有する電極合材層を得ることができる。
また、本発明の電気化学素子用電極100を、電気二重層キャパシタ用の正極又は負極として用いる場合には、正極活物質及び負極活物質としては、上述したリチウムイオンキャパシタ用の正極活物質として例示された材料をいずれも使用することができるが、なかでも、活性炭が好ましい。
(バインダ)
本発明で用いるバインダとしては、上述した電極活物質を相互に結着させることができる化合物であれば特に制限はないが、本発明においては、溶媒に分散する性質を有する分散型のバインダが好ましい。分散型のバインダとしては、溶媒に分散する重合体を用いることができ、そのような重合体としては、たとえば、シリコン系重合体、フッ素含有重合体、共役ジエン系重合体、アクリレート系重合体、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン等の高分子化合物が挙げられ、これらのなかでもフッ素系含有重合体、共役ジエン系重合体及びアクリレート系重合体が好ましく、共役ジエン系重合体及びアクリレート系重合体がより好ましい。
共役ジエン系重合体は、共役ジエンの単独重合体もしくは共役ジエンを含む単量体混合物を重合して得られる共重合体、又はそれらの水素添加物である。前記単量体混合物における共役ジエンの割合は、通常40重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上である。共役ジエン系重合体の具体例としては、ポリブタジエンやポリイソプレンなどの共役ジエン単独重合体;カルボキシ変性されていてもよいスチレン・ブタジエン共重合体(SBR)などの芳香族ビニル・共役ジエン共重合体;アクリロニトリル・ブタジエン共重合体(NBR)などのシアン化ビニル・共役ジエン共重合体;水素化SBR、水素化NBR等が挙げられる。
アクリレート系重合体は、一般式(1):CH=CR−COOR(式中、Rは水素原子又はメチル基を、Rはアルキル基又はシクロアルキル基などを表す。Rはさらにエーテル基、水酸基、カルボン酸基、フッ素基、リン酸基、エポキシ基、アミノ基を有していてもよい。)で表される化合物由来の単量体単位を含む重合体、具体的には、一般式(1)で表される化合物の単独重合体、又は前記一般式(1)で表される化合物を含む単量体混合物を重合して得られる共重合体である。一般式(1)で表される化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、及び(メタ)アクリル酸トリデシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシジプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等のエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸等のカルボン酸含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル等のフッ素基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸リン酸エチル等のリン酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等のアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル;等が挙げられる。
これら(メタ)アクリル酸エステルは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、及び(メタ)アクリル酸n―ブチルやアルキル基の炭素数が6〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルがより好ましい。これらを選択することにより、電解液に対する膨潤性の低くすることが可能となり、サイクル特性を向上させることができる。
さらに、アクリレート系重合体は、たとえば、2つ以上の炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸エステル類、芳香族ビニル系単量体、アミド系単量体、オレフィン類、ジエン系単量体、ビニルケトン類、複素環含有ビニル化合物などの、共重合可能な単量体を共重合することもできる。また、α,β−不飽和ニトリル化合物や酸成分を有するビニル化合物を共重合することもできる。
アクリレート系重合体中における(メタ)アクリル酸エステル単位の含有割合は、好ましくは50〜95重量%であり、より好ましくは60〜90重量%である。(メタ)アクリル酸エステル単位の含有割合を上記範囲とすることにより、本発明の電気化学素子用電極の柔軟性を向上させることができ、割れに対する耐性を高いものとすることができる。
また、アクリレート系重合体としては、上述した(メタ)アクリル酸エステルと、これと共重合可能な単量体との共重合体であってもよく、このような共重合可能な単量体としては、たとえば、α,β−不飽和ニトリル化合物、酸成分を有するビニル化合物などが挙げられる。
α,β−不飽和ニトリル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−ブロモアクリロニトリルなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが好ましく、アクリロニトリルがより好ましい。
アクリレート系重合体中におけるα,β−不飽和ニトリル化合物単位の含有割合は、通常0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは1〜20重量部の範囲である。α,β−不飽和ニトリル化合物単位の含有割合を上記範囲とすることにより、結着材としての結着力をより高めることができる。
また、酸成分を有するビニル化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸が好ましく、メタクリル酸、イタコン酸がより好ましく、特に、メタクリル酸とイタコン酸とを併用して用いることが好ましい。
アクリレート系重合体中における酸成分を有するビニルモノマー単位の含有割合は、好ましくは1.0〜10重量%であり、より好ましくは1.5〜5.0重量%である。酸成分を有するビニルモノマー単位の含有割合を上記範囲とすることにより、スラリーとした際における安定性を向上させることができる。
さらに、アクリレート系重合体としては、上述した各単量体と共重合可能な他の単量体を共重合したものであってもよく、このような他の単量体としては、たとえば、2つ以上の炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸エステル類、芳香族ビニル系単量体、アミド系単量体、オレフィン類、ジエン系単量体、ビニルケトン類、複素環含有ビニル化合物などが挙げられる。
本発明で用いる分散型のバインダの形状は、特に制限はないが、粒子状であることが好ましい。粒子状であることにより、結着性が良く、また、作製した電極の容量の低下や充放電の繰り返しによる劣化を抑えることができる。粒子状の結着材としては、例えば、ラテックスのごとき結着材の粒子が水に分散した状態のものや、このような分散液を乾燥して得られる粒子状のものが挙げられる。
本発明で用いる分散型のバインダの体積平均粒子径は、好ましくは0.001〜100μm、より好ましくは10〜1000nm、さらに好ましくは50〜500nmである。本発明で用いる分散型のバインダ粒子の平均粒子径を上記範囲とすることにより、スラリーとした際における安定性を良好なものとしながら、本発明の電気化学素子用電極としての強度及び柔軟性が良好となる。
本発明の電気化学素子用電極中における、バインダの含有量は、電極活物質100重量部に対して、乾燥重量基準で通常は0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは1〜15重量部である。バインダの含有量がこの範囲にあると、電極活物質層と集電体との密着性が充分に確保でき、かつ、内部抵抗を低くすることができる。
(電極活物質層200の微細構造)
次いで、本発明の電気化学素子用電極100を構成する電極活物質層200の微細構造について、説明する。図2は、本発明の電気化学素子用電極100を構成する電極活物質層200の微細構造を示す模式図である。なお、図2は、電極活物質層200の断面の微細構造を示している。
図2に示すように、本発明に係る電極活物質層200は、電極活物質210及びバインダを含んでなり、バインダの一部は、複数の電極活物質210の表面の少なくとも一部を被覆した状態で存在し、バインダ被覆部220を形成している。また、図2に示すように、互いに近接する複数の電極活物質210を被覆するバインダ被覆部220同士は、同じくバインダから構成されるバインダ連結部230により、互いに連結されてなり、これにより、互いに近接する複数の電極活物質210同士が、バインダ被覆部220及びバインダ連結部230により互いに結着されている。すなわち、バインダ連結部230は、互いに近接する複数の電極活物質210により形成される空隙部240内において、互いに近接する複数の電極活物質210を被複するバインダ被覆部220同士を連結するような形で存在している。
本発明においては、電極活物質層200は、このように、互いに近接する複数の電極活物質210同士が、バインダ被覆部220及びバインダ連結部230により互いに結着されるような構成となっているため、図2に示すように、互いに近接する複数の電極活物質210により形成される空隙部240が確保されている。そのため、このような電極活物質層200を有する本発明の電気化学素子用電極100を用いて電気化学素子を得た場合には、この空隙部240内に電解液が含浸し、これにより、電極活物質210と電解液との界面を適切に形成することができ、集電体300に対する密着性を高く保ちながら、電解液に対する濡れ性に優れたものとすることが可能となる。そして、結果として、電気化学素子とした場合における、内部抵抗を低減することができるとともに、サイクル特性の向上を可能とするものである。
特に、本発明の電気化学素子用電極100を構成する電極活物質層200は、互いに近接する複数の電極活物質210により形成される空隙部240が、電極活物質層200を構成する各成分、すなわち、電極活物質210、バインダ被覆部220及びバインダ連結部230により完全に囲まれたものではなく、電極活物質層200内部において連続したものである。そのため、空隙部240内に含浸した電解液及び電解液中に含有されるイオンは、電極活物質層200内を容易に拡散することができ、そのため、電極活物質層200内におけるイオン伝導を高めることができる。
なお、上述した特許文献1など、従来の電気化学素子用電極においては、たとえば、その微細構造は、図3、図4に示すような構造となっていた。すなわち、図3に示すように、従来の電気化学素子用電極においては、その電極活物質層において、互いに近接する複数の電極活物質210により形成される空隙が、バインダ220aにより完全に塞がれたような構造となっていた。あるいは、図4に示すように、互いに近接する複数の電極活物質210により形成される空隙は、バインダ220aにより塞がれている一方で、その内部に空隙部240aを有するような構造となっていた。
そして、図3、図4に示すような微細構造においては、電極活物質210まで電解液が含浸され難く、そのため、電極活物質210と電解液との界面が適切に形成されず、結果として、電気化学素子とした場合における、内部抵抗が高くなってしまうという不具合がある。なお、図4に示すような微細構造においては、バインダ220a内に空隙部240aが形成されているものの、この空隙部240aは、バインダ220aにより完全に覆われており、周囲から孤立したものである。そのため、この空隙部240a内に含浸した電解液及び電解液中に含有されるイオンは、電気化学素子用電極内に拡散し難く、そのため、電気化学素子用電極内のイオン伝導性の向上に実質的に寄与しないものである。
これ対し、本発明においては、電極活物質層200の微細構造を、図2に示すような構造とすることにより、上記従来技術における不具合を有効に解決するものである。
本発明の電気化学素子用電極100を構成する電極活物質層200において、バインダ連結部230の長さは、好ましくは0.01〜5μmであり、さらに好ましくは0.02〜2μmである。バインダ連結部230の長さを上記範囲とすることにより、電極活物質層200内におけるイオン伝導性を十分に高く保ちながら、電極活物質210同士の結着力を十分に高いものとすることができる。
バインダ連結部230の形状は特に限定されず、空隙部240を塞ぐことがないような形状であればよく、特に限定されないが、糸状及び/又は板状の形状であることが好ましく、特に、バインダ連結部230は、電極活物質層200の形成過程において、互いに近接する電極活物質210を被覆するバインダ被覆部220同士を、せん断力を加えながら圧縮することにより形成された糸状及び/又は板状のものであることが好ましい。
なお、バインダ被覆部220は、電極活物質210の表面のうち少なくとも一部をバインダにより被覆してなるものであればよく、たとえば、電極活物質210の表面のうち一部については、バインダ被覆部220により被覆されていないものであってもよい。また、互いに近接する各電極活物質210を被覆する各バインダ被覆部220同士は、図2に示すように、一体化されておらず(すなわち、図3、図4に示すような状態となっておらず)、互いに独立して形成されているものであればよい。
しかしその一方で、たとえば、電極活物質層200内部において、互いに近接する電極活物質210同士が、電解液を含浸するための空隙部240が形成し難い程、極めて近接しているような場合には、互いに近接する各電極活物質210を被覆する各バインダ被覆部220同士は、部分的に、直接接触していてもよい。あるいは、このような場合において、互いに近接する各電極活物質210同士は、バインダ被覆部220が形成されていない部分同士において、バインダ被覆部220を介すことなく直接接触しているような構成であってもよい。
次いで、本発明の電気化学素子用電極100の製造方法について説明する。本発明の電気化学素子用電極100は、たとえば、まず、電極活物質層200を形成するための電極活物質及びバインダからなる電極用複合粒子を得て、得られた電極用複合粒子を、集電体300上に成形し、これにより得られた成形体を、せん断力を加えながら圧縮することにより製造することができる。
以下においては、まず、電極用複合粒子について説明する。
(電極用複合粒子)
電極用複合粒子は、原料となる電極活物質、及びバインダ、ならびに必要に応じて添加される任意成分を用いて造粒することにより得られ、少なくとも電極活物質、及びバインダを含んでなるが、これらのそれぞれが個別に独立した粒子として存在するのではなく、構成成分である電極活物質、バインダを含む2成分以上によって一粒子を形成するものである。具体的には、これら2成分以上の個々の粒子の複数個が結合して二次粒子を形成しており、複数個(好ましくは数個〜数十個)の電極活物質が、バインダによって結着されて粒子を形成しているものが好ましい。
また、電極用複合粒子の形状は、流動性の観点から実質的に球形であることが好ましい。すなわち、複合粒子の短軸径をL、長軸径をL、L=(L+L)/2とし、(1−(L−L)/L)×100の値を球形度(%)としたとき、球形度が80%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。ここで、短軸径L及び長軸径Lは、走査型電子顕微鏡写真像より測定される値である。
さらに、電極用複合粒子の体積平均粒子径は、通常0.1〜1000μm、好ましくは1〜200μm、より好ましくは30〜150μmの範囲である。複合粒子の体積平均粒子径をこの範囲にすることにより、所望の厚みの電極合材層を容易に得ることができるため好ましい。複合粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(たとえば、SALD−3100;島津製作所製)にて測定し、算出される体積平均粒子径である。
また、電極用複合粒子としての構造は特に限定されないが、バインダが複合粒子の表面に偏在することなく、複合粒子内に均一に分散する構造が好ましい。
なお、電極用複合粒子に含有させることのできる任意成分としては、特に限定されないが、たとえば、導電材や分散剤などが挙げられる。
導電材としては、導電性を有する粒子状の材料であればよく、特に限定されないが、たとえば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、及びケッチェンブラック等の導電性カーボンブラック;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛;ポリアクリロニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相法炭素繊維等の炭素繊維;が挙げられる。これらの中でも、アセチレンブラック及びケッチェンブラックが好ましい。導電材の平均粒子径は、特に限定されないが、電極活物質の平均粒子径よりも小さいものが好ましく、通常、0.001〜10μm、より好ましくは0.05〜5μm、さらに好ましくは0.01〜1μmの範囲である。導電材の平均粒子径が上記範囲にあると、より少ない使用量で十分な導電性を発現させることができる。導電材を添加する場合における、導電材の使用量は、本発明の効果を損ねない範囲であれば格別な限定はないが、電極活物質100重量部に対して、好ましくは0.1〜50重量部、より好ましくは0.5〜15重量部、さらに好ましくは1〜10重量部である。導電材の含有割合を上記範囲とすることにより、得られる電気化学素子の容量を高く保ちながら、内部抵抗を十分に低減することが可能となる。
分散剤は、電極用複合粒子を構成する各成分を、溶媒に分散又は溶解させてスラリー化する際に、各成分を溶媒中に均一に分散させる作用を有する成分である。分散剤の具体例としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ならびにこれらのアンモニウム塩又はアルカリ金属塩、アルギン酸プロピレングリコールエステルなどのアルギン酸エステル、ならびにアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸塩、ポリアクリル酸、及びポリアクリル酸(又はメタクリル酸)ナトリウムなどのポリアクリル酸(又はメタクリル酸)塩、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリカルボン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼイン、各種変性デンプン、キチン、キトサン誘導体などが挙げられる。また、カルボキシル基、スルホン酸基、フッ素含有基、水酸基及びリン酸基などの基を、1種以上、好ましくは2種以上含む水溶性のポリマー(特定基含有水溶性ポリマー)も分散剤として用いることができる。
これらの分散剤は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。中でも、セルロース系ポリマーが好ましく、カルボキシメチルセルロース又はそのアンモニウム塩もしくはアルカリ金属塩が特に好ましい。また、前記の特定基含有水溶性ポリマーも好ましく、当該特定基含有水溶性ポリマーとしては、前記の特定基を有し、アクリル酸エステル単量体単位またはメタクリル酸エステル単量体単位を含むアクリル系のポリマーが特に好ましい。
分散剤を添加する場合における、分散剤の含有割合は、本発明の効果を損ねない範囲であれば格別な限定はないが、電極活物質100重量部に対して、通常は0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部、より好ましくは0.8〜2重量部の範囲である。
次いで、このような電極用複合粒子の具体的な製造方法について説明する。
本発明で用いる電極用複合粒子の製造方法としては、特に限定されないが、次に述べる二つの製造方法によって電極用複合粒子を容易に得ることができる。
まず、第一の製造方法は、流動層造粒法である。流動層造粒法は、バインダ、及び必要に応じて添加される導電材、分散剤等の任意成分を含有するスラリーを得る工程、加熱された気流中に電極活物質を流動させ、そこに得られたスラリーを噴霧し、電極活物質同士を結着させると共に乾燥する工程を有するものである。
以下、流動層造粒法について説明する。
まず、バインダ、及び必要に応じて添加される導電材、分散剤等の任意成分を含有するスラリーを得る。なお、この場合において、バインダが分散媒としての水に分散されたものである場合には、水に分散させた状態で添加することができる。また、スラリーを得るために用いる溶媒として、最も好適には水が用いられるが、有機溶媒を用いることもできる。有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどのアルキルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのアルキルケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム等のエーテル類;ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン等のアミド類などが挙げられるが、アルキルアルコール類が好ましい。水よりも沸点の低い有機溶媒を併用すると、流動造粒時に、乾燥速度を速くすることができる。また、水よりも沸点の低い有機溶媒を併用すると、バインダの分散性又は溶解型樹脂の溶解性が変わると共に、スラリーの粘度や流動性を溶媒の量又は種類によって調製できるので、生産効率を向上させることができる。
スラリーを調製する際に使用する溶媒の量は、スラリーの固形分濃度が、通常は5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%、より好ましくは15〜50重量%の範囲となるような量である。溶媒の量がこの範囲にあるときに、バインダが均一に分散するため好適である。
また、バインダ、及び必要に応じて添加される導電材、分散剤等の任意成分を溶媒に分散又は溶解する方法又は手順は特に限定されず、例えば、溶媒にバインダ、及び必要に応じて添加される導電材、分散剤等の任意成分を添加し混合する方法、溶媒に分散剤を溶解した後、溶媒に分散させたバインダ(例えば、ラテックス)を添加して混合し、最後に導電材やその他の添加剤を添加して混合する方法、溶媒に溶解させた分散剤に導電材を添加して混合し、それに溶媒に分散させたバインダを添加して混合する方法などが挙げられる。混合装置としては、例えば、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、顔料分散機、らい潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサーなどの混合機器が挙げられる。混合は、通常、室温〜80℃の範囲で、10分〜数時間行う。
次いで、電極活物質を流動化させ、そこに上記にて得られたスラリーを噴霧して、流動造粒する。流動造粒としては、流動層によるもの、変形流動層によるもの、噴流層によるものなどが挙げられる。流動層によるものは、熱風で電極活物質を流動化させ、これにスプレー等から、上記にて得られたスラリーを噴霧して凝集造粒を行う方法である。変形流動層によるものは、上述した流動層によるものと同様であるが、層内の粉体に循環流を与え、かつ分級効果を利用して比較的大きく成長した造粒物を排出させる方法である。また、噴流層によるものは、噴流層の特徴を利用して粗い粒子にスプレー等からのスラリーを付着させ、同時に乾燥させながら造粒する方法である。本発明における複合粒子の製造方法としては、この3つ方式のうち流動層又は変形流動層によるものが好ましい。
噴霧されるスラリーの温度は、通常は室温であるが、加温して室温以上にしたものであってもよい。流動化に用いる熱風の温度は、通常70〜300℃、好ましくは80〜200℃である。
流動層造粒法によれば、以上の製造方法によって、電極活物質、及びバインダ、ならびに必要に応じて添加される導電材、分散剤等の任意成分を含む電極用複合粒子を得ることができる。
また、電極用複合粒子の第二の製造方法は、噴霧乾燥造粒法である。以下に説明する噴霧乾燥造粒法によれば、本発明で用いる電極用複合粒子を比較的容易に得ることができるため、好ましい。以下、噴霧乾燥造粒法について説明する。
まず、電極活物質、及びバインダを含有する複合粒子用スラリーを調製する。複合粒子用スラリーは、電極活物質、及びバインダ、ならびに必要に応じて添加される導電材、分散剤等の任意成分を、溶媒に分散又は溶解させることにより調製することができる。なお、この場合において、バインダが分散媒としての水に分散されたものである場合には、水に分散させた状態で添加することができる。複合粒子用スラリーを得るために用いる溶媒としては、通常、水が用いられるが、水と有機溶媒との混合溶媒を用いてもよい。この場合に用いることができる有機溶媒としては、上述した流動層造粒法と同様のものを用いることができる。
また、複合粒子用スラリーの粘度は、室温において、好ましくは10〜3,000mPa・s、より好ましくは30〜1,500mPa・s、さらに好ましくは50〜1,000mPa・sの範囲である。複合粒子用スラリーの粘度がこの範囲にあると、噴霧乾燥造粒工程の生産性を上げることができる。
また、本発明においては、複合粒子用スラリーを調製する際に、必要に応じて、界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、ノニオニックアニオン界面活性剤等の両性界面活性剤が挙げられるが、アニオン性又はノニオン性界面活性剤で熱分解しやすいものが好ましい。界面活性剤の配合量は、電極活物質100重量部に対して、好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。
電極活物質、及びバインダ、ならびに必要に応じて添加される導電材、分散剤等の任意成分を溶媒に分散又は溶解する方法又は順番は、特に限定されない。また、混合装置としては、上述した流動層造粒法と同様のものを用いることができ、混合は、通常、室温〜80℃の範囲で、10分〜数時間行う。
次いで、得られた複合粒子用スラリーを噴霧乾燥して造粒する。噴霧乾燥は、熱風中にスラリーを噴霧して乾燥する方法である。スラリーの噴霧に用いる装置としてアトマイザーが挙げられる。アトマイザーとしては、回転円盤方式と加圧方式との二種類の装置が挙げられ、回転円盤方式は、高速回転する円盤のほぼ中央にスラリーを導入し、円盤の遠心力によってスラリーが円盤の外に放たれ、その際にスラリーを霧状にする方式である。回転円盤方式において、円盤の回転速度は円盤の大きさに依存するが、通常は5,000〜30,000rpm、好ましくは15,000〜30,000rpmである。円盤の回転速度が低いほど、噴霧液滴が大きくなり、得られる複合粒子の平均粒子径が大きくなる。回転円盤方式のアトマイザーとしては、ピン型とベーン型が挙げられる。ピン型アトマイザーは、噴霧盤を用いた遠心式の噴霧装置の一種であり、該噴霧盤が上下取付円板の間にその周縁に沿ったほぼ同心円上に着脱自在に複数の噴霧用コロを取り付けたもので構成されている。複合粒子用スラリーは噴霧盤中央から導入され、遠心力によって噴霧用コロに付着し、コロ表面を外側へと移動し、最後にコロ表面から離れ噴霧される。また、ベーン型アトマイザーは、噴霧盤の内側にスリットが切ってあり、複合粒子用スラリーがその中を通過するように形成されている。一方、加圧方式は、複合粒子用スラリーを加圧してノズルから霧状にして乾燥する方式であり、加圧ノズル方式や、加圧二流体ノズル方式などが挙げられる。
噴霧される複合粒子用スラリーの温度は、通常は室温であるが、加温して室温より高い温度としてもよい。また、噴霧乾燥時の熱風温度は、通常80〜250℃、好ましくは100〜200℃である。噴霧乾燥法において、熱風の吹き込み方法は特に制限されず、たとえば、熱風と噴霧方向が横方向に並流する方式、乾燥塔頂部で噴霧され熱風と共に下降する方式、噴霧した滴と熱風が向流接触する方式、噴霧した滴が最初熱風と並流し次いで重力落下して向流接触する方式等が挙げられる。
噴霧乾燥造粒法によれば、以上の製造方法によって、電極活物質、及びバインダ、ならびに必要に応じて添加される導電材、分散剤等の任意成分を含む電極用複合粒子を得ることができる。
(電気化学素子用電極100の製造方法)
次いで、上述した電極用複合粒子を用いて、電気化学素子用電極100を製造する方法について、説明する。
図5は、本発明の電気化学素子用電極100を製造するための電極成形装置の一例を示す概略図である。図5に示すように、電極成形装置2は、水平かつ平行に配列された一対のロール6A,6Bからなるプレ成形ロール6、プレ成形ロール6の下方に水平かつ平行に配列された一対のロール8A,8Bからなる成形ロール8を備え、電極用複合粒子(図5中、符号「12」で示す。)が、プレ成形ロール6と仕切板10によりプレ成形ロール6の上部に形成された空間に貯槽されるようになっている。
そして、電極成形装置2においては、まず、プレ成形ロール6を構成する一対のロール6A,6Bが、それぞれ図5に示す矢印方向へ回転することにより電極用複合粒子12を咬み込み、電極用複合粒子12を集電体(図5中、符号「300」で示す。)の両面又は片面に予備的に圧縮する。そして、これにより一対のロール6A,6B間を通過した集電体300の両面もしくは片面に、電極用複合粒子12が予備圧縮され、電極用複合粒子12からなるシート状のプレ成形体14が成形され、これにより、シート状のプレ成形体14が集電体300の両面又は片面に形成されたプレ電極積層体20が形成される。なお、集電体300としては、導電剤とバインダとを含有するスラリーを塗布することにより、その表面に、予め導電性接着剤層を形成したものを用いてもよい。
なお、本発明に用いられる集電体300としては、電極活物質層200から電流を取り出すために使用するものであり、長尺のシート状のものである。
集電体を構成する材料の種類としては、例えば、金属、炭素、導電性高分子等が挙げられ、中でも金属が好ましい。より具体的には、正極用集電体としては、アルミニウム、ステンレスなど、負極用集電体としては、ステンレス、銅、ニッケルなどが挙げられる。また、集電体は貫通孔を有しない構造であってもよいが、本発明の方法は、特に貫通孔を有する集電体に適している。貫通孔を有する集電体としては、例えばエキスパンドメタル、パンチングメタル、金属網、発泡体、エッチングにより貫通孔を付与したエッチング箔、エンボスロールを用いて突起付与および貫通孔を付与された突起付き集電体などが挙げられる。
貫通孔を有する集電体の開孔部の形状は特に限定されないが、開口率が10〜90%であると好ましく、20〜60%であるとより好ましく、40〜60%であると特に好ましい。開口率は、孔開き集電体の平面観察により求められる。具体的には、孔開き集電体を平面観察し、単位面積当たりの貫通孔の面積を算出することで、開口率を決定する。
長尺のシート状集電体の表面には、導電性接着剤層を形成させてもよい。
導電性接着剤層は、導電性物質を必須成分として含み、必要に応じ成形のためのバインダを含む。導電性接着剤層に、バインダを含むことにより、集電体300と電極活物質層200との接着性を高め、電気化学素子の内部抵抗を低減し、出力密度を高めることができる。
導電性接着剤層に用いる導電性物質としては、接着剤層に導電性能を付与することができるものであれば特に制限されないが、導電性フィラー、金属酸化物フィラーが好ましく、導電性フィラーがより好ましい。金属酸化物フィラーとしては、シリカ、酸化鉄、酸化チタンが挙げられるが、中でもシリカが好ましい。導電性フィラーは、導電性を有するものであれば特に限定されないが、中でも、導電性カーボンブラック、黒鉛等が特に好ましい。導電性フィラーの体積平均粒子径は、通常0.001〜10μm、好ましくは0.05〜5μm、より好ましくは0.01〜1μmの範囲である。これらの導電性フィラーは、それぞれ単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
導電性接着剤層に用いるバインダは、電極活物質層と集電体を相互に結着させることができる化合物であれば特に制限はない。中でも、溶媒に分散する性質のある分散型バインダが好ましい。分散型バインダとして、例えば、フッ素系重合体、ジエン系重合体、アクリレート系重合体、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン系重合体等の高分子化合物が挙げられる。中でも、フッ素系重合体、ジエン系重合体又はアクリレート系重合体が好ましく、ジエン系重合体又はアクリレート系重合体が、耐電圧を高くでき、電気化学素子のエネルギー密度を高くすることができる点でより好ましい。
本発明において、導電性接着剤層中の結着材の含有量は、導電性物質100質量部に対して、好ましくは0.5〜20質量部、より好ましくは1〜15質量部、特に好ましくは2〜10質量部である。
導電性接着剤層は、導電性物質と、好適に用いられる結着材とを含み、またこれらを均一に分散するための分散剤を含んでいても良い。分散剤の具体例としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ならびにこれらのアンモニウム塩またはアルカリ金属塩;ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウムなどのポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド;ポリビニルピロリドン、ポリカルボン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼイン、各種変性デンプン、キチン、キトサン誘導体などが挙げられる。これらの分散剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。中でも、セルロース系ポリマーが好ましく、カルボキシメチルセルロースまたはそのアンモニウム塩もしくはアルカリ金属塩が特に好ましい。
これらの分散剤の使用量は、本発明の効果を損なわない範囲で用いることができ、格別な限定はないが、導電性物質100質量部に対して、通常は0.1〜15質量部、好ましくは0.5〜10質量部、より好ましくは0.8〜5質量部の範囲である。
導電性接着剤層は、導電性物質、好適に用いられるバインダ、さらに必要に応じて加えられる分散剤とを、水または有機溶媒中で混練することにより得られる導電性接着剤組成物を、塗布し、乾燥して形成することができる。
導電性接着剤層組成物の製造方法は、特に限定されないが、具体的にはボールミル、サンドミル、顔料分散機、擂潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、およびホバートミキサーなどを用いることができる。
導電性接着剤層の形成方法は、特に制限されない。例えば、上記導電性接着剤層組成物をドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、ハケ塗りなどによって、集電体上に形成する。
乾燥方法としては例えば温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子線などの照射による乾燥法が挙げられる。中でも、遠赤外線の照射による乾燥法が好ましい。乾燥温度と乾燥時間は、塗布した導電性接着剤組成物中の溶媒を完全に除去できる温度と時間が好ましく、乾燥温度は50〜300℃、好ましくは80〜250℃である。乾燥時間は、通常2時間以下、好ましくは5秒〜30分である。
導電性接着剤層の厚みは、通常1〜25μm、好ましくは2〜20μm、より好ましくは2〜10μmである。導電性接着剤層の厚みが、上記範囲であることにより、アンカー効果が良好に発揮され、電子移動抵抗を低減することができる。なお、導電性接着剤層は、集電体の片面のみに形成されていても、両面に形成されていてもよい。
本発明に用いられる集電体は長尺のシート状である。集電体の厚さは特に限定されないが5〜50μmであると好ましく、10〜40μmであるとより好ましい。また、集電体の幅も特に限定されないが、100〜1000mmであると好ましく、200〜500mmであるとより好ましい。
ここで、プレ成形ロール6により、シート状のプレ成形体14を形成する際には、得られるシート状のプレ成形体14の空隙率が、好ましくは40〜80%、より好ましくは50〜70%となるような圧力にて圧縮することが好ましい。あるいは、シート状のプレ成形体14のシート密度が、電極用複合粒子12の嵩密度に対して、好ましくは130〜300%の範囲、より好ましくは150〜250%、さらに好ましくは180〜230%の範囲となるような圧力にて圧縮することが好ましい。具体的には、プレ成形ロール6により圧縮する際の線圧を、好ましくは1〜50kN/m、より好ましくは5〜20kN/mとする。
そして、プレ成形ロール6を構成する一対のロール6A,6Bにより、電極用複合粒子12を圧縮することにより得られたプレ電極積層体20は、成形ロール8側に送られ、成形ロール8を構成する一対のロール8A,8Bが、図5に示す矢印方向へ回転することにより、プレ電極積層体20を構成するシート状のプレ成形体14がさらに圧縮される。そして、これにより一対のロール8A,8Bによって、プレ電極20を構成するシート状のプレ成形体14が圧縮され、集電体300の両面又は片面に、電極活物質層200が形成された電気化学素子用電極100が形成される。
本発明においては、成形ロール8により、シート状のプレ成形体14をさらに圧縮し、電極活物質層200を形成する際には、シート状のプレ成形体14にせん断力を加えながら圧縮することが望ましい。せん断力を加えながら圧縮を行なうことにより、得られる電極活物質層200の微細構造を、図2に示すような、バインダ被覆部220及びバインダ連結部230を有するような構成とすることができる。具体的には、せん断力を加えながら圧縮を行なうことにより、シート状のプレ成形体14内において、互いに近接する電極活物質210を被覆するバインダ被覆部220同士にせん断力が加わり、これにより、バインダ被覆部220同士が互いに接触した際に、せん断力によって、バインダ被覆部220の一部がフィブリル化することで、糸状及び/又は板状のバインダ連結部230が形成されることとなる。
なお、成形ロール8により、シート状のプレ成形体14をさらに圧縮し、電極活物質層200を形成する際には、シート状のプレ成形体14にせん断力がかかるような圧力で圧縮すればよく、その圧力は特に限定されないが、プレ成形ロール6による圧力よりも高い圧力とすることが好ましく、具体的には、成形ロール8により圧縮する際の線圧を、好ましくは、150〜1000kN/m、より好ましくは250〜800kN/m、さらに好ましくは300〜500kN/mとする。また、シート状のプレ成形体14にせん断力がかかるように、成形ロール8を構成するロール8A,8Bを異なる速度で回転させてもよい。なお、このようにして得られる電極活物質層200の空隙率は、好ましくは10〜40%、より好ましくは25〜35%である。
このようにして、集電体300上に電極活物質層200が形成された電気化学素子用電極100を得ることができる。
なお、上述した電極成形装置2において、プレ成形ロール6、成形ロール8は電極用複合粒子12の種類、性質に応じて冷却、加温等の温度調節を行うことができる温度調節機構を備えていてもよく、温度調節機構としては、ロール6A,6B、ロール8A,8Bの内部に配置された熱媒を使用する方法、直接伝熱線等で加温する方法等が挙げられる。
また、プレ成形ロール6により、電極用複合粒子12を圧縮する際において、プレ成形ロール6を構成する一対のロール6A,6Bのロール径が小さくなるほど、電極用複合粒子12の咬み込み量を小さくすることができ、シート状のプレ成形体14及び最終的に得られる電極活物質層200の厚みを小さくすることができる。一方、プレ成形ロール6を構成する一対のロール6A,6Bのロール径が小さすぎると電極用複合粒子12を圧縮する際にロールのゆがみ等が生じることにより、シート状のプレ成形体14の厚みにバラツキが生じるおそれがある。
ここで、ロールニップ点(一対のロール6A,6B間の間隙が最も狭くなる点)近傍のロールの周速度と電極用複合粒子12の移動速度とが同じになる点をP点というが、坪量が決定されるP点から電極用複合粒子12の出口(プレ成形ロール6のロール6A及び6Bの下部)までの間が電極用複合粒子12で満たされていないと、シート状のプレ成形体14を成形する際に電極用複合粒子12の流動・凝集によって、まだら模様やスジが生じる場合がある。また、ロール6A,6Bの回転速度が一定である場合にはロール径が小さいほどP点は下がる。従って、ロール径を小さくすることによりP点と電極用複合粒子12の出口までの間の容量を小さくすることができ、また、シート状のプレ成形体14の成形の際に粉体の流動・凝集を抑えることができるため、最終的に得られる電極活物質層200を薄膜とすることができる。
そのため、このような点を考慮し、プレ成形ロール6を構成する一対のロール6A,6Bのロール径は、好ましく10〜500mm、より好ましくは10〜250mm、さらに好ましくは10〜150mmである。
また、成形ロール8を構成する一対のロール8A,8Bのロール径は、シート状のプレ成形体14を圧縮する際における圧力が、プレ成形ロール6による圧力よりも大きくなるように、プレ成形ロール6を構成する一対のロール6A,6Bのロール径よりも大きなものとすればよいが、そのロール径は、好ましくは50〜1000mm、より好ましくは100〜500mmである。
そして、このようにして得られる本発明の電気化学素子用電極100は、電極活物質層200が、図2に示すような微細構造を有するため、電極活物質層と集電体との密着性が高く、電解液に対する濡れ性に優れ、これにより、電池とした場合における、内部抵抗が低く、サイクル特性に優れたものであり、このような特性を活かし、リチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタやハイブリッドキャパシタなど各種電気化学素子用の電極として好適に用いることができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。各例中の部及び%は、特に断りのない限り、重量基準である。
なお、各特性の定義及び評価方法は、以下のとおりである。
<電極用複合粒子の嵩密度>
電極用複合粒子の嵩密度の測定は、パウダーテスター「PT‐S」(ホソカワミクロン社製)を用いて行った。具体的には、目開き250μmの篩に電極用複合粒子を静置し、1kHzの振動を与えることで、電極用複合粒子を落下させ、100ccの測定用カップ内に充填し、測定用カップ内に充填された電極用複合粒子の重量(g)を測定用カップの容積(cc)で除算することで、電極用複合粒子の嵩密度(g/cc)とした。
<電極の微細構造>
実施例及び比較例で得られた負極の断面について、走査型電子顕微鏡(製品名「S4700」、日立製作所社製)を用いて、観察を行い、以下の基準にて、得られた負極の微細構造の評価を行った。
A:図2に示すように、互いに近接する複数の電極活物質210を被覆するバインダ被覆部220同士がバインダ連結部230により連結された構造を有していた。
E:図3、図4に示すように、互いに近接する複数の電極活物質210により形成される空隙が、バインダ220aにより完全に塞がれたような構造となっていた。
<ピール強度>
実施例及び比較例で得られた負極を、それぞれ、幅1cm×長さ10cmの矩形に切って試験片とし、負極活物質層面を上にして固定し、負極活物質層の表面にセロハンテープを貼り付けた後、試験片の一端からセロハンテープを50mm/分の速度で180°方向に引き剥がしたときの応力を測定した。そして、この測定を10回行い、その平均値を求めてこれをピール強度とし、下記基準にて判定を行った。なお、ピール強度が大きいほど、負極活物質層内における密着強度、及び負極活物質層と集電体との間の密着強度が高いと判断できる。
A:ピール強度が8N/m以上
B:ピール強度が6N/m以上、8N/m未満
C:ピール強度が4N/m以上、6N/m未満
D:ピール強度が2N/m以上、4N/m未満
E:ピール強度が2N/m未満
<電解液濡れ性>
実施例及び比較例で得られた負極を用いて、負極活物質層上に電解液(溶媒:エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート=3/7(重量比)、電解質:1MのLiPF(キシダ化学社製))3μLを滴下し、液滴が負極活物質層内に浸透して消失するまでの時間を測定することにより、電解液に対する濡れ性の測定を行い、下記基準にて判定を行った。
A:30秒未満
B:30秒以上、45秒未満
C:45秒以上、60秒未満
D:60秒以上、120秒未満
E:120秒以上
<内部抵抗>
実施例及び比較例で得られたコイン型のリチウム二次電池について、25℃にて、充電レート0.2Cとした定電流法により、4.2Vになるまで定電流で充電を行ない、次いで、定格電圧にて定電圧で充電を行なった。その後、放電レートを0.2Cとし3.0Vまで放電した。放電開始10秒後の電圧降下量をΔVとした。そして、放電レートを0.2C〜10Cまで変化させて、同様にして、電圧降下量ΔVの測定を行い、放電電流値I(A)と電圧降下量ΔV(V)をプロットし、その直線の傾きを内部抵抗とし、下記の基準で判定した。
A:内部抵抗が3.0Ω未満
B:内部抵抗が3.0Ω以上、3.5Ω未満
C:内部抵抗が3.5Ω以上、4.0Ω未満
D:内部抵抗が4.0Ω以上、4.5Ω未満
E:内部抵抗が4.5Ω以上
<充放電サイクル特性>
実施例及び比較例で得られたコイン型のリチウム二次電池について、60℃で0.5Cの定電流定電圧充電法にて、4.2Vになるまで定電流で充電し、その後、定電圧で充電し、次いで、0.5Cの定電流で3.0Vまで放電する充放電サイクル試験を行った。充放電サイクル試験は100サイクルまで行い、初期放電容量に対する100サイクル目の放電容量の比を容量維持率とし、下記の基準で判定した。この値が大きいほど繰り返し充放電による容量減が少ないことを示す。
A:容量維持率が90%以上
B:容量維持率が80%以上、90%未満
C:容量維持率が70%以上、80%未満
D:容量維持率が60%以上、70%未満
E:容量維持率が60%未満
(実施例1)
<導電性接着剤層形成用スラリーの製造>
体積平均粒子径が0.7μmのカーボンブラック100部と、分散剤としてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩の4.0%水溶液(DN−10L;ダイセル化学工業(株)社製)を固形分相当で4部、樹脂成分(バインダ)として数平均粒子径が0.25μmのアクリレート重合体(アクリル酸2−エチルヘキシル:アクリロニトリル=75:25(質量比))の40%水分散体を固形分相当8部及びイオン交換水を全固形分濃度が30%となるように混合し、導電性接着剤層形成用スラリーを調整した。
<負極用複合粒子の製造>
負極活物質としてグラファイトを100部、バインダとしてスチレン・ブタジエン共重合体(BM−480B、ガラス転移温度−15℃;日本ゼオン社製)の40%水分散体を固形分相当で2部、分散剤としてカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の0.8%水溶液(BSH−12;第一工業製薬社製)を固形分相当で0.7部、及び溶媒として水を100部加えて、「TKホモミキサー」(プライミクス社製)で撹拝混合して固形分濃度が35%の負極用スラリーを得た。次いで、得られた負極用スラリーを、スプレー乾燥機(OC−16;大河原化工機社製)を使用し、回転円盤方式のアトマイザー(ベーン型、直径65mm)の回転数25,000rpm、熱風温度150℃、粒子回収出口の温度が90℃の条件で噴霧乾燥造粒を行い、負極用複合粒子を得た。得られた負極用複合粒子の重量平均粒子径は78μmであり、嵩密度は0.40g/ccであった。
<負極の製造>
厚さ20μmの銅箔からなる集電体に、上記にて調製した導電性接着剤層形成用スラリーを塗布し、120℃で、10分間乾燥して、銅箔上に厚み4μmの導電性接着剤層を形成した。
次いで、上記にて得られた負極用複合粒子及び導電性接着剤層を形成した銅箔を用いて、図5に示す電極成形装置2により、導電性接着剤層を形成した銅箔上に、負極活物質層を形成することで、負極を得た。なお、図5に示す電極成形装置2において、プレ成形ロール6を構成するロール6A,6Bのロール径を50mm、ロール間隙を50μm、ロール圧力(線圧)を15kN/mとし、成形ロール8を構成するロール8A,8Bのロール径を250mm、ロール間隙を50μm、ロール圧力(線圧)を350kN/m、ロール温度を100℃とした。得られた負極活物質層の平均密度は1.5g/cmであり、平均厚さは95μmであった。また、プレ成形ロール6を構成するロール6A,6Bを通過した後のシート状のプレ成形体14の平均密度は0.8g/cmであった。
そして、得られた負極を用いて、電極の微細構造、ピール強度及び電解液濡れ性の各評価を行った。結果を表1に示す。
<正極用複合粒子の製造>
正極活物質としてLiCoOを100部、バインダとしてアクリレート重合体(アクリル酸ブチル:メタクリル酸メチル:イタコン酸=80:15:5(質量比)、ガラス転移温度−28℃、数平均粒子径0.3μm)の40%水分散体を固形分相当で1部、導電材として平均粒径0.7μmのアセチレンブラック(デンカブラック粉状;電気化学工業社製)を5部、分散剤としてカルボキシメチルセルロールのナトリウム塩の2.0%水溶液(BS‐H;第一工業製薬社製)を固形分相当で0.8部及び溶媒として水を85.0部加えて、「TKホモミキサー」(プライミクス社製)で撹拝混合して固形分濃度が45%の正極用スラリーを得た。そして、得られた正極用スラリーをスプレー乾燥機(OC−16;大河原化工機社製)を使用し、回転円盤方式のアトマイザー(ベーン型、直径65mm)の回転数25,000rpm、熱風温度150℃、粒子回収出口の温度が90℃の条件で噴霧乾燥造粒を行い、正極用複合粒子を得た。得られた正極用複合粒子の重量平均粒子径は54μmであり、嵩密度は0.90g/ccであった。
<正極の製造>
厚さ20μmのアルミニウム箔からなる集電体に、上記にて調製した導電性接着剤層形成用スラリーを塗布し、120℃で、10分間乾燥して、アルミニウム箔上に厚み4μmの導電性接着剤層を形成した。
次いで、上記にて得られた正極用複合粒子及び導電性接着剤層を形成したアルミニウム箔を用いて、図5に示す電極成形装置2により、導電性接着剤層を形成したアルミニウム箔上に、正極活物質層を形成することで、正極を得た。なお、図5に示す電極成形装置2において、プレ成形ロール6を構成するロール6A,6Bのロール径を50mm、ロール間隙を50μm、ロール圧力(線圧)を15kN/mとし、成形ロール8を構成するロール8A,8Bのロール径を250mm、ロール間隙を50μm、ロール圧力(線圧)を400kN/m、ロール温度を100℃とした。得られた負極活物質層の平均密度は3.50g/cmであり、平均厚さは100μmであった。また、プレ成形ロール6を構成するロール6A,6Bを通過した後のシート状のプレ成形体14の平均密度は1.8g/cmであった。
<リチウムイオン二次電池の製造>
上記にて作製された負極及び正極を、活物質層が形成されていない部分が縦2cm×横2cmであり、かつ、活物質層が形成されている部分が、負極の場合は縦5.2cm×横5.2cm、正極の場合は縦5cm×横5cmとなるように切り抜いた(活物質層が形成されていない部分は、活物質層が形成されている部分の正方形の一辺をそのまま延長するような形状で形成される。)。そして、このように切り抜いた負極に、ニッケルからなるタブ材(縦7cm×横1cm×厚み0.01cm)を、また、正極に、アルミニウムからなるタブ材(縦7cm×横1cm×厚み0.01cm)を、活物質層が形成されていない部分に超音波溶接することで、タブ付き負極及び正極を得た。そして、得られたタブ付き負極及び正極を、200℃で24時間真空乾燥し、セパレータとして厚さ20μmのポリプロピレン製セパレータ「Celgard2400」(Celgard製)を縦5.3cm×横5.3cmとなるように切り抜き用いたものを間に挟んだ状態で、正極集電体、負極集電体の端子溶接部がそれぞれ重なり合わないよう同方向に配置し積層することで、電極積層体を得た。
そして、得られた電極積層体を、深絞り外装ラミネートフィルムの内部に配置し、三辺を熱融着後、電解液(溶媒:エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート=3/7(重量比)、電解質:1MのLiPF(キシダ化学社製))を充填し、真空含浸させた後、残り一辺を減圧下で熱融着して密閉することで、リチウムイオン二次電池を得た。
(実施例2)
負極用複合粒子及び導電性接着剤層を形成した銅箔を用いて、負極を製造する際において、図5に示す電極成形装置2のプレ成形ロール6を構成するロール6A,6Bのロール圧力(線圧)を20kN/mとし、成形ロール8を構成するロール8A,8Bのロール圧力(線圧)を250kN/mとした以外は、実施例1と同様にして、負極を得て、得られた負極を用いて、リチウムイオン二次電池を製造し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
負極用複合粒子及び導電性接着剤層を形成した銅箔を用いて、負極を製造する際において、図5に示す電極成形装置2のプレ成形ロール6を構成するロール6A,6Bのロール圧力(線圧)を3kN/mとし、成形ロール8を構成するロール8A,8Bのロール圧力(線圧)を750kN/mとした以外は、実施例1と同様にして、負極を得て、得られた負極を用いて、リチウムイオン二次電池を製造し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
負極用スラリー及び正極用スラリーを用いて、スプレー乾燥機により噴霧乾燥造粒を行なう際に、回転円盤方式のアトマイザーとして、ベーン型アトマイザーに代えて、ピン型アトマイザー(回転数25,000rpm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、負極及び正極を得て、得られた負極及び正極を用いて、リチウムイオン二次電池を製造し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
負極用スラリー及び正極用スラリーを用いて、スプレー乾燥機により噴霧乾燥造粒を行なう際に、回転円盤方式のアトマイザーとしてのベーン型アトマイザーに代えて、加圧二流体ノズル方式(加圧圧力0.3MPa)を用いた以外は、実施例1と同様にして、負極及び正極を得て、得られた負極及び正極を用いて、リチウムイオン二次電池を製造し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
負極用複合粒子を得る際に、スチレン・ブタジエン共重合体(BM−480B)の代わりに、ガラス転移温度の異なるスチレン・ブタジエン共重合体(BM−430B、ガラス転移温度−37℃;日本ゼオン社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして、負極を得て、得られた負極を用いて、リチウムイオン二次電池を製造し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例7)
負極用複合粒子を得る際に、スチレン・ブタジエン共重合体(BM−480B)の代わりに、アクリレート重合体(アクリル酸ブチル:メタクリル酸メチル:イタコン酸=80:15:5(質量比)、ガラス転移温度−28℃、数平均粒子径0.3μm)を使用した以外は、実施例1と同様にして、負極を得て、得られた負極を用いて、リチウムイオン二次電池を製造し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例8)
負極用複合粒子を得る際に、まず、負極活物質としてのグラファイトを添加しない以外は、実施例1と同様に、負極用スラリーを得た。次いで、得られた負極用スラリー、及び負極活物質としてのグラファイトを用いて、スプレー乾燥機に代えて、流動層乾燥機(アグロマスター「AGM−PJ」、ホソカワミクロン社製)を使用して、乾燥造粒を行なうことで、負極用複合粒子を得た。なお、この際の乾燥温度は、80℃とした。そして、得られた負極用複合粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして、負極を得て、得られた負極を用いて、リチウムイオン二次電池を製造し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例9)
負極用複合粒子を得る際に、まず、負極活物質としてのグラファイトを添加しない以外は、実施例1と同様に、負極用スラリーを得た。次いで、得られた負極用スラリー、及び負極活物質としてのグラファイトを用いて、スプレー乾燥機に代えて、攪拌転動流動層造粒装置(ニューグラマシーン「SEG−200」、セイシン企業社製)を使用して、乾燥造粒を行なうことで、負極用複合粒子を得た。なお、この際の乾燥温度は、25℃としたそして、得られた負極用複合粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして、負極を得て、得られた負極を用いて、リチウムイオン二次電池を製造し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例10)
負極集電体である銅箔に導電性接着剤を形成させなかったこと以外は、実施例1と同様にして負極を得て、得られた負極を用いて、リチウムイオン二次電池を製造し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
<負極の製造>
ディスパー付きのプラネタリーミキサー「T.K.ハイビスディスパーミックス」(プライミクス社製)に、負極活物質としてグラファイトを100部、バインダとしてスチレン・ブタジエン共重合体(BM−480B;日本ゼオン社製)の40%水分散体を固形分相当で2部、分散剤としてカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の1.0%水溶液(BSH−12;第一工業製薬社製)を固形分相当で0.7部、及び溶媒として水を30部加えて、撹拝混合した。これを減圧下で脱泡処理して固形分濃度が50%の流動性の良好な負極用スラリーを得た。
そして、上記にて得られた負極用スラリーを、コンマコーターを用いて、厚さ20μmの銅箔上に、乾燥後の膜厚が95μm程度になるように、5m/分の速度で塗布し、60℃で2分間乾燥し、120℃で2分間加熱処理し、次いで、一対のロールにより、200kN/mの圧力(線圧)で圧縮することにより、負極を得た。そして、得られた負極を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
<正極の製造>
ディスパー付きのプラネタリーミキサー「T.K.ハイビスディスパーミックス」(プライミクス社製)に、正極活物質としてLiCoOを100部、バインダとしてアクリレート重合体(アクリル酸ブチル:メタクリル酸メチル:イタコン酸=80:15:5(質量比)、ガラス転移温度−28℃、数平均粒子径0.3μm)の40%水分散体を固形分相当で1部、導電材として平均粒径0.7μmのアセチレンブラック(デンカブラック粉状;電気化学工業社製)を5部、分散剤としてカルボキシメチルセルロールのナトリウム塩の2.0%水溶液(BS‐H;第一工業製薬社製)を固形分相当で0.8部、及び溶媒として水を5.0部加えて、撹拝混合した。これを減圧下で脱泡処理して固形分濃度が70%の流動性の良好な正極用スラリーを得た。
そして、上記にて得られた正極用スラリーを、コンマコーターを用いて、厚さ20μmのアルミニウム箔上に、乾燥後の膜厚が100μm程度になるように、5m/分の速度で塗布し、60℃で2分間乾燥し、120℃で2分間加熱処理し、次いで、一対のロールにより、200kN/mの圧力(線圧)で圧縮することにより、正極を得た。
<リチウムイオン二次電池の製造>
そして、上記にて得られた負極及び正極を用いて、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を得て、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
<負極の製造>
図5に示す電極成形装置2のプレ成形ロール6を構成するロール6A,6B及び成形ロール8を構成するロール8A,8Bを共に、ロール径を250mm、ロール間隙を50μm、ロール圧力(線圧)を200kN/mとした以外は、実施例4と同様にして、負極を得た。そして、得られた負極を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
<正極の製造>
図5に示す電極成形装置2のプレ成形ロール6を構成するロール6A,6B及び成形ロール8を構成するロール8A,8Bを共に、ロール径を250mm、ロール間隙を50μm、ロール圧力(線圧)を250kN/mとした以外は、実施例4と同様にして、正極を得た。
<リチウムイオン二次電池の製造>
そして、上記にて得られた負極及び正極を用いて、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を得て、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2013077558
表1に示すように、電極を製造する際に、電極用複合粒子を得て、得られた電極用複合粒子を成形する際に、まず、プレ成形を行い、シート状のプレ成形体14を得て、次いで、プレ成形時の圧力よりも高い圧力にて本成形を行ない、これにより、シート状のプレ成形体14にせん断力をかけながら圧縮することにより製造を行なった実施例1〜10においては、得られる電極の電極活物質層の微細構造は、いずれも、図2に示すように、互いに近接する複数の電極活物質210を被覆するバインダ被覆部220同士がバインダ連結部230により連結された構造を有していた。そして、これら実施例1〜10において得られた電極は、いずれもピール強度が高く、電解液に対する濡れ性に優れ、電池とした場合における内部抵抗が低く、充放電サイクル特性に優れるものであった。特に、この傾向は、プレ成形時の圧力及び本成形時の圧力を変化させた場合(実施例2,3)、造粒条件を変化させた場合(実施例4,5,8,9)、バインダを変更した場合(実施例6,7)、及び導電性接着剤の有無を変更した場合(実施例1、10)のいずれの場合でも、同様の傾向となった。また、本実施例においては、負極を用いた場合における評価を例示したが、正極の場合も同様の傾向であった。
一方、塗布法により電極を形成した比較例1、プレ成形時の圧力と本成形時の圧力とを同じとした比較例2においては、得られる電極の電極活物質層の微細構造は、図3、図4に示すように、互いに近接する複数の電極活物質210により形成される空隙が、バインダ220aにより完全に塞がれたような構造となっていた。そして、これら比較例1,2において得られた電極は、電解液の濡れ性が低く、電池とした場合における内部抵抗、及び充放電サイクル特性に劣るものであった。
100…電気化学素子用電極
200…電極活物質層
210…電極活物質
220…バインダ被覆部
230…バインダ連結部
240…空隙部
300…集電体
2…電極成形装置
6…プレ成形ロール
8…成形ロール
12…電極用複合粒子

Claims (7)

  1. 電極活物質及びバインダを含有する電極活物質層を備える電気化学素子用電極であって、
    前記電極活物質の表面の少なくとも一部に前記バインダで被覆されてなるバインダ被覆部と、
    複数の前記電極活物質から構成される空隙部内に、前記空隙部を形成する複数の電極活物質の表面に形成されたバインダ被覆部同士を前記バインダにより連結してなるバインダ連結部と、を備える電気化学素子用電極。
  2. 前記空隙部を形成する複数の電極活物質の表面に形成された各バインダ被覆部同士は、一体化されておらず、互いに独立して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気化学素子用電極。
  3. 前記バインダ連結部の長さが0.01〜5μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気化学素子用電極。
  4. 前記バインダ連結部は、糸状及び/又は板状の形状を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電気化学素子用電極。
  5. 前記バインダが、アクリレート系重合体及び/又は共役ジエン系重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電気化学素子用電極。
  6. 前記電極活物質及びバインダが、複合粒子を形成していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電気化学素子用電極。
  7. 前記電極活物質層は、前記複合粒子を、第1の圧力で加圧することで加圧体とし、前記加圧体を、前記第1の圧力よりも高い第2の圧力で加圧することにより得られたものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電気化学素子用電極。
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