JP2013058514A - シリコン基板の再結合ライフタイム測定の前処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 シリコン基板に対して再結合ライフタイムの測定を行うにあたって、信頼性の高い測定値が得られるように前処理を行う方法を提供する。
【解決手段】 シリコン基板の再結合ライフタイムを測定する前に行う前処理方法において、前記シリコン基板を熱処理炉内に搬入する工程と、前記熱処理炉内を酸化性雰囲気下で800℃以上1250℃以下に加熱して前記シリコン基板に酸化膜を形成する工程と、前記熱処理炉内が700℃以上1000℃以下の範囲内の温度のときに、前記熱処理炉内から前記シリコン基板を搬出する工程と、前記シリコン基板にシンター処理を行う工程とを含むことを特徴とするシリコン基板の再結合ライフタイム測定の前処理方法。
【選択図】 図1
【解決手段】 シリコン基板の再結合ライフタイムを測定する前に行う前処理方法において、前記シリコン基板を熱処理炉内に搬入する工程と、前記熱処理炉内を酸化性雰囲気下で800℃以上1250℃以下に加熱して前記シリコン基板に酸化膜を形成する工程と、前記熱処理炉内が700℃以上1000℃以下の範囲内の温度のときに、前記熱処理炉内から前記シリコン基板を搬出する工程と、前記シリコン基板にシンター処理を行う工程とを含むことを特徴とするシリコン基板の再結合ライフタイム測定の前処理方法。
【選択図】 図1
Description
本発明は、シリコン基板の再結合ライフタイムを測定する前に行う前処理方法、及びシリコン基板の再結合ライフタイムの測定方法に関する。
シリコン基板(ウェーハ)中に結晶欠陥が存在したり、シリコン基板が金属不純物で汚染されたりすると、再結合ライフタイムが減少して製品の特性に悪影響を及ぼすため、シリコン基板の再結合ライフタイムを測定する必要性が高まっている。再結合ライフタイムとは、シリコンに電子などのキャリアを注入したときに過剰キャリアの濃度が再結合により例えば1/eに減少するまでの時間である。このような再結合ライフタイムを測定する手法として、μ−PCD法によりシリコン基板全体(バルク)について測定する手法がある。この方法は、シリコン基板にマイクロ波を照射し、続いてシリコン基板により反射されたマイクロ波のパワーをサンプリングして記録装置に取り込み、パワーの減衰曲線から再結合ライフタイム(ウェーハライフタイム)を測定する手法である。この場合、そのまま測定すると表面における再結合が律速になってバルクの情報が見えなくなるため、表面に酸化膜を形成して表面の再結合を抑制することが必要になる。
このため、数msという高感度測定を実現した再結合ライフタイムを実施するためには、低界面準位密度(Dit<1010/cm2・eV)の表面処理が必要であり、例えば酸化膜を形成する場合であれば950℃〜1050℃の加熱雰囲気下で熱酸化を行うことが知られている(例えば、特許文献1参照)。
再結合ライフタイムの測定は、シリコン基板に対する前処理条件、すなわち、酸化膜の形成条件により測定値がばらつき、シリコン基板が持つ本来のライフタイムを把握しにくいという課題がある。このため、熱処理炉が汚染されているのか、又は処理条件の問題なのかが、把握しづらいという課題がある。例えば特許文献1にも記載されているが、熱処理炉からの取り出し温度(搬出温度)を変化させると再結合ライフタイムが低下するが、追加熱処理を行うと回復することから、汚染ではない別要因が絡んでいることが知られている。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、シリコン基板に対して再結合ライフタイムの測定を行うにあたって、信頼性の高い測定値が得られるように前処理を行う方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、シリコン基板の再結合ライフタイムを測定する前に行う前処理方法において、前記シリコン基板を熱処理炉内に搬入する工程と、前記熱処理炉内を酸化性雰囲気下で800℃以上1250℃以下に加熱して前記シリコン基板に酸化膜を形成する工程と、前記熱処理炉内が700℃以上1000℃以下の範囲内の温度のときに、前記熱処理炉内から前記シリコン基板を搬出する工程と、前記シリコン基板にシンター処理を行う工程とを含むことを特徴とするシリコン基板の再結合ライフタイム測定の前処理方法を提供する。
このようにシリコン基板を前処理することにより、スリップの発生等を抑えつつ、酸化膜形成の際の条件に起因する表面準位の影響を排除することができる。その結果、前処理後に行う再結合ライフタイムの測定により、信頼性の高い測定値を得ることができる。
この場合、前記シンター処理を、前記シリコン基板を水素含有雰囲気下において300℃以上500℃以下の温度で熱処理することにより行うことが好ましい。
シンター処理をこのようにして行うことにより、簡便かつ効果的にシリコン基板の表面不活性化を行うことができる。
また、本発明は、上記のいずれかの前処理方法により前処理したシリコン基板の再結合ライフタイムを測定することを特徴とするシリコン基板の再結合ライフタイムの測定方法を提供する。
このように、本発明の前処理方法により前処理したシリコン基板の再結合ライフタイム測定を行うことにより、信頼性の高い測定値を得ることができる。
本発明に係るシリコン基板の再結合ライフタイム測定の前処理方法により、酸化膜形成の際の条件に起因する表面準位の影響を排除することができる。その結果、前処理後に行う再結合ライフタイムの測定において、信頼性の高い測定値を得ることができる。
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1に、本発明に係るシリコン基板の再結合ライフタイム測定の前処理方法の概略を示した。
図1(a)に示したように、まず、再結合ライフタイムを測定しようとするシリコン基板を準備する(工程a)。シリコン基板は単結晶でも多結晶でもよいが、本発明は特に単結晶シリコン基板に好適である。
次に、図1(b)に示したように、工程aで準備したシリコン基板を熱処理炉内に搬入する(工程b)。熱処理炉は、酸化雰囲気での処理が可能なものを用いる必要がある。シリコン基板の熱処理炉への搬入は、保持具に保持して行う。また、複数のシリコン基板を同時に熱処理炉に搬入して、その後の熱処理を複数のシリコン基板に対して同時に行うこともできる。
シリコン基板の熱処理炉への搬入の時点で、熱処理炉内は酸化性雰囲気としておくことが好ましい。また、後述の熱処理を効率よく行うため、搬入の時点で所定の温度(例えば600〜800℃)以上としておくことが好ましい。
シリコン基板の熱処理炉への搬入後、図1(c)に示したように、熱処理炉内を酸化性雰囲気下で800℃以上1250℃以下に加熱してシリコン基板に酸化膜を形成する(工程c)。この熱処理温度はシリコン基板の熱処理炉への搬入時の温度と同じでもよく、また、搬入時の温度から昇温してもよい。熱処理温度が800℃以上であれば、再結合ライフタイムを効果的に改善することができるが、800℃より低い温度では、再結合ライフタイムが十分に改善しない。また、熱処理温度が1250℃以下であれば、一般的な熱処理炉で処理することができる。
また、酸化性雰囲気とは、酸素100%の雰囲気だけではなく、酸素を含有し、シリコン基板の表面に酸化膜を形成できるものであればよい。酸素濃度は例えば10%以上とすることができる。
熱処理時間は、シリコン基板の表面に酸化膜を形成できればよく、特に限定されるものではないが、例えば、10分以上2時間以下とすることができる。熱処理時間が10分以上であればシリコン基板の表面に必要な酸化膜を形成することができ、2時間以下であれば十分な酸化膜を生産性よく形成することができる。
次に、図1(d)に示したように、熱処理炉内が700℃以上1000℃以下の範囲内の温度のときに、熱処理炉内からシリコン基板を搬出する(工程d)。搬入の際と同様に、シリコン基板の熱処理炉からの搬出は、保持具に保持して行う。搬出の前に、熱処理温度から降温してもよいが、熱処理温度によっては、降温することなく搬出を行うこともできる。搬出温度が700℃以上であれば、再結合ライフタイムを効果的に改善することができるが、700℃より低い温度では、再結合ライフタイムが低下する。搬出温度が1000℃以下であれば、一般的な熱処理炉でも搬出を行うことができるとともに、スリップ等の発生を抑制することができる。
図2には、上記の工程b〜工程dにおける、時間経過と熱処理炉の温度の関係の典型的な一例を示した。図2では、搬入してから昇温し、熱処理温度で一定時間保持した後、降温して搬出する例を示している。また、この例示では、搬入から搬出まで一貫して熱処理炉内を酸化性雰囲気としている。ただし、工程bと工程dについては酸化性雰囲気以外で行うこともできる。
熱処理炉からシリコン基板を搬出した後、図1(e)に示したように、シンター処理を行う(工程e)。このシンター処理は、シリコン基板を水素含有雰囲気下において300℃以上500℃以下の温度で熱処理することにより行うことができる。ここでの水素含有雰囲気とは、例えば、窒素やアルゴンのような不活性ガスと水素ガスとの混合ガス雰囲気とすることができ、水素の含有比率は、例えば、1%以上とすることができる。
シンター処理により、再結合ライフタイムが改善されるのは、表面(界面)準位が大きく改善されるためと推定される。また、上述した工程dにおける搬出温度を700℃よりも低下させると、シンター処理を行っても再結合ライフタイムは十分に改善しない。これは、低温であることで過剰な界面準位が導入され、シンター処理だけでは、十分な界面準位の回復(すなわち、界面準位の影響の排除)が行われないことを示唆していると考えられる。
以上のようにして、本発明に係るシリコン基板の再結合ライフタイム測定の前処理方法が完了する。
前処理を行った後は、図1(f)に示したように、このように前処理したシリコン基板の再結合ライフタイムを測定する(工程f)。この再結合ライフタイムの測定は、μ−PCD法等の公知の方法を用いることができる。本発明に係る前処理方法により前処理されたシリコン基板は、酸化膜形成の際の条件に起因する表面準位の影響が排除されている。その結果、前処理後に行う再結合ライフタイムの測定により、信頼性の高い測定値を得ることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
(実施例1)
まず、抵抗率10Ω・cmのボロンドープ、直径200mmのシリコン基板を材料として準備した。このシリコン基板を800℃の酸化性雰囲気下の熱処理炉に搬入し、1000℃まで温度を上げ、1時間処理した後、800℃まで降温して搬出を行った。この間のガス雰囲気はいずれも酸素である。搬出後は、シンター処理として、シリコン基板に対して1%の水素を混合した窒素雰囲気で400℃、30分間の熱処理を行って前処理を完了した。
まず、抵抗率10Ω・cmのボロンドープ、直径200mmのシリコン基板を材料として準備した。このシリコン基板を800℃の酸化性雰囲気下の熱処理炉に搬入し、1000℃まで温度を上げ、1時間処理した後、800℃まで降温して搬出を行った。この間のガス雰囲気はいずれも酸素である。搬出後は、シンター処理として、シリコン基板に対して1%の水素を混合した窒素雰囲気で400℃、30分間の熱処理を行って前処理を完了した。
次に、この前処理を行ったシリコン基板の再結合ライフタイム測定を実施した。このとき使用した測定器は、セミラボ社のWT−2000を使用した。この結果を図3中に示した。本発明に係る処理をすることで、1200μs程度の数値が得られたことがわかる。なお、図3中の再結合ライフタイムの数値は、1枚のシリコン基板内の複数の箇所について測定した値の平均である。
(比較例1、2)
搬出温度を600℃(比較例1)、400℃(比較例2)とした以外は、実施例1と同様にしてシリコン基板に前処理を行い、再結合ライフタイム測定を行った。この結果を図3中に示した。
搬出温度を600℃(比較例1)、400℃(比較例2)とした以外は、実施例1と同様にしてシリコン基板に前処理を行い、再結合ライフタイム測定を行った。この結果を図3中に示した。
実施例1、比較例1、2の結果の比較から、搬出温度を700℃よりも低くすると、シンター処理を行っても再結合ライフタイムが十分に改善しないことがわかる。
(比較例3)
実施例1の比較例として、シンター処理を行わず、再結合ライフタイム測定を行った。すなわち、シリコン基板の準備、熱処理炉への搬入、酸化雰囲気下での熱処理、熱処理炉からの搬出は同様に行い、搬出後、すぐに再結合ライフタイム測定を実施した。この結果を図3中に示した。シンター処理を行わずそのまま測定すると、せいぜい400μs程度の数値しか得ることができなかった。
実施例1の比較例として、シンター処理を行わず、再結合ライフタイム測定を行った。すなわち、シリコン基板の準備、熱処理炉への搬入、酸化雰囲気下での熱処理、熱処理炉からの搬出は同様に行い、搬出後、すぐに再結合ライフタイム測定を実施した。この結果を図3中に示した。シンター処理を行わずそのまま測定すると、せいぜい400μs程度の数値しか得ることができなかった。
実施例1及び比較例3の結果から、本発明の前処理方法により、酸化膜形成の際の条件に起因する表面準位の影響が排除され、前処理後の再結合ライフタイムの測定により、信頼性の高い測定値を得ることができることがわかる。
(比較例4、5)
比較例4、5では、シンター処理を行わないこと以外は、それぞれ、比較例1、2と同じ条件で前処理を行い、再結合ライフタイム測定を行った。結果を図3中に示した。
比較例4、5では、シンター処理を行わないこと以外は、それぞれ、比較例1、2と同じ条件で前処理を行い、再結合ライフタイム測定を行った。結果を図3中に示した。
比較例4、5は、搬出温度がそれぞれ600℃、400℃と低く、また、搬出後にシンター処理を行わなかったため、再結合ライフタイムが極めて低いものとなったと考えられる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
Claims (3)
- シリコン基板の再結合ライフタイムを測定する前に行う前処理方法において、
前記シリコン基板を熱処理炉内に搬入する工程と、
前記熱処理炉内を酸化性雰囲気下で800℃以上1250℃以下に加熱して前記シリコン基板に酸化膜を形成する工程と、
前記熱処理炉内が700℃以上1000℃以下の範囲内の温度のときに、前記熱処理炉内から前記シリコン基板を搬出する工程と、
前記シリコン基板にシンター処理を行う工程と
を含むことを特徴とするシリコン基板の再結合ライフタイム測定の前処理方法。 - 前記シンター処理を、前記シリコン基板を水素含有雰囲気下において300℃以上500℃以下の温度で熱処理することにより行うことを特徴とする請求項1に記載のシリコン基板の再結合ライフタイム測定の前処理方法。
- 請求項1又は請求項2に記載の前処理方法により前処理したシリコン基板の再結合ライフタイムを測定することを特徴とするシリコン基板の再結合ライフタイムの測定方法。
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Citations (3)
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JP2000100884A (ja) * | 1998-09-18 | 2000-04-07 | Tokyo Electron Ltd | シリコン基板の再結合ライフタイム測定の前処理方法 |
JP2009252866A (ja) * | 2008-04-03 | 2009-10-29 | Seiko Instruments Inc | シリコン基板のライフタイム測定の前処理方法 |
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