以下、図面を参照しつつ、本発明に係る切妻屋根建物、屋根構造の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る屋根構造を採用した切妻屋根建物を示す図である。図1では、建物の一部を断面とし、建物の内部の空間を示している。図2は、切妻屋根建物の主架構の構成を示すモデル図である。図3は、切妻屋根建物の主架構を妻部側から見た正面図である。図4は、棟梁及び棟柱周辺の架構の構成を梁方向から見た図である。
図1〜図4に示すように、屋根構造100が採用された切妻屋根建物1は、鉄骨造二階建ての工業化住宅である。この切妻屋根建物1では、予め規格化(標準化)された構造部材の組み合わせによって架構が構成される。各構造部材は工場にて製造され、建築現場にて組み立て作業がなされる。この切妻屋根建物1は、平面モジュールMを有し、基礎梁、柱、梁は、モジュールMの整数倍の間隔で直交する二方向に設定された通り上に(中心位置が通りに一致するように)配置される。本実施形態では、切妻屋根建物1の(少なくとも)最上階は平面視矩形状である。切妻屋根建物1は、比較的緩い勾配(2.6寸勾配)の切妻形式の屋根を有する。切妻屋根建物1は、棟部1Aと、桁部1Bと、妻部1Cと、を有している(また、妻面T、桁面Kを有する)。切妻屋根建物1は、主に、鉄骨造の主架構2と、屋根部構面体3と、その他の壁体や床などを備えて構成されている。屋根構造100は、少なくとも主架構2と、屋根部構面体3を備える。
切妻屋根建物1の主架構2の構成について説明する。主架構2は、棟部1Aに形成された棟部フレーム2Aと、構面をなす一対の桁部フレーム2Bと、を主に備えている。棟部フレーム2A及び桁部フレーム2Bに、面内剛性を有する(せん断力を伝達しうる)屋根部構面体3が架け渡され、接合されている。すなわち、棟部フレーム2Aに作用する水平力を、屋根部構面体3を介して桁部フレーム2Bへ伝達し易い構成となっている。また、屋根部構面体3の棟部フレーム2A側の固定度は、桁部フレーム2B側の固定度よりも小さく設定されている(固定度の詳細な説明については後述)。
棟部1Aには、棟梁4と、少なくとも棟梁4の両端を支持する一対の棟柱6(キングポスト)と、を備えて構成される門形の棟部フレーム2Aが形成されている。棟梁4はH形鋼からなり、棟柱6は角型鋼管からなる。棟柱6は、桁方向の強度を確保するために(妻部1Cが風圧力を受けた際に作用する曲げに抗し得るように)、桁方向が長手方向となる長方形状の断面を有する。棟柱6と棟梁4とはピン接合されており、棟部フレーム2Aでは、桁方向に作用する水平力を負担しない構成となっている。例えば、棟柱6の柱頭部7に取り付けられた接合金物8と棟梁4のウェブ4aの両端とが、ボルト接合されている(図4参照)。なお、両端の棟柱6と棟柱6との間に、更に中間の棟柱6が設けられていてもよい。また、棟柱6で棟梁4の下面を支持し、棟梁4を棟柱6から片持梁状に突出させ、当該棟梁4の突出部分で妻部1Cから延出した屋根部構面体3(庇)を支持するように構成してもよい。
両桁部1Bには、棟梁4と平行且つ高低差を有するように架けられた桁梁11と、少なくとも桁梁11の両端を支持する一対の桁柱12と、を備えて構成される桁部フレーム2Bがそれぞれ形成されている。桁梁11はH形鋼からなり、桁柱12は角型鋼管からなる。なお、両端の桁柱12の間に、更に中間の桁柱12が設けられていてもよい。更に、桁部フレーム2Bでは、(図3において妻部1Cに設けられているものと同様な構成を有する)両桁部に複数の鋼材の組み合わせによる耐力要素14及び角形鋼管からなる当該耐力要素14取り付け用の柱16が設置されており、構面をなしている(すなわち、桁方向に作用する水平力を負担する構成となっている)。また、桁部フレーム2Bの外側面にはALC製の壁パネルからなる壁体17も形成されている(図1参照)。耐力要素を省略して桁柱12と桁梁11とを剛接合することによって構面をなすように構成してもよい。また、棟柱6と同様に、桁柱12から桁梁11を片持梁状に突出させて屋根部構面体3(庇)を支持するように構成してもよい。
妻部1Cの桁柱12の頂部と棟柱6の中間部との間には、桁梁11と同一断面形状の妻部水平梁21が、桁梁11と同一高さとなるように、架け渡されている。妻部水平梁21は、棟柱6で分断されて一対設けられている。また、妻部1Cには、耐力要素14と当該耐力要素14取り付け用の柱16とが設置されている。これら妻部1Cの耐力要素14と当該耐力要素取り付け用の柱16は、桁部1Bの各部材と同一形状、同一納まりである。また、妻部1Cの外側面にはALC製の壁パネルからなる壁体22も形成されている(図1参照)。
切妻屋根建物1の主架構2では、棟柱6の頂部と桁柱12の頂部とを架け渡す登り梁が省略されており、妻部1Cにおける棟部1A付近に窓を設けた場合に、登り梁によって制約を受けることなく、より高い位置により広い開口部を確保することができる。また、両端側の棟柱6の間に架け渡される梁は、頂部の棟梁4のみとし、棟梁4の下方に設けられる雲筋交やこれを支持する為の梁が省略されており、棟部1Aでの天井を高く(また、途中で梁などが無い開放的な天井とする)することができる。
次に、図5を参照して、屋根部構面体3の構成について説明する。図5は、屋根部構面体を下方から見た図である。屋根部構面体3は、複数の屋根パネル30からなり、屋根構面をなしている。屋根パネル30は、枠体31と枠体31の上面31aを覆う面材32とで構成されている。枠体31は、屋根勾配方向に平行に配列された複数(少なくとも両端に2本。本実施形態では、3本設けられている)の斜材33と、当該複数の斜材33の上端同士及び下端同士を夫々連結する上部連結材34及び下部連結材36と、隣接する斜材33同士を中間で連結する中間連結材37とで構成されている。
屋根パネル30の材料が木質系材料で構成されており、面材32はOSBや構造用木質繊維ボートなどからなり、枠体31を構成する各部材はディメンジョンランバーやLSLからなる。木質系材料は、(鋼材等の金属製材料とは異なり)板状の接合片を設けて梁と直接ボルト接合するのに適さない材料である。各屋根パネル30の構成部材同士は釘にて接合されている。面材32は、継ぎ目のない一枚の板で構成されており(すなわち、複数の板を枠体31の上面31aに並べるような構成ではない)、一枚の板にて枠体31の上面31aの略全域を覆うことで、面内剛性が高く、せん断力を確実に伝達しうる構成となっている。
各屋根パネル30は棟梁4と、桁梁11との間に架け渡されている。屋根パネル30の幅寸法は、取り付け箇所によって異なる寸法のものを用いてよい。例えば、中間部用の屋根パネル30の幅寸法は、平面モジュールMの整数倍に設定され、端部用すなわち妻部1C用の屋根パネル30の幅寸法は、平面モジュールMの整数倍+α(妻側の庇の出に応じた寸法)に設定してよい。中間部用の屋根パネル30は、桁部1Bから外側に延伸し、端部用の屋根パネル30は、桁部及び妻部から延伸し、延伸部分が庇を構成している。各屋根パネル30の桁部1B(桁梁11)に対応する位置には、中間連結材(桁部中間連結材)37が配置され、妻部1C(妻部水平梁21)に対応する位置には、斜材(妻部斜材)33が配置されている。隣接する2つの屋根パネル30は、幅方向における端部の斜材33の側面同士を当接した状態で、釘で接合されている。
次に、図5〜図7を参照して、屋根部構面体3と主架構2との接合部の構成について説明する。図6は、桁梁付近の構成を桁方向から見た断面図である。図7は、棟梁4付近の構成を桁方向から見た断面図である。屋根部構面体3を構成する屋根パネル30は、棟梁4に取り付けられた棟部第一接合金物40Aと、屋根パネル30に取り付けられた棟部第二接合金物41Aと、を介して棟梁4に接合されている。屋根パネル30は、桁梁11に取り付けられた桁部第一接合金物40Bと、屋根パネル30に取り付けられた桁部第二接合金物41Bと、を介して桁梁11に接合されている。
(1)屋根パネル側
棟部第二接合金物41Aは、上部連結材34と各斜材33との接合部に取り付けられている。棟部第二接合金物41Aは、枠体31に固定される固定片43Aと、主架構2(棟梁4)側の棟部第一接合金物40Aの接合片46Aとボルト接合される板状の接合片44Aと、を備えて構成される。固定片43Aは、アングル状(L字状)をなしており、斜材33の側面33aと上部連結材34の側面34aとに跨るようにして当接されて固定される。接合片44Aは、固定片43Aの下端から水平方向に延伸するように構成されており、枠体31の下面31bと同一面となるように取り付けられている。棟部第二接合金物41Aは、釘にて屋根パネル30に固定されている。なお、屋根パネル30は、棟部第二接合金物41Aが予め取り付けられた状態で現場搬入される。なお、接合片44Aは、枠体31の下面31bよりも下方に突出しないように取り付けてもよい。
桁部第二接合金物41Bは、中間連結材37と各斜材33との接合部に取り付けられている。桁部第二接合金物41Bは、枠体31に固定される固定片43Bと、主架構2(桁梁11)側の桁部第一接合金物40Bの接合片44Bとボルト接合される板状の接合片44Bと、を備えて構成される。固定片43Bは、アングル状(L字状)をなしており、斜材33の側面33aと中間連結材37の側面37aとに跨るようにして当接されて固定される。接合片44Bは、固定片43Bの下端から水平方向に延伸するように構成されており、枠体31の下面31bと同一面となるように取り付けられている。桁部第二接合金物41Bは、釘にて屋根パネル30に固定されている。なお、屋根パネル30は、桁部第二接合金物41Bが予め取り付けられた状態で現場搬入される。なお、接合片44Bは、枠体31の下面31bよりも下方に突出しないように取り付けてもよい。
特に、接合片44A,44Bを枠体31の下面31bと同一面とする場合、屋根パネル30の製作作業を次のように効率的に行えるという効果を奏する。まず、斜材33、連結材34,36,37を固定して枠体31を組む。このとき、枠体31の下面31bを作業面に載置するようにする。次に、枠体31の上面31a側から第二接合金物41A,41Bを枠体31内(各部材で囲まれる空間内)に入れる。このとき、接合片44A,44Bを作業面に載置するようにする。次に、第二接合金物41A,41Bの固定片43A,43Bを、斜材33、連結材34,36,37の側面のうち、対応するものに当接させて位置合わせをする。ここで、接合片44A,44Bと枠体31の下面31bはいずれも作業面に載置されているため、同一面となっており、接合片44A,44Bの高さ方向の位置合わせは既に完了した状態となっている。その後、第二接合金物41A、41Bを枠体31の側面に釘を用いて固定する。次に、枠体31をそのままとした状態で、上面31aに面材32を被せ、釘を用いて固定する。
例えば、接合片44A,44Bの位置が、枠体31の下面31bよりも奥まった位置(上面31a側の位置)や、下面31bから出張った位置に設定される場合、第二接合金物41A,41Bの高さ方向の位置合わせの作業が必要になり、そのために枠体31の下面31bを上方に向けておく必要性が生じる場合がある(すなわち、次の工程で面材32を取り付ける際、面材32を先に枠体31に取り付け、その後、第二接合金物41A、41Bの取り付けの為に枠体31を裏返す必要がある)。一方、接合片44A,44Bを枠体31の下面31bと同一面に設定しておけば、第二接合金物41A,41Bの高さ方向の位置合わせが不要(地面に載置することで、結果的に位置合わせが完了する)になり、作業中に枠体31を裏返す必要も無くなるため、効率的に作業を行うことができる。
(2)主架構側
棟梁4の上フランジには、主架構2側の棟部第一接合金物40Aが取り付けられている。棟部第一接合金物40Aは、棟梁4の上フランジに固定する為の固定片47Aと、屋根勾配に対応した傾斜角を有する接合片46Aとを有している。棟部第一接合金物40Aは、固定片47Aの両側に翼状の接合片46Aを備えており、一つの部材に対して両側の屋根パネル30(に取り付けられた棟部第二接合金物41Aの接合片44A)が接合されている。本実施形態では、固定片47Aと各接合片46Aとの間の接続部分は、上方に立ち上がっている。棟部第一接合金物40Aは棟梁4に対しボルトにて固定されている。棟部第一接合金物40Aと棟部第二接合金物41Aとは、ボルトにて接合されている。棟部第一接合金物40Aは、鋼板を折り曲げ加工して各片を形成しただけの(あるいは、各片を溶接して固定した)シンプルな形状を有する。棟部第一接合金物40A及び棟部第二接合金物41Aの接合片の近傍は開放されており、建物内部側からの作業のみで接合可能で、施工性に優れている。すなわち、作業者は、他の鋼製部材の固定作業と同じく、ボルトで締結するだけの作業で屋根パネル30の取り付けを行うことができ、しかも、建物外部側に作業者を配する必要がなく、建物内部側の作業者だけで取り付けが可能である。
なお、変形例として、図8に示す棟部第一接合金物140Aを採用してもよい。図8に示す棟部第一接合金物140Aは、接続片146Aと固定片147Aとの間の立ち上がり部分がなく、単純に屈曲した構成となっている。このような構成とすることで、製造コストを低くすることができ、強度も上げることができる。
桁梁11の上フランジには、主架構2側の桁部第一接合金物40Bが取り付けられている。桁部第一接合金物40Bは、桁梁11の上フランジに固定する為の固定片47Bと、屋根勾配に対応した傾斜角を有する接合片46Bとを有している。桁部第一接合金物40Bは、固定片47Bの棟部1A側の縁部から棟部1Aへ向かって延びる接合片46Bを備えており、一つの部材に対して一の屋根パネル30(に取り付けられた桁部第二接合金物41Bの接合片44B)が接合されている。本実施形態では、固定片47Bと各接合片46Bとの間の接続部分は、上方に立ち上がっている。桁部第一接合金物40Bは桁梁11に対しボルトにて固定されている。桁部第一接合金物40Bと桁部第二接合金物41Bとは、ボルトにて接合されている。桁部第一接合金物40Bは、鋼板を折り曲げ加工して各片を形成しただけの(あるいは、各片を溶接して固定した)シンプルな形状を有する。桁部第一接合金物40B及び桁部第二接合金物41Bの接合片の近傍は開放されており、建物内部側からの作業のみで接合可能で、施工性に優れている。すなわち、作業者は、他の鋼製の部材の固定作業と同じく、ボルトで締結するだけの作業で屋根パネル30の取り付けを行うことができ、しかも、建物外部側に作業者を配する必要がなく、建物内部側の作業者だけで取り付けが可能である。
なお、変形例として、図9に示す桁部第一接合金物140Bを採用してもよい。図9に示す桁部第一接合金物140Bは、固定片147Bにおける棟部1Aの反対側の縁部から立ち上がり部分が形成され、全体として略コ字状の断面を形成している。このような構成とすることで、桁部第一接合金物140Bの取り付け作業も建物内部側の作業者のみで行うことができる。
次に、図6、図10を参照して、妻部連結金物50の構成について説明する。図10は、図6に示すX−X線に沿った断面図である。図6に示すように、妻部1Cの妻部水平梁21の端部近傍に、屋根パネル30を支持する妻部連結金物50が配置される。従って、妻部連結金物50は、平面視で、屋根の四隅の近傍にそれぞれ配置される。妻部連結金物50は、屋根パネル30に当接する屋根当接部51と、妻部水平梁21に当接する梁当接部54と、屋根当接部51と梁当接部54とを連結する脚部52と、スチフナ53と、を備えて構成されている。
屋根当接部51は、屋根パネル30の枠体31の斜材33を支持するものであり、図10に示すように、屋根パネル30の枠体31の下面31bを受ける受け部51aと、受け部51aの端部から立ち上がって枠体31の一方の側面33aに当接する立上り壁51bとより構成される。
図10に示すように、受け部51aは、屋根パネル30の枠体31を下方側から支持する。図10の例では隣接する2枚の屋根パネル30の互いに当接する斜材33を支持している(ただし、中間斜材を支持する場合は、一つの斜材を支持する)。図10では、2枚の屋根パネル30を、便宜上、屋根パネル30A,30Bとすると、屋根パネル30Aの枠体31を構成する斜材33Aと、屋根パネル30Bの枠体31を構成する斜材33Bとが、受け部51a上に載置される。
立上り壁51bには、複数の釘孔51cが設けられている。立上り壁51bの釘孔51cを通して水平方向に打ち込まれた釘51dによって、屋根パネル30の枠体31が屋根当接部51に固定される。なお、立上り壁51bと枠体31との固定は、鋲着、螺着又はボルト接合等のいずれでもよく、特に限定されない。
脚部52は、屋根当接部51における受け部51aの一方の側辺と、梁当接部54における一方の側辺と、を連結するものであり、上辺が屋根パネル30の傾斜に沿って傾斜している。梁当接部54は、妻部水平梁21の上フランジ21aに、ボルトにより連結される。屋根当接部51の受け部51aと、梁当接部54との間には、2つのスチフナ53が架設されている。スチフナ53は、妻部水平梁21の延材方向における妻部連結金物50の一方側の端部近傍と、他方側の端部近傍とに設けられている。また、スチフナ53は、受け部51aと、脚部52と、梁当接部54と、に溶接により接合されている。
妻部連結金物50は、高さ方向の長さよりも妻部水平梁21の延在方向の長さを大として形成されると共に全体を桁部フレーム2B寄りに寄せた位置で妻部水平梁21上に設置されている。妻部水平梁21には、下方より耐力要素14が連結されている。
一方の妻面Tの棟部1Aに、棟部フレーム2Aに平行な水平力が作用すると、他方の妻面Tでは一対の屋根部構面体3を互いに離間させる方向にせん断力が作用するが、妻部連結金物50は当該せん断力に抗することで屋根部構面体3の変形を効果的に抑制することができるものとなっている。(なお、棟部フレーム2Aに直行する方向に水平力が作用する場合も、結局は屋根部構面体3を開かせるような荷重が作用するので、上記と同様の効果を得ることができる。)
妻部連結金物50を上述のようなせん断力に有効に抗させる場合、すなわち、上述のようなせん断力を有効に下方の耐力要素14に伝達させる場合、当該妻部連結金物50の剛性を大きなものとすることが好ましい。かかる点に鑑みると、妻部連結金物50は全長(部材せい)よりも幅(部材幅)を大とする構成のものを採用する方が、上述のような荷重に対して全体を高剛性に維持することができるため、好ましい。ここで、妻部連結金物50を棟部フレーム2A寄りに設置する場合に、高剛性を維持すべく部材せいを高くした場合、それに伴って部材幅も大きくなり、結果的に妻面Tのほぼ全面が当該妻部連結金物50に覆われてしまうこととなり、上述のような荷重に対して高スペックとなりすぎてしまう。そこで、本実施形態では、妻部連結金物50を桁部フレーム2B寄りに設置することによって、せん断力を有効に下方の耐力要素14に伝達させることを可能としつつ、部材の大きさも低減することが可能となっている。
また、妻部連結金物50が桁部フレーム2B寄りに設けられることで、桁方向の水平力が作用した場合の、屋根パネル30の桁部1B側の固定度(せん断力の伝達能力)がより大きくなって、せん断力を桁部フレーム2Bに流すこと(桁部フレーム2B側での負担を増やすこと)ができ、これに応じて、棟部フレーム2Aの負担を低減することができる。この結果、屋根パネル30の棟部1A側での固定度を小さくすることができ、棟部1Aの接合金物40A,41Aをより簡易でコンパクトなものにすることができ、屋根面(屋根部構面体3の下面)に沿って勾配天井を形成した場合のノイズが形成されにくくなる。
妻方向に水平力が作用した場合、屋根パネル30に作用するせん断力の一部は、棟部1Aや桁部1Bの接合金物40A,41A,40B,41Bを介さず、妻部連結金物50を介して、主架構2に伝達される。従って、接合金物40A,41A,40B,41Bの負担を減らし、より簡易な構成とすることができる。
図1〜図4を参照して妻部1Cの構成について説明する。妻部1Cの妻部水平梁21より下側の壁の納まりは、桁部1Bと同一であり、桁部1Bと同じ部材が用いられている。このように、妻部水平梁21より下の壁の納まりが桁部1Bと同一のため、構成部材の品種を減らすことができる。妻部水平梁21より上の部分には、上辺が屋根勾配に応じた角度に加工された三角形あるいは台形の外壁パネルが取り付けられる。中央部(棟部1A近傍)については、台形のガラス窓80が設置される。
図12を参照して、ガラス窓80付近の構造について説明する。図12は、桁部1B側から棟部1A側を見たときの断面図である。ガラス窓80は、図12に示すように、妻部水平梁21に沿って水平な下部フレーム82と、屋根パネル30の斜材33に沿って傾斜する上部フレーム81と、下部フレーム82と上部フレーム81の端部同士を連結する2本の縦フレーム(図示せず)とからなる枠体85、及び枠体85にはめ込まれたガラス板86で構成されている。なお、図12には、室内側に勾配天井面83の断面の一部が示され、室外側に軒天井面87の断面の一部が示されている。枠体31の下側には、断熱材88が取り付けられている。断面位置によって、図12に示されている上部フレーム81や勾配天井面83や軒天井面87などの高さ位置は変わる。主架構2には、屋根面に沿う登り梁が存在しないので、ガラス窓80の上辺を、勾配天井面83付近まで延ばすことができる。
以上のように、本実施形態に係る切妻屋根建物1では、より高い位置に開口面積のより大きなガラス窓80を設置することができる。また、棟部フレーム2Aの棟柱6と棟梁4との接合はピン接合であり、耐力要素も存在しないので、棟部1A付近の部材の断面を小さくすることや接合部の構成を簡易なものにすることができ、ガラス窓80をより大きくすることができる。
次に、本実施形態に係る切妻屋根建物1及び屋根構造100の作用・効果について説明する。
本実施形態に係る切妻屋根建物1では、棟部フレーム2Aの棟梁4と棟柱6がピン接合されており、棟部フレーム2Aと桁部フレーム2Bとは、面内剛性を有する屋根部構面体3と接合されている。面内剛性を有する屋根部構面体3は、面内せん断力を伝達することができ、変形を抑えることができる。このような構成によれば、棟部フレーム2Aに作用する水平力を、屋根部構面体3を介して桁部フレーム2Bに伝達することができる。従って、勾配面ブレース、勾配面ブレースとともに構面を形成する勾配梁、棟部の桁方向の水平梁や雲筋交い等を省略することができる。これによって、部材点数を減らすことができ、材料費や施工の手間を低減させることができる。また、突出(ノイズ)の少ない勾配天井空間を形成することができる。
また、切妻屋根建物1において、屋根部構面体3は、一枚の面材32を有する屋根パネル30によって構成されている。屋根パネル30の面材32として一枚板のものを採用することで、屋根部構面体3の面内剛性を確保することができる。
また、切妻屋根建物1において、桁部フレーム2Bは、桁梁11、桁柱12及び耐力要素14を備え、妻部1Cには、棟柱6で分断された、一対の妻部水平梁21が設けられている。妻部水平梁21は、桁梁11と同一断面形状且つ同一設置高さである。この構成によれば、桁部1Bに使用する耐力要素14等の部材や納まりをそのまま妻部1Cにも適用することができるので、部材の品種を減らすことができ、コストを低減させることができる。
本実施形態に係る切妻屋根建物1によれば、屋根パネル30の棟部フレーム2A側の固定度を桁部フレーム2B側の固定度よりも小さく設定することで、屋根パネル30と棟部フレーム2Aとの接合部において、切妻屋根建物1に対し桁方向の水平力が作用した際の当該接合部に作用するせん断力が、桁部フレーム2B側の接合部に比べて小さくなる。
当該構成をモデルとして考えた場合、例えば、図11(c)に示すように、桁部フレーム2Bで屋根部構面体3を支持されている片持ち梁のモデルMを、各々の屋根部構面体3の上端部にて向かい合わせたようなモデルとして考えることができる。仮に、棟部フレーム2A側及び桁部フレーム2B側の両方において屋根パネル30の固定度が高い場合(棟部フレーム2Aと桁部フレーム2Bの両持ち梁のモデルの場合)、棟部フレーム2Aと桁部フレーム2Bの両側において、接合部の強度や部材の強度を確保する必要性が生じる。このような構成とする場合、棟部付近、すなわち勾配天井の頂部付近においてノイズ(架構を構成する部材の突出)が多くなってしまう。一方、本実施形態では、屋根部構面体3の支持や荷重伝達を(高い固定度にて屋根部構面体3と固定されている)桁部フレーム2B側に担わせることにより、棟部フレーム2A側では構成の簡素化を図ることができる。従って、棟部フレーム2A側の接合部の構成をより簡易なものとすることができる。また、棟部フレーム2Aを構成する棟梁4や棟柱6の断面を小さくしたりその接合部を簡易なもの(ピン接合等)にしたりすることもできる。従って、屋根下面に沿って勾配天井を形成した際に、勾配天井の頂部付近(すなわち、建物中央部)においてノイズが少ない美しい勾配天井を構成することができる。
主架構2が鉄骨造で、屋根パネル30が木質系材料からなる場合、屋根パネル30の強度が主架構2に比べ非常に小さく、強度不足を補う為に両者を接合する金物を大型化したり数を増やしたりする必要があるが、棟部フレーム2A側については、固定度を小さく設定しているので、接合金物40A,41Aの小型化や点数の削減を図ることができる。
切妻屋根建物1において、妻部1Cには、桁部フレーム2Bを構成する桁梁11と同一設置高さの妻部水平梁21と、屋根パネル30と妻部水平梁21とを連結する妻部連結金物50と、が設けられている。この構成によれば、桁方向に水平力が作用した際の屋根パネル30の変形を効果的に抑制することができる。また妻方向に水平力が作用した際の屋根パネル30と棟部・桁部両フレーム2A,2Bとの接合部に作用する応力を低減させることができる。従って、屋根パネル30の強度を低減させることが可能となり、より薄い屋根パネル30で屋根を構成したり、鉄骨造建物において一般的に使用される勾配梁を排除したりすることができる。
切妻屋根建物1において、妻部連結金物50が、桁部フレーム2B寄りの位置に取り付けられ、屋根パネル30と妻部水平梁21との間の棟部フレーム2A寄りの部分が開放され、ガラス窓80が形成されている。この構成によれば、妻部連結金物50が桁部フレーム2B寄りの位置に取り付けられているので、妻部1Cの棟部1A近傍に開口部を設置する際の障害とならない。また、屋根パネル30の桁部フレーム2B側の固定度を高めることで、それに比して棟部フレーム2A側の固定度を小さくすることができる。
切妻屋根建物1において、棟梁4と棟柱6とは、ピン接合されている。この構造によれば、棟梁4と棟柱6との間の固定度が小さく、これによって屋根パネル30の棟部フレーム2A側の固定度も小さくなる。
ここで、H形鋼からなり平行且つ高低差を有するように架けられた2本の梁で、屋根パネル30のような枠体31を備える屋根を支持する際に、その接合に金物を用いた場合、その金物の形状が複雑なものとなり、金物の製造コストが高くなるという問題が生じる。このような金物が複雑な形状となるのは、次の理由によるものである。すなわち、金物は「屋根パネルの斜材及び連結材を釘またはねじで接合するための、直行する二つの固定片」と「梁に接合するための固定片」を備える必要があり、「屋根パネルのモジュールと梁のモジュールをつなぐ機能」と、「屋根パネルの勾配を規定するための角度」と「屋根パネルの高さを規定する高さ」を必要とするためである。また、金物に地震力などにより屋根面にせん断力が加わる際に、金物の変形を抑制し屋根面全体のせん断剛性を向上させようとした場合に、金物の形状が複雑であると変形抑制の機能を求めることが難しくなるという「構造設計上の課題」がある。
一方、本実施形態に係る切妻屋根建物1の屋根構造100では、屋根パネル30は、梁に取り付けられた第一接合金物40A,40Bと、屋根パネル30に取り付けられた第二接合金物41A,41Bと、を介して各梁4,11に接合されている。また、第一接合金物40A,40Bは、屋根勾配に対応した板状の接合片46A,46Bを有すると共に、各梁4,11の上端面に取り付けられる。第二接合金物41A,41Bは、第一接合金物40A,40Bの接合片46A,46Bと当接されてボルト接合される板状の接合片44A,44Bを有する。
このように、第一接合金物40A,40Bと第二接合金物41A,41Bを介することで、木質系材料からなる屋根パネル30をH形鋼からなる各梁4,11に、屋根パネル30の屋根勾配に応じた加工をすることなくボルト接合によって容易に固定し支持させることができる。すなわち、木質系材料からなる屋根パネル30を他の鉄骨部材と同様に扱うことができ、躯体工による施工が可能となる。また、第一、第二接合金物40A,40B,41A,41Bの各々の形状が単純化するので、金物の製造コストを削減することが出来る。更に、接合金物に屋根面のせん断力が加わる際に、金物が転倒しようとすることを抑制するための補強として、第一接合金物40A,40Bだけの剛性を向上させれば金物全体の転倒を抑制できる。このような効率の良い補強が、金物の形状が単純化していることと相まって、容易に行える。以上により、木質系材料の屋根パネルを用いる場合に、作業効率を向上し、製造コストを抑制し、金物の形状を単純化することができる。
ここで、屋根パネル30を製造する際において、第二接合金物41A,41B金物が枠体31の厚みからはみ出している(枠体31の下面31bよりも下方に第二接合金物41A,41Bが突出する)と、製造工場に於いて、枠体31に面材32と第二接合金物41A,41Bを取り付けていく工程でパネルを上下反転させる工程が必要となり、「屋根パネルの製造コストが高くなる」という問題が生じる。また、屋根パネル30を製作工場から建築現場へ運送する際に、第二接合金物41A,41Bが枠体31の厚みからはみ出していると、枕木等が必要となり荷姿も大きくなることから、「屋根パネルの運送コストが高くなる」という問題が生じる。
切妻屋根建物1の屋根構造100において、第二接合金物41A,41Bは、接合片44A,44Bが屋根パネル30の枠体31の下面31bと同一面となるように取り付けられている。このように、第二接合金物41A,41Bが屋根パネル30の枠体31の下面31bから突出しない構成とすることで、予め屋根パネル30に取り付けた状態で運搬する場合でも積み重ねが可能となり、効率よく運搬することができる。また、第一接合金物40A,40Bの接合片46A,46Bを屋根パネル30の下面31bより上側まで及ばせる場合、金物の形状が複雑化する場合があるが、第二接合金物41A,41Bの接合片44A,44Bが下面31bと同一面であるため、第一接合金物40A,40Bの形状を単純化することができる。
切妻屋根建物1の屋根構造100において、第一接合金物40A,40Bの接合片46A,46Bが、梁4,11の上フランジの端縁にほぼ接するように構成されている。屋根パネル30と梁4,11とが離隔しないので、屋根面を構面として機能させる(すなわち、せん断力を伝えるように機能させる)場合に、接合金物40A,40B,41A,41Bにねじられるような力が作用することによる変形を防止できる。
切妻屋根建物1の屋根構造100において、第二接合金物41A,41Bが、アングル状で斜材33の側面33aと連結材34,37の側面34a,37aとに跨るように当接されて取り付けられる固定片43A,43Bを備え、接合片44A,44Bが固定片43A,43Bの下端から延伸するように構成されている。このような構成によって、第二接合金物41A,41Bに屋根パネル30の補剛の機能を兼ねさせることができ、屋根部構面体3のせん断剛性を高めることができる。
また、本実施形態のように、第一接合金物40A,40Bと第二接合金物41A,41Bのような接合金物を用いることで、棟梁4と屋根部構面体3、及び桁梁11と屋根部構面体3との相対的な位置関係(離れ寸法)を統一することが可能となる。これにより、構法システムとして、部品や納まりを共通化できる可能性が高まる。例えば、本実施形態に係る切妻屋根建物1では、図1や図3(向かって右側)に示すように、桁部1Bにサブ的な架構(副架構)を付加するとともに、屋根パネル30を架け渡して、屋根を葺き下ろすことが可能である。この場合、桁方向の各梁(棟梁4、桁梁11、副架構の水下側の梁90)と屋根部構面体3との相対的な位置関係を統一することで、部材や納まりの共通化を図ることが可能である。例えば、副架構の水下側の梁90には、桁部第一接合金物40B,140Bをそのまま用いることができる。また、妻部1Cの壁体を構成する壁パネルで説明すると、例えば図3において一点鎖線で示すように、主架構における頂部の壁パネル(桁柱12付近の壁パネル)P1と、副架構における頂部の壁パネル(副架構に対する壁パネル)P2とでは、長さは異なるものの、図中EAで囲んだ部分とEBで囲んだ部分とを比較した場合、壁パネル上部と屋根パネル等との位置関係は同一である(同一にすることができる)。従って、屋根パネルに対し壁パネル上端部を固定する場合、固定部分は同一納まりとすることができる。
桁方向や妻方向から屋根パネル30によって構成された屋根部構面体3に水平力が作用すると、当該屋根部構面体3は傾斜屋根毎に面内剛性を有して一体化された状態で棟梁4にそれぞれ連結されているため、これら屋根部構面体3には棟梁4から桁梁11に向かうモーメントが作用することとなる。例えば、図11(a)に示すようなモデルでは、水平力Fが作用することにより、屋根部構面体3の水平力Fの下流側が外側へ開くような(屋根部構面体3の仮想的な挙動を点線で示している)モーメントが作用する。このようなモーメントを受けて、妻面Tにて屋根パネル30を妻部水平梁21に連結する妻部連結金物50には、妻部水平梁方向にせん断力が作用する。しかしながら、本実施形態によれば、妻部連結金物50が、高さ方向の長さよりも妻部水平梁21の延在方向の長さが長くなるように形成されているため、このようなせん断力に対して十分な抵抗力を有するものとなる。このように本実施形態に係る妻部連結金物50を用いることで、妻部連結金物50に作用するせん断力に抗することができ、屋根パネル30に加わる荷重を妻部連結金物50を介して妻部水平梁21に伝達することができるものとなり、ひいては屋根パネル30に作用するモーメントによって屋根パネル30が棟梁から分割されてしまう等の不具合を抑制した屋根構造とすることができる。
また、平面視で見た場合、妻部連結金物50には上述のように水平方向にせん断力が作用することとなるが、屋根パネル30は傾斜した状態で設けられているため、妻面Tにおいて、屋根パネル30の桁梁連結側の端部は、妻部水平梁21から離間する方向のモーメントを受ける。例えば、図11(a)に示すようなモデルでは、いずれの妻面Tであっても、図11(b)の矢印で示すようなモーメントが妻部連結金物50に作用する。すなわち、妻部連結金物50の棟部側には上向きの、妻部連結金物50の軒部側には下向きの荷重が作用することとなる。かかるモーメントに対して、脚部52及びスチフナ53で抵抗する。
このように、妻部連結金物50には、鉛直方向にもモーメントが作用することとなる。そこで、妻部連結金物50を、屋根当接部51と、梁当接部54と、これらを連結する脚部52とによって形成すると共に、更に屋根当接部51と梁当接部54とに亘ってスチフナ53を架設することで、妻部連結金物50に加わる鉛直方向のモーメントに対しても抗することができ、屋根に生じる損傷等の不具合をより確実に抑制することができる。
また、スチフナ53は、更に脚部52に連結されている。これによれば、スチフナ53によって、屋根当接部51、梁当接部54及び脚部52の剛度がさらに高められることとなり、妻部連結金物50に加わるモーメントに対する抵抗力をより高めることができる。
また、妻部連結金物50の梁当接部54は、妻部水平梁21の上面に当接されて締結され、妻部連結金物50の屋根当接部51は、屋根パネル30の枠体31の下面を受ける受け部51aと、該受け部51aから立ち上がって枠体31の側部に当接する立上り壁51bとを備えている。また、立上り壁51bが枠体31に鋲着、螺着又はボルト接合により締結されている。これによれば、妻部連結金物50に設けられた立上り壁51bが、屋根パネル30の枠体31の側部に鋲着等により締結される、即ち、妻部連結金物50と屋根パネル30との連結方向が、水平方向となる。従って、例えば、暴風時に屋根に吹き上げ力が作用した場合であっても、妻部連結金物50と屋根パネル30との締結に用いた締結部材、特に鋲着の場合の釘の引き抜き等が抑制され、屋根に生じる不具合をより確実に抑制することができる。
また、妻部水平梁21には、下方より耐力要素14が連結されている。これによれば、妻部連結金物50に作用する荷重を直ちに耐力要素14に伝達させることができ、屋根部構面体3を支持している部位のうち、妻部連結金物50以外の部位に過大な荷重が作用することが抑制され、屋根部構面体3に生じる不具合をより確実に抑制することができる。
また、妻部連結金物50は、棟梁4と桁梁11の間の中間位置よりも桁梁11側となる位置に設置されている。これによれば、妻部水平梁21と屋根パネル30との間において、棟梁4周囲の下方部分が開放されることとなるので、当該開放部分にガラス窓80等を設置することが可能となり、意匠性の向上を図ることができる。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述の実施形態では、屋根パネル30の棟部フレーム2A側の固定度を、桁部フレーム2B側の固定度よりも小さく設定するための構造として、桁部フレーム2B側に設けられた妻部連結金物50と、棟部フレーム2Aの棟梁4と棟柱6とのピン接合を例示しているが、これらに加えて(あるいはこれらに代えて)他の構造を採用してもよい。例えば、棟部1A側の接合金物40A,41Aの数を、桁部1B側の接合金物40B,41Bよりも少なくすることで固定度を小さくしてもよい。
また、上述の実施形態では、面内剛性を有する屋根部構面体の一例として、一枚の面材を有する屋根パネルを複数連結したものを示したが、せん断力を良好に伝達できる程度に面内剛性を確保できる構成であれば、特に限定されない。例えば、一つの屋根パネルに対して枠体の上面の全体を覆うことができる一枚の面材を用いていたが、枠体の上面に複数枚の面材を並べて覆ってもよい。この場合、面材と面材の突き合わせ部分には下地(中間連結材や中間斜材など)を設けて、当該下地に各面材の縁部を釘で固定し、剛性を確保することが好ましい。また、複数の屋根パネルを連結していたが、大きな枠体を組むことで一つの屋根パネルで屋根部構面体を構成してもよい。
また、変形例として、棟梁4を高い位置に設定し、屋根部構面体3を低い位置に設定することで、室内側への棟梁4の突出(ノイズ)も無くすことができる。この場合、棟梁4のウェブや下フランジに屋根部構面体3を固定する。
また、他の変形例として、棟部第一接合金物の接続片や屋根パネル30(屋根部構面体3)の高さは変えず、棟梁4の高さを屋根の納まり上問題のない範囲で上方に移動させてもよい。この構成を採用する場合、棟部第一接合金物の断面形状をハット状としたり、棟梁4の下フランジに取り付けたり、棟梁4のウェブに取り付けたり(この場合、棟部第一接合金物は2分割する)することで実現される。このように構成することで、屋根面(屋根部構面体下面、屋根パネル下面)に沿って勾配天井を形成した場合の、棟梁4による突出(ノイズ)を抑えることができる。
また、梁(例えば棟梁4や桁梁11)としてH形鋼を例示したが、上フランジを有する形鋼であればよく、どのような形鋼を用いるかは限定されない。例えば、H形鋼以外に、溝形鋼(断面コ字状の形鋼、チャンネル)、リップ溝形鋼(C形鋼、Cチャンネル)、T形鋼(カットT)などを用いてもよい。