JP2013076296A - アンカーボルト設置構造、およびそのメンテナンス方法ならびに施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題手段】アンカーボルト設置構造は、埋込穴に挿入されるアンカーボルト1と、埋込穴に充填される硬化剤層2と、座金3と、ナット4と、伸縮自在のパッキン5とを備えている。パッキン5は、埋込穴の内部の隙間において硬化剤層2と座金3との間に挟持され、当該隙間を液密的に封止する。
【選択図】図1
Description
アンカーボルト1の設置構造の一例として、図5に示されるように、積雪の多い地域において、小段Mの直下の法面N上に雪崩防止柵Bを設置する場合に適用される構造がある。この構造では、雪崩防止柵Bが雪の重みによって法面Nに沿って下方へすべり落ちないように、雪崩防止柵Bをアンカーボルト1で固定している。
つぎに、上記のようなアンカーボルト1の設置構造を施工した後におけるメンテナンス方法について説明する。
次にアンカーボルトの破損を防止するために、必要なモルタル層2の長さL11および必要な座金3の底面積Eを以下の算出事例により説明する。
T=F/μ1=2トンとなる。
Fs:アンカーボルト1の引抜きに対する安全率(=3.0)、
φ2:埋込穴Aの内径(=50mm)、
τ:埋込穴Aの内周面とモルタル層2との間の摩擦抵抗(=3kg/cm2(レキ質土の地盤の場合))
とした場合、
L11=Fs×T/(π×φ2×τ)=127cmとなる。
E=T/t2=0.06m2=約25×25cm2(すなわち、25cm四方の正方形の面積とほぼ同じ)となる。
(1)
本実施形態のアンカーボルト1の設置構造では、モルタルを埋込穴Aの上部において地面Sとの間で隙間Pを形成する高さまで充填して固化することによって、モルタル層2が形成され、伸縮可能なパッキン5が当該隙間Pに配設されるとともに埋込穴Aの内部においてモルタル層2と座金3との間に挟持されているので、座金3の下面と地表面との間に隙間Pが生じた場合でも、座金3をナット4で締め付けることにより、座金3はモルタル層2との間でパッキン5を圧縮しながら下降することにより地表面に確実に密着し、地面Sの地耐力を均等に受けることが可能である。その結果、座金3と地面Sとの摩擦抵抗が復元し、アンカーボルト1の頭部に作用する横荷重等に抵抗することが可能になり、アンカーボルト1の頭部の歪曲等を防止することが可能である。
また、モルタル層2の定着が不安定な地盤Gでは、図2〜3に示されるように、ナット4の締め付けによって生じるアンカーボルト1が上方へ引っ張られる引張力Tにより、モルタル層2は、パッキン5を圧縮させながら埋込穴Aの内部を上方へずれ動く(隙間Pの高さがL5からL7へ減少する)ことが考えられる。例えば、ナット4を締め付けてもモルタル層2が上方へずれ動かない状態(図2に示される状態)では、ナット4の上方へ突出するアンカーボルト1の頭部の長さはL3となるが、一方、図3に示されるように、ナット4を締め付けたときにモルタル層2が上方へずれ動いた状態では、モルタル層2が上方へずれ動いた分だけナット4を締め付けることができるので、ナット4の上方へ突出するアンカーボルト1の頭部の長さはL6となり、図2の長さL3よりも長くなる。このアンカーボルト1の頭部の長さL3とL6とを比較することにより、作業者は、モルタル層2が上方へずれ動いたか否かを容易に確認することができる。
さらに、本実施形態のアンカーボルト1の設置構造では、座金3とモルタル層2とがパッキン5によって分離されているので、アンカーボルト1の引張試験時において、モルタル層2による抵抗荷重Tb(図1参照)の確認精度が高く、大がかりな試験設備を必要としない。
また、本実施形態では、パッキン5の外周の外周接触面5bが埋込穴Aの内周面に接触することにより、埋込穴Aの内周面におけるシール性を確保でき、アンカーボルト1とモルタル層2との境界部分への水の浸入を抑制することが可能になる。
さらに、本実施形態では、ゴムなどの弾性材料からなるパッキン5がモルタル層2とパッキン5との間に挟持されことにより、当該埋込穴Aの径方向へ拡大する性質を利用して、埋込穴Aの内周面およびアンカーボルトの外周面にそれぞれ接触させ、それにより、埋込穴Aの内周面およびアンカーボルトの外周面におけるシール性を確保でき、アンカーボルトとモルタル層2との境界部分への水の浸入を抑制することが可能になる。
また、本実施形態のアンカーボルト1の設置構造では、座金3のワイヤ保持部6にワイヤWが保持され、ワイヤWの張力を受けて座金3が挿入されたアンカーボルト1に横荷重が作用した場合に、ナット4をアンカーボルト1のおねじ部1aに締め付けることにより座金3がパッキン5を圧縮しながら地面Sに密着して地面Sの地耐力を均等に受けることが可能である。その結果、座金3と地面Sとの摩擦抵抗が増大し、アンカーボルト1の頭部に作用する横荷重等に抵抗し、アンカーボルト1の頭部の歪曲等を防止することが可能である。
本実施形態のアンカーボルト1の設置構造では、パッキン5は、その上端がアンカーボルト1における前記おねじ部1aが形成された範囲内に位置するように配置されているので、座金3をナット4で締め付けることにより、座金3とモルタル層2との間でパッキン5を確実に圧縮させることが可能であり、それにより、座金3を地表面により確実に密着することが可能である。
本実施形態のアンカーボルト1の設置構造では、座金3の押圧面3aと地面Sとの間に当該押圧面3aと前記地面Sとの間の摩擦を増大する摩擦増大シート7が介在しているので、押圧面3aと地面Sとの間の摩擦抵抗を増大させることが可能であり、アンカーボルト1の頭部の歪曲等をより確実に防止することが可能である。
本実施形態のアンカーボルト1の設置構造のメンテナンス方法では、地面の高さがアンカーボルト設置構造を施工した後に低くなって座金3の下面と地表面との間に隙間Pが生じた場合でも、座金3をナット4で再度締め付けることにより、座金3はモルタル層2との間でパッキン5を圧縮しながら下降することにより地表面に確実に密着することが可能である。これにより、ナット4をアンカーボルト1のおねじ部1aに締め付けることにより座金3が地面Sに密着して地面Sの地耐力を均等に受けることが可能である。その結果、座金3と地面Sとの摩擦抵抗が復元し、アンカーボルト1の頭部に作用する横荷重等に抵抗し、アンカーボルト1の頭部の歪曲等を防止することが可能である。しかも、パッキン5がモルタル層2の上面に接触することによってモルタル層2の上面をシールするので、アンカーボルト1とモルタル層2との境界部分に水が入るおそれがなく、アンカーボルト1の腐食による劣化を効果的に防止することができる。
(A)
上記実施形態では、本発明の接触部材の一例として、1枚の座金3を例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図6に示されるように第1座金8および第2座金9を上下に積層して設けてもよい。その場合も、上記実施形態と同様に、ナット4をアンカーボルト1のおねじ部1aに締め付けることにより、その締付力が上側の第2座金9を介して下側の第1座金8に伝達され、下側の第1座金8が地面Sに密着して地面Sの地耐力を均等に受けることが可能である。その結果、第1座金8と地面Sとの摩擦抵抗が増大し、アンカーボルト1の頭部に作用する横荷重等に抵抗し、アンカーボルト1の頭部の歪曲等を防止することが可能である。
上記実施形態では、地面Sに押圧される接触部材の一例として座金3を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ナット4をアンカーボルト1のおねじ部1aに締め付けることによって地面Sに押圧される部材であれば、本発明の接触部材として用いることが可能である。
アンカーボルト1の設置場所は、上記実施形態のように図5に示される小段Mなどの平坦面に垂直に設置することに本発明は限定されるものではなく、種々の場所にアンカーボルト1を設置しても本発明を適用することが可能である。例えば、アンカーボルト1を図7に示される法面(斜面)Nに対して、当該法面の法線方向に向けて設置してもよい。
上記の実施形態では、ワイヤWの端部を座金3の上面に設けられたワイヤ保持部6に固定している例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、座金3以外の部位、例えば、アンカーボルト1の頭部などに掛けて固定してもよい。そのような場合も、上記実施形態と同様に、地面が侵食等によって低くなっても、ナット4を締め付ければパッキン5を圧縮しながら座金3を押し下げて座金3を地面Sに確実に押圧することが可能である。その結果、座金3と地面Sとの間の摩擦抵抗の復元を図ることにより、アンカーボルト1の頭部の破損を防止することができる。しかも、パッキン5によってモルタル層2の上面がシールされるので、モルタル層2の内部への水の浸入を防いでアンカーボルト1の劣化を防止することができる。
上記のアンカーボルト1の設置構造の施工方法では、アンカーボルト1の埋込部1bがモルタル層2によって埋込穴Aの内面に固着された後に、パッキン5をアンカーボルト1の頭部に取り付けているが、本発明はこれに限定されるものではなく、アンカーボルト1を埋込穴Aに挿入する前に、あらかじめパッキン5をアンカーボルトの頭部に取り付けてもよい。
なお、上記の実施形態では、1つの埋込穴Aの内部に1本のアンカーボルト1が配設された例が示されているが、本発明はアンカーボルトの本数についてはとくに限定するものではなく、埋込穴Aの大きさなどの種々の条件によって適宜変更してもよい。
また、上記変形例(F)のように、複数本のアンカーボルトを用いる代わりに、複数本のPC鋼より線を用いてもよい。その場合、PC鋼より線の上端部は、くさびを用いて座金3に固定すればよい。くさびとしては、例えば、4分割されたテーパ付きの埋込クリップなどが用いられる。
1a おねじ部
1b 埋込部
2 モルタル層
3 座金(接触部材)
3a 押圧面
3b 貫通孔
4 ナット
5 パッキン(封止部材)
5b 外周接触面
5c 内周接触面
6 ワイヤ保持部
7 摩擦増大シート(介在部材)
8 第1座金
9 第2座金
S 地面
G 地盤
A 縦穴
B 雪崩防護柵
P 隙間
W ワイヤロープ
Claims (9)
- 少なくとも一部が地上に突出するおねじ部、および当該おねじ部の下側に配置され、地面から地中に延びる埋込穴に挿入される埋込部を有するアンカーボルトと、
前記埋込穴に充填され、前記埋込部を地中に固定して前記アンカーボルトが前記埋込穴から抜け出ることを防止する硬化剤層と、
前記地面を押圧する押圧面、および前記おねじ部が挿入可能な貫通孔を有し、当該貫通孔に前記おねじ部が挿入された状態で当該おねじ部に連結された接触部材と、
前記おねじ部に螺合して前記接触部材をその上面側から前記地面へ向けて締め付けるナットと、
前記前記埋込穴の内部に配置された伸縮可能な封止部材と、
を備え、
前記硬化剤層は、前記埋込穴の内部において、前記アンカーボルトの埋込部を前記埋込穴の内面に固着することができる高さであって、前記埋込穴の上部において前記地面との間で隙間を形成する高さまで充填され、
前記封止部材は、前記前記埋込穴の内部の前記隙間に配設され、前記硬化剤層と前記接触部材との間に挟持され、前記隙間を液密的に封止する、
ことを特徴とするアンカーボルト設置構造。 - 前記封止部材は、前記埋込穴の内周面に接触することが可能な形状を有する接触面を有する、
請求項1に記載のアンカーボルト設置構造。 - 前記封止部材は、前記硬化剤層と前記接触部材との間に挟持されることにより、当該埋込穴の径方向へ拡大して、前記埋込穴の内周面に接触するとともに、前記アンカーボルトの外周面に接触する
請求項1または2に記載のアンカーボルト設置構造。 - 前記接触部材は、座金であり、
前記座金は、ワイヤを保持するワイヤ保持部を有する、
請求項1から3のいずれかに記載のアンカーボルト設置構造。 - 前記接触部材は、柵の台座部であり、
前記柵は、斜面に設置されている、
請求項1から3のいずれかに記載のアンカーボルト設置構造。 - 前記封止部材は、その上端が前記アンカーボルトにおける前記おねじ部が形成された範囲内に位置するように配置されている、
請求項1から5のいずれかに記載のアンカーボルト設置構造。 - 前記押圧面と前記地面との間に介在して当該押圧面と当該地面との間の摩擦を増大する介在部材をさらに備えている、
請求項1から6のいずれかに記載のアンカーボルト設置構造。 - 請求項1に記載のアンカーボルト設置構造のメンテナンス方法であって、
上記のアンカーボルト設置構造を施工する施工工程と、
前記地面の高さが低くなったときに、その低下分に対応する分だけ前記ナットを締め付けて前記接触部材を前記地面に押圧するナット締付け工程と、
を含むことを特徴とするアンカーボルト設置構造のメンテナンス方法。 - 請求項1に記載のアンカーボルト設置構造の施工方法であって、
前記封止部材を前記アンカーボルトに嵌合させる嵌合工程と、
前記封止部材の外周部を前記埋込穴の内周面に当接させながら、前記アンカーボルトの埋込部を前記封止部材から垂下させた状態で前記埋込穴の所定位置に挿入させる挿入工程と、
前記埋込穴に前記硬化剤を充填する充填工程と、
前記アンカーボルトの埋込部を前記硬化剤が固化することによって形成される前記硬化剤層を介して前記埋込穴の内周面に固定する固化工程と
を含むことを特徴とするアンカーボルト設置構造の施工方法。
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