JP2013061467A - 磁性キャリア - Google Patents

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Abstract

【課題】トナー特に負摩擦帯電性トナーに対して、長期間の使用を通じて常に高い摩擦帯電を安定して付与できる磁性キャリアを提供する。
【解決手段】磁性体コア粒子と該磁性体コア粒子の表面を被覆する樹脂被覆層とを有する磁性キャリアであって、該樹脂被覆層が少なくともアクリル樹脂を含有しており、該アクリル樹脂がユニット(1)、ユニット(2)及びユニット(3)の3つの部分から構成されており、ユニット(1)とユニット(3)は化学結合しており、3次元的に架橋されているため、アクリル樹脂は高い強度を有する。ユニット(2)は、4級アンモニウム塩構造を有しており、磁性キャリアの負摩擦帯電性トナーへの摩擦帯電付与向上に寄与する。
【選択図】図1

Description

本発明は電子写真法に用いられる現像剤に含有される磁性キャリアに関する。
電子写真法の現像工程においては、感光体に形成された静電荷像と現像剤に含まれるトナー粒子(トナー)との静電相互作用を利用して、トナー粒子を静電荷像上に移動させることにより現像が行われている。このような現像工程に用いられる現像剤として、磁性体を樹脂中に分散させて製造した磁性トナーを用いる一成分系現像剤と、非磁性トナーを磁性キャリアと混合して用いる二成分系現像剤とが挙げられる。特に、高画質を要求されるフルカラー複写機又はフルカラープリンターの如きフルカラー画像形成装置では、後者が好適に用いられている。
二成分系現像剤に用いられる磁性キャリアとしては、非磁性トナーに対する摩擦帯電量の安定性や、キャリア自体の耐久性の向上の観点から、フェライト粒子や磁性体分散型樹脂粒子の表面を樹脂で被覆した被覆キャリアが用いられている。これらの被覆キャリアとしては、トナーへの高摩擦帯電付与、摩擦帯電安定化を図るため、被覆樹脂中へ荷電制御剤や荷電制御樹脂を添加する方法が報告されている。例えば特許文献1には、磁性体コア粒子の表面に4級アンモニウム塩基を有する共重合体を含有する樹脂被覆層を備えたキャリアを用いることにより、トナーに対して優れた負摩擦帯電性を付与できることが開示されている。また特許文献2には、磁性体コア粒子の表面に架橋構造を有するアクリル樹脂を含有する樹脂被覆層を備えたキャリアを用いることにより、磁性キャリアの樹脂被覆層の摩耗を抑制できることが開示されている。
しかし、これらの二成分系現像剤は、樹脂被覆層の耐摩耗性とトナーに対する帯電付与能を充分に両立しているとはいえず、長期間の使用を通じての帯電付与能に関しては未だ改善が必要である。
特許03810005号公報 特開2010−072171号公報
本発明の課題は、トナー特に負摩擦帯電性トナーに対して、長期間の使用を通じて常に高い摩擦帯電を安定して付与できる磁性キャリアを提供することにある。
本発明は、磁性体コア粒子と該磁性体コア粒子の表面を被覆する樹脂被覆層とを有する磁性キャリアであって、該樹脂被覆層が少なくともアクリル樹脂を含有しており、該アクリル樹脂が下式(1)、(2)及び(3)で示されるユニットを有することを特徴とする磁性キャリアに関する。
Figure 2013061467
式(1)において、R1は、水素原子又はメチル基を示し、R2は、炭素数1乃至4のアルキレン基を示す。*は、式(3)中の**との結合部を示す。
Figure 2013061467
式(2)において、R3は、水素原子又はメチル基を示し、R4は、炭素数1乃至4のアルキレン基を示し、R5、R6及びR7は、各々独立して炭素数1乃至18のアルキル基を示し、A-は、アニオンを示す。
Figure 2013061467
式(3)において、R8は、水素原子またはメチル基を示し、R9は、炭素数1乃至4のアルキレン基を示す。**は、式(1)中の*との結合部を示す。
本発明の磁性キャリアは、トナーに対し常に高い摩擦帯電を安定して付与することができ、且つ耐摩耗性にも優れているため、高い耐久性を得ることができる。
本発明の磁性キャリアを使用した現像装置の一例を示す模式図である。
[磁性体コア粒子]
本発明の磁性キャリアは、磁性体コア粒子の表面に樹脂被覆層を有するものである。磁性体コア粒子としては、例えばフェライト粒子、マグネタイト粒子、磁性体分散型樹脂粒子を使用することができる。
フェライト粒子を構成するフェライトは酸化鉄を主成分とするセラミックスであり、強磁性を示すハードフェライトだけでなく、軟磁性を示すソフトフェライトを用いることもできる。フェライトとしては、更に、リチウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ルビジウム、ストロンチウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、チタンの如き元素を含んでいてもよい。これらのうち、銅、亜鉛、マンガン、カルシウム、リチウム又はマグネシウムから選ばれる一種又は二種以上の元素を含有していることが好ましい。具体的には以下のものを例示することができる。Ca−Mg−Fe系フェライト、Li−Fe系フェライト、Mn−Mg−Fe系フェライト、Ca−Be−Fe系フェライト、Mn−Mg−Sr−Fe系フェライト、Li−Mg−Fe系フェライト、Li−Rb−Fe系フェライト。
これらのフェライト粒子は、例えば以下の方法により調製することができる。所望の金属の酸化物、炭酸塩、硝酸塩を所望のフェライト組成となるように湿式あるいは乾式にて混合し、仮焼成後サブミクロンまで粉砕する。粉砕されたフェライトに、粒径を調整するための水を20質量%以上50質量%以下の範囲で加え、結着樹脂として、例えば、質量平均分子量500乃至10,000のポリビニルアルコールを0.1質量%以上10質量%以下の範囲で加えて、スラリーを調製する。このスラリーを、例えばスプレードライヤーを用いて造粒を行い、焼成して磁性体コア粒子を得ることができる。
また、マグネタイト粒子を構成するマグネタイトは磁鉄鉱(Fe34)であり、フェライト粒子と同様に、上記の元素を含んでいてもよい。マグネタイト粒子は特に、磁性体コア粒子として好ましい。
磁性体分散型樹脂粒子としては、マグネタイト粒子やフェライト粒子の如き磁性体粒子を含有し、これらを結着樹脂中に分散させた粒子を挙げることができる。マグネタイト粒子やフェライト粒子としては、上記と同様の材質のものを用いることができる。その個数平均粒子径は、磁性体分散型樹脂粒子が好ましい磁気特性を得られる点や磁性体粒子の分散均一性の点から、0.02μm〜2μmであることが好ましい。また、磁性体粒子はキャリア全体に対して50〜99質量%含有されていることが、所望の磁気特性や電気抵抗値を得られる点で好ましい。結着樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンの如きビニル系樹脂が好ましい。
磁性体分散型樹脂粒子の調製方法としては、結着樹脂と、磁性体粒子とを混合する方法(以降「混合法」という)、磁性体粒子の存在下で、単量体の重合を行い、樹脂の硬化と同時に磁性体粒子が分散された樹脂粒子を得る方法(以降「重合法」という)を挙げることができる。これらのうち、「重合法」が特に好ましい。
「混合法」としては、以下の手順による方法を例示することができる。ビニル系又は非ビニル系の熱可塑性樹脂、磁性体、及び、その他必要に応じて用いられる添加剤を、混合機により十分に混合する。得られた混合物を、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き混練機を用いて溶融・混練する。冷却された溶融・混練物を粉砕して、更に分級することにより、磁性体分散型樹脂粒子を得ることができる。得られた磁性体分散型樹脂粒子は、更に加熱又は機械的手段により球形化することもできる。
また、「重合法」に用いられる単量体としては、以下のものを挙げることができる。ビニル系モノマー、エポキシ樹脂を形成するビスフェノール類とエピクロルヒドリン;フェノール樹脂を形成するフェノール類とアルデヒド類;尿素樹脂を形成する尿素とアルデヒド類、メラミンとアルデヒド類。上記磁性体分散型樹脂粒子の結着樹脂としてフェノール樹脂を含む場合、単量体として用いるフェノール類及びアルデヒド類と磁性体粒子とを水性媒体に添加する。そして、水性媒体中あるいは塩基性触媒の存在下に縮合反応を進行させ、磁性体分散型樹脂粒子を得ることができる。
上記フェノール類としては、フェノール性水酸基を有する化合物であればよく、具体的には以下のものを挙げることができる。フェノール(ヒドロキシベンゼン)、m−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、o−プロピルフェノール、レゾルシノール、ビスフェノールA等のアルキルフェノール類。ベンゼン環の如き芳香環の水素又はアルキル基の水素の一部若しくは全部が、塩素原子や臭素原子で置換されたハロゲン化フェノール類。
上記フェノール類と縮合物を形成するアルデヒドとしては、ホルマリン又はパラアルデヒドのいずれかの形態のホルムアルデヒド、フルフラールを挙げることができ、これらのうちホルムアルデヒドが好ましい。フェノール類に対するアルデヒド類のモル比(アルデヒド類/フェノール類)は1以上4以下であることが好ましい。フェノール類に対するアルデヒド類のモル比が1以上であれば、縮合反応が効率よく進行し、フェノール樹脂粒子が生成され、生成する粒子の強度が低下するのを抑制することができる。一方、フェノール類に対するアルデヒド類のモル比が4以下であれば、反応後に未反応のアルデヒド類が残留するのを抑制することができる。これらの縮合反応は、塩基性触媒を用いて行うことができる。該塩基性触媒はレゾール型樹脂の製造に使用される触媒を使用することができ、例えば、アンモニア水、ヘキサメチレンテトラミン、ジメチルアミン、ジエチルトリアミン、ポリエチレンイミンの如きアルキルアミンを挙げることができる。これら塩基性触媒の使用量は、フェノール類に対してモル比で、0.02以上0.3以下であることが、反応を速やかに進行させるために好ましい。
これらの磁性体コア粒子の粒子径としては、体積分布基準50%粒径(D50)が15μm以上70μm以下であることが好ましく、より好ましくは25μm以上50μm以下である。磁性体コア粒子の粒子径がこの範囲であれば、現像剤中でトナーに対する摩擦帯電付与を促進することができ、得られる画像の高画質化を図ることができる。磁性体コア粒子を上記範囲の粒径に調整する方法としては、例えば、篩による分級を挙げることができ、精度の向上を図るため、適当な目開きの篩を用いて複数回反復し分級することが好ましい。また、篩のメッシュの開口の形状をメッキによって制御して使用することも有効である。
ここで、粒子の体積分布基準50%粒径(D50)は、以下の測定方法による測定値を採用することができる。レーザー回折・散乱方式の粒度分布測定装置「マイクロトラックMT3300EX」(商品名、日機装社製)に、乾式測定用の試料供給機「ワンショットドライ型サンプルコンディショナーTurbotrac」(商品名、日機装社製)を装着して行う。Turbotracの供給条件として、真空源として集塵機を用い、風量33リットル/秒、圧力17kPaとし、制御及び解析は、付属ソフト(バージョン10.3.3−202D)を用いて自動的に行い、体積分布基準の累積値50%粒径(D50)を求める。
[樹脂被覆層]
上記磁性体コア粒子の表面を被覆する樹脂被覆層を形成する樹脂は、下記の式(1)で示されるユニット(以降「ユニット(1)」ともいう)、式(2)に示されるユニット(以降「ユニット(2)」ともいう)、及び式(3)に示されるユニット(以降「ユニット(3)」ともいう)を有するアクリル樹脂である。
Figure 2013061467
式(1)において、R1は、水素原子又はメチル基を示し、R2は、炭素数1乃至4のアルキレン基を示す。*は、式(3)中の**との結合部を示す。
Figure 2013061467
式(2)において、R3は、水素原子又はメチル基を示し、R4は、炭素数1乃至4のアルキレン基を示し、R5、R6及びR7は、各々独立して炭素数1乃至18のアルキル基を示し、R4は、炭素数1乃至4のアルキレン基を示し、A-は、アニオンを示す。
Figure 2013061467
式(3)において、R8は、水素原子またはメチル基を示し、R9は、炭素数1乃至4のアルキレン基を示す。**は、式(1)中の*との結合部を示す。
ユニット(1)とユニット(3)とは化学結合しており、3次元的に架橋されているため、本発明に係るアクリル樹脂は高い強度を有する。これにより、本発明に係る磁性キャリアの樹脂被覆層が高い耐摩耗性を示す。式(1)中のR1と式(3)中のR8、及び、式(1)中のR2と式(3)中のR9は、それぞれ同じ構造であることが好ましい。それぞれを同じ構造とすることで、ユニット(1)とユニット(3)を同一のモノマーから製造することが可能となる。
ユニット(2)は、磁性キャリアの、負摩擦帯電性トナーへの摩擦帯電付与向上に寄与する。式(2)中のR5、R6及びR7が炭素数18以下のアルキル基であれば、磁性体コア粒子に対する樹脂被覆層の密着性が向上し、長期使用に伴う磁性キャリアの樹脂被覆層の摩耗や剥がれによる劣化を抑えられ、長期使用におけるトナーの摩擦帯電量の変化を抑制することができる。式(2)中のR5、R6およびR7から選ばれる1つ以上のアルキル基を炭素数8乃至18の長鎖アルキル基とすることは、磁性キャリアの負摩擦帯電性トナーへの摩擦帯電付与をより高めることができ、好ましい。式(2)中のA-は、ハロゲン類、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸の如き無機酸類、カルボン酸、スルホン酸の如き有機酸類におけるアニオンである。A-は、負摩擦帯電性トナーへの摩擦帯電付与をさらに向上させるため、メチルスルホン酸イオン又はパラトルエンスルホン酸イオンであることがより好ましい。
上記アクリル樹脂中の各ユニットの組成比率は、アクリル樹脂中のユニット(1)とユニット(3)の合計モル数をa、ユニット(2)のモル数をbとする時、b/(a+b)(以降「ユニット比(b)」という)が0.2以上0.8以下であることが好ましい。ユニット比(b)が0.2以上であれば、アクリル樹脂のトナーへの摩擦帯電付与能を向上させることができ、ユニット比(b)が0.8以下であれば、アクリル樹脂の架橋点が増加し、耐摩耗性を向上させやすくなる。
[重合反応]
本発明で使用可能なアクリル樹脂は、ヒドロキシル基変性アクリル系モノマーと第4級アンモニウム塩基を有するアクリル系モノマーのラジカル重合反応〔A〕及び水酸基同士の脱水重縮合反応〔B〕により製造することが出来る。ヒドロキシル基変性アクリル系モノマーとしては、下記式(5)に示すモノマー(以降「モノマー(5)」ともいう)が挙げられる。
Figure 2013061467
式(5)中、R12は、水素原子又はメチル基を示し、R13は、炭素数1乃至4のアルキレン基を示す。式(5)の中でも、N−メチロールアクリルアミド、N−エチロールアクリルアミドが反応を制御しやすい点で好ましい。
第4級アンモニウム塩基を有するアクリル系モノマーとしては、下記式(6)に示すモノマー(以降「モノマー(6)」ともいう)が挙げられる。
Figure 2013061467
式(6)中、R14は、水素原子又はメチル基を示し、R15は、炭素数1乃至4のアルキレン基を示し、R16、R17及びR18は、各々独立して炭素数1乃至18のアルキル基を示し、A-は、アニオンを示す。式(6)中のR16、R17及びR18のアルキル基が炭素数18以下のアルキル基であれば、磁性体コア粒子への樹脂被覆層の密着性が向上し、長期使用に伴う磁性キャリアの樹脂被覆層の摩耗や剥がれによる劣化を抑えられ、長期使用におけるトナーの摩擦帯電量変化を抑制することができる。式(6)中のR16、R17およびR18のうちの少なくとも一つのアルキル基が炭素数8乃至18の長鎖アルキル基を有するモノマーである場合は、樹脂層が負摩擦帯電性トナーへの摩擦帯電付与をより高めることができるため、より好ましい。モノマー(5)及びモノマー(6)を用いて製造することで、本発明のアクリル樹脂を容易に得ることができる。
ラジカル重合反応〔A〕及び水酸基同士の脱水重縮合反応〔B〕は、同時に行っても構わないが、ラジカル重合反応〔A〕の後に、水酸基同士の脱水重縮合反応〔B〕を行うことが、残留モノマーの量を低減できるため好ましい。
ラジカル重合反応〔A〕としては、塊状重合、懸濁重合、乳化重合の如き公知の重合方法を用いることできるが、中でも反応を容易に制御できる点から溶液重合法が好ましい。溶液重合法で使用する溶媒としては、アクリル樹脂が均一に溶解するものであれば構わないが、メタノール、エタノール、n−ブタノール、イソプロピルアルコールの如き低級アルコールが好ましい。低級アルコールとすることで、樹脂溶液とした時に低粘度となり、樹脂被覆層の成膜性が良好となりやすい。また、必要に応じて他の溶媒を混合して使用しても構わない。溶液重合法で使用する溶媒とモノマー成分の比は、モノマー成分100質量部に対して、溶媒25質量部以上400質量部以下で行うことが樹脂溶液の粘度を適切な範囲に制御する点で好ましい。モノマー混合物の重合は、例えば、モノマー混合物を重合開始剤の存在下で不活性ガス雰囲気下、温度50℃以上100℃以下に加熱することにより行うことができる。
重合開始剤としては以下のものが挙げられる。t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミルパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)。重合開始剤は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
通常は重合開始剤をモノマー溶液に添加して重合を開始するが、未反応モノマーを低減するために重合開始剤の一部を重合反応の途中で添加しても良い。また、紫外線や電子線の照射によって重合を促進させる方法も使用することが可能であり、これらの手法を組み合わせても構わない。重合開始剤の使用量は、モノマー成分100質量部に対し0.05質量部以上30質量部以下、特には、0.1質量部以上15質量部以下である。重合開始剤の使用量をこの範囲にすることで、残留モノマーの量を低減でき、アクリル樹脂の分子量を制御することが容易である。重合反応の温度としては、使用する溶媒、重合開始剤、モノマー成分の組成に応じて設定することができるが、温度40℃以上150℃以下で行うことが安定して重合反応を進める点で好ましい。
また、モノマー(6)は、下記式(7)で表されるモノマー(以降「モノマー(7)」ともいう)を4級化剤により4級化させて生成したものを用いることができる。
Figure 2013061467
式(7)中、R14は、水素原子、またはメチル基を示し、R15は、炭素数1乃至4のアルキレン基を示し、R16及びR17は、炭素数1乃至18のアルキル基を示す。
4級化剤の具体例を以下に挙げる。ブチルブロマイド、2エチルヘキシルブロマイド、オクチルブロマイド、ラウリルブロマイド、ステアリルブロマイド、ブチルクロライド、2−エチルヘキシルクロライド、オクチルクロライド、ラウリルクロライド。4級化剤の使用量は、モノマー(7)1モルに対して、0.8モル以上1.0モル以下が好ましい。かかるモノマーの4級化は、例えば、モノマーと4級化剤とを、溶媒中で温度60℃以上90℃以下に加熱することにより行うことができる。
また、上記モノマー(5)とモノマー(7)を共重合させた後に、さらに前記の4級化剤で4級化させることによって、所望の4級アンモニウム塩基含有アクリル共重合体を得ることも可能である。その他に、例えば、モノマー(7)をメチルクロライドの如きアルキルハライドで4級化を行った後、モノマー(5)と共重合させることも可能である。得られた第4級アンモニウム塩基含有アクリル共重合体を、p−トルエンスルホン酸、ヒドロキシナフタレンスルホン酸の如き酸で処理して対イオン交換を行い、目的のアニオン種とした第4級アンモニウム塩基含有アクリル共重合体とすることも可能である。
水酸基同士の脱水重縮合反応〔B〕としては、前記溶液重合法でラジカル重合反応させたアクリル樹脂溶液を温度100℃以上160℃以下で加熱することで、溶媒の揮発と同時に反応を行うことができる。尚、水酸基同士の脱水重縮合反応〔B〕が進みすぎるとアクリル樹脂が架橋し、磁性体コア粒子の表面を被覆し難くなるため、磁性体コア粒子の表面を被覆した後、加熱することが好ましい。
[フェノール樹脂、メラミン樹脂]
樹脂被覆層は、樹脂被覆層の耐摩耗性を向上させるために、上記アクリル樹脂の帯電付与性を損なわない程度にフェノール樹脂又はメラミン樹脂を含有しても良い。尚、前記アクリル樹脂は、下記式(4)で示されるユニット(以降「ユニット(4)」ともいう)を有し、***の位置で前記フェノール樹脂又は前記メラミン樹脂と結合していることが好ましい。
Figure 2013061467
式(4)中、R10は、水素原子又はメチル基を示し、R11は、炭素数1乃至4のアルキレン基を示す。樹脂被覆層の原料が前記アクリル樹脂に加えてフェノール樹脂又はメラミン樹脂を有することで、フェノール樹脂又はメラミン樹脂中に含まれているメチロール基とヒドロキシル基変性アクリルモノマーが脱水重縮合反応を起こす。その結果、前記アクリル樹脂は樹脂中にユニット(4)を有し、アクリル樹脂の架橋構造が緻密で、より強靭となる。アクリル樹脂の架橋構造が緻密で、より強靭となることで、トナーへの摩擦帯電付与性も損なわれず、樹脂被覆層の耐摩耗性がより向上しやすくなる。その結果、樹脂被覆層の摩耗や剥がれが発生しにくく長期間の使用中において樹脂被覆層のトナーに対する帯電付与能の変化を抑制しやすくなり、常に高い帯電付与を可能にする。
本発明のアクリル樹脂にフェノール樹脂又はメラミン樹脂の如き熱硬化性樹脂を併用する場合は、まず、ヒドロキシル基変性アクリル系モノマーと第4級アンモニウム塩基を有するアクリル系モノマーのラジカル重合反応〔A〕を行う。その後、水酸基同士の脱水重縮合反応〔B〕及び〔C〕を行うことにより製造することが出来る。尚、水酸基同士の脱水重縮合反応〔B〕は、ヒドロキシル基変性アクリル系モノマー(5)の水酸基同士の反応を示す。また、水酸基同士の脱水重縮合反応〔C〕は、レゾール型フェノール樹脂又はメラミン樹脂のメチロール基とヒドロキシル基変性アクリル系モノマー(5)の水酸基との反応を示す。
[添加剤]
磁性体コア粒子の表面を被覆する樹脂層中には、上記アクリル系樹脂の他、必要に応じて電気抵抗値を調整する導電剤や、各種添加剤を、上記アクリル樹脂の機能を阻害しない範囲において含有させてもよい。導電剤としては、例えば、以下のものを用いることができる。アルミニウム、銅、ニッケル、銀の如き金属微粒子;酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化モリブデン、チタン酸カリウムの如き導電性金属酸化物粉末;結晶性グラファイト、各種カーボンファイバー、導電性カーボンブラック。
[樹脂被覆層の形成方法]
磁性体コア粒子の表面を樹脂被覆層で被覆する方法としては、上記アクリル樹脂を含む樹脂被覆層を形成するための樹脂を溶剤中に溶解又は懸濁させて調製した塗布液を磁性体コア粒子表面に付着する方法、磁性体コア粒子と粉体状の被覆形成用樹脂とを混合する方法を適用することができる。被覆形成用樹脂の使用量は、均一な樹脂被覆層を形成するために磁性体コア粒子100質量部に対し0.3質量部以上5.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上3.0質量部以下である。
[摩擦帯電量]
上記磁性キャリアがトナーに付与する摩擦帯電量の絶対値としては、トナーによって異なるが、例えば、30mC/kg以上45mC/kg以下を挙げることができる。摩擦帯電量は、具体的には、以下の方法により求められる値を採用することができる。トナーの摩擦帯電量の測定装置として、吸引分離式帯電量測定器「セパソフトSTC−1−C1型」(商品名、三協パイオテク製)を用いる。サンプルフォルダー(ファラデーゲージ)の底に目開き20μmのメッシュ(金網)を設置し、その上に、試料(現像剤)0.1gを入れフタをする。このときのサンプルフォルダー全体の質量をW1(kg)とする。次にサンプルフォルダーを本体に設置し風量調節弁を調整して吸引圧力を2kPaとする。この状態で2分間吸引しトナーを吸引除去する。このときの電荷Q(mC)を測定する。また、吸引後のサンプルフォルダー全体の質量をW2(kg)とする。試料の帯電量(mC/kg)を以下の数式(1)から算出する。電荷Qは、極性キャリアの電荷であり、トナーの電荷は、その逆極性となる。測定は、常温常湿環境下(温度23℃、相対湿度60%)で行い、試料の現像剤は、現像装置の現像剤担持体上からサンプリングすることができる。
Figure 2013061467
また、上記磁性キャリアの磁気特性としては、キャリアの耐久性や搬送性の点から、1000/4π(kA/m)での磁化の強さが、好ましくは20〜100Am2/kg、より好ましくは30〜65Am2/kgであることが好ましい。キャリアの磁気特性の測定は、振動磁場型磁気特性自動記録装置「BHV−35」(商品名、理研電子(株)製)を用いて行なわれる。測定条件としては、キャリア粉体の磁気特性1000/4π(kA/m)の外部磁場を作り、そのときの磁化の強さを求める。キャリアを、円筒状のプラスチック容器中にキャリア粒子が動かないように十分密になるようにパッキングした状態に作製し、この状態で磁化モーメントを測定し、試料を入れたときの実際の質量を測定して、磁化の強さ(Am2/kg)を求める。
[トナー]
本発明の磁性キャリアは、トナーと混合することで二成分系現像剤として使用される。この二成分系現像剤に用いるトナーは、着色剤、荷電制御剤、及び、これらを結着するための結着樹脂を含有する。上記結着樹脂としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂を用いることができ、これらは一種、又は二種以上を組み合わせて用いることも可能である。これらのうち、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。上記荷電制御剤としては、例えば、有機金属錯体、金属塩、キレート化合物で、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、ヒドロキシカルボン酸金属錯体、ポリカルボン酸金属錯体、ポリオール金属錯体が挙げられる。その他には、カルボン酸の金属塩、カルボン酸無水物、エステル類の如きカルボン酸誘導体や芳香族系化合物の縮合体も挙げられる。上記着色剤としては、顔料、染料を単独で、又は組み合わせて用いることができる。
更に、トナーは離型剤を含有していてもよい。離型剤として、例えば以下のものを用いることができる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体;マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、これらのブロック共重合物;カルナバワックス、ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したもの。
その他、トナーには、環境安定性、帯電安定性、現像性、流動性、保存性向上、クリーニング性向上のために、シリカ、酸化チタン、アルミナの如き無機微粉体を外添すること、すなわちトナー表面近傍に存在させていることが好ましい。
トナーの粒子径は、質量平均粒子径(D4)が3μm以上11μm以下であることが本発明の磁性キャリアの帯電付与能の向上効果を得るために好ましい。質量平均粒子径(D4)が3μm以上であれば、トナーの流動性が向上しやすく、摩擦帯電量のばらつきが抑制される。また、質量平均粒子径(D4)が11μm以下であれば、トナーに適切な摩擦帯電を付与することができる。
トナーの質量平均粒子径(D4)は以下の方法により得られる値を採用することができる。測定装置としては、「コールターマルチサイザーIII」(商品名、べックマン・コールター社製)を用い、電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて調製した1%NaCl水溶液を用いる。測定方法としては、電解水溶液100ml中に分散剤として、アルキルベンゼンスルホン酸塩を0.5ml加え、更に測定試料を10mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で1分間分散処理を行い、測定装置により、アパーチャーとして30μmアパーチャーを用いて、測定試料の体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを得る。各チャンネルの中央値をチャンネル毎の質量値として、体積分布から質量基準の質量平均粒径(D4)を求める。
また、トナーは球状であることが好ましく、具体的には、平均円形度が0.930以上であることが好ましい。トナーの平均円形度が0.930以上であれば、トナーの流動性が向上し、摩擦帯電量のばらつきが抑制される。トナーの粒子の平均円形度は以下の方法により得られた値を採用することができる。フロー式粒子像分析装置「FPIA−1000」(商品名、東亞医用電子製)を用いて測定を行う。界面活性剤を0.1mg溶解している水10ml中に、分散液濃度が5000個/μl〜2万個/μlとなるように、試料を、例えば、5mg分散させて分散液を調製する。分散液に超音波(20kHz、50W)を5分間照射した後、この分散液を、上記装置のフラットで扁平なフローセル(厚み200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させる。試料の通過方向に対して垂直な方向に光路が形成されるCCDカメラ等の投受光装置により、粒子の2次元画像を得て、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。それぞれの粒子における2次元画像の投影面積及び投影像の周囲長から、以下の数式(2)により円形度(Ci)を求め、3μm未満の円形度を除き、3μm以上の円形度の粒子の算術平均として平均円形度(C)を得る。
Figure 2013061467
平均円形度は粒子の凹凸度合いの指標であり、粒子が完全な球形の場合1.000を示し、粒子の表面形状が複雑になるほど平均円形度は小さな値となる。円形度3μm未満の粒子を平均円形度を求める粒子から除く理由は、トナー粒子とは独立して存在する外添剤粒子が混在するため、外添剤粒子を除き、トナー粒子の円形度を精度よく求めるためである。
上記トナーの製造には、上記成分を混練・粉砕する方法や溶媒に溶解懸濁する方法、結着樹脂を構成するモノマーを、他の成分の存在下で、懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法、界面重合法の如き方法により重合する方法を用いることができる。特に、所望の摩擦帯電量が付与され、且つ上記範囲の円形度を有するものとするためには、混練・粉砕法により得られたトナーを用いて特定の処理装置で表面改質を行い、円形度を調整する方法が好ましい。
二成分系現像剤において、トナーと磁性キャリアの混合比率は磁性キャリア100質量部に対して、トナーを2質量部以上35質量部以下とすることが好ましく、4質量部以上25質量部以下がより好ましく、更に5質量部以上20質量部以下が好ましい。トナーの混合比率が2質量部以上であれば、トナーの過剰帯電を抑制することができ、35質量部以下であれば、トナーの摩擦帯電量の不足を抑制することができる。
[現像装置]
上記磁性キャリアを含む二成分系現像剤を用いた現像装置の一例を図1に示す。この現像装置には、主として、現像容器5、静電潜像保持体である感光体ドラム4に現像剤を搬送するための現像剤担持体である非磁性の現像スリーブ1、現像スリーブ上に一定厚の現像剤層を形成するための現像剤層厚規制部材であるブレード3が備えられる。現像容器は、トナー7を収納するトナー室12と、トナー室の下方に配置される攪拌室9と、上方の2箇所に開口を有する隔壁13によって該攪拌室と分離される現像室11とが備えられる。攪拌室には現像剤を、攪拌しつつ隔壁に設けられる開口から現像室へ供給するために第1現像剤攪拌・搬送部材14が設けられる。現像室には、現像剤を攪拌、搬送するために相互に逆回転する第2現像剤攪拌・搬送部材15と、第3現像剤攪拌・搬送部材16とが設けられる。更に、現像室の開口部に感光体ドラムに対向して設けられる現像スリーブは、略頂部の位置から矢印Aの方向に順にS1、N1、S2、N2、N3に着磁されている不動の磁性ローラ2に軸支される。
このような現像装置において、現像室内の二成分現像剤は、現像室の一端で上端開放の隔壁に設けられる一方の開口を通って撹拌室に送られると、トナー室から撹拌室内に供給されたトナーが補給され、第1現像剤攪拌・搬送部材の回転により混合されながら、撹拌室の他端に搬送される。撹拌室の他端に搬送された現像剤は、隔壁に設けられる他方の開口を通って現像室に戻される。そして、第2現像剤撹拌・搬送部材と、第3現像剤攪拌・搬送部材の回転により現像スリーブへ供給された現像剤は、磁性ローラの磁力の作用により磁気的に拘束され現像スリーブの回転に伴い、ブレードにより現像スリーブ上に一定厚を有する現像膜に形成される。更に現像スリーブの回転に伴い、現像剤は感光体ドラムが対向配置される現像部Cに搬送され、感光体ドラムの静電潜像上に移動し、静電潜像の現像が行われる。現像に消費されず現像スリーブ上に残余の現像剤は、現像スリーブの回転により現像室側に搬送され、現像室内の磁性ローラの同極の磁力N2、N3の反発磁界により現像スリーブ上から剥ぎ取られ、除去されるようになっている。また、磁極N2により現像剤が磁力線に沿って穂立ちしたときのトナー飛散を抑制するために、現像室の下部には弾性シール部材6が固定、設置されている。
以下、実施例により、本発明をより詳細に説明する。先ず、実施例で使用される、アクリル樹脂溶液の製造例1〜23及び樹脂被覆層に用いるアクリル樹脂以外のその他樹脂を以下に記載する。
[製造例1]アクリル樹脂溶液B−1の製造
撹拌機、冷却器、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを付した4つ口セパラブルフラスコ内で、以下の材料を混合し、系が均一になるまで攪拌した。
・ジメチルアミノエチルメタクリレート(3級アミノ基含有モノマー):33.2質量部、
・ラウリルブロマイド(4級化剤):52.6質量部、
・イソプロピルアルコール:50質量部。
上記材料を撹拌しながら、温度70℃まで昇温した後、5時間攪拌して3級アミノ基含有モノマーの4級化を行い、4級アンモニウム塩基含有アクリル系モノマーである、(2−メタクリロイロキシエチル)ラウリルジメチルアンモニウムブロマイドを得た。得られた反応溶液を冷却した後、共重合性成分として、N−メチロールアクリルアミド14.2質量部を反応系内に仕込み、系が均一になるまで撹拌した。次いで、撹拌を続けながら、反応系内の温度が70℃になるまで昇温した。そこに、重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.0質量部をイソプロピルアルコール50質量部に溶解した重合開始剤溶液を、滴下ロートから1時間かけて添加した。滴下終了後、窒素導入下還流状態で更に5時間反応させ、さらにAIBNを0.2質量部添加した後、1時間反応させて、重合反応を終了させた。この溶液に、p―トルエンスルホン酸を0.1質量部添加し、更にイソプロピルアルコールで希釈して固形分40%のアクリル樹脂溶液B−1を得た。
このアクリル樹脂溶液を温度150℃で30分間加熱乾燥してアクリル樹脂を得た。分析を行った結果、アクリル樹脂は、式(10)のユニット、式(11)のユニット及び式(12)のユニットの共重合体であった。尚、アクリル樹脂の分析において、m/z=184のMSスペクトルのピークより、式(10)中の*と式(12)中の**とが結合していることを確認した。
Figure 2013061467
Figure 2013061467
Figure 2013061467
[製造例2〜23]アクリル樹脂溶液B−2〜B−19、b−20〜b−23の製造
共重合性成分を表1に示す成分としたこと以外は、製造例1と同様にして、アクリル樹脂溶液B−2〜B−19、b−20〜b−23を得た。なお、B−4、B−16、B−18については、重合反応終了後、イオン交換樹脂によりアニオンを臭素イオンからp−トルエンスルホン酸イオン、またはメタンスルホン酸イオンに交換した。製造例1と同様にして得られたアクリル樹脂の構造を表2に示す。尚、表2中のb−20〜b−23は、ユニット(1)、ユニット(3)及びユニット(2)のいずれか又は全てを有しない樹脂溶液である。
[その他樹脂]
磁性キャリアの樹脂被覆層に用いるアクリル樹脂以外のその他樹脂として表3に示すものを使用した。
Figure 2013061467
Figure 2013061467
Figure 2013061467
[実施例A]キャリアの調製
(実施例A−1)磁性キャリア1の調製
水媒体中にフェノールとホルムアルデヒドとを同質量部混合分散した。その後、モノマー100質量部に対して、チタンカップリング剤で表面処理した0.25μmのマグネタイト粒子600質量部、0.6μmのヘマタイト粒子400質量部を均一に分散させた。そして、アンモニアを適宜添加しつつモノマーを重合させ、磁性体コア粒子A(体積平均粒径38μm、磁化の強さ42Am2/kg)を得た。次に、アクリル系樹脂液B−1をイソプロピルアルコールにて固形分10%に調整した。この液を塗布機(スピラコーター:岡田精工社製)により、磁性体コア粒子A100質量部に対して、被覆樹脂量が1.0質量部となるようにコーター内温度40℃で塗布し乾燥した。得られたキャリアを150℃で40分乾燥した後、解砕し、更に目開き76μmの篩で粗粒を除去して「磁性キャリア1」を得た。
(実施例A−2〜A−19)磁性キャリア2〜19の調製
アクリル系樹脂溶液B−1に替えて、それぞれ、アクリル系樹脂溶液B−2〜B−19を用い、実施例1と同様にしてこれらの各樹脂溶液を磁性体コアAに塗布して、磁性キャリア2〜19を得た。
(実施例A−20)磁性キャリア20の調製
樹脂溶液の組成を以下に示す割合とし、イソプロピルアルコールにて固形分10%に調整した。それ以外は実施例1と同様にして、樹脂溶液を磁性体コア粒子Aに塗布して、磁性キャリア20を得た。
・アクリル系樹脂溶液B−1:固形分50質量部、
・フェノール樹脂:固形分50質量部。
(実施例A−21〜23)磁性キャリア21〜23の調製
樹脂溶液の組成を表4に示す値に変更したこと以外は、磁性キャリア20の場合と同様にして磁性キャリア21〜23を得た。
(比較例A−1〜A−4)磁性キャリア24〜27の調製
アクリル系樹脂溶液B−1に替えて、それぞれ、アクリル系樹脂溶液b−20〜b−23を用い、実施例1と同様にしてこれらの各樹脂溶液を磁性体コアAに塗布して、磁性キャリア24〜27を得た。
(比較例A−5)磁性キャリア28の調製
樹脂溶液の組成を表4に示す値に変更したこと以外は磁性キャリア20の場合と同様にして磁性キャリア28を得た。
Figure 2013061467
[実施例B]現像剤の調製および評価
(実施例B−1)現像剤1
(1)トナーの調製
イオン交換水710質量部に、0.12mol/1−Na3PO4溶液450質量部を投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(商品名、特殊機化工業製)を用いて、11000rpmにて撹拌した。これに1.2mol/1−CaCl2水溶液70質量部を徐々に添加し、Ca3(PO42を含む水系媒体を得た。
一方、下記の表5に示す材料を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(商品名、特殊機化工業製)を用いて、10000rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
Figure 2013061467
次いで、前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、温度60℃で窒素雰囲気下において、TK式ホモミキサー(商品名、特殊機化工業製)にて11000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、温度80℃に昇温し、10時間反応させた。重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、塩酸を加えてCa3(PO42等を溶解した後、ろ過、水洗、乾燥をして、質量平均粒径7.1μm、平均円形度0.985の「シアン粒子1」を得た。
Figure 2013061467
更に、上記シアン粒子1を含む表6に示す材料をヘンシェルミキサーFM−75型(商品名、三井三池化工機(株)製)で混合して、質量平均粒径7.0μm、平均円形度0.985の「シアントナーT−1」を得た。
(2)現像剤の調製
92質量部の磁性キャリア1に対して、シアントナーT−1を8質量部加え、ターブラーミキサーにより2分間混合して「現像剤1」を調製し、これを用いて以下のように画像を形成し評価を行った。
(3)評価
デジタル複合機「iRC4580」(商品名、キヤノン(株)製)からシアンの現像器を取り外し、現像剤担持体に磁性ローラ及びフランジを装着して該シアン現像器に組み込み、現像剤1を充填した。なお、現像剤担持体上の現像剤の規制力が大きくなるように該現像器を以下のように改造した。すなわち、磁性ローラについては、希土類系の強磁性材料を用い、N1極の現像スリーブ表面の磁束密度が1200ガウスとなるように変更した。また現像剤層厚規制部材を、ドラム側を削ったナイフエッジ型の強磁性ブレードに変更し、現像スリーブとの間隙を250μmで配設した。
この現像器を、上記デジタル複合機のシアンの現像器の位置に設置し、シアン単色で電子写真画像を10万枚出力した。電子写真画像としては、A4サイズの紙上に、サイズが4ポイントのアルファベット「E」の文字が、印字濃度が5%となるように形成されるものとした。
ここで、現像条件としては、感光体ドラム上の画像領域である暗部電位(Vd)を400V、非画像領域である明部電位(Vl)を120Vに設定した。現像スリーブには現像バイアスとして250Vの直流バイアスと、Vp−p(ピークトゥピークの電圧)1.8kV、周波数2.7kHzの矩形波からなる交流バイアスを重畳したものを用いて現像を行った。また、当該電子写真画像は、高温高湿(温度32.5℃、相対湿度80%、以降、「H/H」という)環境下で出力した、耐久試験前後の現像剤の摩擦帯電量を評価した。
[現像剤の摩擦帯電量]
上記電子写真画像の1枚目の出力途中において画像形成プロセスを停止させ、現像剤担持体の表面から現像剤を、金属円筒管と円筒フィルターにより吸引捕集した。その際、金属円筒管を通じてコンデンサーに蓄えられた電荷量Q、捕集された現像剤質量Mを測定した。これらの値から、単位質量当たりの電荷量Q/M(mC/kg)を算出して、現像剤の摩擦帯電量とした。これを初期の摩擦帯電量A(mC/kg)とする。
また、上記電子写真画像の10万枚目の出力途中において画像形成プロセスを停止させ、現像剤担持体の表面から現像剤を、金属円筒管と円筒フィルターにより吸引捕集し、上記と同様にして摩擦帯電量を求めた。これを耐久後の摩擦帯電量B(mC/kg)とする。電子写真画像を10万枚連続して出力した後の帯電量変化率を以下の数式(3)によって算出した。結果を表7に示す。
Figure 2013061467
(実施例B−2〜B−23)及び(比較例B1〜B5)
磁性キャリア1に替えて磁性キャリア2〜28を用いたこと以外は実施例B−1と同様にして実施例に係る現像剤2〜23および比較例に係る現像剤24〜28を調製した。そして各現像剤を実施例B−1(3)に記載の評価方法により、耐久試験前後の現像剤の摩擦帯電量について評価を行った。結果を表7に示す。
Figure 2013061467
表7に示すように、実施例B−1から実施例B−23に係る現像剤においては、用いた磁性キャリア1〜磁性キャリア23の耐久初期でのトナーへの帯電付与能が高く、また耐久使用(10万枚連続複写)による樹脂被覆層の耐摩耗性が良好であるため、耐久後(10万枚連続複写後)においても高い帯電付与能の値を示している。
比較例B−2に係る現像剤に用いた、アクリル樹脂中にユニット(1)及びユニット(3)を含有していない磁性キャリア25は、耐久初期においては高い帯電付与能の値を示しているが、耐久使用による樹脂被覆層の摩耗のため、耐久後の帯電付与能が低い。
比較例B−3及びB−4に係る現像剤に用いた、アクリル樹脂中にユニット(2)を含有していない磁性キャリア26および磁性キャリア27は、耐久初期及び耐久後ともに帯電付与能が低い。
比較例B−1に係る現像剤に用いた磁性キャリア24は、ユニット(2)中のR7の炭素数が22と大きく、樹脂被覆層と磁性体コア粒子との密着性が低いため、耐久使用により樹脂被覆層の剥がれが発生し耐久後の帯電付与能が低い。
また、比較例B−5の現像剤に用いた、樹脂被覆層の材質がフェノール樹脂である磁性キャリア28は、耐久初期及び耐久後ともに帯電付与能が低い。
1 現像スリーブ
2 磁性ローラ
3 ブレード
4 感光体ドラム
5 現像容器
6 弾性シール部材
7 トナー
8 現像剤
9 撹拌室
10 磁性キャリア
11 現像室
12 トナー室
13 隔壁
14 第1現像剤攪拌・搬送部材
15 第2現像剤攪拌・搬送部材
16 第3現像剤攪拌・搬送部材
A 現像剤担持体回転方向
B 感光体ドラム回転方向
C 現像部

Claims (2)

  1. 磁性体コア粒子と該磁性体コア粒子の表面を被覆する樹脂被覆層とを有する磁性キャリアであって、該樹脂被覆層が少なくともアクリル樹脂を含有しており、該アクリル樹脂が下式(1)、(2)及び(3)で示されるユニットを有することを特徴とする磁性キャリア:
    Figure 2013061467
    [式(1)において、R1は、水素原子又はメチル基を示し、R2は、炭素数1乃至4のアルキレン基を示す。*は、式(3)中の**との結合部を示す。]、
    Figure 2013061467
    [式(2)において、R3は、水素原子又はメチル基を示し、R4は、炭素数1乃至4のアルキレン基を示し、R5、R6及びR7は、各々独立して炭素数1乃至18のアルキル基を示し、A-は、アニオンを示す。]、
    Figure 2013061467
    [式(3)において、R8は、水素原子またはメチル基を示し、R9は、炭素数1乃至4のアルキレン基を示す。**は、式(1)中の*との結合部を示す。]。
  2. 前記式(2)で示されるユニットのR5、R6及びR7のうちの少なくとも一つが、炭素数8乃至18のアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の磁性キャリア。
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