JP2013077000A - 鍵盤楽器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】加振部50は、響板7に接続された振動部51と、支持部55によって支持されたヨーク保持部52とを有する。振動部51は、ヨーク保持部52が有するヨーク521、523および磁石522により形成された磁路に位置するように配置されたボイスコイル512を有し、ボイスコイル512に入力される駆動信号により振動し、響板7を加振する。加振部50のうち駆動信号に応じて振動する振動部51以外の負荷は支持部55によって支持されているため、加振部50が響板7の振動特性にほとんど影響を与えない。
【選択図】図5
Description
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、響板を加振する構成を設けても、響板の振動特性の変化が少なくなるようにすることを目的とする。
[全体構成]
図1は、本発明の実施形態におけるグランドピアノ1の外観を示す斜視図である。グランドピアノ1は、その前面に演奏者によって演奏操作がなされる鍵2が複数配列された鍵盤、およびペダル3を有する鍵盤楽器である。また、グランドピアノ1は、前面部分に操作パネル13を有する制御装置10、および譜面台部分に設けられたタッチパネル60を有する。ユーザの指示は、操作パネル13およびタッチパネル60が操作されることにより、制御装置10に対して入力可能になっている。
なお、発音モードには、弱音モードの構成において音源部からの信号を響板の加振に用いるのではなくヘッドホン端子へ供給することにより外部への発音をさせない消音モードなど、他の発音モードが存在していてもよい。
この発音モードを整理すると以下の表1に示すようになる。
図2は、本発明の実施形態におけるグランドピアノ1の内部構造を説明する図である。この図においては、各鍵2に対応して設けられている構成については、1つの鍵2に着目して示し、他の鍵2に対応して設けられている部分については記載を省略している。
また、響板7には、加振部50が接続されている。加振部50は、響板7に接続された振動部51と、直支柱9に接続された支持部55によって支持されたヨーク保持部52(本体部)とを有する。加振部50には、制御装置10から駆動信号が入力される。振動部51は、入力された駆動信号が示す波形に応じて振動し、響板7を加振する。これにより、駒6も加振される。この例においては、振動部51は、ヨーク保持部52が有するヨーク521、523および磁石522により形成された磁路に位置するように配置されたボイスコイル512を有し、ボイスコイル512に入力される駆動信号により振動する(図5参照)。
なお、響板7に設けられている加振部50の数は2つに限らず、より多くの数であってもよいし、1つだけが設けられていてもよい。加振部50が1つである一方、駒6が2つである場合には、長い駒6Hに加振部50が設けられるようにすることが望ましい。
続いて、加振部50の構成について説明する。
図4は、本発明の実施形態における加振部50の外観を説明する図である。この図においては、ヨーク保持部52の主要な構造を見やすくするため、ヨーク保持部52の筐体524(図5参照)については記載を省略し、筐体524の内部を図示している。振動部51は、響板7と接続する上面が塞がれた円筒状の接続部材511およびボイスコイル512を有する。接続部材511は、ポリイミド等の樹脂あるいはアルミ素材の金属などの軽い素材で形成され、上面部に樹脂等のキャップを取り付けている。ヨーク保持部52は、磁石522、および磁石522を挟みこむヨーク521、523を有する。ヨーク521、523は、例えば、軟鉄などの軟磁性材料により形成され、接続部材511に比べて非常に重くなっている。
また、振動部51とヨーク保持部52とは、空間により隔てられている。
続いて、制御装置10の構成について説明する。
図6は、本発明の実施形態における制御装置10の構成を示すブロック図である。制御装置10は、制御部11、記憶部12、操作パネル13、通信部14、信号出力部15、およびインターフェイス16を有する。これらの各構成はバスを介して接続されている。
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)などの記憶装置を有する。制御部11は、記録装置に記憶されている制御プログラムに基づいて、制御装置10の各部およびインターフェイス16に接続された各構成を制御する。この例においては、制御部11は、制御プログラムを実行することにより、制御装置10および制御装置10に接続された構成の一部を、本発明の鍵盤楽器として機能させる。
続いて、制御部11が制御プログラムを実行することにより機能する構成について説明する。
図7は、本発明の実施形態におけるグランドピアノ1の機能構成を示すブロック図である。図7に示すように、鍵2が操作されると、ハンマ4が弦5を打撃し、弦5が振動する。この振動は、駒6を介して響板7に伝達される。また、鍵2の操作、ペダル3の操作によりダンパ8が動作する。ダンパ8の動作により、弦5の振動の抑制状態が変化する。
続いて、本発明の実施形態におけるグランドピアノ1の動作例について説明する。まず、ユーザは、タッチパネル60を操作して、演奏モードを通常演奏モードとし、発音モードを弱音モードとして設定する。この状態において、ユーザが鍵2を操作して演奏すると、ハンマ4による弦5の打撃はストッパ40により阻止される一方、加振部50により響板7が加振され響板7から音が放射される。また、響板7を介して駒6が加振されることによりダンパ8により振動が抑制されていない弦5も振動し、アコースティックピアノに近い音の発音が行われる。このとき、ハンマ4による弦5の打撃はストッパ40により阻止されているため、打弦による発音は無い。したがって、加振部50の振動の振幅を調整することにより、打弦による発音よりも小さな音量(もしくは大きな音量)で、アコースティックピアノと同様に響板7の振動および弦の共鳴による音響効果を利用した発音が可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以下のように、様々な態様で実施可能である。
[変形例1]
上述した実施形態において、振動部51(接続部材511)は、ヨーク保持部52から空間により隔てられていたが、ヨーク保持部52(筐体524)と間接的に接続されていてもよい。
そのため、標準位置において加振部50の重量は響板7にかかることがない。また、ダンパ部53は軽量な振動部51を支持可能ではあるが、高い伸縮性を備えているため、響板7の振動時にヨーク保持部52の重量がダンパ部53を介して振動部51に伝わることはほとんど無く、響板7の振動特性に与える影響もほとんど無い。また、ダンパ部53の存在により、振動部51とヨーク保持部52との位置関係が保たれるため、加振部50を響板7に接続する際の作業が容易になる。
上述した実施形態においては、鍵盤楽器としてグランドピアノ1を用いた例を説明したが、アップライトピアノを用いてもよい。
上述した実施形態およびその変形例においては、加振部は、響板のうち駒に対応する位置に設けられていたが、駒とは離れた位置であってもよい。
上述した実施形態においては、ヨーク保持部52は磁石522を用いて磁力を発生させていたが、電磁石など磁力の発生の有無を制御できる構成を用い、振動部51を振動させないとき(例えば、発音モードが通常発音モードであるとき)には、磁力の発生を停止してもよい。
上述した実施形態においては、複数の加振部50は、同じ駆動信号が入力されていたが、加振部50毎に異なる駆動信号が入力されるようにしてもよい。例えば、音源部151は、加振部50のそれぞれに対応して音響信号を出力し、イコライザ部152における周波数特性の調整、増幅部153における増幅を、それぞれの音響信号に対して個別に行うようにしてもよい。このようにすれば、周波数特性の調整態様および増幅率のパラメータの設定を加振部50毎に異なるパラメータとして設定することもできる。例えば、一の加振部50が設けられた響板7の位置において、特定の周波数に共振ピークをもつような振動特性となる場合には、その特定の周波数において駆動信号の出力レベルが下がるように周波数特性が調整されるように設定されればよい。そして、周波数特性が調整された駆動信号が、その加振部50に出力されるようにすればよい。
また、各音響信号は、それぞれ周波数帯域が異なるものとなっていてもよい。この場合には、加振部50Hに高い方の周波数帯域を有する音響信号が出力され、加振部50Lに低い方の周波数帯域を有する音響信号が出力されるようにしてもよい。
上述した実施形態においては、加振部50は、振動部51およびヨーク保持部52を有し、ボイスコイルを用いたダイナミック型のスピーカに近い構成により実現されていたが、本発明にかかる加振部の構成はダイナミック型のスピーカに類似の構成に限られない。本体部と、本体部に対し隔離配置された本体部より軽量で響板に接続された振動部とを有し、本体部と振動部との間に駆動信号に応じた引力および斥力の少なくとも一方を生じる構成であれば、他のいかなる構成が採用されてもよい。
図13は、ダイナミック型のスピーカと類似しない構成の本発明にかかる加振部の一例を示す図である。この変形例にかかる加振部80は、響板7に貼りつけられたシート状の強磁性材料である磁性体シート81(振動部)と、支持部55に支持される電磁石82(本体部)を有する。電磁石82は柱状の磁性材料である芯821と、芯821の周りに螺旋状に巻き付けられた電線であるコイル822を有し、制御装置10から入力される駆動信号に従い強度および極性が変化する磁力を発生させる。
上述した実施形態においては、支持部55は、直支柱9に接続された状態で、加振部50を支持していたが、直支柱9以外の場所に接続された状態であってもよい。例えば、支持部55は、グランドピアノ1の側板、脚などに接続された状態で加振部50を支持していてもよい。また、支持部55は、グランドピアノ1とは異なる部分、例えば、グランドピアノ1が設置される部屋の構造物(床、壁など)に接続された状態で、加振部50を支持してもよい。
上述した実施形態における制御プログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供し得る。また、グランドピアノ1は、制御プログラムをネットワーク経由でダウンロードしてもよい。
上述した実施形態においては、接続部材511の形状として、ボイスコイル512の直径とほぼ同じ直径の円筒状の形状が採用されているが、接続部材511の形状はこれに限られない。図14は、円筒状でない形状の接続部材511を有する本発明にかかる加振部の一例を示す図である。図14に示す加振部50の接続部材511は、上面が閉じられ、下面が開口した中空の円筒状の本体部5111と、本体部5111の上面中央から上方向に延伸するように下面が本体部5111の上面に取り付けられた円柱状の支持棒5112を有している。支持棒5112の上面が響板7の下面に接続されており、支持棒5112の上面により響板7が加振される。
上述した実施形態および変形例においては、鍵盤打楽器の例としてピアノが採用されている。本発明は例えば弦に代えて金属製の音板を発音体として有するチェレスタなどのピアノ以外の鍵盤打楽器にも適用可能である。
Claims (5)
- 複数の発音モードを有し、いずれかの発音モードがユーザによって設定される鍵盤楽器であって、
鍵と、
前記鍵に対応して設けられた発音体と、
前記鍵の操作に応じて前記発音体を打撃するハンマと、
前記ハンマによる前記発音体への打撃の阻止をするストッパと、
前記発音体の振動に伴い振動する響板と、
本体部と、前記響板に接続された振動部とを有し、入力された駆動信号に応じて前記本体部と前記振動部との間に引力および斥力の少なくとも一方を生じさせることにより前記振動部を振動させて前記響板を振動させる加振部と、
少なくとも前記響板が振動していない状態において前記響板に前記本体部の負荷がかからないように前記本体部を支持する支持部と、
前記鍵の操作に応じた演奏情報を出力する演奏情報出力部と、
前記演奏情報に基づく音を示す前記駆動信号を前記加振部に出力し、ユーザによって設定された前記発音モードが特定の発音モードである場合には前記駆動信号を出力しない信号出力部と、
少なくとも前記設定された発音モードが前記特定の発音モードである場合には、前記打撃の阻止をしないように前記ストッパを制御する阻止制御部と
を具備することを特徴とする鍵盤楽器。 - 前記本体部は磁石を有し、
前記振動部は前記磁石が形成する磁路上に配置され、前記駆動信号が入力されるボイスコイルを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の鍵盤楽器。 - 前記本体部と前記振動部とは空間によって隔てられて配置され、
前記支持部は、前記本体部が前記響板に接触しないように前記本体部を支持する
ことを特徴とする請求項2に記載の鍵盤楽器。 - 前記本体部と前記振動部とはダンパ部を介して接続され、
前記支持部は、前記振動部が振動していない状態において前記響板に前記振動部の負荷がかからないように前記振動部を前記ダンパ部および前記本体部を介して支持する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の鍵盤楽器。 - 前記信号出力部は、前記出力する駆動信号の周波数特性を調整するイコライザ部を有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の鍵盤楽器。
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