JP2013076830A - 光学シートの製造方法及び光学シート、光学シートを用いたel素子及びそれを備えた照明装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】凹凸部が活性エネルギー線硬化性樹脂を介して透光性基材表面に凹凸構造が付与された金型40を圧着させ、前記硬化性樹脂を介さない金型40と透光性基材との圧着部における金型40の幅方向接線長L0に対する透光性基材の幅方向接線長L2との接触長さ率Aが0.1≦A≦0.7であり、成形離型補助部42が金型40の表面に付与された箇所と、透光性基材とが接触点を有さず、その接触部と非接触部とが少なくとも1回以上繰り返してなり、透光性基材の法線方向での成形離型補助部42の凹部42aとの距離h1が20μm<h1<200μmとなるように製造される光学シートの製造方法を提供する。
【選択図】図6
Description
すなわち、上記従来技術による光学シートでは、ディスプレイ装置において、水平方向と垂直方向の光学特性の制御や光拡散性能の付与などが目的となる。EL照明装置においては光取出し効率の向上や表面の耐擦傷性能の向上や光拡散性能を目的としている。
ところが、現在、ディスプレイ装置のおけるバックライトユニットでは、非常に強い指向性を有する光源が用いられることから、その光源を起因とした光量のばらつきが明暗模様となって視認されるという問題があった。
これらの課題を解決するためには、観察者側に向けて出射される光線の波長毎の強度が均一且つ場所毎の積算光の強度が均一であるほど良いため、極めて強い拡散性をもつ部材、もしくは表面にレンズ性能を有する部材、或いはその両者を有する部材を用いることが検討されているが、基本的には溶融樹脂成形を用いて作製された部材であり、光学部材の表層に使用されるような用途においては耐擦傷性能が不足する。
また、活性エネルギー線硬化性樹脂を介さない金型と透光性基材とが圧着された状態での圧着部における金型の幅方向接線長に対する透光性基材の幅方向接線長との接触長さ率Aを0.1≦A≦0.7とすることで、透過性基材と金型が圧着されたときの接触部の長さ寸法を確保することができることから、成形時の透過性基材の流れ方向の張力を安定させることができる。また、透過性基材の上下方向の自由度も確保することができ、透過性基材の厚みのばらつきに起因するシワなどの発生を防ぐことが可能となる。そのため、設置条件により光学機能部の厚み寸法を変動させることができる。
このように、シリンダー状の金型をパターン母型として使用して透光性基材上に活性エネルギー線硬化性樹脂を用いて作成することで、所望のレンズ形状、及び強拡散性能を得ることができ、高い表面耐擦傷性能を得ることが可能となる。
この場合、略平坦となって離型のきっかけとなることがなく、また表面の凹凸がレンズ効果内に納まるので、拡散機能という光学機能の制御が可能な光学シートを提供することができる。
したがって、安定な成形条件を決定するのが容易、且つ所望の拡散性能、密着性能などの諸物性に併せて微粒子の添加量を適宜選択することが可能となるとともに、微粒子や活性エネルギー線硬化性樹脂の選定が簡便となる利点がある。
また、本発明に係る光学シートを用いたEL素子では、上述した光学シートを用いたEL素子であって、光学シートにおける光学機能部が最表面に配置されることを特徴としている。
本発明では、EL素子の光射出側に積層した光学シートは、活性エネルギー線硬化性樹脂に予め成形補助剤が添加されて硬化成形されているため、成形安定性がよく転写率が良好であり、しかも成形補充剤の微粒子を分散させたことで光の拡散性が向上する。
これによって、光学シートの成形時にデラミ現象や樹脂取られを生じないから、成形性と転写性と光拡散性が良好であり、EL素子から射出された光の光学特性が均一で良好な照明装置が得られる。
また、そのような製法で製造された光学シートを用いたEL素子及びそれを備えた照明装置は、上述した光学シートを備えることで光の利用効率を向上させることができる。
はじめに、本実施の形態のEL素子は、例えば発光手段として、EL照明装置、ディスプレイ装置、または液晶素子等の画像表示素子の背面に配設して液晶ディスプレイ装置等の各種のディスプレイ装置を含む照明装置に具備されて使用される。
図1に示すEL照明素子1(EL素子)は、ELパネル2の光射出側の面に第1の実施の形態による光学シート3が積層されて構成されている。
発光構造体7は、発光層10が陽極8と陰極9に電圧を印加することにより発光するものであり、従来公知のさまざまな構成を採用することができる。ELパネル2は、陽極8と陰極9の間に電圧を印加して発光層10から光を出射させ、この光が第1基板5を透過して光学シート3に入射し、さらに光学シート3を透過して外部へ出射することになる。
また、レンズ群12は、単位レンズ12Aが一次元方向に配列されて構成されていてもよいが、二次元方向に配列されて構成されていることが好ましい。単位レンズ12Aの二次元方向配列とは、一方向に延びるシリンドリカル形状の単位レンズ12Aが直交する方向に平行に配列された構成だけでなく、単位レンズ12Aがドット状で互いに直交する方向に配列された構成やハニカム状に配列された構成等が一例として挙げられる。
透光性基材11として、例えばポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、シクロオレフィンポリマーやこれらの複合体などの合成樹脂が用いられる。
透光性基材11の少なくとも一方の面に易接着層のような表面処理が施されているものを使用することもできる。このような構成を採用すれば、ELパネル2の第1基板5との接着性やレンズ群12との接着性が高くなる。
レンズ群12を製造するには、活性エネルギー線硬化性樹脂として、例えば紫外線硬化型フォトポリマー、具体的にはアクリル系ポリマー、アクリル系モノマー及び光開始剤等を含んだものを用いて後述する成形補助剤を混入して、透光性基材11上に紫外線硬化型フォトポリマーを塗布する。そして、予めレンズ群12のパターンが賦型された金型の母型(版)を圧着させた状態で硬化させることで、所望のレンズ群12を有する光学シート3を得ることができる。
また、レンズ群12の成形方法では、母型の凹凸パターン部(レンズパターン)においても腐食などに起因した表面が錆びた部位や、単位レンズ12Aの高さと幅の比である高アスペクトの凹凸部位などにおいては、活性線硬化性樹脂が硬化した後の母型からの剥離が困難であり、母型側に樹脂が残ってしまう「樹脂取られ」という現象が発生するおそれがある。
そこで、本第1の実施の形態では、レンズ群12を形成する活性エネルギー線硬化性樹脂に成形補助剤を予め所定の範囲で添加するようにしてデラミや樹脂取られを抑制するようにした。成形補助剤は、活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化収縮率と離型性を調整する機能を発揮できる。
図3に示すように、この光学シート3の製造装置20は、シート状に連続する透光性基材11を透光性基材シート11Aとして繰り出す透光性基材ロール21と、透光性基材シート11Aに予め微粒子の成形補助剤を混入させた活性エネルギー線硬化性樹脂を塗布する樹脂供給ユニット22と、レンズ群12の転写形状が円筒状の表面に形成されている金型をなす金属製シリンダー状母型(金型40)と、この金型40に圧着された透光性基材圧着ロール24と、金型40に塗布された活性エネルギー線硬化性樹脂に活性エネルギー線を照射して樹脂を硬化させる活性エネルギー線照射装置50と、レンズ群12が成形された透光性基材シート11Aを巻き取る光学シートロール26とを備えている。
金型40は、例えば略シリンダー形状の鉄芯33上に他の金属31が層状にメッキされて形成されている。ここで言う他の金属31とは、例えば銅やニッケルなどであり、母型40へ付与する凹凸パターンの形状によって適宜選択することができると共に、凹凸パターン31a付与後に防錆や表面の保護を目的にクロムなどの金属メッキを付与することもできる。また、母型40への凹凸パターン付与の方式は旋盤を用いた切削方式やレーザー描画、腐食方式など適宜選択することができ、或いは、これらの方式を適宜組み合わせることによっても母型40を製作できる。
先ず、透光性基材ロール21から透光性基材11がシート状に連続する透光性基材シート11Aを繰り出し、受けロール27に対向して配置された樹脂供給ユニット22から透光性基材シート11A上に微粒子の成形補助剤を予め添加して均一に分散させた活性エネルギー線硬化性樹脂を塗布する。
そして、金型40で成形された透光性基材シート11Aは活性エネルギー線照射装置50から照射される紫外線等の活性エネルギー線硬化性樹脂によって硬化させられ、テンションロールを介して光学シートロール26に巻き取られる。その後、透光性基材シート11Aは別工程でレンズ群12が形成された透光性基材11の単位毎に切断されることで光学シート3が得られる。
そして、図6に示すように、活性エネルギー線硬化性樹脂を介さない状態での金型40と透光性基材11とが圧着された状態での圧着部における金型40の幅方向接線長L0に対する透光性基材11の接触部長さ寸法L2(透過性基材11の幅方向接線長)との接触長さ率Aは0.1≦A≦0.7であり、望ましくは0.2≦A≦0.6である。ここで、透過性基材11における金型40に対する接触部(符号L2の部分)は、パターン部にない構成となっている。
また、前記接触長さ率AがA>0.7の場合には、透光性基材11の上下方向の自由度が無くなるため、透光性基材11の厚みバラつきに起因するシワなどの原因になるとともに、装置条件により光学機能部をなすレンズ群12の厚みをコントロールすることが困難となる。
さらに、前記接触長さ率Aが0.2≦A≦0.6の場合には、十分な流れ方向の張力安定性を得られるとともに、非接触部(図6に示す符号L1の部分)を持つことで透光性基材11が上下方向にたるむため、樹脂供給量や透光性基材11の流れ方向の張力を変更することで実質の光学機能部(レンズ群12)の厚み寸法h1を変動させることが可能となる。
図5に示すように、金型40と透光性基材11間に活性エネルギー線硬化性樹脂を介して圧着し、活性エネルギー線照射装置50から活性エネルギー線を照射することで光学シート3を得ることができる。このときに活性エネルギー線硬化性樹脂硬化後の屈折率と異なる成形補助剤を樹脂中に添加することで、拡散性を有する光学機能部(レンズ群12)を得ることが可能となる。
また、最大高低差をh2と総厚みhとの比率h2/hが0.01>h2/hの場合には、略平坦となり離型のきっかけとしての機能を果たさなくなり、さらにh2/h>0.2においては、表面の凹凸がレンズ効果を出してしまい、拡散機能という光学機能の制御が困難となる。
また、光学機能部(レンズ群12)には活性エネルギー線(例えば紫外線)が照射されたときに硬化して接着性を有するものが使用できる。例えば紫外線硬化型フォトポリマーが用いられ、具体的にはアクリル系ポリマー、アクリル系モノマー及び光開始剤等を含んだ公知のものに成形補助剤が添加されたものを使用することができる。ハードコート処理をされた透光性基材11を用いてハードコート処理との逆面に成形することにより、ハードコート性能と高い拡散性を両立したフラットパネルディスプレイ用途の光学シートとしても使用することが可能となる。
また、E>40%の場合には、硬化した樹脂と透光性基材との密着力が顕著に低下し、製品の信頼性が損なわれてしまう。
また、35%<E≦40%の場合には、樹脂への微粒子の分散状態が悪化し、送液時のフィルターの詰まりや母型40に微粒子の凝集物が付着することによる母型傷や、パターンの目詰まりといった現象を引き起こす可能性がある。そのため、レンズ群12に拡散性を付与したい場合などは、1%≦Eであることが望ましい。
また、成形補助剤としての微粒子を添加することにより樹脂硬化時の収縮を下げることが可能となり、添加量を変更することで任意にコントロールすることが可能となり、樹脂硬化時に発生する基材の反りが抑制されたハンドリング性の高い光学シートを同時に得ることができる。
微粒子である成形補助剤の平均粒径をr1とすると、0.01<r1/h1<0.1であることが望ましい。
0.01≧r1/h1の場合には、十分な拡散性を得るために必要な微粒子の個数が増加するため活性エネルギー線硬化性樹脂の粘度が著しく上昇し転写率が低下してしまう可能性があるため成形条件の尤度が狭まるとともに、樹脂硬化後の皮膜強度も落ちるため金型からの剥離時に凝集破壊を引き起こす可能性がある。
また、r1/h1≧0.1の場合には、微粒子が光学機能部の表面形状を変形させてしまう可能性があり、樹脂硬化の際に硬化した箇所から金型よりランダムに剥離してしまうデラミという現象が発生する可能性があり、剥離箇所毎にムラが発生し、外観不良を引き起こす可能性がある。
したがって、0.01<r1/h1<0.1においては、安定な成形条件を決定するのが容易、且つ所望の拡散性能、密着性能などの諸物性に併せて微粒子の添加量を適宜選択することが可能となるとともに、微粒子や活性エネルギー線硬化性樹脂の選定が簡便となる利点がある。
また、そのような製法で製造された光学シートを用いたEL素子及びそれを備えた照明装置では、上述した光学シート3を備えることで光の利用効率を向上させることができる。
図7及び図8に示す本発明の第2の実施の形態によるEL素子1Aでは、光学シート3Aのレンズ群13(光学機能部)は例えば断面略三角形をなすプリズムレンズであり、同一形状の単位レンズ13A、13A、…(成形離型補助部42の凹凸層)が平行に配列された構成となっている。図9に示すように、この場合の金型40Aは、成形離型補助部42の凹凸部42Bが前記レンズ群13の断面略三角形に対応した略三角形状に形成されている。
図11に示す金型と活性線照射装置50とは、上述した図10(c)に示す金型40Dを採用したものである。
図12に示すように、本発明の第4の実施の形態によるEL照明素子1Bは、光学シート3がELパネル2の最表面に配置され、光学シート3における成形離型補助部の凹凸部側の面(レンズ群12の単位レンズ12A)が貼合層4を介してELパネル2のガラス基板と貼り合わされた構成となっている。
貼合層4の材質としては前項記載のものを用いることができ、樹脂成形面とは逆面にハードコートや防眩処理などを施された透光性基材11を用いることにより、最表面に所望の物性を付与し且つ高い拡散性を有し、出射光の配向特性の均一なEL照明装置1Bを得ることができる。
2 ELパネル
3 光学シート
4 貼合層
5 第1基板
6 第2基板
7 発光構造体
8 陽極
9 陰極
10 発光層
11 透光性基材
12、13 レンズ群(光学機能部)
12A、13A 単位レンズ
20 製造装置
40 金型(金属製シリンダー状母型)
41 金型光学機能部用溝
42 成形離型補助部
42A〜42E 凹凸部
42a 凹部
43 非成形離型補助部
50 活性エネルギー線照射装置
L0 金型の幅方向接線長
L1 非接触部
L2 透過性基材の幅方向接線長
Claims (8)
- 透光性基材の一方の表面に活性エネルギー線硬化性樹脂を用いて表面に成形離型補助部としての凹凸部を有する光学機能層が付与された光学シートの製造方法であって、
前記凹凸部が活性エネルギー線硬化性樹脂を介して前記透光性基材の表面に凹凸構造が付与された金型を圧着させることにより形成されるとともに、前記活性エネルギー線硬化性樹脂を介さない前記金型と前記透光性基材とが圧着された状態での圧着部における金型の幅方向接線長に対する透光性基材の幅方向接線長との接触長さ率Aが0.1≦A≦0.7であり、
前記成形離型補助部が金型の表面に付与された箇所と、前記透光性基材とが接触点を有さず、その接触部と非接触部とが少なくとも1回以上繰り返してなり、前記透光性基材の法線方向での前記成形離型補助部の凹部との距離h1が20μm<h1<200μmとなるように製造されることを特徴とする光学シートの製造方法。 - 請求項1に記載の光学シートの製造方法によって製造される光学シートであって、
前記光学機能層に設けられる光学機能部における最表面と前記成形離型補助部の凹部との最大高低差をh2とし、前記光学機能部の総厚みをhとした場合、0.01≦h2/h≦0.2であることを特徴とする光学シート。 - 前記成形離型補助部の凹凸部は、1方向の連なった形状であることを特徴とする請求項2に記載の光学シート。
- 請求項1に記載の光学シートの製造方法によって製造される光学シートであって、
前記光学機能層は、前記活性エネルギー線硬化性樹脂内に成形補助剤が添加されていることを特徴とする光学シート。 - 前記成形補助剤は、微粒子であり、その平均粒子径をr1とすると、0.01<r1/h1<0.1であることを特徴とする請求項4に記載の光学シート。
- 請求項2乃至5のいずれか1項に記載の光学シートを用いたEL素子であって、
前記光学シートにおける前記光学機能部が最表面に配置されることを特徴とするEL素子。 - 請求項2乃至5のいずれか1項に記載の光学シートを用いたEL素子であって、
前記光学シートにおける前記透光性基材部が最表面に配置されることを特徴とするEL素子。 - 請求項6又は7に記載のEL素子を発光手段として備えたことを特徴とする照明装置。
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