JP5480022B2 - アンカー飛出し防止器具及びこれを用いた飛出し防止方法 - Google Patents

アンカー飛出し防止器具及びこれを用いた飛出し防止方法 Download PDF

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Description

本発明は、グラウンドアンカーのアンカーテンドンの破断によるアンカーテンドン及びアンカーヘッドの飛出しを防止するためのアンカー飛出し防止器具及び飛出し防止方法に関する。
グラウンドアンカーは、地滑り(地崩れ)防止等による法面の保護のために広く使用されており、1930年代にヨーロッパにおいて使用され始めてから、わが国では1950年代から導入され、特に高度経済成長期の道路や鉄道の建設による山の斜面の切り崩しに伴って多く使用されるようになった。
グラウンドアンカーは主に、安定地盤に設けられているアンカー体、アンカーテンドン及びアンカーヘッド等から構成されるものであり、アンカーテンドンを地山に穿たれたアンカー孔に挿入し、安定地盤において挿入側端部をセメントミルクによって定着させアンカー体とし、アンカーテンドンの地上側端部は地上側に引張った状態でアンカーヘッドにより固定される。これによりアンカーテンドンには大きな緊張力がかかることとなり、アンカーヘッドと受圧板とを結合させて、アンカーテンドンの緊張力を受圧板に伝達することにより法面の安定化を行っている。アンカーテンドンは、例えばPC鋼より線、PC鋼より線束、PC鋼棒、複合材料(例えば、FRP材、カーボン繊維等の非金属材)等で構成される。
しかし、数十年間の使用において、アンカーテンドンは、雨水や地下水による腐食や地中の変動によって緩んだり破断することがある。破断した場合には、アンカーテンドンは緊張した状態でアンカー孔に挿入されているため、アンカーテンドンがアンカーヘッドと共に受圧板から飛出すことがある。特に、アンカーテンドンの破断は、雨水が染み込みやすい受圧板と法面の境目において起こりやすい。アンカーテンドン及びアンカーヘッド(以下、これらをまとめて単に「アンカー」とも称する)が法面の下方に落下することは、法面の下方領域には道路や民家が存在することもあり、回避されなければならない。
例えば、特許文献1では、PC鋼棒の固定端側及び緊張端側において、アンカー部材の外周部に径方向外側に突出した帯状凸部を設け、緊張端側にはアンカー部材に固定したアンカーボルトによりPC鋼棒端面に対向して飛出防止板を固定し、固定端側にはアンカー部材の固定端側に当接する固定ナットと共に、PC鋼棒に螺合し且つアンカー部材の緊張端側に当接する飛出防止ナットを備えるという構成により、PC鋼棒の破断時の飛出しを防止している。
特開2007−314970号公報
しかしながら、上記特許文献1の飛出し防止構造は、上記の状態のPC鋼棒をコンクリート躯体内に埋設し、緊張力を与え、固定するものであり、アンカーの設置時点で飛出し防止構造を定着させるものであるから、耐用年数を迎えた既設のグラウンドアンカーについて事後的に、アンカーの飛出し防止を図るための構造は有していない。更に、現在まで既設のグラウンドアンカーのアンカーの飛出し防止対策は特になされていない。従って、耐用年数を迎えた数多くのグラウンドアンカーのアンカー飛出しを防止するために、短期間で行うことができる簡易且つ安価な防止対策が必要とされていた。
本発明の目的は、既設のグラウンドアンカーについて、アンカーテンドンやアンカー体の劣化によるアンカーの飛出しを防ぐための簡易且つ安価なアンカー飛出し防止器具及び飛出し防止方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に係るアンカー飛出し防止器具は、
法面上に設置された受圧板を引張り力で法面に押圧するアンカーテンドンと、前記アンカーテンドンの引張り力を保持するアンカー体と、前記アンカーテンドンの上端を前記受圧板に取り付けるアンカーヘッドとを有するグラウンドアンカーの前記アンカーテンドン及びアンカーヘッドの飛出しを防止するアンカー飛出し防止器具において、前記アンカーヘッドの上部の所定範囲を被覆可能なカバー部材と、一端が前記カバー部材に固定され、他端が前記受圧板に固定された、前記アンカーテンドン及びアンカーヘッドの飛出し時に前記カバー部材に付加される力に対する反力を確保可能な強度を有する張架体と、を設けたことを特徴とする。
この構成によれば、アンカーテンドンやアンカー体が腐食等で緩んだり破断して、アンカー体による保持状態が崩壊することによって受圧板からアンカーが飛び出しそうになったとしても、張架体によって固定されたカバー部材によってアンカーが受け止められ、飛出しを防止することができる。このため、アンカーが民家や道路に落下することを回避することができる。また、本発明に係るアンカー飛出し防止器具の設置作業は、カバー部材の被覆と、張架体の受圧板への固定という工程のみであるので容易に行うことができる。更に、少ない部材で設置することができることにより費用を抑えられるので、老朽化して飛び出し対策が必要とされている数多くのグラウンドアンカーに短期間で設置することが可能である。
請求項2に係るアンカー飛出し防止器具は、請求項1に係るアンカー飛出し防止器具において、前記アンカーヘッドには、該アンカーヘッドを覆うヘッドキャップが設けられ、前記カバー部材は前記ヘッドキャップの表面を被覆するキャップカバーとして構成されたことを特徴とする。この様に、ヘッドキャップが設けられたグラウンドアンカーであっても、その表面を覆うことで、アンカーテンドン及びアンカーヘッドの飛出しを確実に防止することができる。
請求項3に係るアンカー飛出し防止器具は、請求項1又は2に記載のアンカー飛出し防止器具において、前記張架体の受圧板への固定は、前記張架体の他端に係止部を設け、該係止部を前記受圧板に係止することにより行われることを特徴とする。
この構成によれば、本発明のアンカー飛出し防止器具の受圧板への固定作業を、係止部の係止のみで行うことができるので、他の部材や材料を必要とせず、簡易な方法で設置することができる。
請求項4に係るアンカー飛出し防止器具は、請求項3に記載のアンカー飛出し防止器具において、前記係止部は、受圧板の底部の縁部に係止される爪部を有することを特徴とする。
この構成によれば、ハンマー等で係止部の爪部を法面と受圧板の間に挿入するという簡易な作業でアンカー飛出し防止器具を設置することができるので、作業の短時間化が図られる。
請求項5に係るアンカー飛出し防止器具は、請求項1〜4の何れか1項に記載のアンカー飛出し防止器具において、前記張架体が、細長状鉄板であることを特徴とする。
この様に、張架体として細長状鉄板を用いることで、アンカーが飛出したときの力で張架体が切断する可能性を抑えられることにより、より長い期間にわたり飛出し防止機能を維持することが可能となる。
請求項6に係るアンカー飛出し防止器具は、請求項1〜4の何れか1項に記載のアンカー飛出し防止器具において、前記張架体が、ワイヤーであることを特徴とする。この様に、張架体にワイヤーを用いることで、設置現場において受圧板の大きさに合わせてワイヤーを切断し取り付けを行うことが可能となる。
請求項7に係るアンカー飛出し防止器具は、請求項1〜6の何れか1項に記載のアンカー飛出し防止器具において、前記張架体には前記張架体へ引張り方向への力を吸収する緩衝手段が設けられたことを特徴とする。
張架体は緊張した状態でカバー部材と受圧板とを連結しているため、アンカーが飛び出した時の衝撃力でカバー部材や張架体が破損する恐れがあるが、この構成によれば、その衝撃力を緩衝手段の作用によって時間的に分散させることができ、衝撃力を大幅に低減させることができる。従って、より大きな衝撃力が加わるような大トン数のアンカーの飛出しに対応することが可能となる。
請求項8に係るアンカー飛出し防止器具は、請求項7に記載のアンカー飛出し防止器具において、前記緩衝手段は、スパイラルブレーキであることを特徴とする。
この構成のように、緩衝手段としてスパイラルブレーキを使用することにより、カバー部材に負荷される衝撃力に対する抵抗力を、衝撃力が負荷された時点から飛び出したアンカーが停止する時点までほぼ一定にすることができる。すなわち、飛出しの衝撃力を緩衝させる作用が一定に保たれない場合には、アンカーの飛出しを停止させる過程において、カバー部材や張架体に負荷される衝撃力が増大したり減少したりして変動が生じることにより、カバー部材や張架体の破損が起こり得るが、これを防止することができる。
請求項9に係るアンカー飛出し防止方法は、法面上に設置された受圧板を引張り力で法面に押圧するアンカーテンドンと、前記アンカーテンドンの引張り力を保持するアンカー体と、前記アンカーテンドンの上端を前記受圧板に取り付けるアンカーヘッドとを有するグラウンドアンカーの前記アンカーテンドン及びアンカーヘッドの飛出しを防止するアンカー飛出し防止方法において、前記アンカーヘッドの上部の所定範囲をカバー部材で被覆する工程と、前記アンカーテンドン及びアンカーヘッドの飛出し時に前記カバー部材に付加される力に対する反力を確保可能な強度を有する張架体の一端を前記カバー部材に固定し、他端を前記受圧板に固定する工程と、を含むことを特徴とする。
この様に、アンカー飛出し防止方法は、カバー部材を被覆し、張架体を受圧板へ固定するという少ない工程で行うことができ、大がかりな機具あるいは方法を必要しないので、容易に行うことができる。従って、数多くの既設のグラウンドアンカーに短期間で設置することができ、アンカーの飛出しによる事故を未然に防ぐことが可能となる。
以上説明したように、本発明に係るアンカー飛出し防止器具及び飛出し防止方法によれば、アンカーテンドンの破断によりアンカーが飛び出して落下することを防止することができる。また、アンカー飛出し防止器具の設置は、少ない部材で簡易且つ安価に行うことができるため、数多くの既設のグラウンドアンカーに短期間で設置することができる。
本発明の第一の実施の形態を示す平面図である。 図1のA−A´断面図である。 本発明の第二の実施の形態を示す平面図である。 図3のB−B´断面図である。 本発明の第三の実施の形態を示す斜視図である。 法面に設置された複数の受圧板に本発明のアンカー飛出し防止器具が取り付けられた状態を示す説明図である。 本発明の第四の実施の形態を示す平面図である。 第四の実施形態を示す斜視図である。 図7のC−C´断面図である。 図9のスパイラルブレーキの周辺を示す詳細断面図である。 スパイラルブレーキを上部から見た説明図である。 アンカーヘッドを捕捉した状態を示す説明図である。 スパイラルブレーキを用いた飛出し防止器具を菱型の受圧板に設置した示す斜視図である。
以下、図面を参照しながら、本発明のアンカー飛出し防止器具の実施の形態について、詳細に説明する。
図1は、本発明の第一の実施の形態を示す平面図であり、図2は、図1のA−A´断面図である。
本発明のアンカー飛出し防止器具を適用する例として、十字型の受圧板102を用いたグラウンドアンカーを示している。図示のように、グラウンドアンカーは、法面100上に設置された受圧板102を引張り力で法面100に押圧するアンカーテンドン104と、アンカーテンドン104の引張り力を保持するアンカー体106と、アンカーテンドン104の上端を受圧板102に取り付けるアンカーヘッド108とから構成される。
受圧板102は、十字型の受圧板であり、通常は法面100に上下方向及び左右方向に複数並べられて設置される(図6参照乞)。複数のPC鋼線104aから構成されるアンカーテンドン104は、アンカー孔に挿入され、挿入側先端部ではアンカー体106によって固定され、地上側先端部ではアンカーヘッド108によって固定されている。アンカー体106は、PC鋼線104aの挿入側先端部をセメントミルク106aの注入により固定することによって造成される。
上側の定着具108aと下側の支圧板108bから構成されるアンカーヘッド108は、アンカー体106において挿入側先端部が固定されたPC鋼線104aを地上側へ引張り、緊張力を保った状態で固定する金属製部材である。定着具108aにはPC鋼線104aを挿通するための挿通孔(図示していない)が設けられており、くさび方式やナット方式でPC鋼線104aが固定されている。ヘッドキャップ110は、雨水等に対する保護のため、アンカーヘッド108及びPC鋼線104aを覆うために備えられる部材である。
そして、本実施の形態に係るアンカー飛出し防止器具10は、ヘッドキャップ110を覆うカバー部材12と、このカバー部材12を受圧板102側へ押圧するための張架体としての細長状鉄板14と、細長状鉄板14を緊張させ保持するための係止部としての反力治具16から構成される。
カバー部材12は鋼製あるいは樹脂製であり、形状は帽子状の剛的なもの、あるいは鋼線で構成される編物状の柔的なものいずれでもよい。カバー部材12の大きさは、ヘッドキャップ110全体を覆うことができるようにヘッドキャップ110より若干大きめに成形する。
細長状鉄板14は、カバー部材12の下部から180°対向する方向に2本延在しており、その先端は、受圧板102の内側隅部を越える位置まで伸長している。細長状鉄板14は、幅は5〜10cm、厚さは3〜5mm、長さはカバー部材12の下部から受圧板102の内側隅部の長さに合わせて設定されており、この細長状鉄板14の先端で反力治具16と結合されている。
反力治具16はL字型で、本体部16a及び爪部16bからなり、爪部16bの先端は、先端に向かって徐々に薄くなるように構成されている。本体部16aの長さは、受圧板102の厚さより若干長めに設定され、この反力治具本体部16aの上端を細長状鉄板14に設けられた連結孔に挿通し、先端をナット18で締結固定して設置されている。爪部16bの長さは、受圧板102から反力を受けることができ且つ法面100と受圧板102との間に差し込むことができる長さに設定される。
反力治具16の定着は、大がかりな機具あるいは方法を必要とせず、ハンマー等で爪部16bを受圧板102と法面100の間に押し込むことにより容易に行うことができる。反力治具16を完全に定着させるために、爪部16bには、抜ける方向に抵抗の大きくなる逆ストッパー16cが設けられている。
図3は本発明の第二の実施の形態を示す平面図であり、図4は図3のB−B´断面図である。
本実施の形態は、張架体としてワイヤー34を用いた例を示す。
ヘッドキャップ110を覆うカバー部材30は、鋼製あるいは樹脂製であり、帽子状の剛的なもの、あるいは鋼線で構成される編物状の柔的なものいずれでもよい。カバー部材30の側面には90°間隔でフック部30aが設けられており、このフック部30aの連結用穴にワイヤー34を挿通し、図示のように締結部材36で結合することによりカバー部材30とワイヤー34とを連結する。ワイヤー34は緩めずに連結されていることが好ましい。
カバー部材30と係止部である反力治具38とを連結するワイヤー34は、90°間隔で4本設けられており、ワイヤー34のカバー部材30側はカバー部材30の側面に設けられたフック部30aに結合し、反力治具38側は受圧板102の4つの内側隅部に架け渡され、反力治具38と結合している。ワイヤー34の太さは直径8〜14mmであり、長さは、反力治具36とカバー部材30を連結して、カバー部材30を受圧板102側に押圧できるように、緊張を保持することができる長さに設定されている。なお、本実施の形態では、ワイヤーの本数は4本であるが、180°対向する方向に2本としてもよい。
受圧板102に定着させる反力治具38は、本体部38aと爪部38bのL字型板状の形状をしており、爪部38bは受圧板102と法面100の間に差し込まれている。本体部38aの長さは、受圧板102の厚さよりも短く、本体部38aの上部にはワイヤー34と連結するための連結用穴が設けられている。反力治具38を完全に定着させるために、爪部38bには、抜ける方向に抵抗の大きくなる逆ストッパー38cが設けられている。
また、ワイヤー34には緩衝手段としてのブレーキリング40が取り付けられ、ブレーキリング40を構成する鋼管の輪の中にワイヤー34が挿通されている。アンカーヘッド108の飛出しによりワイヤー34に負荷がかかった場合には、ブレーキリング40が縮径し、エネルギーを吸収するように作用する。この作用により、アンカーヘッド108の飛出しにより突発的にワイヤー34に負荷がかかったとしても、その衝撃力を時間的に分散させることができるので、ワイヤー34やカバー部材30が破損することを防止することができる。
図5は、本発明の第三の実施の形態を示す斜視図である。
本実施例では、カバー部材としてネット状のカバー部材50を用いた例を示す。このカバー部材50の形状はドーム状であり、略円形のベース部材50aに鋼線が網状に形成されている。ベース部材50aにはワイヤー52が結合部材54を介して90°間隔で設けられている。図示していないが、4本のワイヤー52の他端側は受圧板の内側隅部に架け渡され、反力治具と連結されている。
このようにカバー部材をネット状としてある程度の柔軟性をもたせることにより、様々な形のキャップカバーにアンカーヘッド飛出し防止器具を設置することができる。また、本カバー部材50は軽量であるため、設置作業が容易となる。
図7〜11は第四の実施の形態を示しており、図7は平面図、図8は斜視図、図9は図7のC−C´断面図、図10は図9のスパイラルブレーキ周辺の詳細断面図、図11はスパイラルブレーキの説明図をそれぞれ示している。
本実施の形態では、カバー部材60が底部解放の箱状部材であり、このカバー部材60はヘッドキャップ110(図9参照)を覆うように設置されている。このカバー部材60を、受圧板102に押圧力をもって取り付けるための構成である張架体の設置は、まず、カバー部材60の4つの側面60aの上部中央にそれぞれ4つの底部解放の箱体62を取り付ける。この取付は、図8に示したようにボルト63により強固に固定することで行われている。
図9及び図10に示すように、箱体62内には、緩衝手段としてのスパイラルブレーキ64が設置されており、スパイラルブレーキ64の下端64bは、直方体状に形成された連結金具67の上部に貫通して締結部材65等によって固定されている。連結金具67の下部にはリング状部材69が取り付けられており、リング状部材69には張架体としてのワイヤー68の一端が固定されている。ワイヤー68の他端は、係止治具72の上端に締結部材74によって強固に連結されている。係止治具72は、受圧板102の側面形状に習うように屈曲されており、下端部は受圧板102の底面に沿うようにほぼ直角に屈曲している。この屈曲下部72aが法面100と受圧板102の底面との間に差し込まれて係止治具72の係止が行われている。
スパイラルブレーキ64は、図11に示すように、直径5〜10mmの太さの鋼線が螺旋状に巻かれており、所定の回数巻かれた上部からその端部64bを、螺旋部64aの内部を通して下方に引き出している。端部64bが矢印200の方向に強い力で引張られた場合、螺旋部64aは上部側からほどかれ端部64bは下方に引き出されていく。これにより、緩衝作用を発揮し、アンカーの飛出し力によるカバー部材60の押上げ力を吸収し、的確に飛出しを受け止めることができる。
また、このスパイラルブレーキ64によれば、カバー部材60に負荷される衝撃力に対する抵抗力を、衝撃力が負荷し始めた時点から飛び出したアンカーが停止する時点までほぼ一定にすることができる。すなわち、飛出しの衝撃力を緩衝させる作用が一定に保たれない場合には、アンカーの飛出しを停止させる過程において、カバー部材60やワイヤー68等に負荷される衝撃力が増大したり減少したり変動が生じることにより、カバー部材60やワイヤー68等の破損が起こりうるが、スパイラルブレーキ64を使用することでこれを確実に防止することができる。なお、スパイラルブレーキ64の鋼線の太さや旋回数は、本飛び出し防止器具を設置するグラウンドアンカーの設置強度に応じて適宜変更することができる。
スパイラルブレーキ64の箱体62内への設置は、図10に示すように螺旋部64aの下部を支えるように箱体62の底部に設置されたスパイラルブレーキ取付部材66に納められている。そして、スパイラルブレーキ取付部材66の開口66aから端部64bが引き出されている。
次に、上記カバー部材60、箱体62、スパイラルブレーキ64、ワイヤー68及び係止治具72から構成された飛出し防止器具の取り付け作業について説明する。まず、図8に示したように、係止治具72を受圧板102の内側隅部に係止する。予め作製した、カバー部材60、箱体62、スパイラルブレーキ64及びワイヤー68の一体物を、所定の位置に載置してワイヤー68を係止治具72の上端と固定する。このように、極めて簡単な作業により本飛び出し防止器具を設置することができる。
図12は、第四の実施の形態の飛出し防止器具によりアンカーの飛出しを捕捉した状態を示す説明図である。図示のように、アンカーテンドン104が破断してアンカーヘッド108及びアンカーテンドン104が飛び出すと、その飛出し力により、スパイラルブレーキ64の端部64bが引き出されて緩衝機能を発揮し、アンカーの飛出し力を吸収する。飛出し力を全て吸収した段階でアンカーヘッド108の飛出しが停止する。
本図では、スパイラルブレーキ64をカバー部材60の4つの側面60aにそれぞれ1個ずつ設けた例を示したが、アンカーの設置状況に応じて種々変更することができる。例えば、アンカーテンドンが短く設定されているグラウンドアンカーの場合には、アンカーテンドン及びアンカーヘッドの飛出し力は小さいと予測されるので、スパイラルブレーキ64は対面に2個設けるという構成としてもよい。また、スパイラルブレーキ64上述した例より増やして設置することも可能である。
上記ではスパイラルブレーキ64は係止治具72に連結する構成を示したが、本飛び出し防止器具は、図13に示すように、係止治具72を係止する箇所がない菱型の受圧板102−1に設置することもできる。図13に示す例では、上述の係止治具72及びワイヤー68の代わりにアンカーボルト76を受圧板102−1の図示しない挿通孔に挿通固定される。アンカーボルト76の強度は、予測されるアンカーの飛出し力に合わせて適宜変更することができる。アンカーボルト76の上部は上述の例と同様に連結金具67を介してスパイラルブレーキ64の下端と連結されている。このような設置例は、菱型の受圧板102−1だけでなく、現場打ちや吹付連続法枠にも有効である。
なお、本発明は上記各実施の形態の構成に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。上記取り付け対象としての受圧板は、十字型のものを主に示したが、これに限られず、菱型や四角の受圧板、現場打ちや吹付連続法枠及びアンカーヘッドの反力体としての構造体に対しても適用可能である。また、上記張架体は、細長状鉄板及びワイヤーを例としたが、これに限られず鎖等の十分な引張り強度を得ることのできる種々の部材で連結してもよい。
更に、本発明のアンカー飛出し防止器具の設置対象は、既設のグラウンドアンカーとしたが、アンカーの飛出しによる事故をより未然に防ぐため、新規に施工するグラウンドアンカーに対して取り付けてもよい。その際には、反力治具を定着させるための専用の穴等を事前に受圧板に設けることによって、より強力且つ簡易にアンカー飛出し防止器具を取り付けることができる。
10 アンカー飛出し防止器具
12 カバー部材
14 細長状鉄板
16 反力治具
18 ナット
30 カバー部材
34 ワイヤー
36 締結部材
38 反力治具
40 ブレーキリング
50 カバー部材
52 ワイヤー
54 結合部材
60 カバー部材
62 箱体
64 スパイラルブレーキ
66 スパイラルブレーキ取付部材
68 ワイヤー
72 係止治具
100 法面
102 受圧板
104 アンカーテンドン
106 アンカー体
108 アンカーヘッド
110 ヘッドキャップ

Claims (9)

  1. 法面上に設置された受圧板を引張り力で法面に押圧するアンカーテンドンと、前記アンカーテンドンの引張り力を保持するアンカー体と、前記アンカーテンドンの上端を前記受圧板に取り付けるアンカーヘッドとを有するグラウンドアンカーの前記アンカーテンドン及びアンカーヘッドの飛出しを防止するアンカー飛出し防止器具において、
    前記アンカーヘッドの上部の所定範囲を被覆可能なカバー部材と、
    一端が前記カバー部材に固定され、他端が前記受圧板に固定された、前記アンカーテンドン及びアンカーヘッドの飛出し時に前記カバー部材に付加される力に対する反力を確保可能な強度を有する張架体と、
    を設けたことを特徴とするアンカー飛出し防止器具。
  2. 前記アンカーヘッドには、該アンカーヘッドを覆うヘッドキャップが設けられ、前記カバー部材は前記ヘッドキャップの表面を被覆するキャップカバーとして構成されたことを特徴とする請求項1に記載のアンカー飛出し防止器具。
  3. 前記張架体の受圧板への固定は、前記張架体の他端に係止部を設け、該係止部を前記受圧板に係止することにより行われることを特徴とする請求項1又は2に記載のアンカー飛出し防止器具。
  4. 前記係止部は、受圧板の底部の縁部に係止される爪部を有することを特徴とする請求項3に記載のアンカー飛出し防止器具。
  5. 前記張架体が、細長状鉄板であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のアンカー飛出し防止器具。
  6. 前記張架体が、ワイヤーであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のアンカー飛出し防止器具。
  7. 前記張架体には前記張架体へ引張り方向への力を吸収する緩衝手段が設けられたことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のアンカー飛出し防止器具。
  8. 前記緩衝手段は、スパイラルブレーキであることを特徴とする請求項7に記載のアンカー飛出し防止器具。
  9. 法面上に設置された受圧板を引張り力で法面に押圧するアンカーテンドンと、前記アンカーテンドンの引張り力を保持するアンカー体と、前記アンカーテンドンの上端を前記受圧板に取り付けるアンカーヘッドとを有するグラウンドアンカーの前記アンカーテンドン及びアンカーヘッドの飛出しを防止するアンカー飛出し防止方法において、
    前記アンカーヘッドの上部の所定範囲をカバー部材で被覆する工程と、
    前記アンカーテンドン及びアンカーヘッドの飛出し時に前記カバー部材に付加される力に対する反力を確保可能な強度を有する張架体の一端を前記カバー部材に固定し、他端を前記受圧板に固定する工程と、
    を含むことを特徴とするアンカー飛出し防止方法。
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