JP2013058153A - 触覚刺激発生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ユーザに所望の電気的な刺激を与えることが容易で信頼性が高く、しかも安全性の高い触覚刺激発生装置を提供すること。
【解決手段】触覚刺激発生装置1はユーザの指先40に電気的な刺激を与えるためのものであり、絶縁層2に触覚生成電極3群を配設してなる触覚刺激発生シート4を座標入力装置10の前面に設置して使用される。指先40を絶縁層2に近接させると、差動電圧が印加される触覚生成電極3群の+側電極および−側電極と指先40とが容量結合して、+側電極から−側電極へと向かう電流の一部が指先40を通過し、この電流によってユーザに前記刺激が与えられる。その際、+側電極から指先40へ流入する電流量と、指先40から−側電極へ流出する電流量とが同等になるように、電流量制御を行いながら差動電圧を印加する。
【選択図】図7
【解決手段】触覚刺激発生装置1はユーザの指先40に電気的な刺激を与えるためのものであり、絶縁層2に触覚生成電極3群を配設してなる触覚刺激発生シート4を座標入力装置10の前面に設置して使用される。指先40を絶縁層2に近接させると、差動電圧が印加される触覚生成電極3群の+側電極および−側電極と指先40とが容量結合して、+側電極から−側電極へと向かう電流の一部が指先40を通過し、この電流によってユーザに前記刺激が与えられる。その際、+側電極から指先40へ流入する電流量と、指先40から−側電極へ流出する電流量とが同等になるように、電流量制御を行いながら差動電圧を印加する。
【選択図】図7
Description
本発明は、タッチパネル等と呼ばれる座標入力装置の前面に設置されて、操作者(ユーザ)の指先等へ制御された電気的な刺激を与えるための触覚刺激発生装置に関する。
タッチパネルやタッチスクリーン等と呼称される座標入力装置は、ユーザが指先を操作面に近接または接触させたときに、静電容量値等の変化によって操作面上における指先の座標位置を検出し、その座標位置に応じた入力操作を可能にするというものである。この種の座標入力装置はLCD(液晶ディスプレイ)等の表示装置の前面に設置されており、ユーザが表示装置の画面に表示されている所望の操作領域上に指先を置くと、その操作領域の操作内容が実行されるようなっている。なお、この種の座標入力装置の位置検出方式としては、静電容量式や抵抗膜式や表面弾性波式あるいは電磁誘導式など種々のものが知られている。
ところで、この種の座標入力装置では、ユーザが自身の指先を操作面に近接または接触させる際に、指先が操作面の所望位置に置かれていることを目で見て確認する必要がある。すなわち、ユーザの指先が操作面のどこに置かれていても、指先に伝わる感覚には差異が生じないので、ユーザが操作面上における指先位置の視認を怠ると正しく操作することは困難となる。
そこで従来より、操作面に配設した複数の電極にユーザの指先を接触させると、この指先に電気的な刺激が与えられるようにした触覚刺激発生装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この従来例では、操作面に多数の電極が碁盤目状に配設されており、ユーザが操作面の所望位置に指先を押し当てると、その指先に2つ以上の電極が接触することにより、これら複数の電極間で電気特性(インピーダンス等)が変化して位置検出が行えるようになっている。また、これら複数の電極に所定のパルス信号を供給することによって、ユーザの指先に電気的な刺激が与えられるようになっているため、この刺激を擬似的な触覚として感知するユーザに対して、操作面の所望位置に指先が触れていることをフィードバックできるようになっている。
また、他の従来例として、絶縁体に覆われた電極に高電圧源から低周波(例えば100〜300Hz)の電気信号を供給し、この絶縁体に近接または接触させたユーザの指先と該電極とを絶縁体を介して容量結合させることにより、電気信号に基づく刺激を指先のパチニ小体等に感知させるようにした触覚刺激発生装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この従来例では、電極との容量結合によってユーザの指先に電荷が励起されるため、電気信号の周波数等を制御して各種の電気的な刺激を指先に与えることができるようになっている。
しかしながら、特許文献1に開示されている従来の触覚刺激発生装置は、ユーザの指先を電極に接触させることによって電気的な刺激が与えられるというものなので、指先に付着している汗や皮脂等によって通電が妨げられることがある。そのため、この従来例においては、所望の触覚刺激を指先に生起させることが容易でなく、高信頼性が期待できないという問題があった。なお、電極への供給電流量を増大させれば、皮脂等で通電が妨げられても確実に触覚刺激を生起させることができるが、その場合には、指先に与えられる電気的な刺激が強すぎてユーザに痛みを感じさせてしまう虞がある。
これに対して、特許文献2に開示されている従来の触覚刺激発生装置は、ユーザの指先が電極に接触しないので上記のような問題は発生しない。しかるに、この従来例では、ユーザの身体の一部が金属等に触れてアース(接地)されている状態で、その指先を高電圧(例えば1kV)の電気信号が供給された電極に容量結合させたときに、電気信号の電圧変化に伴う交流結合によって、ユーザの体内へ異常電流が流れ込んで感電する虞があるため、安全性の確保という点で改善の余地があった。
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、ユーザに所望の電気的な刺激を与えることが容易で信頼性が高く、しかも安全性の高い触覚刺激発生装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明は、ユーザの指先等の身体特定部が近接したときにその座標位置を検出可能な座標入力装置の前面に設置して使用され、前記身体特定部に制御された電気的な刺激(触覚刺激)を付与可能な触覚刺激発生装置において、位相差が180度の差動電圧が印加されるプラス側電極およびマイナス側電極からなる複数の触覚生成電極と、これら複数の触覚生成電極を覆う位置に延在して前記プラス側電極とこれに隣接する前記マイナス側電極とを容量結合させる絶縁層とを備え、前記絶縁層に近接または接触させた前記身体特定部を前記プラス側電極およびマイナス側電極と容量結合させることによって前記刺激を生起させるようにした。
ここで、触覚生成電極への電気的な刺激信号がパルス状のものである場合、刺激信号の持つ周波数成分が高くなるため、触覚生成電極と容量(C)結合される身体特定部での交流結合インピーダンスは低くなり、指先等の身体特定部に電流が流れやすくなる。したがって、高い周波数成分(パルス駆動等)主体での刺激信号時には、交流結合による差動電圧に起因する電流(プラス側電極からマイナス側電極へと向かう電流の一部)が指先等の身体特定部を通過して刺激を生起させることができる。一方、触覚生成電極への電気的な刺激信号がSin波形等である場合、刺激信号の持つ周波数成分がパルス波形に対して低くなるため、触覚生成電極と容量(C)結合される身体特定部での交流結合インピーダンスは高くなり、身体特定部に電流は流れにくくなる。したがって、低い周波数成分(Sin波形等)主体での刺激信号時には、触覚生成電極と身体特定部に誘起もしくはチャージされた電荷によるクーロン力で発生する皮膚変形が支配的となる刺激を生起させることができる。
このように構成された触覚刺激発生装置では、差動電圧が印加されるプラス側電極およびマイナス側電極に対して、ユーザの指先等の身体特定部が絶縁層を介して容量結合されるため、刺激信号の持つ周波数成分がSin波形等のように低い場合だけでなく、パルス駆動等のように高い場合であっても、プラス側電極から身体特定部へ流入する電流がユーザの体内へほとんど漏れずにマイナス側電極へ流出するようになる。つまり、指先等の身体特定部には、触覚刺激発生装置の動作時に局所的に電位差を生じて電流が流れるものの、全体としては電位変動がほぼゼロなので、ユーザの身体の一部が金属等に触れてアースされていても、ユーザの体内へ異常電流が流れ込んで感電する虞がない。そして、振幅や周波数を制御した電気信号に基づく電流もしくは励起電荷による刺激を指先等の身体特定部に印加することができるため、この電気刺激による刺激を擬似的な触覚としてユーザに感知させることができる。また、操作時にユーザは指先等の身体特定部を触覚生成電極(プラス側電極やマイナス側電極)に接触させるわけではないので、この身体特定部に汗や皮脂等が付着していても電気的な刺激にはさほど影響せず、それゆえ振幅や周波数を適宜設定した電気信号に基づく所望の触覚刺激をユーザに与えることが容易である。
上記の触覚刺激発生装置において、プラス側電極から指先等の身体特定部へ流入する電流量と、この身体特定部からマイナス側電極へ流出する電流量とが同等になるように、電流量制御を行いながら触覚生成電極に差動電圧を印加するようにしてあると、ユーザの身体が帯電している場合にも、電気的な刺激が与えられる指先等の身体特定部に電位変動はほとんど起こらなくなる。それゆえ、強い触覚刺激を生成するために触覚生成電極に印加する差動電圧を若干高めに設定した場合にも、ユーザが感電する虞はなくなって、安全性を一層向上させることができる。
本発明の触覚刺激発生装置は、絶縁層に近接または接触させた指先等の身体特定部を、差動電圧が印加されるプラス側電極およびマイナス側電極と容量結合させることによって、差動電圧に起因する電流が身体特定部を通過して電気的な刺激が生起され、もしくは身体特定部に励起される電荷により電気的な刺激が生起されるようにしてあるため、ユーザの身体の一部が金属等に触れてアースされていても、ユーザの体内へ異常電流が流れ込むことを防止できる。また、操作時にユーザは身体特定部を触覚生成電極(プラス側電極やマイナス側電極)に接触させるわけではないので、指先等の身体特定部に汗や皮脂等が付着していても電気的な刺激にはさほど影響しない。それゆえ、本発明の触覚刺激発生装置は、ユーザに所望の触覚刺激を与えることが容易で信頼性が高く、しかも安全性が高いという優れた効果を奏する。
以下、発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。まず、図1〜図7を参照しながら本発明の第1実施形態例について詳しく説明する。
図1は、第1実施形態例に係る触覚刺激発生装置1の触覚刺激発生シート4を、座標入力装置10のX座標検出シート11およびY座標検出シート12の前面(図の上方)に設置した場合の使用例を示している。この触覚刺激発生シート4は、PET(ポリエチレンテレフタレート)等からなる透明な絶縁層2の片面に多数の触覚生成電極3を配設して構成されている。触覚刺激発生シート4の前面には、カバー体20の透明保護シート21が配置されており、この透明保護シート21の表面が操作面となっている。座標入力装置10は静電容量式と呼ばれる検出方式であり、X座標検出シート11とその前面に積層されたY座標検出シート12とが協働して座標検出を行う。X座標検出シート11は図示せぬ表示装置(例えばLCD)の前面に設置されており、Y座標検出シート12の前面に触覚刺激発生シート4が配置されている。
座標入力装置10はタッチパネルやタッチスクリーン等と呼ばれるシート状の座標入力装置であり、ユーザが自身の指先を操作面(透明保護シート21の表面)に接触させると、静電容量値が変化して指先の座標位置が検出されるため、指先の座標位置に応じた入力操作が行えるようになっている。すなわち、ユーザが、LCD等の表示装置の画面に表示されている所望の操作領域上に指先を置くと、その操作領域の操作内容が実行されるようなっている。
座標入力装置10のX座標検出シート11には、PET等からなる透明な絶縁層13の片面に菱形形状の第1電極14が多数配設されており、これら第1電極14は透明電極として均等な分布で配置されて第1の検出電極群を構成している。図3に示すように、第1の検出電極群のうち複数の第1電極14はY軸方向(図示縦方向)に一列に並んで連結されており、この第1電極14の列がX軸方向(図示横方向)に等間隔に分散配置されている。そのため、どの列の第1電極14がユーザの指先と相互作用しているのかを示す検出データに基づいて、操作面上における指先のX座標を検出することができる。また、座標入力装置10のY座標検出シート12には、PET等からなる透明な絶縁層15の片面に菱形形状の第2電極16が多数配設されており、これら第2電極16は透明電極として均等な分布で配置されて第2の検出電極群を構成している。図4に示すように、第2の検出電極群のうち複数の第2電極16はX軸方向に一列に並んで連結されており、この第2電極16の列がY軸方向に等間隔に分散配置されている。そのため、どの列の第2電極16がユーザの指先と相互作用しているのかを示す検出データに基づいて、操作面上における指先のY座標を検出することができる。
ただし、X座標検出シート11の全ての第1電極14とY座標検出シート12の全ての第2電極16は、平面視で重なり合わないように配置されている。すなわち、第1の検出電極群において隣接する第1電極14間に形成される隙間の前方にそれぞれ第2電極16が位置し、且つ、第2の検出電極群おいて隣接する第2電極16間に形成される隙間の後方にそれぞれ第1電極14が位置するという配置にしてある。後述するように、第1電極14と第2電極16を前方へ投影した位置に触覚刺激発生シート4の触覚生成電極3がそれぞれ配置されており、これら第1電極14と第2電極16および触覚生成電極3の三者は形状および大きさが同等に形成されている。
なお、座標入力装置10の検出原理は公知であるため詳細な説明を省略するが、ユーザが指先を近接させると、この指先の近傍で第1電極14と第2電極16との間の静電容量値が減少することにより、この容量値変化に基づいて指先の座標位置を検出できるようになっている。
触覚刺激発生装置1は、座標入力装置10によって座標位置が検出された指先に対して、制御された電気的な刺激(触覚刺激)を与えるためのものであり、図6に例示した回路を2つもしくはそれ以上使用して、触覚生成電極3群に差動電圧を印加するようになっている。図6において、Vinは±2V範囲内の指令信号であり、Voutは触覚生成電極3への±2kV範囲内の電気信号となる。Vinの指令信号と演算アンプ6の基準電圧であるGND(0V)との電圧差が演算アンプ6で増幅されたのち、ドライブ回路7の出力電圧が指令値に従った電圧を出力するように帰還回路8を介してフィードバックされて安定化される。ドライブ回路7の出力は、絶縁アンプ5の2入力に接続されている抵抗9を介して触覚生成電極3群に印加される。このとき、抵抗9の両端にあらわれる電圧差は抵抗9に流れる電流量に比例することから、ドライブ回路7から触覚生成電極3群に流れる電流量は、抵抗9の両端電圧差を絶縁アンプ5にて演算取得することにより電流情報Iを取り出せるようになっている。これにより、触覚生成電極3群を構成するプラス側電極およびマイナス側電極に高圧と低圧をそれぞれ印加し、プラス側電極に流れる電流情報Iとマイナス側電極に流れる電流情報Iをそれぞれ取り出せるようになっている。プラス側電極からユーザの指先へ流入する電流量と、この指先からマイナス側電極へ流出する電流量とが同等になるように、得られた電流情報Iをモニタしながら電流量制御を行って差動電圧を印加するようにしてある。例えば、刺激信号がパルス状のものであるならば、ユーザの指先へ流入する電流量を減らす場合は、パルスの立ち上がり角度が緩やかになるような制御を行う。
図5に示すように、触覚刺激発生シート4には、透明電極からなる菱形形状の触覚生成電極3が高密度に分散配置されている。これら多数の触覚生成電極3のうち、図5の左端に位置する触覚生成電極3aはY軸方向(図示縦方向)に沿って分散配置されており、図5の上端に位置する触覚生成電極3bはX軸方向(図示横方向)に沿って分散配置されている。そして、触覚生成電極3a群と触覚生成電極3b群とに差動電圧が印加されるようにしてある。図5において、触覚生成電極3bを先頭にY軸に沿って並ぶ触覚生成電極3の電極列Bは、同方向に並ぶ第1電極14の列(図3参照)と平面視で重なり合っているため、触覚生成電極3bに電圧が印加されると、第1電極14を介して電極列Bの残余の触覚生成電極3に触覚生成電極3bと同じ電荷が励起される。同様に、触覚生成電極3aを先頭にX軸に沿って並ぶ触覚生成電極3の電極列Aは、同方向に並ぶ第2電極16の列(図4参照)と平面視で重なり合っているため、触覚生成電極3aに電圧が印加されると、第2電極16を介して電極列Aの残余の触覚生成電極3に触覚生成電極3aと同じ電荷が励起される(図2参照)。つまり、第1電極14と第2電極16を前方へ投影した位置にそれぞれ触覚生成電極3が配設されており、且つ、各電極3,14,16が同じ大きさの菱形状に形成されているため、触覚生成電極3は第1電極14や第2電極16と容量結合しやすくなっている。
次に、このように構成された触覚刺激発生装置1の動作について説明する。図7に示すように、ユーザが自身の指先40を操作面(透明保護シート21の表面)に接触させると、この指先40の座標位置が座標入力装置10によって検出されるが、操作面上の特定領域に指先40が置かれたときには、その領域に応じて所定の電気的な刺激(触覚刺激)が触覚刺激発生装置1によって指先40に与えられる。この電気的な刺激は、触覚生成電極3群に交流的に位相差が180度の差動電圧を印加することにより、操作面上の指先40に電流が流れて生じる、もしくは指の皮膚に励起された電荷により発生するものである。
すなわち、差動電圧が印加されると、触覚生成電極3群を構成する前述した電極列Aと電極列Bは、交互に一方が他方に対して相対的にプラス側電極になって他方がマイナス側電極になる。触覚生成電極3群を覆う位置に延在している絶縁層2にユーザの指先40が近接していないとき、プラス側電極とこれに隣接するマイナス側電極は絶縁層2を介して容量結合されているが、図7に示すように、指先40が操作面(透明保護シート21の表面)に接触すると、絶縁層2および透明保護シート21を介して指先40が近傍のプラス側電極3およびマイナス側電極3と容量結合される。その結果、差動電圧によってプラス側電極3からマイナス側電極3へと向かう電気力線の一部が指先40を通過するようになり、これにより電気的な刺激(電流もしくは励起電荷あるいは相互効果による刺激)を指先40に与えることができる。この電気的刺激信号は、触覚刺激発生装置1によって振幅や周波数が制御された電気信号(パルス信号等)なので、指先40に電流が流れて生起される刺激、もしくは指皮膚に励起された電荷による刺激を擬似的な触覚としてユーザに感知させることができ、例えばクリック感のような触覚刺激を感知させることも容易である。したがって、このような触覚刺激発生装置1を座標入力装置10と併用することによって、指先40が操作面上のどの領域に置かれているのかを触覚刺激としてユーザにフィードバックできるようになる。
以上説明したように、本実施形態例に係る触覚刺激発生装置1では、ユーザが指先40を触覚刺激発生シート4の絶縁層2に近接させたとき、差動電圧が印加される触覚生成電極3群のプラス側電極およびマイナス側電極と指先40とが容量結合して、差動電圧に起因する電気力線(プラス側電極からマイナス側電極へと向かう交流電流経路の一部)が指先40を通過するようにしてあるため、プラス側電極から指先40へ流入する電流がユーザの体内へほとんど漏れずにマイナス側電極へ流出する。つまり、触覚刺激発生装置1の動作時に、指先40には局所的に電位差を生じて電流が流れるものの、全体としては電位変動がほぼゼロなので、ユーザの身体の一部が金属等に触れてアースされていても、ユーザの体内へ異常電流が流れ込んで感電する虞はなく、安全性の高い触覚刺激発生装置1となっている。
しかも、本実施形態例においては、触覚生成電極3群のプラス側電極から操作面上の指先40へ流入する電流量と、この指先40からマイナス側電極へ流出する電流量とが同等になるように、電流量制御を行いながら差動電圧を印加するので、ユーザの身体が帯電している場合にも、電気的な刺激が与えられる指先40に電位変動はほとんど起こらない。それゆえ、強い触覚刺激を生成するために触覚生成電極3に印加する差動電圧を若干高めに設定した場合でも、ユーザが感電する虞はない。つまり、この触覚刺激発生装置1は、感電事故を防止するための安全対策に格別の配慮がなされている。
また、本実施形態例に係る触覚刺激発生装置1は、操作時にユーザが指先40を触覚生成電極3に直接接触させるわけではないので、指先40に汗や皮脂等が付着していても電気的な刺激にはさほど影響しない。それゆえ、この触覚刺激発生装置1は、振幅や周波数を適宜設定した電気信号に基づく所望の触覚刺激をユーザに与えることが容易となり、信頼性が高いものとなっている。そして、この触覚刺激発生装置1を座標入力装置10と併用することによって、指先40が操作面上のどの領域に置かれているのかを触覚刺激としてユーザにフィードバックできるため、誤操作が防止しやすくなって座標入力装置10の使い勝手が大幅に向上する。例えば、ユーザが走行中の自動車の運転者であっても、前方視界への注意を怠らずに正しく操作できるようになる。
また、本実施形態例に係る触覚刺激発生装置1では、触覚生成電極3群が座標入力装置10の第1および第2の検出電極群(第1電極14や第2電極16)と平面視で重なり合う位置に分散配置されているため、座標入力装置10にとって各触覚生成電極3は浮遊容量の増加要因となるのみである。つまり、座標入力装置10は初期容量の増加分をキャンセル処理すれば触覚生成電極3の影響を取り除いた正確な位置検出が行えるため、この触覚刺激発生装置1は、検出方式が静電容量式の座標入力装置10との併用に好適である。
特に、本実施形態例の場合、座標入力装置10の第1電極14と第2電極16を前方へ投影した位置にそれぞれ触覚生成電極3を配設し、これら第1電極14と第2電極16および触覚生成電極3の三者を同等の形状および大きさに形成しているため、座標入力装置10に対する触覚生成電極3の影響が複雑にならず、前述したキャンセル処理を簡単に行うことができる。しかも、各触覚生成電極3が相対向する第1電極14や第2電極16と容量結合させやすいことから、分散配置されたひと連なりの触覚生成電極3に対する電気信号の供給が、第1電極14や第2電極16を介して確実に行えるようになっている。
さらに、本実施形態例においては、触覚生成電極3が菱形(つまり第1電極14と第2電極16も菱形)に形成されており、第1電極14や第2電極16と容量結合させやすい十分な大きさの触覚生成電極3を高密度に配設できるようになっている。そのため、この触覚刺激発生装置1は、操作面内の任意の場所でユーザの指先40に所望の触覚刺激を与えることが容易である。
なお、上記した第1実施形態例では、図5に示すように、触覚生成電極3群に差動電圧が印加されるとき、全ての電極列Aと全ての電極列Bが交互にプラス側電極とマイナス側電極になるため、ユーザの指先が操作面上のどこに置かれていても触覚刺激が与えられるようになっている(ただし指先の座標位置は座標入力装置10にて検出可能)。これに対して、図8の変形例に示すように、電極列Aや電極列Bに対して列ごとに電圧を印加できるようにしてあると、特定の電極列Aと特定の電極列Bだけを選択して差動電圧を印加することができるため、例えば、操作面上の所定領域に置かれた指先だけに触覚刺激が与えられ、別の領域に置かれた別の指先には触覚刺激が与えられないように設定することが可能となる。また、電極列Aや電極列Bに対して列ごとに電圧を印加できるようにしてあると、触覚刺激を生成するための各種電気信号(振幅や周波数が相異なる電気信号)を操作面上の領域ごとに予め設定しておくことが容易となる。
図9と図10は、本発明の第2実施形態例に係る触覚刺激発生装置を、検出電極群が平面視で格子状にパターニングされている座標入力装置と組み合わせた場合の使用例を示しており、図1と対応する部分には同一符号が付してある。
第2実施形態例に係る座標入力装置10も位置検出方式は静電容量式であり、X座標検出シート11上にY座標検出シート12を積層した構成になっているが、各検出シート11,12に設けられた検出電極群はライン状に形成されている。また、Y座標検出シート12の前面に触覚刺激発生シート4が設置されており、触覚刺激発生シート4の前面にはカバー体20の透明保護シート21が配置されている。
図9の分解斜視図と図10の要部平面図に示す座標入力装置10において、透明電極からなる検出電極群は、Y軸に沿って延在する第1帯状電極17をX軸方向に等間隔に分散配置させた第1の検出電極群と、X軸に沿って延在する第2帯状電極18をY軸方向に等間隔に分散配置させた第2の検出電極群とで構成されている。第1帯状電極17はX座標検出シート11の絶縁層13の片面に配設されており、第2帯状電極18はY座標検出シート12の絶縁層15の片面に配設されている。そして、これら両検出シート11,12を積層することによって、第1帯状電極17と第2帯状電極18とが平面視で格子状に配置されるようになっている。なお、この格子のマス目の大きさは、操作時にユーザの指先に覆われる領域に比べて十分に小さく設定されている。そのため、ユーザの指先が操作面(透明保護シート21の表面)のどこに置かれても、この指先は必ず第1帯状電極17や第2帯状電極18の前方に位置することになり、その座標位置を高精度に検出することができるようになっている。
また、この第2実施形態例において、触覚刺激発生シート4の絶縁層2の片面には、第1帯状電極17および第2帯状電極18と平面視で重なり合う位置に、透明電極からなる方形状の触覚生成電極3が多数分散配置されている。これら多数の触覚生成電極3のうち、図9で右端に配設されている複数の触覚生成電極3cと左端に配設されている複数の触覚生成電極3dとに差動電圧が印加されるようにしてある。触覚生成電極3cを先頭にX軸に沿って並ぶ触覚生成電極3の電極列Cと、触覚生成電極3dを先頭にX軸に沿って並ぶ触覚生成電極3の電極列Dとが、Y軸方向に交互且つ等間隔に並ぶように触覚生成電極3群が配設されているため、触覚生成電極3c,3dに差動電圧が印加されると、第2帯状電極18を介して、電極列Cと電極列Dは一方がプラス側電極の列となり他方がマイナス側電極の列となる。すなわち、差動電圧が印加されると、電極列Cや電極列DのようにX軸に沿って並ぶ触覚生成電極3には、第2帯状電極18との容量結合によって先頭の触覚生成電極3cや触覚生成電極3dと同じ電荷が励起されるため、触覚刺激発生シート4の触覚生成電極3群は、プラス側電極の列とマイナス側電極の列を等間隔に交互に並べた構成になる。したがって、透明保護シート21上に置かれたユーザの指先を近傍のプラス側電極およびマイナス側電極と容量結合させて、この指先に差動電圧に起因する電流(プラス側電極からマイナス側電極へと向かう電流の一部)を流すことができる。また、指先の皮膚に差動電圧に起因する励起された電荷による刺激を発生させることもできる。つまり、本実施形態例に係る触覚刺激発生装置1は、第1および第2帯状電極17,18を有する座標入力装置10によって座標位置が検出されたユーザの指先に対して、その座標位置に応じた電気的な刺激(触覚刺激)を与えることができる。
このように静電容量式の座標入力装置10の検出電極群がライン状に形成されており、第1帯状電極17と第2帯状電極18とが平面視で格子状に配置されている場合には、この種の座標入力装置10の前面に第2実施形態例に係る触覚刺激発生シート4を設置することによって、格子のマス目よりも大きな指先に所望の触覚刺激を与えることができる。かかる第2実施形態例においては、触覚生成電極3群をさほど高密度に配設する必要がないため、触覚刺激発生シート4の製造は容易である。
なお、上記した第2実施形態例では、第1および第2帯状電極17,18が平面視で交わる領域(交点領域)を覆う位置に触覚生成電極3を配置させているが、いずれの帯状電極17,18とも略対称な位置関係にあれば、触覚生成電極3を平面視で前記交点領域からずらした位置で第1帯状電極17または第2帯状電極18と重なり合わせてもよい。
図11は、本発明の第3実施形態に係る触覚刺激発生装置を、検出方式が抵抗膜式(アナログ抵抗膜式)の座標入力装置と組み合わせた場合の使用例を示しており、図1と対応する部分には同一符号が付してある。
第3実施形態に係る座標入力装置30の座標検出パネル31は、透明電極を構成する2枚の抵抗膜がスペーサを介して対向させてあり、そのうち1枚の抵抗膜に対して電圧がかけられている。そして、ユーザが操作面(透明保護シート21の表面)に指先を押し当てると、押された位置に応じた電圧が2枚目の抵抗膜に発生するため、その電圧を検知することによって操作した指先の座標位置を検出することができる。この座標検出パネル31はLCD(液晶ディスプレイ)50の画面51の前面に設置されており、ユーザが、画面51に表示されている所望の操作領域上に指先を押し当てると、指先の座標位置が検出されることから、その操作領域の操作内容が実行されるようなっている。
第3実施形態において、触覚刺激発生シート4は座標検出パネル31の前面に設置されている。この触覚刺激発生シート4の絶縁層2の片面には、透明電極からなる一対の櫛歯状電極3e,3fが噛み合うように対向して設けられており、これら櫛歯状電極3e,3fによって触覚生成電極3が構成されている。櫛歯状電極3eと櫛歯状電極3fには差動電圧が印加されて、一方がプラス側電極となり他方がマイナス側電極となる。図11に示すように、櫛歯状電極3eと櫛歯状電極3fは細長く、且つ、両電極3e,3f間の隙間は狭いため、ユーザの指先が透明保護シート21上に置かれると、この指先は必ず櫛歯状電極3e,3fを跨ぐことになる。それゆえ、櫛歯状電極3e,3fに差動電圧が印加されると、ユーザの指先が近傍の櫛歯状電極3e,3fと容量結合して、差動電圧に起因する電流(プラス側電極からマイナス側電極へと向かう電流の一部)が指先を通過し、この指先に電気的な刺激(触覚刺激)が生起される。また、指先の皮膚に差動電圧に起因する励起された電荷による刺激を発生させることもできる。つまり、座標検出パネル31を有する抵抗膜式の座標入力装置30によって座標位置が検出されたユーザの指先に対して、その座標位置に応じた触覚刺激を与えることができる。
なお、第3実施形態に係る触覚刺激発生装置は、表面弾性波式や赤外線式あるいは電磁誘導式など他の検出方式の座標入力装置と組み合わせて使用する際にも好適である。
1 触覚刺激発生装置
2 絶縁層
3,3a〜3d 触覚生成電極
3e,3f 櫛歯状電極(触覚生成電極)
3A〜3D 電極列
4 触覚刺激発生シート
5 絶縁アンプ
7 ドライブ回路
8 帰還回路
10,30 座標入力装置
11 X座標検出シート
12 Y座標検出シート
14 第1電極
16 第2電極
17 第1帯状電極
18 第2帯状電極
21 透明保護シート
31 座標検出パネル
40 指先(身体特定部)
50 LCD
2 絶縁層
3,3a〜3d 触覚生成電極
3e,3f 櫛歯状電極(触覚生成電極)
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10,30 座標入力装置
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14 第1電極
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17 第1帯状電極
18 第2帯状電極
21 透明保護シート
31 座標検出パネル
40 指先(身体特定部)
50 LCD
Claims (2)
- ユーザの指先等の身体特定部が近接したときにその座標位置を検出可能な座標入力装置の前面に設置して使用され、前記身体特定部に制御された電気的な刺激を付与可能な触覚刺激発生装置であって、
位相差が180度の差動電圧が印加されるプラス側電極およびマイナス側電極からなる複数の触覚生成電極と、これら複数の触覚生成電極を覆う位置に延在して前記プラス側電極とこれに隣接する前記マイナス側電極とを容量結合させる絶縁層とを備え、前記絶縁層に近接または接触させた前記身体特定部を前記プラス側電極およびマイナス側電極と容量結合させることによって前記刺激を生起させることを特徴とする触覚刺激発生装置。 - 請求項1の記載において、前記プラス側電極から前記身体特定部へ流入する電流量と、この身体特定部から前記マイナス側電極へ流出する電流量とが同等になるように、電流量制御を行いながら前記触覚生成電極に前記差動電圧を印加することを特徴とする触覚刺激発生装置。
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