JP2013063038A - 浅漬の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】原料野菜を効果的に殺菌し、保存安定性に優れた浅漬を製造可能な方法を提供する。
【解決手段】原料野菜を加熱水蒸気で処理する工程;および加熱水蒸気処理した原料野菜を調味液に浸漬する工程を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、保存安定性に優れた浅漬を製造するための方法に関するものである。
一般的に、漬物は塩、糠、味噌、麹、醤油や酢などに漬け、独特の風味を持たせるために熟成させる。かかる熟成中には、食品に適する細菌や真菌による発酵が進む一方で、高塩濃度などの作用により変敗菌の増殖は抑制されている。従って、漬物は保存安定性に優れた食品であるといえる。その上、通常の漬物製品は包装後に容器ごと加熱殺菌されるので、その保存安定性はさらに向上されている。
しかしながら、漬物の一種である浅漬は、漬物ではあるものの、塩などに漬けられる時間は数十分から長くて一昼夜程度である。よって、好塩菌による熟成は進まず、変敗菌が残留するおそれがあり得る。しかも、浅漬は調味液による味付けが行われることが多いので、製品として流通する場合、残留した変敗菌やその他の雑菌が調味液成分を栄養にして増殖するおそれがあり得る。さらに、浅漬製品では素材自体の風味や食感を保つため、通常、容器包装後の加熱処理は行われないので、流通過程における浅漬製品の保存安定性はその他の漬物製品に比べて劣るといえる。
そこで、浅漬を製造するに当たっては、次亜塩素酸ナトリウムで原料野菜を殺菌するのが一般的である。
野菜類を殺菌する方法としては、次亜塩素酸ナトリウムによるものの他、100℃の水蒸気を常圧のままさらに加熱した過熱水蒸気を用いるものが開発されている(非特許文献1〜3)。また、加熱された飽和水蒸気中、野菜類を落下させる方法や装置もある(特許文献1および非特許文献4)。
五月女格ら,防菌防黴,第33号,第523〜530頁(2005年) 小野和広ら,日本食品科学工学会誌,第53号,第172〜178頁(2006年) 宮武和孝,電気学会誌,第128号,第97〜100頁(2008年) 下田満哉,食品工業,第6号,第30巻,第46〜51頁(2010年)
国際公開第2009/147930号パンフレット
上述したように、浅漬を製造するに当たっては、原料野菜の殺菌を次亜塩素酸ナトリウム水溶液で行うのが一般的である。しかし、本発明者らの実験的知見によれば次亜塩素酸ナトリウムの殺菌効果は十分ではなく、変敗菌が残留し、浅漬の保存安定性を貶める原因となる。
そこで本発明は、原料野菜を効果的に殺菌し、保存安定性に優れた浅漬を製造可能な方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、加熱水蒸気を使って原料野菜を処理すれば、特に浅漬の変敗菌を効果的に殺菌することができ、浅漬の保存安定性を向上できることを見出して、本発明を完成した。
本発明に係る浅漬の製造方法は、原料野菜を加熱水蒸気で処理する工程;および加熱水蒸気処理した原料野菜を調味液に浸漬する工程を含むことを特徴とする。
本発明方法では、調味液へ浸漬する前に、さらに、原料野菜を次亜塩素酸で処理する工程を実施することが好ましい。浅漬製品のための原料野菜の殺菌手段としての次亜塩素酸処理は、それのみでは十分ではなく製品段階で変敗菌が増殖して品質が低下するおそれがあるが、加熱水蒸気処理と組み合わせることにより、変敗菌をより一層効果的に低減できるようになる。
本発明方法では、調味液に浸漬する前に、さらに、加熱水蒸気処理した原料野菜をアルカリ水溶液に浸漬する工程を実施することが好ましい。加熱水蒸気で処理すると浅漬の色調が経時的に低下することがあるが、アルカリ水溶液で処理することによりかかる変色を低減でき、商品としての価値を維持することが可能になる。
上記で使用するアルカリ水溶液のpHとしては、7.5以上、9.0以下が好適である。当該pHが7.5以上であれば、浅漬の変色を十分に抑制することができ得る。一方、当該pHが過剰に高いと原料野菜にダメージを与えて浅漬の食感などが低下するおそれがあり得るので、当該pHとしては9.0以下が好ましい。
本発明方法では、加熱水蒸気処理する前に、原料野菜を細断する工程を実施することが好ましい。おそらく細断された原料野菜は、空気などの非凝集性気体による加熱水蒸気との接触阻害の影響を受け難いことによると考えられるが、加熱水蒸気による殺菌をより一層効率良く行うことができる。
なお、加熱水蒸気の温度としては、95℃以上が好ましい。当該温度が95℃以上であれば、特に浅漬変敗菌の殺菌をより一層効果的に行うことが可能となる。
本発明方法によれば、加熱水蒸気の作用効果によって、特に浅漬の変敗の原因となる菌を効果的に低減することができる。よって本発明は、保存安定性に優れた浅漬の製造を可能にするものとして、産業上非常に優れている。
図1は、無処理細断白菜、次亜塩素酸ナトリウムで処理した細断白菜、加熱水蒸気で処理した細断白菜、および次亜塩素酸ナトリウムと加熱水蒸気で処理した細断白菜における一般生菌数を計測した結果を示すグラフである。 図2は、浅漬変敗菌を塗布した無処理細断白菜、浅漬変敗菌を塗布してから次亜塩素酸ナトリウムで処理した細断白菜、および浅漬変敗菌を塗布してから加熱水蒸気で処理した細断白菜における浅漬変敗菌数を計測した結果を示すグラフである。 図3は、無処理細断白菜、次亜塩素酸ナトリウムで処理した細断白菜、加熱水蒸気で処理した細断白菜、および次亜塩素酸ナトリウムと加熱水蒸気で処理した細断白菜における乳酸菌数を計測した結果を示すグラフである。 図4は、浅漬変敗菌を塗布した無処理細断白菜を用いた浅漬、浅漬変敗菌を塗布してから次亜塩素酸ナトリウムで処理した細断白菜を用いた浅漬、浅漬変敗菌を塗布してから加熱水蒸気で処理した細断白菜を用いた浅漬、および浅漬変敗菌を塗布してから次亜塩素酸ナトリウムおよび加熱水蒸気で処理した細断白菜を用いた浅漬をそれぞれ8日間保存したときの浅漬変敗菌数を計測した結果を示すグラフである。 図5は、次亜塩素酸ナトリウムで処理した白菜を用いた浅漬、加熱水蒸気で処理した白菜を用いた浅漬、および加熱水蒸気に続いてアルカリ水溶液で処理した白菜を用いた浅漬の、色調を観察した結果を示すグラフである。 図6は、加熱水蒸気で処理した白菜を用いた浅漬と、加熱水蒸気に続いてアルカリ水溶液で処理した白菜を用いた浅漬を、7日間保存した後の写真である。
以下、本発明方法を実施の順番に従って説明する。
(1) 原料野菜の細断工程
本発明においては、先ず、原料野菜を細断することが好ましい。但し、本工程の実施は任意であり、原料野菜をそのまま加熱水蒸気処理工程で用いてもよい。
本発明方法で原料として用いる野菜類は、浅漬の材料として一般的なものであれば特に制限されない。例えば、オクラなどのアオイ科果菜類;カンピョウ、キュウリ、ゴーヤ、ズッキーニ、冬瓜などのウリ科果菜類;トウガラシ、トマト、ナス、ピーマンなどのナス科果菜類;トウモロコシなどのイネ科果菜類;アスパラガス、タマネギ、ニンニク、ネギ、ラッキョウなどのユリ科茎菜類;ウドなどのウコギ科茎菜類;空心菜などのヒルガオ科茎菜類;ショウガなどのショウガ科茎菜類;タケノコなどのイネ科茎菜類;レンコンなどのハス科茎菜類;カブ、コールラビ、ザーサイ、大根などのアブラナ科根菜類;ゴボウなどのキク科根菜類;ニンジンなどのセリ科根菜類;アーティチョークなどのキク科花菜類;カリフラワー、ブロッコリーなどのアブラナ科花菜類;ミョウガなどのショウガ科花菜類;エダマメ、ササゲ、シカクマメ、大豆、ナタマメ、レンズマメなどのマメ科豆類;青菜、キャベツ、小松菜、山東菜、ターサイ、高菜、チンゲンサイ、野沢菜、白菜、ホウレンソウ、水菜、壬生菜などのアブラナ科葉菜類;セリ、セロリ、パセリなどのセリ科葉菜類;ニラなどのユリ科葉菜類;フキ、レタスなどのキク科葉菜類を挙げることができる。
原料野菜としては、当然ながら、収穫後、洗浄したものが好ましい。但し、原料野菜の表面に水滴が残留しているなど表面が濡れていると次の加熱水蒸気処理の効果が十分に発揮されない場合があり得るので、洗浄後は乾燥することが好ましい。乾燥手段は、原料野菜の表面が濡れていないようにできるものであれば特に制限されないが、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥を挙げることができ、また、布などで表面水分を拭き取ってもよい。
上記のとおり、本工程は任意であり、洗浄した原料野菜をそのまま次工程で用いてもよい。但し、食用とする場合には皮を剥いたり硬い部分を除去するのが一般的であるものは、少なくともそのような処理をすることが好ましい。
しかし、細断された原料野菜は、空気などの非凝集性気体による加熱水蒸気との接触阻害の影響を受け難いことによると考えられ、加熱水蒸気による殺菌をより一層効率良く行うことができる。よって、細断することが好ましい。
細断すべき大きさは、原料野菜の種類などにより異なり特に制限されないが、例えば加熱水蒸気による殺菌を効果的にするという目的であれば、最も長い部分で20cm以下とすることができる。一方、あまりに小さ過ぎると浅漬としての食感が十分でなくなるおそれがあるので、最も長い部分としては1cm以上が好ましい。かかる大きさとしては、最も長い部分で10cm以下がより好ましく、5cm以下がさらに好ましく、また、2cm以上がより好ましい。
(2) 次亜塩素酸処理工程
本発明方法では、原料野菜を次亜塩素酸で処理してもよい。本工程の実施は任意であるが、本発明の特徴である加熱水蒸気での処理に加えて次亜塩素酸で処理することにより、浅漬の食味などを低減する菌類などをより一層低減することが可能になる。
次亜塩素酸としては特に制限されないが、例えば、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウムの水溶液を用いることができる。好適には次亜塩素酸ナトリウムまたは次亜塩素酸カリウムを用いる。これら塩は中性であり、食味に悪影響を与えないからである。
次亜塩素酸水溶液の濃度は特に制限されず、適宜調整すればよいが、例えば10ppm以上、1000ppm以下程度とすることができる。10ppm以上であれば、次亜塩素酸による殺菌効果を十分に発揮せしめることができる。一方、当該濃度が高過ぎると、次亜塩素酸自体が強力な酸化剤であるために原料野菜自体にダメージが表れるおそれがあり得るので、1000ppm以下とすることが好ましい。次亜塩素酸水溶液の濃度としては、25ppm以上がより好ましく、50ppm以上がさらに好ましく、また、500ppm以下がより好ましく、250ppm以下がさらに好ましく、200ppm以下が特に好ましい。
次亜塩素酸による処理時間は特に制限されず、適宜調整すればよいが、例えば、原料野菜を次亜塩素酸水溶液に10秒間以上、5分間以内程度浸漬すればよい。
次亜塩素酸による処理の後は、水洗などで次亜塩素酸を除去することが好ましい。次亜塩素酸が残留すると、浅漬製品の品質を貶めることになりかねないからである。
次亜塩素酸による処理は、後述する加熱水蒸気処理工程の前に行ってもよいし、後に行ってもよい。
(3) 加熱水蒸気処理工程
本発明方法では、原料野菜を加熱水蒸気で処理する。本工程により、特に浅漬を変質させる乳酸菌などの浅漬変敗菌を顕著に低減でき、浅漬の保存安定性を向上させることができるようになる。
加熱水蒸気とは、浅漬の変敗の原因となる細菌や真菌を十分に殺菌できる程度に加熱された水蒸気をいう。より具体的には、70℃以上の水蒸気を挙げることができる。当該温度としては、80℃以上がより好ましく、90℃以上がさらに好ましく、95℃以上が特に好ましい。一方、本発明における加熱水蒸気には過熱水蒸気も含まれるが、その温度としては180℃以下が、好ましく、150℃以下がさらに好ましく、120℃以下が特に好ましい。
加熱水蒸気としては、100℃以下の加熱水蒸気が好ましい。100℃以下の加熱水蒸気であれば、100℃超の加熱水蒸気、即ち過熱水蒸気とは異なり、原料野菜の全表面に満遍なく接触させることが比較的容易であり、加熱時間が短時間で済むことから熱が原料野菜の内部にまで伝わり難く、浅漬特有の食感を維持し易い。
加熱時間は特に制限されず、原料野菜表面の細菌などを十分に低減できればよいが、100℃以下の加熱水蒸気を用いる場合には、通常、0.01秒間以上、10秒間以下程度とする。当該時間が0.01秒間以上であれば、特に浅漬製品の品質を低下する細菌などをより確実に低減することが可能になる。一方、加熱時間が長過ぎると原料野菜の内部にまで熱が伝わって浅漬特有の食感が失われるおそれがあり得るので、当該時間としては10秒間以下とすることが好ましい。当該時間としては、0.05秒間以上が好ましく、0.1秒間以上がより好ましく、0.2秒間以上がさらに好ましく、また、5秒間以下が好ましく、2秒間以下がより好ましく、1秒間以下がさらに好ましい。また、100℃超の過熱水蒸気を用いる場合には、1秒間以上、60秒間以下程度殺菌すればよく、当該時間としては、5秒間以上が好ましく、10秒間以上がより好ましく、また、50秒間以下が好ましく、40秒間以下がより好ましく、30秒間以下がさらに好ましい。
加熱手段としては特に制限されず、一般的なものを用いることができる。例えば、国際公開第2009/147930号パンフレットなどに記載の瞬間湿熱表面殺菌装置を用いればよい。
(4) 下漬工程
次に、上記工程を経た原料野菜を、調味液に浸漬する前に下漬してもよい。当該工程は任意であるが、下漬処理により原料野菜の細胞が脱水されて組織が柔軟になり、調味液が野菜類に浸透し易くなる。
下漬は、原料野菜を食塩水に浸漬し、荷重を負荷すればよい。食塩水の濃度は5質量%以上、15質量%以下程度とすることができる。また、原料野菜に対する食塩水の使用量は0.2質量倍以上、1.0質量倍以下程度とすることができ、荷重は原料野菜と食塩水の合計質量と同程度とすることができる。
下漬の時間は適宜調整すればよいが、通常、30分間以上、30時間以下程度とすればよい。
下漬後、野菜類を水切りする、即ち使用した食塩水を除去する。下漬けされた野菜類では、その細胞膜の少なくとも一部が破壊されているため、調味液は速やかに浸透する。
(5) 調味液への浸漬工程
次に、原料野菜を調味液へ浸漬することにより浅漬とする。
漬物のうち、いわゆる古漬は、塩に長時間漬けることにより好塩菌の働きに由来する旨味などが生じてくるが、浅漬ではかかる旨味は少ないといえる。そこで浅漬の製造では、塩以外も含む調味液を用いるのが一般的である。
調味液は、浅漬の製造に用いられるものであれば特に制限されない。浅漬用調味液の配合成分としては、例えば、食塩や塩化ナトリウム;グルタミン酸ナトリウム、グリシン、アラニンなどのアミノ酸;グアニル酸やイノシン酸などの核酸;砂糖、異性化液糖、水飴、オリゴ糖、ステビア、サッカリン、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトールなどの甘味料;クエン酸、乳酸、酢酸、酢酸ナトリウムなどのpH調整剤;醤油、魚醤、酸分解アミノ酸液、タンパク質加水分解物、動植物エキス、酵母エキス、みりんなどの調味料などを挙げることができる。
使用する調味液の量は適宜調整すればよく特に制限されないが、例えば原料野菜に対して1.0質量部以上、2.0質量部以下程度とすればよい。
上記で得られた浅漬は、野菜類が調味液に浸漬された状態のまま小分け包装して製品としてもよいし、調味液を原料野菜から除去して製品としてもよい。いずれの態様でも、本発明では原料野菜の段階で細菌などが低減されているため、保存中や流通段階での劣化が抑制されている。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1 一般生菌数の測定
白菜を約3cm×3cm角に細断した。得られた細断白菜を、0.4秒間かけて100℃の飽和水蒸気空間を落下させた。次いで、一般生菌数を以下のとおり計測した。
即ち、白菜搾汁液試料1mLを、滅菌水により適宜希釈した。次いで、希釈試料1mLを、予め加温滅菌しておいた標準寒天培地(日水製薬社製)20mLと混釈してシャーレに播き、30℃で48時間静置することにより平板培養し、平板上に生じたコロニー数を計測した。このコロニー数に試料の希釈倍率を乗じることにより、総一般生菌数を算出した。結果を図1に示す。
また、比較のために、20質量倍の100ppm次亜塩素酸ナトリウム水溶液(pH7.0)に上記細断白菜を1分間浸漬した後、さらに同じく20質量倍の水に1分間浸漬した。かかる浸漬中では、スターラーを用いて次亜塩素酸ナトリウム水溶液と水を攪拌した。次いで、上記と同様に一般生菌数を計測した。また、上記と同様に細断白菜を次亜塩素酸ナトリウム水溶液と水で処理した後、飽和水蒸気で処理し、一般生菌数を計測した。さらに、無処理の細断白菜でも同様に一般生菌数を計測した。結果を図1に示す。
図1のとおり、次亜塩素酸ナトリウム水溶液でも一般生菌数を低減できるが、飽和水蒸気ではさらに一般生菌数を低減できる。次亜塩素酸処理と飽和水蒸気処理とを組み合わせることにより、一般生菌をさらに抑制できる。なお、図1の縦軸はログ値であるので、1メモリ当たり一般生菌数は10分の1となる。
実施例2 浅漬変敗菌数の測定
白菜を約3cm×3cm角に細断した後、浅漬変敗菌(Lactobacillus curvatus d-1株)を塗布した。得られた細断白菜を、0.4秒間かけて100℃の飽和水蒸気空間を落下させた。次いで、標準寒天培地の代わりにMRS寒天培地(BD社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、浅漬変敗菌の数を計測した。結果を図2に示す。
また、比較のために、上記細断白菜を100ppm次亜塩素酸ナトリウム水溶液(pH7.0)と水にそれぞれ1分間保持した後、上記と同様に浅漬変敗菌の数を計測した。無処理の細断白菜でも同様に浅漬変敗菌数を計測した。
図2のとおり、次亜塩素酸ナトリウム水溶液でも、浅漬変敗菌の数を低減可能である。しかし、僅かでも変敗菌が残留していると保存時に増殖するおそれがあるため、当該変敗菌はできるだけ低減しなければならない。本発明に従って加熱水蒸気で原料野菜を処理すれば、変敗菌の数をより一層低減できる。このように、本発明によれば変敗菌の数を減らすことにより浅漬の保存安定性を向上できることが実証された。
実施例3 乳酸菌数の測定
浅漬の変敗菌は、主に乳酸菌である。そこで、浅漬サンプルの乳酸菌数を調べた。具体的には、白菜を約3cm×3cm角に細断し、得られた細断白菜を、0.4秒間かけて100℃の飽和水蒸気空間を落下させた。次いで、実施例1と同様にして、乳酸菌数を計測した。結果を図3に示す。
また、比較のために、実施例1と同様に上記細断白菜を100ppm次亜塩素酸ナトリウム水溶液(pH7.0)と水で処理した後、上記と同様に乳酸菌数を計測した。さらに、上記と同様に細断白菜を次亜塩素酸ナトリウム水溶液と水で処理した後、飽和水蒸気で処理し、乳酸菌数を計測した。結果を図3に示す。
図3に示す結果のとおり、次亜塩素酸による処理でも乳酸菌を低減できるが、加熱水蒸気で処理することにより乳酸菌を検出限界未満にまで低減することが可能であることが明らかとなった。また、当然ではあるが、次亜塩素酸処理と加熱水蒸気処理とを組合わせた場合も、乳酸菌を検出限界未満にまで低減できた。
実施例4 浅漬サンプルにおける浅漬変敗菌数の測定
白菜を約3cm×3cm角に細断した後に、浅漬変敗菌(Lactobacillus curvatus d-1株)を塗布した。得られた細断白菜を実施例1と同様に次亜塩素酸ナトリウム水溶液と水で処理した後、0.4秒間かけて100℃の飽和水蒸気空間を落下させた。次いで、処理された白菜100gに10%食塩水45gを添加し、NaCl濃度が3%になるよう調整した浅漬とし、ポリエチレン袋に入れて10℃で保存し、経日的に菌数を8日間計測した。なお、菌数の計測は、コロニーの形態により浅漬変敗菌と他の乳酸菌とを区別し、浅漬変敗菌に対して行った。また、比較のために、上記と同様に上記細断白菜を100ppm次亜塩素酸ナトリウム水溶液(pH7.0)と水で処理した後、浅漬を調製して浅漬変敗菌数を計測した。無処理の細断白菜でも同様に浅漬変敗菌数を計測した。
図4のとおり、次亜塩素酸ナトリウム水溶液でも浅漬中の浅漬変敗菌数の初発菌数を低減可能である。しかし、僅かでも変敗菌が残留していると保存時に増殖するおそれがあるため、変敗菌はできるだけ低減しなければならない。本発明に従ってさらに加熱水蒸気で原料野菜を処理すれば、変敗菌の初発菌数をより一層低減できる。このように、本発明によれば変敗菌の数を減らすことにより浅漬の保存安定性を向上できることが実証された。
実施例5 浅漬サンプルの色調変化試験
白菜を約3cm×3cm角に切断した後、100℃の飽和水蒸気空間を0.4秒間かけて落下させた。次いで、ポリエチレン袋に処理後の白菜100gと10%食塩水45gを加え、炭酸ナトリウム水溶液にてpH8.0に調整して24時間保持した後、液切りして3%食塩水45gを添加し、酢酸にてpH5.0に調整して浅漬とし、10℃で保存した。
比較のために、炭酸ナトリウム水溶液による処理を行わない以外は上記と同様にして浅漬を調製した。また、白菜を約3cm×3cm角に切断した後、100ppm次亜塩素酸ナトリウム水溶液(pH7.0)に浸漬して1分間保持した後、上記と同様に浅漬を調製した。
上記で得られた3種の浅漬の色調変化を1日毎に観察し、以下の基準で評価した。結果を図5に示す。
5:調製直後の色調と同様
4:商品として十分に流通可能な程度の色調変化
3:商品としては限界レベルの色調変化
2:商品価値が無い程度の色調変化
1:全体的に変色
また、100℃水蒸気のみで処理した浅漬の7日間保存後の写真を図6(1)に、100℃水蒸気に加えてアルカリ水溶液で処理した浅漬の7日間保存後の写真を図6(2)に示す。
図5のとおり、100℃水蒸気のみで処理した浅漬は経時的に色調が変化していき、図6(1)のとおり、7日後には葉の緑色部分が明らかに変色し、黄色部分も変色し、白色部分にも薄褐色部分が見られた。上記実施例1〜3のとおり、加熱水蒸気を用いれば保存安定性を向上できるといえるが、変色が進んでしまえば商品価値が低下する。一方、100℃水蒸気に加えてアルカリ水溶液で処理した浅漬では、製造直後の鮮やかさは見られないものの、その変色度合いとしては商品として許容範囲のものであった。従って、加熱水蒸気による処理に続いてアルカリ水溶液で処理すれば、保存安定性が向上するのみならず、商品価値も維持できることが分かった。

Claims (6)

  1. 浅漬を製造するための方法であって、
    原料野菜を加熱水蒸気で処理する工程;および
    加熱水蒸気処理した原料野菜を調味液に浸漬する工程を含むことを特徴とする製造方法。
  2. 調味液へ浸漬する前に、さらに、原料野菜を次亜塩素酸で処理する工程を含む請求項1に記載の製造方法。
  3. 調味液に浸漬する前に、さらに、加熱水蒸気処理した原料野菜をアルカリ水溶液に浸漬する工程を含む請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 加熱水蒸気処理する前に、原料野菜を細断する工程を含む請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. アルカリ水溶液のpHを7.5以上、9.0以下とする請求項3に記載の製造方法。
  6. 加熱水蒸気の温度を95℃以上とする請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
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