JP2013067853A - 圧延銅箔、銅張積層板、フレキシブルプリント配線板及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】結晶の金属組織の測定点に電子線を照射して得られた結晶方位と、前記測定点の周囲に0.5μm離間して位置する複数の隣接測定点に電子線を照射して得られた結晶方位との方位角度差が15°以上の部位を結晶粒界としたとき、400℃で1時間の焼鈍後に測定した前記結晶粒界の長さが95cm/mm2以下である圧延銅箔。
【選択図】図1
Description
また、電子機器は、通常複数の電子基板で構成されており、これら電子基板同士を電気的に接続するフレキシブルプリント配線板が電子基板間に設けられている。フレキシブルプリント配線板は、通常、絶縁基板と、該基板表面に形成された銅製の配線とを備えている。電子基盤同士を接続するフレキシブルプリント配線板には、両基板の熱膨張や収縮の違いにより引張応力や圧縮応力が加わるため、良好な屈曲性等が求められる。このようなフレキシブルプリント配線板に求められる特性としては、MIT屈曲性に代表される良好な折り曲げ性、及び、IPC屈曲性に代表される高サイクル屈曲性があり、従来、このような特性を備えた銅箔や銅−樹脂基板積層体が開発されている(特許文献1〜2)。
フレキシブルプリント配線板用圧延銅箔の材料としては、タフピッチ銅(JIS−H3100 C1100)や無酸素銅(JIS−H3100 C1020、JIS−H3510 C1011)が使用可能である。
さらには、タフピッチ銅及び無酸素銅をベースした銅合金箔も使用可能である。タフピッチ銅及び無酸素銅をベースした銅合金箔は、具体的には、Ag、Sn、In、Zr及びZnからなる群から選択された1種又は2種以上を合計で10〜1300質量ppm含む。
なお、本明細書において「銅箔」には銅合金箔も含まれ、「タフピッチ銅」及び「無酸素銅」で形成した銅箔には、タフピッチ銅及び無酸素銅をベースとした銅合金箔も含まれる。
本発明に係るフレキシブルプリント配線板は、絶縁基板と、この絶縁基板の表面に形成された配線パターンとを備えている。絶縁基板は、フレキシブルプリント配線板に適用可能な良好な屈曲性及び折れ曲げ性を有するものであれば特に制限を受けないが、例えば、ポリイミドフィルム、液晶ポリマーフィルム、ポリエチレンナフタレート等を使用することができる。絶縁基板の厚さは、12〜50μmが好ましい。厚さが12μm未満であるとハンドリングが悪くなり、50μm超であるとフレキシブル性が低下する。配線パターンは、上述のフレキシブルプリント配線板用圧延銅箔を用いて形成されている。配線パターンの形状は特に限定されず、どのようなものであってもよい。また、フレキシブルプリント配線板の端子部又は配線部の一部に、Sn層及び/又はSn銅合金層が形成されていても良い。
本発明に係るフレキシブルプリント配線板は、上述のような圧延銅箔を用いて形成されているため、以下の特性を有する。すなわち、フレキシブルプリント配線板が電気的に接続する第1基板及び第2基板について、両基板が1.2倍以上の線熱膨張係数の差を有している場合、フレキシブルプリント配線板に対して−65℃〜+150℃の温度変化を300回繰り返しても配線にクラックが発生しない。フレキシブルプリント配線板が電気的に接続している第1基板及び第2基板の線熱膨張係数の差が大きければ大きいほど、フレキシブルプリント配線板に加わる応力集中が大きくなる。通常、第1基板及び第2基板の線熱膨張係数の差が1.5倍以上であれば、温度変化によって両基板の膨張の差によって発生する応力集中に耐え切れず、フレキシブルプリント配線板の配線にクラックが生じる可能性が高い。これに対し、本発明においては、このような状態においても配線へのクラックの発生が良好に抑制される。
ここで、図2に、一例として、第1基板(FR4)及び第2基板(ガラス基板)と、それらの間に形成されたフレキシブルプリント配線板との接続形態を示す。上記線熱膨張係数は、図2に示すように基板端部が延びる方向と平行な方向の膨張係数であり、室温での値を用いる。また、上記「フレキシブルプリント配線板に対して−65℃〜+150℃の温度変化を300回繰り返す」とは、図3に示すように、フレキシブルプリント配線板に対して高温槽及び低温槽にてそれぞれ150℃及び−65℃で30分間保持し、これを1サイクルとして300サイクル繰り返すことをいう。なお、高温槽と低温槽との間の移し変えは1分間以内で行う。その他の条件はJIS−C0025(1997年)に従うことで行う。
フレキシブルプリント配線板は、上記圧延銅箔を用いて製造することができる。以下に、フレキシブルプリント配線板の製造例を示す。
まず、圧延銅箔と、良好な屈曲性及び折れ曲げ性を有するポリイミドフィルム、液晶ポリマーフィルム等の絶縁基板とを貼り合わせて銅張積層板を製造する。
タフピッチ銅〔TPC〕(実施例1,8〜14、19)(JIS−H3100 C1100)、無酸素銅(実施例2〜7,15〜18、20、21)(JIS−H3100 C1020)に表1に記載の元素を添加して作製したインゴットを熱間圧延で厚さ7mmの板に加工し、表面研削で酸化物を取り除いた後、冷間圧延、焼鈍、酸洗を繰り返して、厚さを0.1mmにした。この後、表1に記載の厚さまでの冷間圧延を各パスの平均加工度が10%以下となるように表1に記載の条件で冷間圧延を行って加工した。また、0.1mm以下の冷間圧延で1パスの加工度が10%を超えた場合、そのパスの後に80〜120℃に焼鈍してから次のパスに移った。
なお、各パスの平均加工度は、下記式のように各パスの加工度の合計をパス回数で除した値とした。
各パスの平均加工度(%)=(1パス目加工度(%)+2パス目加工度(%)+…+最終パス加工度(%))/(パス回数)
続いて400℃で1時間の焼鈍を行った。
続いて、銅箔表面に表面処理をスパッタで施した。表面処理としては、フレキシブルプリント配線板のベースフィルムと接着させる表面に、Cr、Niをスパッタにより付着させた。また、上記表面と逆側の表面側に、Pd、Niをスパッタにより付着させた。
続いて、実施例1〜17、19、20、21はカプトンEN(登録商標)に熱可塑性PI接着剤を1μm塗工、乾燥して形成した38.5μm厚の樹脂層を銅箔に積層させて真空熱プレスによって銅張積層体を作製した。実施例18は銅箔にポリイミドワニス(宇部興産(株)製UワニスS)を塗工、乾燥、硬化させ37.5μmの樹脂層を形成させて銅張積層体を作製した。
続いて、作製した積層体の銅箔に対して、L(ライン)/S(スペース)=20μm/30μmで回路を形成し、無電解Snめっきをした後、170℃で2時間の熱処理をした。これをFPC供試材とした。当該供試材の配線の銅箔表面に対する面積率は、回路を形成していない部分も含まれるため30%であった。
比較例1及び2は、タフピッチ銅〔TPC〕のインゴットを使用し、厚さ0.1mm以下の冷間圧延で平均加工度10%以下にしない、または厚さ0.1mm以下の冷間圧延で1パスの加工度が10%を超えてもその後に焼鈍しなかった。比較例1及び2の厚さ0.1mm以下の冷間圧延の条件と、厚さ0.1mm以下の冷間圧延で1パスの加工度が10%を超えた後の焼鈍の有無を表1に示す。また、厚さを0.1mmにするまでは、実施例1と同様の加工を施した。比較例1及び2に係る銅張積層体及びその回路は、実施例1と同様に作製した。
比較例3は、メタライズ法によって、Kapton150EN(樹脂厚37.5μm)にシード層であるNiCr層をスパッタ製膜後、銅厚が8μmになるよう銅めっきを施した。作製した積層体の銅箔に対してL/S=20μm/30μmの回路を形成し、無電解Snめっきをした後、170℃で2時間の熱処理をした。これをFPC供試材とした。
比較例4は、市販の特殊電解銅箔にポリイミドワニス(宇部興産(株)製UワニスS)を塗工、乾燥、硬化(400℃1時間)させ37.5μmの樹脂層を形成させて銅張積層体を作製した。作製した積層体の銅箔に対してL/S=20μm/30μmの回路を形成し、無電解Snめっきをした後、170℃で2時間の熱処理をした。これをFPC供試材とした。
ここで、回路断線は以下のように判定した。すなわち、フレキシブルプリント配線板の配線に一定電流(0.03mA)を流し、当該電流を流すために必要な電圧値を測定し、測定した電圧値からフレキシブルプリント配線板の配線の抵抗値を算出した。算出した抵抗値が初期値(上記繰り返し歪を与える前の抵抗値)の500%以上となったときに、回路が断線したと判定した。表では、回路断線と判定されたときの繰り返し歪の付与のサイクル(破断サイクル)の回数を記載している。
なお、上記実施例及び比較例のサンプル作製における「400℃で1時間加熱」は、積層板を作製する際のポリイミドワニスの乾燥工程を模したものである。
測定結果を表1に示す。
実施例1〜21は、線熱膨張係数が1.5倍以上差のある第1基板(ガラス基板)と第2基板(FR4基板)とを電気的に接続するフレキシブルプリント配線板の配線として用いたときに、フレキシブルプリント配線板に−65℃〜+150℃の温度変化を300回繰り返しても配線断線しなかった。
比較例1は、厚さ0.1mm以下の冷間圧延で1パスの加工度が10%を超えてもその後に焼鈍しておらず、繰り返し歪を210回与えたときに配線断線した。
比較例2は、厚さ0.1mm以下の冷間圧延で平均加工度10%以下にしておらず、繰り返し歪を200回与えたときに配線断線した。
比較例3及び4は、圧延銅箔を用いておらず、繰り返し歪をそれぞれ150回、240回与えたときに配線断線した。
Claims (9)
- 結晶の金属組織の測定点に電子線を照射して得られた結晶方位と、前記測定点の周囲に0.5μm離間して位置する複数の隣接測定点に電子線を照射して得られた結晶方位との方位角度差が15°以上の部位を結晶粒界としたとき、400℃で1時間の焼鈍後に測定した前記結晶粒界の長さが95cm/mm2以下である圧延銅箔。
- 400℃で1時間の焼鈍後に測定した前記結晶粒界の長さが90cm/mm2以下である請求項1に記載の圧延銅箔。
- 線膨張係数が1.2倍以上差のある第1基板と第2基板とを電気的に接続するフレキシブルプリント配線板の配線として用いたときに、前記フレキシブルプリント配線板に−65℃〜150℃の温度変化を300回繰り返しても前記配線にクラックが発生しない請求項1又は2に記載の圧延銅箔。
- Ag、Sn、In、Zr及びZnからなる群から選択された1種又は2種以上を合計で10〜1300質量ppm含む請求項1〜3のいずれかに記載の圧延銅箔。
- 厚さが5〜70μmである請求項1〜4のいずれかに記載の圧延銅箔。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の銅箔を備えた銅張積層板。
- 請求項6に記載の銅張積層板を材料としたフレキシブルプリント配線板。
- 端子部又は配線部の少なくとも一部にSn層及び/又はSn銅合金層が施された請求項7に記載のフレキシブルプリント配線板。
- 請求項8に記載のフレキシブルプリント配線板と、前記フレキシブルプリント配線板で電気的に接続された第1の基板及び第2の基板とを備えた電子機器。
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JP2015000990A (ja) * | 2013-06-13 | 2015-01-05 | Jx日鉱日石金属株式会社 | 導電性及び曲げたわみ係数に優れる銅合金板 |
Citations (2)
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JP2006253247A (ja) * | 2005-03-09 | 2006-09-21 | Shindo Denshi Kogyo Kk | フレキシブルプリント配線板、およびその製造方法 |
WO2008050584A1 (fr) * | 2006-10-24 | 2008-05-02 | Nippon Mining & Metals Co., Ltd. | Feuille de cuivre enroulee presentant une excellente resistance a la flexion |
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