JP2013053793A - 熱音響機関 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】共鳴管11を有し、共鳴管11の管路に設けられ、作動気体を加熱および冷却する蓄熱器21と、蓄熱器21の一端部(高温部21b)を加熱する加熱器22と、蓄熱器21の他端部(常温部21a)の熱を外部に放出する冷却器23と、からなる原動機20を備え、蓄熱器21の両端部間に温度勾配を形成して作動気体の自励振動を発生させる熱音響機関1であって、共鳴管11は、基準管部14と、変形管部15とを有し、変形管部15は、音響インピーダンスの虚数部がゼロとなるような共鳴管11の所定部位から、共鳴管11の他端に向けて設けられ、変形管部15の内径は、作動気体の密度をρ、音速をcとしたときに、音響インピーダンスの値がρcとなるように設定されていることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
また、音響ドライバーを用いた熱音響機関においては、音響ドライバーを用いて第一蓄熱器に入力する進行波を発生させているため、「可動部を持たない」という熱音響機関の優位性が低下している。そこで、音響ドライバーを用いず広域に渡って純粋な進行波を励起することが出来れば、可動部品を用いることなく、進行波発生位置に複数の蓄熱器を設置することが可能となり、熱音響機関の実用化に向け大きな進歩となる。
以上のことから、可動部を設けることなく、共鳴管の広い領域に進行波を発生させることができる熱音響機関の開発が求められている。
このような構成によれば、作動気体に発生した自励振動による音響エネルギが、発電機によって電気エネルギに変換される。そして、変形管部に複数の蓄熱器を設置した場合には、熱音響発電機として、より高効率で駆動することができる。
また、進行波とした位置に複数の蓄熱器を設置することが出来るため、熱音響発電機として用いた場合、従来の熱音響機関と比較して発電量の向上が可能であり、熱音響冷凍機として用いた場合、従来の熱音響機関と比較して低温駆動を実現することが可能である。
第1実施形態は、ストレート型熱音響機関に係るものである。
<熱音響機関>
図1(a)に示すように、熱音響機関1は、一端11aから他端11bまでに作動気体が満たされる共鳴管11を有するものである。そして、共鳴管11の管路に、原動機20として、蓄熱器21と、加熱器22と、冷却器23と、を備える。さらに、共鳴管11は、基準管部14と、この基準管部14に対して内径が拡大または縮小された変形管部15を有している。なお、ここでは、共鳴管11の内径が縮小された場合を図示している。ただし、共鳴管11の内径が拡大されたものであってもよい。また、共鳴管11の一端11aとは、基準管部14が形成されている側の端部、すなわち、基準管部14の端部であり、他端11bとは、変形管部15が形成されている側の端部、すなわち、変形管部15の端部のことである。
以下、各構成について説明する。
共鳴管11は、作動気体が満たされる直線状の管であり、基準管部14と、この基準管部14に対して内径が縮小された変形管部15とを有している。
なお、作動気体としては、窒素、ヘリウム、アルゴン、ヘリウムとアルゴンとの混合物や空気等がよく用いられる。
また、ここでは、共鳴管11の一端11aには、作動気体を封入するバッファータンク16が設けられている。なお、作動気体として大気圧空気を用いる場合は、バッファータンク16を設けずに、一端11aを開口していてもよい(図5(a)参照)。すなわち、バッファータンク16を設ける場合は、作動気体は共鳴管11内にも封入されて満たされるものであり、一端11aを開口した場合は、大気圧空気で満たされるものである。
基準管部14は、共鳴管11の一部を構成するものであり、変形管部15の内径の基準となるものである。
変形管部15は、共鳴管11の一部を構成するものであり、基準管部14よりも大きいあるいは小さい内径を有する(ここでは小さい内径である)。変形管部15は、予め求めた音響インピーダンス分布において、前記音響インピーダンスの虚数部がゼロとなるような共鳴管11の所定部位から、共鳴管11の他端11bに向けて設けられている。すなわち変形管部15は、共鳴管11の管路における所定位置以降(任意点)に設けられ、所定の内径を有する。ここで、「予め求めた音響インピーダンス分布」とは、変形管部15を設けていない所望の長さの共鳴管において、数値計算によって求めた音響インピーダンス分布のことである。
音響インピーダンスは、半導体圧力センサーを用いて、角周波数ω(2πf:fは周波数)、時間t、位相差φを測定し、下記式から求められる(特開2011−99606号公報参照)。
気体の圧力振幅を、P=|P|exp(iωt)
音波の流速振幅を、U=|U|exp{i(ωt+φ)}
とするとき、
Ζ=P/U={|P|exp(iωt)}/{|U|exp{i(ωt+φ)}}
流体要素の往復運動は「進行波」と「定在波」に分類される。圧力振幅と流速振幅の位相差がゼロである状態を「進行波」、それ以外を「定在波」と定義する。通常の音場は空間的に定在波と進行波との両方を含む。空間的な圧力振幅分布の最大点と最小点はそれぞれ圧力振幅と流速振幅の位相差がゼロ(音響インピーダンス(圧力振幅/流速振幅)の虚数がゼロと同義)であるため、局所的に進行波である。しかし、この進行波は局所的であり音響インピーダンスの虚数がゼロである狭い領域でのみ成立し、それ以外の位置では定在波となる。「圧力振幅と流速振幅の位相差がゼロ」かつ「音響インピーダンスの値が流体要素の密度と音速を乗じた、ρcを満たす」場合のみ圧力振幅分布と流速振幅分布は空間的にフラットとなり、音場は広域に渡って純粋な進行波となる。
(π・r2・(ρc)/ZR)=A・・・・式(1)
ここでr:共鳴管の半径(内径の半径),ZR:音響インピーダンスの虚数部がゼロとなる点における実数部(インピーダンス値),A:断面積である。
原動機20は、熱音響機関1の自励振動発生手段として機能するものであり、共鳴管11における基準管部14の管路に設けられている。原動機20は、共鳴管11内に設けられた蓄熱器21と、蓄熱器21の両端を挟むように設けられた加熱器22および冷却器23とを有している。そして、加熱器22は蓄熱器21の一端側に配置され、冷却器23はその反対側、すなわち蓄熱器21の他端側に配置されている。なお、原動機20の位置は、基準管部14の管路にあって、自励振動による仕事流が、音響エネルギEとして共鳴管11の他端に伝達される位置であれば、特に限定されるものではない。
蓄熱器(原動機用蓄熱器)21は、共鳴管11の管路に設けられ、作動気体を加熱および冷却するものである。
蓄熱器21は、加熱器22および冷却器23によって蓄熱器21の両端部間に温度勾配を形成して作動気体の自励振動を発生させる。すなわち蓄熱器21は、その一端部(以下、適宜、高温部21bと称する)と、その他端部(以下、適宜、常温部(原動機側常温部)21aと称する)との間に生じる温度差を保つことによって、主として作動気体の自励振動(圧力振動)による仕事流を発生する機能を有している。蓄熱器21は、例えば共鳴管11の延在方向(管路方向)に多数の平行通路を有するセラミックス製のハニカム構造体や、多数枚のステンレス鋼メッシュ薄板を微小ピッチで積層した構造体とすることができる。あるいは金属繊維よりなる不織布状物等を用いることも可能である。
加熱器22は、蓄熱器21の一端側に隣接して共鳴管11の管路に設けられ、蓄熱器21の一端部(高温部21b)を加熱するものである。すなわち加熱器22は、外部熱源を用いて蓄熱器21の一端を加熱する熱入力部として機能する。加熱器22は、例えば、加熱用の熱交換器から構成される。具体的には、例えば、メッシュ板等の多数枚の金属板が微小ピッチで積層された構成とされる。この加熱器22には図示しない加熱装置が接続されており、その外周に設けられた環状部材22aを介して加熱処理される構成とされている。なお、図面では便宜上、蓄熱器21と加熱器22の間に環状部材22aの左壁が示されているが、加熱器22は、この左壁を通して蓄熱器21の一端側と隣接、すなわち密着している。
冷却器23は、蓄熱器21の他端側に隣接して共鳴管11の管路に設けられ、蓄熱器21の他端部(常温部21a)の熱を外部に放出するものである。すなわち冷却器23は、冷却水や空気等を用いて蓄熱器21の他端の熱を外部に放出して冷却する機能を有している。冷却器23は、例えば、冷却用の熱交換器から構成される。冷却器23としては、基本的には加熱器22と同一構成とされており、例えば、メッシュ板等の多数枚の金属板が微小ピッチで積層された構成とされている。この冷却器23は、その周囲に冷却ブラケット23aが配設されている。この冷却ブラケット23aには図示しない冷却水路が接続されており、冷却水路を流れる冷却水により、冷却器23は冷却ブラケット23aを介して一定の冷却温度を維持しうる構成とされている。なお、図面では便宜上、蓄熱器21と冷却器23の間に冷却ブラケット23aの右壁が示されているが、冷却器23は、この右壁を通して蓄熱器21の他端側と隣接、すなわち密着している。
第2実施形態は、ループ型熱音響機関に係るものである。
<熱音響機関>
図1(b)に示すように、熱音響機関1Aは、作動気体が封入される環状のループ管10と、ループ管10に連通して一端11aが接続された共鳴管11と、を有するものである。そして、ループ管10の管路に、原動機20として、蓄熱器21と、加熱器22と、冷却器23と、を備える。さらに、共鳴管11は、基準管部14と、この基準管部14に対して内径が拡大または縮小された変形管部15とを有している。なお、ここでは、共鳴管11の内径が拡大された場合を図示している。ただし、共鳴管11の内径が縮小されたものであってもよい。
以下、各構成について説明する。
ループ管(原動機用ループ管)10は、作動気体が封入される環状の管であり、その管路は角丸の四角形に形成され、四辺に該当する直線部を形成する直管部10a〜10dからなる。すなわち、縦方向に略平行に並んだ2つの直管部10a、10bと、横方向に略平行に並んだ2つの直管部10c、10dと、を有している。そして、直管部10aの一端と直管部10cの一端、直管部10bの一端と直管部10cの他端、直管部10bの他端と直管部10dの一端が接続されてこの部位で湾曲している。また、直管部10aの他端と直管部10dの他端が接続されるとともに、この部位において、ループ管10に連通して共鳴管11の一端が接続されている。
なお、作動気体としては、窒素、ヘリウム、アルゴン、ヘリウムとアルゴンとの混合物や空気等がよく用いられる。
基準管部14は、共鳴管11の一部を構成するものであり、変形管部15の内径の基準となるものである。
変形管部15は、共鳴管11の一部を構成するものであり、基準管部14よりも大きいあるいは小さい内径を有する(ここでは大きい内径である)。変形管部15は、予め求めた音響インピーダンス分布において、前記音響インピーダンスの虚数部がゼロとなるような共鳴管11の所定部位から、共鳴管11の他端11bに向けて設けられている。すなわち変形管部15は、共鳴管11の管路における所定位置(任意点)以降に設けられ、所定の内径を有する。
共鳴管11の内径が拡大されていること以外については、前記第1実施形態のストレート型熱音響機関と同様であるので、ここでは説明を省略する。
原動機20は、熱音響機関1Aの自励振動発生手段として機能するものである。原動機20は、ループ管10内に設けられた蓄熱器21と、蓄熱器21の両端を挟むように設けられた加熱器22および冷却器23とを有している。より具体的には、原動機20は、本実施形態において、ループ管10における共鳴管11が接続されている側、すなわちループ管10の直管部10aの管路に設けられている。そして、加熱器22は蓄熱器21の直管部10d側に配置され、冷却器23はその反対側、すなわち蓄熱器21の直管部10c側に配置されている。なお、原動機20の位置は、ループ管10内にあって、自励振動による仕事流が、音響エネルギEとして共鳴管11の他端11bに伝達される位置であれば、特に限定されるものではない。
次に、図面を参照して、熱音響機関を用いた熱音響機関の一例として、前記の熱音響機関1Cを用いた場合の熱音響発電機および熱音響冷凍機について説明する。なお、ここでは、変形管部用原動機20aを備えるものについて説明するが、変形管部用原動機20aを備えないものであってもよい。また、ここでは、ループ型熱音響機関を用いた場合について説明するが、ストレート型熱音響機関においても、ループ管を備えないこと以外については同様である。
図3に示すように、熱音響発電機50は、前記した熱音響機関1Cに加え、さらに、共鳴管11の他端11bに接続され、変形管部15に連通して、作動気体に発生する自励振動に応動して発電を行なう発電機(リニア発電機)30を備えるものである。発電機30を備える以外については、前記の熱音響機関1Cで説明したとおりであるので、ここでは発電機30について説明する。
発電機30は、共鳴管11の他端11bに接続され、変形管部15に連通して、さらにループ管10の一部に連通するかたちで設けられており、作動気体に発生する自励振動に応動して発電を行なうリニア発電機として機能する。すなわち、音響エネルギEである自励振動に基づき内側ヨーク33を往復振動させて、音響エネルギEを電気エネルギに変換するものである。これにより、共鳴管11を通って伝達した音響エネルギEを、内側ヨーク33の往復運動を介して電気エネルギに変換する、いわゆる熱音響発電機50を形成することができる。
図4に示すように、熱音響冷凍機60は、前記した熱音響機関1Cに加え、さらに、共鳴管11の他端11bに接続され、変形管部15に連通して接続された環状の冷凍用ループ管12を有する。そして、冷凍用ループ管12の管路に、冷凍機40として、冷凍用蓄熱器41と、冷凍用冷却器43と、冷気放出器42と、を備える。冷凍機40を備える以外については、前記の熱音響機関1Cで説明したとおりであるので、ここでは冷凍機40およびこれを管路に備える冷凍用ループ管12について説明する。
冷凍用ループ管12は、作動気体が封入される環状の管であり、その管路は角丸の四角形に形成され、四辺に該当する直線部を形成する直管部12a〜12dからなる。すなわち、四辺に該当する直線部を形成する縦方向に略平行に並んだ2つの直管部12a、12bと、横方向に略平行に並んだ2つの直管部12c、12dと、を有している。そして、直管部12aの一端と直管部12cの一端、直管部12bの一端と直管部12cの他端、直管部12bの他端と直管部12dの一端が接続されて湾曲している。また、直管部12aの他端と直管部12dの他端が接続されるとともに、この部位において、冷凍用ループ管12に連通して共鳴管11の他端が接続されている。ここで、図4の破線(符号A2)を基準として図4における紙面上、右側の管部が冷凍用ループ管12であり、左側の管部が共鳴管11である。ここでは、共鳴管11における冷凍用ループ管12との接続部は、上側が湾曲しているが、直角に形成しているものであってもよい。また、共鳴管11と冷凍用ループ管12の境界は厳密に規定されるものではなく、符号A2の破線が、紙面上、やや左側(例えば、前記湾曲していない部分)に位置するものであってもよい。
冷凍機40は、原動機20、および、変形管部用原動機20aによって発生する作動気体の自励振動による仕事流を冷気(冷熱)に変換するヒートポンプ手段として機能するものである。冷凍機40は、冷凍用ループ管12内に設けられた冷凍用蓄熱器41と、冷凍用蓄熱器41の両端を挟むように設けられた冷凍用冷却器43および冷気放出器42とを有している。より具体的には、冷凍機40は、本実施形態において、冷凍用ループ管12における共鳴管11が接続されている側、すなわち冷凍用ループ管12の直管部12aの管路に設けられている。そして、冷凍用冷却器43は冷凍用蓄熱器41の直管部12c側に配置され、冷気放出器42はその反対側、すなわち冷凍用蓄熱器41の直管部12d側に配置されている。
冷凍用蓄熱器41は、冷凍用ループ管12の管路に設けられ、作動気体を冷却するものである。
冷凍用蓄熱器41は、原動機20から、共鳴管11、冷凍用ループ管12の直管部12d,12b,12c,12aの順にこれらの管を通じて冷凍用蓄熱器41の一端部(以下、適宜、常温部(冷凍機側常温部)41aと称する)に伝達された自励振動を、冷凍用蓄熱器41の一端部(常温部41a)と冷凍用蓄熱器41の他端部(以下、適宜、低温部41bと称する)との間における温度差に変換する機能を有している。冷凍用蓄熱器41の常温部41aは冷凍用冷却器43によって冷却されているため、伝達された自励振動によって、冷凍用蓄熱器41の低温部41bは、常温部41aよりも低い温度まで冷却されて冷気が発生する。この冷気は、冷気放出器42によって外部に取り出される。冷凍用蓄熱器41は、熱容量の大きい蓄冷材からなる。蓄冷材としては、例えば、ステンレス鋼、銅、鉛等を用いることができ、またその形状は多様な形状を適用することが可能である。
冷凍用冷却器43は、冷凍用蓄熱器41の自励振動が伝わる一端側に隣接して冷凍用ループ管12の管路に設けられ、冷凍用蓄熱器41の一端部(常温部41a)の熱を外部に放出するものである。すなわち冷凍用冷却器43は、冷却水や空気等を用いて冷凍用蓄熱器41の一端の熱を外部に放出して冷却する機能を有している。冷凍用冷却器43は、例えば、冷却用の熱交換器から構成される。具体的には、例えば、メッシュ板等の多数枚の金属板が微小ピッチで積層された構成とされている。この冷凍用冷却器43は、その周囲に冷却ブラケット43aが配設されている。この冷却ブラケット43aには図示しない冷却水路が接続されており、冷却水路を流れる冷却水により、冷凍用冷却器43は冷却ブラケット43aを介して一定の冷却温度を維持しうる構成とされている。なお、図面では便宜上、冷凍用蓄熱器41と冷凍用冷却器43の間に冷却ブラケット43aの下壁が示されているが、冷凍用冷却器43は、この下壁を通して冷凍用蓄熱器41の一端側と隣接、すなわち密着している。
冷気放出器42は、冷凍用蓄熱器41の他端側に隣接して冷凍用ループ管12の管路に設けられ、冷凍用蓄熱器41の他端部(低温部41b)に発生する冷気を外部に放出するものである。すなわち冷気放出器42は、冷凍用蓄熱器41の他端において発生する冷気を外部に取り出す冷気出力部として機能する。冷気放出器42は、例えば、冷凍用の熱交換器から構成される。冷気放出器42としては、基本的には冷凍用冷却器43と同一構成とされており、例えば、メッシュ板等の多数枚の金属板が微小ピッチで積層された構成とされている。この冷気放出器42の外周位置には、冷気(冷熱)を取り出す高熱伝導率材料(例えば、銅)よりなる環状部材42aが配設されている。なお、図面では便宜上、冷凍用蓄熱器41と冷気放出器42の間に環状部材42aの上壁が示されているが、冷気放出器42は、この上壁を通して冷凍用蓄熱器41の他端側と隣接、すなわち密着している。
次に熱音響機関の動作について、前記説明した熱音響発電機および熱音響冷凍機を例にして図3および図4を参照して説明する。なお、ここでは、ループ型熱音響機関を用いた場合について説明するが、ストレート型熱音響機関においても、動作としては同様である。
図3に示すように、まず、原動機20において、加熱器22によって蓄熱器21の高温部21bを加熱し、かつ、冷却器23によって蓄熱器21の常温部21aを冷却すると、蓄熱器21の両端に、すなわち、高温部21bと常温部21aとの間に温度差が生じる。この温度差により、原動機20(具体的には、蓄熱器21)には、主として作動気体の自励振動による仕事流が生じる。そして、原動機20において発生した自励振動による仕事流は、音響エネルギEとしてループ管10の直管部10a,10c,10b,10d、共鳴管11の順にこれらの管を通じて発電機30に伝達される。なお、ここでは変形管部用原動機20a,20aにおいても自励振動による仕事流が生じ、音響エネルギEとして発電機30に伝達される。そして発電機30に伝達された自励振動に基づき内側ヨーク33を往復振動させることで、音響エネルギEが電気エネルギに変換されて発電が行なわれる。
図4に示すように、前記した熱音響発電機の動作と同様にして、原動機20(具体的には、蓄熱器21)に主として作動気体の自励振動による仕事流が生じる。そして、原動機20において発生した自励振動による仕事流は、音響エネルギEとして共鳴管11を通じて冷凍機40に伝達される。より具体的には、蓄熱器21の高温部21bから、音響エネルギEとしてループ管10の直管部10a,10c,10b,10d、共鳴管11、冷凍用ループ管12の直管部12d,12b,12c,12aを通じて冷凍用蓄熱器41の常温部41aに伝達される。なお、ここでは変形管部用原動機20a,20aにおいても自励振動による仕事流が生じ、音響エネルギEとして冷凍機40に伝達される。
第1実施例では、共鳴管の一端を開口端としたストレート型熱音響機関を対象として試験を行った。対象とするストレート型熱音響機関を図5(a)に示す。なお、図5(a)においては、ストレート型熱音響機関の形状をわかりやすくするため、模式的に図示している。
本実施例として、作動気体の密度をρ、音速をcとしたときに、音響インピーダンスの虚数部がゼロの位置においてρcを満たすよう共鳴管の内径を縮小し、音場を調整した熱音響機関を準備した。共鳴管の直径(内径)は音響インピーダンスの虚数部がゼロとなる点(この位置のことをゼロ点という)まで40mmとした。一方、ゼロ点以降ではρcを満たすように共鳴管の内径を変更した。
また、比較例として、共鳴管の内径を40mmかつ一様とし、音場を未調整とした熱音響機関を準備した(図示省略)。
すなわち仕事流Wは、ZR(音響インピーダンス実数部)と次式で関係づけられる。
W=(A/2)(ZR)|U|2
このときZR:音響インピーダンス実数部,A:管内流路断面積,U:流速振幅である。
上式で与えられる仕事流Wの符号は音響パワーの流れの向きを表す。正ならば座標軸の向きに流れ、負ならば逆方向への流れを表す。
以上より音響インピーダンスの虚数部がゼロとなる位置でρcを満たすように管の内径を変更することにより、以降の音波を進行波位相に調整可能であることを示せた。すなわち、任意点より先を進行波とすることが可能であることが確認できた。
第2実施例では、ループ型の熱音響機関を対象として試験を行った。対象とするループ型熱音響機関を図5(b)に示す。なお、図5(b)においては、ループ型熱音響機関の形状をわかりやすくするため、模式的に図示している。
本実施例として、作動気体の密度をρ、音速をcとしたときに、音響インピーダンスの虚数部がゼロの位置において音響インピーダンスがρcを満たすよう共鳴管の内径を拡大し、音場を調整した熱音響機関を準備した。共鳴管の直径(内径)は音響インピーダンスの虚数部がゼロとなる点まで40mmとした。一方、ゼロ点以降ではρcを満たすように共鳴管の内径を変更した。
また、比較例として、共鳴管の内径を40mmかつ一様とし、音場を未調整とした熱音響機関を準備した(図示省略)。
図8、9において、横軸はループ管と共鳴管の継手部分(直管部10aと直管部10dの接続部分)の中央(T字部分)をゼロ点としたときのゼロ点からの距離を表し、縦軸はインピーダンスまたは仕事流を表している。また図8(a)、図9(a)はインピーダンスの実数部(Real part)、図8(b)、図9(b)はインピーダンスの虚数部(Imaginary part)、図8(c)、図9(c)は仕事流分布(Work flow)である。なお、図中の太線(Regenerator)は蓄熱器位置を示しており、破線は縦軸および横軸の目盛線のおよその位置を示している。
10 ループ管
11 共鳴管
12 冷凍用ループ管
14 基準管部
15 変形管部
16 バッファータンク
20 原動機
20a 原動機(変形管部用原動機)
21 蓄熱器
22 加熱器
23 冷却器
30 発電機(リニア発電機)
40 冷凍機
41 冷凍用蓄熱器
42 冷気放出器
43 冷凍用冷却器
50 熱音響発電機
60 熱音響冷凍機
Claims (5)
- 一端から他端までに作動気体が満たされる共鳴管を有し、前記共鳴管の管路に設けられ、前記作動気体を加熱および冷却する蓄熱器と、前記蓄熱器の一端側に隣接して前記共鳴管の管路に設けられ、前記蓄熱器の一端部を加熱する加熱器と、前記蓄熱器の他端側に隣接して前記共鳴管の管路に設けられ、前記蓄熱器の他端部の熱を外部に放出する冷却器と、からなる原動機を備え、前記蓄熱器の両端部間に温度勾配を形成して前記作動気体の自励振動を発生させる熱音響機関であって、
前記共鳴管は、基準管部と、この基準管部に対して内径が拡大または縮小された変形管部とを有し、
前記原動機は、前記基準管部の管路に設けられており、
前記変形管部は、予め求めた音響インピーダンス分布において、前記音響インピーダンスの虚数部がゼロとなるような前記共鳴管の所定部位から、前記共鳴管の他端に向けて設けられ、
前記変形管部の内径は、前記作動気体の密度をρ、音速をcとしたときに、音響インピーダンスの値がρcとなるように設定されていることを特徴とする熱音響機関。 - 作動気体が封入される環状のループ管と、当該ループ管に連通して一端が接続された共鳴管と、を有し、前記ループ管の管路に設けられ、前記作動気体を加熱および冷却する蓄熱器と、前記蓄熱器の一端側に隣接して前記ループ管の管路に設けられ、前記蓄熱器の一端部を加熱する加熱器と、前記蓄熱器の他端側に隣接して前記ループ管の管路に設けられ、前記蓄熱器の他端部の熱を外部に放出する冷却器と、からなる原動機を備え、前記蓄熱器の両端部間に温度勾配を形成して前記作動気体の自励振動を発生させる熱音響機関であって、
前記共鳴管は、基準管部と、この基準管部に対して内径が拡大または縮小された変形管部とを有し、
前記変形管部は、予め求めた音響インピーダンス分布において、前記音響インピーダンスの虚数部がゼロとなるような前記共鳴管の所定部位から、前記共鳴管の他端に向けて設けられ、
前記変形管部の内径は、前記作動気体の密度をρ、音速をcとしたときに、音響インピーダンスの値がρcとなるように設定されていることを特徴とする熱音響機関。 - さらに、前記変形管部の管路に設けられ、前記作動気体を加熱および冷却する蓄熱器と、前記蓄熱器の一端側に隣接して前記変形管部の管路に設けられ、前記蓄熱器の一端部を加熱する加熱器と、前記蓄熱器の他端側に隣接して前記変形管部の管路に設けられ、前記蓄熱器の他端部の熱を外部に放出する冷却器と、からなる、1つまたは複数の原動機を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱音響機関。
- さらに、前記共鳴管の他端に接続され、前記変形管部に連通して、前記作動気体に発生する自励振動に応動して発電を行なう発電機を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の熱音響機関。
- さらに、前記共鳴管の他端に接続され、前記変形管部に連通して接続された環状の冷凍用ループ管を有し、前記冷凍用ループ管の管路に設けられ、前記作動気体を冷却する冷凍用蓄熱器と、前記冷凍用蓄熱器の前記自励振動が伝わる一端側に隣接して前記冷凍用ループ管の管路に設けられ、前記冷凍用蓄熱器の一端部の熱を外部に放出する冷凍用冷却器と、前記冷凍用蓄熱器の他端側に隣接して前記冷凍用ループ管の管路に設けられ、前記冷凍用蓄熱器の他端部に発生する冷気を外部に放出する冷気放出器と、備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の熱音響機関。
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