JP2013064172A - 耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】質量%で、C:0.015%超0.065%未満、Si:0.4%未満、Mn:1.0%以上2.0%以下、P:0.015%超0.060%以下、S:0.015%以下、sol.Al:0.01%以上0.3%以下、B:0.0005%以上0.0050%以下、N:0.005%以下、Cr:0.3%以下、Mo:0.15%未満(0を含む)、V:0.15%未満(0を含む)を含有し、ミクロ組織は、フェライトを母相として体積分率で3.0%以上12.0%以下の第二相を有し、前記第二相に、0.50%以上7.0%以下の体積分率のマルテンサイト、0.0%以上4.0%未満の体積分率の残留オーステナイト、1.0%以上10.0%以下の体積分率のベイナイトを含み、第二相体積分率に対する残留オーステナイトの体積分率の比率が40.0%未満である。
【選択図】図1
Description
[1]鋼の成分組成は、質量%で、C:0.015%超0.065%未満、Si:0.4%未満、Mn:1.0%以上2.0%以下、P:0.015%超0.060%以下、S:0.015%以下、sol.Al:0.01%以上0.3%以下、B:0.0005%以上0.0050%以下、N:0.005%以下、Cr:0.3%以下、Mo:0.15%未満(0を含む)、V:0.15%未満(0を含む)を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、ミクロ組織は、フェライトを母相として体積分率で3.0%以上12.0%以下の第二相を有し、前記第二相に、0.50%以上7.0%以下の体積分率のマルテンサイト、0.0%以上4.0%未満の体積分率の残留オーステナイト、1.0%以上10.0%以下の体積分率のベイナイトを含み、更に、第二相体積分率に対する残留オーステナイトの体積分率の比率が40.0%未満、マルテンサイトおよび残留オーステナイト体積分率の合計(VM+γ)に対するベイナイト体積分率(VB)の比VB/VM+γが0.50以上、かつマルテンサイト粒および残留オーステナイト粒の合計粒数aと、前記合計粒数のうちベイナイト粒と接するマルテンサイト粒および残留オーステナイト粒の粒数bの比b/aが0.30以上である複合組織であることを特徴とする耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板。
ここで、[%M]は合金元素Mの含有量(質量%)、B*=[%B]+10.8/47.9×[%Ti]/2+10.8/27×[%sol.Al]/20で、[%B] =0のときはB*=0、B*≧0.0020のときはB*=0.0020とする。
Tm(℃) = 425-33[%Mn]-17[%Cr]-20([%Mo]+[%V]) …(1)
ここで、[%M]は合金元素Mの含有量(質量%)
[6]さらに、化学成分として、質量%で、Ti:0.02%以下、Ni:0.5%以下、Nb:0.02%以下、Cu:0.5%以下のうちの一種以上を含有することを特徴とする前記[5]に記載の耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板の製造方法。
ここで、[%M]は合金元素Mの含有量(質量%)、B*=[%B]+10.8/47.9×[%Ti]/2+10.8/27×[%sol.Al]/20で、[%B]=0のときはB*=0、B*≧0.0020のときはB*=0.0020とする。
本発明が対象とする高張力冷延鋼板は、TS:440MPa以上、YP:240MPa以下、BH:55MPa以上、穴広げ率(λ):95%以上を満足する高張力冷延鋼板である。
C:0.015%超0.065%未満
Cは所定の第二相分率(後記)を確保するのに必須の元素である。C量が0.015%以下では、第二相分率が十分得られず、所定の複合組織が形成されずYPが増加する。従って、C量は0.015%超とする。C量が0.065%以上になると第二相分率が多くなりすぎて、鋼板のYPが上昇し、伸びフランジ性は劣化する。このため、C量は0.065%未満とし、より低いYPを得るためには0.055%未満が好ましく、0.045%未満とするのがさらに好ましい。
Siは0.4%以上添加した場合に、熱間圧延時に鋼板表面に強固なスケールを形成し、焼鈍後もスケール模様と呼ばれる表面欠陥を残存し、外観品質を著しく低下させる。さらに、固溶強化によるYPの上昇を招くとともに、化成処理性を劣化させる。これらの理由から、Si量は0.4%未満とする。低YPおよび優れた外観品質の確保からは、0.30%未満が好ましく、0.20%未満とするのが更に好ましい。
Mnは焼入れ性を高めて第二相分率を確保するため、適切に添加する必要がある。しかしながら、Mn量が2.0%を超えると、第二相分率が増加するとともに第二相が微細に分散した組織形態になるため硬質なマルテンサイトとベイナイトが接する割合が低減し伸びフランジ性が低下する。またこのような組織形態はYPも上昇させる。さらにMnの過剰な添加はオーステナイトを安定化し、硬質なマルテンサイトや残留オーステナイトの生成量を増加させて伸びフランジ性を低下させる。このような理由から、Mn量は2.0%以下とし、より安定的に所定のミクロ組織を得るためには、1.9%以下とすることが好ましい。Mnが少なすぎると焼入れ性が確保できずにパーライト変態が進行し、所望のミクロ組織を得られなくなるため低YPを確保できなくなる。このため、Mn量は少なくとも1.0%以上とする。焼入れ性を安定的に確保する観点からは1.3%以上とすることが望ましい。
Pは本発明鋼において、焼鈍後冷却時のポリゴナルフェライト変態およびパーライト変態を顕著に抑制し、ベイナイト変態を遅延する効果が比較的小さいため、第二相分率を確保して鋼板を低YP化すると共に、ベイナイト変態温度域において所望のベイナイトを生成させて伸びフランジ性を向上するために必須の元素である。これらの効果を得るためには、含有量を0.015%超とする必要がある。P含有量が0.060%を超えるとPによるフェライトの固溶強化によってYPが顕著に上昇し、ベイナイト変態も著しく遅延されて硬質なマルテンサイトや残留オーステナイトの生成量が増加し伸びフランジ性を劣化する。そのため、Pは0.060%以下とする。
Sは適量添加することで熱延における一次スケールの剥離性を向上させ、鋼板の表面品質を向上する効果がある。ただし、含有量が多すぎると鋼中に多量のMnSを形成し亀裂発生の起点になり、鋼板の局部延性や伸びフランジ性を低下させるため、含有量は0.015%以下とする。
Alは鋼の脱酸の目的で添加されると共に、固溶NをAl窒化物として固定することで固溶Nによる耐時効性の劣化を防止し、またBNの生成を低減しBによる焼入性向上効果を保つ効果を有する。これらの効果は、0.01%未満では十分に得られない。一方、sol.Alの含有量が0.3%を超えると効果は飽和する。従ってsol.Alの含有量は0.01%以上0.3%以下とする。
BはPと同様に微量添加でも鋼の焼入れ性を大きく向上し、焼鈍後冷却時のポリゴナルフェライト変態およびパーライト変態を強く抑制するのに対して、ベイナイト変態の遅延効果は比較的小さく、所望のミクロ組織を得るために重要な元素である。Bが0.0005%未満ではほとんどがNとBNを形成し固溶Bが不足し上記の効果を得られないため、Bは0.0005%以上とする。一方、0.0050%を超えて添加しても固溶Bによる焼入れ性の向上効果は飽和し、熱延負荷の増大を招くため、Bは0.0050%以下とする。
Nは、先述のように、耐時効性の確保の観点で固溶状態で残存させるのは好ましくない。また、Al、Crなどと微細な窒化物を形成するとフェライトの粒成長を阻害しYPを上昇させる。また、BNを形成するとBによる焼入性向上効果が低減し、第二相分率の低下によるYP上昇が生じる場合がある。0.005%を超えてNを含有すると、上記の弊害が顕著に現れることから、Nは0.005%以下とする。YPを低減する観点からは0.004%以下がより望ましい。
Crは固溶強化によるYPの上昇なしに鋼の焼入性を向上できるため第二相分率の確保には有効な元素であるが、一方でオーステナイトを安定化するため、過剰な添加はベイナイト変態を遅延して第二相中のマルテンサイト分率および残留オーステナイト分率を増加させる。また、Crは鋼板の合わせ目における耐食性を劣化させる作用もあるため、耐食性の観点でも過剰な添加は避ける必要がある。Crを0.3%を超えて添加すると、伸びフランジ性の低下や耐食性の劣化が生じることから、含有量は0.3%以下とする。耐食性を向上させる観点からは0.25%以下とすることが好ましい。ただし、CrはMnを置換し固溶強化を低減しつつ焼入れ性を確保でき、さらに加熱時の逆変態を遅延して第二相を粗大にして均一分散させる効果もあるため0.1%以上添加することが好ましい。
MoおよびVは鋼のポリゴナルフェライト変態およびパーライト変態を顕著に抑制できる。ただし、オーステナイトの安定化によるベイナイト生成の遅延効果も大きいため、Cが濃化した硬質なマルテンサイトや残留オーステナイトの生成を促進する効果がある。また、MoおよびVは鋼のミクロ組織を微細化しYPを上昇する効果が強く、いずれも高価な元素であるため合金コストの増大も招くことから、過剰な添加は好ましくない。従って、低YPおよび優れた伸びフランジ性を確保しつつ低コスト化する観点からは、それぞれ0.15%未満とする。さらなる伸びフランジ性の向上や低コスト化の観点からは0.05%以下とすることが好ましく、無添加(0.02%以下)とすることが更に好ましい。
Tiは固溶NをTi窒化物として固定し、固溶Nによる耐時効性の劣化や、BNの形成による焼入性の低下を抑制できる。ただし、0.02%を超えて添加すると上記の効果は飽和し、余剰Tiが微細なTi炭化物として析出するため、析出強化に伴うYPの上昇や固溶Cの減少によるBHの低下が生じる。従って、低YPと高BHを確保する観点から、含有量は0.02%以下とする。0.01%以下がより好ましい。
Niはフェライト変態を強く抑制するため、焼入元素として添加することができる。しかしながら、非常に高価な元素であることから、0.5%を超えて添加すると合金コストが増大するため、含有量を0.5%以下とする。
Nbは微量の添加でも焼入性を向上する効果が強く、焼入元素として添加することが出来る。ただし、Nbはミクロ組織を細粒化する効果が強く、さらに微細なNb炭化物を析出するため、0.02%を超えて添加するとYPの著しい上昇を招く。また、オーステナイトを安定化しベイナイト変態を遅延するため伸びフランジ性も低下させる。加えて、極めて高価な元素なので多量の添加は合金コストを増大させる。従って、低YPと伸びフランジ性を確保し、合金コストの増大を抑制する観点から、含有量は0.02%以下とする。
Cuはオーステナイト安定化元素であり焼入性を向上する効果があり、また耐食性を向上するため添加することができる。しかし、多量に添加すれば、スラブ加熱時にスラブ表層に濃化し表面割れの原因となるため、0.5%を超える添加は好ましくない。従って、含有量は0.5%以下とする。
SnとSbはスラブ加熱時や焼鈍における鋼板表面での窒化や酸化を抑制する効果があり、鋼板表面の脱炭、脱Bを抑制するために添加することが好ましい。含有量が0.0005%未満では、この効果は小さいので0.0005%以上添加することが望ましい。一方で、0.2%を超えて添加しても窒化や酸化の抑制効果は飽和し、YPの上昇や靭性の劣化を招くので、含有量はそれぞれ0.2%以下にする。
CaおよびREMはSとの親和性が強いため、鋼中Sを固定し、また、熱間圧延および冷間圧延によって鋼中で伸展して亀裂発生の起点となるS介在物の形態を制御するために添加することができる。しかし0.01%を超えて添加しても効果は飽和するため、添加量はそれぞれ0.01%以下とする。
オーステナイトからのフェライト変態、パーライト変態およびベイナイト変態を遅延する効果を有する合金元素の変態遅延効果は、Mn量をベースにして当量化した下記(2)式で表され、(2)式の値が大きいほど、焼鈍後の冷却時にオーステナイトの変態が抑制される。
[%Mn]+1.3[%Cr]+8[%P]+3([%Mo]+[%V])+150B* …(2)
ここで、[%M]は化学成分Mの含有量(質量%)、B*=[%B]+10.8/47.9×[%Ti]/2+10.8/27×[%sol.Al]/20で、[%B]=0のときはB*=0、B*≧0.0020のときはB*=0.0020とする。
第二相体積分率:3.0%以上12.0%以下
フェライトを母相として体積分率で3.0%以上12.0%以下の第二相を有する。外板パネル用鋼板に求められる低YP、高BHを両立しつつ、更に優れた耐時効性を得るためには第二相の体積分率は3.0%以上必要である。一方で、第二相体積分率が12.0%を超えるとYPが上昇し伸びフランジ性が大きく低下するため、第二相体積分率は12.0%以下とする必要がある。より低YPを得るには10.0%以下が好ましい。
低YPかつ高BHを維持しつつ、更に優れた耐時効性を得るためには、一定量の硬質なマルテンサイトの確保が必須であり、マルテンサイト体積分率は、0.50%以上とする。1.0%以上が好ましい。しかしながら、マルテンサイト体積分率が7.0%を超えるとYPが上昇し、伸びフランジ性は低下する。従って、マルテンサイト体積分率は7.0%以下とする。さらに低YPかつ優れた伸びフランジ性を得る観点からは、6.0%以下とすることが好ましく、5.0%以下とすることが更に好ましい。
残留オーステナイトはマルテンサイトやベイナイトと比べて軟質であるためYPの上昇には大きく寄与せず、変形後にはマルテンサイト変態して加工硬化に寄与するため一定量含有してもよい。ただし、残留オーステナイトから変態したマルテンサイトは非常に硬質であるため、周囲のフェライトと著しい硬度差を生じ亀裂発生の起点となる。残留オーステナイトを体積分率で4.0%以上含有すると伸びフランジ性を著しく損ねることから残留オーステナイト体積分率は4.0%未満とする。伸びフランジ性を更に向上する観点からは、3.0%未満に抑制することが好ましく、2.0%未満とするのが更に望ましい。
第二相中に残留オーステナイトが過剰に存在すると、低YPに寄与するマルテンサイトやベイナイトの比率が相対的に低下する。また、残留オーステナイトは打抜き加工端面で硬質なマルテンサイトへ変態しフェライトと著しい硬度差を生じるため、第二相の体積分率が同じでも残留オーステナイトの比率が高いほど伸びフランジ性は低下する。そのため、低YPかつ伸びフランジ性を確保する観点から、第二相体積分率に対する残留オーステナイトの体積分率の比率を40.0%未満にする。30.0%未満にすることが好ましい。
ベイナイトは、本発明において非常に重要な組織である。焼鈍後の冷却時にMs点直上で適切に生成させた炭化物析出を伴ったベイナイトは、マルテンサイトと類似のYP低減効果をある程度有しており低YPに寄与するだけでなく、C濃化したオーステナイトを分解して硬質なマルテンサイトと残留オーステナイトの形成を抑制し、さらにフェライトとマルテンサイト間およびフェライトと残留オーステナイト間の硬度差を緩和し伸びフランジ性を向上すると考えられる。このような複合組織は、フェライト+マルテンサイトからなる二相組織に比べて、同等程度の低YP、高BHおよび耐時効性を維持しながら、優れた伸びフランジ性を得ることができる。ベイナイトによる上記の効果を得るには、少なくとも体積分率で1.0%以上のベイナイトが必要である。一方、体積分率で、ベイナイトが10.0%を超えて生成すると、第二相中のマルテンサイト体積分率が低下しYPが上昇し耐時効性は劣化する。このため、ベイナイト体積分率は10.0%以下とする。よりYPを低減する観点からは8.0%以下とすることが好ましく、6.0%以下が更に好ましい。
マルテンサイト粒および残留オーステナイト粒の合計粒数aと、前記合計粒数aのうちベイナイト粒と接するマルテンサイト粒および残留オーステナイト粒の粒数bの比b/a:0.30以上
鋼板のミクロ組織を、ベイナイトを積極的に活用した複合組織とすることで、硬質なマルテンサイトや残留オーステナイトを効果的に低減し、さらにベイナイトはフェライトとマルテンサイトの中間の硬度であるため、ベイナイト相が硬質相であるマルテンサイト相や残留オーステナイトに接する界面が増加するほど、フェライトがマルテンサイトおよび残留オーステナイトと接する界面が減少し、フェライトと、マルテンサイト、残留オーステナイトの相間の硬度差を緩和し、伸びフランジ性を向上できる。
Tm(℃) = 425-33[%Mn]-17[%Cr]-20([%Mo]+[%V]) …(1)
ここで、[%M]は合金元素Mの含有量(質量%)
得られた鋼板からJIS5号引張試験片を採取し、JIS Z2241(1998年)に準拠した引張試験を実施しYPを評価した。また、100mm角の試験片を採取し、日本鉄鋼連盟規格JFST1001(1996年)の規定に準拠した穴広げ試験により伸びフランジ成形性を評価した。即ち、100mm角の試験片にポンチ径10mm、ダイス径10.15mm(クリアランス11%)の打ち抜き工具を用いて打ち抜き後、頂角60度の円錐ポンチを用いて、打ち抜き穴形成の際に発生したバリが外側になるようにして、板厚を貫通する割れが発生するまで穴広げを行った際のd0:初期穴径(=10mm)、d:割れ発生時の穴径(mm)として、穴広げ率λ(%)={(d-d0)/d0}×100を求めた。
パーライトが生成すると所定のマルテンサイトの体積分率あるいはベイナイトの体積分率の確保が困難になり、YPの上昇を招く。そのためパーライトは極力生成しないことが好ましく、第二相中のパーライト分率の比率(第二相体積分率に対するパーライト体積分率の比率)は多くとも20%以下とすることが好ましい。より好ましくは10%以下であり、更に好ましくは5.0%以下である。
上記の成分組成を有する鋼を上記のミクロ組織に制御し、低YP、高BHかつ伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板を得るには、適切に製造条件を制御する必要がある。以下に製造条件について説明する。
Tm(℃)=425-33×[%Mn]-17×[%Cr]-20([%Mo]+[%V]) …(1)
ここで、[%M]は合金元素Mの含有量(質量%)を示す。
Claims (8)
- 鋼の成分組成は、質量%で、C:0.015%超0.065%未満、Si:0.4%未満、Mn:1.0%以上2.0%以下、P:0.015%超0.060%以下、S:0.015%以下、sol.Al:0.01%以上0.3%以下、B:0.0005%以上0.0050%以下、N:0.005%以下、Cr:0.3%以下、Mo:0.15%未満(0を含む)、V:0.15%未満(0を含む)を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、ミクロ組織は、フェライトを母相として体積分率で3.0%以上12.0%以下の第二相を有し、前記第二相に、0.50%以上7.0%以下の体積分率のマルテンサイト、0.0%以上4.0%未満の体積分率の残留オーステナイト、1.0%以上10.0%以下の体積分率のベイナイトを含み、更に、第二相体積分率に対する残留オーステナイトの体積分率の比率が40.0%未満、マルテンサイトおよび残留オーステナイト体積分率の合計(VM+γ)に対するベイナイト体積分率(VB)の比VB/VM+γが0.50以上、かつマルテンサイト粒および残留オーステナイト粒の合計粒数aと、前記合計粒数のうちベイナイト粒と接するマルテンサイト粒および残留オーステナイト粒の粒数bの比b/aが0.30以上である複合組織であることを特徴とする耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板。
- さらに、化学成分として、質量%で、Ti:0.02%以下、Ni:0.5%以下、Nb:0.02%以下、Cu:0.5%以下のうちの一種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板。
- さらに、化学成分として、質量%で、Sn:0.2%以下、Sb:0.2%以下、Ca:0.01%以下、REM:0.01%以下のうちの一種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板。
- [%Mn]+1.3[%Cr]+8[%P]+3([%Mo]+[%V])+150B*が1.8以上2.8以下を満足することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板。
ここで、[%M]は合金元素Mの含有量(質量%)、B*=[%B]+10.8/47.9×[%Ti]/2+10.8/27×[%sol.Al]/20で、[%B] =0のときはB*=0、B*≧0.0020のときはB*=0.0020とする。 - 質量%で、C:0.015%超0.065%未満、Si:0.4%未満、Mn:1.0%以上2.0%以下、P:0.015%超0.060%以下、S:0.015%以下、sol.Al:0.01%以上0.3%以下、B:0.0005%以上0.0050%以下、N:0.005%以下、Cr:0.3%以下、Mo:0.15%未満(0を含む)、V:0.15%未満(0を含む)を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる化学組成を有する鋼を、熱間圧延および冷間圧延した後、650℃から740℃まで平均加熱速度3.0℃/s以下で昇温し、750℃以上820℃以下の温度で焼鈍した後、前記焼鈍温度から550℃まで平均冷却速度10℃/s以上30℃/s以下で冷却し、さらに550℃から下記(1)式で定義されるTm℃以上400℃以下の温度域まで平均冷却速度10℃/s以上80℃/s以下で冷却し、さらに前記Tm℃以上400℃以下の温度から300℃まで平均冷却速度0.10℃/s以上1.0℃/s未満で冷却する、ことを特徴とする耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板の製造方法。
Tm(℃) = 425-33[%Mn]-17[%Cr]-20([%Mo]+[%V]) …(1)
ここで、[%M]は合金元素Mの含有量(質量%) - さらに、化学成分として、質量%で、Ti:0.02%以下、Ni:0.5%以下、Nb:0.02%以下、Cu:0.5%以下のうちの一種以上を含有することを特徴とする請求項5に記載の耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板の製造方法。
- さらに、化学成分として、質量%で、Sn:0.2%以下、Sb:0.2%以下、Ca:0.01%以下、REM:0.01%以下のうちの一種以上を含有することを特徴とする請求項5又は6に記載の耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板の製造方法。
- [%Mn]+1.3[%Cr]+8[%P]+3([%Mo]+[%V])+150B*が1.8以上2.8以下を満足することを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板の製造方法。
ここで、[%M]は合金元素Mの含有量(質量%)、B*=[%B]+10.8/47.9×[%Ti]/2+10.8/27×[%sol.Al]/20で、[%B] =0のときはB*=0、B*≧0.0020のときはB*=0.0020とする。
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