JP5515311B2 - 光学シートの製造方法 - Google Patents

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本発明は、主に液晶表示装置に用いられるバックライトユニットの照明光路制御に使用される光学シート及びその製造方法に関するものであり、更には、前記光学シートを搭載したバックライトユニットおよび液晶表示装置に関する。更に詳しくは、熱あるいは紫外線にて硬化する樹脂層を母型表面に塗布し、未硬化時に表面凹凸を付与した後に硬化することで、簡便に母型のランダムかつ複雑な形状を忠実に再現するマスター型に付与することができ、且つ耐摩耗性を向上させるマスター型の製造方法及び前記マスター型を用いて製造する光学シートに関する。
大型の液晶表示装置の多くは、光源として複数の冷陰極管又はLED(light−emitting diode)を含んだ直下型バックライトユニットを使用している。
直下型バックライトユニットを使用すると画面全体に亘って明るい表示が可能となる。
しかし、直下型バックライトユニットを使用した場合、画面に光源のランプイメージが映り込み易い。即ち光源の配列に起因した輝度ムラを生じ易い。
そのため現状では表面凹凸を有する光拡散板や光拡散シート及びレンズシートを用いる方法が主流であるが、光学シートに使用されるレンズパターンに起因したモアレの発生、光学シートを製造するために使用されるマスター型の製造に長時間を要すること、複雑なパターンをマスター型に付与することが困難であること、またマスター型の寿命が短いことなどが問題となっている。
特願2001−10939号公報
直下型バックライトユニットはモアレを解消し、パターンが無い部位を消失させることで漏れ光を低減させることが求められている。しかしながら従来の光学シートは、必ずしもこのような要求に応えることができるものではなかった。
表面凹凸パターンを賦型する方法としては金型を使用する手段が最も一般的であるが、金型自体が高価であること、ランダムかつ微細なパターンを金型表面に付与することが技術的難度が高く、樹脂との離型性の観点から金型寿命が短いことが問題となっている。本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、表面のムラが視認しにくく、モアレ及び漏れ光のない均一な光を出射できる直下型バックライトユニット用光学シートを提供することを目的とする。
上記課題を解決するための請求項1の発明は、表面に凹凸が形成された母型光学シートを用意して、母型光学シートを母型として表面の凹凸形状を型どりしてマスター型を作製し、マスター型を用いて凹凸形状を樹脂表面に賦形する光学シートの製造方法であって、前記母型光学シートの母型表面凹凸層のパターン高さが10μm以上100μm以下の範囲内であり、かつ、前記マスター型がシート状であり、表面に厚みが50μm以上100μm以下の紫外線硬化樹脂層もしくは熱硬化性樹脂層が形成されており、かつ、前記光学シートが拡散性微粒子を含んでおり、かつ、前記光学シートの凹凸形状が真球状と四角錐状の凹凸形成要素を含み、真球状凹凸と四角錐状凹凸の表面の凹凸比率が1:1から4:1の間であることを特徴とする光学シートの製造方法である。

本発明では微小凹凸を有する表面凹凸の型どりにより、任意のランダムな表面凹凸を前記表面凹凸シートに付与することで、モアレ発生を低減し、ランプイメージ起因の輝度ムラを低減し、かつ高輝度の光学シートを容易に得ることができる。
本発明の表面凹凸型取り方法の概念を示した断面図 本発明の平板を用いた場合の本発明の表面型取り方法の概念を示した断面図 本発明のシート状マスター型から樹脂表面に凹凸を付与することで表面凹凸シートを得る工程の概念を示す断面図 本発明のシート状マスター型から溶融樹脂成形法(溶融樹脂成形法を、シート表面に塗布した樹脂層を加工して凹凸形状を形成する方法と定義する。)にて表面凹凸シートを得る工程の概念を示す断面図 本発明の表面凹凸シートを斜め上方から観測した俯瞰図
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1(A)、(B)、(C)は、本発明の表面凹凸型取り方法の概念を示した断面図である。図1(A)は本
発明の一実施例として紫外線硬化もしくは熱硬化性樹脂10が表面に塗布されたシリンダー11に
母型表面凹凸層12を備えたシート13を巻きつけることによりラミネートする直前の状態を示している。図1(B)は、シリンダー11に母型表面凹凸層12を備えたシート13がラミネートされた状態
を示している。図1(C)は、紫外線硬化もしくは熱硬化性樹脂10を硬化後に母型表面凹凸層を備
えたシート13を剥離することでシリンダー表面に凹凸が形成されたシリンダー状マスター型14の
概念図を示している。
表面凹凸要素21の形状は真球、楕円球、四角錘形状よりなることで、ディスプレイに最適な輝度や耐擦性を与えることが可能となる。
母型表面凹凸層12を備えたシート13は具体的にはポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂やこれらの複合体などの合成樹脂上にエポキシアクリレート系,ウレタンアクリレート系,ポリエステルアクリレート系,ポリオールアクリレート系のオリゴマー、ポリマーと単官能・2官能・あるいは多官能重合性(メタ)アクリル系モノマー、例えばテトラヒドロフルフリルアクリレート,2−ヒドロキシエチルアクリレート,2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート,ポリエチレングリコールジアクリレート,ポリプロピレングリコールジアクリレート,トリメチロールプロパントリアクリレート,ペンタエリトリトールトリアクリレート,ペンタエリトリトールテトラアクリレートなどのモノマー、オリゴマー、ポリマーなどの混合物が表面凹凸を有した形状にて硬化されたものや、前記ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂やこれらの複合体などの合成樹脂上に表面凹凸が何らかの手段にて賦型されたものが用いられる。
図2(A)、(B)、(C)は、平板を用いた場合の本発明の表面型取り方法の概念を示した断面図である。図2(A)は母型表面凹凸層を備えたシート13と基材フィルム16に紫外線もしくは熱硬化性樹脂10を塗布したシートがラミネートされる前の状態を示す概念図である。図2(B)は本発明の一実施例として紫外線もしくは熱硬化性樹脂10が表面に塗布された基材フィルム16を、母型表面凹凸層12を備えたシート13にラミネートした状態の概念図である。図2(C)は紫外線硬化もしくは熱硬化性樹脂10を硬化後に母型表面凹凸層を備えたシート13を剥離することで得られたシート状マスター型15の概念図である。
図3(A)、(B)、(C)は、得られたシート状マスター型15から樹脂表面に凹凸を付与することで表面凹凸シートを得る工程の概念を示す断面図であり、図3(A)はシート状マスター型15と成形前表面凹凸シート18を示している。図3(B)は表面凹凸を有するシート状マスター型15と成形前表面凹凸シート18をラミネートした状態を示している。16は紫外線もしくは熱硬化性樹脂10を塗布する基材フィルムを示している。図3(C)は紫外線もしくは熱硬化性樹脂10を硬化後に成形前表面凹凸シート18を剥離することで得られた表面凹凸シート19を示している。
図4(A)、(B)、(C)は、シート状マスター型15から溶融樹脂成形法にて表面凹凸シートを得る工程の概念を示す断面図であり、図4(A)は、ラミネート前の表面凹凸を有するシート状マスター型15と樹脂シート20を示している。図4(B)は、ラミネートした状態のシート状マスター型15と樹脂シート20を示している。図4(C)は、ラミネートした状態のシート状マスター型15と樹脂シート20を剥離した後の、樹脂シート成形後表面凹凸シート21を示す。
図5、6、7に表面凹凸シート19を斜め上方から観測した俯瞰図を示す。
前記紫外線もしくは熱硬化性樹脂10、17は特に限定されるものではないが、分子中にアクリロイル基を有する紫外線硬化型樹脂が好ましく、エポキシアクリレート系,ウレタンアクリレート系,ポリエステルアクリレート系,ポリオールアクリレート系のオリゴマー、ポリマーと単官能・2官能・あるいは多官能重合性(メタ)アクリル系モノマー、例えばテトラヒドロフルフリルアクリレート,2−ヒドロキシエチルアクリレート,2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート,ポリエチレングリコールジアクリレート,ポリプロピレングリコールジアクリレート,トリメチロールプロパントリアクリレート,ペンタエリトリトールトリアクリレート,ペンタエリトリトールテトラアクリレートなどのモノマー、オリゴマー、ポリマーなどの混合物が使用される。
紫外線を透過する母型表面凹凸層12を備えたシート13としては、具体的にはポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂やこれらの複合体などの合成樹脂などのフィルム状のものが用いられる。
本発明においては、特に、PET(ポリエチレンテレフタレート),PVC(ポリ塩化ビニル),PC(ポリカーボネート),PMMA(ポリメチルメタアクリレート)、MS(メタクリルスチレン)などが好ましい。
また、母型表面凹凸層を備えたシート13の母型表面凹凸層12に拡散性微粒子を添加することで紫外線もしくは熱硬化性樹脂10および17との離型性を向上させることもできる。この場合は従来より使用されている公知のものを使用することができ、特に限定されず、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、尿素樹脂、ホルムアルデヒド縮合物などからなる有機系粒子やガラスビーズ、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウムなどからなる無機系微粒子等を用いることができ、平均粒子径が0.1μm〜5μm程度が望ましい。
紫外線もしくは熱硬化性樹脂10および17に拡散性微粒子を添加することで表面凹凸シートの表面ムラ及び漏れ光を低減させることもできる。この場合は従来より使用されている公知のものを使用することができ、特に限定されず、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、尿素樹脂、ホルムアルデヒド縮合物などからなる有機系粒子やガラスビーズ、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウムなどからなる無機系微粒子等を用いることができる。
紫外線もしくは熱硬化性樹脂10および17の厚みbは好ましくは転写する母型表面凹凸層12の凹凸部厚みaに対し1.2×a<bが望ましい。
また、母型表面凹凸層12に拡散性微粒子を添加することで、マスター型および製品となる表面凹凸に微細な凹凸を付与することで複製時の離型性向上、剥離痕等の表面不良について視認性を下げることが可能となる。この場合は従来より使用されている公知のものを使用することができ、特に限定されず、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、尿素樹脂、ホルムアルデヒド縮合物などからなる有機系粒子やガラスビーズ、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウムなどからなる無機系微粒子等を用いることができる。
剥離帯電防止用に紫外線もしくは熱硬化性樹脂10および17に添加する帯電防止剤としてはカチオン系、アニオン系、ノニオン系のいずれも使用することが可能であり、アニオン系ではカルボン酸、スルホン酸、リン酸構造を持つものが使用される。カチオン系では4級アンモニウム塩化合物を使用することができ、ノニオン系ではアルキルアミンオキシド化合物が使用できる。
複製時の離型性向上を目的とし、紫外線もしくは熱硬化性樹脂10および17に添加するレベリング剤としてはフッ素系、シリコーン系の離型剤を使用することができる。
複製によって作製するマスター型に使用するシリンダー11としては、真鍮製のものを用いることができる。
シート状マスター型に使用する基材としてはポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂やこれらの複合体などの合成樹脂が用いられる。 本発明においては、中でも、PET(ポリエチレンテレフタレート),PVC(ポリ塩化ビニル),PC(ポリカーボネート),PMMA(ポリメチルメタアクリレート)、MS(メタクリルスチレン)などが好ましい。
マスター型から溶融樹脂成形法にて得られる樹脂シート成形後表面凹凸シート21としてはポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂やこれらの複合体などの合成樹脂が用いられる。
単位表面凹凸形成部位22は真球、楕円球、四角錘いずれの形状でもよく、所望の光学特性によって表面形状を変更することが可能である。
上記表面凹凸形成部位22は真球、楕円球、四角錘のいずれか2つ以上の混合構成でもよく、光学特性、表面耐擦性などを考慮し組み合わせを選択することが可能である。
耐擦性については真球状単独が最も優位性あるが、正面輝度については最も劣る。また、四角錘状単独は正面輝度は最も優位性があるが、耐擦性では最も劣る。
以下にシート状マスター型を用いて真球状表面凹凸シートを作製した際の実施例を記載する。
母型表面凹凸層を備えたシート(母型光学シート)において母型表面凹凸層のパターン高さを10および50μmにてパターン形成し、紫外線硬化もしくは熱硬化性樹脂の厚みを変更し、実際に型取り実施した場合の賦型性について表1に示す。

Figure 0005515311

賦型率80%未満 :×
賦型率80%以上90%未満:△
賦型率90%以上 :○
ここで硬化性樹脂には硬化時に収縮が発生するため、賦型率90%以上を○評価とした。
賦型率についてはレーザー顕微鏡測定値を評価値とした。ここで、賦型率とは、ピッチや深さについての実測値÷設計値で定義される値である。レーザー顕微鏡測定値の評価値とは、ピッチや深さについての賦型率をパーセント表示した値を指す。
母型光学シートとしてポリエステルフィルム上に紫外線硬化樹脂にて真球状のレンズが形成されたレンズシートを用いた。母型表面凹凸層に拡散性微粒子が添加されたもの、母型の反転形状を持ったマスター型の表面凹凸層に拡散性微粒子を添加したもの、表面凹凸シート上の紫外線もしくは熱硬化性樹脂層に拡散性微粒子が添加されたもの、拡散性微粒子を使用していないもの、についてバックライトに配置し、ランプイメージ低減効果、表面凹凸シート成形時剥離ムラ低減効果、正面輝度変化の比較検証を目視にて実施した。
○構成1:拡散性微粒子添加無しの構成である。
○構成2:母型表面凹凸層に拡散性微粒子添加した構成である。
○構成3:母型の反転形状を持ったマスター型の表面凹凸層に拡散性微粒子を添加した構成である。
○構成4:表面凹凸シートの紫外線もしくは熱硬化性樹脂層に拡散性微粒子を添加した構成である。
○構成5:母型表面凹凸層、表面凹凸シートの紫外線もしくは熱硬化性樹脂層に拡散性微粒子を添加した構成である。
1)ランプイメージ低減効果の評価は以下の基準で行った。即ち、
○:液晶パネル越しにランプイメージ視認できない
×:液晶パネル越しにランプイメージが視認できる
2)表面凹凸シート成形時剥離ムラ低減効果
○:液晶パネル越しに剥離ムラ視認できない
×:液晶パネル越しに剥離ムラが確認できる
3)正面輝度変化
○:正面輝度低下−5%未満
×:正面輝度低下−5%より大きい

Figure 0005515311
以下に硬化樹脂層厚み100μm、パターン高さ50μmにて楕円球及び四角錘を用いた場合の実施例を示す。
耐擦性、正面輝度について評価した結果を下表3に示す。
1)耐擦性評価
学振試験にてPETフィルムに対し140g荷重−50往復にて
○:液晶パネル越しに擦れ痕視認できない
×:液晶パネル越しに擦れ痕視認できる
2)正面輝度変化
○:輝度向上率真球比0%より大きい
×:輝度低下率真球比0%より大きい

Figure 0005515311
以下に真球、楕円球、四角錘形状を比率を変えて混合した際の実施例を示す。
耐擦性、正面輝度について評価した結果を下表4に示す。
Figure 0005515311

使用材料を下記に示す。


真球状凹凸レンズ:ピッチ100μm、高さ50μm
楕円状凹凸レンズ:ピッチ80μm、高さ50μm
四角錘凹凸レンズ:ピッチ100μm、高さ50μm
拡散材 :材質PMMA、中心粒径5μm、各層に20wt%添加
10・・・紫外線硬化もしくは熱硬化性樹脂
11・・・シリンダー
12・・・母型表面凹凸層
13・・・母型表面凹凸層を備えたシート(母型光学シート)
14・・・シリンダー状マスター型
15・・・シート状マスター型
16・・・基材フィルム
17・・・表面凹凸層
18・・・成形前表面凹凸シート
19・・・表面凹凸シート
20・・・樹脂シート
21・・・樹脂シート成形後表面凹凸シート
22・・・単位表面凹凸形成要素

Claims (1)

  1. 表面に凹凸が形成された母型光学シートを用意して、母型光学シートを母型として表面の凹凸形状を型どりしてマスター型を作製し、マスター型を用いて凹凸形状を樹脂表面に賦形する光学シートの製造方法であって、
    前記母型光学シートの母型表面凹凸層のパターン高さが10μm以上100μm以下の範囲内であり、かつ、
    前記マスター型がシート状であり、表面に厚みが50μm以上100μm以下の紫外線硬化樹脂層もしくは熱硬化性樹脂層が形成されており、かつ、
    前記光学シートが拡散性微粒子を含んでおり、かつ、
    前記光学シートの凹凸形状が真球状と四角錐状の凹凸形成要素を含み、真球状凹凸と四角錐状凹凸の表面の凹凸比率が1:1から4:1の間である
    ことを特徴とする光学シートの製造方法。
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