JP2013068044A - 遮音性と防振性を有するロフトとその遮音防振工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】床スラブ1と天井スラブ2の間に設置され遮音性と防振性を有するロフトであって、床スラブと天井スラブの中間に位置するロフト床12と、ロフト床へ登るロフト階段24とを有するロフト躯体10を備える。ロフト躯体10は、床スラブ1、天井スラブ2及びその間を連結する周囲造作壁4から独立して設置されている。ロフト躯体10と床スラブ1との間に挟持され、ロフト躯体の1次固有振動数を床スラブの1次固有振動数より小さくする複数の下部防振材30と、ロフト躯体から床スラブへの振動を緩和しかつロフト躯体の水平移動を防止する複数の防振アンカー32とを備える。
【選択図】図1
Description
一方、近年、マンション等の集合住宅において、住居空間の有効利用を図る手段としてロフトが設けられている。このような住宅用ロフトは、居室内の床面より高い位置に設けられた小部屋であり、書斎や子供部屋として用いられている(例えば、特許文献1〜4)。
床スラブと天井スラブの中間に位置するロフト床と、該ロフト床へ登るロフト階段とを有するロフト躯体を備え、
該ロフト躯体は、床スラブ、天井スラブ及びその間を連結する周囲造作壁から独立して設置されており、
さらに、ロフト躯体と床スラブとの間に挟持され、ロフト躯体の1次固有振動数を床スラブの1次固有振動数より小さくする複数の下部防振材と、
ロフト躯体から床スラブへの振動を緩和しかつロフト躯体の水平移動を防止する複数の防振アンカーとを備えた、ことを特徴とする遮音性と防振性を有するロフトが提供される。
床スラブと天井スラブの中間に位置するロフト床と、該ロフト床へ登るロフト階段とを有するロフト躯体を、床スラブ、天井スラブ及びその間を連結する周囲造作壁から独立して設置し、
ロフト躯体の1次固有振動数を床スラブの1次固有振動数より小さくする複数の下部防振材を、ロフト躯体と床スラブとの間に挟持し、
複数の防振アンカーにより、ロフト躯体から床スラブへの振動を緩和しかつロフト躯体の水平移動を防止する、ことを特徴とするロフトの遮音防振工法が提供される。
本発明によるロフト躯体10は、床スラブ1と天井スラブ2の間に設置される。床スラブ1と天井スラブ2の間隔、すなわちロフトを設置する部屋の天井高さは好ましくは2500mm以上である。
この例において、ロフト土台部材16、ロフト上縁部材18、及び垂直支持部材20は、例えば72mm×72mmの矩形断面を有する木材である。
ロフト枠部材14は、複数の垂直支持部材20に連結され、ロフト床12を囲み水平に延びる。
またロフト床12は、図示しない支持部材により、その上に複数の子供が載り、子供の遊び場として使用できるようになっている。さらに、ロフト床12は、直張の遮音フローリング仕上げとなっている。
後述する実施例において、ロフト床12の面積は4.5畳であり、子供一人の重さが30kg、床設計荷重に基づく最大の積載荷重は、180kg/m2×7.43m2≒1337kgである。
また、ロフト上縁部材18の内側にも交差して水平部材が固定されている。
さらに、ロフト天井22の内面と外面には、遮音性と防振性を有する遮音板が張り付けられ遮音壁21を構成している。
この構成により、遮音壁21により、ロフト床12の上方が囲まれているので、ロフト床12の上面から伝達される騒音をロフト床12内に閉じ込め、ロフト躯体10から外部への騒音の遮音性を高めることができる。
さらに、垂直支持部材20の内面と外面には、遮音性と防振性を有する遮音板が張り付けられ遮音壁23を構成している。
この構成により、遮音壁23により、ロフト床12の上方とロフト床12の下方が囲まれているので、ロフト床12の下面から伝達される騒音を遮音壁23の内側に閉じ込め、ロフト躯体10の遮音性を高めることができる。
この構成により、遮音壁23により、ロフト階段24の両側が囲まれているので、ロフト階段24で発生する騒音をロフト階段24内に閉じ込め、ロフト躯体10の遮音性を高めることができる。
すなわち、ロフト階段24は、ロフト躯体10に組み込まれ、床スラブ1から浮かされている。
また、ロフトの遮音壁21,23と周囲造作壁4との間、及びロフト天井22と周囲造作天井(図示せず)との間は、下地、ボード、クロスを連続させず、周知の見切り材を用いて、騒音及び振動の伝達を抑制しながら見た目を良くすることが好ましい。
この構成により、ロフト躯体10で発生する振動が直接床スラブ1、天井スラブ2及び周囲造作壁4に伝達されるのを防止し、ロフト躯体10の防振性を高めることができる。
また、下部防振材30は、遮音性と防振性を有する弾性部材からなり、ロフト躯体10の1次固有振動数を床スラブ1の1次固有振動数より小さくするように設定されている。
下部防振材30は、ゴム等の従来の防振材に比べ、防振性能、耐久性等が優れている弾性部材であり、ヤング係数が0.18〜10.8N/mm2の範囲であり、耐荷重が1.0〜82t/m2の範囲であるのがよい。かかる弾性部材として、特殊発泡ポリウレタン防振材(登録商標「シロマー」)が知られている。
図1、図5において、本発明のロフト躯体10は、さらに、ロフト躯体10から床スラブ1への振動を緩和し、かつロフト躯体10の水平移動を防止する複数の防振アンカー32を備える。
この防振アンカー32は、ロフト躯体10のロフト土台部材16の水平移動を防止するために、少なくとも2箇所以上に設けるのがよい。
(A)本発明のロフトの遮音防振工法では、床スラブ1と天井スラブ2の中間に位置するロフト床12と、ロフト床12へ登るロフト階段24とを有するロフト躯体10を、床スラブ1、天井スラブ2及びその間を連結する周囲造作壁4から独立して設置する。
(B)また、ロフト躯体10の1次固有振動数を床スラブ1の1次固有振動数より小さくする複数の下部防振材30を、ロフト躯体10と床スラブ1との間に挟持する。
(C)さらに、複数の防振アンカー32により、ロフト躯体10から床スラブ1への振動を緩和し、かつロフト躯体10の水平移動を防止する。
(D)さらに、好ましくは、ロフト躯体10から天井スラブ2への垂直振動を緩和する複数の上部防振材を、ロフト躯体10と天井スラブ2との間に挟持する。
ロフト床12の面積を4.5畳、子供一人の重さを30kg、床設計荷重に基づく最大の積載荷重を、180kg/m2×7.43m2≒1337kgとした場合、上述した構想のロフト躯体10の重量は、荷重なし時に940kg、子供一人が載る最小荷重時に970kg、最大荷重時に1337kgとなる。
このロフト躯体10を支持する下部防振材30として、ゴム等の従来の防振材に比べ、防振性能、耐久性等が優れている特殊発泡ポリウレタン防振材(登録商標「シロマーP」)を選定した。
また、この下部防振材30を60mm×60mm、厚さ25mm、22個、総設置面積を792cm2とすることで、ロフト躯体10の1次固有振動数を床スラブ1の1次固有振動数より小さくするように設定した。
図6から、ロフト躯体10の1次固有振動数は15.3Hzであり、床スラブ1の1次固有振動数21Hzより小さいことが確認された。また、図6は、ロフト躯体10の重量が最小荷重時(970kg)である場合であるが、複数の子供が載り重量が最大荷重時(1337kg)に近づく場合には、ロフト躯体10の1次固有振動数はより低下するので、一層性能上有利となる。
また、図7から、本条件において、最大荷重時も防振材の許容荷重以下であること、荷重なしと最大荷重時における防振材のたわみ量変化は0.5mm程度であり、ロフト躯体10の設置上支障がないことを確認した。
研究所内に上述したロフトを試作し、遮音性能試験を実施した。なお、研究所における床スラブ1の厚さは200mmであった。
通常のロフト歩行や階段昇降では、下階における騒音レベルは、概ね25dBA以下であり、一般的住宅の暗騒音より低く、騒音は聴き取れなかった。
また、ロフト強め歩行、階段強め昇降でも概ね30dBA以下であり、一般的住宅の暗騒音(30dBA以下)と同レベルであった。この結果から、ロフトの遮音性能は想定通り発揮されており、高い遮音性を有することが確認された。
JIS規定のゴムボール衝撃源は、人間の歩行、走り回りに近い衝撃源である。このゴムボール衝撃源による測定では、下階における騒音レベルは、ロフト床及びロフト階段のいずれにおいても、概ね35dBA以下であり、集合住宅の一般的床構造で構成された床下収納と同等であることから、高い防振性を有することが確認された。
タッピングマシンによる軽量床衝撃音の下階における床衝撃音レベルは、ロフト床12の場合、図に示すように防振材の効果によりJISで定める遮音等級Lr,L−35となった。
なお、床下収納(床下収納スペース3)からの床衝撃音レベルは、床下収納スペース3の底面が、床スラブ1に直接床材が張られているため、ロフト床12の場合よりも高く、JISで定める遮音等級Lr,L−40となった。
図11は、実際の集合住宅における歩行状態と騒音レベルとの関係図である。
実際の集合住宅に上述したロフトを設置し、下階騒音を測定した。
この結果、実験室同様に、強歩行、強昇降とも概ね30dBA以下であり、実際の集合住宅においても良好な遮音性と防振性を有することが確認された。
3 床下収納スペース、4 周囲造作壁、
10 ロフト躯体、12 ロフト床、
14 ロフト枠部材、16 ロフト土台部材、
18 ロフト上縁部材、20 垂直支持部材、
21 遮音壁、22 ロフト天井、
23 遮音壁、24 ロフト階段、
30 下部防振材、32 防振アンカー、
33 アンカーボルト、34 防振ブッシュ、
35 ナット
Claims (7)
- 床スラブと天井スラブの間に設置され遮音性と防振性を有するロフトであって、
床スラブと天井スラブの中間に位置するロフト床と、該ロフト床へ登るロフト階段とを有するロフト躯体を備え、
該ロフト躯体は、床スラブ、天井スラブ及びその間を連結する周囲造作壁から独立して設置されており、
さらに、ロフト躯体と床スラブとの間に挟持され、ロフト躯体の1次固有振動数を床スラブの1次固有振動数より小さくする複数の下部防振材と、
ロフト躯体から床スラブへの振動を緩和しかつロフト躯体の水平移動を防止する複数の防振アンカーとを備えた、ことを特徴とする遮音性と防振性を有するロフト。 - ロフト躯体と天井スラブとの間に挟持され、ロフト躯体から天井スラブへの垂直振動を緩和する複数の上部防振材を備える、ことを特徴とする請求項1に記載のロフト。
- 前記防振アンカーは、床スラブに下端が固定され上方に延びるアンカーボルトと、
該アンカーボルトとロフト躯体との間に位置しその間の水平振動及び垂直振動を緩和する防振ブッシュと、
アンカーボルトに螺合し防振ブッシュを介してロフト躯体を固定するナットとを有する、ことを特徴とする請求項1に記載のロフト。 - 前記ロフト躯体は、
床スラブに近接して前記ロフト床の下方に位置し水平に延びるロフト土台部材と、
天井スラブに近接して前記ロフト床の上方に位置し水平に延びるロフト上縁部材と、
ロフト土台部材とロフト上縁部材を間隔を隔てて連結する複数の垂直支持部材と、
ロフト上縁部材の上面を塞ぐロフト天井とを有し、
前記ロフト階段は、床スラブより上方において前記垂直支持部材に両端支持されている、ことを特徴とする請求項1に記載のロフト。 - 前記垂直支持部材に固定され遮音性を有する遮音壁を有する、ことを特徴とする請求項4に記載のロフト。
- 床スラブと天井スラブの間に設置されたロフトの遮音防振工法であって、
床スラブと天井スラブの中間に位置するロフト床と、該ロフト床へ登るロフト階段とを有するロフト躯体を、床スラブ、天井スラブ及びその間を連結する周囲造作壁から独立して設置し、
ロフト躯体の1次固有振動数を床スラブの1次固有振動数より小さくする複数の下部防振材を、ロフト躯体と床スラブとの間に挟持し、
複数の防振アンカーにより、ロフト躯体から床スラブへの振動を緩和しかつロフト躯体の水平移動を防止する、ことを特徴とするロフトの遮音防振工法。 - ロフト躯体から天井スラブへの垂直振動を緩和する複数の上部防振材を、ロフト躯体と天井スラブとの間に挟持する、ことを特徴とする請求項6に記載の遮音防振工法。
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JP2021070911A (ja) * | 2019-10-29 | 2021-05-06 | 積水ハウス株式会社 | 鉄骨階段構造 |
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