JP2013053108A - 椿花抽出物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、椿花またはそれらの抽出物を含有する、皮膚外用剤を提供する。また、抽出物から単離された新規なカメリオサイド式(1)、式(4)を含むカメリオサイド類を提供する。さらに、その皮膚外用剤の製造方法、およびその非臨床的使用を提供する。
【解決手段】椿花またはそれらの抽出物および/またはこれらの新規カメリオサイドとその類縁体は、肌にある有害な酵素(マトリックスメタロプロテアーゼ、トリプシン、キモトリプシン、ヒアルロニダーゼ、リパーゼ、およびチロシナーゼ等)の阻害剤として働き、美白剤、老化防止剤などの皮膚外用剤として有用である。
【選択図】なし
【解決手段】椿花またはそれらの抽出物および/またはこれらの新規カメリオサイドとその類縁体は、肌にある有害な酵素(マトリックスメタロプロテアーゼ、トリプシン、キモトリプシン、ヒアルロニダーゼ、リパーゼ、およびチロシナーゼ等)の阻害剤として働き、美白剤、老化防止剤などの皮膚外用剤として有用である。
【選択図】なし
Description
本発明は新規化合物、およびそれを含有する椿花抽出物、ならびに、それらの用途、製造方法、および使用に関する。より具体的には、椿花またはそれらの抽出物を含有する皮膚外用剤に関する。また、抽出物から単離された新規物質を含むカメリオサイド(Camellioside)類に関する。椿花抽出物および/またはこれらの新規物質は、肌にある有害な酵素(マトリックスメタロプロテアーゼ、トリプシン、キモトリプシン、ヒアルロニダーゼ、リパーゼ、およびチロシナーゼ等)の阻害剤として働き、美白剤、老化防止剤などの皮膚外用剤として有用である。さらにその皮膚外用剤の製造方法、およびその非臨床的使用に関する。
皮膚は各種の人の器官にあって、唯一、外界と接する器官である。このため、外界の影響を直接受けることになる。その原因となるものは、光、温度、湿気、異物などの影響を受けることになるが、傷や一部の炎症などは時間とともに解消していくが、なかなか影響が解消せず、あるいは蓄積されていくものもある。
例えば、日焼けなどによる、炎症や肌の黒化、皺などが例示される。その中で、肌の黒化、しみ、そばかすは、メラニンの生成と排泄のバランスが崩れ、表皮細胞内にメラニンが過剰に蓄積したものである。これらの原因には遺伝的要素もあるが、紫外線すなわち、日光によって助長される。そしてこの作用を抑えるために各種の美白剤がすでに知られている。例示すれば、アスコルビン酸、またはその誘導体、プラセンタエキス、ハイドロキノン、またはハイドロキノン誘導体(アルブチン)、コウジ酸、システイン、コロイド硫黄、各種の植物エキス等が知られており、これらを配合した美白化粧料が提案されている。また、サンゴの粉末は特許文献1(特許第2890027号公報)や特許文献2(特開2000−355515号公報)によって化粧品に応用することが示されているが、保湿作用または抗炎症作用、皮膚のかさつき感の抑制等の用途に用いられている。
皮膚の組成は大きく三つに分類され、外層から表皮、真皮、皮下組織から形成されており、それぞれは身体の恒常維持、外界からの防御など、種々役割を担っている。表皮は主に外界からの菌の進入や悪環境(紫外線、乾燥など)から保護し、皮下組織は体温の維持等が主だった機能である。
一方、皮膚真皮の機能は、外界からの衝撃を吸収するいわばクッションのような役割を果たしている。この効果は、真皮の厚さ、柔軟性などによるものであるが、老化とともに失われていく傾向にあり、皮膚科学的にも皮膚のはりの消失にともない、しわ、たるみの発生が起こる。
真皮の構成成分は主に、コラーゲン、エラスチン、線維芽細胞でそのほとんどを占めている。しわ、くすみ、きめの消失、または弾力性の低下など皮膚の老化に伴う変化には、コラーゲンやエラスチン等の真皮マトリックスの線維の劣化、減少あるいは変性が起こっていることが知られている。その原因は、従来、肌にある有害な酵素の働きが関与することが指摘されている。これらの酵素としては、例えば、エラスターゼやコラゲナーゼに代表されるマトリックスメタロプロテアーゼと呼ばれる酵素の他、トリプシン、キモトリプシン、ヒアルロニダーゼ、リパーゼ、およびチロシナーゼ等が挙げられる。
例えば、エラスターゼやコラゲナーゼの老化への関与は以下のようである。
健常な真皮中ではコラーゲンおよびエラスチンは古くなったものは吸収・排出される一方、新たにコラーゲンおよびエラスチンが線維芽細胞から生産され、一定した質および量を恒常的に保っている。しかし、年齢を重ねると、外的および内的な要因において、その恒常性は崩れ、線維芽細胞由来のエラスターゼが必要以上にエラスチンを分解することにより、老化症状が促進する。
また、間質型コラゲナーゼI型の発現量は紫外線の照射量に依存して大きく増加することから、その活性が紫外線によるコラーゲン減少性変性の原因の一つとなっており、皮膚のシワの形成等の大きな要因の一つとなっている。
近年の社会生活の複雑化によってもたらされる精神的、肉体的ストレスが皮膚などへも蓄積されており、従来の化粧品料では、十分な原状、健康回復を行うことができない問題を有している。このため、それらに薬効のある化学物質を配合することも行われているが、化学合成によって製造された化学物質は、その使用者によっては肌に合わないこともあり、かぶれや痒みの原因となる新たな問題が発生している。特に、近年女性の肌が敏感になってきており、これらの不具合が顕著となってきている。このため、天然物質由来成分を有効に利用することにより、その良好な効用を有し、しかも、かぶれや痒みの発生がなく、肌などに優しくあらゆる使用者に使用することができる手法がとられることも多い。
本発明で使用した椿(Camellia japonica)の花は、民間薬として、吐血や腸風下血(腸出血)の治療に用いられており、滋養強壮効果を有することも知られている。また、近年においては、椿花に含有される成分による化粧品としての研究も進められているが、不明の部分が多いのが現状である。椿花の含有成分としては,ロイコアントシアニン、アントシアニン、トリテルペン配糖体等が知られている。椿花の他の含有成分やそれらの薬効等については不明の部分も多く、さらなる研究が求められている。特に、カメリオサイドと呼ばれるトリテルペン配糖体は、SOD様活性に由来する抗酸化作用があることが知られており(特許文献3、特開2002−371092号公報)、化粧品として特に有用な美白効果および抗老化作用成分に関しては、本発明者らが自ら学会発表した技術がある(非特許文献1、日本薬学会131年会要旨集)。
日本薬学会131年会要旨集 「メディシナルフラワー研究:椿花の美白及び抗老化作用成分−Camellioside E,Fの化学構造−」31P−0525,p.226.
近年の社会生活の複雑化によってもたらされる精神的、肉体的ストレスが皮膚などへも蓄積されており、従来技術では、十分な原状、健康回復を行うことができない問題を有している。すなわち、従来の製剤中の安定性が不十分であったり、アレルギー、皮膚刺激性等、皮膚の安全性の面で問題があったり、効果が不十分であったりして、必ずしも、満足する美白剤はなく、より有効な美白剤が求められている。さらには、美白以外の効果(例えば肌の老化防止効果)も有している原料が期待されている。
本発明の目的は、前述した不利益を回避した、目的の効果を有する新規物質並びにその類縁体、および当該新規物質並びにその類縁体を含有する抽出物、ならびに、それらの皮膚外用剤としての用途、その製造方法、およびその使用を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記のような事情に鑑み、肌の美白作用が強くさらに、その他の効果を持ち、安全性や安定性に優れた皮膚外用剤の成分を鋭意検討した結果、驚くべきことに、椿花の抽出物が、肌の美白作用および肌の老化防止効果を有することを見出した。また、その成分を単離したところ、新規なカメリオサイド(式(1)、式(4))を含むカメリオサイド類を見出した。以下に詳述する。
椿花の抽出物の培養メラノーマ細胞におけるメラニン生成抑制作用、線維芽細胞の増殖作用および肌の老化に関連する酵素活性に及ぼす影響を検討した。肌の老化に関連する酵素活性としては、マッシュルーム由来チロシナ-ゼ、 ヒストリチクス菌 (Clostridium histolyticum)由来コラゲナーゼI型、ウシ睾丸由来ヒアルロニダーゼ、ブタ膵臓由来エラスターゼを用いた。その結果、椿花抽出物はいずれの実験系においても有効性を示した。したがって、メラニンの生成を抑える作用は、肌の美白作用効果があり、線維芽細胞の増殖作用および肌の老化に関連する酵素活性を抑えることは、肌の老化防止に効果がある。さらに産地(京都産、五島産、韓国・済州島)による効果の違いも検討したが、大きな差は見られず、椿花エキスに普遍的な効果であることが明らかとなった。本発明者らは、ここに、椿花抽出物およびその成分が肌の美白作用および肌の老化防止効果を有するという技術思想を確立し、本発明を完成した。
本発明は、
[1]以下の式(1)又は(4)で示される化合物;
[2][1]記載の式(1)又は(4)で示される化合物を含有することを特徴とする皮膚外用剤;
[3]化粧品である[2]記載の皮膚外用剤;
[4]美白剤である[2]記載の皮膚外用剤;
[5]肌の老化防止剤である[2]記載の皮膚外用剤;
[6]椿花抽出物を含有することを特徴とする皮膚外用剤;
[7]椿花抽出物が式(1)又は(4)で示される化合物を含有することを特徴とする[6]記載の皮膚外用剤;
[8]式(1)又は(4)で示される化合物が配合されている[6]記載の皮膚外用剤;
[9]式(1)又は(4)で示される化合物を配合する工程を含んでなる皮膚外用剤の製造方法;
[10][2]〜[8]のいずれか一項に記載の皮膚外用剤の非臨床的使用;および
[11]以下の式(1)〜(5)で表される化合物のいずれかを含有する皮膚外用剤;
を開示するものである。
[1]以下の式(1)又は(4)で示される化合物;
[3]化粧品である[2]記載の皮膚外用剤;
[4]美白剤である[2]記載の皮膚外用剤;
[5]肌の老化防止剤である[2]記載の皮膚外用剤;
[6]椿花抽出物を含有することを特徴とする皮膚外用剤;
[7]椿花抽出物が式(1)又は(4)で示される化合物を含有することを特徴とする[6]記載の皮膚外用剤;
[8]式(1)又は(4)で示される化合物が配合されている[6]記載の皮膚外用剤;
[9]式(1)又は(4)で示される化合物を配合する工程を含んでなる皮膚外用剤の製造方法;
[10][2]〜[8]のいずれか一項に記載の皮膚外用剤の非臨床的使用;および
[11]以下の式(1)〜(5)で表される化合物のいずれかを含有する皮膚外用剤;
を開示するものである。
カメリオサイド類は、塩が形成できる場合は薬学上許容されるその塩を含む。また、光学異性体およびそれらの異性体の混合物、溶媒和物、結晶多型などを含む。さらに、1個以上の原子が、自然界にて通常見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子と置き換えられたこと以外は本明細書に記載されたものと同一である同位体標識化合物を含む。本発明の化合物に組み込まれ得る同位体としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、ヨウ素および塩素の同位体が挙げられ、例えば、2H、3H、11C、14C、18F、123Iおよび125Iが挙げられる。上記同位体および/または他の原子の他の同位体を含有する本発明の化合物も、本発明の範囲内である。
本発明の椿花抽出物を得るために用いることができる植物の花は、ツバキ科(Theaceae)に属する植物の花であれば特に限定されるものではなく、例えば、ヤブツバキ、ユキツバキ、ホンコンツバキ、サルウィンツバキ、ヤクシマツバキ、トウツバキ、ウラクツバキ、ワビスケ、カンツバキ、ナツツバキ、岩根絞、春曙光、太郎冠者等の種々の品種の花が挙げられる。なかでも、ヤブツバキ(Camellia Japonica L.)の花が好ましい。これらの植物は、日本、アジア等に広く生育しているものであり、どこに生育しているものでも使用することができる。なお、ツバキ科植物の花としては、単種または複数種のツバキ科植物の花のいずれを使用してもよい。ツバキ科植物の花は、通常、ガク片、花弁、心皮、雄ずい、雌ずい等を含むもので、かつ新鮮なものであることが好ましい。
抽出する溶媒としては、例えば、水、低級アルコール類(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等)、液状多価アルコール(1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、アセトニトリル、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、流動パラフィン等)、エーテル類(エチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテル等)が挙げられる。好ましくは、水、低級アルコールおよび液状多価アルコール等の極性溶媒が良く、特に好ましくは、水、エタノール、1,3−ブチレングリコールおよびプロピレングリコールが良い。これらの溶媒は一種でも二種以上を混合して用いても良い。
上記抽出物は、抽出した溶液のまま用いても良く、必要に応じて、濃縮、希釈および濾過処理、活性炭等による脱色、脱臭処理等をして用いても良い。更には、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥等の処理を行い、乾燥物として用いても良い。
本発明の皮膚外用剤には、上記抽出物をそのまま使用しても良く、また、別途に単離または合成した1つまたはそれ以上のカメリオサイド類を加えて使用してもよい。また、抽出物の効果を損なわない範囲内で、外用剤に用いられる成分である油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、金属石鹸、pH調整剤、防腐剤、香料、保湿剤、粉体、紫外線吸収剤、増粘剤、色素、酸化防止剤、美白剤、キレート剤等の成分を配合することができる。
本発明の皮膚外用剤は、化粧品、医薬部外品、医薬品のいずれにも用いることができ、その剤形としては、例えば、化粧水、クリ−ム、乳液、ゲル剤、エアゾール剤、エッセンス、パック、洗浄剤、浴用剤、ファンデ−ション、打粉、口紅、軟膏、パップ剤等の頭皮を含む皮膚に適用されるものが挙げられる。
本発明に用いる上記抽出物の配合量は、本発明の皮膚外用剤全量に対し、固形物に換算して0.0001重量%以上、好ましくは0.001〜10重量%の配合が良い。0.0001重量%未満では十分な効果は望みにくい。10重量%を越えて配合した場合、効果の増強は認められにくく不経済である。また、添加の方法については、予め加えておいても、製造途中で添加しても良く、作業性を考えて適宜選択すれば良い。
本発明で使用される水性アルコールとしては、炭素数1〜3の脂肪族アルコールが挙げられ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等が挙げられる。なかでも、メタノールや水性アルコール水溶液として、1〜50重量%程度の水性アルコールを含有する水溶液が好ましい。
本発明によれば、ツバキ科植物の花を水性アルコールまたは水性アルコール水溶液により抽出し、椿花抽出物を得る。この際、水性アルコール等は、ツバキ科植物の花の1〜10倍(重量)程度、好ましくは1〜5倍程度使用することが適当である。
また、抽出は、冷浸または温浸のいずれで行ってもよいが、50〜85℃程度の温度で、振盪下または非振盪下に、上述したツバキ科植物の花を上述した溶剤に浸漬することによって行うことが適当である。振盪下に浸漬する場合には、30分間〜5時間程度行うことが適当であり、非振盪下に浸漬する場合は、1時間〜10日間程度行うことが適当である。なお、抽出処理は、同一椿花材料について1回のみ行ってもよいが、2回以上繰り返して行うことが好ましい。
得られた抽出物は、精製処理に付してもよい。精製処理は、クロマトグラフ法、イオン交換樹脂を使用する溶離法等を単独または組み合わせて採用することができる。例えば、クロマトグラフ法としては、順相クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、遠心液体クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー等のいずれかまたはそれらを組み合わせて行う方法が挙げられる。この際の担体、溶出溶媒等の精製条件は、各種クロマトグラフィーに対応して適宜選択することができる。例えば、薄層クロマトグラフィーの場合には、水―メタノール系の溶媒、高速液体クロマトグラフィーの場合にはメタノール−酢酸系の溶媒等を使用することができる。
上記で得られた水性アルコール(特に、メタノール)抽出物またはn−ブタノール抽出物を順相および逆相薄層クロマトグラフィーに付し、さらに高速液体クロマトグラフィーに付した場合、実施例に示す式(1)〜式(4)の化合物に対応するスポットおよびピークを得ることができる。このように、本発明の椿花抽出物は、最終的に得られたピークを示す成分を精製することにより、式(1)〜式(4)の化合物を単離することができる。
椿花の抽出物、および、それから単離された新規なカメリオサイド(式(1)、式(4))を含むカメリオサイド類は、肌にある有害な酵素(マトリックスメタロプロテアーゼ、トリプシン、キモトリプシン、ヒアルロニダーゼ、リパーゼ、およびチロシナーゼ等)の阻害作用を有し、美白効果および肌の老化防止効果を示す。
以下、本発明の椿花抽出物、そこに含有される新規化合物およびその類縁体の作用についての実施例を具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
成分の単離方法
椿花の抽出方法の概要を図1に示す。韓国済州島で採取し、乾燥した椿花(Camellia Japonica L.)1002.7gをメタノール(99.9%)10リットルに浸漬し、80℃の加温下、2時間抽出した。これを2回繰り返し、得られたメタノールを合液し、メタノールを蒸発させることにより、メタノール抽出物を得た(444g)。同様に京都産、五島産椿花についてもメタール抽出物を得た(収率46.2%、46.0%)。また、済州島産椿花については50%エタノール抽出物を上記の方法に準じて作成した(収率30.0%)。
椿花の抽出方法の概要を図1に示す。韓国済州島で採取し、乾燥した椿花(Camellia Japonica L.)1002.7gをメタノール(99.9%)10リットルに浸漬し、80℃の加温下、2時間抽出した。これを2回繰り返し、得られたメタノールを合液し、メタノールを蒸発させることにより、メタノール抽出物を得た(444g)。同様に京都産、五島産椿花についてもメタール抽出物を得た(収率46.2%、46.0%)。また、済州島産椿花については50%エタノール抽出物を上記の方法に準じて作成した(収率30.0%)。
次いで、得られたメタノール抽出物444gに、室温下、酢酸エチルおよび水(1:1)を8リットルずつ加えて振り混ぜ、得られた酢酸エチル層および水層をそれぞれ分液採取した。この操作を6回繰り返した。さらに、得られた水層に、室温下、含水n−ブタノールを8リットル加えて振り混ぜ、得られた含水n−ブタノール層および水層をそれぞれ分液採取した。この操作を6回繰り返した。酢酸エチル層、含水n−ブタノール層および水層から溶媒を蒸発させることにより、酢酸エチル分画、含水n−ブタノール分画および水分画を、それぞれ得た(21g、138gおよび278g)。
続いて、得られたn−ブタノール抽出物を、SiO2カラムを用いた薄層クロマトグラフィーにより、分離状態を確認しながら、移動相としてCHCl3−メタノール−7:3でフラクション1から4を、CHCl3−メタノール−水7:3:0.5でフラクション5、CHCl3−メタノール−水6:4:1でフラクション8から11、メタノールで12のフラクションを得た。
得られた12のフラクションのうち、フラクション6として得られた分画を、さらにODSカラムを用いた薄層クロマトグラフィーにより、分離状態を確認しながら、移動相としてメタノール30、40−50、50、60、65、70、80、90、100%と組成比を順次切り替えて分離し、9のフラクションを得た。得られた9のフラクションのうち、フラクション4として得られた分画を、液体クロマトグラフ装置(島津製作所製:HPLC装置、送液ポンプ:LC−10AS、示差屈折計:RID−6A、YMC−PAC ODSカラム、流速:2mL/分)と、移動相として70%メタノール1%水溶液−酢酸とを用いて、4つのフラクションに分離し、式(1)(762mg)および式(2)(589mg)、式(3)(94mg)の化合物をそれぞれ得た。
また、フラクション5として得られた分画を、液体クロマトグラフ装置(島津製作所製:HPLC装置、送液ポンプ:LC−10AS、示差屈折計:RID−6A、YMC−PAC ODSカラム、流速:2ml/分)と、移動相として70%メタノール1%水溶液−酢酸とを用いて、4つのフラクションに分離し、上記式(2)(1489mg)及び式(3)(1500mg)の化合物をそれぞれ得た。
さらに、フラクション6として得られた分画を、液体クロマトグラフ装置(島津製作所製:HPLC装置、送液ポンプ:LC−10AS、示差屈折計:RID−6A、YMC−PAC ODSカラム、流速:2ml/分)と、移動相として80%メタノール1%水溶液−酢酸とを用いて、6につのフラクションに分離し、上記式(4)(120mg)を得た。なお、式(1)、(2)、(3)、および(4)の各化合物の構造は、NMR法により、それぞれ決定した。また、大島産椿花から分取されている式(5)についても検討した。構造式を以下に示す。また、各化合物のHPLCのチャートをそれぞれ図2〜図4に示す。
さらに、フラクション6として得られた分画を、液体クロマトグラフ装置(島津製作所製:HPLC装置、送液ポンプ:LC−10AS、示差屈折計:RID−6A、YMC−PAC ODSカラム、流速:2ml/分)と、移動相として80%メタノール1%水溶液−酢酸とを用いて、6につのフラクションに分離し、上記式(4)(120mg)を得た。なお、式(1)、(2)、(3)、および(4)の各化合物の構造は、NMR法により、それぞれ決定した。また、大島産椿花から分取されている式(5)についても検討した。構造式を以下に示す。また、各化合物のHPLCのチャートをそれぞれ図2〜図4に示す。
培養メラノサイト細胞におけるメラニン生成に及ぼす作用
[方法]
マウス由来メラノサイト細胞(B16−4A5)5×104個/mLをD−MEM (4500mgグルコース、10%FBS、ペニシリン(100U/mL)、ストレプトマイシン(100μL/mL)、アンホテリシンB(0.25mg/mL)に懸濁し、24穴プレートに400μLずつ播種した。CO2インキュベーターで24時間培養後、培地を吸引除去し、被検体をDMSOに溶解後、D−MEMで希釈(最終DMSO濃度0.1%)した培地400 mL 添加、さらに、1mM theophiline 100 mLを加え、CO2インキュベーターで培養を開始した。
72時間後、PBSで2回洗浄後、トリプシンを100μL 加え、細胞を剥離し、D−MEMで回収した。回収した細胞を2000G、5分間遠心分離し、PBSで2回洗浄後、1.0M NaOH120μLを加え、80℃、50分間加熱して細胞を溶解し、405nm、参考波長655nmにおける2点吸光度を測定した。
また、D−MEM中、メラノサイト細胞(B16−4A5) 5×104個/mLを96穴プレートに100μLずつ播種し、24時間培養後、被検体を含む培地100mLに交換し、さらに72時間培養後、kit−8を用いて細胞数を検討した。
[方法]
マウス由来メラノサイト細胞(B16−4A5)5×104個/mLをD−MEM (4500mgグルコース、10%FBS、ペニシリン(100U/mL)、ストレプトマイシン(100μL/mL)、アンホテリシンB(0.25mg/mL)に懸濁し、24穴プレートに400μLずつ播種した。CO2インキュベーターで24時間培養後、培地を吸引除去し、被検体をDMSOに溶解後、D−MEMで希釈(最終DMSO濃度0.1%)した培地400 mL 添加、さらに、1mM theophiline 100 mLを加え、CO2インキュベーターで培養を開始した。
72時間後、PBSで2回洗浄後、トリプシンを100μL 加え、細胞を剥離し、D−MEMで回収した。回収した細胞を2000G、5分間遠心分離し、PBSで2回洗浄後、1.0M NaOH120μLを加え、80℃、50分間加熱して細胞を溶解し、405nm、参考波長655nmにおける2点吸光度を測定した。
また、D−MEM中、メラノサイト細胞(B16−4A5) 5×104個/mLを96穴プレートに100μLずつ播種し、24時間培養後、被検体を含む培地100mLに交換し、さらに72時間培養後、kit−8を用いて細胞数を検討した。
[結果]
表1に示すように、椿花の抽出物は、いずれの産地においても強いメラニン生成抑制作用を示した。この作用は、美白化粧品に有効成分として配合されているアルブチンよりも強く有用性の高いことが明らかになった。
また、この活性は脂溶性分画に強く、単離された化合物の中では式(2)、(4)、(5)に抑制作用が認められ、その作用はアルブチンの100倍以上であった。
(※アルブチン800μg/mLは、約2400μMに相当する。)
また、これらの化合物はメラノサイト細胞の増殖を抑制しており、これがメラニン生成抑制の作用機序の一つであると考えられた。
表1に示すように、椿花の抽出物は、いずれの産地においても強いメラニン生成抑制作用を示した。この作用は、美白化粧品に有効成分として配合されているアルブチンよりも強く有用性の高いことが明らかになった。
また、この活性は脂溶性分画に強く、単離された化合物の中では式(2)、(4)、(5)に抑制作用が認められ、その作用はアルブチンの100倍以上であった。
(※アルブチン800μg/mLは、約2400μMに相当する。)
また、これらの化合物はメラノサイト細胞の増殖を抑制しており、これがメラニン生成抑制の作用機序の一つであると考えられた。
チロシナーゼ酵素活性に及ぼす作用
[方法]
チロシナーゼ酵素抑制効果は、ドーパからドーパキノンへの変換について行った。即ち、リン酸緩衝液(pH6.0)に溶解した被検体0.5mLにL−DOPA(300μg/mL)0.5mLを加え25℃、10分間プレインキュベートの後、45μg/mL(241.7U/mL)のチロシナーゼ0.5mLを添加して、25℃、5分間インキュベートの後、475 nmの吸光度を測定した。
被検体はDMSOに溶解後、リン酸緩衝液で希釈した(最終DMSO濃度0.1%)。
[方法]
チロシナーゼ酵素抑制効果は、ドーパからドーパキノンへの変換について行った。即ち、リン酸緩衝液(pH6.0)に溶解した被検体0.5mLにL−DOPA(300μg/mL)0.5mLを加え25℃、10分間プレインキュベートの後、45μg/mL(241.7U/mL)のチロシナーゼ0.5mLを添加して、25℃、5分間インキュベートの後、475 nmの吸光度を測定した。
被検体はDMSOに溶解後、リン酸緩衝液で希釈した(最終DMSO濃度0.1%)。
[結果]
表2に示すように、メラニン生成抑制の作用機序の一つであるチロシナーゼ酵素を各産地の椿花抽出物に抑制する作用のあることが明らかになった。この作用は、既に美白成分として用いられるアルブチンに比して2倍から4倍の作用があり、有効性の高いことが示された。また、酢酸エチル分画に強い抑制作用が認められた。
表2に示すように、メラニン生成抑制の作用機序の一つであるチロシナーゼ酵素を各産地の椿花抽出物に抑制する作用のあることが明らかになった。この作用は、既に美白成分として用いられるアルブチンに比して2倍から4倍の作用があり、有効性の高いことが示された。また、酢酸エチル分画に強い抑制作用が認められた。
線維芽細胞増殖に及ぼす作用
[方法]
ヒト新生児線維芽細胞(NB1RGB、TOYOBO)5×105個/mLをD−MEM(10%FBS、ペニシリン(100U/mL)、ストレプトマイシン(100 μL/mL)、アンホテリシンB(0.25 mg/mL))に懸濁し、96穴プレートに100μLずつ播種した。被検体はDMSOに溶解後(DMSOの最終濃度は0.1%)、D−MEMで希釈し、100μL添加した。
被検体を添加後、CO2インキュベーターで48時間培養後、PBSで2回洗浄し、細胞数の測定を下記の方法で行った。
Kit−8法(同仁化学研究所):PBSで洗浄後、D−MEM 100μLおよびKit−8試薬を10μL加え、1時間培養後450nmと655nmにおける2点吸光度を測定した。
蛋白質定量法:PBSで洗浄後、蒸留水50μL 加え、凍結と溶解を3回繰り返して細胞を割り、蛋白定量キット(タカラバイオ)の試薬を150 μL加え30分後、570nmにおける吸光度を測定した。
[方法]
ヒト新生児線維芽細胞(NB1RGB、TOYOBO)5×105個/mLをD−MEM(10%FBS、ペニシリン(100U/mL)、ストレプトマイシン(100 μL/mL)、アンホテリシンB(0.25 mg/mL))に懸濁し、96穴プレートに100μLずつ播種した。被検体はDMSOに溶解後(DMSOの最終濃度は0.1%)、D−MEMで希釈し、100μL添加した。
被検体を添加後、CO2インキュベーターで48時間培養後、PBSで2回洗浄し、細胞数の測定を下記の方法で行った。
Kit−8法(同仁化学研究所):PBSで洗浄後、D−MEM 100μLおよびKit−8試薬を10μL加え、1時間培養後450nmと655nmにおける2点吸光度を測定した。
蛋白質定量法:PBSで洗浄後、蒸留水50μL 加え、凍結と溶解を3回繰り返して細胞を割り、蛋白定量キット(タカラバイオ)の試薬を150 μL加え30分後、570nmにおける吸光度を測定した。
[結果]
表3に示すように、線維芽細胞増殖に対して各産地の椿花抽出物はいずれも増殖を促進する作用を示した。細胞数の検討方法としてKit-8を用いる方法と蛋白質を定量する二つの方法で行ったが、いずれの方法においても同様の結果が得られた。
椿花から単離された化合物でも同様に線維芽細胞の増殖を促進する作用を示した。式(2)、(4)、(5)ではメラノサイト細胞の増殖を抑制する作用が認められたが、肌の構成に強い影響のある線維芽細胞に対しては増加させる効果を示しており、化粧品原料としての有用性を示した。
表3に示すように、線維芽細胞増殖に対して各産地の椿花抽出物はいずれも増殖を促進する作用を示した。細胞数の検討方法としてKit-8を用いる方法と蛋白質を定量する二つの方法で行ったが、いずれの方法においても同様の結果が得られた。
椿花から単離された化合物でも同様に線維芽細胞の増殖を促進する作用を示した。式(2)、(4)、(5)ではメラノサイト細胞の増殖を抑制する作用が認められたが、肌の構成に強い影響のある線維芽細胞に対しては増加させる効果を示しており、化粧品原料としての有用性を示した。
コラゲナーゼ酵素活性に及ぼす作用
[方法]
各濃度の試料溶液50μL(最終濃度0.1%のDMSOを含む)に酵素液として0.5mg/mLのコラゲナーゼI型(SIGMA)溶液を50μL加えた。基質溶液として0.39mg/mLの4−フェニルアゾベンジルオキシカルボニル−Pro−Leu−Gly−Pro−d−Arg−OH 二水和物、SIGMA)50μLを加えて混合し、37℃、30分間反応させた後、1mLの25mMクエン酸を加えて反応を停止させた。2mLの酢酸エチルを加えて抽出して、酢酸エチル層の吸光度を320nmで測定した。なお、試料、コラゲナーゼ、基質は20mM塩化カルシウム入りトリス塩酸緩衝液(pH7.1)に溶解した。また、各試料の阻害作用は、次の式から求められる阻害率で算出した。なお、対照には試料の代わりに精製水を用い、ブランクとしてコラゲナーゼの代わりに20mM塩化カルシウム入りトリス塩酸緩衝液(pH7.1)を用いた。
阻害率(%)=〔1−(C−D)/(A−B)〕×100
A:対照の320nmにおける吸光度(OD320)
B:対照ブランクのOD320
C:試料のOD320
D:試料ブランクのOD320
[方法]
各濃度の試料溶液50μL(最終濃度0.1%のDMSOを含む)に酵素液として0.5mg/mLのコラゲナーゼI型(SIGMA)溶液を50μL加えた。基質溶液として0.39mg/mLの4−フェニルアゾベンジルオキシカルボニル−Pro−Leu−Gly−Pro−d−Arg−OH 二水和物、SIGMA)50μLを加えて混合し、37℃、30分間反応させた後、1mLの25mMクエン酸を加えて反応を停止させた。2mLの酢酸エチルを加えて抽出して、酢酸エチル層の吸光度を320nmで測定した。なお、試料、コラゲナーゼ、基質は20mM塩化カルシウム入りトリス塩酸緩衝液(pH7.1)に溶解した。また、各試料の阻害作用は、次の式から求められる阻害率で算出した。なお、対照には試料の代わりに精製水を用い、ブランクとしてコラゲナーゼの代わりに20mM塩化カルシウム入りトリス塩酸緩衝液(pH7.1)を用いた。
阻害率(%)=〔1−(C−D)/(A−B)〕×100
A:対照の320nmにおける吸光度(OD320)
B:対照ブランクのOD320
C:試料のOD320
D:試料ブランクのOD320
[結果]
表4に示すように、各産地の椿花抽出物は、コラゲナーゼ酵素の活性を抑制した。その作用は、水分画の活性が比較的低く、脂溶性分画に強い活性が認められた。
表4に示すように、各産地の椿花抽出物は、コラゲナーゼ酵素の活性を抑制した。その作用は、水分画の活性が比較的低く、脂溶性分画に強い活性が認められた。
エラスターゼ酵素活性に及ぼす影響
[方法]
基質溶液として2mmol/mLのN−サクシニル−Ala−Ala−Ala−p−ニトロアニリド100μLに各濃度の試料溶液50μL(最終濃度0.1%のDMSOを含む)を加え、0.05単位/mLの豚膵臓由来のエアラスターゼ酵素液50μLを加え、37℃、30分反応させた後、450nmの吸光度を測定し、生成したニトロアニリン量を求め、エラスターゼ活性抑制率を算出した。
なお、基質、試料、エラスターゼは0.05mol/L Tris−HCL(pH8.8)緩衝液で溶解した。
エラスターゼ活性抑制率は以下の式により算出した。
エラスターゼ活性抑制率={1−(A−B)/(C−D)}×100
A:基質液と試料溶液とを混合した後、酵素液を添加した時の混合液の波長405nmの吸光度
B:基質液と試料溶液とを混合した時の混合液の波長405nmの吸光度
C:試料溶液の代わりに、該溶液の溶媒を基質液と上記割合で混合した後、酵素液を添加した時の混合液の波長405nmの吸光度
D:試料溶液も酵素液も添加していない、基質液の波長405nmの吸光度
[方法]
基質溶液として2mmol/mLのN−サクシニル−Ala−Ala−Ala−p−ニトロアニリド100μLに各濃度の試料溶液50μL(最終濃度0.1%のDMSOを含む)を加え、0.05単位/mLの豚膵臓由来のエアラスターゼ酵素液50μLを加え、37℃、30分反応させた後、450nmの吸光度を測定し、生成したニトロアニリン量を求め、エラスターゼ活性抑制率を算出した。
なお、基質、試料、エラスターゼは0.05mol/L Tris−HCL(pH8.8)緩衝液で溶解した。
エラスターゼ活性抑制率は以下の式により算出した。
エラスターゼ活性抑制率={1−(A−B)/(C−D)}×100
A:基質液と試料溶液とを混合した後、酵素液を添加した時の混合液の波長405nmの吸光度
B:基質液と試料溶液とを混合した時の混合液の波長405nmの吸光度
C:試料溶液の代わりに、該溶液の溶媒を基質液と上記割合で混合した後、酵素液を添加した時の混合液の波長405nmの吸光度
D:試料溶液も酵素液も添加していない、基質液の波長405nmの吸光度
[結果]
表5に示すように、各産地の椿花抽出物には、エラスターゼ酵素の活性を抑制する作用が認められた。溶媒分画では、ブタノール分画の抑制活性がやや弱かったものの、活性は各分画に分散していた。
表5に示すように、各産地の椿花抽出物には、エラスターゼ酵素の活性を抑制する作用が認められた。溶媒分画では、ブタノール分画の抑制活性がやや弱かったものの、活性は各分画に分散していた。
ヒアルロニダーゼ酵素活性に及ぼす影響
[方法]
ヒアルロニダーゼ阻害活性試験は、Morgan−Elson法に準じて実施した。
100mM 酢酸緩衝液(pH3.5)に溶解した試料溶液100μLにヒアルロニダーゼ(SIGMA)34ユニットを添加し、37℃で20分間予備加温した。同緩衝液に溶解した0.05%(w/v)Compound48/80(ナカライテスク社製)および25mM塩化カルシウム溶液を100μL加えて、37℃で20分間インキュベートしてヒアルロニダーゼを活性化させた。この溶液に2mg/mLのヒアルロン酸カリウム溶液100μLを加え、37℃で40分反応させた後、0.4NNaOH を100μL加え、0.5N KOHに溶解した0.8Mホウ酸溶液を100μL反応液に加え、100℃で3分間加温した後、氷冷した。この溶液にp-ジメチルアミノベンズアルデヒド試薬を3mL加え、37℃で20分間反応させた後、585nmの吸光度を測定した。ヒアルロニダーゼ阻害活性は次式により求めた。
ヒアルロニダーゼ阻害活性(%)={[(A−B)−(C−D)]/(A−B)}×100
A:試料を添加していない反応液の吸光度(コントロール)
B:酵素を添加していない反応液の吸光度(ブランク)
C:試料を添加した反応液の吸光度
D:試料、酵素を添加していない反応液の吸光度(試料ブランク)
[方法]
ヒアルロニダーゼ阻害活性試験は、Morgan−Elson法に準じて実施した。
100mM 酢酸緩衝液(pH3.5)に溶解した試料溶液100μLにヒアルロニダーゼ(SIGMA)34ユニットを添加し、37℃で20分間予備加温した。同緩衝液に溶解した0.05%(w/v)Compound48/80(ナカライテスク社製)および25mM塩化カルシウム溶液を100μL加えて、37℃で20分間インキュベートしてヒアルロニダーゼを活性化させた。この溶液に2mg/mLのヒアルロン酸カリウム溶液100μLを加え、37℃で40分反応させた後、0.4NNaOH を100μL加え、0.5N KOHに溶解した0.8Mホウ酸溶液を100μL反応液に加え、100℃で3分間加温した後、氷冷した。この溶液にp-ジメチルアミノベンズアルデヒド試薬を3mL加え、37℃で20分間反応させた後、585nmの吸光度を測定した。ヒアルロニダーゼ阻害活性は次式により求めた。
ヒアルロニダーゼ阻害活性(%)={[(A−B)−(C−D)]/(A−B)}×100
A:試料を添加していない反応液の吸光度(コントロール)
B:酵素を添加していない反応液の吸光度(ブランク)
C:試料を添加した反応液の吸光度
D:試料、酵素を添加していない反応液の吸光度(試料ブランク)
[結果]
表6に示すように、各産地の椿花抽出物にヒアルロニダーゼ酵素を抑制する作用が認められた。また、水分画にこの活性は全く認めらえず、脂溶性の分画に活性が集中し、そこから単離された化合物(4)、(5)に強い抑制作用が認められた。特に化合物(4)の活性は5μMの用量で89%の抑制率を示した。
表6に示すように、各産地の椿花抽出物にヒアルロニダーゼ酵素を抑制する作用が認められた。また、水分画にこの活性は全く認めらえず、脂溶性の分画に活性が集中し、そこから単離された化合物(4)、(5)に強い抑制作用が認められた。特に化合物(4)の活性は5μMの用量で89%の抑制率を示した。
キモトリプシン酵素活性に及ぼす影響
[方法]
N−サクシニル−1−フェニルアラニン−p−ニトロアニリド100μL(最終濃度0.1mM)を加え、各濃度の試料溶液50μL、キモトリプシン〔和光純薬工業(株)〕1mg/mL を50μL加え、37℃で1時間インキュベートし、405nmの吸光度を測定して、酵素活性を測定した。
なお、試料、キモトリプシン、基質は0.05M トリス塩酸緩衝液(pH 7.5)に溶解した。また、各試料の阻害作用は、次の式から求められる阻害率で算出した。
阻害率(%)=〔1−(C−D)/(A−B)〕×100
A:対照の吸光度
B:対照ブランクの吸光度
C:試料の吸光度
D:試料ブランクの吸光度
[方法]
N−サクシニル−1−フェニルアラニン−p−ニトロアニリド100μL(最終濃度0.1mM)を加え、各濃度の試料溶液50μL、キモトリプシン〔和光純薬工業(株)〕1mg/mL を50μL加え、37℃で1時間インキュベートし、405nmの吸光度を測定して、酵素活性を測定した。
なお、試料、キモトリプシン、基質は0.05M トリス塩酸緩衝液(pH 7.5)に溶解した。また、各試料の阻害作用は、次の式から求められる阻害率で算出した。
阻害率(%)=〔1−(C−D)/(A−B)〕×100
A:対照の吸光度
B:対照ブランクの吸光度
C:試料の吸光度
D:試料ブランクの吸光度
[結果]
表7に示すように、キモトリプシン酵素に対して、各産地の椿花抽出物は抑制効果を示した。
表7に示すように、キモトリプシン酵素に対して、各産地の椿花抽出物は抑制効果を示した。
トリプシン酵素活性に及ぼす影響
[方法]
N−サクシニル−Ala−Ala−Ala−p−ニトロアニリド100μL(最終濃度0.1mM)を加え、各濃度の試料溶液50μL、トリプシン〔和光純薬工業(株)〕1mg/mL を50μL加え、37℃で1時間インキュベートし、405nmの吸光度を測定して、酵素活性を測定した。
なお、試料、コラゲナーゼ、基質は0.05M トリス塩酸緩衝液(pH 7.5)に溶解した。また、各試料の阻害作用は、次の式から求められる阻害率で算出した。
阻害率(%)=〔1−(C−D)/(A−B)〕×100
A:対照の吸光度
B:対照ブランクの吸光度
C:試料の吸光度
D:試料ブランクの吸光度
[方法]
N−サクシニル−Ala−Ala−Ala−p−ニトロアニリド100μL(最終濃度0.1mM)を加え、各濃度の試料溶液50μL、トリプシン〔和光純薬工業(株)〕1mg/mL を50μL加え、37℃で1時間インキュベートし、405nmの吸光度を測定して、酵素活性を測定した。
なお、試料、コラゲナーゼ、基質は0.05M トリス塩酸緩衝液(pH 7.5)に溶解した。また、各試料の阻害作用は、次の式から求められる阻害率で算出した。
阻害率(%)=〔1−(C−D)/(A−B)〕×100
A:対照の吸光度
B:対照ブランクの吸光度
C:試料の吸光度
D:試料ブランクの吸光度
[結果]
表8に示すように、トリプシン酵素に対して、各産地の椿花抽出物は抑制効果を示した。
表8に示すように、トリプシン酵素に対して、各産地の椿花抽出物は抑制効果を示した。
リパーゼ酵素活性に及ぼす影響
[方法]
トリオレイン80mg、ホスファチジルコリン10mg、タウロコール酸ナトリウム5mgを0.1MNaClを含む0.1Mトリス塩酸緩衝液(pH7.0)9mL に懸濁した基質溶液0.1mL に各濃度の試料溶液を0.1mL加えて、37℃で3分間インキュベートし、250μg/mLの牛膵臓由来リパーゼ(SIGMA)0.05mLを加えて、37℃、30分間インキュベートした。その後、100℃で2分間加熱した後、氷冷し、遊離した脂肪酸量を遊離脂肪酸測定キット(NEFAC−test、Wako)を使って測定し、リパーゼの活性を算出した。
なお、各試料の阻害作用は、次の式から求められる阻害率で算出した。
阻害率(%)=〔1−(C−D)/(A−B)〕×100
A:対照の吸光度
B:対照ブランクの吸光度
C:試料の吸光度
D:試料ブランクの吸光度
[方法]
トリオレイン80mg、ホスファチジルコリン10mg、タウロコール酸ナトリウム5mgを0.1MNaClを含む0.1Mトリス塩酸緩衝液(pH7.0)9mL に懸濁した基質溶液0.1mL に各濃度の試料溶液を0.1mL加えて、37℃で3分間インキュベートし、250μg/mLの牛膵臓由来リパーゼ(SIGMA)0.05mLを加えて、37℃、30分間インキュベートした。その後、100℃で2分間加熱した後、氷冷し、遊離した脂肪酸量を遊離脂肪酸測定キット(NEFAC−test、Wako)を使って測定し、リパーゼの活性を算出した。
なお、各試料の阻害作用は、次の式から求められる阻害率で算出した。
阻害率(%)=〔1−(C−D)/(A−B)〕×100
A:対照の吸光度
B:対照ブランクの吸光度
C:試料の吸光度
D:試料ブランクの吸光度
[結果]
表9に示すように、リパーゼ酵素に対して、各産地の椿花抽出物は抑制効果を示した。
表9に示すように、リパーゼ酵素に対して、各産地の椿花抽出物は抑制効果を示した。
また、数種の酵素活性を椿花抽出物が抑制することは、それぞれの酵素を抑制するために、個々の酵素を抑制する化合物や植物抽出物などをそれぞれ配合する必要がなく、椿花抽出物のみの配合で効果が期待出来、皮膚外用剤を製造する上で非常に有利である。
Claims (11)
- 以下の式(1)又は(4)で示される化合物。
- 請求項1記載の式(1)又は(4)で示される化合物を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
- 化粧品である請求項2記載の皮膚外用剤。
- 美白剤である請求項2記載の皮膚外用剤。
- 肌の老化防止剤である請求項2記載の皮膚外用剤。
- 椿花抽出物を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
- 椿花抽出物が式(1)又は(4)で示される化合物を含有することを特徴とする請求項6記載の皮膚外用剤。
- 式(1)又は(4)で示される化合物が配合されている請求項6記載の皮膚外用剤。
- 式(1)又は(4)で示される化合物を配合する工程を含んでなる皮膚外用剤の製造方法。
- 請求項2から請求項8のいずれか一項に記載の皮膚外用剤の非臨床的使用。
- 以下の式(1)〜(5)で表される化合物のいずれかを含有する皮膚外用剤。
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---|---|---|---|
JP2011193252A JP2013053108A (ja) | 2011-09-05 | 2011-09-05 | 椿花抽出物 |
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---|---|---|---|
JP2011193252A JP2013053108A (ja) | 2011-09-05 | 2011-09-05 | 椿花抽出物 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
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---|---|---|---|---|
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-
2011
- 2011-09-05 JP JP2011193252A patent/JP2013053108A/ja not_active Withdrawn
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