JP2013064172A - 耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.015%超0.065%未満、Si:0.4%未満、Mn:1.0%以上2.0%以下、P:0.015%超0.060%以下、S:0.015%以下、sol.Al:0.01%以上0.3%以下、B:0.0005%以上0.0050%以下、N:0.005%以下、Cr:0.3%以下、Mo:0.15%未満(0を含む)、V:0.15%未満(0を含む)を含有し、ミクロ組織は、フェライトを母相として体積分率で3.0%以上12.0%以下の第二相を有し、前記第二相に、0.50%以上7.0%以下の体積分率のマルテンサイト、0.0%以上4.0%未満の体積分率の残留オーステナイト、1.0%以上10.0%以下の体積分率のベイナイトを含み、第二相体積分率に対する残留オーステナイトの体積分率の比率が40.0%未満である。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車の外板パネルおよび内板パネルの素材として好適なプレス成形性を有する高張力冷延鋼板およびその製造方法に関する。
近年、地球環境への配慮の観点から自動車の燃費向上を目的に車体の軽量化が強く求められている。このため自動車用鋼板において高張力鋼板の適用による薄肉化が精力的に進められている。
例えば、従来は引張強度(TS):270〜340MPa級の鋼板が使用されてきた自動車外板パネルにおいても、さらなる高強度化によってプレス成形および焼付け塗装後の降伏強度を上昇することで耐デント性の向上を図り、補強部材の省略や鋼板の薄肉化によって軽量化しようとする検討が進められている。
一方で、自動車外板パネルをプレス成形する際には、耐面歪性、すなわちプレス成形において鋼板がプレス型になじみやすく、成形面に面歪と呼ばれる微小なしわや凹凸模様が発生しない特性も求められている。面歪は素材の降伏応力(YP)が高いほど発生しやすいため、外板パネル用鋼板の高強度化には、プレス成形前は極力低YPでありながらプレス成形後には従来よりも高YPであるという相反する特性が要求される。また、プレス成形後に、インナー部品を組み付けるためにフランジ部を折り曲げる加工が施されるので、その際に剪断端面からの破断が生じないよう高い伸びフランジ性も求められる。
このような要求に対して、TS:340MPa級で焼付け硬化(BH)特性を有する鋼板(340BH)が適用されている。この鋼板はフェライト単相中に微量の固溶Cを含有した鋼板で、プレス成形することで一定量の転位を導入し、更に焼付け塗装によって昇温した際に固溶Cによって転位を固着する歪時効硬化を利用して焼付け塗装後のYPを増加させることが可能である。しかし、更なるBH特性向上のために多量の固溶Cを確保しようとすれば、耐時効性が著しく劣化するためプレス成形時に鋼板表面にストレッチャーストレインが発生し外板パネルの表面外観を損ねるため、BH特性を向上させることは困難である。
そこで、340BHにMnやSi、Pを多量に添加しベースの降伏強度を増加させた鋼板とその製造方法が種々提案されている(例えば特許文献1)。しかしながら、このように固溶強化元素を多量に添加すれば素材の降伏強度の上昇が著しく耐面歪性が劣化するため、近年の厳しい外観品質要求には応えられない。
そこで、BH鋼板をさらに高強度化する手法として、フェライト母相中にマルテンサイトを分散させたDual Phase(DP)鋼板が提案されている。特許文献2にはフェライト中に微細なマルテンサイトを多数分散し、TS:390MPa超で、YP:260MPa以下の低YPを確保し耐面歪性に優れた鋼板の製造方法が開示されている。また特許文献3には焼鈍後に低温域での冷却条件を鋼成分ごとに規定することで、TS:390MPa以上でYP:250MPa以下、BH:52MPa以上でプレス成形後の表面品質にも優れた鋼板の製造方法が開示されている。
特開昭59-38337号公報 特開2004-307992号公報 特開2006-52465号公報
しかしながら、特許文献2に記載の鋼板は硬質なマルテンサイトを微細化しフェライト母相中に分散させており、降伏強度の低下には有利であるものの、フェライトと硬質なマルテンサイトが直接接する界面が増加しボイドが発生、連結しやすく、伸びフランジ性が劣る。
また、特許文献3に記載の鋼板は、低温変態相を安定に確保することで低YPや高BHの確保には有利なものの、MnやCr量を多く添加してマルテンサイトを主体とした硬質な第二相を生成するため、伸びフランジ性が低下し、また成分変化による伸びフランジ性の変動も大きいことから、安定して高い伸びフランジ性が得られない。
このように、従来技術では、TS:440MPa以上の高強度を有する複合組織鋼板において、低YPかつ高いBH性を示し、さらに安定して高い伸びフランジ性を有する鋼板は開示されていない。そこで本発明は、前記問題点を解決し、低YP、高BHで、安定して高い伸びフランジ性を有し、耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、複合組織鋼板において上記の課題を克服するための最適なミクロ組織とそのミクロ組織を得る方法について鋭意検討し、以下の知見を得た。
(1)鋼板のミクロ組織を、従来のDP鋼板のようにフェライト母相中に微量の硬質なマルテンサイトや残留オーステナイトを分散させたミクロ組織とするのではなく、炭化物析出を伴ったベイナイトを積極的に生成した複合組織を形成し、過剰にCが濃化した硬質なマルテンサイトおよび残留オーステナイトの生成量を適度に低減することで、従来のDP鋼板と同等の低YP、高BHを維持しながら伸びフランジ性を向上できる。
(2)組織構成だけでなく第二相の形態・分布の制御も重要であり、マルテンサイト(および残留オーステナイト)粒とベイナイト粒が互いに接するような分散形態とすることでフェライト/マルテンサイト間の著しい硬度差が緩和され、より優れた伸びフランジ性が得られる。
(3)上記の複合組織を一定量確保するためには、化学成分としてMn、P、B、Cr、Mo、Vを適切にバランスさせ、微量のP、Bによるポリゴナルフェライト変態の抑制効果を活用し、オーステナイトを安定化しベイナイト変態を遅延するMnやCr、Mo、Vといった置換型合金元素の含有量を低減すること、および所望の第二相の分布形態を得るために焼鈍条件を最適化し変態制御することが不可欠である。
従来技術における複合組織型のBH鋼板は、低YP、高BHあるいは耐時効性を確保する観点から、変態過程でオーステナイトを安定化し硬質なマルテンサイトを得ることを狙いとしているが、本発明ではベイナイトの有効性に着目し、これを積極的に活用することで従来技術と同等の低YPと高BHを維持しつつ、更に伸びフランジ性を向上する。ベイナイトの効果については明確ではないが、比較的硬質な下部ベイナイトはマルテンサイトに類似したYPの低減効果を有しており、マルテンサイトとベイナイトを適切に確保すれば低YP化に寄与する。それに加えて、ベイナイトは焼鈍後の冷却過程でCが濃化したオーステナイトから優先的に生成しやすいため、硬質なマルテンサイトや残留オーステナイトの生成量を低減できると共に、フェライト/マルテンサイト間の硬度差を緩和することで伸びフランジ性を向上できると考えられる。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、以下の特徴を有する。
[1]鋼の成分組成は、質量%で、C:0.015%超0.065%未満、Si:0.4%未満、Mn:1.0%以上2.0%以下、P:0.015%超0.060%以下、S:0.015%以下、sol.Al:0.01%以上0.3%以下、B:0.0005%以上0.0050%以下、N:0.005%以下、Cr:0.3%以下、Mo:0.15%未満(0を含む)、V:0.15%未満(0を含む)を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、ミクロ組織は、フェライトを母相として体積分率で3.0%以上12.0%以下の第二相を有し、前記第二相に、0.50%以上7.0%以下の体積分率のマルテンサイト、0.0%以上4.0%未満の体積分率の残留オーステナイト、1.0%以上10.0%以下の体積分率のベイナイトを含み、更に、第二相体積分率に対する残留オーステナイトの体積分率の比率が40.0%未満、マルテンサイトおよび残留オーステナイト体積分率の合計(VM+γ)に対するベイナイト体積分率(VB)の比VB/VM+γが0.50以上、かつマルテンサイト粒および残留オーステナイト粒の合計粒数aと、前記合計粒数のうちベイナイト粒と接するマルテンサイト粒および残留オーステナイト粒の粒数bの比b/aが0.30以上である複合組織であることを特徴とする耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板。
[2]さらに、化学成分として、質量%で、Ti:0.02%以下、Ni:0.5%以下、Nb:0.02%以下、Cu:0.5%以下のうちの一種以上を含有することを特徴とする前記[1]に記載の耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板。
[3]さらに、化学成分として、質量%で、Sn:0.2%以下、Sb:0.2%以下、Ca:0.01%以下、REM:0.01%以下のうちの一種以上を含有することを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板。
[4][%Mn]+1.3[%Cr]+8[%P]+3([%Mo]+[%V])+150B*が1.8以上2.8以下を満足することを特徴とする前記[1]乃至[3]のいずれかに記載の耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板。
ここで、[%M]は合金元素Mの含有量(質量%)、B*=[%B]+10.8/47.9×[%Ti]/2+10.8/27×[%sol.Al]/20で、[%B] =0のときはB*=0、B*≧0.0020のときはB*=0.0020とする。
[5]質量%で、C:0.015%超0.065%未満、Si:0.4%未満、Mn:1.0%以上2.0%以下、P:0.015%超0.060%以下、S:0.015%以下、sol.Al:0.01%以上0.3%以下、B:0.0005%以上0.0050%以下、N:0.005%以下、Cr:0.3%以下、Mo:0.15%未満(0を含む)、V:0.15%未満(0を含む)を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる化学組成を有する鋼を、熱間圧延および冷間圧延した後、650℃から740℃まで平均加熱速度3.0℃/s以下で昇温し、750℃以上820℃以下の温度で焼鈍した後、前記焼鈍温度から550℃まで平均冷却速度10℃/s以上30℃/s以下で冷却し、さらに550℃から下記(1)式で定義されるTm℃以上400℃以下の温度域まで平均冷却速度10℃/s以上80℃/s以下で冷却し、さらに前記Tm℃以上400℃以下の温度から300℃まで平均冷却速度0.10℃/s以上1.0℃/s未満で冷却することを特徴とする耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板の製造方法。
Tm(℃) = 425-33[%Mn]-17[%Cr]-20([%Mo]+[%V]) …(1)
ここで、[%M]は合金元素Mの含有量(質量%)
[6]さらに、化学成分として、質量%で、Ti:0.02%以下、Ni:0.5%以下、Nb:0.02%以下、Cu:0.5%以下のうちの一種以上を含有することを特徴とする前記[5]に記載の耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板の製造方法。
[7]さらに、化学成分として、質量%で、Sn:0.2%以下、Sb:0.2%以下、Ca:0.01%以下、REM:0.01%以下のうちの一種以上を含有することを特徴とする前記[5]又は[6]に記載の耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板の製造方法。
[8] [%Mn]+1.3[%Cr]+8[%P]+3([%Mo]+[%V])+150B*が1.8以上2.8以下を満足することを特徴とする前記[5]乃至[7]のいずれかに記載の耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板の製造方法。
ここで、[%M]は合金元素Mの含有量(質量%)、B*=[%B]+10.8/47.9×[%Ti]/2+10.8/27×[%sol.Al]/20で、[%B]=0のときはB*=0、B*≧0.0020のときはB*=0.0020とする。
本発明によれば、耐面歪性と焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板を得ることができる。この高張力冷延鋼板を用いることで、従来、高強度化が進んでいなかった自動車外板パネルおよび内板パネルの薄肉化を大きく促進し、自動車車体の軽量化によるCO2排出削減に寄与する。
YPおよび伸びフランジ性に及ぼす第二相体積分率、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの体積分率の合計VM+γに対するベイナイト体積分率VBの比VB/VM+γ、およびマルテンサイト粒数および残留オーステナイト粒数の合計粒数aと、前記合計粒数aの中でベイナイト粒と接するマルテンサイト粒および残留オーステナイト粒の粒数bの比b/aの影響を示す図。
以下、本発明について詳しく説明する。
<機械的特性>
本発明が対象とする高張力冷延鋼板は、TS:440MPa以上、YP:240MPa以下、BH:55MPa以上、穴広げ率(λ):95%以上を満足する高張力冷延鋼板である。
高強度かつ延性に優れた鋼板の指標として、一般に、全伸び(EL)に引張強度(TS)を乗じた強度-延性(TS×EL)バランスおよび穴広げ率(λ)に引張強度(TS)を乗じた強度-穴広げ率(TS×λ)バランスが用いられ、TS×ELバランス、TS×λバランスの数値が高いほど、高強度かつ延性と伸びフランジ性が良好で、優れたプレス成形性を有する。TS×ELバランスは16000MPa%以上であることが好ましく、16500MPa%以上がより好ましい。TS×λバランスは45000MPa%以上が好ましく、48000MPa%以上がより好ましい。本発明が対象とする高張力冷延鋼板は前記TS×ELバランスおよび前記TS×λバランスも満足する。
鋼板の成分組成、ミクロ組織および製造条件の限定理由を説明する。なお、化学成分に関する「%」表示は特に断らない限り質量%を意味するものとする。
<成分組成>
C:0.015%超0.065%未満
Cは所定の第二相分率(後記)を確保するのに必須の元素である。C量が0.015%以下では、第二相分率が十分得られず、所定の複合組織が形成されずYPが増加する。従って、C量は0.015%超とする。C量が0.065%以上になると第二相分率が多くなりすぎて、鋼板のYPが上昇し、伸びフランジ性は劣化する。このため、C量は0.065%未満とし、より低いYPを得るためには0.055%未満が好ましく、0.045%未満とするのがさらに好ましい。
Si:0.4%未満
Siは0.4%以上添加した場合に、熱間圧延時に鋼板表面に強固なスケールを形成し、焼鈍後もスケール模様と呼ばれる表面欠陥を残存し、外観品質を著しく低下させる。さらに、固溶強化によるYPの上昇を招くとともに、化成処理性を劣化させる。これらの理由から、Si量は0.4%未満とする。低YPおよび優れた外観品質の確保からは、0.30%未満が好ましく、0.20%未満とするのが更に好ましい。
Mn:1.0%以上2.0%以下
Mnは焼入れ性を高めて第二相分率を確保するため、適切に添加する必要がある。しかしながら、Mn量が2.0%を超えると、第二相分率が増加するとともに第二相が微細に分散した組織形態になるため硬質なマルテンサイトとベイナイトが接する割合が低減し伸びフランジ性が低下する。またこのような組織形態はYPも上昇させる。さらにMnの過剰な添加はオーステナイトを安定化し、硬質なマルテンサイトや残留オーステナイトの生成量を増加させて伸びフランジ性を低下させる。このような理由から、Mn量は2.0%以下とし、より安定的に所定のミクロ組織を得るためには、1.9%以下とすることが好ましい。Mnが少なすぎると焼入れ性が確保できずにパーライト変態が進行し、所望のミクロ組織を得られなくなるため低YPを確保できなくなる。このため、Mn量は少なくとも1.0%以上とする。焼入れ性を安定的に確保する観点からは1.3%以上とすることが望ましい。
P:0.015%超0.060%以下
Pは本発明鋼において、焼鈍後冷却時のポリゴナルフェライト変態およびパーライト変態を顕著に抑制し、ベイナイト変態を遅延する効果が比較的小さいため、第二相分率を確保して鋼板を低YP化すると共に、ベイナイト変態温度域において所望のベイナイトを生成させて伸びフランジ性を向上するために必須の元素である。これらの効果を得るためには、含有量を0.015%超とする必要がある。P含有量が0.060%を超えるとPによるフェライトの固溶強化によってYPが顕著に上昇し、ベイナイト変態も著しく遅延されて硬質なマルテンサイトや残留オーステナイトの生成量が増加し伸びフランジ性を劣化する。そのため、Pは0.060%以下とする。
S:0.015%以下
Sは適量添加することで熱延における一次スケールの剥離性を向上させ、鋼板の表面品質を向上する効果がある。ただし、含有量が多すぎると鋼中に多量のMnSを形成し亀裂発生の起点になり、鋼板の局部延性や伸びフランジ性を低下させるため、含有量は0.015%以下とする。
sol.Al:0.01%以上0.3%以下
Alは鋼の脱酸の目的で添加されると共に、固溶NをAl窒化物として固定することで固溶Nによる耐時効性の劣化を防止し、またBNの生成を低減しBによる焼入性向上効果を保つ効果を有する。これらの効果は、0.01%未満では十分に得られない。一方、sol.Alの含有量が0.3%を超えると効果は飽和する。従ってsol.Alの含有量は0.01%以上0.3%以下とする。
B:0.0005%以上0.0050%以下
BはPと同様に微量添加でも鋼の焼入れ性を大きく向上し、焼鈍後冷却時のポリゴナルフェライト変態およびパーライト変態を強く抑制するのに対して、ベイナイト変態の遅延効果は比較的小さく、所望のミクロ組織を得るために重要な元素である。Bが0.0005%未満ではほとんどがNとBNを形成し固溶Bが不足し上記の効果を得られないため、Bは0.0005%以上とする。一方、0.0050%を超えて添加しても固溶Bによる焼入れ性の向上効果は飽和し、熱延負荷の増大を招くため、Bは0.0050%以下とする。
N:0.005%以下
Nは、先述のように、耐時効性の確保の観点で固溶状態で残存させるのは好ましくない。また、Al、Crなどと微細な窒化物を形成するとフェライトの粒成長を阻害しYPを上昇させる。また、BNを形成するとBによる焼入性向上効果が低減し、第二相分率の低下によるYP上昇が生じる場合がある。0.005%を超えてNを含有すると、上記の弊害が顕著に現れることから、Nは0.005%以下とする。YPを低減する観点からは0.004%以下がより望ましい。
Cr:0.3%以下
Crは固溶強化によるYPの上昇なしに鋼の焼入性を向上できるため第二相分率の確保には有効な元素であるが、一方でオーステナイトを安定化するため、過剰な添加はベイナイト変態を遅延して第二相中のマルテンサイト分率および残留オーステナイト分率を増加させる。また、Crは鋼板の合わせ目における耐食性を劣化させる作用もあるため、耐食性の観点でも過剰な添加は避ける必要がある。Crを0.3%を超えて添加すると、伸びフランジ性の低下や耐食性の劣化が生じることから、含有量は0.3%以下とする。耐食性を向上させる観点からは0.25%以下とすることが好ましい。ただし、CrはMnを置換し固溶強化を低減しつつ焼入れ性を確保でき、さらに加熱時の逆変態を遅延して第二相を粗大にして均一分散させる効果もあるため0.1%以上添加することが好ましい。
Mo:0.15%未満(0を含む)、V:0.15%未満(0を含む)
MoおよびVは鋼のポリゴナルフェライト変態およびパーライト変態を顕著に抑制できる。ただし、オーステナイトの安定化によるベイナイト生成の遅延効果も大きいため、Cが濃化した硬質なマルテンサイトや残留オーステナイトの生成を促進する効果がある。また、MoおよびVは鋼のミクロ組織を微細化しYPを上昇する効果が強く、いずれも高価な元素であるため合金コストの増大も招くことから、過剰な添加は好ましくない。従って、低YPおよび優れた伸びフランジ性を確保しつつ低コスト化する観点からは、それぞれ0.15%未満とする。さらなる伸びフランジ性の向上や低コスト化の観点からは0.05%以下とすることが好ましく、無添加(0.02%以下)とすることが更に好ましい。
残部はFeおよび不可避的不純物である。ただし、上記の元素に加えて、以下の元素のうちから選ばれる少なくとも1種を必要に応じて添加することができる。
Ti:0.02%以下
Tiは固溶NをTi窒化物として固定し、固溶Nによる耐時効性の劣化や、BNの形成による焼入性の低下を抑制できる。ただし、0.02%を超えて添加すると上記の効果は飽和し、余剰Tiが微細なTi炭化物として析出するため、析出強化に伴うYPの上昇や固溶Cの減少によるBHの低下が生じる。従って、低YPと高BHを確保する観点から、含有量は0.02%以下とする。0.01%以下がより好ましい。
Ni:0.5%以下
Niはフェライト変態を強く抑制するため、焼入元素として添加することができる。しかしながら、非常に高価な元素であることから、0.5%を超えて添加すると合金コストが増大するため、含有量を0.5%以下とする。
Nb:0.02%以下
Nbは微量の添加でも焼入性を向上する効果が強く、焼入元素として添加することが出来る。ただし、Nbはミクロ組織を細粒化する効果が強く、さらに微細なNb炭化物を析出するため、0.02%を超えて添加するとYPの著しい上昇を招く。また、オーステナイトを安定化しベイナイト変態を遅延するため伸びフランジ性も低下させる。加えて、極めて高価な元素なので多量の添加は合金コストを増大させる。従って、低YPと伸びフランジ性を確保し、合金コストの増大を抑制する観点から、含有量は0.02%以下とする。
Cu:0.5%以下
Cuはオーステナイト安定化元素であり焼入性を向上する効果があり、また耐食性を向上するため添加することができる。しかし、多量に添加すれば、スラブ加熱時にスラブ表層に濃化し表面割れの原因となるため、0.5%を超える添加は好ましくない。従って、含有量は0.5%以下とする。
Sn:0.2%以下、Sb:0.2%以下
SnとSbはスラブ加熱時や焼鈍における鋼板表面での窒化や酸化を抑制する効果があり、鋼板表面の脱炭、脱Bを抑制するために添加することが好ましい。含有量が0.0005%未満では、この効果は小さいので0.0005%以上添加することが望ましい。一方で、0.2%を超えて添加しても窒化や酸化の抑制効果は飽和し、YPの上昇や靭性の劣化を招くので、含有量はそれぞれ0.2%以下にする。
Ca:0.01%以下、REM:0.01%以下
CaおよびREMはSとの親和性が強いため、鋼中Sを固定し、また、熱間圧延および冷間圧延によって鋼中で伸展して亀裂発生の起点となるS介在物の形態を制御するために添加することができる。しかし0.01%を超えて添加しても効果は飽和するため、添加量はそれぞれ0.01%以下とする。
[%Mn]+1.3[%Cr]+8[%P]+3([%Mo]+[%V])+150B*:1.8以上2.8以下
オーステナイトからのフェライト変態、パーライト変態およびベイナイト変態を遅延する効果を有する合金元素の変態遅延効果は、Mn量をベースにして当量化した下記(2)式で表され、(2)式の値が大きいほど、焼鈍後の冷却時にオーステナイトの変態が抑制される。
[%Mn]+1.3[%Cr]+8[%P]+3([%Mo]+[%V])+150B* …(2)
ここで、[%M]は化学成分Mの含有量(質量%)、B*=[%B]+10.8/47.9×[%Ti]/2+10.8/27×[%sol.Al]/20で、[%B]=0のときはB*=0、B*≧0.0020のときはB*=0.0020とする。
(2)式が1.8未満では、焼鈍後の冷却時にパーライト変態が進行し所定のマルテンサイト体積分率を得ることが難しく、YPELが発生しYPが増加する場合がある。一方、(2)式が2.8を超えるとオーステナイトが安定化しすぎるため、第二相分率が過剰になり、とくに硬質なマルテンサイトや残留オーステナイトの生成量が増加するためYPが上昇し伸びフランジ性が低下する場合がある。そのため、[%Mn]+1.3[%Cr]+8[%P]+3([%Mo]+[%V])+150B*は1.8以上2.8以下とすることが好ましい。より好ましくは2.2以上である。
<ミクロ組織>
第二相体積分率:3.0%以上12.0%以下
フェライトを母相として体積分率で3.0%以上12.0%以下の第二相を有する。外板パネル用鋼板に求められる低YP、高BHを両立しつつ、更に優れた耐時効性を得るためには第二相の体積分率は3.0%以上必要である。一方で、第二相体積分率が12.0%を超えるとYPが上昇し伸びフランジ性が大きく低下するため、第二相体積分率は12.0%以下とする必要がある。より低YPを得るには10.0%以下が好ましい。
マルテンサイト体積分率:0.50%以上7.0%以下
低YPかつ高BHを維持しつつ、更に優れた耐時効性を得るためには、一定量の硬質なマルテンサイトの確保が必須であり、マルテンサイト体積分率は、0.50%以上とする。1.0%以上が好ましい。しかしながら、マルテンサイト体積分率が7.0%を超えるとYPが上昇し、伸びフランジ性は低下する。従って、マルテンサイト体積分率は7.0%以下とする。さらに低YPかつ優れた伸びフランジ性を得る観点からは、6.0%以下とすることが好ましく、5.0%以下とすることが更に好ましい。
残留オーステナイト体積分率:0.0%以上4.0%未満
残留オーステナイトはマルテンサイトやベイナイトと比べて軟質であるためYPの上昇には大きく寄与せず、変形後にはマルテンサイト変態して加工硬化に寄与するため一定量含有してもよい。ただし、残留オーステナイトから変態したマルテンサイトは非常に硬質であるため、周囲のフェライトと著しい硬度差を生じ亀裂発生の起点となる。残留オーステナイトを体積分率で4.0%以上含有すると伸びフランジ性を著しく損ねることから残留オーステナイト体積分率は4.0%未満とする。伸びフランジ性を更に向上する観点からは、3.0%未満に抑制することが好ましく、2.0%未満とするのが更に望ましい。
第二相体積分率に対する残留オーステナイト体積分率の比率:40.0%未満
第二相中に残留オーステナイトが過剰に存在すると、低YPに寄与するマルテンサイトやベイナイトの比率が相対的に低下する。また、残留オーステナイトは打抜き加工端面で硬質なマルテンサイトへ変態しフェライトと著しい硬度差を生じるため、第二相の体積分率が同じでも残留オーステナイトの比率が高いほど伸びフランジ性は低下する。そのため、低YPかつ伸びフランジ性を確保する観点から、第二相体積分率に対する残留オーステナイトの体積分率の比率を40.0%未満にする。30.0%未満にすることが好ましい。
ベイナイト体積分率:1.0%以上10.0%以下
ベイナイトは、本発明において非常に重要な組織である。焼鈍後の冷却時にMs点直上で適切に生成させた炭化物析出を伴ったベイナイトは、マルテンサイトと類似のYP低減効果をある程度有しており低YPに寄与するだけでなく、C濃化したオーステナイトを分解して硬質なマルテンサイトと残留オーステナイトの形成を抑制し、さらにフェライトとマルテンサイト間およびフェライトと残留オーステナイト間の硬度差を緩和し伸びフランジ性を向上すると考えられる。このような複合組織は、フェライト+マルテンサイトからなる二相組織に比べて、同等程度の低YP、高BHおよび耐時効性を維持しながら、優れた伸びフランジ性を得ることができる。ベイナイトによる上記の効果を得るには、少なくとも体積分率で1.0%以上のベイナイトが必要である。一方、体積分率で、ベイナイトが10.0%を超えて生成すると、第二相中のマルテンサイト体積分率が低下しYPが上昇し耐時効性は劣化する。このため、ベイナイト体積分率は10.0%以下とする。よりYPを低減する観点からは8.0%以下とすることが好ましく、6.0%以下が更に好ましい。
マルテンサイトおよび残留オーステナイトの体積分率の合計(VM+γ)に対するベイナイト体積分率(VB)の比(VB/VM+γ):0.50以上
マルテンサイト粒および残留オーステナイト粒の合計粒数aと、前記合計粒数aのうちベイナイト粒と接するマルテンサイト粒および残留オーステナイト粒の粒数bの比b/a:0.30以上
鋼板のミクロ組織を、ベイナイトを積極的に活用した複合組織とすることで、硬質なマルテンサイトや残留オーステナイトを効果的に低減し、さらにベイナイトはフェライトとマルテンサイトの中間の硬度であるため、ベイナイト相が硬質相であるマルテンサイト相や残留オーステナイトに接する界面が増加するほど、フェライトがマルテンサイトおよび残留オーステナイトと接する界面が減少し、フェライトと、マルテンサイト、残留オーステナイトの相間の硬度差を緩和し、伸びフランジ性を向上できる。
本発明者らは、伸びフランジ性に及ぼすミクロ組織の構成と分布形態の影響を調べるために以下の実験を行った。供試鋼としてC:0.011〜0.080%、Si:0.04%未満、Mn:0.90〜2.31%、P:0.018〜0.072%、S:0.015%以下、sol.Al:0.045〜0.080%、Cr:0.16〜0.89%、B:0.0006〜0.0024%、N:0.0010〜0.0033%、Ti:0〜0.005%、Mo:0〜0.08%、V:0〜0.03%、Nb:0〜0.02%、残部Feおよび不可避的不純物からなら成分組成を有する鋼を真空溶解により溶製し、230mm厚のスラブに鋳造した。さらにこれらのスラブを1250℃に加熱後、仕上圧延温度:870〜890℃で板厚3mmまで熱間圧延して巻取り温度:530℃で巻き取った。この熱延板を酸洗し、圧下率77%の冷間圧延を施して板厚0.70mmの冷延板とした。
このようにして得られた冷延板を、赤外線加熱炉を用いて650℃〜740℃間の平均加熱速度が1〜7℃/sとなるように加熱して、焼鈍温度:740〜850℃で60sの均熱処理を施し、焼鈍温度から平均冷却速度:5〜40℃/sで550℃まで冷却し(一次冷却)、さらに平均冷却速度:8〜50℃/sで400℃以下、下記(1)式で定義されるTm以上の温度範囲の二次停止温度まで冷却した(二次冷却)。さらに引き続いて300℃まで平均冷却速度0.02〜2.0℃/sで冷却し(三次冷却)、その後室温まで平均冷却速度:10℃/sで冷却した。この焼鈍板に伸長率0.2%の調質圧延を施した。
Tm(℃) = 425-33[%Mn]-17[%Cr]-20([%Mo]+[%V]) …(1)
ここで、[%M]は合金元素Mの含有量(質量%)
得られた鋼板からJIS5号引張試験片を採取し、JIS Z2241(1998年)に準拠した引張試験を実施しYPを評価した。また、100mm角の試験片を採取し、日本鉄鋼連盟規格JFST1001(1996年)の規定に準拠した穴広げ試験により伸びフランジ成形性を評価した。即ち、100mm角の試験片にポンチ径10mm、ダイス径10.15mm(クリアランス11%)の打ち抜き工具を用いて打ち抜き後、頂角60度の円錐ポンチを用いて、打ち抜き穴形成の際に発生したバリが外側になるようにして、板厚を貫通する割れが発生するまで穴広げを行った際のd0:初期穴径(=10mm)、d:割れ発生時の穴径(mm)として、穴広げ率λ(%)={(d-d0)/d0}×100を求めた。
図1に、YPおよび伸びフランジ性に及ぼす第二相体積分率、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの体積分率の合計VM+γに対するベイナイト体積分率VBの比VB/VM+γ、およびマルテンサイト粒数および残留オーステナイト粒数の合計粒数aと、前記合計粒数aの中でベイナイト粒と接するマルテンサイト粒および残留オーステナイト粒の粒数bの比b/aの影響を示す。第二相体積分率が3.0%未満または12.0%超の鋼板はYP≦240MPaかつλ≧95%を満足しない。同様に、第二相体積分率が3.0〜12.0%でもVB/VM+γが0.50未満またはb/aが0.30未満の鋼板もYP≦240MPaかつλ≧95%を満足しない。第二相体積分率が3.0〜12.0%でVB/VM+γを0.50以上かつb/aを0.30以上の組織構成とした鋼板でのみYP≦240MPaかつλが95%以上を安定して得られることが分かる。この結果から、低YPかつ高伸びフランジ性を得る観点で、マルテンサイトおよび残留オーステナイト体積分率の合計に対するベイナイト体積分率の比率VB/VM+γを0.50以上かつb/aを0.30以上に限定した。b/aは0.40以上がより好ましい。
第二相体積分率に対するパーライト体積分率の比率:20%以下
パーライトが生成すると所定のマルテンサイトの体積分率あるいはベイナイトの体積分率の確保が困難になり、YPの上昇を招く。そのためパーライトは極力生成しないことが好ましく、第二相中のパーライト分率の比率(第二相体積分率に対するパーライト体積分率の比率)は多くとも20%以下とすることが好ましい。より好ましくは10%以下であり、更に好ましくは5.0%以下である。
<製造条件>
上記の成分組成を有する鋼を上記のミクロ組織に制御し、低YP、高BHかつ伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板を得るには、適切に製造条件を制御する必要がある。以下に製造条件について説明する。
上述の成分組成を有するスラブを加熱後、Ar3点以上の仕上圧延温度で熱間圧延を行う。仕上圧延温度が920℃を超えると鋼板表面のスケール生成量が増加し表面品質が低下することから、仕上圧延温度は920℃以下とすることが好ましく、900℃以下がさらに好ましい。本発明鋼では、冷間圧延の圧延負荷を軽減する観点から、熱延板組織を粗大なフェライト+パーライト組織とすることが好ましいため、仕上圧延から巻取りまでの平均冷却速度は15℃/s以上50℃/s以下とし、巻取り温度:450℃以上600℃以下で巻き取るようにすれば良い。平均冷却速度を15℃/s未満としても熱延板組織は平均冷却速度が15℃/s以上のときとあまり変わらないが、熱延ラインが長大化し、平均冷却速度が50℃/s超では熱延板組織中の低温変態組織が著しく増加し、冷間圧延負荷が増大することによる。フェライト+パーライト組織の生成を促進する観点から、仕上圧延後に3s以内に600℃以上700℃以下の急冷停止温度まで平均冷却速度70℃/s以上で冷却し、その後、巻取り温度:450℃以上600℃以下まで平均冷却速度3℃/s以上25℃/s以下で冷却し巻き取っても良い。これにより、熱延板組織を軟質化できることに加えて、熱延コイル中のミクロ組織のバラツキが低減し、焼鈍後のコイル内での材質変動を低減できる。急冷停止温度を600℃未満にすると熱延板中の低温変態組織が増加するため熱延板組織が高強度化し、冷間圧延負荷が著しく増大し、広幅材を要求される外板パネル用鋼としては好ましくない。
このようにして得られた熱延板は常法に従って、酸洗等によりスケールを除去した後に、冷圧率:50〜85%で冷間圧延を実施する。r値やYPといった材質の面内異方性を低減する観点からは、圧延率を70〜85%とすることが好ましい。
上記の冷間圧延を施した鋼板を、連続焼鈍ライン(CAL)において焼鈍することが好ましい。低YPおよび優れた伸びフランジ性を確保する観点から、所望の第二相の分散形態を得るため、昇温加熱時に、650℃から740℃の温度域の平均加熱速度は3.0℃/s以下とする。平均加熱速度が3.0℃/sを超えると、フェライトの再結晶が不十分なままオーステナイトの逆変態が開始することでフェライト粒径が微細化し、第二相も微細になって母相中に密に分散する。このような組織は、結晶粒微細化強化に加えて、第二相によるフェライトへの歪の導入領域の重複によってYPを上昇させると考えられる。また、第二相が密に分散しているためフェライト中を亀裂が進展しやすく、さらに第二相が分散してしまうことで硬質なマルテンサイトや残留オーステナイトと接するベイナイト粒の比率が低下し、これによって伸びフランジ性の低下を招く。優れた低YPと伸びフランジ性を得るためには、逆変態前に十分にフェライトを再結晶させてフェライトの粒界三重点にオーステナイト相を生成させ、このオーステナイトの一部を焼鈍後冷却時にベイナイトとすることが好ましい。YPを低減し伸びフランジ性を向上する観点からは、平均加熱速度は2.5℃/s以下が好ましく、更に好ましくは2.0℃/s以下である。
焼鈍温度は750℃以上820℃以下とする。750℃未満では冷延板中の炭化物が十分に固溶しないため第二相の体積分率が不足する。一方、820℃を超えるとオーステナイトのC濃化量が減少して安定性が低下するため、引き続いて行う焼鈍後の冷却時にオーステナイトがパーライトに分解されやすく、所定のミクロ組織構成を得られなくなる。
焼鈍後、一次冷却として、上記の焼鈍温度から550℃までを平均冷却速度10℃/s以上30℃/s以下で冷却する。平均冷却速度が10℃/s未満では、ポリゴナルフェライトの生成量が増大し、オーステナイトへのC濃縮が進行するためオーステナイトが必要以上に安定化し、低温でのベイナイト変態が遅延されて硬質なマルテンサイトや残留オーステナイトが生成しやすくなるため伸びフランジ性が低下する。平均冷却速度が30℃/sを超えると第二相の体積分率が増加しすぎるため、YPが上昇し伸びフランジ性が低下する。
さらに二次冷却として、550℃から下記(1)式で定義されるTm℃以上400℃以下の温度域の二次冷却停止温度まで平均冷却速度10℃/s以上80℃/s以下で冷却する。
Tm(℃)=425-33×[%Mn]-17×[%Cr]-20([%Mo]+[%V]) …(1)
ここで、[%M]は合金元素Mの含有量(質量%)を示す。
550℃から400℃の温度域ではベイニティックフェライト生成が進行しやすいため、二次冷却停止温度が400℃超、または二次冷却速度が10℃/s未満では、ベイニティックフェライトの生成に伴ってC濃化した安定なオーステナイトが増加しベイナイト生成量が低下するため伸びフランジ性が低下する。冷却停止温度がTm℃未満になると、マルテンサイト変態するためVB/VM+γが0.50未満となり伸びフランジ性が低下する。一方、冷却速度が80℃/sを超えると鋼板の平坦後が低下する。より好ましくは40℃/s以下である。
さらに三次冷却として、上記の二次冷却停止温度から300℃までの温度域を平均冷却速度:0.10℃/s以上1.0℃/s未満で冷却する。これにより、Ms点の直上においてCが濃化したオーステナイトから優先的にベイナイトを生成させて、最終組織における硬質なマルテンサイトおよび残留オーステナイトの生成量を低減することができる。さらに、この緩冷却によってフェライトやベイナイト中の固溶Cを適度にセメンタイトとして析出させることで、YPの低下を図ることができる。平均冷却速度が1.0℃/s以上ではベイナイト生成量が低下しVB/VM+γが0.50未満となるため伸びフランジ性が低下する。好ましくは0.50℃/s未満であり、より好ましくは0.30℃/s未満である。一方、平均冷却速度が0.10℃/s未満では、ベイナイト変態が進行しすぎて所望のマルテンサイトの体積分率を確保することが困難になるため、YPが増加する。300℃未満の平均冷却速度は特に規定しないが、マルテンサイトの焼戻しを抑制する観点から10℃/s以上で100℃以下まで冷却することが好ましい。
このようにして得られた冷延鋼板には、表面粗度の調整や板形状の平坦化、あるいは僅かにYPELが存在する場合にはYPELを消失させる目的で調質圧延を施しても良い。このとき、伸長率が0.1%未満では調質圧延の効果が得られないが、伸長率が増加すると鋼板のYPが増大しELやBHが低下することから、伸長率:0.6%を超える調質圧延は材質の点で好ましくない。従って、調質圧延を施す場合は伸長率を0.1%以上0.6%以下とすることが好ましい。
上記のようにして製造された冷延鋼板は、TS:440MPa以上、YP:240MPa以下、BH:55MPa以上、λ:95%以上を満足し、さらにTS×ELバランス:16000MPa%以上、TS×λバランス:45000MPa%以上を満足し、耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れる。
表1に示すA〜Lの鋼を溶製後、230mm厚のスラブに連続鋳造した。このスラブを1250℃に加熱後、850〜890℃の範囲の仕上圧延温度にて熱間圧延を施した。その後、30℃/secの平均冷却速度で冷却し、巻取温度:530℃にて巻き取った。一部スラブは、仕上圧延後直ちに(3秒以内に)急冷し650℃の冷却停止温度まで冷却し、その後は、20℃/secの平均冷却速度で冷却した。得られた熱延板を、酸洗後77%の圧延率にて冷間圧延を施し、板厚0.7mmの冷延板とした。熱延条件を表2に示す。
得られた冷延板を、表2に示すように650〜740℃の平均加熱速度が1.0〜7.0℃/sとなるように加熱して、焼鈍温度740〜850℃で60s焼鈍した。これを表2に示す条件に従って、焼鈍温度から550℃までを一次冷却、550℃から二次冷却停止温度までを二次冷却、さらに二次冷却停止温度より300℃までを三次冷却し、300℃未満を平均冷却速度10℃/sで室温まで冷却した。得られた冷延鋼板に0.2%の伸長率の調質圧延を施し、サンプル採取した。
得られた焼鈍板の圧延方向と直角方向からJIS5号試験片を採取して引張試験(JIS Z2241(1998年)に準拠)を実施し、YP、TS、ELを評価した。さらに、2%の予歪を加えて170℃、20分の時効処理を施した試験片を引張試験して時効後の降伏応力を測定し、2%予歪時の応力からの降伏応力の増加分をBHとした。また、伸びフランジ性は日本鉄鋼連盟規格JFST1001(1996年)の規定に準拠した穴広げ試験により評価した。すなわち、100mm×100mm角サイズの焼鈍板にポンチ直径10mm、ダイス直径(内径)10.15mm(クリアランス11%)の打ち抜き工具を用いて打ち抜き穴を作製後、頂角60度の円錐ポンチを用いて打ち抜き穴形成の際に発生したバリが外側になるようにして穴広げ加工を行い、割れが板厚を貫通したところでのd0:初期穴径(=10mm)、d:割れ発生時の穴径(mm)から穴広げ率λ(%)={(d-d0)/d0}×100を求めた。
また、これらの鋼板から試験片を採取し、圧延方向と平行な垂直断面を機械研磨し、ナイタールで腐食した後に、走査型電子顕微鏡を用いて板厚の1/4位置(鋼板表面から板厚の1/4に相当する深さの位置)を観察し、3000倍の二次電子像を撮影した。この組織写真を組織種類の判別および組織の体積分率の測定と組織構成の解析に用いた。体積分率の測定においては、二次電子像で最も暗いコントラストを示す平滑な領域をフェライトとし、フェライト内に炭化物の微小な粒子が点列状に生成している領域をベイナイト、炭化物が層状に生成している領域をパーライト、白色あるいは灰色のコントラストを示す比較的平滑な領域をマルテンサイトおよび残留オーステナイトと判断した。なお、二次電子像ではポリゴナルフェライトと炭化物析出を伴わないラス状のフェライト(ベイニティックフェライト)は識別困難であるため両相をまとめてフェライトとした。第二相とはフェライト以外の全ての相を指す。
マルテンサイトと残留オーステナイトの体積分率の合計値およびベイナイト体積分率は、二次電子像を画像ソフト(Adobe社製 Photoshop(ver.5))に取り込んで各相ごとに個別に色付けして識別した後、画像の全ピクセル数における各相のピクセル数の割合として求めた。さらに、X線回折法を用いて残留オーステナイトの体積分率を求めた。研削および化学研磨により鋼板の板厚1/4位置を露出し、CoのKα線を線源とし加速電圧50keVにて、X線回折法(装置:Rigaku社製 RINT2200)によって鉄のフェライト相の{200}面、{211}面、{220}面と、オーステナイト相の{200}面、{220}面、{311}面のX線回折線の積分強度を測定し、これらの測定値を用いて、X線回折ハンドブック(理学電機株式会社)p.26、p.62-64に記載の計算式から残留オーステナイトの体積分率を求めた。マルテンサイトの体積分率は画像解析によるマルテンサイトおよび残留オーステナイトの体積分率の合計値からX線回折法で求めた残留オーステナイトの体積分率を差し引いた値とした。また同じ二次電子像を用いて、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの全粒数を計数し、その内ベイナイト粒と接しているマルテンサイト粒および残留オーステナイト粒の数を調査した。
表3に結果を示す。
Figure 2013064172
Figure 2013064172
Figure 2013064172
本発明鋼を使用し、製造条件が本発明範囲内にある実施例(鋼板No.2〜4、11、12、16、20、21、23、25)の鋼板は、本発明で規定するミクロ組織が得られ、TS:440MPa以上、YP:240MPa以下、BH:55MPa以上、λ:95%以上を満足し、さらにTS×ELバランス:16000MPa%以上、TS×λバランス:45000MPa%以上を満足している。一方、成分組成が本発明範囲を外れる鋼を使用した鋼板(鋼板No.24、26〜30)、および/または本発明範囲を外れる製造条件で製造した比較例の鋼板(鋼板No.1、5〜10、13〜15、17〜19、22)は、本発明で規定するミクロ組織が得られず、YP、TS、BH、λ、TS×ELバランス、あるいはTS×λバランスのいずれか一つ以上が劣る。
同一の成分である鋼板No.3、9、10を比較すると、加熱速度を3℃/s以下とした鋼板No.3に比べて、3℃/s超とした鋼板No.9、10は第二相が微細に分散するためb/aが低下し、λおよびTS×λバランスが低下する。これは鋼板No.16、18、19でも同様である。また、一次冷却速度、二次冷却速度、三次冷却速度がそれぞれ規定の範囲から外れた鋼板No.6、7、14、15は低YPかつ高λを両立できない。従って、本発明において優れた低YP、高BHおよび高λを全て達成するためには昇温速度、および一次乃至三次の冷却速度は厳密に制御されなければならない。
本発明によれば、YPが低く、優れたBHと伸びフランジ性を有する高張力冷延鋼板を製造できるようになる。本発明の高張力冷延鋼板は、優れた耐面歪性と焼付け硬化特性、およい優れた伸びフランジ性を兼ね備えているため、自動車外板パネルへ適用可能であり自動車部品の高強度化による薄肉化、軽量化を可能にする。

Claims (8)

  1. 鋼の成分組成は、質量%で、C:0.015%超0.065%未満、Si:0.4%未満、Mn:1.0%以上2.0%以下、P:0.015%超0.060%以下、S:0.015%以下、sol.Al:0.01%以上0.3%以下、B:0.0005%以上0.0050%以下、N:0.005%以下、Cr:0.3%以下、Mo:0.15%未満(0を含む)、V:0.15%未満(0を含む)を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、ミクロ組織は、フェライトを母相として体積分率で3.0%以上12.0%以下の第二相を有し、前記第二相に、0.50%以上7.0%以下の体積分率のマルテンサイト、0.0%以上4.0%未満の体積分率の残留オーステナイト、1.0%以上10.0%以下の体積分率のベイナイトを含み、更に、第二相体積分率に対する残留オーステナイトの体積分率の比率が40.0%未満、マルテンサイトおよび残留オーステナイト体積分率の合計(VM+γ)に対するベイナイト体積分率(VB)の比VB/VM+γが0.50以上、かつマルテンサイト粒および残留オーステナイト粒の合計粒数aと、前記合計粒数のうちベイナイト粒と接するマルテンサイト粒および残留オーステナイト粒の粒数bの比b/aが0.30以上である複合組織であることを特徴とする耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板。
  2. さらに、化学成分として、質量%で、Ti:0.02%以下、Ni:0.5%以下、Nb:0.02%以下、Cu:0.5%以下のうちの一種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板。
  3. さらに、化学成分として、質量%で、Sn:0.2%以下、Sb:0.2%以下、Ca:0.01%以下、REM:0.01%以下のうちの一種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板。
  4. [%Mn]+1.3[%Cr]+8[%P]+3([%Mo]+[%V])+150B*が1.8以上2.8以下を満足することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板。
    ここで、[%M]は合金元素Mの含有量(質量%)、B*=[%B]+10.8/47.9×[%Ti]/2+10.8/27×[%sol.Al]/20で、[%B] =0のときはB*=0、B*≧0.0020のときはB*=0.0020とする。
  5. 質量%で、C:0.015%超0.065%未満、Si:0.4%未満、Mn:1.0%以上2.0%以下、P:0.015%超0.060%以下、S:0.015%以下、sol.Al:0.01%以上0.3%以下、B:0.0005%以上0.0050%以下、N:0.005%以下、Cr:0.3%以下、Mo:0.15%未満(0を含む)、V:0.15%未満(0を含む)を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる化学組成を有する鋼を、熱間圧延および冷間圧延した後、650℃から740℃まで平均加熱速度3.0℃/s以下で昇温し、750℃以上820℃以下の温度で焼鈍した後、前記焼鈍温度から550℃まで平均冷却速度10℃/s以上30℃/s以下で冷却し、さらに550℃から下記(1)式で定義されるTm℃以上400℃以下の温度域まで平均冷却速度10℃/s以上80℃/s以下で冷却し、さらに前記Tm℃以上400℃以下の温度から300℃まで平均冷却速度0.10℃/s以上1.0℃/s未満で冷却する、ことを特徴とする耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板の製造方法。
    Tm(℃) = 425-33[%Mn]-17[%Cr]-20([%Mo]+[%V]) …(1)
    ここで、[%M]は合金元素Mの含有量(質量%)
  6. さらに、化学成分として、質量%で、Ti:0.02%以下、Ni:0.5%以下、Nb:0.02%以下、Cu:0.5%以下のうちの一種以上を含有することを特徴とする請求項5に記載の耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板の製造方法。
  7. さらに、化学成分として、質量%で、Sn:0.2%以下、Sb:0.2%以下、Ca:0.01%以下、REM:0.01%以下のうちの一種以上を含有することを特徴とする請求項5又は6に記載の耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板の製造方法。
  8. [%Mn]+1.3[%Cr]+8[%P]+3([%Mo]+[%V])+150B*が1.8以上2.8以下を満足することを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の耐面歪性、焼付け硬化性および伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板の製造方法。
    ここで、[%M]は合金元素Mの含有量(質量%)、B*=[%B]+10.8/47.9×[%Ti]/2+10.8/27×[%sol.Al]/20で、[%B] =0のときはB*=0、B*≧0.0020のときはB*=0.0020とする。
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