JP2013053243A - 硬化性表面コーティング組成物、積層ポリエステル樹脂フィルム及び太陽電池バックシート - Google Patents

硬化性表面コーティング組成物、積層ポリエステル樹脂フィルム及び太陽電池バックシート Download PDF

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Abstract

【課題】より優れた耐候性を有する積層ポリエステル樹脂フィルムが、従来に比べより簡便に得られる硬化性コーティング組成物を提供する
【解決手段】水酸基を含有する、熱可塑性ポリエステル樹脂及び/又はアクリル樹脂と、有機ポリイソシアネート化合物と、二酸化チタンとを含有する硬化性表面コーティング組成物において、前記酸化チタンとして、平均粒子径0.5〜1.5μmの二酸化チタンを用いることを特徴とする硬化性表面コーティング組成物、当該硬化性表面コーティング組成物の硬化物皮膜がポリエステル樹脂フィルム上に積層された積層ポリエステル樹脂フィルム及び多層構造の太陽電池バックシート。
【選択図】図1

Description

本発明は、硬化性表面コーティング組成物、積層ポリエステル樹脂フィルム及び太陽電池バックシートに関する。
本発明は、例えば鉄道車両、自動車、自動販売機等の表面に貼付して用いられるマーキング用フィルムの表面保護、光沢向上、変退色・劣化防止等を目的としたオーバーレイフィルムや、車両や住宅のプラスチック製ウインドウや外装看板の表面保護用フィルム、液晶ディスプレイ反射用シート、太陽電池用バックシート等として、主として保護や変退色防止の目的で用いられる高耐候性フィルム・シートに関するものである。
上記した高耐候性フィルム・シートは、共通して、物体を厳しい外部環境から遮断し保護することを目的としており、直射日光による紫外線暴露や大きな気温変化を受けたり、風雨に曝されるなどの環境変化があっても、長期間に亘り破れたりせずに、物体を確実に保護できることが必要となる。
例えば、太陽電池バックシートは、太陽電池本体を厳しい外部環境から遮断し保護することを目的としたシートである。太陽電池パネルは、屋外に設置されることから、直射日光による紫外線暴露や大きな気温変化を受けたり、風雨に曝されるなどの環境変化があっても、長期間に亘り安定稼動することが必要である。当然、バックシート自体にも、太陽電池を視認できる透明性や耐候性が求められる。
この様な太陽電池バックシートに適用するポリエステル樹脂フィルムは、上記した厳しい品質を満足させるために、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートの様なポリエステル樹脂中に、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を添加して混練し、必要な厚みとなる様に溶融押出成形するなどして従来製造されてきた。
しかしながら、上記した様な製造方法では、透明性や耐候性にある程度優れたポリエステル樹脂フィルムは得られるものの、製造工程が多工程に亘り、簡便には得られないという欠点があった。
この様な欠点を解消すべく、最近では、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を添加しない従来のポリエステル樹脂フィルムを用いて、この上に耐久性のある樹脂皮膜を設けるための樹脂コーティングを行うことで、透明性や耐候性に優れたポリエステル樹脂フィルムを得ることが試みられている。
特許文献1には、紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤を添加した、水酸基含有アクリル樹脂と有機ポリイソシアネート化合物からなるアクリル系表面硬化性コーティング組成物が記載されており、それを用いて得られた、熱、光及び水の影響を受けても充分な耐候性を有し、皮膜の密着性にも優れた、太陽電池バックシートへの適用を示唆する高耐候性ポリエステルフィルムが記載されている。
しかしながら、紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤を用いた場合、ある程度の耐候性は改良されるが、依然その耐候性は不充分であった。また、これらの添加剤を添加することで、皮膜が黄変しやすくなるという欠点があった。これら添加剤は高価であり、コストアップにも繋がる。
また、特許文献2には、シランカップリング剤で表面処理された二酸化チタンと、水酸基含有フッ素樹脂と有機ポリイソシアネート化合物からなるフッ素系硬化性表面コーティング組成物が記載されており、それをポリエステル樹脂フィルム上に塗布し硬化乾燥させた積層フイルムも記載されている。
しかしながら、特許文献2では表面コーティング剤中の二酸化チタンの凝集粒子の経時変化に着眼し、分散性、分散安定性及び塗工適性の改良にしか着眼されておらず、フッ素系硬化皮膜はそれ自体の耐候性が高すぎて、用いる二酸化チタンの粒子径による耐候性の差異に優位差があまり見られないのが実情であった。
更に、ポリエステル樹脂フィルムの層間接着剤などで、主にガスバリア性を改良する目的で、二酸化チタンなどの無機酸化物を添加すること等が行われているが、これらはその使用目的や使用部位が明確に異なることから、本発明における様な表面コーティングへの適用や表面コーティングにおける固有の技術的課題の解決方法を示唆するものではない。
特開2005−15557公報 特開2010−238759公報
本発明は、水酸基を含有する、熱可塑性ポリエステル樹脂及び/又はアクリル樹脂と、有機ポリイソシアネート化合物とを含有する硬化性表面コーティング組成物から得られる硬化皮膜において、より優れた耐候性を有する積層ポリエステル樹脂フィルムが、従来に比べより簡便に得られる硬化性コーティング組成物を提供することを目的とする。
もって、より耐候性に優れた積層ポリエステル樹脂フィルム、並びにより耐候性に優れた前記積層ポリエステル樹脂フィルムを少なくとも含む、多層構造の太陽電池バックシートを提供することを目的とする。
本発明者等は、上記実情に鑑みて鋭意検討したところ、水酸基を含有する、熱可塑性ポリエステル樹脂及び/又はアクリル樹脂と、有機ポリイソシアネート化合物とを含有する硬化性表面コーティング組成物においては、酸化防止剤や光安定剤を添加するよりも、二酸化チタンを添加した方が、硬化物皮膜の耐候性をより改善できること、しかも従来より平均粒子径が大きめの二酸化チタンの硬化物皮膜の耐候性が優れることを見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、水酸基を含有する、熱可塑性ポリエステル樹脂及び/又はアクリル樹脂と、有機ポリイソシアネート化合物と、二酸化チタンとを含有する硬化性表面コーティング組成物において、前記二酸化チタンとして、平均粒子径0.5〜1.5μmの二酸化チタンを用いることを特徴とする硬化性表面コーティング組成物を提供する。
また本発明は、上記硬化性コーティング組成物の硬化物皮膜がポリエステル樹脂フィルム上に積層された、積層ポリエステル樹脂フィルムを提供する。以下、上記硬化物皮膜は、硬化塗膜と略記する。
さらに本発明は、上記積層ポリエステル樹脂フィルムを少なくとも含む、多層構造の太陽電池バックシートを提供する。
本発明の硬化性コーティング組成物は、水酸基を含有する、熱可塑性ポリエステル樹脂及び/又はアクリル樹脂と、有機ポリイソシアネート化合物の硬化系に、酸化防止剤や光安定剤を添加した場合や、小粒子径の二酸化チタンを添加した場合に比べて、より優れた耐候性を有するポリエステル樹脂フィルムが得られるという格別顕著な技術的効果を奏する。
また、本発明の積層ポリエステル樹脂フィルムは、上記硬化性コーティング組成物の硬化物皮膜が、ポリエステル樹脂フィルム上に積層されているので、より優れた耐候性を有するポリエステル樹脂フィルムが得られるという格別顕著な技術的効果を奏する。
さらに本発明の太陽電池バックシートは、上記したより耐候性に優れた積層ポリエステル樹脂フィルムを少なくとも含むので、より優れた耐候性を有する多層構造の太陽電池バックシートが得られるという格別顕著な技術的効果を奏する。
本発明の硬化性コーティング組成物を用いた太陽電池バックシートの層構成の一態様を示す図である。 本発明の硬化性コーティング組成物を用いた太陽電池バックシートの層構成の一態様を示す図である。 本発明の硬化性コーティング組成物を用いた太陽電池バックシートの層構成の一態様を示す図である。
本発明の表面コーティング組成物は、水酸基を含有する、熱可塑性ポリエステル樹脂及び/又はアクリル樹脂と、有機ポリイソシアネート化合物と、二酸化チタンとを含有する硬化性表面コーティング組成物において、前記二酸化チタンとして、平均粒子径0.5〜1.5μmの二酸化チタンを用いることを特徴とする硬化性表面コーティング組成物を特徴とする。
本発明の二液型の硬化性表面コーティング組成物は、水酸基を含有する熱可塑性樹脂のうち、水酸基を含有する、熱可塑性ポリエステル樹脂及び/又は熱可塑性アクリル樹脂を主剤として含有する。これらポリエステル樹脂やアクリル樹脂は、フッ素樹脂に比べて安価で取扱いや入手がより容易であり、かつ、後記する特定粒径の二酸化チタンとの相乗効果で、耐候性改良効果が著しいので好ましい。
本発明で用いられる水酸基を含有する熱可塑性アクリル樹脂とは、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを必須成分として重合して得られる、遊離の水酸基を含有する線状(リニア)樹脂をいう。以下、アクリルとメタクリルを合わせて(メタ)アクリルと称する。
この様なアクリル樹脂は、例えば、(メタ)アクリル酸エステルを必須成分として、必要に応じて(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル酸基含有モノマーを共重合することで容易に製造することが出来る。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルを必須成分として、共重合を行うに当たり、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルを併用することで、アクリル樹脂骨格の側鎖に水酸基が導入された、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂を得ることができる。
この様な水酸基を含有する熱可塑性アクリル樹脂は、線状(リニア)であることによる、低粘度、硬化皮膜の優れた可とう性等の特徴を大きく損なわない範囲において、前記した単量体に、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサ(メタ)アクリレートの様な、2〜6個の(メタ)アクリロイル基を含有する重合性単量体を少量併用して重合したアクリル樹脂であっても良い。
水酸基を含有するアクリル樹脂としては、例えば、DIC(株)製「アクリディック」シリーズ、同「ポリライト」シリーズがある。
本発明においては、主剤である(メタ)アクリル樹脂との反応により硬化塗膜を形成させるために、硬化剤である後記する有機ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応する水酸基が不可欠である。水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の水酸基間がウレタン結合で結ばれることで、硬化塗膜の強度や耐候性を補強することが出来る。この様な観点から、水酸基価は10〜60mgKOH/g、中でも10〜30mgKOH/gであることが好ましい。
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂は、有機ポリイソシアネート化合物と反応して硬化塗膜を形成すれば特に制限されないが、プラスチックフィルムの様な可とう性の基材上で、密着性の高い塗膜を形成させるためには、適当なガラス転移温度(Tg)を有していることが好ましい。ポリエチレンテレフタレート(PET)の様なポリエステル樹脂からなるフィルムの場合には、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂はTgが30〜100℃であることが好ましく、特に延伸された結晶性の高いPETフィルムの場合には、Tgが40〜80℃であることがより好ましく、Tgが55〜80℃であることが特に好ましい。
本発明で好適な、水酸基価10〜30mgKOH/gかつTg40〜80℃を満たすアクリル樹脂の市販品(商品名)としては、例えばDIC(株)製アクリディックA−808−T、同A−809を挙げることが出来る。
一方、水酸基を含有する熱可塑性ポリエステル樹脂とは、グリコールと、二塩基酸またはその誘導体とを必須成分として反応させて得られる、遊離の水酸基を含有する線状(リニア)樹脂をいう。勿論、上記二塩基酸に代えて、二塩基酸無水物、二塩基酸低級アルキルエステル等のエステル形成性誘導体を用いて、重縮合反応のみならず、付加反応やエステル交換反応にて、ポリエステル樹脂を得ることも出来る。
ポリエステル樹脂としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、デカンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族グリコールと、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸スベリン酸、アゼライン酸、1,10−デカメチレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ニ塩基酸とを必須原料成分として反応させた脂肪族ポリエステル樹脂や、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等の脂肪族グリコールと、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ニ塩基酸とを必須原料成分として反応させた芳香族ポリエステル樹脂が挙げられる。
この様な水酸基を含有する熱可塑性ポリエステル樹脂は、線状(リニア)であることによる、低粘度、硬化皮膜の優れた可とう性等の特徴を大きく損なわない範囲において、前記したグルコールや二塩基酸に、トリメリット酸、ピロメリット酸、トロメチロールプロパン、ペンタエリスルトール等の、水酸基やカルボシキル基に代表される、活性水素基を分子内に3〜4個含有する化合物を少量併用して得たポリエステル樹脂であっても良い。
水酸基を含有するポリエステル樹脂としては、例えば、東洋紡績(株)製「バイロン」シリーズ、ユニチカ(株)製「エリーテル」シリーズがある。
上記したポリエステル樹脂は、その主鎖中にベンゼン環やナフタレン環がより多く含有されることでTgがより高くなる傾向があり、例えば、コーティングすべき対象基材がPET(ポリエチレンテレフタレート)やPBT(ポリブチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)との親和性が高まるため、本発明では脂脂肪族ポリエステル樹脂よりも芳香族ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。しかしながら、一方で、主鎖中にベンゼン環やナフタレン環がより多く含有されることで、結晶性や融点等も高くなる傾向があり、流動性や塗布性が低下しやすい。
そのため、ポリエステル樹脂は、示差走査熱量分析法(Differential Scanning Calorimetry 法;DSC法)でのガラス転移温度(Tg)30〜90℃のポリエステル樹脂であることが好ましい。本発明では、全アルコール中炭素原子数2〜4の脂肪族グリコール25モル%以上を用い、かつ全多塩基酸中芳香族ニ塩基酸30モル%以上を用いて得た、Tg30〜55℃の芳香族ポリエステル樹脂を用いることがより好ましい。
また本発明においては、主剤であるポリエステル樹脂との反応により硬化塗膜を形成させるために、硬化剤である後記する有機ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応する水酸基が不可欠である。水酸基含有ポリエステル樹脂の水酸基間がウレタン結合で結ばれることで、硬化塗膜の強度や耐候性を補強することが出来る。この様な観点から、水酸基を含有するポリエステル樹脂は、水酸基価1〜10mgKOH/gのポリエステル樹脂であることが、後記する有機ポリイソシアネート化合物と架橋した際に、未反応の水酸基が硬化物表面に残存し難く、フリーの水酸基を起点としたラジカルによる硬化物中のポリエステル樹脂の経時分解等も起こり難く、ポリエステル樹脂の優れた特徴を存分に発揮しやすい点で好ましい。
この様な水酸基を含有するポリエステル樹脂は、原料グリコール成分の水酸基の等量と、原料ニ塩基酸成分の酸基の等量とが、前者過剰となる様にして反応を行うことで、容易に得ることが出来る。
水酸基を含有するポリエステル樹脂は、中でも蒸気圧浸透法(VaporPressure Osmometry 法;VPO法)での数平均分子量16,000〜2,4000を満たすポリエステル樹脂であること、中でも特に数平均分子量18,000〜2,4000を満たすポリエステル樹脂であることが、硬化物皮膜の耐候性により優れる点でより好ましい。上記した分子量のポリエステル樹脂は、従来技術で用いられるポリエステルポリオールよりは高い分子量域にあるが、例えば有機溶剤に溶解する上、同溶液の流動性を大きくは損なうことなく、ポリエステルポリオールを用いた場合に無い際立った耐候性を発現する。
本発明では、水酸基を含有する熱可塑性樹脂として、水酸基を含有するアクリル樹脂及び/又は水酸基を含有するポリエステル樹脂が用いられるが、後者樹脂を用いることで、層間接着剤で適用していたのでは知見できない、表面コーティング用途で固有の技術的課題である難燃性を解決できる。
従来は、最外層の皮膜を難燃化するには基材自体の難燃化が必要であった。具体的には、ポリエステルフイルム基材の難燃化は、その基材のポリエステル樹脂自体の製造時に難燃性単量体を共重合する方法、難燃剤をポリエステル樹脂に混合する方法があり、難燃剤としてリン化合物と無機化合物、例えば水酸化アルミニウムを溶融混合し製膜する方法が提案されてはいるが、この様な方法を採用しなくとも、ある程度は、上記したより高い分子量域のポリエステル樹脂を用いた硬化性表面コーティング剤の硬化皮膜で、前記した特段の難燃化を行わずとも、水酸基を含有するアクリル樹脂を用いた場合に無い際立った難燃性を発現させることが可能である。
本発明で好適な、Tg30〜90℃かつ数平均分子量16,000〜2,4000を満たすポリエステル樹脂の市販品(商品名)としては、例えばユニチカ(株)製エリーテルUE−3210、同XA−0611を挙げることが出来る。
本発明では、上記した水酸基を含有する熱可塑性樹脂を架橋させるための硬化剤として、有機ポリイソシアネート化合物が併用される。有機ポリイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を分子内に少なくとも2つ有する有機化合物が挙げられる。有機ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートなどのポリイソシアネート;これらのポリイソシアネートのアダクト体、ビュレット体、イソシアヌレート体などのポリイソシアネートの誘導体(変性物)などが挙げられる。
有機ポリイソシアネート化合物は、使用される用途によって適宜選択すれば良いが、トリレンジイソシアネートの様な芳香族系は黄変する場合があり、より優れた耐候性を要する場合には、脂肪族系または脂環式を用いることが好ましい。ポリエステル樹脂フィルムの様な透明な基材上で硬化塗膜が着色して透明性が低下するのは視認性悪化の点でも好ましくない。よって本発明で好適なのは、脂肪族または脂環式の有機ポリイソシアネートである、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、これらのポリイソシアネートのアダクト体、ビュレット体、イソシアヌレート体などのポリイソシアネートの誘導体(変性物)を用いることが好ましい。
この様な有機ポリイソシアネート化合物としては、例えば、住化バイエルウレタン(株)製、商品名:スミジュールN3200、同N3300、同BL3175、同N3400、同N3600、同VPLS2102;旭化成工業(株)製、商品名:デュラネートE−402−90Tなどが挙げられる。
主剤である水酸基を含有する熱可塑性樹脂と、硬化剤である有機ポリイソシアネート化合物との質量割合は、用いる主剤と硬化剤の種類や、各々の官能基含有量などによって異なるので一概には決定することができないが、質量換算の両者の合計を100%とした場合、硬化剤に使用割合は、硬化塗膜の密着性、耐加水分解性の観点から、通常0.1〜30%、中でも1〜10%とすることが好ましい。
硬化剤は、有機ポリイソシアネート化合物のみでも良いが、有機ポリイソシアネート化合物とエポキシ樹脂とを積極的に併用することより、硬化塗膜により高度な耐加水分解性を付与することが出来る。
本発明で用いるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、等のビスフェノール型エポキシ樹脂;オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールフェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールSノボラック型エポキシ樹脂、アルコキシ基含有ノボラック型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;その他、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂(通称ザイロック樹脂のエポキシ化物)、レゾルシンのジグリシジルエーテル、ハイドロキノンのジグリシジルエーテル、カテコールのジグリシジルエーテル、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、硫黄含有エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂等の2官能型エポキシ樹脂、トリグリシジルシソシアヌレート、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価フェノール樹脂のエポキシ化物)、アルコキシ基含有ノボラック型エポキシ樹脂、アルコキシ基含有フェノールアラルキル樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。また、前記エポキシ樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。
これらのエポキシ樹脂の中でも、特にエポキシ樹脂自体が低粘度であって、主剤との相溶性に優れる点、及び硬化塗膜の耐熱性、強度の物性バランスを良好と出来る点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。前記ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、特に主剤へ混合した際の常温での流動性に優れ、とりわけ硬化塗膜の剛性、耐加水分解性、耐湿熱性などのバランスに優れたものに出来る点からビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。また、該ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ当量は、流動性の点から150〜700g/eq.の範囲、中でも150〜250g/eq.の範囲であることが特に好ましい。
本発明においては、エポキシ樹脂を併用する場合には、水酸基を含有する熱可塑性樹脂と有機ポリイソシアネート化合物との質量換算合計100部当たり、エポキシ樹脂を2〜20部、中でも12〜20部用いることが、硬化塗膜の優れた可とう性、密着性及び耐加水分解性を兼備させる上では好ましい。
本発明の硬化性表面コーティング組成物には、ポリカーボネート樹脂を含有させることが出来る。ポリカーボネート樹脂は、水酸基を含有するアクリル樹脂や水酸基を含有するポリエステル樹脂と、有機ポリイソシアネート化合物とエポキシ樹脂と併用することで、硬化塗膜の耐加水分解性をより向上させることが出来る。
ポリエステル樹脂は、エステル結合を含有するため耐加水分解性が劣るし、ポリエーテル樹脂は、エーテル結合を含有するため、耐候性や耐熱性の水準が低いという欠点があるのに対して、ポリカーボネート樹脂にはこの様な欠点が無い。ポリカーボネート基の有する高い凝集力により、硬化塗膜を、より耐熱性、耐候性、耐油性、および、耐薬品性に優れたものとすることが出来る。本発明においてポリカーボネート樹脂は、コーティングを行う基材の可とう性に追従できる密着性と耐加水分解性を考慮して添加すればよいが、硬化塗膜の固形分の質量換算100部に対して、0.1〜10%、中でも1〜5%となる様に用いることが好ましい。
このポリカーボネート樹脂として、例えば、炭酸ジアルキルと1,6−ヘキサンジオールのみを用いて得たポリカーボネート樹脂を用いることも出来るが、より結晶性が低い点で、ジオールとして、1,6−ヘキサンジオールと、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール又は1,4−シクロヘキサンジメタノールとを共重合させて得られるポリカーボネートジオールを用いることが好ましい。
この様なポリカーボネートジオールとしては、例えば、数平均分子量500〜2000かつ水酸基価30〜500mgKOH/gのものが挙げられ、中でも、常温液状で上記ポリエステル樹脂との相溶性に優れる点で、数平均分子量800〜1200かつ水酸基価50〜250mgKOH/gのものが好ましい。
上記ポリカーボネートジオールとして、例えば、旭化成ケミカルズ(株)製の共重合ポリカーボネートジオールである商品名「T5650J」、「T5651」、「T5652」、「T4671」、「T4672」、あるいは、宇部興産(株)製の商品名「UM−CARB90(1/3)」、「UM−CARB90(1/1)」等が商業的に入手可能なものとして挙げられる。
本発明の硬化性表面コーティング組成物には、硬化物の光・熱・水などによる劣化を防止するため、例えば、酸化防止剤、光安定剤を含めることは出来るが、これらは高価であり、期待を超えた効果を奏し難い。
そこで本発明者等は、特定の二酸化チタンを用いることで、上記した欠点を解決できることを見い出した。本発明で用いる二酸化チタンは、数ある平均粒子径の二酸化チタンのうち、平均粒子径0.5〜1.5μmの二酸化チタンである。特に、この粒子径範囲の、ルチル型二酸化チタンは、表面コーティング組成物に含有させた場合、近赤外線がそれの硬化塗膜内部に吸収されるのを、選択的かつより低い水準に抑制することが出来る。この様な特異な性質は、平均粒子径0.5μm未満の二酸化チタンでは達成し得ない。また、平均粒子径1.5μmを超える二酸化チタンは、硬化塗膜の表面平滑性を悪化させるので好ましくない。
平均粒子径0.5〜1.5μmの二酸化チタンは、目的とする耐候性の水準に応じて、硬化塗膜自体の強靭性、コーティングを行う基材の可とう性に追従できる密着性を考慮して、主剤及び/又は硬化剤に添加すればよいが、全硬化性成分の不揮発分質量換算での合計100部当たり30〜250部であることが耐候性に優れる点で好ましく、なかでも更に、フッ素樹脂を用いたときの様な白色である高い白色度とすることが出来る点で、120〜210部であることが用いることがより好ましい。
本発明の硬化性表面コーティング組成物は、通常、硬化剤である有機ポリイソシアネート化合物以外の各成分をあらかじめ配合した主剤プレミックスを調製しておき、これと有機ポリイソシアネート化合物とを混合して調製することが出来る。上記した、平均粒子径0.5〜1.5μmの二酸化チタン、エポキシ樹脂及びポリカーボネートポリオールは、水酸基を含有するアクリル樹脂や水酸基を含有するポリエステル樹脂に対しての混合分散をより容易に行えることから、或いは、経時で或いは瞬時にイソシアネート基と反応することを防止できることから、これらは主剤プレミックスに配合しておくのが好ましい。
本発明の硬化性表面コーティング組成物、特に上記した主剤には、粘度調整の観点から、そこに含める原料との反応性を有さず、原料を溶解する有機溶剤を含有させることが出来る。具体的には、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶剤、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族系炭化水素等が挙げられる。
本発明の硬化性表面コーティング組成物には、必要であれば、その他の添加剤などを含有させてもよい。添加剤としては、フィルムやコーティング膜などを形成する樹脂組成物に一般に使用されている添加剤などが挙げられる。添加剤としては、例えば、レベリング剤;コロイド状シリカ、アルミナゾルなどの無機微粒子;ポリメチルメタクリレート系の有機微粒子;消泡剤;タレ性防止剤;シランカップリング剤;粘性調整剤;紫外線吸収剤;金属不活性化剤;過酸化物分解剤;難燃剤;補強剤;可塑剤;潤滑剤;防錆剤;蛍光性増白剤;無機系熱線吸収剤;防炎剤;帯電防止剤;脱水剤などが挙げられる。
本発明の硬化性表面コーティング組成物は、公知慣用の基材に塗布して乾燥することで、基材上に密着性のある硬化塗膜を積層することが出来る。基材への塗布量は、特に制限されるものではないが、例えば、1〜20g/m、中でも5〜10g/mの範囲から選択することが、少量で優れた耐候性が付与できる点で好ましい。この塗布には、例えば、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、リバースコーター、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター等を用いることが出来る。
この際の基材としては、例えば、紙、オレフィン樹脂やポリエステル樹脂から得られた合成樹脂フィルム、銅箔、アルミニウム箔の様な金属箔等を挙げることが出来る。基材の厚みは、特に制限されるものではなく、例えば、10〜400μmから選択出来るが、本発明の硬化性表面コーティング組成物は、少量の塗布かつ低温短時間の乾燥で、基材に反りやヘタリ等、何ら影響を与えることなく優れた密着性を奏し、優れた耐候性を付与出来ることから、30〜80μmで軟化温度180℃以下の基材への適用が最適である。
低温かつ短時間の乾燥より、基材を反らせたり塗膜剥離などの不都合が発生することなく、基材への優れた密着性が得られ積層体の劣化をより効果的に防止することが出来る点で、基材としては、ポリエステル樹脂フィルムを用いることが好ましい。本発明の硬化性表面コーティング組成物の硬化塗膜がポリエステル樹脂フィルム上に積層された、積層ポリエステル樹脂フィルムは、上記した優れた性質を有したものとなる。
この際のポリエステル樹脂フィルムとしては、例えば、PET、PBT、PENや、1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート(PET−G)等の共重合ポリエステル樹脂のフィルムなどが挙げられる。また、延伸フィルム、無延伸フィルムのいずれでも構わない。ポリエステル樹脂フィルムは、白色または着色していても良いが、本発明の硬化性表面コーティング組成物の硬化塗膜が透明となる様に原料を選択して調製した場合や用途として透明性が要求される場合には、このポリエステル樹脂フィルムとしても透明なものを選択して用いることで、積層ポリエステル樹脂フィルムも透明なものとすることが出来るので好ましい。むろん、必要であれば、ポリエステル樹脂フィルムとしては、硬化塗膜の積層前後において、その表面に絵柄を施すことも出来る。
中でも、160℃以下という比較的低温で1分以下という短時間の乾燥より、薄膜の基材に上記した様な不都合を発生させず、基材への優れた密着性が得られ積層体の耐湿熱性と耐加水分解性に基づく劣化をより効果的に防止することが出来る点で、基材としては、PETフィルムを用いることが好ましい。本発明のコーティング組成物の硬化塗膜がPETフィルム上に積層された、積層ポリエステル樹脂フィルムは、上記した優れた性質を有したものとなる。
ポリエステル樹脂フィルムと硬化塗膜との密着性を向上させるために、ポリエステル樹脂フィルムの硬化塗膜を形成する方の面に表面処理を行ってもよい。この表面処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、火炎処理、放射線処理等を行うことも出来る。
本発明の硬化性表面コーティング組成物の硬化塗膜がポリエステル樹脂フィルム上に積層された積層ポリエステル樹脂フィルムを得るに当たっては、この硬化塗膜1を、ポリエステル樹脂フィルム2の片面のみに設けても良いし、両面に設けても良い。硬化塗膜1を、ポリエステル樹脂フィルム2の片面に設けた積層ポリエステル樹脂フィルムの層構成は、図1に示した通りである。図1の積層ポリエステル樹脂フィルムの本発明の表面コーティング組成物の硬化塗膜1と反対側のPET表面2に、ポリエステル樹脂系、ポリウレタン樹脂系の易接着性コート剤3を塗布し、その他の各種基材と接着させることが出来る、図2の様な、積層ポリエステル樹脂フィルムを得ることも出来る。流通に当たっては、易接着性コート剤3の外側には剥離紙(離型フィルム)を更に積層した上、使用時には、それを剥がすことで、積層ポリエステル樹脂フィルムを基材に貼着させることが出来る。これら図1及び図2の積層ポリエステル樹脂フィルムは、太陽電池バックシートに用いることが出来る。
劣化の原因となる光・熱・水などの作用を片面のみから受ける用途であれば、一般的には、ポリエステル樹脂フィルムの二つの表面のうち当該面のみに硬化塗膜を設ければ十分な効果がある。しかし、光、熱又は水の作用を両面から受ける可能性がある場合には、両面に設けることが望ましい。
本発明の硬化性表面コーティング組成物の硬化物皮膜がポリエステル樹脂フィルム上に積層された、積層ポリエステル樹脂フィルムを少なくとも含む、多層構造の積層ポリエステル樹脂フィルムも、太陽電池バックシートとして用いることが出来る。
太陽電池バックシートに更に優れたガスバリア性を付与する場合には、中間層に、例えば、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウム等の薄膜を設けることが好ましい。例えば、図1の積層ポリエステル樹脂フィルムの本発明のコーティング組成物の硬化塗膜1と反対側のポリエステル樹脂フィルム2表面に、ポリエステル樹脂フィルムとガスバリア性のある中間層との密着性に優れる接着剤4を介して、軟質アルミニウム層の様な上記したガスバリア性のある金属または金属酸化物のフレキシブルな薄膜(中間層)5を積層し、更にその中間層5の外側に、ポリエステル樹脂フィルムとガスバリア性のある中間層との密着性に優れる接着剤4を介して、別のポリエステル樹脂フィルム2を積層することで、ガスバリア性のある中間層5がポリエステル樹脂フィルムでサンドイッチされた構造を含み、少なくとも一方のポリエステル樹脂フィルム表面が、本発明の表面コーティング組成物の硬化塗膜で被覆された、太陽電池バックシートを得ることが出来る(図3参照。)。
尚、表面が未処理のポリエステル樹脂フィルムに代えて、片面にアルミニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウム等の蒸着薄膜が設けられたポリエステル樹脂フィルム二つを用いることで、PETフィルム層2と中間層5との間に接着剤層4を設けずに、その蒸着薄膜表面とは逆の表面に本発明のコーティング組成物の硬化塗膜を積層し、各蒸着薄膜側同士を接着剤で貼合することでも、上記図3に類する太陽電池バックシートを得ることが出来る。
次に本発明を実施例により詳細に説明する。以下、部、%は質量基準であるものとする。
下記の表1及び表2に示す通り、水酸基を含有するアクリル樹脂、水酸基を含有するポリエステル樹脂、有機ポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂及び異なる平均粒子径の二酸化チタンを用いて、主剤成分と硬化剤成分との二液型の、本発明及び従来の、白色の硬化性表面コーティング組成物を調製した。
塗布量6g/mとなる様にバーコーターにて、得られた各硬化性表面コーティング組成物を直ちに、東洋紡績(株)製コロナ処理PETフィルム(厚さ50μm)のコロナ処理面に塗布し、100℃で30秒乾燥させ、図1の層構成を有した各積層ポリエステル樹脂フィルムを得た。
耐候性は、耐加水分解性の影響を含んでいる耐湿熱性を指標とした。この耐候性は、硬化塗膜自体でなく積層ポリエステル樹脂を用いて評価した。耐候性の評価に当たり、各積層ポリエステル樹脂フィルムにつき、プレッシャークッカーテスト(PCT)を行い、同テスト前後における積層ポリエステル樹脂フィルムの破断強度と伸び強度がどの程度変化するかを測定した。PCTは、温度121℃×湿度100%×50時間の条件で行い、各強度は株式会社エー・アンド・ディー製テンシロン万能材料試験機にて測定した。
尚、PCT前後における各強度の保持率が、90%以上を◎、89〜70%を○、69〜40%を△、39%以下を×として、下記表1及び2に示した。
下記表1及び表2の各コーティング組成物の調製に用いた原料は、下記の通りである。
TITANIX JR−1000:
ルチル型二酸化チタン(テイカ株式会社)平均粒子径:1.0μm
TITANIX JR−805:
二酸化チタン(テイカ株式会社)平均粒子径:0.29μm
アクリディックA−808−T:
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂(DIC株式会社)。固形分:50%、Tg:70℃、水酸基価:20
アクリディックA−809 :
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂(DIC株式会社)。固形分:50%、Tg:41℃、水酸基価:20
エリーテルUE−3210:
ユニチカ株式会社全アルコール中炭素原子数2〜4の脂肪族グリコール25モル%以上を用い、かつ全多塩基酸中芳香族ニ塩基酸30モル%以上を用いて得た、水酸基を含有する芳香族ポリエステル樹脂。固形分:100%、DSC法によるTg:45℃、水酸基価:4mgKOH/g、VPO法による数平均分子量:20,000
エピクロン860:
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製)。固形分:100%、エポキシ当量:240
DURANOL T−5651:
ポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ株式会社製)。固形分:100%、数平均分子量:1000、水酸基価:100〜120
スミジュールN3300:
HDI系ポリイソシアネート(住化バイエルウレタン株式会社製)。固形分:100%
Figure 2013053243
Figure 2013053243
実施例2と比較例2との対比からわかる通り、二酸化チタンを同量用いても、その平均粒径が異なるだけで、耐候性が著しく異なったものとなり、より平均粒子径が大きい実施例2の表面コーティング剤だけが、優れた耐候性を有していることが明白である。
また、実施例2と実施例1との対比から、特定二酸化チタンの含有率をより高めることで、もう一段高い耐候性が得られると共に、その硬化塗膜の白色度を高めることが出来、隠蔽性は高まる。
実施例1と実施例3との対比から、水酸基を含有するアクリル樹脂にあっても、より高いTgの水酸基を含有するアクリル樹脂を用いることで、より耐候性を高めることが出来る。
実施例3と実施例4との対比から、より大きめの平均粒子径の二酸化チタンを用いても、水酸基を含有するアクリル樹脂の方が、耐候性の改良程度は大きいことがわかる。
上記実施例の表面コーティング組成物は、紫外線吸収剤や光安定剤を含んでおらず、それらが含まれることによる経時変色は発生する余地がなく、しかもより安価である二酸化チタンにてより高い耐候性が得られる。
難燃性:
実施例1〜4で得た積層ポリエステル樹脂フィルムの試験片(20×5cm)を円筒状に巻き、クランプに垂直に取り付け、20mm炎による3秒間接炎を2回行い、その燃焼挙動により、燃焼性分類の判定を行ったところ、実施例4の積層ポリエステル樹脂フィルムは、実施例1〜3の積層ポリエステル樹脂フィルムに無い、燃焼性分類「○」の難燃性に優れた積層ポリエステル樹脂フィルムが得られた。
本発明の硬化性表面コーティング組成物は、より優れた耐候性を有するので、例えば鉄道車両、自動車、自動販売機等の表面に貼付して用いられるマーキング用フィルムの表面保護、光沢向上、変退色・劣化防止等を目的としたオーバーレイフィルムや、車両や住宅のプラスチック製ウインドウや外装看板の表面保護用フィルム、液晶ディスプレイ反射用シート、太陽電池用バックシート等として、主として精密部品の保護や変退色防止の目的で用いられる高耐候性フィルム・シートを提供出来る。
1 本発明のコーティング組成物の硬化物(硬化塗膜)
2 PETフィルム
3 易接着コート剤
4 接着剤
5 軟質アルミニウム

Claims (6)

  1. 水酸基を含有する、熱可塑性ポリエステル樹脂及び/又はアクリル樹脂と、有機ポリイソシアネート化合物と、二酸化チタンとを含有する硬化性表面コーティング組成物において、前記酸化チタンとして、平均粒子径0.5〜1.5μmの二酸化チタンを用いることを特徴とする硬化性表面コーティング組成物。
  2. 硬化性成分の不揮発分質量換算での合計100部当たり、平均粒子径0.5〜1.5μmの二酸化チタンを30〜250部含有する請求項1記載の硬化性表面コーティング組成物。
  3. 更にエポキシ樹脂を更に含有する請求項1または2記載の硬化性表面コーティング組成物。
  4. 更に、ポリカーボネート樹脂を含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性表面コーティング組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性表面コーティング組成物の硬化物皮膜がポリエステル樹脂フィルム上に積層された、積層ポリエステル樹脂フィルム。
  6. 請求項5の積層ポリエステル樹脂フィルムを少なくとも含む、多層構造の太陽電池バックシート。
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