JP2013064983A - カラーフィルタ用赤色顔料分散液及びその製造方法、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物及びその製造方法、カラーフィルタ、並びに、液晶表示装置及び有機発光表示装置 - Google Patents
カラーフィルタ用赤色顔料分散液及びその製造方法、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物及びその製造方法、カラーフィルタ、並びに、液晶表示装置及び有機発光表示装置 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】アントラキノン骨格を有する赤色顔料と、黄色顔料のスルホン化誘導体と、顔料分散剤と、溶媒とを含有し、前記顔料分散剤が、エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であって、さらにエチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマー由来のアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体である、カラーフィルタ用赤色顔料分散液である。
【選択図】なし
Description
このような状況において、液晶ディスプレイをカラー表示化させる機能を有するカラーフィルタにおいても、高輝度化や高コントラスト化、色再現性の向上といった要望が高まっている。特に最近は、バックライトの消費電力低減やLEDバックライトの特性に起因して、カラーフィルタの高輝度化の要望が高まっている。
また上述した課題は、今後普及されていくことが予想される有機ELディスプレイにおいても同様であり、高輝度化や色再現性の向上については当該ディスプレイにおいても解決すべき問題であった。
このような着色層の形成方法としては、顔料分散法、染色法、電着法、印刷法などが知られている。中でも、分光特性、耐久性、パターン形状及び精度等の観点から、平均的に優れた特性を有する顔料分散法が最も広範に採用されている。
上記のようなアントラキノン骨格を有する赤色顔料にアントラキノン骨格を有する赤色顔料のスルホン化誘導体との組合せでは、スルホン化誘導体において電子吸引基であるスルホ基によって吸収波長が元の赤色顔料より長波長シフトしてしまい、その添加によって元の赤色顔料の分光スペクトルがより青味にかつ、透過率が減少するという問題があった。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
前記赤色顔料分散液と、感光性バインダー成分とを混合する工程を有し、前記顔料分散剤が、エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であって、さらにエチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマー由来のアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体であることを特徴とする。
Rbは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(Rc)−CH(Rd)−O]s−Re、−[(CH2)t−O]u−Re、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(Rc)−CH(Rd)−O]s−Re、又は−[(CH2)t−O]u−Reで示される1価の基である。
Rc及びRdは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Reは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CH2CHO、−CO−CH=CH2、−CO−C(CH3)=CH2又は−CH2COORfで示される1価の基であり、Rfは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
Ra、Ra’、及びRbにおいて、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ、置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
R8は、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CH2CHO又は−CH2COOR11で示される1価の基であり、R9は、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、シアノ基、−[CH(R6)−CH(R7)−O]x−R8、−[(CH2)y−O]z−R8、又は−[CO−(CH2)y−O]z−R8で示される1価の基である。R10は、炭素数1〜18のアルキル基であり、R11は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
mは1〜5の整数、n及びn’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
更に、本発明は、上記カラーフィルタと、有機発光体とを有することを特徴とする有機発光表示装置を提供する。
なお、本発明において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことを言う。また本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートのいずれかであることを意味する。
また、C.I.ピグメントレッドを「PR」と、C.I.ピグメントイエローを「PY」と略することがある。
本発明に係るカラーフィルタ用赤色顔料分散液は、アントラキノン骨格を有する赤色顔料と、黄色顔料のスルホン化誘導体と、顔料分散剤と、溶媒とを含有し、前記顔料分散剤が、エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であって、さらにエチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマー由来のアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体(以下、塩型グラフト共重合体と称することがある)であることを特徴とする。
アントラキノン骨格を有する赤色顔料を溶媒中で分散する際に、黄色顔料のスルホン化誘導体と、上記塩型グラフト共重合体である顔料分散剤とを組み合わせた顔料分散剤の存在下で分散を行うことにより、アントラキノン骨格を有する赤色顔料の分散性及び分散安定性が向上し、高輝度で、且つ高コントラスト化の要求を達成可能な顔料分散液、感光性樹脂組成物が得られる。
本発明によれば、アントラキノン骨格を有する赤色顔料を溶媒中で分散する際に、黄色顔料のスルホン化誘導体を用いる。黄色顔料のスルホン化誘導体は共役系に窒素原子やカルボニル基を持つものが多いため、前記共役系にアミノ基やカルボニル基を持つアントラキノン骨格を有する赤色顔料と、水素結合や、同様の骨格による親和性の向上によって、赤色顔料の表面に吸着することにより、赤色顔料の表面を酸性にし、アントラキノン骨格を有する赤色顔料そのものよりも、顔料分散剤との親和性を高める、顔料分散剤との仲介役を果たすものと推定される。また、黄色顔料のスルホン化誘導体は、赤色顔料のスルホン化誘導体と異なり、元々の色が着色力の低い黄色であるため、アントラキノン骨格を有する赤色顔料の透過波長よりも、より短波長の光まで透過することにより、赤色顔料の色を大きく変化させることなく、赤色顔料分散液の輝度を向上する役割を果たす。
このような顔料分散剤と黄色顔料のスルホン化誘導体とを組み合わせて用いると、アントラキノン骨格を有する赤色顔料を微細化しつつ、微細化されて露出された顔料表面に黄色顔料のスルホン化誘導体と顔料分散剤が適切に吸着して溶媒中での顔料の安定化を図ることができ、アントラキノン骨格を有する赤色顔料をより均一に微細化することができると推定される。その結果、コントラストが向上した塗膜を得ることができる。
以下、このような本発明の赤色顔料分散液の各成分について順に詳細に説明する。
本発明において用いられるアントラキノン骨格を有する赤色顔料としては、特に限定されない。例えば、C.I.ピグメントレッド83、C.I.ピグメントレッド84、C.I.ピグメントレッド89、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド216等が挙げられる。
なお、上記顔料の平均粒径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、個々の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、その平均をその粒子の粒径とした。次に100個以上の粒子についてそれぞれ粒子の体積(質量)を、求めた粒径の直方体と近似して求め、体積平均粒径として求めそれを平均粒径とした。なお、電子顕微鏡は透過型(TEM)又は走査型(SEM)のいずれを用いても同じ結果を得ることができる。
顔料分散液中の顔料の平均分散粒径は、少なくとも溶剤を含有する分散媒体中に分散している顔料粒子の分散粒径であって、レーザー光散乱粒度分布計により測定されるものである。レーザー光散乱粒度分布計による粒径の測定としては、顔料分散液に用いられている溶剤で、顔料分散液をレーザー光散乱粒度分布計で測定可能な濃度に適宜希釈(例えば、1000倍など)し、レーザー光散乱粒度分布計(例えば、日機装社製ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150)を用いて動的光散乱法により23℃にて測定することができる。ここでの平均分布粒径は、体積平均粒径である。
アントラキノン骨格を有する赤色顔料は、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。
本発明の顔料分散液において用いられる、黄色顔料のスルホン化誘導体を誘導する黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、144、146、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等が挙げられる。
化学式(2): −SO2NH−(CH2)m−NR’R”
化学式(3): −SO2NH−(CH2)m−COOH
化学式(4): −SO2NH−(CH2)m−SO3H
化学式(2)において、R’及びR”はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の置換されていても良い飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基若しくは芳香族炭化水素基、又は、隣接する窒素原子と共に更に窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含んでいても良い複素環を形成したものを表す。
化学式(2)〜(4)において、mはそれぞれ独立に、1〜6の整数である。
また、黄色顔料のスルホン化誘導体には、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホン酸塩以外に、更にフタルイミドメチル基等の他の官能基が置換されていても良い。
本発明に用いられる顔料分散剤は、エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であって、さらにエチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマー由来のアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体である。
上記グラフト共重合体は、エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有するものである。
R2及びR3は、互いに同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
R6及びR7は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
xは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数であり、yは1〜5の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。zは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数である。本発明においては、x、y及びzが、上記の範囲にあれば、本発明の顔料分散液及びカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物は、顔料の分散性に優れたものになる。
このAとしては、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、メチレン基及びエチレン基がより好ましい。炭素数が1〜8の範囲内であれば、顔料の分散性を良好に保つことができる。
一般式(I)で表される窒素含有モノマーは、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
エチレン性不飽和二重結合を有する基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などが好ましく挙げられ、なかでも(メタ)アクリロイル基、ビニル基が好ましく、特に(メタ)アクリロイル基が好ましい。
R8は、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CH2CHO又は−CH2COOR11で示される1価の基であり、R9は、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、シアノ基、−[CH(R6)−CH(R7)−O]x−R8、−[(CH2)y−O]z−R8、又は−[CO−(CH2)y−O]z−R8で示される1価の基である。R10は、炭素数1〜18のアルキル基であり、R11は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
mは1〜5の整数、n及びn’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
R5における、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等が挙げられる。アラルキル基の炭素数は、7〜20が好ましく、更に7〜14が好ましい。
R5が芳香環を有する場合は、当該芳香環上に、更に置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、炭素数1〜4の直鎖状、分枝状のアルキル基の他、アルケニル基、ニトロ基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
上記R8で示される1価の基において、有してもよい置換基としては、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、F、Cl、Brなどのハロゲン原子などを挙げることができる。
上記R10及びR8のうちの炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基は、前記のR5で示したとおりである。
上記R5及びR9おいて、x、y及びzは、前記Aで説明したとおりである。
ここで、上記R5及びR9をこのように設定する理由は、上記R5及びR9を含む構成単位が、上記溶媒に対して溶解性を有し、上記モノマーのアミノ基と後述する有機酸化合物とが形成する塩形成部位が顔料に対して高い吸着性を有するものであることにより、顔料の分散性、及び安定性を特に優れたものとすることができるからである。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの質量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。なお、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)は、Polymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用することができる。
例えば、単独重合体ではガラス転移温度が30℃未満となるような構成単位であっても、ポリマー鎖の共重合成分として含まれ、上記計算式で表されるポリマー鎖全体の計算Tgが30℃以上となる場合には、本発明の感光性樹脂組成物のマクロモノマーとして、好適に用いることができる。
マクロモノマーを2種以上混合して用いる場合には、ガラス転移温度が30℃以上であるポリマー鎖を有するマクロモノマーが、マクロモノマー全体の50質量%以上、更に70質量%以上となるように用いることが好ましい。
本発明において用いられる有機酸化合物は、前述したアミノ基を有するモノマーのアミノ基と塩形成をするものであれば、特に限定されない。
本発明においては、上記有機酸化合物を用いることにより、顔料分散剤を、顔料の分散性及び安定性に優れたものとすることができ、さらに塩形成部位が、アルカリ現像時のアルカリ水溶液に対して高い溶解性を有することから、アルカリ現像性に優れたものとすることができる。
Rbは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(Rc)−CH(Rd)−O]s−Re、−[(CH2)t−O]u−Re、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(Rc)−CH(Rd)−O]s−Re、又は−[(CH2)t−O]u−Reで示される1価の基である。
Rc及びRdは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Reは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CH2CHO、−CO−CH=CH2、−CO−C(CH3)=CH2又は−CH2COORfで示される1価の基であり、Rfは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。Ra、Ra’、Rb、Re及びRfにおいて、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ、置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
上記炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基は、前記R5で示したとおりである。
上記炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基は、前記のR5で示したとおりであり、炭素数2〜18のアルケニル基は、前記のRa及びRa’で示したとおりである。尚、Ra”が芳香環を有する場合、該芳香環上に適当な置換基、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基などを有していてもよい。
上記Reで示される1価の基において、有してもよい置換基としては、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、F、Cl、Brなどのハロゲン原子などを挙げることができる。
上記Reのうちの炭素数1〜18のアルキル基は前記のR5で示したとおりであり、炭素数2〜18のアルケニル基は、前記のRa及びRa’で示したとおりである。
Ra、Ra’及びRa”において、sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数である。sは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数であり、tは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。uは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数である。
上記炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基は、前記のR5で示したとおりであり、炭素数2〜18のアルケニル基は、前記のRa及びRa’で示したとおりである。
Rbが、−O−Rb’の場合、酸性硫酸エステルとなる。上記Rb’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(Rc)−CH(Rd)−O]s−Re、又は−[(CH2)t−O]u−Reで示される1価の基である。
上記炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基は、前記のR5で示したとおりであり、炭素数2〜18のアルケニル基は、前記のRa及びRa’で示したとおりである。尚、Rb’が芳香環を有する場合、該芳香環上に適当な置換基、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基などを有していてもよい。
上記Rc、Rd及びReは、前記と同じである。
上記Rb及びRb’において、sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数である。好ましいs、t、uは、上記Ra、Ra’及びRa”と同様である。
顔料分散性、耐熱性、耐薬品性、及び耐アルカリ性の点からは、中でも特に、リン(P)や硫黄(S)にアリール基が直接結合した化合物であることが好ましく、Ra及びRa’のいずれか、或いは、Rbが、置換基を有していても良いアリール基であることが好ましい。
このような場合には、本発明のカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物を用いて着色層を形成する際の露光時に、上記重合性基同士及び/又は上記重合性基と、本発明のカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物に含まれるアルカリ可溶性樹脂及び多官能性モノマー等とを容易に重合することができ、カラーフィルタの着色層中において、上記顔料分散剤が、安定に存在することを可能とする。このようなカラーフィルタを用いて液晶表示装置を製造した際には、液晶層等へ上記顔料分散剤がブリードアウトすることを防止することができる。
中でも、該有機酸化合物の含有量は前記アミノ基に対して、0.2〜0.8モル当量であることが好ましい。このように、前記アミノ基に対して所定量の一部が塩形成され、所定量の一部がアミノ基としてグラフト共重合体中に残存することにより、顔料の吸着力、黄色顔料のスルホン化誘導体との相互作用が高まり、顔料分散性及び顔料分散安定性がより優れるようになる。また、顔料分散剤や樹脂組成物の粘度の増加を抑制したりむしろ粘度を低下させる効果がある。
尚、上記該有機酸化合物を2種以上併用する場合、これらを合計した含有量が上記範囲内にあればよい。
このような塩型グラフト共重合体を顔料分散剤として用いることにより、本発明のカラーフィルタ用顔料分散液、及びカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物を、顔料の分散安定性に優れたものとすることができる。
本発明において、顔料分散剤として用いる塩型グラフト共重合体の製造方法としては、前記のアミノ基を有するモノマーと、ポリマー鎖とその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基とからなるマクロモノマーとを共重合体成分として含有し、かつ窒素含有モノマーが有するアミノ基と、有機酸化合物とが塩を形成したものを製造することができる方法であればよく特に限定されない。本発明においては、例えば、前記モノマーと前記マクロモノマーと、必要に応じてその他のモノマーとを公知の重合手段を用いてグラフト重合させることが可能である。次いで、該溶媒中に上記有機酸化合物を添加し、攪拌することにより塩型グラフト共重合体を製造することができる。なお、上記重合においては、重合に一般的に用いられる添加剤、例えば重合開始剤、分散安定剤、連鎖移動剤などを用いてもよい。
なお本発明において、顔料誘導体以外の含有量を規定する際の、顔料には、顔料の他、顔料誘導体が含まれ、例えば、黄色顔料のスルホン化誘導体等も含まれる。
本発明に係るカラーフィルタ用赤色顔料分散液には、顔料を分散させるために溶媒が含まれる。顔料分散液に用いる溶媒としては、該顔料分散液中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶媒であればよく、特に限定されない。
本発明の顔料分散液に用いる溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、N−プロピルアルコール、i−プロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;メトキシアルコール、エトキシアルコールなどのセロソルブ系溶媒;メトキシエトキシエタノール、エトキシエトキシエタノールなどのカルビトール系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系溶媒;アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶媒;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)などのカルビトールアセテート系溶媒;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性アミド溶媒;γ−ブチロラクトンなどのラクトン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの不飽和炭化水素系溶媒;N−ヘプタン、N−ヘキサン、N−オクタンなどの飽和炭化水素系溶媒などの有機溶媒が挙げられる。これらの溶媒の中では、メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶媒;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)などのカルビトールアセテート系溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶媒;メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系溶媒;シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒が好適に用いられる。中でも、本発明に用いる溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(CH3OCH2CH(CH3)OCOCH3)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート及びシクロヘキサノンよりなる群から選択される1種以上であることが、他の成分の溶解性や塗布適性の点から好ましい。
本発明の顔料分散液は、以上のような溶媒を、当該溶媒を含む顔料分散液の全量に対して、通常は60〜85質量%の割合で用いて調製する。溶媒が少なすぎると、粘度が上昇し、顔料分散性が低下しやすい。また、溶媒が多すぎると、顔料濃度が低下し、樹脂組成物を調製後目標とする色度座標に達成することが困難な場合がある。
本発明の効果が損なわれない限り、他の顔料誘導体を含んでいても良い。このような顔料誘導体は、顔料骨格に官能基を付与し、様々な機能を顔料に付加する役割を持つ化合物である。顔料分散時に顔料誘導体を顔料に添加すると、顔料誘導体の顔料類似骨格が顔料表面に吸着もしくは結合し、それにより顔料の表面が極性を有するようになることによって、分散剤と顔料間の親和性が向上し、分散性、分散安定性を確保できると考えられている。
他の顔料誘導体としては、例えば、黄色顔料や赤色顔料のフタルイミドアルキル化誘導体等が挙げられる。当該顔料のフタルイミドアルキル化誘導体は、顔料の凝集を抑制し、特に高輝度で且つ高コントラスト化を達成可能やすくなる点から、好ましく用いられる。
本発明の顔料分散液には、本発明の効果が損なわれない限り、更に他の顔料が含まれていても良い。他の顔料としては、例えば、他の赤色顔料や、後述の赤色感光性樹脂組成物において述べるような、カラーフィルタの赤色着色層に必要な特定の色味を達成する点から黄色顔料が挙げられる。本発明においては、C.I.ピグメントレッド254のようなジケトピロロピロール系顔料を含まなくても、また、前記黄色顔料のスルホン化誘導体の原料である黄色顔料を含まなくても、顔料分散性や分散安定性が向上したものとなる。
本発明の顔料分散液には、さらに必要に応じて、顔料分散補助樹脂やその他の成分を配合しても良い。
顔料分散補助樹脂としては、例えば後述する感光性樹脂組成物で例示されるアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂の立体障害によって顔料粒子同士が接触しにくくなり、分散安定化することやその分散安定化効果によって分散剤を減らす効果がある場合がある。
また、本発明の効果が損なわれない限り、他の顔料分散剤を含んでいても良い。
また、その他の成分としては、例えば、濡れ性向上のための界面活性剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
本発明のカラーフィルタ用顔料分散液の製造方法は、上記溶媒中、上記エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であって、さらにエチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマー由来のアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体である顔料分散剤と、上記黄色顔料のスルホン化誘導体との存在下で、上記アントラキノン骨格を有する赤色顔料を分散させる工程を有する。
分散工程において、分散処理を行うための分散機としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル、ボールミル、振動ボールミル等のボールミル、ペイントコンディショナー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミルが挙げられる。ビーズミルの好ましい分散条件として、使用するビーズ径は0.03〜2.00mmが好ましく、より好ましくは0.05〜1.0mmである。
このようにして、顔料粒子の分散性に優れた顔料分散液が得られる。該顔料分散液は、顔料分散性に優れた本発明に係るカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物を調製するための予備調製物として好適に用いられる。
すなわち、顔料分散液とは、後述の感光性樹脂組成物を調製する前段階において、予備調製される(組成物中の顔料分/組成物中の顔料以外の固形分)比の高い顔料組成物である。具体的には、(組成物中の顔料分/組成物中の顔料以外の固形分)比は通常1.0以上である。顔料分散液と少なくともバインダー成分を混合することにより、顔料分散性に優れたカラーフィルタ用赤色樹脂組成物を調製することができる。
本発明に係るカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物は、少なくとも前記本発明に係るカラーフィルタ用赤色顔料分散液と、感光性バインダー成分とを含有することを特徴とする。
以下、このような本発明のカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物に用いられる成分を説明する。
なお、上記本発明に係るカラーフィルタ用赤色顔料分散液に含まれ得る成分については、上記顔料分散液の箇所において説明したものと同様のものを用いることができるので、他の顔料と他の顔料分散剤以外、ここでの説明は省略する。
本発明のカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物には、カラーフィルタにおける用途や仕様に必要とされる色度を達成でき、本発明の効果を損なわない限り、他の黄色顔料や他の赤色顔料、更に橙色等の他の顔料を含有していても良い。
他の顔料としては、前記本発明のカラーフィルタ用赤色顔料分散液において説明したものと同様のものが挙げられる。中でも、他の顔料としては、黄色顔料を含有することが、カラーフィルタの赤色着色層に必要な特定の色味を達成しながら、コントラストを向上する点から好ましい。
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー150もしくはその誘導体顔料、C.I.ピグメントイエロー138及びC.I.ピグメントイエロー139からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
ここで、C.I.ピグメントイエロー150の誘導体顔料としては、具体的には、少なくとも1種のゲスト化合物のホストとして働く下記化学式(6)またはそれの互変異性構造の1つに従うアゾ化合物のモノ、ジ、トリおよびテトラアニオンと金属Li,Cs,Mg,Cd,Co,Al,Cr,Sn,Pb、特に好適にはNa,K,Ca,Sr,Ba,Zn,Fe,Ni,Cu,MnおよびLaに相当する金属錯体を挙げることができる。
本発明においては、塗膜に充分な強度、耐久性、密着性を付与する点から、基板上に塗工又は転写などによりパターンを形成後、該塗膜を重合反応により硬化させることができる、バインダー成分を用いる。以下に説明する感光性バインダー成分の他に、エポキシ樹脂のような加熱により重合硬化させることができる熱硬化性のバインダー成分を更に用いてもよい。優れた顔料分散性を有する上記本発明に係る顔料分散液を用いて本発明に係る樹脂組成物を調製するにあたり、その優れた顔料分散性を阻害しないように、適宜バインダー成分を選択する必要がある。
本発明に係るカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物においては、ネガ型感光性バインダー成分であることが、フォトリソグラフィー法によって既存のプロセスを用いて簡便にパターンを形成できる点から好ましい。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂は側鎖にカルボキシル基を有するものであり、バインダー樹脂として作用し、かつパターン形成する際に用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に可溶性である限り、適宜選択して使用することができる。
本発明における好ましいアルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基を有する樹脂であり、具体的には、カルボキシル基を有するアクリル系共重合体、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。これらの中で特に好ましいものは、側鎖にカルボキシル基を有するとともに、さらに側鎖にエチレン性不飽和基等の光重合性官能基を有するものである。光重合性官能基を含有することにより形成される硬化膜の膜強度が向上するからである。また、これらアクリル系共重合体、及びエポキシアクリレート樹脂は、2種以上混合して使用してもよい。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更に芳香族炭素環を有する構成単位を含有していてもよい。芳香族炭素環は感光性樹脂組成物に塗膜性を付与する成分として機能する。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更にエステル基を有する構成単位を含有していてもよい。エステル基を有する構成単位は、感光性樹脂組成物のアルカリ可溶性を抑制する成分として機能するだけでなく、溶剤に対する溶解性、さらには溶剤再溶解性を向上させる成分としても機能する。
これらの中で、コポリマーにグリシジル基又は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加等することにより、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等は、露光時に、後述する多官能性モノマーと重合することが可能となり、着色層がより安定なものとなる点で、特に好適である。
エポキシ化合物としては、特に限定されるものではないが、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、またはビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物などのエポキシ化合物が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
このようにして得られるカルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート化合物の分子量は特に制限されないが、好ましくは1000〜40000、より好ましくは2000〜5000である。
本発明における多官能性モノマーとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物;ポリエステル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、スピラン樹脂等のオリゴ(メタ)アクリレート類;両末端ヒドロキシポリ−1,3−ブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレン、両末端ヒドロキシポリカプロラクトン等の両末端ヒドロキシル化重合体のジ(メタ)アクリレート類;トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)フォスフェート等を挙げることができる。
ネガ型感光性バインダー成分には、通常、使用する光源の波長に対して活性を有する光重合開始剤が配合される。光重合開始剤は、光重合成を有する重合体や光重合成モノマーの反応形式の違い(例えばラジカル重合やカチオン重合等)や、各材料の種類を考慮して適宜選択され、特に限定されない。
本発明の感光性樹脂組成物においては、着色層の色度調整の点から、顔料として、黄色顔料等他の顔料が更に用いられ得る。当該他の顔料を分散させるために、上記本発明に係る顔料分散液に用いられた顔料分散剤を用いても良いが、他の顔料分散剤を用いて分散させても良く、感光性樹脂組成物に他の顔料分散剤が含まれていても良い。
他の顔料分散剤としては、特に限定されず、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、次に例示するような高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。また、溶媒に少量溶解するような顔料誘導体を顔料分散剤として用いてもよい。
本発明のカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じ各種添加剤を含むものであってもよい。該添加剤としては、例えば重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、密着促進剤等などが挙げられる。
これらの中で、用いることができる界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類等を挙げることができる。また、その他にもフッ素系界面活性剤も用いることができる。
さらに、可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジル等が挙げられる。消泡剤、レベリング剤としては、例えばシリコン系、フッ素系、アクリル系の化合物等が挙げられる。
顔料の合計の含有量は、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物の固形分全量に対して、10〜40質量%、より好ましくは15〜35質量%の割合で配合することが好ましい。顔料が少なすぎると、感光性樹脂組成物を所定の膜厚(例えば、1.0〜3.0μm)に塗布した際の透過濃度が十分でないおそれがあり、また顔料が多すぎると、感光性樹脂組成物を基板上へ塗布し硬化させた際の基板への密着性、硬化膜の表面荒れ、塗膜硬さ等の塗膜としての特性が不十分となるおそれがあり、またその感光性樹脂組成物中の顔料分散に使われる分散剤の量の比率も多くなるために現像性、耐熱性等の特性も不十分になるおそれがある。尚、本発明において固形分は、上述した溶媒以外のもの全てであり、溶媒中に溶解している多官能性モノマー等も含まれる。
また、顔料分散剤の合計の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量に対して、1〜60質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも5〜50質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が、感光性樹脂組成物の固形分全量に対して、1質量%未満の場合には、顔料を均一に分散することが困難になる恐れがあり、60質量%を超える場合には、硬化性、現像性の低下を招く恐れがある。
アルカリ可溶性樹脂、多官能モノマー、及び光開始剤は、これらの合計量が、感光性樹脂組成物の固形分全量に対して15〜95質量%、好ましくは25〜80質量%の割合で配合するのが好ましい。
また、溶媒の含有量としては、着色層を精度良く形成することができるものであれば特に限定されるものではない。該溶媒を含む上記感光性樹脂組成物の全量に対して、通常、65〜95質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも75〜88質量%の範囲内であることが好ましい。上記溶媒の含有量が、上記範囲内であることにより、塗布性に優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物の製造方法は、溶媒中、黄色顔料のスルホン化誘導体と、顔料分散剤との存在下で、前記アントラキノン骨格を有する赤色顔料を分散させて赤色顔料分散液を調製する工程と、
前記赤色顔料分散液と、感光性バインダー成分とを混合する工程を有し、前記顔料分散剤が、エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であって、さらにエチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマー由来のアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体であることを特徴とする。
この場合には、本発明の感光性樹脂組成物の製造方法としては、本発明に係る顔料分散液と、他の顔料分散液と、感光性バインダー成分、必要に応じて更に、溶媒、各種添加成分とを添加し混合する方法を挙げることができる。
本発明のカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物は、予め顔料分散液を製造して用いるので、顔料の凝集を効果的に防ぎ、均一に分散させ得る点から好ましい。
[カラーフィルタ]
本発明のカラーフィルタは、前述した本発明のカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物を硬化させて形成されてなる着色層を有することを特徴とする。
このような本発明のカラーフィルタについて、図を参照しながら説明する。図1は、本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。図1によれば、本発明のカラーフィルタ10は、透明基板1と、遮光部2と、着色層3とを有している。
本発明のカラーフィルタに用いられる着色層は、前述した本発明のカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物を硬化させて形成されたものであればよく、特に限定されないが、通常、後述する透明基板上の遮光部の開口部に形成され、該カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物に含まれる顔料の種類によって、3色以上の着色パターンから構成される。
また、当該着色層の配列としては、特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
当該着色層の厚みは、塗布方法、カラーフィルタ用感光性樹脂組成物の固形分濃度や粘度等を調整することにより、適宜制御されるが、通常、1〜5μmの範囲であることが好ましい。
まず、前述した本発明のカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物を、スプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、コールコート法、スピンコート法などの塗布手段を用いて後述する透明基板上に塗布して、ウェット塗膜を形成させる。
次いで、ホットプレートやオーブンなどを用いて、該ウェット塗膜を乾燥させたのち、これに、所定のパターンのマスクを介して露光し、アルカリ可溶性樹脂及び多官能性モノマー等を光重合反応させて、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物の塗膜とする。露光に使用される光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線、電子線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗膜の厚みなどによって適宜調整される。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。加熱条件は、使用するカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物中の各成分の配合割合や、塗膜の厚み等によって適宜選択される。
現像処理後は、通常、現像液の洗浄、感光性樹脂組成物の硬化塗膜の乾燥が行われ、着色層が形成される。なお、現像処理後に、塗膜を十分に硬化させるために加熱処理を行ってもよい。加熱条件としては特に限定はなく、塗膜の用途に応じて適宜選択される。
本発明のカラーフィルタにおける遮光部は、後述する透明基板上にパターン状に形成されるものであって、一般的なカラーフィルタに遮光部として用いられるものと同様とすることができる。
当該遮光部のパターン形状としては、特に限定されず、例えば、ストライプ状、マトリクス状等の形状が挙げられる。この遮光部としては、例えば、黒色顔料をバインダ樹脂中に分散又は溶解させたものや、クロム、酸化クロム等の金属薄膜等が挙げられる。この金属薄膜は、CrOx膜(xは任意の数)及びCr膜が2層積層されたものであってもよく、また、より反射率を低減させたCrOx膜(xは任意の数)、CrNy膜(yは任意の数)及びCr膜が3層積層されたものであってもよい。
当該遮光部が黒色着色剤をバインダ樹脂中に分散又は溶解させたものである場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、遮光部用感光性樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法等を挙げることができる。
本発明のカラーフィルタにおける透明基板としては、可視光に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板を使用することができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
当該透明基板の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルタの用途に応じて、例えば100μm〜1mm程度のものを使用することができる。
なお、本発明のカラーフィルタは、上記透明基板、遮光部及び着色層以外にも、例えば、オーバーコート層や透明電極層、さらには配向膜や柱状スペーサ等が形成されたものであってもよい。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、前述した本発明のカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする。
このような本発明の液晶表示装置について、図を参照しながら説明する。図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。図2に例示するように本発明の液晶表示装置40は、カラーフィルタ10と、TFTアレイ基板等を有する対向基板20と、上記カラーフィルタ10と上記対向基板20との間に形成された液晶層30とを有している。
なお、本発明の液晶表示装置は、この図2に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた液晶表示装置として公知の構成とすることができる。
また、対向基板としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができる。
さらに、液晶層を構成する液晶としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、及びこれらの混合物を用いることができる。
真空注入方式では、例えば、あらかじめカラーフィルタ及び対向基板を用いて液晶セルを作製し、液晶を加温することにより等方性液体とし、キャピラリー効果を利用して液晶セルに液晶を等方性液体の状態で注入し、接着剤で封鎖することにより液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
また液晶滴下方式では、例えば、カラーフィルタの周縁にシール剤を塗布し、このカラーフィルタを液晶が等方相になる温度まで加熱し、ディスペンサー等を用いて液晶を等方性液体の状態で滴下し、カラーフィルタ及び対向基板を減圧下で重ね合わせ、シール剤を介して接着させることにより、液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
[有機発光表示装置]
本発明の有機発光表示装置は、前述した本発明のカラーフィルタと、有機発光体とを有することを特徴とする。
このような本発明の有機発光表示装置について、図を参照しながら説明する。図3は、本発明の有機発光表示装置の一例を示す概略図である。図3に例示するように本発明の有機発光表示装置100は、カラーフィルタ10と、有機発光体80とを有している。
カラーフィルタ10と、有機発光体80との間に、有機保護層50や無機酸化膜60を有していても良い。
なお、本発明の有機発光表示装置は、この図3に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた有機発光表示装置として公知の構成とすることができる。
11質量%発煙硫酸374.76質量部を10℃に冷却しながら攪拌し、ピグメントイエロー138 74.96質量部を加えた。次いで、90℃で6時間攪拌した。反応液を氷水1600質量部に加え、15分間攪拌した後、沈殿をろ過した。得られたウェットケーキを800質量部の水で3回洗浄した。ウェットケーキを80℃で真空乾燥し、下記式(8)(x=1)で表される黄色の黄色顔料スルホン化誘導体Aを得た。TOF−MSにより、目的物の分子量を確認した。
クロロ硫酸374.75質量部にピグメントイエロー138 62.46質量部を加えた。次いで、120℃で2時間後、75℃で塩化チオニル38.75質量部を滴下した。その後、80℃で3時間攪拌を行った。
反応液を氷水1093質量部に3℃以下に冷却しながら加えた。さらに氷を1300質量部を添加し、15分間攪拌し、沈殿をろ過した。得られたウェットケーキを氷冷しながら660質量部の氷水で洗浄した。水酸化ナトリウム11.77質量部、水23.92質量部、βアラニン24.30質量部を混合した後、氷水259.78質量部を加え、5℃以下に保ちながらウェットケーキを加えた。5℃以下で1時間攪拌後、25℃で30分、次いで50℃で30分、さらに70℃で30分攪拌した。放冷後、10%塩酸を加えてpH2とした。沈殿をろ過し、水560質量部で2回洗浄を行った。80℃で真空乾燥し、黄色顔料スルホン化誘導体Bを得た。TOF−MSにより、目的物の分子量を確認した。
11%発煙硫酸374.76質量部を10℃に冷却しながら攪拌し、ピグメントイエロー138 74.96質量部を加えた。次いで、90℃で6時間攪拌した。
反応液を氷水1600質量部に加え、15分間攪拌した後、沈殿をろ過した。得られたウェットケーキを800質量部の水で3回洗浄した。ウェットケーキに水600質量部を加え、60℃で1時間攪拌した。ジステアリルアンモニウムクロライド55.60質量部を加え、60℃で1時間攪拌を行った。沈殿をろ過し、600質量部の水で水洗を2回行った。80℃で真空乾燥し、黄色顔料スルホン化誘導体Cを得た。TOF−MSにより、目的物の分子量を確認した。
20%発煙硫酸300.0質量部を10℃に冷却しながら攪拌し、ピグメントレッド254を30.0質量部加えた。次いで、63℃で6時間攪拌した。
反応液を氷水3000質量部に加え、15分間攪拌した後、沈殿をろ過した。得られたウェットケーキを2000質量部の水で洗浄、ろ過した。80℃で真空乾燥し、下記化学式(9)(n=1)で表される赤色顔料スルホン化誘導体Aを得た。TOF−MSにより、目的物の分子量を確認した。
重合槽に、溶媒としてジエチレングリコールエチルメチルエーテル(EMDG)130質量部を仕込み、窒素雰囲気下で110℃に昇温した後、メタクリル酸メチル(MMA)32質量部、メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)22質量部、メタクリル酸(MAA)24質量部、開始剤としてα,α’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)2質量部および連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン4.5質量部を含む混合物を、それぞれ1.5時間かけて連続的に滴下した。
その後、合成温度を保持して反応を続け、滴下終了から2時間後に重合禁止剤として、p−メトキシフェノール0.05質量部を添加した。
次に、空気を吹き込みながら、メタクリル酸グリシジル(GMA)22質量部を添加して、110℃に昇温した後、トリエチルアミン0.2質量部を添加して110℃で15時間付加反応させ、バインダー樹脂A(固形分44質量%)を得た。
得られたバインダー樹脂Aの質量平均分子量は8500、酸価は85mgKOH/gであった。なお、質量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質とし、THFを溶離液としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて算出し、酸価はJIS−K0070に従い測定した。
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(略称PGMEA)80.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度90℃に加温した。メタクリル酸メチル50.0質量部、メタクリル酸−n−ブチル30.0質量部、メタクリル酸ベンジル20.0質量部、メルカプトエタノール4.0質量部、PGMEA30質量部、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル(略称AIBN)1.0質量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、さらに3時間反応した。次に、窒素気流を止めて、この反応溶液を80℃に冷却し、カレンズMOI(昭和電工(株)社製)8.74質量部、ジラウリン酸ジブチルすず0.125質量部、p−メトキシフェノール0.125質量部、及びPGMEA10質量部、を加えて3時間攪拌することで、マクロモノマーMM−1の49.5質量%溶液(Tg=64℃)を得た。得られたマクロモノマーMM−1を、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて、N−メチルピロリドン、0.01mol/L臭化リチウム添加/ポリスチレン標準の条件で確認したところ、質量平均分子量(Mw)4010、数平均分子量(Mn)1910、分子量分布(Mw/Mn)は2.10であった。
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA80.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度90℃に加温した。メタクリル酸メチル100.0質量部、メルカプトエタノール4.0質量部、PGMEA30質量部、AIBN1.0質量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、さらに3時間反応した。次に、窒素気流を止めて、この反応溶液を80℃に冷却し、カレンズMOI8.74質量部、ジラウリン酸ジブチルすず0.125質量部、p−メトキシフェノール0.125質量部、及びPGMEA10質量部、を加えて3時間攪拌することで、マクロモノマーMM−2の49.8質量%溶液(Tg=105℃)を得た。得られたマクロモノマーMM−2を、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて、N−メチルピロリドン、0.01mol/L臭化リチウム添加/ポリスチレン標準の条件で確認したところ、質量平均分子量(Mw)4130、数平均分子量(Mn)1940、分子量分布(Mw/Mn)は2.13であった。
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA80.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度85℃に加温した。製造例6のマクロモノマーMM−1溶液75.76質量部(有効固形分37.5質量部)、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(略称DMA)12.5質量部、n−ドデシルメルカプタン1.24質量部、PGMEA20.0質量部、AIBN0.5質量部の混合溶液混合溶液を1.5時間かけて滴下し、3時間加熱攪拌したのち、AIBN0.10質量部、PGMEA10.0質量部の混合液を10分かけて滴下し、さらに同温で1時間熟成することで、グラフト共重合体GP−1の25.8質量%溶液を得た。得られたグラフト共重合体GP−1は、GPC測定の結果、質量平均分子量(Mw)11480、数平均分子量(Mn)4650、分子量分布(Mw/Mn)は2.47であった。なおアミン価は89mgKOH/gであった。
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA80.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度85℃に加温した。製造例7のマクロモノマーMM−2溶液75.30質量部(有効固形分37.5質量部)、DMA12.5質量部、n−ドデシルメルカプタン1.24質量部、PGMEA20.0質量部、AIBN0.5質量部の混合溶液混合溶液を1.5時間かけて滴下し、3時間加熱攪拌したのち、AIBN0.10質量部、PGMEA10.0質量部の混合液を10分かけて滴下し、さらに同温で1時間熟成することで、グラフト共重合体GP−2の26.0質量%溶液を得た。得られたグラフト共重合体GP−2は、GPC測定の結果、質量平均分子量(Mw)11230、数平均分子量(Mn)4350、分子量分布(Mw/Mn)は2.58であった。なおアミン価は90mgKOH/gであった。
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA80.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度85℃に加温した。製造例6のマクロモノマーMM−1溶液50.51質量部(有効固形分25.0質量部)、プラクセルFA−10Lを17.86質量部(ダイセル化学社製 ヒドロキシエチルアクリレートにカプロラクトン10mol付加品 70%溶液 有効固形分12.5質量部)、DMA12.5質量部、n−ドデシルメルカプタン1.24質量部、PGMEA30.0質量部、AIBN0.5質量部の混合溶液混合溶液を1.5時間かけて滴下し、3時間加熱攪拌したのち、AIBN0.10質量部 、PGMEA10.0質量部 の混合液を10分かけて滴下し、さらに同温で1時間熟成することで、グラフト共重合体GP−3の26.4質量%溶液を得た。得られたグラフト共重合体GP−3は、GPC測定の結果、質量平均分子量(Mw)12760、数平均分子量(Mn)4810、分子量分布(Mw/Mn)は2.65であった。なおアミン価は90mgKOH/gであった。
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA80.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度85℃に加温した。製造例6のマクロモノマーMM−1溶液75.76質量部(有効固形分37.5質量部)、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(略称DMAPAA、興人(株)社製)12.5質量部、n−ドデシルメルカプタン1.24質量部、PGMEA20.0質量部、AIBN0.5質量部の混合溶液混合溶液を1.5時間かけて滴下し、3時間加熱攪拌したのち、AIBN0.10質量部、PGMEA10.0質量部の混合液を10分かけて滴下し、さらに同温で1時間熟成することで、グラフト共重合体GP−4の25.6質量%溶液を得た。得られたグラフト共重合体GP−4は、GPC測定の結果、質量平均分子量(Mw)11150、数平均分子量(Mn)4620、分子量分布(Mw/Mn)は2.41であった。なおアミン価は89mgKOH/gであった。
225mLマヨネーズ瓶中に、PGMEA28.90質量部、製造例8のグラフト共重合体GP−1溶液68.86質量部(有効固形分17.8質量部)をそれぞれ溶解させ、フェニルホスホン酸(商品名:PPA、日産化学社製)2.23質量部(グラフト共重合体の3級アミノ基に対して0.5モル当量)を加え、室温で30分攪拌することで分散剤溶液A(固形分20質量%)を調製した。得られた分散剤溶液Aの酸価は79mgKOH/gであった。
このとき、グラフト共重合体GP−1のアミノ基は、PPAのホスホン酸基との酸・塩基反応により塩形成されている。
225mLマヨネーズ瓶中に、PGMEA28.32質量部、製造例8のグラフト共重合体GP−1溶液69.65質量部(有効固形分18.0質量部)をそれぞれ溶解させ、フェニルホスフィン酸(東京化成社製)2.03質量部(グラフト共重合体の3級アミノ基に対して0.5モル当量)を加え、室温で30分攪拌することで分散剤溶液B(固形分20質量%)を調製した。得られた分散剤溶液Bの酸価は41mgKOH/gであった。
このとき、グラフト共重合体GP−1のアミノ基は、フェニルホスフィン酸のホスフィン酸基との酸・塩基反応により塩形成されている。
225mLマヨネーズ瓶中に、PGMEA29.43質量部、製造例9のグラフト共重合体GP−2溶液68.33質量部(有効固形分17.8質量部)をそれぞれ溶解させ、PPA2.23質量部(グラフト共重合体の3級アミノ基に対して0.5モル当量)を加え、室温で30分攪拌することで分散剤溶液C(固形分20質量%)を調製した。得られた分散剤溶液Cの酸価は79mgKOH/gであった。
このとき、グラフト共重合体GP−2のアミノ基は、PPAのホスホン酸基との酸・塩基反応により塩形成されている。
225mLマヨネーズ瓶中に、PGMEA30.47質量部、製造例10のグラフト共重合体GP−3溶液67.30質量部(有効固形分17.8質量部)をそれぞれ溶解させ、PPA2.23質量部(グラフト共重合体の3級アミノ基に対して0.5モル当量)を加え、室温で30分攪拌することで分散剤溶液D(固形分20質量%)を調製した。得られた分散剤溶液Dの酸価は80mgKOH/gであった。
このとき、グラフト共重合体GP−3のアミノ基は、PPAのホスホン酸基との酸・塩基反応により塩形成されている。
225mLマヨネーズ瓶中に、PGMEA28.40質量部、製造例11のグラフト共重合体GP−4溶液69.35質量部(有効固形分17.75質量部)をそれぞれ溶解させ、フェニルホスホン酸(商品名:PPA、日産化学社製)2.25質量部(グラフト共重合体の3級アミノ基に対して0.5モル当量)を加え、室温で30分攪拌することで分散剤溶液E(固形分20質量%)を調製した。得られた分散剤溶液Eの酸価は80mgKOH/gであった。
このとき、グラフト共重合体GP−4のアミノ基は、PPAのホスホン酸基との酸・塩基反応により塩形成されている。
冷却管を備えた200mLフラスコ中に、PGMEA27.74質量部、製造例8のグラフト共重合体GP−1溶液70.43質量部(有効固形分18.2質量部)をそれぞれ溶解させ、塩化ベンジル(関東化学社製)1.83質量部(グラフト共重合体の3級アミノ基に対して0.5モル当量)を加え、80℃で6時間反応させることで分散剤溶液F(固形分20質量%)を調製した。得られた分散剤溶液Fの酸価は0mgKOH/gであった。
このとき、グラフト共重合体GP−1のアミノ基は、塩化ベンジルとの4級化反応により塩形成されている。
(1)カラーフィルタ用赤色顔料分散液Aの調製
色材成分としてアントラキノン骨格を有する赤色顔料であるC.I.ピグメントレッド177(PR177:平均一次粒径10〜40nm)9.50質量部、製造例1で得られた黄色顔料スルホン化誘導体A0.50質量部、製造例12で調製した分散剤溶液A30.00質量部、製造例5のバインダー樹脂A4.55質量部、PGMEA55.45質量部を混合し、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製)にて2mmジルコニアビーズで1時間、さらに0.1mmジルコニアビーズで3時間分散し、赤色顔料分散液Aを得た。なお、分散時のビーズ充填率は50%とした。
上記で得られた実施例1の赤色顔料分散液A52.76質量部に、下記バインダー組成物18.76質量部、PGMEA28.48質量部、界面活性剤R08MH(DIC製)0.02質量部、シランカップリング剤KBM503(信越シリコーン製)0.20質量部を添加混合し、加圧濾過を行って、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物Aを得た。
<バインダー組成物(固形分40%)>
・アルカリ可溶性樹脂(製造例5のバインダー樹脂A、固形分44質量%):23.18質量部
・3〜4官能アクリレートモノマー(商品名:アロニックスM305、東亞合成(株)製):23.80質量部
・光重合開始剤(2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(商品名:イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)):1.80質量部
・光重合開始剤(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン(商品名イルガキュア369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)):4.2質量部
・溶剤(PGMEA):47.02質量部
(1)カラーフィルタ用赤色顔料分散液B、Cの調製
実施例1(1)において、黄色顔料スルホン化誘導体Aの代わりに製造例2、3で得られた黄色顔料スルホン化誘導体B、Cを用いた以外は、実施例1(1)と同様にして、カラーフィルタ用赤色顔料分散液B、Cを得た。
実施例1(2)において、カラーフィルタ用赤色顔料分散液Aの代わりに、上記(1)で得られたカラーフィルタ用赤色顔料分散液B、Cを用いた以外は、実施例1(2)と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物B、Cを得た。
(1)カラーフィルタ用赤色顔料分散液D〜Gの調製
実施例1(1)において、分散剤溶液Aの代わりに製造例13〜16で調製した分散剤溶液B〜Eを用いた以外は、実施例1(1)と同様にして、カラーフィルタ用赤色顔料分散液D〜Gを得た。
実施例1(2)において、カラーフィルタ用赤色顔料分散液Aの代わりに、上記(1)で得られたカラーフィルタ用赤色顔料分散液D〜Gを用いた以外は、実施例1(2)と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物D〜Gを得た。
(1)カラーフィルタ用赤色顔料分散液Hの調製
実施例1(1)において、色材成分として黄色顔料スルホン化誘導体を含まず、C.I.ピグメントレッド177 10.00質量部とした以外は、実施例1(1)と同様にして、カラーフィルタ用赤色顔料分散液Hを得た。
実施例1(2)において、カラーフィルタ用赤色顔料分散液Aの代わりに、上記(1)で得られたカラーフィルタ用赤色顔料分散液Hを用いた以外は、実施例1(2)と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物Hを得た。
(1)カラーフィルタ用赤色顔料分散液Iの調製
実施例1(1)において、黄色顔料スルホン化誘導体Aの代わりに製造例4で得られた赤色顔料スルホン化誘導体Aを用いた以外は、実施例1(1)と同様にして、カラーフィルタ用赤色顔料分散液Iを得た。
実施例1(2)において、カラーフィルタ用赤色顔料分散液Aの代わりに、上記(1)で得られたカラーフィルタ用赤色顔料分散液Iを用いた以外は、実施例1(2)と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物Iを得た。
(1)カラーフィルタ用赤色顔料分散液Jの調製
実施例1(1)において、分散剤溶液Aの代わりに製造例8で調製したグラフト共重合体GP−1溶液23.26質量部、PGMEA62.20質量部とした以外は、実施例1(1)と同様にして、カラーフィルタ用赤色顔料分散液Jを得た。
実施例1(2)において、カラーフィルタ用赤色顔料分散液Aの代わりに、上記(1)で得られたカラーフィルタ用赤色顔料分散液Jを用いた以外は、実施例1(2)と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物Jを得た。
(1)カラーフィルタ用赤色顔料分散液Kの調製
実施例1(1)において、分散剤溶液Aの代わりに製造例17で調製した分散剤溶液Fを用いた以外は、実施例1(1)と同様にして、カラーフィルタ用赤色顔料分散液Kを得た。
実施例1(2)において、カラーフィルタ用赤色顔料分散液Aの代わりに、上記(1)で得られたカラーフィルタ用赤色顔料分散液Kを用いた以外は、実施例1(2)と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物Kを得た。
(1)カラーフィルタ用赤色顔料分散液Lの調製
実施例1(1)において、分散剤溶液Aの代わりに有機酸化合物と塩を形成していない市販分散剤「アジスパーPB821」(味の素ファインテクノ社製,固形分濃度100質量%)6.00質量部、PGMEA 79.45質量部とした以外は、実施例1(1)と同様にして、カラーフィルタ用赤色顔料分散液Lを得た。
実施例1(2)において、カラーフィルタ用赤色顔料分散液Aの代わりに、上記(1)で得られたカラーフィルタ用赤色顔料分散液Lを用いた以外は、実施例1(2)と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物Lを得た。
(1)カラーフィルタ用赤色顔料分散液Mの調製
実施例1(1)において、分散剤溶液Aの代わりに有機酸化合物と塩を形成していない市販分散剤の「BYK−LPN6919」(ビックケミー社製,固形分濃度60質量%)10.00質量部、PGMEAを75.45質量部とした以外は、実施例1と同様にして、カラーフィルタ用赤色顔料分散液Mを得た。
実施例1(2)において、カラーフィルタ用赤色顔料分散液Aの代わりに、上記(1)で得られたカラーフィルタ用赤色顔料分散液Mを用いた以外は、実施例1(2)と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物Mを得た。
(1)カラーフィルタ用赤色顔料分散液Nの調製
実施例1(1)において、分散剤溶液Aの代わりに市販分散剤の「DISPERBYK−166」(ビックケミー社製,固形分濃度29.5質量%)14.12質量部、「DISPERBYK−111」(ビックケミー社製,固形分濃度95質量%)1.93質量部、PGMEAを69.40質量部とした以外は、実施例1(1)と同様にして、カラーフィルタ用赤色顔料分散液Nを得た。
実施例1(2)において、カラーフィルタ用赤色顔料分散液Aの代わりに、上記(1)で得られたカラーフィルタ用赤色顔料分散液Nを用いた以外は、実施例1(2)と同様にして、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物Nを得た。
<顔料分散安定性評価>
顔料分散安定性の評価として、各実施例及び比較例で得られたカラーフィルタ用赤色顔料分散液を、40℃で1週間静置し、静置前後の上記顔料分散液中の顔料粒子の平均粒径とせん断粘度の測定を行った。平均粒径の測定には、日機装社製「ナノトラック粒度分布計UPA−EX150」を用い、粘度測定には、Anton Paar製「レオメータMCR301」を用いて、せん断速度が60rpmのときのせん断粘度を測定した。
結果を表1に示す。
各実施例及び比較例で得られたカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物を、厚み0.7mmのガラス基板(日本電気硝子社製、「OA−10G」)上に、スピンコーターを用いて塗布した。その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。超高圧水銀灯を用いて30mJ/cm2の紫外線を照射することによって硬化膜(赤色着色層)を得た。乾燥硬化後の膜厚は目標色度x=0.640になるように調整した。着色層が形成されたガラス板を230℃のクリーンオーブンで30分間ポストベークし、得られた着色基板のコントラスト、色度(x、y)及び輝度(Y)を測定した。コントラストは壺坂電気社製「コントラスト測定装置CT−1B」を用い、色度及び輝度はオリンパス社製「顕微分光測定装置OSP−SP200」を用いて測定した。
結果を表2に示す。
上記(光学性能)評価で得られた赤色着色基板を、N−メチルピロリドン(NMP)中に室温で30分間浸漬させ、純水で洗浄後、NMP浸漬前後の色差(ΔEab)を測定した。
結果を表2に示す。
各実施例及び比較例で得られたカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物を、厚み0.7mmのガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した。その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。この着色層にフォトマスクを介し、超高圧水銀灯を用いて30mJ/cm2の紫外線を照射した。その後、上記着色層が形成されたガラス板を、アルカリ現像液として0.05質量%水酸化カリウム水溶液を用いてシャワー現像し、上記着色層を形成した箇所のガラス面が現れるまでの時間を現像時間として測定した。なお、5分以上現像しても現像できない場合は現像不可とした。
結果を表2に示す。
各実施例及び比較例で得られたカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物を、厚み0.7mmのガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した。その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。この着色層にライン&スペースが80μmのストライプパターンの描かれたフォトマスクを介して超高圧水銀灯を用いて30mJ/cm2の紫外線を照射した。その後、上記着色層が形成されたガラス板を、アルカリ現像液として0.05質量%水酸化カリウム水溶液を用いて60秒間シャワー現像したのち、さらに60秒間超純水で洗浄し、さらに230℃のクリーンオーブンで30分間ポストベークした。なお、60秒で現像できない場合は現像できるまでシャワー現像を行った。
得られた着色パターンが形成されたガラス基板を40度に保持した5.0質量%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬させ、着色パターンがガラス基板から剥離するまでの時間を測定した。
結果を表2に示す。
アントラキノン骨格を有する赤色顔料と、黄色顔料のスルホン化誘導体と、上記の塩型グラフト共重合体と、溶媒とを含有する、実施例1〜7の赤色顔料分散液は、保存安定性試験前後で、顔料の粒径及び粘度の変化が小さく、分散性、分散安定性ともに優れていた。また、実施例1〜7の赤色感光性樹脂組成物は、現像性、耐アルカリ性及び耐溶剤性に優れており、高輝度及び高コントラストな着色層を形成することができた。
アクリルアミド系のモノマーを用いたグラフト共重合体GP−4を顔料分散剤として用いた実施例7の赤色顔料分散液は、実施例の中でも顔料分散性、及び分散安定性に優れ、得られた着色層はコントラストが高く、現像性や耐溶剤性にも優れていた。
黄色顔料のスルホン化誘導体を用いていない比較例1、及び黄色顔料のスルホン化誘導体の代わりに、C.I.ピグメントレッド254のスルホン酸誘導体を用いた比較例2の感光性樹脂組成物は、分散安定性が悪く、得られた着色層の輝度及びコントラストが悪かった。
塩形成していないグラフト共重合体を顔料分散剤として用いた比較例3では、分散性分散安定性が悪く、コントラストが低かった。
有機酸化合物の代わりに塩化ベンジルを用いて塩形成したグラフト共重合体を顔料分散剤として用いた比較例4の感光性樹脂組成物は、輝度及びコントラストは良好であったものの、現像ができなかった。
有機酸化合物と塩形成していない市販の分散剤を用いた比較例5〜7の場合も、実施例1〜7のように高輝度、高コントラストで、且つ、分散性、分散安定性、及び現像性に優れるような感光性樹脂組成物は得られなかった。
評価方法としては、縦100mm×幅5mmにカットしたガラス基板の縦2cm分に、硬化膜の評価を行った実施例1〜3の感光性樹脂組成物及び比較例1の感光性樹脂組成物をそれぞれ浸漬し、引き上げたものを23℃、70%RHの恒温恒湿層で30分間乾燥させた。次にその乾燥させた塗膜が付着したガラス基板をPGMEA中に15秒間攪拌しながら浸漬した。このとき、乾燥塗膜の再溶解状態により、下記の3段階で評価した。
・○:浸漬中に乾燥塗膜がすべて溶解した。
・△:15秒間浸漬後も、乾燥塗膜の一部が残った。
・×:15秒間浸漬後も乾燥塗膜がほとんどもしくは全く溶解しなかった。
その結果、実施例3は○、実施例1、2は△、比較例1は×であった。
以上のことから、長鎖のアルキル基と塩形成したスルホン化誘導体は、溶剤再溶解性に優れることが明らかにされた。
2 遮光部
3 着色層
10 カラーフィルタ
20 対向基板
30 液晶層
40 液晶表示装置
50 有機保護層
51 アミノ基を有するモノマー単位
52 マクロモノマーの重合性部位
53 マクロモノマーによるポリマー鎖
54 有機酸化合物
60 無機酸化膜
71 透明陽極
72 正孔注入層
73 正孔輸送層
74 発光層
75 電子注入層
76 陰極
80 有機発光体
100 有機発光表示装置
Claims (13)
- アントラキノン骨格を有する赤色顔料と、黄色顔料のスルホン化誘導体と、顔料分散剤と、溶媒とを含有し、前記顔料分散剤が、エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であって、さらにエチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマー由来のアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体である、カラーフィルタ用赤色顔料分散液。
- 前記黄色顔料のスルホン化誘導体が、C.I.ピグメントイエロー138のスルホン化誘導体である、請求項1に記載のカラーフィルタ用赤色顔料分散液。
- 前記アントラキノン骨格を有する赤色顔料が、C.I.ピグメントレッド177である、請求項1又は2に記載のカラーフィルタ用赤色顔料分散液。
- 前記黄色顔料のスルホン化誘導体の含有量が、前記アントラキノン骨格を有する赤色顔料100質量部に対して1〜25質量部である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用赤色顔料分散液。
- 前記顔料分散剤において、前記エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーが、下記一般式(I)で表される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用赤色顔料分散液。
- 前記顔料分散剤において、前記有機酸化合物が、下記一般式(II)及び/又は下記一般式(III)で表される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用赤色顔料分散液。
Rbは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(Rc)−CH(Rd)−O]s−Re、−[(CH2)t−O]u−Re、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(Rc)−CH(Rd)−O]s−Re、又は−[(CH2)t−O]u−Reで示される1価の基である。
Rc及びRdは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Reは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CH2CHO、−CO−CH=CH2、−CO−C(CH3)=CH2又は−CH2COORfで示される1価の基であり、Rfは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
Ra、Ra’、及びRbにおいて、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ、置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。) - 前記顔料分散剤において、前記マクロモノマーの前記ポリマー鎖が、下記一般式(IV)又は一般式(V)で表される構成単位を少なくとも1種有するものである、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用赤色顔料分散液。
R8は、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CH2CHO又は−CH2COOR11で示される1価の基であり、R9は、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、シアノ基、−[CH(R6)−CH(R7)−O]x−R8、−[(CH2)y−O]z−R8、又は−[CO−(CH2)y−O]z−R8で示される1価の基である。R10は、炭素数1〜18のアルキル基であり、R11は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
mは1〜5の整数、n及びn’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。) - 溶媒中、黄色顔料のスルホン化誘導体と、顔料分散剤との存在下で、前記アントラキノン骨格を有する赤色顔料を分散させる工程を有し、前記顔料分散剤が、エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であって、さらにエチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマー由来のアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体である、カラーフィルタ用赤色顔料分散液の製造方法。
- 少なくとも前記請求項1乃至7のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用赤色顔料分散液と、感光性バインダー成分とを含有する、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物。
- 溶媒中、黄色顔料のスルホン化誘導体と、顔料分散剤との存在下で、前記アントラキノン骨格を有する赤色顔料を分散させて赤色顔料分散液を調製する工程と、
前記赤色顔料分散液と、感光性バインダー成分とを混合する工程を有し、前記顔料分散剤が、エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であって、さらにエチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマー由来のアミノ基の少なくとも一部と有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体である、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物の製造方法。 - 前記請求項9に記載のカラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物を用いて形成された着色層を有することを特徴とする、カラーフィルタ。
- 前記請求項11に記載のカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする液晶表示装置。
- 前記請求項11に記載のカラーフィルタと、有機発光体とを有することを特徴とする有機発光表示装置。
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