このように、例えば「さんしん」と入力したい場合、
1.「さ」をタッチして離す
2.「わ」をタッチした後、上方向にスライド
3.「さ」をタッチした後、左方向にスライド
4.「わ」をタッチした後、上方向にスライド
のように入力することとなる。
しかし、このような文字入力システムでは、フリック入力キーとして、各基準キーからどちらの方向にどの文字が表示されるのか、覚える必要がある。そのため、直感的に「ん」や「し」など基準キー以外の文字が入力できない。つまり、フリック入力は、QWERTY配列のキーボードのように覚えるまで時間がかかる。
アルファベット入力の時も同様の文字入力システムができるが、こちらは基準キーが何か、フリック入力キーとしてどのような文字のものが表示されるのかの把握がさらに困難となり、入力がより困難である。
さらに、表示エリアの問題もあり、例えば、図1(a)に示すように、「さ」行の入力の場合は、フリック入力キーとして「さ」の右側に「せ」を表示するスペースが必要であり、「さ」を5行目にはもっていけないなど、ボタン配置に制限があり、ボタン配置に注意を払わなくてはいけないという問題がある。
また例えば特許文献1のように、タッチ後の移動距離によって出力する情報を変更すると、どのくらい移動すれば出力する情報が変更されるのか、把握しにくいという問題がある。
そこで本発明は、基準文字からどの文字にどのような操作で変換されるのか容易に把握でき、入力方法の習得が容易であり、ボタン配置の制限が少ない文字入力システム等を提供することを目的とする。
(1)上述した目的を達成するために、本発明に係る文字入力システムは、異なる基準文字を表示した複数のキーを表示し、当該複数のキーのうち接触が検出された1の基準文字を表示したキーを基点とした接触位置の変位に基づいて入力文字を変化させていき、非接触となった時点の文字を入力文字とする文字入力システムであって、前記接触位置の変位として、前記基点の位置からの連続的な接触位置の移動方向の変化に基づいて入力文字を順に変化させていく構成であり、前記入力文字の変化は、前記1の基準文字を開始文字とした予め定めた順の文字に変化させる構成としている。
このようにすれば、接触が検出された1の基準文字を表示したキーを基点とした基点の位置からの連続的な接触位置の移動方向の変化に基づいて入力文字が変化していく。そして、この入力文字の変化は、基準文字を開始文字とした予め定めた順でなされる。
したがって、移動方向の変化に基づいて入力文字が順に変化していくので、基準文字を開始文字とした予め定めた順さえ覚えておけば入力ができることとなる。したがって、基準文字からどの文字にどのような操作で変換されるのか容易に把握でき、入力方法の習得が容易である。また、移動方向の変化に基づいて入力文字が順に変化していくので、固定された位置にフリック入力キーを表示する必要のあるフリック入力に比べ、ボタン配置の制限が少ない文字入力システムを提供することができる。
例えば、初期状態(最初に接触が検出された状態)で基準文字を表示していた位置のキーを基準文字キーとすると、複数の基準文字キー(例:「あ」「か」「さ」・・・)を表示し、当該複数の基準文字キーのうち接触が検出された1の基準文字キー(例:「あ」)を基点とした接触位置の変位に基づいて入力文字を変化させていき、非接触となった時点の文字を入力文字とする文字入力システムであって、前記接触位置の変位として、前記基点の位置からの連続的な接触位置の移動方向の変化に基づいて入力文字を順に変化させていく構成であり、前記入力文字の変化は、前記基準文字を開始文字とした予め定めた順の文字に変化させる構成とするとよい。
このようにすれば、接触が検出された1の基準文字キーを基点とした基点の位置からの連続的な接触位置の移動方向の変化に基づいて入力文字が変化していく。そして、この入力文字の変化は、基準文字を開始文字とした予め定めた順でなされる。
(2)前記接触位置の変位は、円弧を描くような変位であり、円弧のどの位置まで移動したかに基づいて入力文字を順に変化させていく構成とするとよい。
このようにすれば、円弧を描くように接触位置を変位させることで入力文字が順に変化することになる。円弧の描くように接触位置を変位させるといった単純な操作で入力文字が順に変化することになるので、容易に入力方法を習得できる。
(3)前記接触位置の移動方向の変化に基づいて入力文字を変化させる際の移動方向の変化のパターンは特定の1つのパターンであり、当該パターンの発生回数と前記入力文字の変化の回数が一致する構成とするとよい。
このようにすれば、どのような移動方向の変化をさせれば文字が次の順の文字に変化するのかがわかりやすく、その一つの移動方向の変化のパターンだけ覚えればよいので、入力方法の習得が極めて容易になる。また、現在どの文字まで変化したかを容易に把握することができ入力も容易となる。
例えば、(2)の円弧を描くような変位であれば、例えばその円弧のうちもっとも上端に位置した箇所(例えば上端部での変曲点が現れた場合)という特定の1つのパターンで入力文字の変化が現れることとすれば、円弧を描かれた際にその円弧の上端が現れる回数が、入力文字の変化の回数に一致することとなる。そのためユーザは何回円の上部まで描いたかで、入力文字が何回変化したかを容易に把握できる。さらに入力文字の変化は予めさだめられた順でなされるので、現在どの文字が入力文字となっているか容易に把握できる。このように入力方法の習得が極めて容易となるとともに、現在どの文字まで変化したか、現在の入力文字がどの文字になっているかを容易に把握することができるので、入力も容易となる。
(4)前記異なる基準文字として、入力対象の言語を書くのに用いるユーザが想起可能な一定の順に並べられた異なる文字の総体から選ばれた複数の文字を備え、前記予め定めた順の文字は、前記基準文字として選ばれた複数の文字を前記一定の順に並べた際に、もっとも近い文字間に存在する文字の順であり、前記一定の順で次の基準文字の前の文字まで変化した場合、その次の変化する文字は次の基準文字ではなく当該基準文字へ戻る構成とするとよい。
このようにすれば、表示される複数のキーには、それぞれ、入力対象の言語を書くのに用いるユーザが想起可能な一定の順に並べられた異なる文字の総体から選ばれた文字が基準文字として表示される。そして、その基準文字を開始文字として、予め定めた順の文字として、基準文字として選ばれた複数の文字を前記一定の順に並べた際に、もっとも近い文字間に存在する文字の順であり、前記一定の順で次の基準文字の前の文字まで変化した場合、その次の変化する文字は次の基準文字ではなく当該基準文字へ戻る。例えば、入力対象の言語が日本語のひらがなである場合、ユーザが想起可能な一定の順として50音順とするとよい。この場合、予め定めた順の文字として、基準文字として選ばれた複数の文字(例えば50音の「あ段」の文字である「あ」「か」「さ」「た」・・・)を50音順に並べた際に、もっとも近い文字間(例えば「あ」と「か」の間)に存在する文字(「い」「う」「え」「お」)の順であり、50音順で次の基準文字(例えば「あ」が基準文字であれば次の基準文字は「か」)の前の文字(「あ」が基準文字であれば「お」)まで変化した場合、その次の変化する文字は次の基準文字(「か」)ではなく当該基準文字(「あ」)へ戻る。このようにすれば、ユーザは、入力対象の言語を書くのに用いるユーザが想起可能な一定の順に並べられた文字の総体から選ばれた基準文字と次の基準文字との間の文字を想起しながら、文字を変化させていくことが容易にできる。変化の範囲は、その基準文字から次の基準文字の前の文字までであり、次の基準文字の前の文字まで変化した文字からさらに次に変化する文字は次の基準文字ではなく基準文字となり、変化の範囲が容易に特定でき、入力方法の習得も容易となる。
例えば、前記基準文字は、50音またはアルファベットのいずれかの文字であり、前記予め定めた順の文字は、前記基準文字として選ばれた複数の文字を50音順またはアルファベット順に並べた際に、もっとも近い基準文字間の文字の順であり、前記50音の順または前記アルファベットの順で次の基準文字の前まで変化した場合、その次の変化する文字は次の基準文字ではなく当該基準文字へ戻る構成とするとよい。
例えば(11)に示すように、前記複数の基準文字キーとして、50音の「あ段」の各子音に対応する文字の基準文字キーを備え、予め定めた順の文字に変化させていく構成として、前記1の基準文字キーとして接触が検出された文字の属する「い段」「う段」「え段」「お段」の順に変化させていく構成とする場合には、例えば、前記基準文字として選ばれた複数の文字として、「あ」「か」「さ」「た」「な」「は」「ま」「や」「ら」「わ」の文字を備え、前記予め定めた順の文字は、前記基準文字として選ばれた複数の文字を50音順に並べた際にもっとも近い基準文字間の文字、すなわち、例えば「あ」と「さ」ではなく、「あ」と「か」の間の文字である「い」「う」「え」「お」の順であり、前記50音の順で次の基準文字の前の「お」まで変化した場合、その次の変化する文字は次の基準文字である「か」ではなく当該基準文字である「あ」へ戻る構成とするとよい。そしてさらに変化させる場合は、また「い」「う」「え」「お」「あ」・・・の順に変化させるとよい。アルファベット順の場合も同様である。このような構成とすることで、50音またはアルファベットの順に変化していくため、入力方法の習得が容易である。また、次にどの文字に変化するのか容易に把握することができ入力間違いを減らすことができる。さらに、サイクリックに入力文字が変化するので、例えば、文字を多く変化させてしまったことに気づいた場合でも、接触状態のまま、また基準文字まで戻して、所望の入力文字に変化させることもできる。
(5)前記入力文字を変化させる移動方向の変化の方向と逆向きの移動方向の変化があった場合には、前記入力文字を変化させる前記予め定めた順とは逆順に入力文字を変化させる構成とするとよい。
このようにすれば、例えば、入力文字を変化させる移動方向の変化を余分に行ってしまい入力文字を順方向に変化させすぎてしまった場合、入力文字を変化させる移動方向の変化の方向と逆向きの移動方向の変化をさせることで、逆方向に1つ順を戻して所望の文字を入力させることができる。
また、(3)に示した構成のようにサイクリックに変化させる場合、逆向きの移動方向の変化を検出した場合に、基準文字から逆方向に入力文字を変化させるとよい。前述の例であれば、基準文字が「あ」の場合、逆向きの移動方向の変化を1回検出した場合「お」に変化させる構成とするとよい。例えば、このようにすれば、移動方向の変化の回数を約半分として、その間のすべての文字が入力できることとなる。
(6)前記接触位置の移動方向として、現在の移動方向が、上、下、右、左の4方向のいずれに属するかを判定し、前記移動方向の変化に基づいて入力文字を変化させる構成として、前記4方向のうち予め定められた2つの方向間の変化があった場合に入力文字を変化させる構成とするとよい。
このようにすれば、移動方向として明確でわかりやすい4方向のうちの予め定められた2つの方向間の変化があった場合に入力文字が変化するため、この2つの方向を覚えておくだけで入力文字を変化させることができる。例えば、2つの方向として、上から右への変化があった場合に入力文字を変化させる構成とすれば、上から右という動きで入力文字が変化すると覚えるだけで、文字入力を行うことができる。入力方法の習得が極めて容易である。
(7)前記予め定められた2つの方向間の変化は、上下いずれかから左右いずれか、または、左右いずれかから上下いずれかの、どちらか一方とした構成とするとよい。例えば、上から左、上から右、下から左、下から右、左から上、左から下、右から上、右から下のいずれかを用いるとよい。このようにすれば、例えば、右から左、左から右、上から下、下から上といった急激な変化、あるいは、厳密性が要求される変化(右や左と判定されないようにしつつ、上、下とすることは困難であるため)をさせるといった困難な操作となることなく、自然な動きで、容易に入力文字を変化させることができる。
例えば、前記予め定められた2つの方向間の変化を、上から右への変化の1箇所とした場合、時計回りに円を描くように移動させることで自然に上から右への変化が現れ、1回転で1つ文字を変化させることができる。
(8)前記2つの方向間の変化(例:↑→)の後、当該2つの方向をそれぞれ逆転した2つの方向間(例:↓←)の移動が検出された後さらに前記2つの方向間(例:↑→)の変化が検出された場合に次の順の文字に変化させる一方、前記2つの方向間の変化の後(例:↑→)、当該2つの方向をそれぞれ逆転した2つの方向間の変化(例:↓←)が検出されずにさらに前記2つの方向の変化(例:↑→)が検出された場合に次の順の文字に変化させない構成とするとよい。
例えば、前記2つの方向間の変化が、上から右と定めた場合、この上右間の変化の後、この上右の方向をそれぞれ逆転した2つの方向間である下左間の移動が検出された後さらに上左間の変化が検出された場合に次の順の文字に変化させる。この場合、円を描くように移動させることで、1周に1回文字が変化することとなる。一方、前記2つの方向間の変化である上右間の変化の後、当該2つの方向をそれぞれ逆転した2つの方向間である下左間の移動が検出されずにさらに前記2つの方向の変化である上右間の変化が検出された場合に次の順の文字に変化させない構成とする。このようにすれば、例えば、連続して上右間の変化が2回検出された場合に2回文字を変化させずに、最初の1回のみ変化させることができる。すなわち、回転移動がなされない場合に、文字が変化しない構成とすることができる。よって、回転移動させれば文字が変化するといった具合に、容易に習得でき、容易に文字を入力することができる。
(9)前記2つの方向間の変化の際に、前記予め定めた順の文字に変化させる構成であり、当該2つの方向(例:↑→)のうち、変化前の方向(例:↑)から、変化後の方向(例:→)とは逆の方向(例:←)に相当する方向間の変化があった場合には、前記予め定めた順と逆の順の文字に変化させる構成とするとよい。
このようにすれば、逆方向に変化させれば、逆順に文字が変化することとなるので容易に習得でき、容易に入力できる。
(10)前記複数のキーを備える文字キー部と同一の画面上に、文字キー部の表示領域以外の表示領域を備え、前記入力文字を変化させる移動方向の変化における当該変化前の移動方向は前記文字キー部の表示領域から前記文字キー部の表示領域以外の表示領域に向けた方向とした構成とするとよい。
このようにすれば、変化前の移動方向は文字キー部の表示領域から前記文字キー部の表示領域以外の表示領域に向けた方向としているため、この移動の幅は文字キー部の表示領域だけでなく文字キー部の表示領域以外の表示領域を含んで大きくとることができる。したがって、小さな制限された領域内を移動させるよう注意を払う必要がなくなり、入力をさらに容易に行うことができる。
(11)前記複数のキーとして、50音の「あ段」の各子音に対応する文字を基準文字としたキーを備え、予め定めた順の文字に変化させていく構成として、前記接触が検出された1の基準文字の属する「い段」「う段」「え段」「お段」の順に変化させていく構成とするとよい。
このようにすれば、自己が入力したい文字の属する基準文字を容易に発見できるとともに、変化の順序も極めて把握しやすくなる。したがって、習得が容易となるとともに、入力も容易にできる。
(12)前記50音の「あ段」の各子音は、清音に対応するものであり、濁音変換キーを表示し、当該濁音変換キーへの接触があった場合に前記入力文字を当該入力文字の濁音の文字に変換する機能を備え、当該濁音変換キーを第二基点とした接触位置の変位に基づいて入力文字を変化させていき、非接触となった時点の文字を入力文字とする文字入力システムであって、前記接触位置の変位として、前記第二基点の位置からの連続的な接触位置の移動方向の変化に基づいて入力文字を変化させていく構成であり、前記入力文字の変化は、前記入力文字の濁音文字を開始文字とした予め定めた順の文字に変化させる構成とするとよい。あるいは(13)のようにするとよい。
(13)前記入力文字の濁音文字を開始文字とした予め定めた順の文字に変化させる構成として、当該濁音文字の属する子音行における段を変化させる構成とするとよい。(12)あるいは(13)のようにすれば、濁音の入力が容易にできる。
(14)前記入力文字の濁音文字を開始文字とした予め定めた順の文字に変化させる構成として、当該濁音文字から、当該濁音文字を清音文字とした文字を半濁音化とした半濁音文字、当該清音文字を促音化した促音文字の順に変化させる構成とするとよい。
このようにすれば、濁音化、半濁音化、促音化した文字の入力が容易にできる。
(15)前記入力文字を変化させた際に、所定の報知出力を行う構成とするとよい。
このようにすれば、接触位置の移動によって入力文字が変化したことが容易に理解できる。したがって、容易にどの文字が入力文字となっているのかを把握することができ、入力が容易となる。所定の報知としては、例えば、音の出力、光の出力、振動の出力の少なくともいずれか1を行うようにするとよい。
(16)前記1の基準文字を表示したキー上に、現在の前記入力文字を表示する構成とするとよい。
このようにすれば、現在の入力文字を、基準文字キー上に表示された文字を見て確認することができる。
(17)(1)〜(16)のいずれかに記載の文字入力システムとしてコンピュータを機能させるためのプログラムとして構成するとよい。
本発明によれば、基準文字からどの文字にどのような操作で変換されるのか容易に把握でき、入力方法の習得が容易であり、ボタン配置の制限が少ない文字入力システム等を提供することができる。
図2、図3は、本発明の文字入力システムとして好適な一実施形態である携帯端末1の構成を示している。携帯端末1は、いわゆるスマートフォンと呼ばれる携帯電話として構成される。図2に示すように、携帯端末1は、3.2インチの表示部20を有する面を前面として、背面にバッテリ交換部等を有し、側面は電源スイッチ、操作スイッチ等の各種のスイッチを備え、厚さ1cmの薄型扁平な直方体形状である。
携帯端末1の各種の機能を実現する構成のうち、本発明の文字入力システムに関連する部分の概略構成を図3に示す。図3に示すように、本携帯端末1の文字入力システムは、ディスプレイ22とタッチパネル24を備える表示部20と、バイブレータ30と、ディスプレイ22、タッチパネル24及びバイブレータ30と接続されこれらの制御を行う制御部10とを備える。タッチパネル24は透過型のタッチパネルであり、指等の接触位置を検知する。以下では指の接触として、実施例を記載するが、タッチパネル24が検知できるものであれば実際はどのようなものでもよく例えばスタイラス等の接触を検知するようにしてもよい。ディスプレイ22は3.2インチのカラードットマトリックス液晶ディスプレイであり、制御部10の制御によって、画面表示を行う。タッチパネル24は、ディスプレイ22に上に設けており、制御部10は、タッチパネル24の検知した接触位置がディスプレイ22のどの座標位置に相当するかを演算する。そして、当該座標位置に対応した処理を実現する。制御部10は、CPU、ROM、RAM、I/O、各種の回路等を内蔵したマイコンである。
制御部10のCPU(コンピュータ)は、ROMに記憶された文字入力プログラムを実行することで、文字入力システムとしての機能を実現する。
なお、制御部10は、携帯端末の各種機能を実現するためのものと共用している。したがって、表示部20には、携帯端末1の各種機能を実現するメニュー画面、設定画面、機能画面なども制御部10の制御により表示されることとなる。そして、これらの画面内に設けた文字入力部への指等の接触が検出された場合に、制御部10は、本文字入力システムを起動して、文字入力画面を表示する制御を行う。文字入力画面は、図2に示すように、下部領域(図2における背景色がグレーの領域)にソフトウェアキーボード部を、上部領域(図2における背景色が白の領域)に入力された文字を表示する文字表示部を備える。
ソフトウェアキーボード部は、縦方向に4行、横方向に5列の計20個の正方形のボタンを表示するソフトウェアキーボードである。図2に示すように、左から1列目と5列目は、主として文字入力の制御を行う制御キー部であり、2列目、3列目、及び、4列目は、主として入力文字を選択するための文字キー部である。具体的には、文字キー部は、2列1行目が「あ」行、3列1行目が「か」行、4列1行目が「さ」行、2列2行目が「た」行、3列2行目が「な」行、4列2行目が「は」行、2列3行目が「ま」行、3列3行目が「や」行、4列3行目が「ら」行、3列4行目が「わ」行の入力キーであり、それぞれ初期状態で50音の「あ段」の文字を基準文字として表示している。
この状態で、制御部10は、文字表示部への指の接触があったと判定した場合、文字表示部に表示した文字列を確定して起動元の画面の文字入力部にその文字列を入力する処理を行う一方、文字キー部のいずれかの基準文字を表示した位置のキーである基準文字キーへの指の接触が検知された場合には、図4に示す文字入力処理を開始する。文字入力処理が終了した場合には、再度この接触位置判定処理を行う。
文字入力処理では、図4に示すように、最初に、S110(ステップ110、以下同様)に示すように、通過フラグFを1とする(F=1とする)。通過フラグFは、指がタッチパネル24に接触したままタッチパネル24の表面をなぞるように何回転されたかを正確に検出するためのフラグである。後述するように、S160で指の移動方向が上から右に変化した際(S160:Y)に、通過フラグFが1の場合のみ、入力文字を次の文字に変更する処理(S180)を行う。この通過フラグFを1にするのは、S110と、指の移動方向が下から左に変化した際(S210:Y)である(S220)。
S110につづくS120では、指の接触が検知された位置の基準文字キーの背景色を白に変更する。この基準文字キー上に表示している文字を変化対象文字とする。
続くS130では、指の接触が検知されなくなったか、すなわち非接触状態か否かを判定する。非接触状態の場合には(S130:Y)、S230へ移行する。
S230では、S120で指の接触が検知された位置の基準文字キーの背景色をグレーに変更して背景色を元に戻しこの基準文字キー上に表示している文字を元の「あ」段の文字である基準文字に戻し、変化対象文字を確定文字として文字表示部に表示する。このとき文字表示部にすでに表示している確定文字列がある場合には、その確定文字列の右側にこの確定文字を追加する。そして、この文字入力処理を終了する。
一方、S130で非接触状態でない、すなわち接触したままであると判定した場合には(S130:N)、S140へ移行する。
S140では、現在の接触移動方向を決定する。具体的には、100msの間隔で2回接触位置を検出して、1回目の接触位置から2回目の接触位置への方向が、上下左右の4方向のいずれの接触移動方向に対応するかを決定する。この接触移動方向の決定は、1回目の接触移動位置を図5に破線で示すような直交するX軸Y軸からなる座標平面のX軸Y軸の原点として、2回目の接触位置をこの座標平面上に置いた際の位置がどの領域に属するかによって決定する。図5に示すように、X軸の正の方向を画面右方向、Y軸の正の方向を画面上方向とし、原点を中心としてX軸の正の方向から反時計回り方向をプラス方向とすると、プラス方向に0度以上30度未満の範囲を「右」、30度以上150度未満の範囲を「上」、150度以上210度未満の範囲を「左」、210度以上330度未満の範囲を「下」、330度以上360度(0度)未満の範囲を「右」と決定する領域とする。このように決定した接触移動方向を今回の接触移動方向とする。そしてRAMに設けた今回移動方向接触方向記憶領域に記憶されている今回接触方向を、RAMに設けた前回移動方向接触方向記憶領域に前回接触移動方向として記憶してから、この今回の接触移動方向を今回移動方向接触方向記憶領域に記憶する。なお、RAMに設けた前回移動方向接触方向記憶領域に前回接触移動方向が記憶されていない状態(初期状態)である場合には、前回移動方向接触方向記憶領域にも前回接触移動方向として今回の接触移動方向を記憶する。
続くS150では、S120で指の接触が検知された位置の基準文字キー外の位置に接触位置が移動しており、かつ、S140で決定した接触移動方向に変化があるか否かを判定する。S140で決定した接触移動方向に変化があるか否かの判定は、前回S140で決定した接触移動方向(前回移動方向接触方向記憶領域に記憶された前回接触移動方向)と、今回S140で決定した接触移動方向(今回移動方向接触方向記憶領域に記憶された今回接触移動方向)とが異なる場合には変化あり、同じ場合には変化なしと判定することで行う。
S120で指の接触が検知された位置の基準文字キー外の位置に接触位置が移動しており、かつ、接触移動方向に変化がある場合(S150:Y)、S160へ移行し、S120で指の接触が検知された位置の基準文字キー外の位置に接触位置が移動していないか、あるいは、接触移動方向に変化がない場合には(S150:N)、S130へ移行する。
S160では、変化前の移動方向が上でかつ変化後の移動方向が右であるか否かを判定する。すなわち、変化前の移動方向である前回移動方向接触方向記憶領域に記憶された前回接触移動方向が上でかつ変化後の移動方向である今回移動方向接触方向記憶領域に記憶された今回接触移動方向が右であるか否かを判定する。
変化前の移動方向が上でかつ変化後の移動方向が右である場合(S160:Y)、S170へ移行し、それ以外の場合、すなわち変化前の移動方向が上でないか変化後の移動方向が右でない場合には(S160:N)、S210へ移行する。
S170では、通過フラグFが1である(F=1である)か否かを判定する。通過フラグFが1の場合(S170:Y)、S180へ移行し、通過フラグFが1でない場合(S170:N)、S130へ移行する。
S180では、入力文字を次の文字に変更する。すなわち、文字表示部に表示した変化対象文字を図6に示す入力文字変更順序テーブルに記憶された次の順序の文字に変更する。入力文字変更順序テーブルは、ROMに記憶されたテーブルであり、ソフトウェアキーボードの「行」「列」と、その「行」のその「列」に表示する「基準文字」と、「1回目の変更文字」と、「2回目の変更文字」と、「3回目の変更文字」と、「4回目の変更文字」とを関連付けて記憶している。
原則として「基準文字」は50音の「あ段」の文字とし、「1回目の変更文字」は50音の「い段」の文字とし、「2回目の変更文字」は50音の「う段」の文字とし、「3回目の変更文字」は50音の「え段」の文字とし、「4回目の変更文字」は50音の「お段」の文字としている。なお、「や」行と「わ」行は、例外として、や行は「1回目の変更文字」は50音の「う段」の文字とし、「2回目の変更文字」は50音の「お段」の文字としている。わ行は、「1回目の変更文字」は50音の「を」の文字とし、「2回目の変更文字」は50音の「ん」の文字としている。
入力文字の変更の順序は、原則として「基準文字」、「1回目の変更文字」、「2回目の変更文字」、「3回目の変更文字」、「4回目の変更文字」、「基準文字」へ戻るといった順である。例えば現在の変化対象文字が「あ」であれば、次の文字として、「あ」の属する行の「あ」の次の順序の文字である「い」を新たな変化対象文字(入力文字)として、文字入力部に「あ」と表示していた変化対象文字を「い」に変更する。例えば現在の変化対象文字が「く」であれば、次の文字として、「く」の属する行の「く」の次の順序の文字である「け」を新たな変化対象文字(入力文字)として、文字入力部に「く」と表示していた変化対象文字を「け」に変更する。例外として「3回目の変更文字」、「4回目の変更文字」などが存在しない場合(「や」行、「わ」行など)は、存在しない文字は飛ばしてもとの「基準文字」に戻る。例えば、「よ」の次は「や」のように変化させる。そして、S120で指の接触が検知された位置の基準文字キー上に表示する文字を変化対象文字に変更して表示する。
続く、S190では、バイブレータ30を0.5秒間、駆動させ、バイブレーション(振動)を発生させる。
続く、S200では、通過フラグFを0(F=0)として、S130へ移行する。
一方、変化前の移動方向が上でかつ変化後の移動方向が右である場合以外の場合、すなわち変化前の移動方向が上でないか変化後の移動方向が右でない場合には(S160:N)、S210で、変化前の移動方向が下でかつ変化後の移動方向が左であるか否かを判定する。すなわち、変化前の移動方向である前回移動方向接触方向記憶領域に記憶された前回接触移動方向が下でかつ変化後の移動方向である今回移動方向接触方向記憶領域に記憶された今回接触移動方向が左であるか否かを判定する。
変化前の移動方向が下でかつ変化後の移動方向が左である場合(S210:Y)、S220へ移行し、それ以外の場合、すなわち変化前の移動方向が下でないか変化後の移動方向が左でない場合には(S210:N)、S130へ移行する。
S220では、通過フラグFを1(F=1)として、S130へ移行する。
以上のような処理による入力の例を、図7〜図9を参照して説明する。図7〜図9は、例えば「さんしん」と入力する場合のソフトウェアキーボードの表示及び指の接触移動の状態の例を示す図である。接触移動の状態は、曲線で示しており、一方端部の矢印の矢の部分が非接触となる位置を示し、他方端部が接触開始位置を示している。また実線はすでに接触した経路を示し、破線がこれから接触する経路を示す。
図7(a)は、本文字入力システムが起動されたときの状態である。この状態で「さ」を入力するため、図7(b)のように、「さ」の基準文字キーにタッチすると、S110、S120で「さ」の背景色が白色となり、S130:N、S140、S150:N、S130の順の処理となる。そして接触状態のまま「さ」の基準文字キー上で指を離して非接触状態とすると、S130:Yとなって、S230で、図7(c)に示すように「さ」の基準文字キーの背景色が元のグレーに戻り、文字入力部に「さ」が表示される。
次に「ん」を入力するため、「ん」の属する「わ」の基準文字キーをタッチし、そのまま図7(d)に破線で示すように2回転するように表示部20の表面をなぞる。「わ」の基準文字キーにタッチすると、S110で通過フラグが1にセットされ、続いてS120で図7(d)に示すように「わ」の背景色が白色となり、S130:N、S140では、図7(e)に実線で示す位置までなぞると、タッチした位置から順に「左」「上」「右」と接触移動方向が決定されることとなる。「左」から「上」に変化する時点(基準文字キー「ま」上)では、S150:Y、S160:N、S210:N、S130の順で処理がなされる。「上」から「右」に変化する時点(基準文字キー「ま」上)では、S150:Y、S160:Yとなり、S170:Yとなって、S180で変化対象文字(入力文字)が「わ」の次の「を」に変化し、初期状態で「わ」の基準文字キー上に表示する文字が図7(e)に示すように、この文字である「を」に変化する。そして、S190でバイブレーションが発生し、S200で通過フラグFが0にセットされ、S130へ戻る。さらにそのまま図7(e)の破線の経路でなぞっていくと、S140で決定される接触移動方向は、その後、「を」を表示している基準文字キー上で「下」から「左」へと変化する。その結果、S210:Yとなり、S220で通過フラグFが1にセットされる。そしてその後、図8(a)に実線で示す位置でS140で決定される接触移動方向は「上」から「右」に変化する。そのため、S160:Yとなり、S170:Yとなって、S180で変化対象文字(入力文字)が「を」の次の「ん」に変化し、初期状態で「わ」の基準文字キー上に表示する文字が図8(a)に示すように、この文字である「ん」に変化する。そして、S190でバイブレーションが発生し、S200で通過フラグFが0にセットされ、S130へ戻る。さらにそのまま図8(a)の破線の経路でなぞっていき、破線先端の矢の箇所で指をタッチパネル24から離すと、S130:Yとなって、S230で、図8(b)に示すようにこの文字入力部は「わ」の文字表示に戻り、「わ」の基準文字キーの背景色が元のグレーに戻る。
同様にして、次に「し」を入力するため、図8(c)に示すように「さ」の基準文字キーにタッチして破線の経路でタッチパネル24をなぞる。すると、図8(d)の実線の位置までなぞった時点で「さ」の基準文字キーの表示が「し」に変化し、そのまま破線のようになぞって矢の先端部で指をタッチパネル24から離すと、図8(e)に示すように、文字入力部に「し」が表示される。
続いて前述したのと同様にして、図9(a)に示すようにタッチして、実線の経路でなぞって離すと、図9(b)に示すように文字入力部に「ん」が表示される。その結果、文字列「さんしん」が入力できる。
このように、ソフトウェアキーボードの
1.「さ」をタッチして離す
2.「わ」をタッチした後、円を時計回り方向に描くように2回スライドする
3.「さ」をタッチした後、円を時計回り方向に描くように1回スライドする
4.「わ」をタッチした後、円を時計回り方向に描くように2回スライドする
のように入力する。スライドのカウントは、上述した処理により、スライド方向の情報が↑→となったときになされる。
このような構成とすることで、円を描くだけでよいので、頭の中で「※しすせそ」のように文字をカウントできる。
すなわち、本文字入力システムは、ディスプレイ22上に表示したソフトウェアキーボード上に複数の基準文字キーを表示し、当該複数の基準文字キーのうちタッチパネル24の対応する位置への接触が検出された1の基準文字キーを基点とした接触位置の変位に基づいて入力文字を変化させていき、タッチパネル24へ非接触となった時点の文字を入力文字とする文字入力システムである。そして、接触位置の変位として、基点の位置からの連続的な接触位置の移動方向の変化に基づいて入力文字を順に変化させていく構成である。そして、その入力文字の変化は、基準文字を開始文字とした予め定めた順の文字に変化させる構成である。このように、タッチパネル24上で接触が検出された1の基準文字キーを基点とした基点の位置からの連続的な接触位置の移動方向の変化に基づいて入力文字が変化していく。そして、この入力文字の変化は、基準文字を開始文字とした予め定めた順でなされる。したがって、移動方向の変化に基づいて入力文字が順に変化していくので、50音の「あ段」の文字が基準文字であり、その基準文字を開始文字とした予め定めたあいうえお順に変化していくことさえ覚えておけば入力ができることとなる。したがって、基準文字からどの文字にどのような操作で変換されるのか容易に把握でき、入力方法の習得が容易である。また、移動方向の変化に基づいて入力文字が順に変化していくので、固定された位置にフリック入力キーを表示する必要のあるフリック入力に比べ、ボタン配置の制限が少ない文字入力システムを提供することができる。例えば、「あ」の基準文字キーを1列目に配置したり、「さ」の基準文字キーを5列目に配置したり、「ら」の基準文字キーを4行目に配置したりするなど、ディスプレイ22の端寄りに基準文字キーを配置することも可能である。
なお、基準文字キーの数は、10個程度としており、基点の位置からの連続的な接触位置の移動方向の変化に基づいて入力文字を順に変化させていく際のその変化の個数は3個から5個としているため、覚えやすく、入力方法の習得が容易となる。
また接触位置の変位は、円弧を描くような変位であり、円弧のどの位置まで移動したかに基づいて入力文字を順に変化させていく構成としている。そのため、円弧を描くように接触位置を変位させることで入力文字が順に変化する。よって、円弧の描くように接触位置を変位させるといった単純な操作で入力文字が順に変化することになるので、容易に入力方法を習得できる。
また、接触位置の移動方向の変化に基づいて入力文字を変化させる際の移動方向の変化のパターンは、決定された接触移動方向が「上」から「右」になった場合という特定の1つのパターンであり、このパターンの発生回数と入力文字の変化の回数が一致する構成としている。
したがって接触移動方向が「上」から「右」にすれば文字が次の順の文字に変化するといった具合にわかりやすく、この接触移動方向が「上」から「右」という移動方向の変化のパターンだけ覚えればよいので、入力方法の習得が極めて容易になる。また、現在どの文字まで変化したかを容易に把握することができ入力も容易となる。
なお、これに限らず例えば円弧を描くような変位であれば、その円弧のうちもっとも上端に位置した箇所(例えば上端部での変曲点が現れた場合)という特定の1つのパターンで入力文字の変化が現れるように構成してもよい。また、円の12時方向を横切ったという特定の1つのパターンとしてもよい。このようにすれば、円弧を描かれた際にその円弧の上端が現れる回数が、入力文字の変化の回数に一致することとなる。そのためユーザは何回円の上部まで描いたかで、入力文字が何回変化したかを容易に把握できる。さらに入力文字の変化は予めさだめられた順でなされるので、現在どの文字が入力文字となっているか容易に把握できる。このように入力方法の習得が極めて容易となるとともに、現在どの文字まで変化したか、現在の入力文字がどの文字になっているかを容易に把握することができるので、入力も容易となる。
基準文字は、「あ」「か」「さ」「た」「な」「は」「ま」「や」「ら」「わ」という50音のいずれかの文字であり、前記予め定めた順の文字は、この基準文字として選ばれた複数の文字を50音順に並べた「あ」「か」「さ」「た」「な」「は」「ま」「や」「ら」「わ」の中で、もっとも近い基準文字(例えば「あ」と「さ」はもっとも近い基準文字間の文字ではなく、「あ」と「か」がもっとも近い基準文字である)間の文字の順(例:基準文字が「あ」と「か」であれば、「い」「う」「え」「お」の順)であり、前記50音の順で次の基準文字(例:「か」)の前(例:「お」)まで変化した場合、その次の変化する文字は次の基準文字(例:「か」)ではなく当該基準文字(例:「あ」)へ戻る構成としている。このような構成とすることで、50音の順に変化していくため、入力方法の習得が容易である。また、次にどの文字に変化するのか容易に把握することができ入力間違いを減らすことができる。さらに、サイクリックに入力文字が変化するので、例えば、文字を多く変化させてしまったことに気づいた場合でも、接触状態のまま、また基準文字まで戻して、所望の入力文字に変化させることもできる。本実施形態では、50音の例を示したが、アルファベット順として構成した場合も同様である。アルファベットの入力においても、タッチしたスタート地点からカウントできるので、入力が容易である。
本実施形態では、接触移動方向が「上」から「右」に変化した際に次の文字に変化させる構成としたが、さらにこの接触移動方向とは逆向きの移動変化があった場合には、入力文字を変化させる順とは逆順に入力文字を変化させる構成とするとよい。このようにすれば、例えば、入力文字を変化させる移動方向の変化を余分に行ってしまい入力文字を順方向に変化させすぎてしまった場合、入力文字を変化させる移動方向の変化の方向と逆向きの移動方向の変化をさせることで、逆方向に1つ順を戻して所望の文字を入力させることができる。また、サイクリックに文字を変化させる場合、逆向きの移動方向の変化を検出した場合に、基準文字から逆方向に入力文字を変化させるとよい。前述の例であれば、基準文字が「あ」の場合、逆向きの移動方向の変化を1回検出した場合「お」に変化させる構成とするとよい。例えば、このようにすれば、移動方向の変化の回数を約半分として、その間のすべての文字が入力できることとなる。
本実施形態では、接触位置の移動方向として、現在の移動方向が、上、下、右、左の4方向のいずれに属するかを判定し、前記移動方向の変化に基づいて入力文字を変化させる構成として、前記4方向のうち予め定められた2つの方向間の変化があった場合に入力文字を変化させる構成としている。そのため、移動方向として明確でわかりやすい4方向のうちの予め定められた2つの方向である「上」「右」間の変化があった場合に入力文字が変化するため、この2つの方向を覚えておくだけで入力文字を変化させることができる。つまり、上から右という動きで入力文字が変化すると覚えるだけで、文字入力を行うことができる。また、入力方法の習得が極めて容易である。
この予め定められた2つの方向間の変化は、本実施形態では「上」から「右」としたが、上下いずれかから左右いずれか、または、左右いずれかから上下いずれかの、どちらか一方とした構成とするとよい。例えば、上から左、上から右、下から左、下から右、左から上、左から下、右から上、右から下のいずれかを用いるとよい。このようにすれば、例えば、右から左、左から右、上から下、下から上といった急激な変化、あるいは、厳密性が要求される変化(右や左と判定されないようにしつつ、上、下とすることは困難であるため)をさせるといった困難な操作となることなく、自然な動きで、容易に入力文字を変化させることができる。本実施形態のように、前記予め定められた2つの方向間の変化を、上から右への変化の1箇所とした場合、時計回りに円を描くように移動させることで自然に上から右への変化が現れ、1回転で1つ文字を変化させることができる。
本実施形態では、この2つの方向間の変化(例:↑→)の後、当該2つの方向をそれぞれ逆転した2つの方向間(例:↓←)の移動が検出された後さらに前記2つの方向間(例:↑→)の変化が検出された場合に次の順の文字に変化させる一方、前記2つの方向間の変化の後(例:↑→)、当該2つの方向をそれぞれ逆転した2つの方向間の変化(例:↓←)が検出されずにさらに前記2つの方向の変化(例:↑→)が検出された場合に次の順の文字に変化させない構成としている。すなわち図4のS170で通過フラグが1である場合のみS180で次の文字としている。通過フラグを1にするのは「下」から「左」という接触移動方向の変化があった場合(S210:Y、S220)である。このように、上右間の変化の後、この上右の方向をそれぞれ逆転した2つの方向間である下左間の移動が検出された後さらに上左間の変化が検出された場合に次の順の文字に変化させる構成としている。この場合、円を描くように移動させることで、1周に1回文字が変化することとなる。一方、上右間の変化の後、この2つの方向をそれぞれ逆転した2つの方向間である下左間の移動が検出されずにさらに上右間の変化が検出された場合には、S170:Nとなり次の順の文字に変化させない構成である。そのため、例えば、連続して上右間の変化が2回検出された場合に2回文字を変化させずに、最初の1回のみ変化させることができる。すなわち、回転移動がなされない場合に、文字が変化しない構成とすることができる。よって、回転移動させれば文字が変化するといった具合に、容易に習得でき、容易に文字を入力することができる。
さらに、2つの方向間の変化の際に、入力文字変更順序テーブルの「基準文字」、「1回目の変更文字」、「2回目の変更文字」、「3回目の変更文字」、「4回目の変更文字」、「基準文字」へ戻るという予め定めた順の文字に変化させる構成であり、当該2つの方向(例:↑→)のうち、変化前の方向(例:↑)から、変化後の方向(例:→)とは逆の方向(例:←)に相当する方向間の変化があった場合、すなわち「上」から「右」への接触移動方向の変化があった場合には、前記予め定めた順と逆の順である「基準文字」、「4回目の変更文字」、「3回目の変更文字」、「2回目の変更文字」、「1回目の変更文字」、「基準文字」へ戻るという順に文字に変化させる構成とするとよい。このようにすれば、逆方向に変化させれば、逆順に文字が変化することとなるので容易に習得でき、容易に入力できる。例えば、「え」段や「お」段の入力の場合は、4回転、5回転しないといけないため入力に時間がかかるが、反時計回り方向に回転することで「あ」「お」「え」「う」「い」「あ」のように逆に変化させることができ、入力時間を短縮できる。また、基準文字の「あ段」から、最大でも2回転すれば「あ段」〜「お段」まで入力できる。状況によっては文字を通り越して変化させてしまう場合もある。そのときには、途中で回転を逆にすることで文字の回転を逆にすることができ、少ない回転回数で、容易に所望の文字に変化させることができる。なお、この逆順の文字変化の際には、正順の文字変化の際とは異なる報知を行なうとよい。例えば、正順の文字変化の場合には本実施形態のS190のように0.5秒間駆動するのに対し、逆順の文字変化の場合には、バイブレータ30を0.2秒間駆動して0.1秒間停止させ0.2秒間再度駆動する。このようにすれば、どちらの順に文字が変化したか画面を見なくても判別できる。
本実施形態では、複数の基準文字キーを備える文字キー部と同一の画面上に、文字キー部の表示領域以外の表示領域である文字表示部を備え、入力文字を変化させる移動方向の変化における当該変化前の移動方向は文字キー部の表示領域から文字表示部の表示領域に向けた方向である上方向としている。このように、変化前の移動方向は文字キー部の表示領域であるディスプレイ22の下部から文字表示部の表示領域であるディスプレイ上部に向けた上方向としている、この移動の幅は文字キーの表示領域だけでなく文字表示部の表示領域を含んで大きくとることができる。例えば、図8(d)のように移動させることで文字を変更することができる。したがって、小さな制限された領域内を移動させるよう注意を払う必要がなくなり、入力をさらに容易に行うことができる。
本実施形態では、複数の基準文字キーとして、50音の「あ段」の各子音に対応する文字の基準文字キーを備え、予め定めた順の文字に変化させていく構成として、前記1の基準文字キーとして接触が検出された文字の属する「い段」「う段」「え段」「お段」の順に変化させていく構成としている。そのため、自己が入力したい文字の属する基準文字を容易に発見できるとともに、変化の順序も極めて把握しやすくなる。したがって、習得が容易となるとともに、入力も容易にできる。
本実施形態では50音の「あ段」の各子音は、清音に対応するものとしている。さらに、濁音変換キーを表示し、当該濁音変換キーへの接触があった場合に入力文字を当該入力文字の濁音の文字に変換する機能を備え、当該濁音変換キーを第二基点とした接触位置の変位に基づいて本実施形態と同様の処理によって入力文字を変化させていく構成とし、非接触となった時点の文字を入力文字とする。つまり、接触位置の変位として、前記第二基点の位置からの連続的な接触位置の移動方向の変化に基づいて入力文字を変化させていく構成とし、前記入力文字の変化は、前記入力文字の濁音文字を開始文字とした予め定めた順
の文字に変化させる構成とするとよい。この予め定めた順は、当該濁音の文字を清音にした文字の変換順序に準じて当該清音を濁音化した順序とするとよい。すなわち入力文字の濁音文字を開始文字とした予め定めた順の文字に変化させる構成として、当該濁音文字の属する子音行における段を変化させる構成とするとよい。このようにすれば、濁音の入力が容易にできる。
また、入力文字の濁音文字を開始文字とした予め定めた順の文字に変化させる構成として、当該濁音文字から、当該濁音文字を清音文字とした文字を半濁音化とした半濁音文字、当該清音文字を促音化した促音文字の順に変化させる構成としてもよい。図2及び図6の最下行に示すように4行、2列にこのキーを設け、「゛」「゜」小文字の順に変化させる。
このようにすれば、濁音化、半濁音化、促音化した文字の入力が容易にできる。なお該当する文字がない場合にはその種の文字への変換は行わないようにすればよい。
本実施形態では、入力文字を変化させた際に、図4のS180の処理により、バイブレータ30を制御して、報知出力を行う構成とした。こうすることで、接触位置の移動によって入力文字が変化したことが容易に理解できる。したがって、容易にどの文字が入力文字となっているのかを把握することができ、入力が容易となる。報知の構成としては、これに限らず、例えば、音の出力、光の出力、振動の出力の少なくともいずれか1を行うようにするとよい。
本実施形態では、基準文字キー上に、現在の入力文字(変化対象文字)を表示する構成とした。こうすることで現在の入力文字を、基準文字キー上に表示された文字を見て確認することができる。
なお、図4のS120では、指の接触が検知された位置の基準文字キーの背景色を白に変更するとともにその基準文字キーの文字を文字表示部に表示するようにしてもよい。このとき、文字表示部にすでに確定文字列が表示されている場合には、その文字の右側に、この文字を表示するようにする。そして、S230の処理をは、S120で指の接触が検知された位置の基準文字キーの背景色をグレーに変更して背景色を元に戻し、変化対象文字を確定文字として表示するようにする。このようにすれば、文字入力部に表示された文字列のうちの一番右の文字として、基準文字キーへの接触でその基準文字キー上に表示した文字が表示され、その後、指の接触回転の回数に応じて基準文字キー上の表示文字が変化するとともに、文字入力部の一番右の文字も基準文字キー上の文字の変化と同様に変化することとなる。したがって、文字キー部を見なくても、文字入力部を見て現在の変化対象文字を確認することができる。なお、この場合、S180における「S120で指の接触が検知された位置の基準文字キー上に表示する文字を変化対象文字に変更して表示する。」という処理は行わないようにしてもよい。このようにすれば、文字入力部の一番右の文字が現在の変化対象文字であることがわかると共に、背景色が白の基準文字キー上の文字は常に「あ」行のいずれかの文字が表示されているので、これを見ることで、50音のどの子音の文字を現在変化させているのかが把握しやすい。
本実施形態の構成は、本発明が適用された一例であり、各種の組み合わせ、各種の構成を採りうる。例えば、本実施形態での各種の数値は、適宜変更してもよい。
本実施形態では、表示部20は3.2インチのディスプレイとしたがこれに限らず、例えばタッチできる大きさであればよい。ただし、特に、2〜5インチ程度の携帯端末に適用すると本体を持った手の親指で入力操作ができるため、片手で操作ができるというメリットがある。また、例えば、6〜12インチ程度の端末に適用する場合、両手で端末を持つことから、例えば、ソフトウェアキーボード部の1行目と2行目を左手側(例えば、ディスプレイの左端付近)、3〜5行目を右手側(例えば、ディスプレイの右端付近)に分けて表示して同様の処理を行うようにするとよい。このようにすれば両手で端末を支えつつ、両親指で文字を容易に入力できる。
本実施形態では、100msの間隔で2回接触位置を検出して、1回目の接触位置から2回目の接触位置への方向を接触移動方向とすることとしたが、例えば、この間隔は50msとしてもよいし、200msとしてもよい。この値はユーザによって入力し設定するように構成してもよい。またこれに限らず各種の公知の接触移動方向検出方法を用いることができる。
さらに、入力時間の短縮に繋がる方法として、12時方向と6時方向を横切る向きによって文字を変化させる構成としてもよい。但し、頭の中でのカウントとの同期が取りにくく入力しにくいため、一回転の範囲で1回変化させる構成が最も望ましい。