以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、以下の(a)、(b)、(c)又は(d)のペプチドに関する。
(a)配列番号1若しくは2で示されるアミノ酸配列を含むペプチド、
(b)配列番号1若しくは2で示されるアミノ酸配列において、C末端のチロシン残基、C末端から5番目のアルギニン残基及びC末端から6番目のグルタミン酸残基以外のアミノ酸残基において、1〜数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、チロシナーゼ阻害活性を有するペプチド、
(c)配列番号7、8若しくは9で示されるアミノ酸配列を含むペプチド、又は
(d)配列番号7、8若しくは9で示されるアミノ酸配列において、C末端のチロシン残基以外のアミノ酸残基において、1〜数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、チロシナーゼ阻害活性を有するペプチド
本発明の配列番号1又は2で示されるアミノ酸配列を含むペプチドは、細胞毒性がなく、チロシナーゼ阻害活性を有する。さらに、本発明には、配列番号1又は2で示されるアミノ酸配列の、C末端のチロシン残基、C末端から5番目のアルギニン残基及びC末端から6番目のグルタミン酸残基以外のアミノ酸残基において1〜数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含み、細胞毒性がなく、かつチロシナーゼ阻害活性を有するペプチドが包含される。前記変異体は、配列番号1又は2で示されるアミノ酸配列を含むペプチドと同等のチロシナーゼ阻害活性を有しているものがより好ましい。
本発明の配列番号7、8又は9で示されるアミノ酸配列を含むペプチドも、細胞毒性がなく、チロシナーゼ阻害活性を有する。さらに、本発明には、配列番号7、8又は9で示されるアミノ酸配列のC末端のチロシン残基以外のアミノ酸残基において1〜数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含み、細胞毒性がなく、かつチロシナーゼ阻害活性を有するペプチドが包含される。前記変異体は、配列番号7、8又は9で示されるアミノ酸配列を含むペプチドと同等のチロシナーゼ阻害活性を有しているものがより好ましい。
前記した「数個」とは、通常2〜8個、好ましくは2〜5個、より好ましくは2〜3個を意味する。各アミノ酸配列を含み、チロシナーゼ阻害活性を有するペプチドのアミノ酸鎖長は、通常5〜18残基、好ましくは7〜15残基、より好ましくは10〜13残基である。
チロシナーゼ阻害活性は、以下の実施例に記載のモノフェノラーゼ活性及びジフェノラーゼ活性を測定する方法を用いて測定した。
本発明の前記ペプチドは、ペプチド合成装置を用いてペプチド合成により製造できる。前記ペプチド合成装置としては、特に限定されないが、例えば、自動ペプチド合成機PSSM−8(商品名、島津製作所製)、ペプチド合成装置Syro I(商品名、バイオタージ・ジャパン社製)、Syro II(商品名、バイオタージ・ジャパン社製)等が挙げられる。前記ペプチドの合成方法としては、一般的にペプチド合成に用いられるFmoc(Fluorenyl-MethOxy-Carbonyl)固相合成法等を用いることができる。本発明の前記ペプチドの奏する効果を評価するために各種の微生物、ヒトの培養細胞を用いる。前記ペプチドの合成、各種微生物及びヒトの培養細胞の取り扱い等に必要な種々の操作について、特に説明がない場合には、Stewartら(固相ペプチド合成、第2版、1984年、Pierce Chemical Company、Rockford、I11)、Bodanszky及びBodanszky(ペプチド合成の実際、1984年、Springer-Verlag、New York)、J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis (Ed.), Molecular cloning, a laboratory manual (3rd edition), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (2001); F. M. Ausubel, R. Brent, R. E. Kingston, D. D. Moore, J.G. Seidman, J. A. Smith, K. Struhl (Ed.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons Ltd.等の標準的なプロトコール集に記載の方法、又はそれを修飾、改変した方法を用いることができる。また、市販の試薬キット、測定装置を用いる場合には、本明細書に特に説明がある場合を除き、それらに添付のプロトコールを用いることができる。合成されたペプチドが設計通りのものであるかどうかは、アミノ酸分析器、MALDI−TOF−MS等の高解像MS法、アミノ酸シーケンサー等を用いて、確認することができる。さらに、合成されたペプチドは、例えば高速液体クロマトグラフ(HPLC)等を用いて、必要に応じて精製して使用することが好ましい。また、当業者は本明細書の記載及び前記した標準的なプロトコール集等の記載から容易に本発明を再現することができる。
本発明の他の態様は、前記したペプチドを含む米糠タンパク質の加水分解物である。前記米糠タンパク質の加水分解物における前記ペプチドの含有量は、特に限定されないが、通常10〜100質量%程度であり、チロシナーゼ阻害活性がより高い点で、15〜100質量%程度が好ましい。
前記米糠タンパク質としては、前記ペプチドを含めば特に限定されないが、配列番号6で示されるタンパク質(名称:Os05t0405900-02、Hypothetical protein:WD40-like domain contain protein;The Rice Annotation Project Database)、配列番号10で示されるタンパク質(名称:Os03g0793700、RmlC-like jelly roll fold domain containing protein;The Rice Annotation Project Database)配列番号11で示されるタンパク質(名称:Os03g0197300、Similar to Cupin family protein;The Rice Annotation Project Database)等を含むものが好適に挙げられる。前記米糠タンパク質は、米を精白して得ることができ、市販品としても入手できる。市販品としては、米糠タンパク質(Tsuno-RBP55、築野食品工業(株)製)等が挙げられる。Tsuno-RBP55は、前記配列番号6で示されるタンパク質、前記配列番号10で示されるタンパク質及び前記配列番号11で示されるタンパク質を含む。本発明において、米糠は粉砕機等を用いて粉砕したものを用いても良い。前記粉砕機は、特に限定されず公知の粉砕機を使用できる。前記配列番号1は、前記配列番号6で示される米糠タンパク質の341番目から350番目の配列である。
前記米としては、特に限定されず、日本型(ジャポニカ:japonica)又はインド型(インディカ:indica)のオリザサティバ(Oryza sativa)、アフリカ米であるオリザグラベリーマ(Oryza glaberrima)又はこれらの交雑種等を使用することができるが、オリザサティバ(Oryza sativa)が好ましい。さらに、もち米、酒造好適米等も使用できる。
前記ペプチドを含む米糠タンパク質の加水分解物としては、前記ペプチドを含めば特に限定されず、例えば、配列番号6で示されるタンパク質を酵素よって加水分解して得られる加水分解物、配列番号10で示されるタンパク質を酵素よって加水分解して得られる加水分解物、配列番号11で示されるタンパク質を酵素よって加水分解して得られる加水分解物等が好適に挙げられる。加水分解物に含まれるペプチドフラグメントとしては、前記ペプチドの活性を阻害しない限り、他のペプチド部分が含まれていてもよいが、除去されていることが好ましい。前記ペプチドフラグメントとしては、例えば、(i)配列番号1又は2で示されるアミノ酸配列からなるペプチド、(ii)配列番号7、8又は9で示されるアミノ酸配列からなるペプチド、(iii)配列番号1若しくは2で示されるアミノ酸配列を含むペプチド、(iv)配列番号7、8又は9で示されるアミノ酸配列を含むペプチド、(v)配列番号1又は2で示されるアミノ酸配列において、C末端のチロシン残基、C末端から5番目のアルギニン残基及びC末端から6番目のグルタミン酸残基以外のアミノ酸残基において、1〜数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、配列番号6で示されるタンパク質由来の8〜50アミノ酸残基(好適には9〜30アミノ酸残基、さらに好適には10〜20アミノ酸残基)であり、細胞毒性がなく、チロシナーゼ阻害活性を有するペプチド、又は(vi)配列番号7、8又は9で示されるアミノ酸配列において、C末端のチロシン残基以外のアミノ酸残基において、1〜数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、チロシナーゼ阻害活性を有するペプチド等が挙げられる。「数個」は上記のとおりである。
本発明の米糠タンパク質の加水分解物の製造方法について、以下に説明する。本発明の米糠タンパク質の加水分解物の製造方法は、米糠タンパク質の懸濁工程、前記工程で得られた懸濁液の透析工程、及び、前記透析工程で得られた溶液に、加水分解酵素を添加し、反応させる加水分解工程を有する。
米糠タンパク質の懸濁工程では、前記米糠タンパク質を水で懸濁して、ホモジナイズする工程である。懸濁時の条件は、特に限定されず、温度は、通常5〜30℃である。懸濁時圧力は、常圧が好適である。水としては、特に限定されず、蒸留水、超純水、イオン交換水等が好適に挙げられる。懸濁に用いる装置としては特に限定されず、市販の撹拌混合機を使用することができる。
前記懸濁工程で得られた懸濁液の透析工程では、市販の透析膜を使用することができる。分画分子量(MWCO)が6000〜8000Da程度の透析膜が好適に使用できる。市販の透析膜としては、特に限定されず、Spectra/Pro(登録商標) Standard Regenerated Cellulose Dialysis Membrane 1, 分画分子量:6K〜8K、商品コードNo. 563-16883、販売元:和光純薬工業(株)、製造元:Spectrum Laboratories Inc.,米国)等が挙げられる。透析時の条件は、特に限定されず、温度は、通常5〜30℃である。懸濁時圧力は、常圧が好適である。
加水分解工程では、前記透析工程で得られた溶液に、酵素を添加し、加水分解反応させる。前記酵素としては、加水分解に使用できれば特に限定されず、例えば、サーモリシン(thermolysin)、トリプシン(trypsin)、キモトリプシン(chymotrypsin)等が好適に挙げられる。チロシナーゼ阻害活性が高まる点から、トリプシンとキモトリプシンを併用することが特に好ましい。前記酵素としては、特に限定されず、市販品を使用できる。市販品としては、例えば、バチルス セルモプテオリティカス ロッコー(Bacillus thermoproteolyticus rokko)由来サーモリシン(カタログ番号:P1512-25MG、シグマアルドリッチ社製)、ブタ膵臓由来トリプシン(カタログ番号:T0303-10G、シグマアルドリッチ社製)、キモトリプシン(商品コード:1134007、The United States Pharmacopeial Convention, Inc (USP) )、ウシ膵臓由来キモトリプシン(商品コード:59-0272、和光純薬工業(株))等が挙げられる。トリプシンとキモトリプシンを併用する場合、使用順序は、特に限定されず、例えば、トリプシンを前記透析工程で得られた溶液に添加し、酵素反応させた後に、キモトリプシンを添加してもよく、キモトリプシンを前記透析工程で得られた溶液に添加し、酵素反応させた後に、トリプシンを添加してもよく、トリプシンとキモトリプシンを同時に若しくは、時間をおかずに連続して添加してもよい。
加水分解反応の温度条件は、使用する酵素によって異なるが、サーモリシンの場合、60〜80℃が好ましく、65〜75℃がさらに好ましい。トリプシン及びキモトリプシンの場合、30〜50℃が好ましく。45〜50℃がさらに好ましい。反応時間は、原料の使用割合、使用する酵素量等によって適宜決定されるため特に限定されないが、1〜20時間程度が好ましく、3〜10時間程度がより好ましい。圧力は、常圧が好適である。反応時のpHは、6〜9が好ましく、6.5〜8.5がさらに好ましい。
酵素を失活させ、加水分解反応を終了させるために、高温に加熱する必要がある。温度としては、80℃以上であれば特に限定されない。加熱時間は特に限定されないが、5〜20分程度である。圧力は、常圧が好適である。
本発明の製造方法では、必要に応じて、加水分解工程に続いて、遠心分離工程を有していてもよい。遠心分離の条件は特に限定されないが、例えば、10000g以上が好適に挙げられる。遠心分離の時間は、特に限定されず、10分〜1時間程度であってもよい。
さらに、本発明の製造方法では、必要に応じて、遠心分離によって回収した上澄液を凍結乾燥させてもよい。凍結乾燥処理の装置及び条件は、公知の装置及び条件を採用することができる。
以上のようにして、本発明の米糠タンパク質の加水分解物を得ることができる。本発明は、安価な米糠タンパク質を原料に使用するため、工業的に有利である。
前記加水分解物から、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドを得る場合には、チロシナーゼ阻害活性を指標として、ペプチドの分画又は精製に一般的に用いられる方法、例えば、限外濾過、若しくは各種液体クロマトグラフィー、又はこれらの組合せを用いて、分画又は精製することにより、実施することができる。液体クロマトグラフィーとしては、特に限定されないが、例えば、分子ふるいクロマトグラフィー(ゲル濾過)、分配クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、又はアフィニティクロマトグラフィー等が挙げられる。前記分画又は精製には、公知の装置を使用することができる。上記のようにして得られた配列番号1で表されるアミノ酸配列からN末端のメチオニンを公知の変異導入手段を用いて欠失させ、配列番号2で表されるアミノ酸配列を得ることができる。
本発明の他の態様は、前記したペプチド又は米糠タンパク質の加水分解物を含む組成物である。本発明の組成物は、医薬組成物、化粧料組成物叉は飲食品組成物として使用することができる。医薬組成物、化粧用組成物叉は飲食品組成物としては、各分野に応じた公知の各種添加剤を含有することができる。以下に例示する各種添加剤は、それぞれ単独で使用してもよく、又は2以上を併用してもよい。
前記各組成物における有効成分の配合割合は、メラニン形成細胞に対して適用されるチロシナーゼ抑制性効果を生成するのに十分な薬物の量であれば、特に限定されないが、通常全組成の約0.0001〜20質量%であり、0.001〜10質量%が好ましく、0.001〜5質量%が特に好ましい。前記各組成物は、使用用途に応じて異なるが、通常pH6.5〜8.0(25℃)に調製される。本発明に係るペプチド又は米糠タンパク質の加水分解物を医薬組成物として用いる場合、有効成分の使用量は、通常の成人で固形分残量にして0.01mg〜1g/1日とすることが望ましい。また、本発明に係る組成物は、有効成分の含有量により異なるが、例えばクリーム状、軟膏状の場合には皮膚面1cm2当たり1〜20mg、液状製剤の場合には同じく1〜20mg使用するのが好ましい。
本発明の医薬組成物とは、薬事法に規定される医薬品又は医薬部外品の組成物である。前記医薬組成物は、薬学的に受容可能な添加剤と配合し、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉剤、座剤等の固形製剤、又はシロップ剤、注射剤、懸濁剤、溶液剤、スプレー剤等の液状製剤として製造することができる。このような薬学的に受容可能な組成物の調製は、pH、等張性、安定性等を考慮することにより、当業者は、容易に行うことができる。
前記添加剤としては、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、崩壊阻害剤、吸収促進剤、吸着剤、保湿剤、溶解補助剤、安定化剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等が挙げられる。また、必要に応じ、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の製剤添加物を用いることができる。さらに、本発明の組成物には本発明のポリヌクレオチド、又は米糠タンパク質の加水分解物以外の物質を配合することも可能である。前記医薬組成物は、経口又は非経口的に投与することができ、非経口の投与方法としては、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、粘膜投与、直腸内投与、直腸内投与、膣内投与、患部への局所投与、皮膚投与等が挙げられるがそれらに限定されない。
賦形剤としては、特に限定されないが、例えば、グルコース、ラクトース、スクロース、D−マンニトール、結晶セルロース、デンプン、炭酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、塩化ナトリウム、カオリン及び尿素等が挙げられる。
滑沢剤としては、特に限定されないが、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ホウ酸末、コロイド状ケイ酸、タルク及びポリエチレングリコール等が挙げられる。
結合剤としては、特に限定されないが、例えば、水、エタノール、プロパノール、白糖、D−マンニトール、結晶セルロース、デキストリン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン溶液、ゼラチン溶液、ポリビニルピロリドン、リン酸カルシウム、リン酸カリウム、及びシェラック等が挙げられる。
崩壊剤としては、特に限定されないが、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カンテン末、ラミナラン末、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、アルギン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、デンプン、ステアリン酸モノグリセリド、ラクトース及び繊維素グリコール酸カルシウム等が挙げられる。
崩壊阻害剤としては、特に限定されないが、例えば、水素添加油、白糖、ステアリン、カカオ脂及び硬化油等が挙げられる。
吸収促進剤としては、特に限定されないが、例えば、第四級アンモニウム塩基類及びラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
吸着剤としては、特に限定されないが、例えば、デンプン、ラクトース、カオリン、ベントナイト及びコロイド状ケイ酸等が挙げられる。
保湿剤としては、特に限定されないが、例えば、グリセリン、デンプン等が挙げられる。
溶解補助剤としては、特に限定されないが、例えば、アルギニン、グルタミン酸、アスパラギン酸等が挙げられる。
安定化剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒト血清アルブミン、ラクトース等が挙げられる。
固形製剤として錠剤、丸剤等を調製する際には、必要により胃溶性又は腸溶性物質(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等) のフィルムで被覆していてもよい。錠剤には、必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば、糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーテイング錠あるいは二重錠、多層錠が含まれる。カプセル剤にはハードカプセル及びソフトカプセルが含まれる。座剤の形態に成形する際には、上記に列挙した添加物以外に、例えば、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、半合成グリセライド等を添加することができるがそれらに限定されない。
溶剤としては、特に限定されないが、例えば、注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油及びトウモロコシ油等が挙げられる。
溶解補助剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム及びクエン酸ナトリウム等が挙げられる。
懸濁化剤としては、特に限定されないが、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられる。
等張化剤としては、特に限定されないが、例えば、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール等が挙げられる。
緩衝剤としては、特に限定されないが、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩及びクエン酸塩等が挙げられる。
無痛化剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム及び塩酸プロカイン等が挙げられる。
防腐剤としては、特に限定されないが、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類(メチルパラベン、メチルパラベンナトリウム、エチルパラベン、ベンジルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、プロピルパラベン及びイソプロピルパラベン等)、クロロブタノール、ベンジルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
抗酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロール及びシステイン等が挙げられる。
注射剤として調製する際には、液剤及び懸濁剤は殺菌され、かつ血液と等張であることが好ましい。通常、これらは、バクテリア保留フィルター等を用いるろ過、殺菌剤の配合又は照射によって無菌化する。さらにこれらの処理後、凍結乾燥等の方法により固形物とし、使用直前に無菌水又は無菌の注射用希釈剤(塩酸リドカイン水溶液、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、エタノール又はこれらの混合溶液等)を添加してもよい。
さらに、必要ならば、本発明の医薬組成物は、公知の、着色料、保存剤、香料、矯味矯臭剤、甘味料等又は他の薬剤を含んでいてもよい。
前記化粧料組成物は、剤形としては、特に限定されないが、例えば、油中水型又は水中油型の乳化化粧料、クリーム、ローション、ジェル、フォーム、エッセンス、ファンデーション、パック、スティック及びパウダー等の化粧料が挙げられる。
前記化粧料組成物は、前記有効成分の他に、化粧料成分として一般に使用されている油分、界面活性剤、紫外線吸収・散乱剤、保湿剤、アルコール類、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、増粘剤、抗酸化剤、香料、ビタミン類、アミノ酸類、抗炎症剤、海藻抽出物及び他の美白成分等を任意に組合せて配合せて、前記剤形として製造することができる。また、前記化粧料組成物には、例えばチョーク、タルク、フラー土、カオリン、デンプン、ゴム、コロイドシリカナトリウムポリアクリレート等の粉体;ブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤;グリセロール、ソルビトール、2−ピロリドン−5−カルボキシレート、ジブチルフタレート、ゼラチン、ポリエチレングリコール等の湿潤剤;密ろう、オゾケライトワックス、パラフィンワックス等のワックス類;着色料等を必要に応じ適宜組合せて用いることができる。
油分としては、特に限定されないが、例えば、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、オリーブ油、カカオ油、椿油、ヤシ油、木ロウ、ホホバ油、グレープシード油、アボガド油等の植物油脂類、ミンク油、卵黄油等の動物油脂類、蜜ロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ等のロウ類、流動パラフィン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス、セレシンワックス、パラフィンワックス、ワセリン等の炭化水素類、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、ラノリン脂肪酸、リノール酸、リノレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の天然及び合成脂肪酸類、セタノール、ステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、カプリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、コレステロール、フィトステロール等の天然及び合成高級アルコール類、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、コレステロールオレート等のエステル類等が挙げられる。
界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキセチレンソルビタン、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリエチレングリコールアルキレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリコールジエーテル、ラウロイルジエタノールアマイド、脂肪酸イソプロパノールアマイド、マルチトールヒドロキシ脂肪酸エーテル、アルキル化多糖、アルキルグルコシド、シュガーエステル等の非イオン性界面活性剤、親油型グリセリンモノステアレート、自己乳化型グリセリンモノステアレート、ポリグリセリンモノステアレート、ポリグリセリンアルキレート、ソルビタンモノオレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレン化ステロール、ポリオキシエチレン化ラノリン、ポリオキシエチレン化蜜ロウ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のノニオン界面活性剤、ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、セチル硫酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、パルミチン酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルリン酸ナトリウム、N−アシルグルタミン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル、ロート油、リニアドデシルベンゼン硫酸、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油マレイン酸、アシルメチルタウリ等のアニオン界面活性剤、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤、塩酸アルキルアミノエチルグリシン液、レシチン等の両性界面活性剤等が挙げられる。
紫外線吸収・散乱剤としては、特に限定されないが、例えば、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、3−(4´−メチルベンジリデン)−d−カンファー、3−ベンジリデン−d,1−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2,2´−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2´−ヒドロキシ−5´−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2´−ヒドロキシ−5´−メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4´−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチルパラアミノベンゾエート、エチルヘキシルパラメトキシサイナメート、酸化チタン、カオリン、タルク等が挙げられる。
保湿剤としては、特に限定されないが、例えば、グリセリン、エリスリトール、キシリトール、マルチトールグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、マルチトール、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、イソプレングリコール等の多価アルコール類、グルコース、マルトース、トレハース、トレハロースの糖質誘導体、デキストリン、サイクロデキストリン、分岐サイクロデキストリン、国際公開WO02/10361号明細書等で開示したサイクロ{→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルコピラノシル−(1→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−D−グルコピラノシル−(1→}の構造を有する環状四糖(シクロニゲロシルニゲロース:Cyclonigerosylnigelose)、特開平2005−95148号公報等に記載したサイクロ{→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→4)−α−D−グルコピラノシル−(1→6)−α−D−グルコピラノシル−(1→4)−α−D−グルコピラノシル−(1→}の構造を有する環状四糖(シクロマルトシルマルトース:Cyclomaltosylmaltose)、国際特許願PCT/JP2005/17642号明細書(国際公開WO2006/035725A1参照)に開示されたサイクロ{→6)−[α−D−グルコピラノシル−(1→4)]n−α−D−グルコピラノシル−(1→}(nは4又は5を意味する)の構造を有する環状五糖や環状六糖等環状糖質等の糖類、アミノ酸、ペプチド、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等のNMF成分、キシログルカン、クインスシード、カラギーナン、ペクチン、マンナン、カードラン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ケラタン硫酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、ムコイチン硫酸、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸、ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸ナトリウム、コラーゲン、ムコ多糖類等の水溶性高分子物質、ジメチルポリシロキサン、メチフェニルシロキサン等のシリコーン類、乳酸菌・ビフィズス菌等の培養上清が挙げられる。
アルコール類としては、特に限定されないが、例えば、エタノール、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。
キレート剤としては、特に限定されないが、例えば、エデト酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸塩、ピロリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、クエン酸、酒石酸、グルコン酸等が挙げられる。
pH調整剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、ニトリロトリエタノール、クエン酸、クエン酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂、リン酸水素カリウム等が挙げられる。
防腐剤(抗菌剤)としては、特に限定されないが、例えば、安息香酸及びその塩類、サリチル酸及びその塩類、ソルビン酸及びその塩類、デヒドロ酢酸及びその塩、パラオキシ安息香酸アルキルエステルをはじめとするパラオキシ安息香酸エステル、2,4,4´−トリクロロ−2´−ヒドロキシジフェニルエーテル、3,4,4´−トリクロロカルバニリド、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、フェノキエタノール、ヒノキチオール、レゾルシン、エタノール、1,3−ブチレングリコール、感光素201号等が挙げられる。
増粘剤としては、特に限定されないが、例えば、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、硅酸アルミニウム、マルメロ種子抽出物、アラビアガム、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、グアガム、デキストラン、トラガントガム、セルロース、デンプン、プルラン、キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天等の天然高分子物質、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、可溶性デンプン、分岐デンプン、カチオン化セルロース等の半合成高分子物質、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ビニルアルコール・酢酸ビニル共重合体等の合成高分子物質等が挙げられる。
抗酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、L−アスコルビン酸、ビタミンE、ビタミンP、カテキン類、フラボノイド類やこれらの誘導体等が挙げられる。
香料としては、特に限定されないが、例えば、ベンズアルデヒド、ベンジルベンゾエート、フェニル酢酸、サンダロール、オイゲノール、リリアール、リラール、リナロール、2−メチル−3−(4−メチルフェニル)−プロパナール、ムスクケトン、シンナミックアルデヒド、ベルトフィックス、メチルイオノン、ゲラニルホーメート、イソEスーパー、γ−ウンデカラクトン、ヘキシルサリシレート、シス−3−ヘキセニルサリシレート、メチルジヒドロジャスモネート、テトラヒドロフルフリル3−メルカプトプロピオネート、コバノール、バニリン、バニラール、ゼラニウムオイル、ペニロイヤルオイル、バーチオイル、アルモイゼオイル等が挙げられる。
ビタミン類としては、特に限定されないが、例えば、ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB1及びその誘導体、ビタミンB2及びその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB12、ビタミンB15及びその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ビタミンF、ビタミンK、ルチン・ヘスペリジン・ナリンジン等のバイオフラボノイド類及びその誘導体、ビタミンU、フェルラ酸、γ−オリザノール、α−リポ酸、オロット酸、コエンザイムQ10等、それらの誘導体等が挙げられ、それらの塩類であってもよい。
アミノ酸類としては、特に限定されないが、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、タウリン、トリプトファン、シスチン、システイン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン、リジン、カルニチン及びそれらの誘導体等が挙げられ、それらの塩類であってもよい。
炎症剤としては、特に限定されないが、例えば、アラントイン又はその誘導体であるアラントイン、アラントインアセチル−dl−メチオニン、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインジヒドロキシアルミニウム、アラントインポリガラクツロン酸等、グリチルレチン又はその誘導体であるグリチルレチン酸、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸アラントイン、グリチルレチン酸グリセリン、グリチルレチン酸ステアリル、ステアリン酸グリチルレチニル、3−サクシニルオキシグリチルレチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等、パントテン酸、パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル、ベンゾイルパントテニルエチルエーテル、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、アセチルパントテニルエチルエーテル、安息香酸パントテニルエチルエーテルエステル、パンテチン等のパントテン酸の誘導体、ビタミンE、d−δ−トコフェロール、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、リノール酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等のビタミンE誘導体、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸−2−グルコシド等のL−アスコルビン酸グリコシド、L−アスコルビン酸グリコシドのアシル化誘導体、テトラヘキシルデカン酸アスコルビン酸、L−アスコルビン酸とトコフェロールがリン酸基を介して結合したアスコルビン酸−トコフェロールリン酸ジエステルL−アスコルビン酸硫酸エステル、ジパルミチン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、L−アスコルビン酸ステアリル、リン酸L−アスコルビル、L−アスコルビン酸エチルやそれらのアシル化誘導体等のL−アスコルビン酸の誘導体及び/又はそれらのアルカリ金属或いはアルカリ土類金属の塩、塩酸ピリドキシン、メントール、ビオチン、カンフル、テレピン油、酸化亜鉛、アズレン、グアイアズレン及びその誘導体、メフェナム酸及びその誘導体、フェニルブタゾン及びその誘導体、インドメタシン及びその誘導体、イブプロフェン及びその誘導体、ケトプロフェン及びその誘導体、ε−アミノカプロン酸、ジクロフェナクナトリウム、ジフェンヒドラミン、トラネキサム酸及びその誘導体、デキサメタゾン、コルチゾン及びそのエステル、ヒドロコルチゾン及びそのエステル、プレドニゾン、プレドニゾロン等の副腎皮質ホルモン、抗ヒスタミン剤、エイジツ、イブトラノオ、ウコン、オトギリソウ、オウバク、カンゾウ、キンギンカ、クレソン、コンフリー、ゴカヒ、サルビア、シコン、シラカバ、チャ、トウキンセンカ、ニワトコ、ホオウ、ムクロジ、ユーカリエキス、ブロッコリー、トウキ、ビワ葉、シソ、カミツレ、ヨモギ、アロエ、ニンジン、オウバク末、ヨウバイヒ末、アセンヤク、アマチャ、アルテア、アルニカ、エチナシ、エンメイソウ、オウゴン、オオムギ、セイヨウオトギリソウ、オレンジ、カノコソウ、ローマカミツレ、カワラヨモギ、キュウリ、クチナシ、クマザサ、ゲンチアナ、ゲンノショウコウ、ゴボウ、コンフリー、サンショウ、シソ、ボフダイジュ、シャクヤク、セイヨウキズタ、セイヨウネズ、セイヨウノコギリソウ、セイヨウハッカ、センキュウ、センブリ、セージ、ソハクヒ、タイソウ、タイム、トウガシ、トウキンセンカ、トウニン、ドクダミ、トルメンチラ、ニンジン、パセリ、ハッカ、イラクサ、ビャクダン、ビワ、ブッチャーブルーム、ブドウ、ベニバナ、ボタン、ボダイジュ、マロニエ、モモ、ヤグルマソウ、ヨモギ、ラベンダー、ローズマリー、ビワ、カロット及びトウキ等の植物又は植物に由来する成分等が挙げられる。
海藻抽出物としては、特に限定されないが、例えば、褐藻、紅藻、緑藻、藍藻等からの抽出液があり、具体的にはコンブ、マコンブ、ワカメ、ヒジキ、テングサ、サンゴモ、パルマリア、ツノマタ、ノリ、アオサ、アナアオサ、アスコフィラム、ヒバマタ、モズク、オキナワモズク、ヒマンタリア等からの抽出物等が挙げられる。
他の美白成分としては、特に限定されないが、例えば、ホルモン剤、及びコウジ酸、アルブチン、プラセンタエキス、ルシノール等が挙げられる。
本発明の飲食品組成物とは、一般に食品として供される組成物のことである。前記飲食品組成物は、食品衛生上許容される添加剤を混合して、特別用途食品、特定保健用食品、栄養機能食品、健康食品、栄養補助食品、経腸栄養食品、飲料等に加工することができる。前記飲食品組成物は、固形食品、半固形食品、及び飲料を含む液状食品、その他の各種の形態の食品として提供することができる。飲料としては、具体的には、果汁飲料、清涼飲料、アルコール飲料等が挙げられる。また、摂取時に水等を用いて希釈して摂取される形態であってもよい。固形食品としては、例えば、飴、トローチ等を含む錠剤(タブレット)や糖衣錠の形態、顆粒の形態、粉末飲料、粉末スープ等の粉末の形態、ビスケット等のブロック菓子類の形態、カプセル、ゼリー等の形態等、種々の形態の食品が挙げられる。半固形食品としては、例えば、ジャム等のペーストの形態、チューイングガム等のガムの形態が挙げられる。
これらの飲食品組成物には本発明の有効成分の他に、本発明の所望の効果が損なわれない範囲で、食品素材、食品添加物を配合することができる。
食品素材とは、一般に食品の原材料として使用される素材のことであり、薬事法で規定される医薬品及び医薬部外品と、食品衛生法で規定される食品添加物を除き、飲食に供される全てのものが含まれる。食品添加物とは、食品の加工又は保存の目的で添加される物質のことである。
食品添加物の例としては、厚生労働省の「指定添加物リスト」、「既存添加物名簿収載品目リスト」、「天然香料基原物質リスト」、「一般に食品として飲食に供させている物であって添加物として使用される品目リスト」等に収載される食品添加物、JECFA等の国際機関で安全性が確認されたもの、米国・欧州等の諸外国で使用が認可されている食品添加物等が挙げられ、保存料・日持向上剤、酸化防止剤、甘味料、着色料・色素、乳化剤、増粘ゲル化剤、品質改良剤、調味料、酸味料、強化剤、香料、酵素等に分類される。
食品素材としては、特に限定されないが、例えば、果実・野菜及びそのエキス類、果実・野菜加工品(フルーツプレパレーション、フルーツソース、ジャム等)、乾燥果実(干しぶどう、干しパイナップル等)、ナッツ・種子類(くるみ、ピーナッツ、アーモンド、マカデミアナッツ、ピーカンナッツ、大豆、ゴマ、芥子等)、牛乳、加工乳、豆乳、果汁、野菜汁、卵類(液卵、卵黄粉末等)、ココア末、糖や糖アルコール類、肉や魚のエキス類、タンパク質、ペプチド、アミノ酸類、食物繊維、天然由来高分子(コラーゲン、ヒアルロン酸、天然繊維等)、ビタミン類、生理活性物質(コエンザイムQ10、α−リポ酸、β−グルカン、セラミド等)、澱粉類、デキストリン、油脂類(サラダ油、ゴマ油、ラード、菜種油、ショートニング等)、アルコール類、塩類(食塩、Ca等のミネラル類等)、調味料(醤油、味噌、酢、みりん、砂糖、マヨネーズ、ドレッシング、タレ、豆板醤、ソース類等)、香辛料(シナモン、コショウ、唐辛子等)等が挙げられる。
保存料・日持向上剤としては、特に限定されないが、例えば、過酸化水素、ソルビン酸及びソルビン酸K、デヒドロ酢酸Na、パラオキシ安息香酸エステル類、安息香酸及び安息香酸Na、プロピオン酸及びその塩類、次亜塩素酸Na、酢酸、酢酸ナトリウム、グリシン、エチルアルコール、ポリリジン及びその製剤、プロタミン及びその製剤、リゾチーム及びその製剤、ペクチン分解物、アラニン、チアミンラウリル硫酸塩、ユッカフォーム抽出物、キトサン及びその製剤、プロピレングリコール等が挙げられる。
酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、L−アスコルビン酸及びアスコルビン酸Na、エリソルビン酸及びエリソルビン酸Na、ミックストコフェノール等が挙げられる。
甘味料としては、特に限定されないが、例えば、上述の高甘味度甘味料、単糖類(アロース、タロース、グロース、グルコース、アルトロース、マンノース、ガラクトース、イドース、フルクトース、リボース、リキソース、キシロース、アラビノース、アピオース、エリトロース、トレオース、グリセルアルデヒド、セドヘプツロース、コリオース、プシコース、ソルボース、タガトース、リブロース、キシルロース、エリトルロース、ジヒドロキシアセトン等)、二糖類やオリゴ糖類(トレハロース、コージビオース、ニゲロース、マルトース、イソマルトース、イソトレハロース、ソホロース、ラミナリビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、スクロース、パラチノース、トレハルオース、フラクトオリゴ糖、パラチノースオリゴ糖、グリコシルスクロース、ラクトスクロース、テアンデロース、ガラクトシルラクトース、ラクチュロース、α−結合ガラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、パノース、ニゲロオリゴ糖、トレハロース、デキストリン、サイクロデキストリン、分岐サイクロデキストリン、ゲンチオオリゴ糖、キシロオリゴ糖、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ラフィノース、ビートオリゴ等)、糖アルコール類(グリセロール、エリスリトール、キシリトール、リビトール、アラビトール、ガラクチトール、ソルビトール、マンニトール、還元パラチノース、マルオトリイトール、イソマルトトリイトール、マルトテトライトール、イソマルトテトライトール等)、水飴、還元水飴、糖含有シロップ、液糖、糖蜜、蜂蜜等が挙げられ、その化学構造及び性状(固体、液体、顆粒等)は特に限定されない。
着色料としては、特に限定されないが、例えば、β−カロチン色素、抽出カロチン色素、ビタミンB2、銅クロロフィル及び銅クロロフィルNa、アナトー、アカキャベツ、アカダイコン、イカスミ、植物炭末、ウコン、エルダーベリー、カカオ、カロブ、クロロフィル、クチナシ黄、クチナシ青、クチナシ赤、グレープスキン、コチニール、コーリャン、シソ、シアナット、スピルリナ、タマリンド、タマネギ、トマト、パプリカ、ビートレッド、ブドウ果汁、ベニコウジ、ベニバナ黄、ベニバナ赤、マリーゴールド、ムラサキイモ、ムラサキコーン、ラック、カラメル等が挙げられる。
色素としては、特に限定されないが、例えば、赤色2号、赤色3号、赤色40号、赤色102号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、青色1号、青色2号、赤色3号レーキ、赤色40号レーキ、黄色4号レーキ、黄色5号レーキ、青色1号レーキ、青色2号レーキ等が挙げられる。
乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、PGエステル、ショ糖脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン類(レシチン、酵素分解レシチン、酵素処理レシチン等)、植物ステロール等が挙げられる。
増粘ゲル化剤としては、特に限定されないが、例えば、アルギン酸及びその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム等)、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム、メチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、アーモンドガム、アラビアガム、キサンタンガム、アラビノガラクタン、エレミ樹脂、カラヤガム、ガッディガム、ダンマル樹脂、トラガントガム、モモ樹脂、アマシードガム、カシアガム、グアーガム、グアーガム分解物、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウムシードガム、サバクヨモギシードガム、セスバニアガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、トリアカンソスガム、アルギン酸及びその塩、カラギーナン、フクロノリ抽出物、ファーセルラン、アロエベラ抽出物、オクラ抽出物、キダチアロエ抽出物、トロロアオイ、ペクチン、アエロモナスガム、アウレオバシジウム培養液、アゾトバクター・ビネランジーガム、ウェランガム、エルウィニア・ミツエンシスガム、エンテロバクター・シマナスガム、エンテロバクターガム、カードラン、ジェランガム、スクレロガム、デキストラン、納豆菌ガム、プルラン、大豆多糖類、水溶性ヘミセルロース、カラギーナン、マクロホモプシスガム、ラムザンガム、レバン、酵母細胞壁、微小繊維状セルロース及びその製剤、バクテリアセルロース及びその製剤、結晶セルロース及びその製剤、粉末セルロース及びその製剤、キチン、キトサン、グルコサミン、オリゴグルコサミン、グルコマンナン、こんにゃく粉、寒天、デキストリン、分岐デキストリン、難消化性デキストリン、PGA、ポルフィラン、ファーセルラン、フコイダン、ゼラチン等が挙げられる。
品質改良剤としては、特に限定されないが、例えば、ステアロイル乳酸Ca、フィチン酸、プロピレングリコール、リン酸Ca、リン酸Na、ピロリン酸Na、ポリリン酸Na、メタ・ヘキサリン酸Na、リン酸K、リン酸アンモニウム、リン酸、焼みょうばん、生みょうばん、ホエーたん白、カゼイン、カゼイネート、プラズマパウダー、粉末状大豆たん白、粉末状小麦たん白、ペースト状小麦たん白、EDTA塩類等が挙げられる。
調味料としては、特に限定されないが、例えば、グルタミン酸Na、核酸系調味料、アミノ酸系調味料、エキス系調味料、酵母エキス、グリシン、アラニン等が挙げられる。
酸味料としては、特に限定されないが、例えば、クエン酸及びその塩、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、グルコン酸液、グルコノデルタラクトン等が挙げられる。
強化剤としては、特に限定されないが、例えば、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ニコチン酸及びニコチン酸アミド、葉酸、パトテン酸Ca、グルコン酸Ca、乳酸Ca、天然Ca、ミルクCa等が挙げられる。
香料としては、特に限定されないが、例えば、ピーチフレーバー、オレンジフレーバー、レモンフレーバー等のフルーツフレーバー類、アロマフレーバー類、マルトール、フラネオール等のシュガーフレーバー類、ソトロン等のフレーバーエンハンサー類、フラボノイド類、カカオマス等のポリフェノール類、プリカーサーフレーバー類、ミートフレーバー類、コーヒーフレーバー類、ミルクフレーバー、メントール類、デカラクトン類等が挙げられる。
酵素としては、例えば、αアミラーゼ、βアミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼ、グルコースイソメラーゼ、プロテアーゼ、レンネット、パンクレアチン、パパイン等が挙げられる。
本発明の他の態様は、前記ペプチドを有するメラニン形成阻害剤、前記米糠タンパク質の加水分解物を有するメラニン形成阻害剤、前記組成物を有するメラニン形成阻害剤等が挙げられる。これらの剤形は、特に限定されず、経口剤又は非経口剤とすることができるが、皮膚外用剤が好ましい。前記メラニン形成阻害剤には、上記の各組成物と同様に、各種の添加剤を配合することができる。
前記メラニン形成阻害剤における有効成分の配合割合は、メラニン形成細胞に対して適用されるチロシナーゼ抑制性効果を生成するのに十分な薬物の量であれば、特に限定されないが、乾物換算当たりの使用量(配合量)としては、総量を基準として、通常0.0001〜20.0質量%であり、0.001〜10質量%が好ましく、0.001〜5質量%が特に好ましい。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
モノフェノラーゼ活性阻害率の算出方法
モノフェノラーゼ活性阻害率の算出には、基質としてL−チロシンを、酵素として1,320unit/mL マッシュルームチロシナーゼ(Mushroom tyrosinase)をそれぞれ用いた。マイクロセル内に109μLの終濃度0.1Mのリン酸緩衝液(pH6.5)、60μLの2.5mMのL−チロシン、及び6μLのサンプル溶液をそれぞれ加えて攪拌した。次いで、6μLのマッシュルームチロシナーゼを混合して酵素反応を開始した。L−DOPA クロム(chrome)の生成量に基づく波長475nmにおける吸光度の経時変化を、分光光度計(UV mini 1240、島津製作所製)を用いて測定した。反応開始からL−DOPA クロムが生成するまでの遅延時間を指標に、下記式により、モノフェノラーゼ活性阻害率を算出した。式中、コントロールは、サンプル溶液を加えていないものを意味する。
ジフェノラーゼ活性阻害率の算出方法
ジフェノラーゼ活性阻害率の算出には、基質としてL−DOPAを、酵素として1,320unit/mL マッシュルームチロシナーゼをそれぞれ使用して行った。マイクロセル内に109μLの終濃度0.1Mのリン酸緩衝液(pH6.5)、60μLの2.5mMのL−DOPAを、及び6μLのサンプル溶液をそれぞれ加えて攪拌した。次いで、6μLのマッシュルームチロシナーゼを混合して酵素反応を開始した。L−DOPA クロム(chrome)の生成量に基づく波長475nmにおける吸光度の経時変化を、分光光度計を用いて測定した。酵素反応の時間と得られた吸光度の値を用いて、ジフェノラーゼ活性阻害率を下記式により算出した。式中、コントロールは、サンプル溶液を加えていないものを意味する。
[実施例1]
北海道システムサイエンス(株)に委託して、配列番号1に記載のペプチド(TH10)を化学合成し、純度95%以上のペプチドを得た。ペプチドの化学合成は、一般的に用いられるFmoc(Fluorenyl-MethOxy-Carbonyl)固相合成法を用いた。得られたペプチド1gを5リットルの水に加えて室温で溶解させ、サンプル溶液を得た。
[実施例2]
北海道システムサイエンス(株)に委託して、配列番号2に記載のペプチド(TH10dM)を化学合成し、純度95%以上のペプチドを得た。ペプチドの化学合成は、一般的に用いられるFmoc固相合成法を用いた。得られたペプチド1gを5リットルの水に加えて室温で溶解させ、サンプル溶液を得た。
[比較例1]
北海道システムサイエンス(株)に委託して、配列番号4に記載のペプチド(TH10dMY)を化学合成し、純度95%以上のペプチドを得た。ペプチドの化学合成は、一般的に用いられるFmoc固相合成法を用いた。得られたペプチド1gを5リットルの水に加えて室温で溶解させ、サンプル溶液を得た。
[比較例2]
北海道システムサイエンス(株)に委託して、配列番号5に記載のペプチド(TH10dY)を化学合成し、純度95%以上のペプチドを得た。ペプチドの化学合成は、一般的に用いられるFmoc固相合成法を用いた。得られたペプチド1gを5リットルの水に加えて室温で溶解させ、サンプル溶液を得た。
[試験例1]
チロシナーゼ阻害活性を有する公知のペプチド(配列番号3)、実施例1〜2のペプチド及び比較例1〜2のペプチドを用いて、上記した方法で、モノフェノラーゼ活性を測定した。測定結果を図1に示す。
[試験例2]
チロシナーゼ阻害活性を有する公知のペプチド(配列番号3)、実施例1〜2のペプチド及び比較例1〜2のペプチドを用いて、上記した方法で、ジフェノラーゼ活性を測定した。測定結果を図1に示す。
図1に示される結果から、本発明は優れたチロシナーゼ阻害活性を有することが確認された。
[試験例3]
B16メラノーマ細胞を用いて細胞毒性試験を行った。10%FBS、50U/mL ペニシリン、50μg/mL ストレプトマイシン(全て終濃度)を添加したDMEM培地を12ウェルプレートに準備し、該培地にB16メラノーマ細胞(独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター製)を、約5×104cells播種し、24時間前培養した。ここに、実施例1のペプチド又はコウジ酸(細胞毒性に関するコントロール)を、0.05、0.5、1.0mMの濃度で添加し、48時間培養した。培養後、培養液を96ウェルプレートに移し、発色液(Cell couting kit-8、(株) 同仁化学研究所製)を混合し、37℃で1時間反応させた。反応後の試験液を、分光光度計(UV mini 1240、島津製作所製)を用いて吸光度(475nm)で測定し、生細胞数を以下に示した式より算出した。結果を下記表1に示す。
本発明のペプチドは、0.05、0.5、1.0mMの各濃度で細胞毒性は見られなかったが、コウジ酸は1.0mMで50%まで細胞生存率が減少した。このことから、本発明のペプチドは、細胞毒性がないことが確認された。
[実施例3]
米糠タンパク質(Tsuno-RBP55、築野食品工業(株)製)3.00gを超純粋60mlに、室温常圧で懸濁して、3分間ホモジナイズした。次いで、透析膜(商品名:Spectra/Pro(登録商標) Standard Regenerated Cellulose Dialysis Membrane 1, 分画分子量:6K〜8K、商品コードNo. 563-16883、販売元:和光純薬工業(株)、製造元:Spectrum Laboratories Inc.,米国)を用いて、室温常圧で、透析を行った。透析によって得られた溶液に、トリプシン(36 USP Trypsin units/ml;1 unitは、BTEEを基質として、pH7.6,25℃,1分間で、253nmにおける吸光度を0.003増加させる酵素量;和光純薬工業(株)製)60mgとキモトリプシン(60 BTEE units/ml;1 unitは、pH7.8,25℃,1分間で、1.0μmolのBTEEを加水分解する酵素量;シグマアルドリッチジャパン(株)製)60mgを添加し、50℃で6時間、反応させ、加水分解処理を行った。次いで、90℃で10分加熱処理し、酵素を失活させた。得られた溶液を、遠心分離(10000g、30分)し、目的の米糠タンパク質の加水分解物を得た。さらに、この溶液を凍結乾燥した。
[比較例3]
酵素処理行わない以外は、実施例3と同様に行い、溶液を得た。
[試験例4]
上記実施例3及び比較例3で得られた、凍結乾燥後の加水分解物を5mlの水で溶解した溶液を、ゲルろ過クロマトグラフィー(商品名:BioGel(登録商標)P−6 Gel、バイオ・ラッドラボラトリーズ(株))に供した。6mlずつ分注し、4画分ずつ凍結乾燥した。得られた凍結乾燥品を用いて、各ペプチド量を見積もるために、ペプチド結合に由来する波長210nmにおける各フラクション(以下、画分ともいう。)の吸光度の経時変化を、分光光度計を用いて測定した。実施例3と比較例3の溶液の各フラクション(実施例3:29〜100、比較例3:24〜99)について、上記の方法でモノフェノラーゼ活性及びジフェノラーゼ活性を測定した。結果を図2及び図3に示す。
図2Bのフラクション69〜84が示すように、本発明の米糠タンパク質の加水分解物では、優れたチロシナーゼ阻害活性を有していた。
[試験例5]
試験例4と同様に、上記実施例3及び比較例3で得られた、凍結乾燥後の加水分解物を5mlの水で溶解した溶液を、ゲルろ過クロマトグラフィー(商品名:バイオゲル P−6充填マイクロバイオスピンカラム(Bio-Gel P-6 Gel)、商品コード:150-4134、100 g, fine polyacrylamide beads for size exclusion chromatography, 45−90μm wet bead size, 1,000−6,000 MW fractionation range、溶媒:蒸留水、バイオ・ラッドラボラトリーズ(株))に供し、それぞれのフラクションの波長210nmにおける吸光度を測定した。結果を図4Aに示す。60〜99のフラクションについて、上記の方法でモノフェノラーゼ活性及びジフェノラーゼ活性を測定した。結果を図4Bに示す。図4Bに示されるように、72〜83番目の画分がモノフェノラーゼとジフェノラーゼに対して、ともに強い阻害活性を示した。そこで、72〜83番目の画分を回収した。
次いで、Superdex Peptide 10/300 GLカラム(GEヘルスケア・ジャパン(株))を用いたゲルろ過クロマトグラフィーによる精製を行った。1画分当たり1mLずつ分取し、得られた溶出液の210nmにおける吸光度を測定した。結果を図5Aに示す。分取した11の画分について、それぞれ凍結乾燥し、水で再溶解した後に、上記の方法でモノフェノラーゼ阻害活性を測定した。結果を図5Bに示す。図5Bに示されるように、No.9の画分が最も高い阻害活性を示した。
次に、No.9の画分を、Cadenza CD-C18(粒子径:3μm、細孔径:12nm、固定相:オクタデシル基,ポリメリックエンドキャッピング、内径:10mm、製品コード:CD0P5、カラム長:150mm、インタクト(株)(Intakt Co.))を用いた逆相クロマトグラフィーによって精製を行った。具体的には、0.1%トリフルオロ酢酸中で、アセトニトリルの濃度を0%(0〜5分)、0〜5.2%(5〜5.1分)、5.2〜33.6% (5.1〜50分)、33.6〜80%(50〜50.1分)及び80%(50.1〜55分)となるようにタイムプログラムを設定し、流速を1.0mL/分に調節して溶出した。1つの画分の液量を3.0mLとして分取した。溶出液の210nmにおける吸光度を測定することによって、ペプチドの濃度を測定した。結果を図6Aに示す。得られたA〜Oのそれぞれのピークを回収し、凍結乾燥した。その後、水で再溶解して、上記の方法でモノフェノラーゼ阻害活性を測定した。結果を図6Bに示す。図6Bが示すように、多くのピーク画分において50%以上のモノフェノラーゼ阻害活性が認められた。
さらに、それぞれのピークを単一にするため、Cadenza CD-C18の同じカラムを用いて再逆相クロマトグラフィーによる精製を行った。0.1%トリフルオロ酢酸中で、アセトニトリルの濃度を0%(0〜3分)、0〜30.8%(3〜55分)、30.8〜80%(55〜55.1分)及び80%(55.1〜60分)となるようにタイムプログラムを設定し、流速を1.0mL/分に調節し溶出した。1つの画分の液量を3.0mLとして分取した。溶出液の210nmにおける吸光度を測定することによって、ペプチドの濃度を測定した。この再クロマトグラフィーによって、ほぼ単一になったピークに含まれるペプチドを、MALDI−TOF MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI:Matrix Assisted Laser Desorption Ionization)と飛行時間型(TOF:Time Of Flight)質量分析計(MS)の組み合わせにより、主として生体高分子の質量を決定する装置(以下、「MALDI-TOF質量分析計」ともいう。);商品名:Auto Flex-IIITM;ブルカー・ダルトニクス(株)(BRUKER DALTONICS))を用いてペプチドの同定を行った。
分析には、マトリックスとしてα−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)(ブルカー・ダルトニクス(株))を選択した。アセトニトリルとトリフルオロ酢酸の混合液(100%アセトニトリル:0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)=1:2)にCHCAを溶解してCHCA飽和溶液を調製した。サンプルチューブ内でサンプル溶液とCHCA飽和溶液を1:1で混合して、混合溶液を分析専用プレート(MTP 384 target plate ground steel TF、ブルカー・ダルトニクス(株))に滴下した後、完全に乾燥するまで静置した。キャリブレーションには、キャリブレーション標準品(商品名:Protein Calibration Standard II、ブルカー・ダルトニクス(株))を用いてサンプルと同様に調製と滴下を行った。MALDI-TOF質量分析計の操作には、制御ソフト(商品名:flexControlTM、ブルカー・ダルトニクス(株))を使用した。得られたMSおよびMS/MSスペクトルは、インタラクティブデータ分析ソフト(商品名:flexAnalysisTM、ブルカー・ダルトニクス(株))およびタンパク分析ソフト(商品名:biotoolsTM、ブルカー・ダルトニクス(株))を用いてデータを処理した後、解析ソフト(商品名:Mascot searchTM、ブルカー・ダルトニクス(株))を用いて、NCBIのデータベースと照合し、候補ペプチドの検索を行った。
ピークE画分を同じカラムを用いて再クロマトグラフィーを行った結果を、図7Aに示す。溶出パターンの結果から、それぞれのピーク画分がほぼ単一になったことがわかった。また、得られたそれぞれ単一ピークに含まれるペプチドを、MALDI−TOF MSを用いて同定を行った。ピークに含まれるペプチドとして、配列番号7を同定できた。このペプチドは、Os03g0793700 (RmlC-like jelly roll fold domain containing protein)の48番目から57番目の部分配列であることがわかった。
ピークG画分を同じカラムを用いて再クロマトグラフィーを行った結果を、図7Bに示す。溶出パターンの結果から、それぞれのピーク画分がほぼ単一になったことがわかった。また、得られたそれぞれ単一ピークに含まれるペプチドを、MALDI TOF−MSを用いて同定を行った。ピークに含まれるペプチドとして、配列番号8を同定できた。このペプチドは、Os03g0793700(RmlC-like jelly roll fold domain containing protein)の107番目から112番目の部分配列であることがわかった。したがって、ピークE画分とG画分から同定されたペプチドは、同じタンパク質に含まれることがわかった。
ピークH画分を同じカラムを用いて再クロマトグラフィーを行った結果を、図7Cに示す。溶出パターンの結果から、それぞれのピーク画分がほぼ単一になったことがわかった。また、得られたそれぞれ単一ピークに含まれるペプチドをMALDI TOF−MSを用いて同定を行った。ピークに含まれるペプチドとして、配列番号9を同定できた。このペプチドは、Os03g0197300 (Similar to Cupin family protein)の165番目から171番目の部分配列であることがわかった。
[実施例4〜6]
実施例1と同様にして、配列番号7〜9に記載のペプチド(peptide E、G、H)を化学合成し、純度95%以上のペプチドを得た。得られたペプチド1gを5リットルの水に加えて室温で溶解させ、サンプル溶液を得た。
[試験例6]
実施例4〜6のペプチドを用いて、上記した方法で、モノフェノラーゼ活性を測定した。実施例4〜6の測定結果をそれぞれ図8A〜Cに示す。
図8A〜Cに示されるように、実施例4〜6のペプチドについても、チロシナーゼ阻害活性を有することが確認された。
図6Aの各ピークについてペプチドの同定を試みたが、これまでには6種類のペプチドしか見出せなかった。配列番号7〜9以外のペプチドは、配列番号12〜14のペプチドである。ピークHからは、2種類のペプチドが同定できたが、配列番号9のみに阻害活性を確認できた(配列番号13のペプチドは活性なし)。ピークFとピークJからもペプチドを同定できた(配列番号12、14)が、これらは阻害活性を示さなかった。したがって、図6Bの結果から、多くのピークには、今回同定できなかったチロシナーゼ阻害ペプチドがさらに含まれていると考えられる。
配列番号1と同様に、C末端にチロシンを有するペプチドがチロシナーゼ阻害活性を有していることが示唆された。C末端にチロシンを有するペプチドがチロシナーゼを阻害する理由として、C末端のチロシンがチロシナーゼと結合することにより、チロシナーゼと基質の結合を妨げていることが考えられる。しかしながら、C末端がチロシンではないペプチドもチロシナーゼ阻害活性を有することが報告されている(J. Dermatol. Sci., 51, 158-170(2008); Bichim. Biophys. Acta, 2012 on line/Doi:10.1016/j.bbagen.2012.05.003)。
また、チロシナーゼ阻害活性の強さは、ペプチドのアミノ酸残基の数だけに影響されるのではないことも示唆された。この結果は、ペプチドのC末端のチロシンだけでなく、他のアミノ酸残基もチロシナーゼ阻害に関与していることが示唆された。