JP2013057549A - 光断層画像取得方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】スペックルノイズの影響が低減されて高画質であって高い空間分解能を有する光断層画像を取得することができる方法を提供する。
【解決手段】測定光の集光ビームサイズと等しい又はこれより小さいXY平面上の区間において複数の照射位置に測定光を照射して複数の断層像を得て、これら複数の断層像を平均化することで該区間のZ方向の1次元断層像を取得する。そして、XY平面上の複数の区間それぞれについて取得したZ方向の1次元断層像に基づいて対象物2の2次元または3次元の光断層画像を取得する。
【選択図】図2

Description

本発明は、光断層画像取得方法に関するものである。
光コヒーレンストモグラフィ(Optical CoherenceTomography: OCT)に拠る光断層画像取得技術は、光の干渉を用いて対象物の深さ方向の反射量分布を測定することができる。この光断層画像取得技術は、高い空間分解能で対象物の内部の構造を画像化することができることから、近年では生体計測に応用されている。
OCTに拠る光断層画像取得技術は、光源部から出力される光を2分岐して参照光および測定光とし、参照光を反射体に照射したときに該反射体で生じる反射光と、測定光を対象物に照射したときに該対象物で生じる拡散反射光とを干渉させ、当該干渉光のパワーを検出部により検出し、この検出結果を解析することで対象物の深さ方向(測定光照射方向、Z方向)の反射情報分布(1次元断層像)を得る。さらに、対象物への光照射位置をZ方向に垂直な方向に1次元走査することで、対象物の2次元断層画像を取得することができる。また、対象物への光照射位置をZ方向に垂直な方向に2次元走査することで、対象物の3次元断層画像を取得することができる。
OCTのうちTD-OCT(time-domainOCT)は、コヒーレンス長が短い光を出力する光源部を用いたときに、光源部から検出部までの両光の光路長差がある場合には干渉光の振幅が小さく、光源部から検出部までの両光の光路長差がない場合にのみ干渉光の振幅が大きくなることを利用する。このTD-OCTでは、反射体の位置に応じた対象物の深さ方向位置の反射情報を得ることができるので、反射体を移動させながら干渉光振幅を検出することにより、対象物の深さ方向の反射情報分布(1次元断層像)を得ることができる。
一方、OCTのうちFD-OCT(Fourier-domainOCT)は、干渉信号の波長依存性を利用するものであって、TD-OCTと比べると対象物の断層画像を取得する時間が短い。光源部から出力される光を参照光と測定光とに等分した場合、光源部から出力される光のパワーをP、光の波数をk(=2π/λ)、対象物の深さ方向位置をz、対象物での反射率をR、反射体での反射率をRで表したとき、波数kの光についての干渉信号の強度P(k)は、以下の式で表される。
P(k)=P/4{R+R+2(R)1/2cos(2kz)}
この式から判るように、波数kの光についての干渉信号の強度P(k)は、対象物での反射率Rの2分の1乗に比例する振幅で、対象物の深さ方向位置zに応じた周期で振動する。したがって、検出部により検出される干渉信号のスペクトルを波数軸2kでフーリエ変換すると、その結果は、対象物の深さ方向位置zでの反射率R(すなわち、深さ方向の反射率分布)を表すものとなる。FD-OCTは、このことを利用する。
すなわち、FD-OCTでは、対象物に対して光を照射したときに、その光が対象物の内部まで浸透し光軸に沿った各位置で拡散反射が生じると、検出部により検出される干渉信号は、対象物の内部の各位置についての信号が重なり合った形で現れる。このような干渉信号をフーリエ変換すると、対象物の深さ方向の反射分布(1次元断層像)が直接求められる。FD-OCTでは、スペクトルを測定する必要があるので、検出部として分光器を用いる。
OCTに拠る光断層画像取得技術によって高画質の光断層画像を取得するには、装置構成,測定方法およびデータ処理方法の適切な選択が重要である。特に、OCTでは、光の干渉を利用しているので、取得される光断層画像にスペックルノイズが生じ易いという問題がある。そこで、スペックルノイズの影響を低減して高画質の光断層画像を取得するために、複数の断層像を平均化する処理が行われる。
特許文献1に開示されたOCTに拠る光断層画像取得技術は、対象物の深さ方向(Z方向)に垂直なXY平面上で複数の照射位置に測定光を照射して複数の断層像を得て、これら複数の断層像を平均化することで、スペックルノイズの影響が低減された高画質の光断層画像を取得することを図っている。
特開2011−95005号公報
しかしながら、スペックルノイズの影響の低減を図るべく複数の断層像を平均化する処理をしても、スペックルノイズの影響を充分に低減することができない場合があり、また、光断層画像の空間分解能が低下する場合があることを、本発明者は見出した。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、スペックルノイズの影響が低減されて高画質であって高い空間分解能を有する光断層画像を取得することができる方法を提供することを目的とする。
本発明の光断層画像取得方法は、光源部から出力される光を2分岐して参照光および測定光とし、参照光を反射体に照射したときに該反射体で生じる反射光と、測定光を対象物に照射したときに該対象物で生じる拡散反射光とを干渉させ、当該干渉光のパワーを検出部により検出し、当該検出結果に基づいて対象物の光断層画像を取得する方法であって、対象物への測定光の照射の方向をZ方向とし、このZ方向に垂直であって互いに直交する2方向をX方向およびY方向としたとき、測定光の集光ビームサイズと等しい又はこれより小さいXY平面上の区間において複数の照射位置に測定光を照射して複数の断層像を得て、これら複数の断層像を平均化することで区間のZ方向の1次元断層像を取得し、XY平面上の複数の区間それぞれについて取得したZ方向の1次元断層像に基づいて対象物の2次元または3次元の光断層画像を取得することを特徴とする。
本発明の光断層画像取得方法では、XY平面上の区間における測定光の複数の照射位置のうち最も離れた2つの照射位置の間隔が測定光の集光ビームサイズの半分以上であるのが好適である。XY平面上の区間における測定光の複数の照射位置が等間隔であるのが好適である。また、XY平面上の区間における測定光の照射位置の数が10以下であるのが好適である。
本発明によれば、スペックルノイズの影響が低減されて高画質であって高い空間分解能を有する光断層画像を取得することができる。
光断層画像取得装置1の概略構成を示す図である。 本実施形態の光断層画像取得方法の第1設定例を説明する図である。 本実施形態の光断層画像取得方法の第2設定例を説明する図である。 本実施形態の光断層画像取得方法の第3設定例を説明する図である。 本実施形態の光断層画像取得方法の第4設定例を説明する図である。 1次元断層像における反射強度と深さ方向(Z方向)位置との関係を示すグラフである。 対象物2として寒天を用いた場合における照射位置数と回帰誤差との関係を示すグラフである。 対象物2としてラードを用いた場合における照射位置数と回帰誤差との関係を示すグラフである。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図1〜図5では説明の便宜の為にXYZ直交座標系が示されている。
図1は、光断層画像取得装置1の概略構成を示す図である。光断層画像取得装置1は、OCTに拠って対象物2の光断層画像を取得するものであって、光源部10、干渉部20、参照部30、測定部40、検出部50、解析部60および表示部70を備える。
光源部10は、帯域を有する光を出力する。OCTでは、対象物2の深さ方向の空間分解能は光の帯域幅に反比例し、スペクトル形状にも依存する。したがって、光源部10として、広帯域かつ平坦度の高いスペクトルを有した光を出力することができるものが好ましい。例えば、希土類元素が添加されたガラスを光増幅媒体として備え広帯域の自然放出(ASE)光を出力することができるASE光源、光導波路における非線形光学現象によって帯域が拡大されたスーパーコンティニウム(SC)光を出力することができるSC光源、スーパールミネッセントダイオード(SLD)を含む光源、等が好適に用いられる。
干渉部20は、光源部10からから出力される光を2分岐して参照光および測定光とし、参照光を反射体31に照射するとともに当該照射に伴う反射体31からの反射光を入力し、測定光を対象物2に照射するとともに当該照射に伴う対象物2からの拡散反射光を入力し、これら反射光と拡散反射光とを互いに干渉させて当該干渉光を検出部50へ出力する。
参照部30は、反射体31と干渉部20と反射体31との間の光学系とを含み、干渉部20からの参照光を反射体31へ導き、反射体31からの反射光を干渉部20へ導く。測定部40は、干渉部20と対象物2との間の光学系であり、干渉部20からの測定光を対象物2へ導き、対象物2からの拡散反射光を干渉部20へ導く。また、対象物2への測定光の照射位置を走査する走査部41が設けられている。
検出部50は、干渉部40から出力される干渉光を検出する。解析部60は、検出部50による検出の結果を解析して対象物2の光断層画像を求める。表示部70は、解析部60により求められた対象物2の光断層画像を表示する。
FD-OCTでは、検出部50により干渉信号のスペクトルを測定し、解析部60により該スペクトルをフーリエ変換することで対象物2の深さ方向の反射情報分布を得ることができる。FD-OCTでは、機械的に反射体31を移動させる必要がないので、TD-OCTと比べると対象物2の断層画像を取得する時間が短い。
本実施形態の光断層画像取得方法では、このような光断層画像取得装置1を用いて、対象物2の2次元または3次元の光断層画像を取得する。ここで、図1中に示したようなXYZ直交座標系を設定する。Z方向は、対象物2への測定光の照射の方向である。X方向およびY方向は、Z方向に垂直であって、互いに直交する2方向である。対象物2への測定光の照射は、Z方向に平行であって、走査部41によりX方向またはY方向に走査される。
本実施形態の光断層画像取得方法は、測定光の集光ビームサイズ(ビームの中心強度に対して強度が1/eとなる領域のサイズ)と等しい又はこれより小さいXY平面上の区間において複数の照射位置に測定光を照射して複数の断層像を得て、これら複数の断層像を平均化することで該区間のZ方向の1次元断層像を取得する。そして、XY平面上の複数の区間それぞれについて取得したZ方向の1次元断層像に基づいて対象物2の2次元または3次元の光断層画像を取得する。
本実施形態の光断層画像取得方法における具体的な測定光照射位置の設定例は以下のとおりである。なお、以下で説明する図2〜図5それぞれにおいて、対象物2に向かう矢印は測定光の照射位置を表している。
図2に示される本実施形態の光断層画像取得方法の第1設定例では、対象物2における複数の区間のうち何れかの区間(高画質かつ高分解能の光断層画像を取得したい領域に含まれる区間)において、「ビームサイズ≧ 区間幅 ≧ 区間内で最も離れた照射位置の間隔」が満たされるように、測定光の複数の照射位置が設定される。
図3に示される本実施形態の光断層画像取得方法の第2設定例では、対象物2における複数の区間のうち何れかの区間(高画質かつ高分解能の光断層画像を取得したい領域に含まれる区間)において、「ビームサイズ≧ 区間幅 ≧ 区間内で最も離れた照射位置の間隔 ≧ ビームサイズの半分」が満たされるように、測定光の複数の照射位置が設定される。
図4に示される本実施形態の光断層画像取得方法の第3設定例では、対象物2における複数の区間のうち何れかの区間(高画質かつ高分解能の光断層画像を取得したい領域に含まれる区間)において、「ビームサイズ≧ 区間幅 ≧ 区間内で最も離れた照射位置の間隔 ≧ ビームサイズの半分」が満たされ、かつ、各照射位置の間隔が等しいように、測定光の複数の照射位置が設定される。
図5に示される本実施形態の光断層画像取得方法の第4設定例では、対象物2における複数の区間のうち何れかの区間(高画質かつ高分解能の光断層画像を取得したい領域に含まれる区間)において、「ビームサイズ≧ 区間幅 ≧ 区間内で最も離れた照射位置の間隔 ≧ ビームサイズの半分」が満たされ、かつ、各照射位置の間隔が等しく、照射位置の数が10以下であるように、測定光の複数の照射位置が設定される。
そして、第1〜第4の各設定例の何れにおいても、各区間において複数の照射位置に測定光が照射されて複数の断層像が得られ、これら複数の断層像が平均化されることで該区間のZ方向の1次元断層像が取得される。さらに、XY平面上の複数の区間それぞれについて取得されたZ方向の1次元断層像に基づいて対象物2の2次元または3次元の光断層画像が取得される。
このように、本実施形態の光断層画像取得方法では、区間の幅が適切に設定されるとともに、該区間内における測定光の複数の照射位置が適切に設定されることにより、スペックルノイズの影響が低減されて高画質であって高い空間分解能を有する光断層画像が容易に取得され得る。
第2〜第4の各設定例の場合のように、区間における測定光の複数の照射位置のうち最も離れた2つの照射位置の間隔が測定光のビームサイズの半分以上であると、平均化処理によるスペックルノイズの低減が効果的になされる。また、第3および第4の各設定例の場合のように、区間における測定光の複数の照射位置が等間隔であると、走査部41による測定光の走査が容易である。
第4設定例では、区間における測定光の複数の照射位置は等間隔とされ、且つ、該区間における測定光の照射位置の数は10以下とされた。その理由について図6〜図8を用いて説明する。
図6は、1次元断層像における反射強度と深さ方向(Z方向)位置との関係を示すグラフである。ここでは、拡散反射が空間的に一様である見做せる材料(寒天、ラード)が対象物2として用いられた。同図に示されるように、対象物内部において反射強度(dB)はZ方向位置の一次式で近似される。その一次式で表される直線からの反射強度の誤差(すなわち、回帰分析の標準誤差)の大きさは平均化処理の際の照射位置数に依存すると考えられる。
図7は、対象物2として寒天を用いた場合における照射位置数と回帰誤差との関係を示すグラフである。図8は、対象物2としてラードを用いた場合における照射位置数と回帰誤差との関係を示すグラフである。ここで、照射位置数は、測定光の集光ビームサイズ(30μm)と等しい又はこれより小さい区間において等間隔に設定された測定光の照射位置の数である。各照射位置に測定光が照射されて得られた断層像が平均化されて1次元断層像が取得され、この1次元断層像における回帰誤差が求められた。
これらの図から判るように、区間における測定光の照射位置の数が増えると平均化処理後の1次元断層像の回帰誤差が小さくなる傾向が認められる。照射位置の間隔が測定光の集光ビームサイズの1/5まで短くなると、平均化処理後の1次元断層像の回帰誤差が1/3程度減少した。しかし、さらに照射位置数が増加しても、照射位置数の増加に対する回帰誤差の低減の効果は、これ以上には改善されない。このことから、区間における測定光の照射位置の数が10以下であるのが好適である。
1…光断層画像取得装置、2…対象物、10…光源部、20…干渉部、30…参照部、31…反射体、40…測定部、41…走査部、50…検出部、60…解析部、70…表示部。

Claims (4)

  1. 光源部から出力される光を2分岐して参照光および測定光とし、前記参照光を反射体に照射したときに該反射体で生じる反射光と、前記測定光を対象物に照射したときに該対象物で生じる拡散反射光とを干渉させ、当該干渉光のパワーを検出部により検出し、当該検出結果に基づいて前記対象物の光断層画像を取得する方法であって、
    前記対象物への前記測定光の照射の方向をZ方向とし、このZ方向に垂直であって互いに直交する2方向をX方向およびY方向としたとき、前記測定光の集光ビームサイズと等しい又はこれより小さいXY平面上の区間において複数の照射位置に前記測定光を照射して複数の断層像を得て、これら複数の断層像を平均化することで前記区間のZ方向の1次元断層像を取得し、XY平面上の複数の区間それぞれについて取得したZ方向の1次元断層像に基づいて前記対象物の2次元または3次元の光断層画像を取得する、
    ことを特徴とする光断層画像取得方法。
  2. XY平面上の区間における前記測定光の複数の照射位置のうち最も離れた2つの照射位置の間隔が前記測定光の集光ビームサイズの半分以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の光断層画像取得方法。
  3. XY平面上の区間における前記測定光の複数の照射位置が等間隔である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の光断層画像取得方法。
  4. XY平面上の区間における前記測定光の照射位置の数が10以下である、ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の光断層画像取得方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007054251A (ja) * 2005-08-24 2007-03-08 Osaka Univ 断層計測装置及び断層計測方法
JP2011087814A (ja) * 2009-10-23 2011-05-06 Canon Inc 光断層画像生成方法及び光断層画像生成装置

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