JP2013064876A - 画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 照明光学系の光利用効率が高く、縦置き可能な画像表示装置に関する。
【解決手段】 光源、光源から出射される光を集光する集光器、集光器の近傍に入射端を有する照明均一化素子、集光器と照明均一化素子の間に配置され色要素を重畳するカラーフィルタ、反射型画像表示素子、第1リレーレンズおよび第2リレーレンズ、第1折り返しミラー及び第2折り返しミラーを有してなる照明光学系と、反射型画像表示素子からの反射光を被投射面に投射する投射光学系と、を有し、反射型画像表示素子が有する表示面と被投射面との成す角が,略直交しており、照明均一化素子は、設置位置と設置角度を調整する調整手段を有し、調整手段は、照明均一化素子の長手方向の位置と短手方向の位置、および、光軸と平行の軸を中心とした回転角度を調整することを最も主な特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】 光源、光源から出射される光を集光する集光器、集光器の近傍に入射端を有する照明均一化素子、集光器と照明均一化素子の間に配置され色要素を重畳するカラーフィルタ、反射型画像表示素子、第1リレーレンズおよび第2リレーレンズ、第1折り返しミラー及び第2折り返しミラーを有してなる照明光学系と、反射型画像表示素子からの反射光を被投射面に投射する投射光学系と、を有し、反射型画像表示素子が有する表示面と被投射面との成す角が,略直交しており、照明均一化素子は、設置位置と設置角度を調整する調整手段を有し、調整手段は、照明均一化素子の長手方向の位置と短手方向の位置、および、光軸と平行の軸を中心とした回転角度を調整することを最も主な特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、画像を拡大してスクリーンに表示する画像表示装置に関するものであって、詳しくは、照明光学系の光利用効率が高く、縦置き可能な画像表示装置に関するものである。
一般的にプロジェクタと称されている画像表示装置は、画像表示素子の違いによって、CRTプロジェクタ、液晶プロジェクタ、DMD(Digital Micromirror Device)プロジェクタなどがある。上記DMDは、2次元的に配置された複数の微小ミラーを有し、個々の微小ミラーの傾斜角度を変化させて反射光をオン・オフすることで投射画像を形成する反射型画像表示素子である。本発明に係る画像表示装置は、画像表示素子として上記DMDのような反射型画像表示素子を備えている。反射型画像表示素子を備えた画像表示装置であって本発明に係る画像表示装置に関連のある公知の技術として、以下に述べる特許文献1、特許文献2に記載されている技術がある。
特許文献1は、ランプ光源、カラーフィルタ、コンデンサレンズ、平面ミラー、球面ミラー、反射型画像表示素子であるDMDからなる照明光学系を有し、照明光学系の一部をなす光ミキシング素子として、ロッドレンズを用いている画像表示装置が記載されている。
特許文献2に記載されている画像表示装置も、特許文献1の画像表示装置とほぼ同じ構成を備えており、照明光学系からの光が、投射光学系を介して被投射面(例えばスクリーン)に投射されるよう構成されており、DMDの画像形成面と被投射面が並行関係となるものである。
上記従来から知られている画像表示装置は、一般的に、フロント投射型プロジェクタといわれるものであって、装置本体を机上等の所定の高さに設置して使用する。設置箇所から室内の側壁と平行の被投射面に画像を投射して表示する。装置の設置場所の高さは、投射された画像が見る人の視界と同じくらいの高さか、多少低いくらいの高さである。このとき画像表示装置の投射光学系の光軸は、被投射面に対して略垂直になる。
上記のような一般的な使用態様において、画像表示装置の内部に備えられている反射型画像表示素子の画像形成面の法線は、投射レンズの光軸と平行になる。従って、反射型画像表示素子の画像形成面は、被投射面と平行である。
また、被投射面上の投射画像の位置を調整するために、画像表示装置を傾けることもある。この場合、投射レンズの光軸は被投射面の法線に対して多少の傾きを持つ状態になる。この傾きによって形成される被投射面の法線(被投射面の法線方向を基準とした場合の法線)と、投射レンズの光軸が成す角は鋭角である。本明細書において、投射レンズの光軸と、被投射面との間に上記の位置関係が成り立つ画像表示装置を「横型プロジェクタ」という。
上記のような横型プロジェクタは、表示画像の大きさを確保するためには、画像表示装置本体と被投射面との距離をある程度長くする必要があり、この被投射面との距離の確保が、横型プロジェクタの設置に関する制約条件の一つとなる。
また、被投射面から遠すぎると画像が見えにくくなるため、画像を見る人はできるだけ被投射面の近くに寄ろうとする。そのために、上記のような横型プロジェクタは、設置場所と被投射面との間に、画像を見る人が存在する場合がある。すなわち、投射光の光路上に障害物となりうる「人」が存在することになるので、「人の影」によって投射光が邪魔をされて画像が見えにくくなることがある。また、講演等で使用するときは、講演者は画像表示装置と対面する状態になるので、投射光により眩しい状態になる。
これらの課題を解決するものとして、近年では、投射レンズの短焦点化と広角化を図り、至近距離からの画像投射を可能にする画像表示装置が開発されている。画像表示装置と被投射面との距離を近づけることができると、上記のように人影によって投射光が邪魔されることが無くなり、また、講演者が眩しく感じることも無くなる。
近年では、より至近距離の被投射面に大型の画像を表示させることができる「超至近投射方式」を採用する画像表示装置が開発されている。超至近距離投射方式の画像表示装置は、投射レンズから出射した光を自由曲面ミラーで反射させて、画像を被投射面へ投射するものである。平面ミラーではなく自由曲面ミラーを用いるのは、投射レンズから出射した光を平面ミラーで反射させた場合は、特定の角度以外では、投射画像に台形歪みなどが生じるからである。この投射レンズと自由曲面ミラーを合わせて投射光学系という。
画像表示装置の性能を示す指標の一つに、至近距離からの投射の度合いを示す「スローレシオ(Throw Ratio)」がある。スローレシオは投射画像の対角サイズを、画像表示装置から被投射面までの距離で割った値である。従って、スローレシオが小さい画像表示装置ほど、被投射面までの距離が短くても、所定の大きさの画像を投射することができる。
ここで、超至近距離投射が可能な画像表示装置の使用態様について、図35を用いて説明する。図35に示すように、超至近距離投射が可能な画像表示装置であるプロジェクタ100と被投射面であるスクリーン200の距離は至近であるから、観察者300は、プロジェクタ100の背面側に位置することになる。このとき、プロジェクタ100の設置面を位置Aとすると、観察者300の視界にプロジェクタ100の本体が入り込んで邪魔になる。そこでプロジェクタ100の設置位置は、図35の位置Bに示すように、スクリーンよりも下の位置が望ましい。例えば、プロジェクタ100を床に直接おけばよい。
プロジェクタ100を床において、至近かつ上方にあるスクリーン200に画像を投射すると、スクリーン200の下端(床側)への投射光の入射角と、スクリーン200の上端(天井側)への投射光の入射角が大きく異なる状態になる。すなわち、スクリーン200の上端への入射角が大きく、スクリーン200の下端への入射角は小さくなる。入射角が大きいスクリーン200の上端に投射された光は、天井の方向に反射される割合が増え、観察者300側に向かう光の割合が小さくなるため、スクリーン200の上側の画像が暗くなる。
つまり、超至近距離投射方式の画像表示装置は、被投射面上の画像に明るさのムラが生じることがある。言い換えれば、超至近距離投射方式の画像表示装置は、画像を投射するための光学系、特に照明光学系における光利用効率の向上が課題となる。
超至近距離投射方式の画像表示装置は、自由曲面ミラーを含む投射系を用いるために、通常の横型プロジェクタとは異なる課題がある。すなわち、特異な歪曲に伴う投射画像領域の変形、スクリーンの上部が明るく下が暗くなり光量分布が偏るという課題がある。
また、スクリーン上の画像のけられがない事も要求される。これらの要求を満たすためには、照明均一化素子としての光ミキシング素子であるライトトンネルの設置調整が重要である。ライトトンネルを調整することにより、スクリーン上の画像にケラレが無く、光量分布のムラも低減できるからである。
ライトトンネルの出射端とDMDの画像形成領域とは、照明光学系を通して共役関係が成立している。さらに投射光学系を通してDMDの画像形成領域とスクリーンとは共役関係が成立している。従ってライトトンネルの設置調整がずれると、DMD上での照射光の照射領域もずれ、これがスクリーン上の画像のけられや、光量分布のムラの原因となる。
ライトトンネルの調整は、光軸方向の位置(並進)調整が通常は行われる。しかし、照明光学系が立体的に折り返されている画像表示装置においては、ライトトンネルを光軸周りに回転させて設置させることもあるので、回転調整も必要となる。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであって、ライトトンネルなどで構成されている照明均一化素子の回転調整を容易に行なえるようにすることで、照明光学系の光利用効率を向上させ、縦置きも可能な画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明は画像表示装置に関するものであって、
光源と、光源から出射される光を集光する集光器と、集光器の近傍に入射端を有する照明均一化素子と、集光器と照明均一化素子の間に配置され、照明均一化素子に入射される光に時分割で色要素を重畳するカラーフィルタと、2次元的に配置された複数の微小ミラーを有し、個々の微小ミラーの傾き角度をオン状態とオフ状態で変化させることにより反射光の出射をオン・オフさせる反射型画像表示素子と、照明均一化素子の出射端から反射型画像表示素子までの間に配置されている第1リレーレンズおよび第2リレーレンズ、第1折り返しミラー及び第2折り返しミラーを有してなる照明光学系と、反射型画像表示素子を構成する複数の微小ミラーのうちオン状態にある微小ミラーからの反射光を被投射面に投射する投射光学系と、を有し、反射型画像表示素子が有する表示面と被投射面との成す角が,略直交しており、照明均一化素子は、設置位置と設置角度を調整する調整手段を有し、調整手段は、照明均一化素子の長手方向の位置と短手方向の位置、および、光軸と平行の軸を中心とした回転角度を調整することを最も主な特徴とする。
光源と、光源から出射される光を集光する集光器と、集光器の近傍に入射端を有する照明均一化素子と、集光器と照明均一化素子の間に配置され、照明均一化素子に入射される光に時分割で色要素を重畳するカラーフィルタと、2次元的に配置された複数の微小ミラーを有し、個々の微小ミラーの傾き角度をオン状態とオフ状態で変化させることにより反射光の出射をオン・オフさせる反射型画像表示素子と、照明均一化素子の出射端から反射型画像表示素子までの間に配置されている第1リレーレンズおよび第2リレーレンズ、第1折り返しミラー及び第2折り返しミラーを有してなる照明光学系と、反射型画像表示素子を構成する複数の微小ミラーのうちオン状態にある微小ミラーからの反射光を被投射面に投射する投射光学系と、を有し、反射型画像表示素子が有する表示面と被投射面との成す角が,略直交しており、照明均一化素子は、設置位置と設置角度を調整する調整手段を有し、調整手段は、照明均一化素子の長手方向の位置と短手方向の位置、および、光軸と平行の軸を中心とした回転角度を調整することを最も主な特徴とする。
本発明によれば、照明系の光利用効率が高く、照明系及び投射レンズ設置が安定な、例えば縦型の画像表示装置を得ることができる。
以下、本発明に係る画像表示装置の実施例について図面を用いながら説明する。まず、本発明に係る画像表示装置の一実施例である縦型プロジェクタの構成について、図1の概要図を用いて説明する。当該構成の概要と、本実施例に係るプロジェクタ1が備える各光学素子の概要を説明した後に、本発明に係る画像表示装置の特徴である照明均一化素子の位置および回転を調整する設置調整手段の実施例について説明する。
図1において、符号1は画像表示装置の実施例である縦型プロジェクタ本体(以下「プロジェクタ1」という。)を表している。また、符号14は被投射面であるスクリーンを表している。以下の説明において、水平面内の一方向をX軸、これに直交する水平面内の一方向をZ軸、X軸にもZ軸にも直交する垂直方向の軸をY軸とする。
図1において、プロジェクタ1は、白色光源である光源2と、光源2から出射された光を集光するランプリフレクタ3と、光源2が万が一破裂した場合にガラスの飛散を防ぐ防爆ガラス4と、光源2からの光を赤・緑・青の色要素が重畳された光に時分割で変換する回転するカラーフィルタであるカラーホイール5と、ランプリフレクタ3によって集光された光の光量分布を一様にする照明均一化素子でありライトトンネルであるロッドレンズ6と、第1リレーレンズ7と、第2リレーレンズ8と、第1折り返しミラー9と、第2折り返しミラー10と、反射型画像表示素子であるDMD11と、投射レンズ12と、自由曲面ミラー13と、を有してなる。
また、プロジェクタ1は、図1にて図示した以外にも、冷却ファン、ランプ駆動手段、DMD駆動手段、各種光学素子の保持部等を備えている。ここで、光源2から第2折り返しミラー10までを照明光学系という。また、投射レンズ12と自由曲面ミラー13を合わせて投射光学系という。
光源2から出射された白色光は、ランプリフレクタ3によって集光される。ランプリフレクタ3は、楕円体の外形を有してなり、その楕円体の第1焦点に相当する位置に光源2が配置され、第2焦点に相当する位置にロッドレンズ6の入口(入射端)が配置されている。従って、光源2から出射された光は、ロッドレンズ6の入射端に集光される。
光源2とロッドレンズ6の間には、防爆ガラス4とカラーホイール5が配置されている。光源2から出射された白色光のうち、紫外線(UV)及び赤外線(IR)は、防爆ガラス4に設けられたUVカットフィルターとIRカットフィルターによって遮断される。防爆ガラス4を通過した光は、カラーホイール5を用いた時分割処理によって、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の三色の光に変換される。三色の光りに変換された光は、換言すれば「色要素が重畳された光」である。この色要素が重畳された光は、ロッドレンズ6に入射される。ロッドレンズ6の内部は鏡で構成されているので、多数回の反射をして、空間的な強度分布が均一な光になる。
ロッドレンズ6を通過した光は第1リレーレンズ7と、第2リレーレンズ8を経て、第1折り返しミラー9と第2折り返しミラー10で反射されてDMD11に到達する。第2リレーレンズ8を通過した照明光は、DMD11の上方を通り、傾けて設置されている第1折り返しミラー9によって斜め上方に反射され、この反射光はさらに第2折り返しミラー10により斜め下方のDMD11に向けて反射される。
ロッドレンズ6の出射端面とDMD11の画像形成面が共役の関係となるように、第1リレーレンズ7と第2リレーレンズ8、及び第2折り返しミラー10のパワー配置を調整する。本実施例に係るプロジェクタ1は、上記のように、光路を3次元的に折り返すことで、全体の小型化を図っている。
DMD11は、微小なミラーアレイからなる反射型画像表示素子であって、一辺が10μm前後の正方形のミラーが配列されてなる素子である。投射される画像の解像度は、DMD11の微小ミラーの配列数によって決定される。例えば、投射画像の解像度をXGAにするのであれば、1024×768画素(或いはピクセル)に相当する微小ミラーが配置されているDMD11を用いる。また、投射画像の解像度を、WXGAにするのであれば、1280×768画素(或いはピクセル)に相当する微小ミラーが配置されているDMD11を用いる。なお、XGAとは、「Extended Graphics Array」の略である。また、WXGAとは「Wide XGA」の略である。
DMD11が備える微小ミラーは、正方形の対角線を回転軸として回転可能な構成を有している。微小ミラーの回転角度は±10°から±12°である。例えば微小ミラーが+12°の回転をした状態のミラーによって反射される光を「ON光」とする。ON光は画像形成に寄与するように構成されている。微小ミラーが−12°の回転をした状態で当該ミラーによって反射される光を「OFF光」とする。OFF光は画像形成には寄与せずに、黒表示となるように構成されている。つまり、DMD11による「ON光」は上方に進み、第2折り返しミラー10の側方を通って投射レンズ12に入射するように各光学素子が配置されている。
このように、DMD11の微小ミラーで反射されたON光は、投射レンズ12の入射瞳に入り、投射レンズ12を経て自由曲面ミラー13で反射されて、スクリーン14に到達する。一方、OFF光のときは、投射レンズ12の入射瞳に入らず、DMD11の近傍に設けてあるOFF光処理用の吸収部材(図示せず)に到達する。このように、DMD11の微小ミラーの回転を制御することで、表示画像に必要な投射光を、投射光学系を介してスクリーン14に投射することができる。
次に、本発明に係る画像表示装置の使用態様について、図2を用いて説明する。図2は、図1に示したプロジェクタ1をZ軸方向からみた右側面図である。図2において、プロジェクタ1は、DMD11の画像形成面に垂直な方向がY軸と平行である。また、投射レンズ12の光軸もY軸に平行である。これらは互いに平行であるが、DMD11の画像形成面の中心と、投射レンズ12の光軸はX方向にΔsだけシフト偏心している。
また、プロジェクタ1の別の使用態様の例を図3に示す。図3は、図1に示したプロジェクタ1をZ軸方向からみた右側面図である。図3において、プロジェクタ1は、DMD11の表示面に垂直な方向がY軸と平行であり、投射レンズ12の光軸もY軸に平行である。これらは互いに平行であるが、DMD11の画像形成面の中心と、投射レンズ12の光軸はX方向にシフト偏心している。また、投射レンズ12と自由曲面ミラー13の間に平面ミラー15を置き、自由曲面ミラー13の取り付け位置を図2とは反対側にすることで、投射方向を反対にすることができる。このように、本実施例に係るプロジェクタ1は、自由曲面ミラー13の取り付け位置を変更することで、プロジェクタ1の設置方向を変更することなく、画像の投射方向を変更することができる。
ここでDMD11について説明をする。図4は、DMD11の概要を表した図である。図4(a)はDMD11を上から見た平面図、図4(b)はDMD11の画像表示領域の一部拡大図、図4(c)は、DMD11の側面図、図4(d)は、DMD11における画像投射光の反射の様子を表す図である。
図4(a)に示すように、DMD11の外観は矩形であって、複数の微小ミラーを配列してなる画像表示領域110を備えている。画像表示領域110の一部の領域110aを拡大した図を図4(b)に示す。
図4(b)に示すように、一部画像表示領域110aを拡大すると、複数の微小ミラー110が配列されている。微小ミラー110は、正方形であって、1つの微小ミラー110が投射光によって表示される画像の1画素に相当する。微小ミラー110の配列周期を画素ピッチPという。画素ピッチPは例えば、約10μmである。画像表示領域110の対角線の長さによって、投射画像の表示サイズが決定される。
図4(b)において、微小ミラー110は隙間なく配置されているように表されているが、実際の微小ミラーのサイズは画素ピッチPよりも若干小さい。画素ピッチPに対する実際のミラーサイズを開口率という。各微小ミラー110は、その対角線を回転軸として回転することができる。微小ミラー110の回転方向は、回転軸に対して時計方向をプラスとし反時計方向をマイナスとする。また回転角度は±10°から±12°である。
DMD11の上面には、図4(c)に示すように、保護ガラス111が配置されている。この保護ガラス111は、微小ミラー110の表面に埃等が付着することを防ぐためのものである。
図4(d)に示すように、微小ミラー111は、対角線を回転軸として時計方向と反時計方向に回転することができる。図4(d)に示す微小ミラー111aは、時計方向に回転しているので、反射された光はON光となって、図示しない投射レンズの入射瞳に向かう。微小ミラー111bは、反時計方向に回転しているので、反射された光はOFF光となって、図示しない投射レンズの入射瞳には向かわず、吸収部材に向かう。
次に光源2およびランプリフレクタ3について説明をする。図5において、光源2とランプリフレクタ3の概要を示す。図5(a)は、光源2とランプリフレクタ3からなるランプハウジング30の正面図である。また図5(b)は、ランプハウジング30の側面図である。
光源2は、管球形状の高圧水銀ランプが好ましい。また、ハロゲンランプであってもよい。ランプリフレクタ3は楕円体であって、楕円の二つの焦点の一方に、光源2を設置し、他方の焦点に、ロッドレンズ6の入射端を設置する。光源2の出力は例えば、180W−260W(ワット)前後のものを用いる。光源2の出力が高いほど、明るい投射画像を得ることができる。
光源2に水銀ランプを用いた場合、仮に水銀ランプが破裂してもガラス片が内部に飛散しないように、ランプリフレクタ3の前面には防爆ガラス4が設置される。防爆ガラス4は、例えば40mm角で厚みが3mm前後の硼珪酸ガラスであって、光源2の光軸に対して例えば10°傾けて設置する。防爆ガラス4を光源2の光軸に対して傾けて設置する理由は、防爆ガラス4によって反射した光が戻り光となって、光源2の位置で焦点を結ばないようにするためであって、このような戻り光があると光源2の寿命が短くなるからである。
また防爆ガラス4には、赤外線(IR)カットフィルター、紫外線(UV)カットフィルターの多層膜を施す。またランプリフレクタ3はハウジングに納められており、防爆のために、目の細かい金属のメッシュでハウジングを覆っても良い。プロジェクタ1において光源2は消耗品であるから、使用時間が数千時間を超えたあたりで明るさが低減する。光源2の交換が必要になったときは、光源2を含むランプハウジング(ユニット)ごとの交換となる。
光源2は紫外線から可視光線、そして赤外線まで広い範囲の光を放射するが、出射された光のうち、紫外線と赤外線は上記の防爆ガラス4によって、光源2から出射された直後でカットされ、残りの可視光域の光がカラーホイール5によって色付けされる。
次に、照明均一化素子であるロッドレンズ6について説明する。図6は、ロッドレンズ6の概要を示す斜視図である。図6に示すようにロッドレンズ6は、四枚の板状のミラーを、ミラー面が内側に向くように張り合わせて形成したものである。
ロッドレンズ6を構成する各ミラーは、耐熱性に優れた接着剤などを用いて貼り合わされている。ロッドレンズ6は、長ければ長いほど内面での反射回数が増え、入射された光の配光分布を均一にすることができる。しかし、ロッドレンズ6を長くすると、照明光学系全体が大きくなり、プロジェクタ1の筐体の大きさに影響を与えるので、均一化の度合いと照明光学系の大きさは、トレードオフの関係にある。本発明に係るロッドレンズ6の長さは20mmから30mmであって、25mmが最適である。
DMD11の対角線サイズが0.65インチであって、画素ピッチPが10.8μmであるものを採用したとする。このときのロッドレンズ6の内寸は、6mm×3mm程度である。ロッドレンズ6に用いるミラーの反射率は98%(波長420nm〜680nm)以上が好ましい。
またロッドレンズ6に用いるミラーは一般的には、Ag、Alなどの金属膜を真空蒸着などによってガラス面に成膜したものである。この場合、金属膜でなく、誘電体多層膜であってもよい。ロッドレンズ6を構成する各々の板の厚みは1mm前後である。ロッドレンズ6は、ライトトンネル、ライトパイプ、ロッドインテグレータなどとも呼ばれる。
ロッドレンズ6は、ミラー板を張り合わせたもの以外のもの、例えば、ガラス柱でもよい。この場合は、ガラス柱内面の全反射を用いることになるため、反射膜の作製は不要となる。
本実施例に係るプロジェクタ1は、ロッドレンズ6の設置位置と設置角度を調整することができる調整手段を有してなる。調整手段の詳細については、後述する。
光源2から出射され、ランプリフレクタ3によって集光された光は、配光分布を有している。従って、そのままスクリーン14に投射すると明るさムラが生じ、例えば、スクリーン14の中心領域の画像は明るく、周辺の画像は暗くなる。ロッドレンズ6は、このような明るさムラを防ぐために用いられる部材であって、その原理はカレードスコープと同様である。ロッドレンズ6に適当な角度で入射した光は、内面のミラーで複数回反射を繰り返し、光を折りたたむように重ね合わされる。
プロジェクタ1の照明光学系を構成する光学素子は、図1に示したように3次元的に配置されている。このため、ロッドレンズ6をZ軸と平行な光軸に対して回転させて配置する。ここで、ロッドレンズ6の回転について説明をする。図7はロッドレンズ6を光源2側から第1リレーレンズ7側にみた正面図であって、Z軸を回転軸として−11.42°の角度をもって傾いている(チルトしている)状態を例示している。
次に、本実施例に係るプロジェクタ1が備えるカラーホイール5について図8を用いて説明をする。図8(a)は、カラーホイール5をZ軸方向から光源2側から見た図である。図8(b)は、カラーホイール5をX軸方向から見た図である。図8(a)に示すように、カラーホール5は、円板51を円グラフのように複数の領域に分け、それぞれの領域に異なる多層膜を蒸着することで異なる色を着色してなる。カラーホイール5が有する色は、基本的には、赤(R)、緑(G)、青(B)であるが、図8(a)に示すように、白(W)を加えてもよい。白(W)は、多層膜を形成しない領域である。なお、カラーホイール5に白(W)を設ける理由は、明るさ増大のためである。またカラーホイール5に、色再現性を高めるための黄(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)などを加えることもある。
カラーホイール5は、光源2から出射された光から必要なスペクトルを分離させる色分離手段である。カラーホイール5を構成する円板51は、例えば直径40mm程度、厚み1mm程度のガラスに、各色のフィルターを設けたものである。各色領域は物理的に分離されている。
またカラーホイール5は、図8(b)に示すように円盤51の回転中心にモータ52の回転軸が結合されて、高速で回転するように構成されている。回転速度は数千rpm(round per minute)から1万rpm前後である。カラーホイール5には図示しないセンサがつけられており、各色の位置情報を把握することができる構成を備えている。このセンサとDMD11の回転制御を同調させることで、表示画像を形成させることができる。
従って、カラーホイール5は、時分割(フィールドシーケンシャル)で各色を生成している。DMD11が有する微小ミラー110の応答速度は高速であるため、フィールドシーケンシャルでカラー画像の形成をしても問題は生じない。また、ランプリフレクタ3によって集光される途中の光(のスポット)は、常に同じ位置に当るように構成されている。図8(a)において符号53は、上記光スポットを示している。
本実施例に係るプロジェクタ1が備える照明光学系の構成について、さらに説明をする。図9は、プロジェクタ1が備える照明光学系の一部を示す概要図であって、光源2からロッドレンズ6までの配置を表している。すでに説明をしたとおり、ランプリフレクタ3は楕円体であり、第一焦点に相当する位置に光源2が設置され、第二焦点に相当する位置にロッドレンズ6の入射端が設置されている。光源2とロッドレンズ6の入射端との間には、防爆ガラス4とカラーホイール5が設置されている。
防爆ガラス4とカラーホイール5は、Y軸に対してチルトした状態で配置されている。このチルトによって、防爆ガラス4とカラーホイール5の表面や裏面から反射された光が光源2への戻り光となることを防ぐことができる。防爆ガラス4とカラーホイール5のチルトは、数度から10°程度である。また、光源2から出射されて、ランプリフレクタ3により集光される光の角度(照明角S)は約60°である。また図9において、光源2、ランプリフレクタ3、ロッドレンズ6が成す光軸はZ軸方向において揃っている。
(実施例1)
次に、本発明に係る画像表示装置の実施例について、より詳細に説明する。本実施例については、特に照明光学系を中心に説明する。図10および図11は、本実施例に係るプロジェクタ1の概要を示す図であって、図10は背面図、図11は右側面図である。図10においてプロジェクタ1は、ロッドレンズ(ライトトンネル)6と、第1リレーレンズ7と、第2リレーレンズ8と、第1折り返しミラー9と、第2折り返しミラー10と、ミラーハウジング15と、DMD11と、投射光学系12と、を有してなる。これらはいずれも、一体成型されたハウジング16の所定の位置に設置されている。ハウジング16は、軽量で強度のある金属、例えば、マグネシウムを材料とした鋳造法などで作成される。
次に、本発明に係る画像表示装置の実施例について、より詳細に説明する。本実施例については、特に照明光学系を中心に説明する。図10および図11は、本実施例に係るプロジェクタ1の概要を示す図であって、図10は背面図、図11は右側面図である。図10においてプロジェクタ1は、ロッドレンズ(ライトトンネル)6と、第1リレーレンズ7と、第2リレーレンズ8と、第1折り返しミラー9と、第2折り返しミラー10と、ミラーハウジング15と、DMD11と、投射光学系12と、を有してなる。これらはいずれも、一体成型されたハウジング16の所定の位置に設置されている。ハウジング16は、軽量で強度のある金属、例えば、マグネシウムを材料とした鋳造法などで作成される。
ハウジング16には,個々の素子を設置するための溝や孔(開口)が形成されている。例えば、DMD11を設置するために矩形の開口と、投射光学系12の鏡筒を設置するための円形の開口が形成されている。また、ハウジング16に形成されている溝150には、第1リレーレンズ7と第2リレーレンズ8が所定の姿勢をもって固定されている。
ミラーハウジング15は、第1折り返しミラー9と第2折り返しミラー10を設置するためのハウジングであって、一体成型されたハウジング16とは別の部材からなる。ミラーハウジング15は、金属または樹脂などで作成されている。
図11に示すように、ロッドレンズ6の断面形状は矩形である。このロッドレンズ6の外形に合うように、ハウジング16の内部には、段差161が形成されている。この段差161にロッドレンズ6は固定される。
ここで、光源2とハウジング16との関係について、図12を用いて説明する。図12は、本実施例に係るプロジェクタ1の背面図であって、照明光学系を構成する光源等を配置した例を示している。光源2はリフレクタ3の内部にあり、このリフレクタ3と共に光源ユニット17の内部に配置されている。また、光源ユニット17の開口部であって、光源2から出射された光の出射口となる部分には、防爆ガラス4が設置されている。
光源ユニット17とハウジング16との間には、カラーホイール5が配置されている。光源2から出射され、リフレクタ3で反射された光は,ロッドレンズ6の入射端で集光する。防爆ガラス4とカラーホイール5は、光源2への戻り光を防ぐために傾けて設置されている。
上記の構成を有するプロジェクタ1において、DMD11の画像表示領域110(図4参照)に対する照明光が欠けることがないように、ロッドレンズ6は光軸に対して回転(傾斜)させて設置される。図13は、ロッドレンズ6を光軸に対して好適な傾斜させて設置するために、段差161に傾斜を付加したハウジング16を形成した例である。図13において、ロッドレンズ6は好適な傾斜をもって作製されている段差161に設置され、これによって、DMD11の画像表示領域110に対する照明効率を高めることができる。また、後述するように、ロッドレンズ6の最適な傾斜と設置位置を調整する調整手段を用いて調整することで、さらに照明効率を向上させることができる。
このような光学配置は、図1に示した光路のように、ロッドレンズ6から出射された光が、二つの折り返しミラー(第1折り返しミラー9、第2折り返しミラー10)によって、立体的に折り返されることに起因する。
次に、本実施例に係るプロジェクタ1が備えるロッドレンズ6の設置位置と設置角度を調整する調整手段について、図を用いて説明する。まず、ロッドレンズ6が段差161に設置されて固定される態様の例について説明をする。図14は、ロッドレンズ6を段差161に設置した際に、ロッレンズ6が設置位置から移動しないように固定する固定手段の例を示している。図14において、符号50は、段差161に設置されたロッドレンズ6を固定するための固定具である。固定具50は、ロッドレンズ6の外装を覆って、段差161に固定する形状を有してなる。
段差161に設置されたロッドレンズ6の外装に、固定具50を覆い被せて、この固定具50をハウジング16にネジ止めなどによって固定することで、ロッドレンズ6を固定する。固定具50は、金属を素材とする部材であって、例えば、ステンレスやアルミニウムによって形成されているものである。
ロッドレンズ6は、図15に示すようにホルダー61に入れた状態で固定されてもよい。ホルダー61の材質は耐熱性があるものが好ましい。例えば、ステンレス素材で形成され、ロッドレンズ6の面と接触させることで、ロッドレンズ6を冷却する効果を発揮することが期待できる素材であればより良い。
次に、固定具50によって、ロッドレンズ6の設置位置と設置角度を調整する方法について説明する。図16は、プロジェクタ1を光源2側(図1において右側)からみた一部拡大図である。図16に示すように、ロッドレンズ6の設置位置と設置角度を調整する調整手段は、2つの板バネ51と2つのネジ52とを有してなる。板バネ51は、固定具50の内壁面に配置されロッドレンズ6の外装に接する弾性部材である。ネジ52は、段差161の蹴上部と踏面部に形成されたネジ溝に取り付けられた部材であって、ネジ先がロッドレンズ6の外装に接している。2つの板バネ51は、ロッドレンズ6を挟んで各ネジ52の反対側に配置されている。
上記の蹴上部に配置されているネジ52を締めると、ロッドレンズ6はその横断面の短手方向(X軸方向)に押されて並進する。上記の踏面部に配置されているネジ52を締めると、ロッドレンズ6はその横断面の長手方向(Y軸方向)に押されて並進する。
逆に、蹴上部に配置されているネジ52を緩めると、対向する位置に配置されている板バネ51の弾性力によって、ロッドレンズ6が短手方向のハウジング16側に押されて並進する。踏面部に配置されているネジ52を緩めると、対向する位置に配置されている板バネ51の弾性力によって、ロッドレンズ6が長手方向のハウジング16側に押されて並進する。ネジ52を締めた場合と緩めた場合でロッドレンズ6が並進する方向が逆になる。 このように、板バネ51とネジ52によって、ロッドレンズ6の長手方向と短手方向における位置の調整をすることができる。
なお、ネジ52を取り付ける位置は,ロッドレンズ6の入射側か、出射側か、または両方のいずれであっても良く、必要な調整に応じて設ければよい。また、図17に示すように、ハウジング16に形成する段差161を、予め傾けておくことで、Z軸方向(光軸方向)を中心とした回転の角度を予め固定し、長手方向と短手方向の位置調整のみを行うようにしてもよい。また、ネジ52とロッドレンズ6の外装の間に板バネを設けてもよい。
また、図18に示すように、段差161の蹴上部と踏面部のそれぞれに、ネジ52を2つずつ配置し、固定具50の内壁面と、ロッドレンズ6を挟んで各ネジ52とは反対側のロッドレンズ6の側面との間に板バネ51を配置し、調整手段を構成してもよい。このように、板バネ51とネジ52を複数配置することで、ロッドレンズ6の位置調整は、長手方向と短手方向の並進移動のみならず、光軸方向を回転軸とする角度の調整をすることもできる。
図18に示した調整手段によるロッドレンズ6の位置と回転の調整態様について図19を用いて説明する。図19は、蹴上部に配置されている2つのネジ52のうち、上側のネジ52を締め、下側のネジ52を緩めた状態を示している。図19に示すように、ロッドレンズ6の長手方向の側面において、上側のみが板バネ52側に押されて、下側の位置は変わっていないので、光軸方向の軸を中心として回転し傾いている。同じような傾きを形成するには、踏面部に配置されているネジ52の蹴上部に近い方のネジ52を締め、蹴上部から遠い方のネジ52を緩めてもよい。ネジ52の締める方と緩める方を逆にすると、ロッドレンズ6を図19に示した方向とは逆の方向に傾けることができる。
また、本実例に係るプロジェクタ1が備えるロッドレンズ6の調整手段は、図20に示すように、段差161の蹴上部にネジ52を2つ配置し、踏面部にはネジ52を1つ配置して、各ネジ52に対向する固定具50の内壁面に板バネ51を配置する形態で構成してもよい。このように、板バネ51およびネジ52を1つとするか、複数設けるかは、ロッドレンズ6の位置と回転の調整精度によって適宜選択すればよい。図20に示した調整手段によって、ロッドレンズ6を傾けた態様の例を図21に示す。
ここで、ロッドレンズ6の位置調整を全く行っていない状態を想定すると、図22に示すような状態になる。図22においてロッドレンズ6は,板バネ51側には移動する余地があるが、ハウジング16側には移動する余地はない。つまり、ロッドレンズ6の位置調整や回転調整を行うにあたって、1方向にのみ調整をすることができる状態である。
以上説明した各実施例に係る調整手段によって、ロッドレンズ6の位置や回転角度を調整すると、DMD11を照明する光の位置が移動する。ここで、ロッドレンズ6の調整とDMD11上を照明する光の関係について説明をする。図23、図24において、符号110は、DMD11の画像表示領域を示している。また、符号120はDMD11上を照明する光が当たっている領域(照明領域)を表している。
図23(a)は、ロッドレンズ6の位置調整が適切になされている場合であって、照明領域120は画像表示領域110の全体を照明しており、画像表示領域110が照明領域120からはみ出すことなく収まっている状態である。この状態が好適な照明状態である。
調整手段を構成する蹴上部のネジ52を締めすぎてロッドレンズ6がハウジング16から離れる方向に移動し過ぎると図23(b)に示すような照明状態になる。また、逆に、調整手段を構成する蹴上部のネジ52を緩めすぎてロッドレンズ6がハウジング16に近づく方向に移動し過ぎると図23(c)に示すような照明状態になる。
調整手段を構成する踏面部のネジ52を緩めすぎてロッドレンズ6がハウジング16に近づく方向に移動しすぎると、図23(d)に示すような照明状態になる。また、逆に、調整手段を構成する踏面部のネジ52を締めすぎてロッドレンズ6がハウジング16から離れる方向に移動し過ぎると、図23(e)に示すような照明状態になる。
調整手段を構成する蹴上部のネジ52を締めすぎて、踏面部のネジ52を緩めすぎたとき、ロッドレンズ6は、蹴上部からは遠のき、踏面部には近づく状態になる。そのときの照明状態は図24(a)に示すようになる。
図24(b)から図24(d)は、調整手段においてロッドレンズ6の設置角度を調整したときの照明領域120とDMDの画像表示領域110の位置関係を示している。図24(b)に示すように、ロッドレンズ6が光軸周りに回転しても、回転量が小さく、照明領域120がある程度大きければ、DMD11の画像表示領域110の全面を照明することができる。しかし、ロッドレンズ6の回転量が大きくなると、図24(c)に示すように、画像表示領域110の一部が照明領域120からはみ出る状態になる。また、設置位置と回転量の両方が大きくずれると、図24(d)に示すように、画像表示領域110の一部が照明されない状態になる。照明領域120がDMD上の画像表示領域110からずれて、照明されない領域が生じると、スクリーン上の画像において、その部分は画像が表示されず影のようになる。
DMD11の画像表示領域110が適切に照明されているときの、DMD11上の光量分布の例を図25に示す。図25において、DMD11の長手方向の光量分布111は、横軸が長手方向の位置に対応し、曲線は各位置における光量の大きさを示している。また、DMD11の短手方向の光量分布112は、縦軸が短手方向の位置に対応し、曲線は各位置における光量の大きさを示している。
光量分布は、ロッドレンズ6内での光の反射回数に依存するので、ロッドレンズ6内で反射回数が十分ではなく、照明光の光量にムラがあると、DMD11の有効領域11を照明する照明領域120に光ムラが生ずることになる。そうすると、図25に示した光量曲線のように、上部が平坦な曲線とはならずに、中央が尖った形状の分布を示す曲線となる。
調整手段を用いて、ロッドレンズ6をその短手方向に連続的に移動させた場合、DMD11上の照明領域120は、図26に示すように変化する。図26から明らかなように、ロッドレンズ6の設置状態(設置位置および設置角度)を連続的に変化させると、最適な設置位置を判別することができる。図26に示した有効領域111と照明領域112のように、照明領域112を変化させながら、DMD11上の照度を計測すると、図27に示すように、凸形の曲線からなる光量分布の特性曲線130を得ることができる。この特性曲線130は、照度を実測してもよいし、シミュレーション実験によって算出してもよい。
また,特性曲線130を得るために測定する対象は照度に限ることはなく、DMD11上の照明領域の最大値と最小値との比であってもよい。これは照明の均一性を表し、比が1に近いほど均一性が高いことを表す。
ロッドレンズ6の最適な設置位置を決定するときには、図27に示した特性曲線130の中央値に相当する位置を、ロッドレンズ6の好適な設置位置とすればよい。特性曲線130の中央値を用いるのは、公差が左右で対称的だからである。まず、ロッドレンズ6を図22に示したように、ハウジング16に接触させた状態で、長手方向と短手方向において、ハウジング16から離れる方向にのみ移動可能な状態にしておき、ロッドレンズ6を移動させながら、図27の特性曲線を取得して、中央値となる位置を特定すればよい。
ロッドレンズ6の最適な設置位置は、シミュレーション実験により求めることもできるので、本実施例に係るシミュレーション実験を、DMD11の画素のピッチを10.8μmとし、DMD11の対角長を0.65インチとして、WXGA規格のものを想定して行った。
Z軸(光軸)と平行な軸を回転軸として、ロッドレンズ6を連続的に回転させたときに回転角度と照明均一性の相関を示す特性曲線の例を図28に示す。図28の特性曲線、ロッドレンズ6の開口サイズが5.7mm×3.4mmであり、ロッドレンズ6の長さが25mmのものを採用した場合に得られる特性曲線である。
図28は、横軸をロッドレンズ6の回転角とし、縦軸にDMD11上の照度の均一性とするグラフである。図28に示すように、ロッドレンズ6をZ軸(照明光学系の光軸)と平行な軸を回転軸として回転させて角度の変化量が大きくなると、照明均一性が下がるという特性を示す曲線が得られる。
図28に示す特性曲線の中央値を求めれば、ロッドレンズ6の最適な設置位置を特定することができる。これは例えば半値全幅である。プロジェクタ1の仕様として照明均一性を50%とすると、この特性曲線131の線の端を求めることができる。このときロッドレンズ6の設置の回転角を中央にするのではなく端とする。中央値は−10°であれば、端の値は−11.8°となる。ロッドレンズ6の設置の回転角を中央値とした場合、調整範囲は特性曲線131の半分のみである(調整範囲1)。しかし、このように端に寄せることにより調整範囲が広がる(調整範囲2)。なお、ロッドレンズ6の回転調整は、すでに説明をした設置手段による。
図29は、横軸をロッドレンズ6の短手方向の移動量とし、縦軸にDMD11上の照度の均一性とするグラフである。図29に示すように、特性曲線132は、ロッドレンズ6を短手方向に移動させると、中央位置から離れる距離に応じて、照明均一性が下がるという特性を示す曲線が得られる。
図30は、横軸をロッドレンズ6の長手方向の移動量とし、縦軸をDMD11上の照度の均一性とするグラフである。図30に示すように、特性曲線133は、ロッドレンズ6を長手方向に移動させると、中央位置から離れる距離に応じて、照明均一性が下がるという特性を示す曲線が得られる。
以上のように、本発明に係る画像表示装置によれば、至近距離で大画面表示をするために必要となる照明光学系の光利用効率を最適にするために、ロッドレンズの設置位置と設置角を、調整手段によって調整することができる。調整手段によるロッドレンズの設置位置と設置角の調整量の特定は、特性曲線を用いることで、容易に判断することができる。
ここで光利用効率とは、ロッドレンズの出射端から出た光が、投射レンズ(の入射瞳)に到達する割合によって表される指標である。
ここで光利用効率とは、ロッドレンズの出射端から出た光が、投射レンズ(の入射瞳)に到達する割合によって表される指標である。
(実施例2)
次に、本発明に係る画像表示装置の別の実施例について説明する。本実施例に係るプロジェクタ1は、第1折り返しミラー9をシリンダーミラーとする。第1折り返しミラーにシリンダーミラーを用いることにより、第2リレーレンズ8からの照明光を集光できるため、第1折り返しミラー9に平面ミラーを用いる場合よりも、光利用効率を向上させることができる。
次に、本発明に係る画像表示装置の別の実施例について説明する。本実施例に係るプロジェクタ1は、第1折り返しミラー9をシリンダーミラーとする。第1折り返しミラーにシリンダーミラーを用いることにより、第2リレーレンズ8からの照明光を集光できるため、第1折り返しミラー9に平面ミラーを用いる場合よりも、光利用効率を向上させることができる。
しかし、シリンダーミラーの形状には非対称性があるため、ロッドレンズ6の光軸周り回転に対しては、平面ミラーの場合よりも悪影響が大きい。このために、実施例1で説明したようなロッドレンズ6の回転角を調整する調整手段が有効になる。
(実施例3)
次に、本実施例に係るプロジェクタ1が備える照明光学系の構成において、ロッドレンズ6と、第1リレーレンズ7および第2リレーレンズ8の関係について説明をする。図31は、ロッドレンズ6と、第1リレーレンズ7、第2リレーレンズ8の配置を示す概要図である。図31において、第1リレーレンズ7と第2リレーレンズ8は、Z軸(光軸)方向の位置は異なるが、短手方向と長手方向の座標は同じである。従って共軸である。第1リレーレンズ7と第2リレーレンズ8のZ軸の光軸Bは、ロッドレンズ6のZ軸の光軸Aに対してシフトしている。
次に、本実施例に係るプロジェクタ1が備える照明光学系の構成において、ロッドレンズ6と、第1リレーレンズ7および第2リレーレンズ8の関係について説明をする。図31は、ロッドレンズ6と、第1リレーレンズ7、第2リレーレンズ8の配置を示す概要図である。図31において、第1リレーレンズ7と第2リレーレンズ8は、Z軸(光軸)方向の位置は異なるが、短手方向と長手方向の座標は同じである。従って共軸である。第1リレーレンズ7と第2リレーレンズ8のZ軸の光軸Bは、ロッドレンズ6のZ軸の光軸Aに対してシフトしている。
上記のようなロッドレンズ6と、第1リレーレンズ7、第2リレーレンズ8の配置関係があるとき、第1リレーレンズ7の形状を非球面にすることで、球面レンズの場合よりも光利用効率を向上させることができる。図31に示すように,第1リレーレンズ7は両凸レンズであるが,非球面化は第1面か第2面、または両方であっても良い。
(実施例4)
また、第2リレーレンズ8の形状を非球面にすることにより、球面レンズの場合よりも、光利用効率を向上させることができる。図31に示すように,第2リレーレンズは両凸レンズであるが、非球面化は第1面か第2面、または両方であっても良い。
また、第2リレーレンズ8の形状を非球面にすることにより、球面レンズの場合よりも、光利用効率を向上させることができる。図31に示すように,第2リレーレンズは両凸レンズであるが、非球面化は第1面か第2面、または両方であっても良い。
第1リレーレンズ7、第2リレーレンズ8は球面レンズであれば研磨によって作成すればよいが、非球面レンズにする場合は、プレス成型で作製すればよい。
(実施例5)
また、第2折り返しミラー10の形状を非球面ミラーにすることで、より光利用効率を向上させることができる。
また、第2折り返しミラー10の形状を非球面ミラーにすることで、より光利用効率を向上させることができる。
(実施例6)
次に、本発明に係る画像表示装置が備える投射光学系の実施例について説明をする。図32は、投射光学系を構成する投射レンズ12と自由曲面ミラー13、および平面ミラー15の例を示す概略図である。図21において、照明光学系は省略している。
次に、本発明に係る画像表示装置が備える投射光学系の実施例について説明をする。図32は、投射光学系を構成する投射レンズ12と自由曲面ミラー13、および平面ミラー15の例を示す概略図である。図21において、照明光学系は省略している。
図32に示すように、投射レンズ12と自由曲面ミラー13との間に平面ミラー19を配置している。自由曲面ミラー13の形状は例えば15次の係数で表される。スクリーン14上での投射画像のサイズは40インチから80インチ程度である。画面サイズの変化は、プロジェクタ1とスクリーン14との距離を変更することによって行う。例えば、プロジェクタ1をスクリーン14に近づけると画面サイズは小さくなり、遠ざけると画面サイズは大きくなる。
上記照明光学系を備えたプロジェクタ1のDMD11の画像形成面における光量分布の例を図33に示す。この光量分布は、光線追跡によるシミュレーション実験で求めたものである。DMD11の光量分布位置は、長手方向のマイナス方向がスクリーン14を正面から見て左方向、長手方向のプラス方向が右方向、短手方向のマイナス方向がスクリーン14を正面から見て上方向,短手方向のプラス方向が下方向にそれぞれ対応する。
図33中、点線112で囲まれた領域がDMD11の画像表示領域である。光量分布は領域内最大光量を1すなわち100%として規格化して表示している。図33に示すように、DMD11の有効領域112内での規格化光量分布の最小値は76%以上になっている。また、中心付近から同じ等高線の領域が広がっており、均一に照明されていることが分かる。ちなみに、人間の目は、50%の光量分布があっても、その違いをほとんど感じることができないから、上記のような光量分布の最小値76%は何ら問題にならない。
次に、本発明に係る画像表示装置からの投射光によるスクリーン上での光量分布の例を、図34に示す。すでに説明をした光学系と投射光学系を備えたプロジェクタ1を用いて、対角約84インチのスクリーンに全白の画像を投射したものである。最大値を1として規格化している。画面中央には光量が均一な領域が広がっているが、周辺に行くに従って光量が低下していることが分かる。
以上のように、本発明に係る画像表示装置は、例えばロッドレンズからなる照明均一化素子の位置を調整手段によって変化させながら、光量の特性曲線を求めて、この特性曲線に基づいて最適なロッドレンズの設置位置と設置角度を特定することで、照明光学系の光利用効率を向上させることができ、これによって、光量分布が均一な投射光を出射することができる。
1 プロジェクタ
2 光源
3 ランプリフレクタ
5 カラーホイール
6 ロッドレンズ
7 第1リレーレンズ
8 第2リレーレンズ
11 DMD
12 投射レンズ
13 自由曲面ミラー
2 光源
3 ランプリフレクタ
5 カラーホイール
6 ロッドレンズ
7 第1リレーレンズ
8 第2リレーレンズ
11 DMD
12 投射レンズ
13 自由曲面ミラー
Claims (7)
- 光源と、
前記光源から出射される光を集光する集光器と、
前記集光器の近傍に入射端を有する照明均一化素子と、
前記集光器と前記照明均一化素子の間に配置され、前記照明均一化素子に入射される光に時分割で色要素を重畳するカラーフィルタと、
2次元的に配置された複数の微小ミラーを有し、個々の微小ミラーの傾き角度をオン状態とオフ状態で変化させることにより反射光の出射をオン・オフさせる反射型画像表示素子と、
前記照明均一化素子の出射端から前記反射型画像表示素子までの間に配置されている第1リレーレンズと第2リレーレンズおよび第1折り返しミラーと第2折り返しミラーを有してなる照明光学系と、
前記反射型画像表示素子を構成する複数の微小ミラーのうちオン状態にある微小ミラーからの反射光を被投射面に投射する投射光学系と、を有し、被投射面に画像を投射する画像表示装置であって、
前記反射型画像表示素子が有する表示面と前記被投射面との成す角が,略直交しており、
前記照明均一化素子は、設置位置と設置角度を調整する調整手段を有し、
前記調整手段は、前記照明均一化素子の長手方向の位置と短手方向の位置、および、光軸と平行の軸を中心とした回転角度を調整することを特徴とする画像表示装置。 - 前記調整手段は、
前記照明化均一化素子を所定の位置に固定するための固定具と、
前記照明化均一化素子の位置を、当該照明化均一化素子の長手方向と短手方向に並進させる部材と、を有してなることを特徴とする画像表示装置。 - 前記照明均一化素子は、
前記調整手段により設置位置と設置角度を変化させたときに前記反射型画像表示素子への照明状態の変化によって得られる各特性曲線の横軸において、中央よりも一方の端側が、初期の設置状態であることを特徴とする請求項1、2に記載の画像投射装置。 - 第1折り返しミラーは、シリンダー形状を有してなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像表示装置。
- 前記第1リレーレンズは、非球面レンズであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像表示装置。
- 前記第2リレーレンズは、非球面レンズであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像表示装置。
- 前記第2折り返しミラーの反射面が非球面形状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像表示装置。
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