JP2013055013A - 蓄電池 - Google Patents

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洋志 春山
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信 大崎
Eiji Hojo
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Abstract

【課題】正負極の各端子がブッシングと導通部との一体成型によって構成された端子部を備えた蓄電池において、各端子間の距離が異なる蓄電池にも同じ端子部が適用できるようにする。
【解決手段】電槽の上部開口を覆う合成樹脂製の蓋体1に備えられた端子2,3の下部側と、電力を取り出すための極柱が挿入されて溶接される筒状のブッシング6,7とを連結するための導通部15を備え、前記端子2,3とブッシング6,7と導通部15とが一体成型により端子部を構成し、前記ブッシング6,7の中心線を前記端子2,3が位置する方向に延長した延長線と前記端子2,3の中心線とが平行になるか、前記端子2,3の中心線を前記ブッシング6,7が位置する方向に延長した延長線と前記ブッシング6,7の中心線とが平行になるように構成し、前記端子部のうちの少なくともブッシング6,7の下側部分と導通部15とがインサート成型により蓋体1に埋め込まれてなる。
【選択図】図2

Description

本発明は、特に自動二輪車又は自動車などの車両に搭載する場合に最適な蓄電池に関し、詳しくは電槽の上部開口を覆う平面視が矩形状の蓋体に端子を備え、極柱が前記蓋体に備えられたブッシングに挿入されて溶接されるとともに前記端子の下部側と前記ブッシングとを連結するための導通部を備えた蓄電池の改良に関する。
上記蓄電池は、電槽側から上方へ突出する極柱が挿入されて溶接される筒状のブッシングを蓋体に備え、そのブッシングから水平方向前方側に形成された切欠き部に端子を配置し、該端子を導通部によって前記ブッシングに連結することにより、上下方向にコンパクトな構成ができるようになっている。このような構成とすることで、従来と同じ寸法の蓄電池を構成した場合でも、出力を従来に比べて大きくすることができる利点があり、近年用いられている構成である。
前記のような端子構造を備えた蓄電池としては、合成樹脂製の蓋体に備えたブッシングの極柱挿通孔に極板群のストラップから立設した極柱を挿通させてその上端部を突出させ、板端子の一端板部に設けた円孔を、ブッシングに嵌合させて溶接することにより、ブッシングと板端子とを導通状態にするとともに、板端子の導出板部の垂直板部の下端面から前後側面にかけて設けた樹脂被覆体を、加熱溶融した状態で蓋体の角部の切欠き部の底面に形成した嵌合用凹部に嵌合することにより、板端子を切欠き部の底面に固定して、ブッシングの上部を覆う蓋板を蓋体上面に形成している嵌合溝にヒートシールにより固着して、板端子の装着を完了するものが既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、電槽を閉じるための合成樹脂製の蓋に、切欠き部又は凹部を形成し、切欠き部又は凹部に端子を備え、電槽から延びる、電力を取り出すための極柱が挿入されて溶接されるブッシングを蓋に備え、このブッシングの上部側と端子の下部側とを連結するための導通部を備えるとともに、前記ブッシングを覆う補助蓋を備えた蓄電池において、端子とブッシングと導通部とが一体成形によって端子部を構成し、前記導通部の側面に外側に突出する環状の突起部を備え、端子部のうちの少なくともブッシングの下側部分と導通部とがインサート成型によって蓋に埋め込まれたものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
上記特許文献1の構成の蓄電池では、ブッシングに溶接された板端子が外部に露出しているため、蓋とブッシングとの間の小さな隙間を通して電解液が上方へ移動してきた場合には、それが容易に板端子の導出板部に到達して、板端子が変色、あるいは腐食するという問題があった。これに対し、上記特許文献2の構成の蓄電池では、端子とブッシングと導通部とが一体成形によって端子部を構成し、前記導通部の側面に外側に突出する環状の突起部を備えたことで、端子に電解液が到達するのを阻止することができ、さらに、例えば、特許文献3、4によってなされた電解液の阻止性能を高める提案を経て、上記した構成の蓄電池の汎用性が向上してきている。
特開2003−077454号公報(図2〜図4参照) 特開2009−043441号公報(図2参照) 特開2010−044881号公報 特開2011−076929号公報
上記した構成の蓄電池を自動二輪車に搭載する場合、蓄電池は自動二輪車の狭隘な搭載スペースに搭載されることから、メーカー、車種、排気量等によって容量、端子位置、形状等の異なるものが必要となるため、容量が異なっていても端子位置が同じにできること、形状が異なっていても端子位置が同じにできること、といった課題の克服が汎用性の向上のために不可欠であった。具体的には、極柱は両端に位置する極板群の正負のストラップから立設しているため、6セルからなる蓄電池の両端のセル幅以上に中央に寄せることができないのに対し、端子部が端子とブッシングと導通部とを一体成形によって構成されたものでは、極柱の位置によってブッシングの位置が決まってしまうと端子の位置までが決まってしまうため、例えば、ブッシングの位置が同じもので、端子の位置が異なる蓄電池を必要とする場合には、別途端子部を設計しなければならないという問題があった。
本発明は前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、端子とブッシングと導通部とを一体成形によって構成された端子部を備えた蓄電池において、例えば、ブッシングの位置が同じで、端子の位置が異なるものに適用できるような端子部を具備した蓄電池を提供するものである。
本発明の蓄電池は、前述の課題解決のために、電槽の上部開口を覆う平面視が矩形状の合成樹脂製の蓋体に端子を備えるとともに、電力を取り出すための極柱が挿入されて溶接される筒状のブッシングを備え、前記端子の下部側と前記ブッシングとを連結するための導通部を備えたものにおいて、前記端子とブッシングと導通部とが一体成型により端子部を構成し、前記ブッシングの中心線を前記端子が位置する方向に延長したときに、その延長線と前記端子の中心線とが平行になるか、前記端子の中心線を前記ブッシングが位置する方向に延長したときに、その延長線と前記ブッシングの中心線とが平行になるように構成し、前記端子部のうちの少なくともブッシングの下側部分と前記導通部とがインサート成型により前記蓋体に埋め込まれていることを特徴とする(請求項1)。
また、前記導通部は、それの外形が円形又は楕円形となる形状に構成したことを特徴とする(請求項2)。
また、前記導通部は、側面に外側に突出する環状の突起部又は内側に凹んだ環状の溝部を備えたことを特徴とする(請求項3)。
また、前記蓋体は、一辺側でかつ長手方向両端部のそれぞれに、正、負極の各端子の下側部分が埋設され、上側部分が突設されてなり、前記各端子の上側部分が突設される箇所の周縁及び又はその近傍に突起部を形成したことを特徴とする(請求項4)。
本発明によれば、ブッシングの中心線を端子が位置する方向に延長したときに、その延長線と端子の中心線とが平行になるか、端子の中心線をブッシングが位置する方向に延長したときに、その延長線とブッシングの中心線とが平行になるように構成したことで、極柱の位置によってブッシングの位置が決まっても、端子の位置が異なるものにも適用することができ、しかも、端子とブッシングと導通部とが一体になった端子部をインサート成型により蓋体に埋め込むことによって、端子を蓋体に固定する固定作業が不要にすることができ、容易迅速に組立作業が行える蓄電池を提供することができる。
また、導通部の外形が円形又は楕円形となる形状に構成したことで、合成樹脂によって導通部の外周面が均等に締め付けられるので、インサート成型後に蓋体の変形が生じても、導通部と蓋体との間に隙間を生じ難くでき、また、導通部に突起部又は凹部を備えたことで、導通部と蓋体との間を通って端子側へ電解液が移動することを確実に阻止することができ、また、正、負極の各端子の下側部分が埋設され、上側部分が突設されてなる箇所の周縁及び又はその近傍に突起部を形成することによって、該部分が凸状に変形し、蓋体のその裏側部分が凹状に変形するのを抑制することができて、導通部の外周面と合成樹脂との間に隙間が生じるのを防止することができる。
上蓋を装着した蓋体の平面図である。 導通部をオフセットさせた端子部を備えた上蓋を装着した蓋体の平面図である。 上蓋を示し、(a)はそれの平面図、(b)はそれの底面図、(c)はそれの正面図、(d)は図5(b)におけるC−C線断面図である。 蓋体を示し、(a)はそれの右側面図、(b)はそれの正面図である。 端子部を示し、(a)はそれの平面図、(b)はそれの側面図、(c)はそれの底面図である。 導通部をオフセットさせた端子部を示し、(a)はそれの平面図、(b)はそれの側面図、(c)はそれの底面図である。
図1は本発明の蓄電池(鉛蓄電池)の蓋体1を示したものであるが、この図1は上蓋5が装着された状態を示しており、上蓋5が装着される前は図1の破線で示した部分のほとんどが現れて実線で示される。この蓋体1は、合成樹脂によって平面視において長方形状に形成され、複数に仕切られたセル室を備えた電槽(図示せず)の上部開口を覆うものである。前記蓋体1を備えた鉛蓄電池は、特に自動二輪車や自動車などの車両に搭載する場合に適しているが、その他の目的で使用することもできる。なお、図1では、蓋体1の長辺方向を左右方向とし、長辺方向と直交する方向を前後方向とする。
図1に示すように、前記蓋体1は、一方の長辺側(前後方向前端側)に左右一対の端子2,3を長辺方向(左右方向)両端にそれぞれ位置するように備えた第1蓋部分1Aと、この第1蓋部分1Aの上面よりも高い上面を有する第2蓋部分1Bとを備え、前記第2蓋部分1Bは前方側(端子側)に上蓋5が装着される凹部4が形成され、後方側(端子側と反対側)にフラット部1Fが形成されている。なお、図1では、左側の端子2が負極端子であり、右側の端子3が正極端子である。
前記凹部4は、底面4Aとその底面4Aの外周縁から上方に立ち上げられた縦壁4Bとによって凹状をなしており、前記縦壁4Bよりも内側に位置する部分に内側に位置する部分に上方へ突出する環状の突出部4Cを備えている。
前記突出部4Cによって囲まれた内側の底面4Aには、前述した複数のセル室(図では6個)に連通する排気孔4Dを備え、左側から4番目のセルには排気孔4Dとは別の集中排気孔4Fを備えている。各排気孔4Dからは対応するセル室からのガスが排出されるが、集中排気孔4Fが設けられたセルの排気孔4Dからはそのセルからのガスが排出されずに、他のセルの排気孔4Dから排出されたガスが集められて集中排気孔4Fを介して、後述する、排出口4Kから外部に排出されるようになっている。なお、前記集中排気孔4Fには、防爆、外部からのガスの逆流防止、及び内圧調整の目的で、多孔性フィルターや弁(図示せず)が備えられている。
すなわち、集中排気孔4Fが設けられていない5セルの排気孔4Dから排出されたガスは、突出部4Cの相対向位置から内側に延びて隣り合う各排気孔4Dの間の位置に間隙を形成する延出部4E,4Eを備えており、各排気孔4Dから排気されたガスのみが突起部4Cの内側を自由に移動できるようにしている。なお、底面4Aは、前記排気孔4Dに向かうほど下方に位置する傾斜面に形成されており、各排気孔4Dから排出されたガスとともに逸出してきた電解液を該当する各排気孔4D側へ戻すことができる案内面として機能するようにしている。これにより、排気孔4Dから排出されたガスのみが突起部4Cの内側を自由に移動し、逸出してきた電解液は隣り合う他の排気孔4D側へ移動することを可及的に阻止することができる。
前記突出部4Cは、図1に示すようにほぼ長方形状に構成され、前記集中排気孔4Fを迂回することができるように、その部分を内側に入り込ませて湾曲させるとともに、該集中排気孔4Fが前記突出部4Cによって囲まれる空間とは独立した空間内に位置するように、湾曲させた部分と同じ形状の突出部4Tによって囲まれている。これにより、集中排気孔4Fから排出されたガスは、突出部4Tによって囲まれた空間内を、第1蓋部分1Aと第2蓋部分1Bの段差が形成される前面の排出口4Kに向かって第2蓋部分1Bの下方に形成されたトンネル状の排気経路4G内を移動し、排出口4Kから外部に排出される。
前述した上蓋5はこのような空間を形成するためのもので、前記突出部4Cの内側を気密にするとともに、前記突出部4Tの内側を、突出部4Cの内側と独立させて気密にするようにしている。すなわち、上蓋5は合成樹脂で形成され、表面は図3(a)に示すように、前記凹部4と同じ形状を有し、裏面は図3(b)に示すように、前記突出部4Cに接合される該突出部4Cと同じ形状の接合部5Cを備え、前記突出部4Tと同じ形状の接合部5Tを備えている。また、上蓋5には、前記突出部4Cと前記縦壁4Bとの間に形成される環状の溝部4Mを覆う外周縁5Gを備え、蓋体1の突出部4C,4Tの上端と上蓋5の接合部5C,5Tの下端とを溶融状態にした後、両者を合わせることによって一体化すると、凹部4の内周縁4Nと上蓋5の外周縁5Gとが符合して第2蓋部分1Bの全体がフラット部1Fと同じ平面にできるようになっている。これにより、集中排気孔4Fからトンネル状の排気経路4Gを経て排出口4Kに至る経路(突出部4Tによって囲まれた内側の空間)と、突出部4Cによって囲まれた内側の空間とは、それぞれ独立した空間にすることができるので、蓋体1と上蓋5との接合状態の試験(気密試験)を精度よく行うことができる。なお、上蓋5の接合部5Cには、前記突出部4Cの一部に形成した延出部4E,4Eに対応する部分も備えているが、これらも含めて接合部5Cとする。前記蓋体1及び上蓋5の材料としては、ポリプロピレン樹脂等の熱硬化性樹脂が好ましいが、他の合成樹脂であってもよいが、前記蓋体1に上蓋5を熱溶着する場合には、両者の材料は同一であるのが好ましい。
なお、前記蓋体1及び前記上蓋5の両者の装着時の位置決めを行うべく、蓋体1及び上蓋5の一方に被係止部を備え、かつ、他方に該被係止部に係止する係止部を備えている。すなわち、図3(a)〜(d)に示すように、前記係止部が、前記上蓋5の下面に下方に突出させ、断面形状円形で内部中空の円筒形状(内部が中実の棒状体でもよい)を有する左右一対の筒体5D,5Eからなっている。また、図1に示すように、前記被係止部が左右一対の孔4H,4Jからなり、前記左右一対の孔4H,4Jのうちの一方の孔4Jをそれに係止する係止部5Dの水平方向への移動を阻止する大きさに形成し、かつ、他方の孔4Hを一対の孔4H,4Jの対向方向に長い長円形に形成することで、前述のように、上蓋5の接合部5C,5Tを溶融して蓋体1の突出部4C,4Tに合わせて一体化させる前に、一対の孔4H,4Jに対して一対の係止部5D,5Eが係止して、蓋体1の突出部4C,4Tと上蓋5の接合部5C,5Tとの位置決めを完了させ、その状態から蓋体1と上蓋5とを接近移動させることにより、蓋体1の突出部4C,4Tと上蓋5の接合部5C,5Tとを確実に接合させることができるようになっている。このように、孔4Hを長円形に形成することによって、蓋体1と上蓋5とが成型後の収縮率の違いや成型後の温度変化、経時変化等によって位置決めが困難になった場合でも、上蓋5が室温に応じて長手方向に伸縮した場合でも、それを長円形の孔が良好に吸収して係合がスムーズに行われるようになっている。
また、図1に示すように、前記凹部4には、両端のセル室から延びる、電力を取り出すための極柱が挿通されて溶接される筒状のブッシング6,7を、その下側部分が埋設されるとともに上側部分が露出するようにして、この部分が位置する空間を、蓋体1の突出部4Cと上蓋5の接合部5Cの一部を延長させて形成している。
そして、前記ブッシング6,7は蓋体1に埋設された導通部15によって、ブッシング6,7の前方側に位置する端子2,3と連結されている。このような端子2,3とブッシング6,7とを導通部15によって連結した端子部は鉛又は鉛合金の一体成型によって作製されており、蓋体の成型時に、成型金型の所定の場所に固定することによって蓋体1内に埋設された構成にすることができる。
前記端子2,3は、図4(a)、(b)に示すように、長方形状の天板部2A,3Aと、この天板部2A,3Aの4辺のうちの正面視において右側となる辺以外の3辺から下方へ垂下している前板部2B,3Bと、後板部2C,3C(2Cは図示せず)と、左板部2D,3Dとを備え、天板部2A,3A及び前板部2B,3Bには、ボルト(図示せず)を貫通させるための貫通孔2a,2b及び3a,3b(2aは図示せず)が形成されており、適当な貫通孔にボルトを挿通させてその先端を端子2,3の内部に入れ込んだナットに螺合させて、ナットを端子2,3にボルトによって固定するとともに、これらのボルトとナットの間に、図示していない外部リード線(車載している電装品等に接続可能な線)等を挟み込んで固定することができるようになっている。なお、2つの貫通孔2a,2b及び3a,3b(2aは図示せず)を形成したのは、ボルトを上方及び前方のいずれか一方から端子2,3内に挿入することができるようにするためである。
しかしながら、図1から明らかなように、ブッシング6,7に挿通される極柱は両端に位置するセル室に収納された極板群の正負のストラップから立設していて、蓄電池の左右方向の寸法も容量によってほぼ決まってしまうため、左右方向のブッシング6,7の間隔が決まると、上記した端子部では左右方向の端子2,3の間隔も決まってしまい、左右方向のブッシングの間隔が同じで、端子の間隔が異なる蓄電池を製造することが困難であった。
そこで、本発明は、端子部を、前記ブッシング6,7の中心線を前記端子2,3が位置する方向に延長したときに、その延長線と前記端子2,3の中心線とが平行になるか、前記端子2,3の中心線を前記ブッシング6,7が位置する方向に延長したときに、その延長線と前記ブッシング6,7の中心線とが平行になるように構成したものである。図5(a)と図6(a)とを対比すれば明らかなように、図5(a)はブッシング6,7の中心線を端子2,3が位置する方向に延長した延長線L0が端子2,3の中心線とが一致しているのに対し、図6(a)はブッシング6,7の中心線を端子2,3が位置する方向に延長した延長線L1とブッシング6,7の中心線L2とが平行になっている。本願明細書では、このような構成のものを、導通部15をオフセットさせたものと言う。
すなわち、図2に示したように、端子2,3とブッシング6,7とを連結する導通部15をオフセットさせて、左右方向の端子2,3の間隔が図1のものと比べて小さくなるようにしている。このようにオフセットさせることで、ブッシング6,7の左右方向の間隔が同じ蓄電池であっても、左右方向の端子2,3の間隔を異ならせることができるので、蓄電池の汎用性を向上させることができる。なお、導通部をどのくらいオフセットさせるかは、蓄電池が搭載される自動車、特に自動二輪車のように、搭載されるスペースが限られている車種では、搭載される蓄電池の容量に対して左右方向の端子の間隔が予め決められていることが多いため、それに応じてオフセットの程度を決めればよい。
具体的には、図1のものに用いられる端子部は、平面図が図5(a)に、側面図が図5(b)に、底面図が図5(c)に示されたものであるのに対し、図2のものに用いられる端子部は、平面図が図6(a)に、側面図が図6(b)に、底面図が図6(c)に示されたものである。図5(a)〜(c)に示されたものでも、図6(a)〜(c)に示されたものでも、導通部15の側面に、外側に突出する環状の突起部15A(又は内側に凹んだ環状の溝部でもよい)と、突起部15Aの間に形成された溝15Bを備えている。また、図5(b)、図6(b)に示すように、ブッシング6,7の外周には、上下方向に沿って複数の環状の突起部6T,7Tが設けられている。また、図5(b),(c)、図6(b),(c)に示すように、端子2,3の下端には、蓋体1の成形時に、樹脂によって埋設されてアンカー効果が発揮できる、板状で小判状のアンカー部2E,3Eがフランジ部2G,3Gと連結部2F,3Fとともに一体に形成されている。
前記端子部のうちの少なくともブッシング6,7の下側部分と該導通部15とがインサート成型により前記蓋体1に埋め込まれていることは前述のとおりであるが、蓋体1に埋め込まれている導通部15の外形、すなわち図5(b)、図6(b)のD−D線断面が円形又は楕円形となる形状にすると、外周に対する合成樹脂の締め付け力が、外形に角のある角型にした場合に比べて均等にすることができるから、導通部15の外周に合成樹脂が均等に食い込むことになる。つまり、端子2,3とブッシング6,7との連結方向において、隣り合う突起部15A,15A間の溝15Bに合成樹脂が均等に入り込んで、導通部15の外周面の合成樹脂に対する結着性が良好になるようにしている。
前記導通部15は、前記ブッシング6,7に一端が連結され、突起部15Aと溝15Bを備えた導通部本体15aと、前記導通部本体15aの他端が連結されて前記端子2,3の下端のフランジ部2G,3Gの上面とを連結する連結部15bとを備えている。
図1に示した蓋体1は、図4(a)、(b)に示したように、その第1蓋部分1Aのうち、前記各端子2,3の下側部分が埋設され、上側部分が突設される箇所に、該上面13aが第1蓋部分1Aの上面13Rよりも高くなる突起部13が形成されるようにしている。そして、前記第2蓋部分1Bの端子側の一辺の長手方向2箇所からは、前記蓋体1の一辺側の端(前後方向前端)まで延出して前記第1蓋部分1Aの上面に突出する一対の延出部1C,1Dが形成され、該一対の延出部1C,1Dと一辺の長手方向(左右方向)両端部に位置する第2蓋部分1Bの縦壁とで囲まれる前記第1蓋部分1Aに前記突起部13が形成され、その突起部13の上に前記端子2,3が位置するように一体成形されている。前記突起部13は、前記端子2,3の下端が埋設される第1凸部分13Aと、該第1凸部分13Aの一辺の長手方向両側に位置するとともに該第1凸部分13Aの上面13aよりも上方に突出する上面13bを備える第2凸部分13Bと、同上面13cを備える第3凸部分13Cとからなり、前記第1凸部分13Aと第2凸部分13Bと第3凸部分13Cとは、蓋体1の縦壁と一体になるように成形されている。上記した説明では、前記第2凸部分13Bの上面13bと第3凸部分13Cの上面13cとを同一高さに設定しているが、異ならせてもよい。
前述のように、端子2,3の下側部分が埋め込まれた第1凸部分13Aを該箇所に備えることによって、該部分が凸状に変形し、蓋体1のその裏側部分が凹状に変形するのを抑制することができて、導通部15の外周面と合成樹脂との間に隙間が生じるのを防止でき、これに加えて、前述のように、導通部15の側面に環状の突起部15Aを備えるとともに、該導通部15の外形が楕円形又は円形となる形状に構成することによって、導通部15が合成樹脂を締め付ける力を均等にすることができて、導通部15の外周面の合成樹脂に対する結着性が良好になるようにしている。
上記した説明は導通部15をオフセットさせたものでも同様で、異なる点は図2から明らかなように、端子2,3の間隔が図4(a)、(b)に図示したものより小さくなることであるため、その説明は省略する。
1…蓋体、1A…第1蓋部分,1B…第2蓋部分、1C,1D…延出部、1F…フラット面、2,3…端子、2A,3A…天板部、2B,3B…前板部、2C…後板部、2D,3D…左板部、2E,3E…アンカー部、2F,3F…連結部、2G,3G…フランジ部、2a,2b…貫通孔、4…凹部、4A…底面、4B…縦壁、4C,4T…突出部、4D…排気孔、4E…延出部、4F…集中排気孔、4G…排気経路、4K…排出口、4M…溝部、4N…内周縁、4H,4J…被係止部、5…上蓋、5C,5T…接合部、5D,5E…係止部、5G…外周縁、6,7…ブッシング、6T,7T…突起部、13…突起部、13A…第1凸部分、13B…第2凸部分、13C…第3凸部分、13a、13b,13c,13R…上面、15…導通部、15a…導通部本体、15b…連結部、15A…突起部、15B…溝

Claims (4)

  1. 電槽の上部開口を覆う平面視が矩形状の合成樹脂製の蓋体に端子を備えるとともに、電力を取り出すための極柱が挿入されて溶接される筒状のブッシングを備え、前記端子の下部側と前記ブッシングとを連結するための導通部を備えてなる蓄電池において、
    前記端子とブッシングと導通部とが一体成型により端子部を構成し、前記ブッシングの中心線を前記端子が位置する方向に延長したときに、その延長線と前記端子の中心線とが平行になるか、前記端子の中心線を前記ブッシングが位置する方向に延長したときに、その延長線と前記ブッシングの中心線とが平行になるように構成し、
    前記端子部のうちの少なくともブッシングの下側部分と前記導通部とがインサート成型により前記蓋体に埋め込まれていることを特徴とする蓄電池。
  2. 前記導通部は、それの外形が円形又は楕円形となる形状に構成したことを特徴とする請求項1記載の蓄電池。
  3. 前記導通部は、側面に外側に突出する環状の突起部又は内側に凹んだ環状の溝部を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の蓄電池。
  4. 前記蓋体は、一辺側でかつ長手方向両端部のそれぞれに、正、負極の各端子の下側部分が埋設され、上側部分が突設されてなり、前記各端子の上側部分が突設される箇所の周縁及び又はその近傍に突起部を形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の蓄電池。
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