JP2013052413A - 抵抗スポット溶接方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】重ね合わせた2枚以上の厚板の、外側の少なくとも一方に、さらに薄板を重ね合わせた板厚比の大きな板組みにおいて、板と板の間に板隙があった場合でも、薄板−厚板間に健全な接合部を得ることができる抵抗スポット溶接方法を提供する。
【解決手段】重ね合わせた2枚の厚板12、13の上面に薄板11を重ね合わせた板組み10を一対の電極16、17によって挟み、加圧力を加えながら抵抗スポット溶接を行なうにあたり、厚板12と厚板13の間(板隙22)に導電性を持たない樹脂26を介在させ、さらに、溶接工程を前期と後期に分け、溶接前期に、厚板12、13の間に介在する樹脂26が電極直下から押し出されない低い加圧力で短時間の溶接を行ない、その後、通電を止めて加圧力を増加させた後に、溶接後期を開始し、高加圧下で溶接を行なう。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数枚の鋼板を重ね合わせたワーク、特に板厚比(=板組みの全体厚/一番薄い板の板厚)の大きな板組みを抵抗スポット溶接する方法に関するものである。
一般に、重ね合わせられた鋼板同士の接合には、重ね抵抗溶接法の一種である抵抗スポット溶接法が用いられている。例えば、自動車の製造にあたっては1台あたり数千点ものスポット溶接がなされている。この溶接法は、2枚以上の鋼板を重ね合わせ、その表面を直接、上下の電極で挟み圧力を加えながら、上下電極間に高電流の溶接電流を短時間通電して接合する方法である。高電流の溶接電流を流すことで発生する抵抗発熱を利用して、点状の溶接部が得られる。この点状の溶接部は、ナゲットと呼ばれ、重ね合わせた鋼板に電流を流した際に両鋼板の接触箇所で両鋼板が溶融し、凝固した部分であり、これにより両鋼板が点状に接合される。
また、自動車の部品構造をみると、例えばセンターピラーでは、サイドパネルアウター、ピラーアウター、ピラーインナーからなる構造が採用されている。この構造では、単純な二枚重ねの鋼板をスポット溶接する場合と異なり、3枚以上の鋼板を重ね合わせてスポット溶接することが要求される。
さらに、最近では、車体の衝突安全性の更なる向上要求にともない、ピラーインナー、ピラーアウターなどの高強度化、厚肉化が進み、外側に配置された板厚の薄いサイドパネルアウター(薄板)と、板厚の厚いピラーインナー、ピラーアウター(厚板)を組み合わせた板組みをスポット溶接することが必要となる場合が多い。なお、ここでは、板組みされた鋼板のうち、板厚が相対的に小さい鋼板を薄板と記載し、板厚の相対的に大きい鋼板を厚板と記載することとし、以下も同様の記載とする。
このような板厚比(=板組みの全体厚/一番薄い板の板厚)の大きな板組みにおいて、従来のような、加圧力、溶接電流を一定の値としたままにするスポット溶接を行った場合には一番外側(電極チップと接触する側)の薄板と厚板の間に必要なサイズのナゲットが形成されにくく、健全な接合部を得るのが困難なことが知られている。とくに板厚比が5を超えるような板組みでは、この傾向が強い。
これは、電極チップによる冷却によって一番外側の薄板と厚板の間では温度が上がりにくいことが原因である。ナゲットは、電極間の中央付近から鋼板の固有抵抗により体積抵抗発熱にて形成されるが、ナゲットが薄板にまで成長するまでに、電極間中央部に近い部分に位置する厚板と厚板間でのナゲットが過大に成長し、電極による加圧では抑えきれずに散り(母材が局部的に過熱されて溶融飛散する現象)が発生するため、散り発生なく必要なサイズのナゲットを薄板−厚板間に得ることが困難となり、破壊試験をしたときに、薄板が剥離しやすい。
また、一番外側に配置される薄板がサイドパネルアウターの場合には、強度よりも成形性が重要となるため、使用される鋼板は軟鋼となることが多い。一方、厚板は強度補強部材であり高張力鋼板が使用される場合が多い。このような板組みでは、発熱する位置は、固有抵抗の高い高張力鋼板側に偏るため、厚板−薄板(軟鋼)間にはさらにナゲットが形成されにくくなる。
このような問題に対し、例えば、特許文献1では、重ね合わされた2枚の厚板にさらに薄板が重ね合わされた板厚比の大きな板組みにおいて、薄板の溶接すべき位置に部分的に一般部より一段高い座面を形成するとともに、薄板に対抗する電極は、先端を球面に形成し、溶接前期は低加圧力で、薄板の座面を押しつぶすようにして、薄板とこれと隣り合う厚板とを溶接し、その後、高加圧力で2枚の厚板同士を溶接することにより、薄板−厚板間にも必要なナゲットを得る技術が提案されている。
また、特許文献2では、剛性の高い2枚の厚板の上に剛性の低い薄板を重ね合わせたワークを、一対の電極チップにより挟んでスポット溶接する方法において、剛性が最も小さい薄板に当接する電極チップの先端径を、厚板と当接する電極チップの先端径よりも小さくすることによって、薄板と電極チップとの接触面積が、厚板と電極チップの接触面積よりも小さくなるようにすることにより、薄板−厚板間にもナゲットを得る技術が提案されている。
また、特許文献3では、板厚比の大きな被溶接体をスポット溶接する方法において、被溶接体に第1の加圧力を負荷して溶接電流を流した後、一旦通電を停止し、被溶接体を挟んだまま、上記第1の加圧力よりも大きな第2の加圧力を負荷して再び溶接電流を流すことにより、そして望ましくは、上記第1の工程における溶接電流の電流値を、第1段階〜第3段階の3段階に変化させるとともに、第2段階の電流値を第1段階および第3段階の電流値よりも小さくすることにより、板厚比の大きい被溶接体の接合強度を向上させるというスポット溶接方法が提案されている。
特開2003−071569号公報 特開2003−251468号公報 特開2004−358500号公報
しかしながら、特許文献1に記載の抵抗スポット溶接方法では、この場合ナゲットは形成されるが、薄板の溶接する部分に予め一般部より一段高い座面をプレスなどで形成する工程が必要となるという問題がある。
また、特許文献2に記載の抵抗スポット溶接方法では、剛性が最も小さい薄板に当接する電極チップの先端径を、厚板と当接する電極チップの先端径よりも小さくすることによって、薄板と電極チップとの接触面積が、厚板と電極チップの接触面積よりも小さくなるようにすることにより、薄板−厚板間にもナゲットを得ているが、薄板と電極チップとの接触面積が小さいことは電極により加圧される範囲が狭いことになり、厚板−厚板間に大きなナゲットを形成しようとすると散りが発生するという問題がある。
また、特許文献3に記載の抵抗スポット溶接方法では、ナゲットを薄板−厚板間に形成することが可能となるが、鋼板間に板隙が存在する場合はナゲットの形成が困難となり、薄板−厚板間に健全な接合部を得ることは困難になると考えられる。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、重ね合わせた2枚以上の厚板の、外側の少なくとも一方に、さらに薄板を重ね合わせた板厚比の大きな板組みにおいて、板と板の間に板隙があった場合でも、薄板−厚板間に健全な接合部を得ることができる抵抗スポット溶接方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を達成するため、抵抗スポット溶接におけるナゲット形成に及ぼす各種要因について鋭意検討した。
まず、重ね合わせた2枚以上の厚板の外側の一方にさらに薄板を重ね合わせた板厚比の大きな板組みのスポット溶接を行った場合、薄板−厚板間に必要なサイズのナゲットが形成されにくいことが知られており、その解決には溶接前期の加圧力は小さくし、溶接中に加圧力を増加させることが有効であることを知見した。
すなわち、溶接前期から高加圧力で加圧した場合、電極−薄板間、薄板−厚板間、厚板−厚板間の通電面積が広くなり、電流密度が低くなるため発熱し難く、さらに板厚比が大きな板組みの場合、薄板−厚板間は電極に近いために冷却され、より発熱し難い状態となる。このため、厚板−厚板間には必要なサイズのナゲットが形成されても、薄板−厚板間にはナゲットが形成されず、破壊試験を行なった場合に薄板が剥離しやすい。
一方、溶接前期に低い加圧力で溶接した場合は、電極−薄板間、薄板−厚板間、厚板−厚板間の通電面積が小さくなり、低い電流でも電流密度が高く発熱しやすくなる。特に電極と薄板の間の接触径が小さくなるように加圧力を低く設定することにより、電極−薄板間の接触部の電流密度が高くなるが、電極の冷却作用により電極−薄板間の発熱は抑制され、通電前期は電極からわずかに離れた電極の近傍における発熱が最も多くなる。板厚比の大きな板組みでは電極近傍の発熱域と薄板−厚板の境界が近い位置にあるため、低い加圧力下であれば、この発熱による熱膨張・変形が薄板−厚板間の接触径を減らし、電流密度が増加することにより、薄板−厚板間にナゲットが形成される。
しかしながら、低加圧力のままでは長時間通電しても電極近傍に形成された溶融部が鋼板表面にまで成長し、表散り(鋼板と電極の間から溶融金属が飛散)が発生するようになる。また、厚板−厚板間も加圧力が小さいために、必要なナゲット径が得られる前に中散り(鋼板と鋼板の間から溶融金属が飛散)が発生する。
そこで、低加圧力で溶接を開始し、溶接中に加圧力を増加させることで、上記の問題が解決し、板厚比が大きい板組みでも薄板−厚板間、厚板−厚板間それぞれに必要な径のナゲットを形成する溶接が可能となると考えた。溶接前期に低加圧力で短時間高電流通電することにより、薄板−厚板間にナゲットを形成させる。その後、加圧力を増加させることにより、電極−薄板間の通電面積の拡大と、電極による冷却作用の増加により、電極近傍でのナゲット形成は停止し、今度は電極間中央部付近に発熱域が移動し、厚板−厚板間にナゲットが形成される。加えて、加圧力が大きいことにより、電極による加圧面積も広がり、ナゲットが大きく成長しても散りが発生しにくくなる。
以上により、板厚比が大きな板組みにおいても、薄板−厚板間、厚板−厚板間のそれぞれに必要なサイズのナゲットを得ることができる抵抗スポット溶接が可能となる。
しかしながら、重ね合わせた鋼板間に板隙が存在する場合は、溶接前期の低加圧下での溶接において、板隙をなくすことができない場合があり、この場合、溶接電流は隣の溶接点等、離れた位置にある鋼板間接触点に分流する。この場合は電極直下における溶接電流密度が、板隙のない場合と比較して低くなり、薄板−厚板間にナゲットが形成されにくくなる。一方、溶接前期の低加圧での溶接条件を板隙のある場合に適した条件を選択した場合には、板隙がない場合、あるいは溶接途中に板隙がつぶれてなくなった場合に、厚板−厚板間での電流密度が過剰となり、散りが発生する。
そこで、本発明者らは更に検討を重ねて、板隙の有無に関わらず、板厚比の大きな板組みにおいても薄板−厚板間、厚板−厚板間にナゲットを形成することを可能とする手法を見出した。
それは、重ね合わせた2枚以上の厚板−厚板間に導電性を持たない樹脂を塗布した上で、上記の手法を適用するというものである。少なくとも一方に重ねられた薄板と厚板の間においては、溶接前期の低い加圧力でも薄板−厚板の間の板隙は潰されて電極直下にて接触し、高い電流密度を得ることができる。一方、重ね合わせた2枚以上の厚板−厚板間においては、ギャップの剛性が高いために、溶接前期の低加圧力の溶接においては、厚板−厚板間の板隙はつぶれ難く、かつ、導電性を持たない樹脂を塗布しておくことにより、ギャップがつぶれた場合においても、電極直下の厚板−厚板間は電流が流れず、常に隣の溶接点などに分流して流れる状態となり、溶接前期の低加圧下での溶接において、板隙の有無にかかわらず同じ溶接条件で散り発生なく薄板−厚板間にナゲットを形成できる適正溶接条件範囲が広くなる。その後、加圧力を増加させることにより、厚板−厚板間の導電性を持たない樹脂は電極直下から押し出され、溶接後期の大加圧力の溶接では、電極直下を直線的に電流が流れ、厚板−厚板間にナゲットを形成させることができる。
また、薄板−厚板間においても、電極直下以外の場所における分流を減らすことは溶接前期の低加圧下での溶接中に薄板−厚板間にナゲットを形成する上で有効である。薄板−厚板間に樹脂の塗布は必須ではないが、導電性を持たない樹脂を塗布することがより好ましい。薄板−厚板間に導電性を持たない樹脂を塗布することにより、電極直下は電極による加圧で樹脂が押し出されて通電の経路が確保され、その外側は導電性を持たない樹脂により薄板−厚板間が絶縁されているため、薄板−厚板間の電極直下の電流密度を高めることが容易となり、健全なナゲットを形成することが容易になる。
なお、従来の抵抗スポット溶接方法では、電極間中央部付近に形成されるナゲットを、薄板−厚板間が溶融するまで大きく成長させる必要があり、過大な電流が必要となっていた。これに対して、上記の方法であれば、溶接前期に薄板−厚板間に健全な接合部が形成できるため、溶接後期は厚板−厚板間に必要な径のナゲットが形成できる条件であれば良く、溶接後期の加圧力に応じて適切な溶接電流値を選べばよい。溶接後期の加圧力は、厚板―厚板間の板隙を潰して導電性を持たない樹脂を押し出すに十分な加圧力を加える必要があり、これは鋼板強度や板隙の剛性により異なる。
本発明は、上記の考え方に基づいて想到されたものであり、以下のような特徴を有している。
[1]重ね合わせた2枚以上の板厚の厚い鋼板の、外側の少なくとも一方に、さらに板厚の薄い鋼板を重ね合わせた板組みを一対の電極によって挟み、加圧力を加えながら抵抗スポット溶接を行なうにあたり、前記重ね合わせた2枚以上の板厚の厚い鋼板の間に導電性を持たない樹脂を介在させ、さらに、溶接工程を前期と後期に分け、溶接前期に前記2枚以上の板厚の厚い鋼板の間に介在する樹脂が電極直下から押し出されない低い加圧力で短時間の溶接を行ない、その後、通電を止めて加圧力を増加させた後に通電を開始し、高加圧下で溶接を行なうことを特徴とする抵抗スポット溶接方法。
[2]少なくとも一方に重ねられた板厚の薄い鋼板と板厚の厚い鋼板の間に導電性を持たない樹脂を介在させて溶接することを特徴とする前記[1]に記載の抵抗スポット溶接方法。
本発明によると、重ね合わせた2枚以上の板厚の厚い鋼板の、外側の少なくとも一方に、さらに板厚の薄い鋼板を重ね合わせた板厚比の大きな板組みを抵抗スポット溶接する場合において、鋼板間に板隙が存在する場合でも、薄板−厚板間と厚板−厚板間の両方に健全な接合部を形成する抵抗スポット溶接を行なうことが可能となる。
本発明の一実施形態における溶接開始前の状態(板組み)を示す図である。 本発明の一実施形態における溶接前期のナゲット形成状態を示す図である。 本発明の一実施形態における溶接後期のナゲット形成状態を示す図である。 本発明の実施例における板組みを示す図である。
本発明の実施の形態を以下に述べる。
本発明の一実施形態においては、例えば、図1に示すように、重ね合わせた2枚の板厚の厚い鋼板(厚板)12、13の上面に板厚の薄い鋼板(薄板)11を重ね合わせ、さらにその鋼板間に板隙(薄板11と厚板12の間に第1の板隙21、厚板12と厚板13の間に第2の板隙22)があるような板厚比の大きな板組み(ワーク)10を、一対の電極(電極チップ)16、17で挟んで加圧力を加えながら抵抗スポット溶接する場合に、重ね合わせた2枚の厚板12、13の間(板隙22)に導電性を持たない樹脂26を塗布し、溶接工程を前期と後期に分け、溶接前期において、低い加圧力で加圧して、板隙21を潰した上で、短時間、高電流にて溶接を行なうことで、図2に示すように、薄板11−厚板12間にナゲット(溶融部)18が形成される。このとき、加圧力が低いため、板隙22に塗布されている導電性を持たない樹脂26は電極直下からは押し出されずに残っている。また、板隙21にも導電性を持たない樹脂が塗布されることはより好ましい。薄板11は板厚が薄いため、溶接前期の低い加圧力でも押しつぶすことができ、このときに板隙21に塗布された導電性を持たない樹脂は電極直下から押し出され、電極直下の通電面積を狭く保ち溶接初期におけるナゲット18の形成をより容易にさせることができる。
そして、溶接前期の通電終了後、加圧力を増加させて板隙22を潰し、塗布されている導電性をもたない樹脂26を電極間から押し出した後、通電することにより、図3に示すように、厚板12−厚板13間にもナゲット(溶融部)19が形成される。
ここで、使用する樹脂26は導電性を持たないものであればよく、たとえば自動車の製造においてシーラントとして使用されているものや、ウェルドボンド工法にて使用されている接着剤でよい。接着剤の場合は溶接部の疲労特性や強度、溶接部の耐食性を向上させる効果も得られる。たとえば加熱硬化性エポキシ樹脂接着剤などが適用できる。
このようにして、この実施形態では、溶接前期において、低い加圧力を加えることによって、板隙21における電流密度だけを高めてナゲット(溶融部)18を形成し、その後、加圧力を増加させることで、板隙22の導電性を持たない樹脂26を押し出すことにより、電極間を直線的に電流が流れるようにして、板隙21、22のある板厚比が大きい板組みでも、必要なナゲット径を持つナゲット(溶融部)18、19を、薄板11−厚板12間、厚板12−厚板13間のそれぞれに形成し、健全な接合部を形成する溶接が可能となる。
上記のように、薄板11−厚板12間に溶融部(ナゲット)を形成するには、溶接前期に低加圧力で高い溶接電流を流すことにより、電極近傍の薄板11−厚板12間付近を集中的に加熱することが重要となる。加圧力が1.0kNを超えると、高い電流を流したときに厚板12、13が高温となり強度が低下するため、厚板12−厚板13間の板隙22が潰れる方向に大きく変形し、その結果、薄板11も大きく変形することになり、薄板11−厚板12間の接触面積が大きく拡大することで電流密度が低下し、薄板11−厚板12間にナゲットを形成することができなくなる、あるいは、厚板12−厚板13間の導電性を持たない樹脂26が押し出されて、電流が電極間を直線的に流れるようになるため、一気に鋼板間の接触部分の電流密度が高まり、散りが発生することになる。よって、溶接前期の加圧力は1.0kN以下とするのが好ましい。さらに溶接前期において数サイクル通電後に加圧力を低減させることは、通電中の厚板12、13の変形を抑える上で有効である。
なお、薄板11側の電極チップ16の先端を曲面とし、厚板13側の電極チップ17の先端を、厚板12−厚板13間に必要なナゲット径程度の径を持つ平面あるいは薄板11側の電極チップ16よりも大きな曲率半径をもつ曲面とすることがより好ましい。
薄板11側の電極チップ16の先端を曲面とし、厚板13側の電極チップ17の先端をより平坦にすることにより、低加圧力では薄板11への電極16の押し込み量が小さくなり、通電面積が狭くなることから、薄板11−厚板12間の電流密度が高くなり、薄板11−厚板12間でナゲット18が形成されやすくなる。また、薄板11側の電極16の先端を曲面とすることにより、溶接途中で加圧力を増大させることで、薄板11側の電極チップ16が加圧力を加えられる範囲が増大し、散り発生が抑制され、厚板12−厚板13
間に必要な径を持つナゲット19を形成することが可能になる。
ちなみに、本発明において用いる溶接装置は、一対の上下の電極チップで溶接する部分を挟み、加圧、通電するものであれば、加圧機構の種類(エアシリンダによるもの、サーボモータによるもの)や形状(定置式、ロボットガン)、電源の種類(単相交流、交流インバータ、直流インバータ)など特に限定されるものではない。
また、溶接される鋼板は、強度レベル(軟鋼、高張力鋼板)にかかわらず適用可能であり、熱間プレス材や温間プレス材でも適用できる。また、裸鋼板だけでなく、たとえば、電気亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、Al系めっき鋼板などの多くの種類のめっき鋼板に対しても適用することができる。その板組みも、3枚重ねはもちろん、4枚重ねにおいても適用可能である。
本発明の効果を確認するために本発明例と比較例を実施した。
その板組みは、図4(a)(b)および表1に示す板組みである。すなわち、板組みaは、図4(a)に示すように、(一枚目の鋼板(薄板)11+二枚目の鋼板(厚板)12+三枚目の鋼板(厚板)13)の3枚重ねであり、板組みbは、図4(b)に示すように、(一枚目の鋼板(薄板)11+二枚目の鋼板(厚板)12+三枚目の鋼板(厚板)13+四枚目の鋼板(厚板)14)の4枚重ねである。そして、適宜、鋼板間に鋼板スペーサ31、32、33を所定の間隔Wをあけて挿入し、薄板11−厚板12間に深さG1の第1の板隙21、厚板12−厚板13間に深さG2の第2の板隙22、厚板13−厚板14間に深さG3の第3の板隙23を模擬的に形成した。
Figure 2013052413
そして、それぞれの場合における、上下の電極チップの形状、溶接前期(1段目)の加圧力、通電時間、溶接電流、溶接後期(2段目)の加圧力、通電時間、溶接電流は、それぞれ表2に示すものであった。また、樹脂26は加熱硬化型エポキシ樹脂接着剤とし、それぞれの板隙21、22、23における塗布の有無を(有り、なし)で記載した。溶接条件は厚板12−厚板13間のナゲット径が4√t(t:2枚の厚板12、13のうちの薄い方の板厚(mm))mmとなるように設定した。溶接機は単相交流のサーボモータ加圧式抵抗スポット溶接機を使用した。
それぞれの場合における継手を評価した結果を表2、表3に示す。なお、1cycle=20msである。評価は、散り発生の有無による評価と、JIS Z 3001に規定されるピール試験にて行い、薄板11−厚板12間にプラグが形成された場合を良好(○)とし、プラグが形成されず界面破断したものを不良(×)とした。
Figure 2013052413
Figure 2013052413
その結果、本発明例では、薄板11−厚板12間はプラグ破断となり、良好な溶接となっているが、比較例では、薄板11−厚板12間で剥離が生じる、あるいは激しい散りが発生することになり、良好な溶接継手が得られなかった。これにより、本発明の有効性が確認できる。
なお、ここでは厚板12−厚板13間のナゲット径が4√tとなる場合について評価したが、本発明を実施する場合においては、厚板12−厚板13間のナゲット径は実施者が厚板−厚板間に必要とするナゲット径で行なえばよい。
10 板組み(ワーク)
11 一枚目の鋼板(薄板)
12 二枚目の鋼板(厚板)
13 三枚目の鋼板(厚板)
14 四枚目の鋼板(厚板)
16 薄板側の電極(電極チップ)
17 厚板側の電極(電極チップ)
18 薄板−厚板間のナゲット
19 厚板−厚板間のナゲット
21 第1の板隙
22 第2の板隙
23 第3の板隙
26 導電性を持たない樹脂
31 鋼板スペーサ
32 鋼板スペーサ
33 鋼板スペーサ

Claims (2)

  1. 重ね合わせた2枚以上の板厚の厚い鋼板の、外側の少なくとも一方に、さらに板厚の薄い鋼板を重ね合わせた板組みを一対の電極によって挟み、加圧力を加えながら抵抗スポット溶接を行なうにあたり、前記重ね合わせた2枚以上の板厚の厚い鋼板の間に導電性を持たない樹脂を介在させ、さらに、溶接工程を前期と後期に分け、溶接前期に前記2枚以上の板厚の厚い鋼板の間に介在する樹脂が電極直下から押し出されない低い加圧力で短時間の溶接を行ない、その後、通電を止めて加圧力を増加させた後に通電を開始し、高加圧下で溶接を行なうことを特徴とする抵抗スポット溶接方法。
  2. 少なくとも一方に重ねられた板厚の薄い鋼板と板厚の厚い鋼板の間に導電性を持たない樹脂を介在させて溶接することを特徴とする請求項1に記載の抵抗スポット溶接方法。
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