JP2013066446A - σD因子抑制解除株及びそれを用いたタンパク質の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】異種タンパク質をコードする遺伝子を、σD因子依存型プロモーターの制御下に連結して導入した宿主微生物において、σD因子の抑制を解除すること。
【選択図】なし
Description
(1) σD因子依存型プロモーターの制御下にある、LacZ以外の異種タンパク質をコードする遺伝子を導入した微生物であって、σD因子の翻訳抑制及び/又は活性抑制が解除された微生物。
(2) 前記翻訳抑制及び/又は活性抑制の解除が、枯草菌fliTSD、yvyC、hag、csrA、yviFE、flgLK、yvyG、flgM及びyvyFからなる遺伝子群又はこれら遺伝子に相当する遺伝子のうち、少なくともflgM遺伝子又はこれに相当する遺伝子を含む1以上の欠失又不活性化、又はcsrA遺伝子及びflgM遺伝子又はこれらに相当する遺伝子を含む2つ以上の欠失又は不活性化によりなされる、上記(1)記載の微生物。
(3) 前記翻訳抑制及び/又は活性抑制の解除が、枯草菌fliTSD、yvyC、hag、csrA、yviFE、flgLK、yvyG、flgM及びyvyFからなる遺伝子群又はこれらの遺伝子に相当する遺伝子群を含んでなる染色体領域の欠失又は不活性化によりなされる、上記(2)記載の微生物。
(4) 前記σD因子依存型プロモーターが、下記に記載の−35領域及び−10領域のコンセンサス配列を含むいずれかのプロモーターであることを特徴とする、上記(1)から(3)のいずれか1項記載の微生物。
(6) バチルス属細菌である上記(1)から(5)のいずれか1項記載の微生物。
(7) 前記バチルス属細菌が枯草菌である、上記(6)記載の微生物。
(8) 上記(1)から(7)のいずれか1項記載の微生物を用いた、LacZ以外の目的タンパク質の製造方法。
(flgM+csrA二重欠失株:配列番号1及び2(flgM遺伝子欠失用)、及び配列番号3及び4(csrA遺伝子欠失用);Fla領域欠失株:配列番号5及び6)を作製した。
枯草菌σDのアンチシグマとして知られているFlgMをコードする遺伝子flgMの欠失株は、以下の方法により構築した。枯草菌168株から抽出したゲノムDNAを鋳型として、表2に示すプライマーflgM−F1(配列番号7)とflgM−R1(配列番号8)、flgM−F2(配列番号9)とflgM−R2(配列番号10)の各プライマーセットを用いて、ゲノム上のflgM遺伝子領域の上流(A)と下流(B)に隣接するそれぞれ約500bpの断片をPCRにより増幅した。また、スペクチノマイシン耐性遺伝子を有するプラスミドpAPNC213(Microbiology,148,3539−3552(2002))を鋳型として、表2に示すrPCR−specF(配列番号23)とrPCR−specR(配列番号24)のプライマーセットを用いてスペクチノマイシン耐性遺伝子カセット(C)をPCRにより増幅した。次に、得られた(A)(B)(C)3断片を混合して鋳型とし、flgM−F1とflgM−R2のプライマーを用いてSOE(splicing by overlap extension)−PCR法(Gene,77,61(1989))を行ない、3断片を(A)−(C)−(B)の順になる様に結合させ、遺伝子欠失用のDNA断片を得た(図1)。このDNA断片を用いて、コンピテントセル法により枯草菌168株の形質転換を行い、スペクチノマイシン(100mg/L)を含むLB寒天培地上に生育したコロニーを形質転換体として分離した。得られた形質転換体からゲノムDNAを抽出し、これを鋳型とするPCRによってflgM遺伝子がクロラムフェニコール耐性遺伝子と置換されていることを確認した。以上のようにして得られた変異株をflgM::spec株とした。
大腸菌でmRNAからの翻訳制御因子として知られているCsrAをコードするcsrA遺伝子の欠失株は、以下の方法により構築した。枯草菌168株から抽出したゲノムDNAを鋳型として表2に示すプライマーcsrA−F1(配列番号11)とcsrA−R1(配列番号12)、csrA−F2(配列番号13)とcsrA−R2(配列番号14)の各プライマーセットを用いて、ゲノム上のcsrA遺伝子領域の上流(A)と下流(B)に隣接するそれぞれ約500bpの断片をPCRにより増幅した。また、クロラムフェニコール耐性遺伝子を有するプラスミドpDLT3(Microbiology,148,3539−3552(2002))を鋳型として、表4に示すrPCR−CmF(配列番号25)とrPCR−CmR(配列番号26)のプライマーセットを用いてクロラムフェニコール耐性遺伝子カセット(C)をPCRにより増幅した。次に、得られた(A)(B)(C)3断片を混合して鋳型とし、csrA−F1とcsrA−R2のプライマーを用いてSOE(splicing by overlap extension)−PCR法(Gene,77,61,1989)を行ない、3断片を(A)−(C)−(B)の順になる様に結合させ、遺伝子欠失用のDNA断片を得た(図2)。このDNA断片を用いて、コンピテントセル法により枯草菌168株と実施例1で作製したflgM::spec株の形質転換を行い、クロラムフェニコール(5mg/L)を含むLB寒天培地上に生育したコロニーを形質転換体として分離した。得られた形質転換体からゲノムDNAを抽出し、これを鋳型とするPCRによって、csrA遺伝子がスペクチノマイシン耐性遺伝子と置換されていることを確認した。以上のようにして得られた変異株をそれぞれcsrA::cm株と168ΔflgMΔcsrA株とした。
本実施例では、枯草菌168株のゲノム上のyvyD遺伝子とcomFC遺伝子に挟まれる領域で、走化性に関与する遺伝子群領域(以後、Fla領域)を欠失させた変異株を、森本らの方法(Genes&Genetic Systems,84,315(2009))に従い作製した。またそのフローを図3に示す。
枯草菌TMO310株(Genes&Genetic Systems,84,315(2009))の染色体DNAを鋳型として、APNC−Fプライマー(配列番号27)とchpA−Rプライマー(配列番号28)を用いて、PCRにより選択マーカー遺伝子カセットDNA断片を増幅した。
枯草菌168株の染色体DNAを鋳型として、欠失対象領域の5’外側領域(断片A)、欠失対象領域の3’外側領域(断片B)の2断片を、それぞれFla−DF1(配列番号15)とFla−DR1(配列番号16)、及びFla−DF2(配列番号17)とFla−DR2(配列番号18)のプライマーセットを用いて、PCRにより増幅した(図3)。また、Fla−IF(配列番号19)とFla−IR(配列番号20)のプライマーセットを用いて、PCRによりFla領域内部配列(断片C)を増幅した(図3)。
上述のように取得された供与体DNAを用いて、枯草菌168株を形質転換した。形質転換は、コンピテントセル形質転換法により行い、1μg以上のPCR産物(供与体DNA)を400μlのコンピテントセルに添加し、更に1.5時間培養し、第1相同組み換え(図3)を行った。
168(Fla::spec,lacI,Pspac−chpA)株を、LB液体培地で一晩培養した。培養液を希釈後、1mM IPTGを添加したLB寒天プレートに塗布した結果、コロニー形成が確認された。IPTG含有LB寒天プレート上で生存し、コロニー形成が確認されたこれらの形質転換枯草菌は、ゲノム内相同組み換えによって上記供与体DNAとともにA断片とB断片に挟まれる領域がゲノムDNAから欠失したものである(図3)。更に、本実施例では、以上により得られた形質転換枯草菌の単コロニーについて、欠失対象領域(Fla領域)の欠失を、Fla−checkFプライマー(配列番号21)とFla−checkRプライマー(配列番号22)を用いて、PCRにより確認した(図3)。得られた株を168ΔFla株とした。
図4に示すように、アルカリセルラーゼ遺伝子上流領域にSigD依存型のプロモーター配列を挿入したプラスミドを構築し。具体的には、枯草菌168株から抽出したゲノムDNAを鋳型として、表5に示すB−Phag Fw(配列番号29)とPhag−Ssig Rv(配列番号30)のプライマーセットを用いて、ゲノム上のhag遺伝子領域の上流に隣接する約0.3kbp断片(A)をそれぞれ調製した。また、シャトルベクターpHY300PLKのBamHI制限酵素切断点に、バチルス属細菌 KSM−S237株(FERM BP−7875)由来のS237アルカリセルラーゼ遺伝子(特開2000−210081号公報参照)をコードするDNA断片を挿入した組換えプラスミドpHY−S237を鋳型とし、表3に示すPhag−Ssig Fw(配列番号31)とB−Ster Rv(配列番号32)のプライマーセットを用いて、約2.4kbp断片(B)を調製した。次いで、得られた(A)(B)2断片を混合して鋳型とし、表3に示すB−Phag Fw(配列番号29)とB−Ster Rv(配列番号32)のプライマーセットを用い、SOE−PCRを行い、2断片が(A)(B)の順に結合した約2.7kbpのDNA断片(C)を得た。得られたDNA断片(C)を、シャトルベクターpHY300PLKのBamHI制限酵素切断点に挿入し、組換えプラスミドpHY−Phag−S237を構築した。
実施例1から実施例3で構築したflgM::spec株、csrA::cm株、168ΔflgMΔcsrA株、168ΔFla株、及び枯草菌168株に、実施例5で構築したアルカリセルラーゼ遺伝子発現用プラスミドを導入した。また、SigA依存型プロモーターであるS237プロモーター領域の下流にS237セルラーゼ遺伝子を挿入したプラスミドpHY−S237を枯草菌168株に導入し、コントロールとして用いた。
Claims (8)
- σD因子依存型プロモーターの制御下にある、LacZ以外の異種タンパク質をコードする遺伝子を導入した微生物であって、σD因子の翻訳抑制及び/又は活性抑制が解除された微生物。
- 前記翻訳抑制及び/又は活性抑制の解除が、枯草菌のfliTSD、yvyC、hag、csrA、yviFE、flgLK、yvyG、flgM及びyvyFからなる遺伝子群、又はこれら遺伝子に相当する遺伝子群のうち、少なくともflgM又はこれに相当する遺伝子の一つ以上の欠失又は不活性化によりなされる、又はcsrA遺伝子及びflgM遺伝子又はこれらに相当する遺伝子を含む2つ以上の欠失又は不活性化によりなされる、請求項1記載の微生物。
- 前記翻訳抑制及び/又は活性抑制の解除が、枯草菌のfliTSD、yvyC、hag、csrA、yviFE、flgLK、yvyG、flgM及びyvyFからなる遺伝子群またはこれらに相当する遺伝子群を含んでなる染色体領域の欠失又は不活性化によりなされる、請求項2記載の微生物。
- 前記σD因子依存型プロモーターが、cheV、degR、dltA,epr、flgB、fliH、fliK、fliL、hag、lytA、lytD、lytF、mcpA、mcpB、mcpC、motA、nfrA、sigA、tlpA、tlpB、tlpC、xfmT、ybdO、yfmT、hemAT、yjbJ、yjcP、yjfB、ylqB、yoaH、yscb、yvyC、yvyF、ywtD及びyxkCからなる群から選ばれる遺伝子のプロモーター又はこれらに相当するプロモーターである、請求項1から4のいずれか1項記載の微生物。
- バチルス属細菌である請求項1から5のいずれか1項記載の微生物。
- 前記バチルス属細菌が枯草菌である、請求項6記載の微生物。
- 請求項1から7のいずれか1項記載の微生物を用いた、目的タンパク質の製造方法。
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