JP2013066870A - 中空糸膜モジュールの補修方法及び中空糸膜モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】中空糸膜モジュールが有する中空糸膜11に生じたリーク部30を補修する方法であって、中空糸膜11のリーク部30の膜内に補修剤40を充填し、リーク部30を塞いだ状態で補修剤40を硬化させる補修工程を有する、中空糸膜モジュールの補修方法。また、該補修方法で補修した中空糸膜モジュール。
【選択図】図4
Description
(i)リーク部が生じた中空糸膜の開口端に紫外線硬化型樹脂を充填して硬化させ、該中空糸膜の開口端を塞ぐ方法(特許文献1)。
(ii)リーク部が生じた中空糸膜の開口端にホットメルト樹脂を充填して硬化させ、該中空糸膜の開口端を塞ぐ方法(特許文献2)。
つまり、前記方法(i)及び(ii)は、いずれもリーク部が生じた中空糸膜の開口端を塞いで、該中空糸膜を濾過に使用しないようにする補修方法である。
(iii)ポッティング材による接着固定部分の被処理水側の中空糸膜の外周部に、リーク部を覆うように液状の水性フッ素系ゴムを供給して固形化させる方法(特許文献3)。
前記中空糸膜のリーク部の膜内に硬化性の補修剤を充填し、前記リーク部を塞いだ状態で前記補修剤を硬化させる補修工程を有する方法である。
前記中空糸膜モジュールは、複数本の中空糸膜が集束され、その一方又は両方の端部が開口した状態で、両端がポッティング材により集水管に接着固定されている浸漬型モジュールであることが好ましい。
前記補修剤は、注射針から前記中空糸膜のリーク部の膜内に注入して充填することが好ましい。
また、前記中空糸膜のリーク部の膜内に前記補修剤を充填した後、該中空糸膜にバブルポイント以下の圧力で気体を圧入し、前記補修剤をリーク部に凝集させた状態で硬化させることが好ましい。
前記注射針の外径は、1mm以下であることが好ましい。
前記補修剤は、エポキシ樹脂であることが好ましい。
前記補修剤の硬化前の粘度は、500〜20000mPa・sであることが好ましい。
本発明の中空糸膜モジュールは、本発明の補修方法により補修された中空糸膜モジュールである。
本発明の中空糸膜モジュールは、本発明の補修方法によって中空糸膜に生じたリーク部が安定して補修されており、かつ補修後の処理効率の低下も抑制されている。
図1は、本発明の補修方法で補修される中空糸膜モジュールの一例を示す正面図である。
中空糸膜モジュール10は、シート状に配列された複数本の中空糸膜11と、中空糸膜11の長さ方向の両端部に設けられた2本の集水管20a,20bからなる集水部とを備え、全体として平たい矩形の形状を有している。各々の中空糸膜11の両端部は、開口した状態でポッティング材により集水管20a,20b内に着脱不能に接着固定され、中空糸膜11の中空部と集水管20a,20b内の流路が連通している。
なお、中空糸膜11の端部は、両端が開口端であることが好ましいが、一方のみが開口端で、他方の端部が封止されていてもよい。
また、その集水部は、集水管20a,20bが中空糸膜11の両端部に着脱不能に固定された形態であるため、耐圧性が優れるとともに、構成がシンプルであって集積度の点で好ましい。
以下、本発明の中空糸膜モジュールの補修方法の一例として、中空糸膜モジュール10の中空糸膜11に生じたリーク部30の補修方法について説明する。中空糸膜モジュール10の補修方法としては、例えば、下記のリーク検査工程、補修工程及び補修確認工程を有する方法が挙げられる。
リーク検出工程:リーク検査を行って中空糸膜11に生じたリーク部30を検出する。
補修工程:図4に示すように、中空糸膜11のリーク部30の膜内に硬化性の補修剤40(以下、単に「補修剤40」という。)を充填し、リーク部30を塞いだ状態で補修剤40を硬化させる。
補修確認工程:前記補修工程後に、再度リーク検査を行ってリーク部30が補修されていることを確認する。
リーク部30を検出するリーク検査方法としては、微粒子を用いた検査方法や、いわゆる吸引法等が挙げられる。なかでも、中空糸膜モジュール10を水又は水溶液の中に浸漬した状態で、この中空糸膜モジュール10に対して、中空糸膜モジュール10の濾過方向の逆方向に気体を圧入して、気泡の発生箇所からリーク部30の位置を特定する方法が好ましい。具体的には、中空糸膜モジュール10をエタノール水溶液等の有機溶剤水溶液に浸漬し、その状態で気体を圧入する方法や、中空糸膜モジュール10をエタノール水溶液に浸漬して膜表面を親水化し、親水化された中空糸膜モジュール10を一旦取り出し、水の入った水槽に浸漬しなおし、その状態で気体を圧入する方法がある(例えば特開2001−205056号公報参照。)。また、有機溶剤水溶液に代えて、界面活性剤水溶液を用いる場合もある。
このような加圧気体を用いたリーク検査方法は、検出感度が高く、広く採用されている。
中空糸膜モジュール10の中空糸膜11内の水を排出させ、図5に示すように、シリンジ51及びシリンジ51の先端に取り付けられた注射針52を有する注射器50を用い、注射針52を中空糸膜11のリーク部30内に挿入し、シリンジ51内に収容した補修剤40を注射針52から、中空糸膜11のリーク部30の膜内に注入して充填し、図4に示すように、リーク部30を塞いだ状態で補修剤40を硬化させる。
本発明の補修方法では、このように、中空糸膜11のリーク部30の膜内に補修剤40を充填して、リーク部30を補修剤40で塞ぐことで補修する。そのため、リーク部30が生じた中空糸膜11の開口端を塞がずに、リーク部30から被処理液が濾過水に漏れ込むことを防ぐことができるので、中空糸膜11におけるリーク部30の両側の膜部分は補修後も濾過に利用できる。よって、補修後の処理効率の低下が抑制される。
また、リーク部30に補修剤40を塗布して硬化させることでリーク部30を塞いで補修することも考えられるが、この方法を試みたところ、補修箇所の耐久性が充分に得られなかった。これに対し、本発明の補修方法は、リーク部30の膜内に補修剤40を充填して硬化させることでリーク部30を塞ぐので、補修剤40の硬化物がリーク部30から脱離し難く、補修した中空糸膜11を補修後に濾過に利用しても補修箇所の耐久性が充分に得られる。
なお、括弧内は、注射針の太さを表すG(ゲージ)という単位を用いて外径を示したものであり、数字が大きいほど外径が細くなる。
補修前の乾燥が不要であると、乾燥に要する時間を削減できるだけでなく、乾燥により中空糸膜が湿熱収縮を起こして有効膜面積が変動することを回避できる。また、中空糸膜を一旦乾燥させてしまうと、リーク部の補修後にリーク部が確実に閉塞されたかどうかを確認する補修確認工程や、中空糸膜モジュールを被処理水中に戻す時に、中空糸膜を再度親水化させる必要が生じ、時間や手間がかかる。これに対して、補修前に乾燥しない場合には、再度親水化させる作業が不要となり、時間も手間も削減できる。また、乾燥と親水化を繰り返すことによる中空糸膜の湿熱収縮による形状変化も回避できる。さらに、補修前に乾燥が不要であると、乾燥設備のある施設まで中空糸膜モジュール10を移動させる必要がなく、その使用現場、すなわち浄水場や下水処理場等で、速やかに補修することができる。これによりリーク部30の補修に伴う作業に要する時間、手間を大幅に削減でき、現場での作業効率が格段に向上する。
補修剤40としては、ポッティング材と同種の補修剤がより好ましい。また、耐水性に優れることから、エポキシ樹脂が特に好ましい。
気体を圧入する方向は、中空糸膜11の開口端側から膜の長さ方向の中央に向かう方向、すなわち、被処理水を加圧して中空糸膜11の外側から内側に水を透過させて濾過水を得る場合の濾過方向と反対方向が好ましい。中空糸膜11の両端が開口端となっている場合は、中空糸膜11の両方の開口端側から気体を圧入する。
なお、前記バブルポイントとは、中空糸膜11に開口端側から気体を圧入したときに、リーク部30から気泡が発生する最低圧力である。
補修工程で補修した中空糸膜モジュール10に対してリーク検査を行い、リーク部30が補修できているかどうかを確認する。
補修確認工程におけるリーク検査は、前記リーク検査工程と同様にして行える。
なお、本発明の補修方法は、前記した方法には限定されない。例えば、補修方法において、補修剤を注入する際に注射針を使用しなくてもよい。また、注射針を使用する場合でも、例えば補修剤がカートリッジ型であるとき等は、カートリッジに注射針を装着して補修剤の注入を行ってもよい。
また、リーク検査工程、補修確認工程の一方又は両方を行わない方法であってもよい。
[実施例1]
PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維を編むことにより中空状に加工し、その表面にPVDF(ポリフッ化ビニリデン)多孔質部を形成した多孔質中空糸膜(三菱レイヨン(株)製、内径1000μm、外径2800μm)を多数本備え、これらの中空糸膜が露出している状態の浸漬型の中空糸膜モジュールについて、以下のようにして、リーク検査工程、補修工程及び補修確認工程を行った。
上述の中空糸膜モジュールを親水化溶液(日信化学工業(株)製、オルフィンEXP4036、0.3wt%水溶液:表面張力25.8mN/m)に10分間浸漬後、一旦取り出し、水の入った水槽に浸漬しなおし、その状態で、中空糸膜モジュールの中空糸膜に対して内側から加圧空気を100kPaで注入し、リーク検査を実施した。
中空糸膜から気泡が発生した箇所をリーク部としてマーキングした後、中空糸膜モジュール内部の水を排出させ、リーク部とその周囲の液滴を水が滴下しない程度にウェスペーパーでぬぐった。
補修工程:
補修剤として、カートリッジ型の二液硬化エポキシ接着剤(Henkel製 E−30CL)を使用し、そのカートリッジの先端に外径0.8mm(21G)の注射針(テルモ製)を取り付け、該注射針をリーク部に挿入し、中空糸膜のリーク部の膜内に補修剤を3mL注入して充填し、硬化させた。
補修確認工程:
硬化後、前記リーク検査工程と同様にしてリーク検査を行い、リーク部が補修されていることを確認したところ、気泡の発生はなく、リーク部が補修されていることが確認された。
実施例1と同様にしてリーク検査を実施し、気泡として検出されたリーク部にマーキングを行い、モジュール内部の水を排出した後、濾過方向と逆方向にバブルポイント以下の20kPaで乾燥空気を圧入して中空糸膜を乾燥させた。
次いで、実施例1と同様にして中空糸膜のリーク部の膜内に補修剤を注入して充填し、濾過方向と逆方向にバブルポイント以下の20kPaで乾燥空気を5分間圧入しながら補修剤を硬化させた。
次いで、実施例1と同様にしてリーク検査を行い、リーク部が補修されていることを確認したところ、気泡の発生はなく、リーク部が補修されていることが確認された。
実施例1と同様にしてリーク検査工程を実施した後、補修工程において、補修剤である二液硬化エポキシ接着剤(Henkel製 E−30CL)をリーク部周辺の表面に塗布し、硬化させることでリーク部を塞いで補修を行った。次いで、実施例1と同様にして補修確認工程を実施したところ気泡の発生はなく、リーク部が補修されていることが確認された。
前記補修方法により補修した後の中空糸膜モジュールを用いて、水中で1000時間の濾過運転を行い、その後、再度リーク検査を実施したところ、気泡が発生し、濾過運転中に補修箇所の一部が剥離したことが確認された。
11 中空糸膜
20a,20b 集水管
30 リーク部
40 補修剤
50 注射器
51 シリンジ
52 注射針
Claims (8)
- 中空糸膜モジュールが有する中空糸膜に生じたリーク部を補修する方法であって、
前記中空糸膜のリーク部の膜内に硬化性の補修剤を充填し、前記リーク部を塞いだ状態で前記補修剤を硬化させる補修工程を有する、中空糸膜モジュールの補修方法。 - 前記中空糸膜モジュールが、複数本の中空糸膜が集束され、その一方又は両方の端部が開口した状態で、両端がポッティング材により集水管に接着固定されている浸漬型モジュールである、請求項1に記載の中空糸膜モジュールの補修方法。
- 前記補修剤を、注射針から前記中空糸膜のリーク部の膜内に注入して充填する、請求項1又は2に記載の中空糸膜モジュールの補修方法。
- 前記中空糸膜のリーク部の膜内に前記補修剤を充填した後、該中空糸膜にバブルポイント以下の圧力で気体を圧入し、前記補修剤をリーク部に凝集させた状態で硬化させる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の中空糸膜モジュールの補修方法。
- 前記注射針の外径が1mm以下である、請求項3に記載の中空糸膜モジュールの補修方法。
- 前記補修剤がエポキシ樹脂である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の中空糸膜モジュールの補修方法。
- 前記補修剤の硬化前の粘度が500〜20000mPa・sである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の中空糸膜モジュールの補修方法。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法により補修された中空糸膜モジュール。
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