JP2009241136A - 高張力鋼板のシリーズスポットまたはインダイレクトスポット溶接法 - Google Patents

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Abstract

【課題】普通鋼は勿論のこと、TSが 440 MPa以上の高張力鋼板に適用した場合であっても、健全な溶接部を得ることができる、シリーズスポット溶接法またはインダイレクトスポット溶接法を提供する。
【解決手段】シリーズスポット溶接またはインダイレクトスポット溶接によって高張力鋼板を溶接するに際し、通電時間を4つの時間帯t1-1,t1-2,t1-3,t1-4に分割し、まず最初の時間帯t1-1において電流C1-1を通電したのち、時間帯t1-2では電流C1-1よりも高い電流C1-2を通電し、ついで時間帯t1-3では通電電流をC1-2から段階的または連続的に増大し、その後時間帯t1-4では時間帯t1-3で到達した最高電流C1-3以上の電流C1-4を通電する、という通電方式とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、高張力鋼板のシリーズスポットまたはインダイレクトスポット溶接法に関するものである。
自動車部品の溶接に際しては、従来からスポット溶接、主にダイレクトスポット溶接が使用されてきたが、最近では、特に自動車のボディーやドアのヘミングプレス部等の溶接に際しては、シリーズスポット溶接法やインダイレクトスポット溶接法等が使用されるようになった。
上記した3種類のスポット溶接の特徴を、図1を用いて説明する。
いずれのスポット溶接も、重ね合わせた2枚の鋼板を溶接により接合する点では変わりはない。
図1(a)は、ダイレクトスポット溶接法を示したものであるが、この溶接は、同図に示すとおり、重ね合わせた2枚の鋼板1,2を挟んでその上下から一対の電極3,4を加圧しつつ電流を流し、鋼板の抵抗発熱を利用して、点状の溶接部5を得る方法である。なお、電極3,4はいずれも、加圧制御装置6,7および電流制御装置8をそなえており、これらによって加圧力と通電する電流値が制御できる仕組みになっている。
図1(b)に示すシリーズスポット溶接法は、重ね合わせた2枚の鋼板11,12に対し、離隔した位置で、同一面側(同一方向)から一対の電極13,14を加圧しつつ電流を流し、点状の溶接部15-1,15-2を得る方法である。
図1(c)に示すインダイレクトスポット溶接法も、重ね合わせた2枚の鋼板21,22に対し、離隔した位置で同一面側から電流を流す点ではシリーズスポット溶接法と同様であるが、一対の電極23,24のうち片方の電極23は鋼板の重ね合わせた重合部に配置するのに対し、もう片方の電極24は単板部(この例で鋼板22)に配置させ、これらの間で通電することにより、上記重合部に点状の溶接部25を形成する方法である。
上記した3種類の溶接法のうち、スペース的に余裕があり、鋼板を上下から挟む開口部が得られる場合には、ダイレクトスポット溶接法が用いられる。
しかしながら、実際の溶接に際しては、十分なスペースがない、閉断面構造で鋼板を上下から挟むことができない場合も多く、かような場合には、シリーズスポット溶接法やインダイレクトスポット溶接法が用いられる。特にシリーズスポット溶接法は、2点を同時に溶接することができることから、溶接の高速化が図れるという利点がある。
しかしながら、シリーズスポット溶接法やインダイレクトスポット溶接法は、電極を一方向から加圧する形式であるため、ダイレクトスポット溶接法のように十分な加圧力が得られず、また離隔した位置間での通電であるため、重ね合わせた鋼板の内部で電流の流れが不均一になり易く、十分な溶接強度が得られない場合があった。
上記の問題を解決するものとして、特許文献1には、「シリーズスポット溶接又はインダイレクトスポット溶接の通電時に、電流値を高く維持する時間帯と電流値を低く維持する時間帯を交互に繰り返す」ことからなる溶接法、さらには「電流値を高く維持する時間帯と電流値を低く維持する時間帯を交互に繰り返すにつれて、電流値を高く維持する時間帯の電流値を徐々に高くする」ことからなる溶接法が開示されている。
特開2006−198676号公報
上記特許文献1に開示の溶接法により、シリーズスポット溶接やインダイレクトスポット溶接において、金属板の重合部に良好なナゲットを形成することができ、金属板の溶接に十分な溶接強度を確保することができるようになった。
ところで、最近では、地球環境の保全という観点から、自動車の燃費改善が要求され、また車両衝突時に乗員を保護する観点から、自動車車体の安全性向上も要求されている。このため、自動車車体の軽量化および強化の双方を図るための検討が積極的に進められている。
自動車車体の軽量化と強化を同時に達成するには、部品素材を高強度化することが効果的であると言われており、最近では引張強さ(TS)が 440 MPa以上の高張力鋼板が自動車部品に使用されるようになった。すなわち、高張力鋼板を適用して、使用する鋼板の薄肉化を図り、これにより自動車車体の軽量化と強化を同時に達成しようとするものである。
しかしながら、上記したような高張力薄鋼板を、シリーズスポット溶接やインダイレクトスポット溶接で接合しようとする場合、高張力鋼板はCやSiなどの電気抵抗率を上げる元素を比較的多量に含有しているため発熱しやすく、電流経路の不均一性と相乗して局部的な発熱を助長させることから、高温割れ、溶落ちが顕著になる。このため、上掲した特許文献1に開示の溶接法を用いたとしても、必ずしも健全な溶接部が得られるとは限らなかった。
上述したとおり、TSが 440 MPa以上の高張力鋼板を、シリーズスポット溶接やインダイレクトスポット溶接によって接合しようとしても、従来の溶接法では、必ずしも健全な溶接部が得られるとは限らず、その解決が望まれていた。
本発明は、上記の現状に鑑み開発されもので、普通鋼は勿論のこと、TSが 440 MPa以上の高張力鋼板に適用した場合であっても、健全な溶接部を得ることができる、シリーズスポット溶接法またはインダイレクトスポット溶接法を提案することを目的とする。
さて、発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、次に述べる知見を得た。
a)高張力鋼板は普通鋼よりも電気抵抗が高く発熱し易いため、普通鋼の場合と同じように電流を通電すると、鋼板が局部的な発熱と過度の変形を受け、甚だしい場合には高温割れの発生や溶け落ちが生じる。
b)上記の弊害を解決するには、通電する電流値およびその通電時間を細かく制御する必要がある。
c)特に通電時間を4段階に分け、各段階における電流値を個別に制御することにより、溶接時における割れや溶け落ちの発生を効果的に抑制して、健全な溶接部とすることができる。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.重ね合わせた少なくとも2枚の金属板に対し、同一面側から離隔した位置に一対の電極を押し当てて溶接を行うシリーズスポット溶接またはインダイレクトスポット溶接により、高張力鋼板を溶接するに際し、通電時間を4つの時間帯t1-1,t1-2,t1-3,t1-4に分割し、まず最初の時間帯t1-1において電流C1-1を通電したのち、時間帯t1-2では電流C1-1よりも高い電流C1-2を通電し、ついで時間帯t1-3では通電電流をC1-2から段階的または連続的に増大し、その後時間帯t1-4では時間帯t1-3で到達した最高電流C1-3以上の電流C1-4を通電することを特徴とする、高張力鋼板のシリーズスポットまたはインダイレクトスポット溶接法。
2.上記1において、前記時間帯t1-4における電流C1-4での通電後、さらに
通電時間を3つの時間帯tm-2,tm-3,tm-4に分割し、時間帯tm-2では前段の時間帯t1-4における電流C1-4よりも低い電流Cm-2を通電し、ついで時間帯tm-3では通電電流をCm-2から段階的または連続的に増大し、その後時間帯tm-4では時間帯tm-3で到達した最高電流Cm-3以上かつ前段の時間帯t1-4における電流C1-4以上の電流Cm-4で通電する処理を、
1回または2回以上繰り返し施すことを特徴とする、高張力鋼板のシリーズスポットまたはインダイレクトスポット溶接法。
3.上記1または2において、最後の高電流通電後、引き続く時間帯tZで電流を段階的または連続的に減少して通電を終了することを特徴とする、高張力鋼板のシリーズスポットまたはインダイレクトスポット溶接法。
4.上記1〜3のいずれかにおいて、時間帯t1-1,t1-2,t1-3,t1-4がそれぞれ、t1-1:0.03〜0.20s、t1-2:0.08〜0.60s、t1-3:0.03〜0.20s、t1-4:0.03〜0.24sであることを特徴とする、高張力鋼板のシリーズスポットまたはインダイレクトスポット溶接法。
5.上記1〜4のいずれかにおいて、電流C1-1,C1-2,C1-3,C1-4がそれぞれ、C1-1:2.0〜10.0 kA、C1-2:2.5〜12.0 kA、C1-3:3.0〜16.0 kA、C1-4:3.0〜16.0 kAであることを特徴とする、高張力鋼板のシリーズスポットまたはインダイレクトスポット溶接法。
6.上記2〜5のいずれかにおいて、時間帯tm-2,tm-3,tm-4がそれぞれ、tm-2:0.08〜0.60s、tm-3:0.03〜0.20s、tm-4:0.03〜0.24sであることを特徴とする、高張力鋼板のシリーズスポットまたはインダイレクトスポット溶接法。
7.上記2〜6のいずれかにおいて、電流Cm-2,Cm-3,Cm-4がそれぞれ、Cm-2:2.5〜12.0 kA、Cm-3:3.0〜16.0 kA、Cm-4:3.0〜16.0 kAであることを特徴とする、高張力鋼板のシリーズスポットまたはインダイレクトスポット溶接法。
本発明によれば、シリーズスポット溶接やインダイレクトスポット溶接により、TSが 440 MPa以上の高張力鋼板を健全に接合することができる。
以下、本発明を図面に従い具体的に説明する。
図2(a)に、本発明の基本的な通電時間と通電電流との関係を示す。
本発明では、通電時間を4つの時間帯に分割し、それぞれの時間帯において通電する電流を制御する。ここで、分割した各時間帯をt1-1,t1-2,t1-3,t1-4で示す。また、各時間帯に通電する電流値をC1-1,C1-2,C1-3,C1-4で示す。
本発明において、時間帯t1-1では、電流C1-1を通電する。
この時間帯t1-1は、電極と接触する金属板を軟化させて、電極と金属板の接触面積を広げるための時間帯である。すなわち、溶接開始時は、金属板が軟化されていないことから、電極と金属板との接触面積が小さいため、この接触面積を広くする必要がある。しかしながら、この時間帯t1-1における通電電流が高すぎるとスパッタが発生する不具合が生じる。従って、この時間帯t1-1で通電する電流値はかような不具合が生じない電流値C1-1とする必要がある。この時間帯t1-1において、適切な電流C1-1を通電した場合、図3(a)に示すように、金属板11の表面が発熱により軟化し、金属板11の表面に電極13の先端が徐々に沈み込み、金属板11と電極13との接触面積が広くなる。
次に、時間帯t1-2では、電流C1-1よりも高い電流C1-2を通電する。
この時間帯t1-2は、金属板をさらに軟化して、電極先端の沈み込み量を増大させ、2枚の金属板を密着させるための時間帯である。従って、この時間帯t1-2では、電流C1-1よりも高い電流C1-2を通電する必要がある。この時間帯t1-2において、適切な電流C1-2を通電した場合、図3(b)に示すように、金属板11はさらに軟化し、この軟化に伴い電極13の先端はさらに沈み込み、その結果、金属板11と金属板12との接触面積が確保される。溶接前に、金属板11と金属板12との間に隙間がある場合でも、この時間帯t1-2で解消される。
ついで、時間帯t1-3では、通電電流をC1-2から段階的または連続的に増大し、電流C1-3を通電する。
この時間帯t1-3は、金属板同士の接触面積をさらに拡大させると共に、密着した箇所を発熱させて、両者を接合するための時間帯である。この時間帯では、通電電流を急激に上昇させると、過度の発熱と変形により、溶着部で割れや溶け落ちが発生するおそれがある。そこで、この時間帯t1-3では、通電電流をC1-2からC1-3まで段階的または連続的に増大させることか肝要である。この時間帯t1-3において、適切な条件で通電した場合には、図3(c)に示すように、高温での密着により金属板11と金属板12とが冶金的に接合される。なお、接合にさいしては、金属板11,12間の溶融は必ずしも必要ではない。
引き続き、時間帯t1-4では、時間帯t1-3で到達した最高電流C1-3以上の電流C1-4を通電する。このように、高電流での通電を所定時間維持することにより、図3(d)に示すように、安定した接合面積が確保され、欠陥のない健全な接合部を得ることができる。
なお、上記の時間帯t1-3において、通電電流を急激に上昇させ、過度の発熱と変形が加えられた場合には、図3(e)に矢印で示す位置で、割れや溶け落ちが発生する。
ここに、時間帯t1-1,t1-2,t1-3,t1-4における通電時間はそれぞれ、t1-1:0.03〜0.20s、t1-2:0.08〜0.60s、t1-3:0.03〜0.20s、t1-4:0.03〜0.24sとすることが好ましい。
また、各時間帯t1-1,t1-2,t1-3,t1-4における通電電流はそれぞれ、C1-1:2.0〜10.0 kA、C1-2:2.5〜12.0 kA、C1-3:3.0〜16.0 kA、C1-4:3.0〜16.0 kAとすることが好ましい。
上記した4つの時間帯を1サイクルとして溶接を終了するが、金属板の成分や厚み、金属板間の隙間、さらには溶接条件によっては、1サイクルの処理では十分に満足のいく溶接部が得られない場合がある。
このような場合には、再度、同様な溶接処理を行うことができる。
図2(b)に、2サイクルで溶接を行う場合の通電時間と通電電流との関係を示す。
1サイクル目は、図1(a)に示した場合と同じ条件でよい。
2サイクル目の処理に際しては、前段の1サイクル目で金属板は十分に加熱され、軟化していることから、1サイクル目のt1-1に相当する時間帯は省略することができる。
従って、2サイクル目以降の時間帯については、1サイクル目のt1-2,t1-3,t1-4に相当する時間帯tm-2,tm-3,tm-4の3つに分割して行えばよい。
これら3つの時間帯tm-2,tm-3,tm-4および各時間帯に通電する電流値Cm-2,Cm-3,Cm-4に対して期待するところを、以下に説明する。
時間帯tm-2は、1サイクル目のt1-4に相当する時間帯で高温状態に達した溶接部を冷却する時間帯である。従って時間帯tm-2では前段の時間帯t1-4における電流C1-4よりも低い電流Cm-2を通電する。
ついで、時間帯tm-3では、通電電流をCm-2から段階的または連続的に増大し、電流Cm-3を通電する。
この時間帯tm-3は、接合面積をさらに拡大させるための時間帯である。この時間帯で、通電電流を急激に上昇させると、過度の発熱と変形により、溶着部で割れや溶け落ちが発生するおそれがあることは、1サイクル目の時間帯t1-3と同様である。
引き続き、時間帯tm-4では、時間帯tm-3で到達した最高電流Cm-3以上の電流Cm-4を通電する。1サイクル目の時間帯t1-4と同様に、高電流での通電を所定時間維持することにより、安定した接合面積を確保することを目的とする。
2サイクル以上の処理を施す場合には、1サイクルで処理を終了する場合に比べて、通電電流を幾分低めに設定することが好ましい。かくすることにより、接合面積をさらに拡大して接合強度の一層の向上を図ることができる。
また、好適には、少なくとも電流値Cm-3,Cm-4の値については、その前段のサイクルの電流値C1-3,C1-4よりも幾分高めに設定することが有利である。
ここに、時間帯tm-2,tm-3,tm-4における通電時間はそれぞれ、tm-2:0.08〜0.60s、tm-3:0.03〜0.20s、tm-4:0.03〜0.24sとすることが好ましい。
また、各時間帯tm-2,tm-3,tm-4における通電電流はそれぞれ、Cm-2:2.5〜12.0 kA、Cm-3:3.0〜16.0 kA、Cm-4:3.0〜16.0 kAとすることが好ましい。
上記のような溶接処理を終了した後、溶接部は、通常、水冷された銅電極により急冷却されるが、本発明で対象とする被溶接材は高張力鋼であることもあって、上記のような速い速度で冷却した場合には、ベイナイト、マルテンサイトといった硬質相の生成により継手引張試験における破断特性の劣化という問題が生じるおそれがある。
そこで、このようなおそれがある場合には、図4(a),(b)に示すように、時間帯t1-4またはtm-4での通電終了後、引き続く時間帯tZで電流を段階的または連続的に減少しながら通電を終了することが好ましい。
かような徐冷処理により、接合部の硬化を効果的に抑制することができ、ひいては継手引張強度を向上させることができる。
図1(b)に示すシリーズスポット溶接において、鋼板11に板厚が1.2mmで表1に示すような化学成分になる引張強さ:460MPaのSPC440鋼板を、鋼板12に板厚0.6mmで同じく表1に示すような化学成分SPC440鋼板を用いて、表2に示すパターンの通電時間と電流値により溶接を行った。ここでは、60Hzの交流電源を用いて溶接を行っており、cycleは通電時間を設定する単位であり、1cycleは1/60秒である。また、電極に付与する加圧力を294N(30kgf)とし、前掲特許文献1の請求項1に示される形状の電極を用い、さらに溶接割れ、溶け落ちの傾向を意図的に助長させることを目的として、鋼板11と鋼板12の間に図5に示すように厚さ:0.5mmのスペーサを配置し、板隙のある状態で溶接を行った。溶接継手は外観観察により割れ、溶け落ちを確認し、またJIS Z 3137(1990)「スポット溶接継手の引張試験方法」に準拠する方法でU字引張試験に供した。
表3に、表2に示す通電パターンで溶接したときの各継手の割れ、溶け落ちの観察結果およびU字引張強度の測定結果を示す。なお、表2において、発明例1,2および3の通電パターンはそれぞれ、図2(a)、図2(b)および図4(a)に示したものに相当する。また、比較例1,2はそれぞれ、前掲特許文献1の技術に従う通電パターンである。
表3に示したとおり、比較例1,2においては、割れ、溶け落ちが確認されたのに対して、発明例1〜3においては、割れ、溶け落ちがなく、かつ良好な継手引張強度が得られた。
Figure 2009241136
Figure 2009241136
Figure 2009241136
ダイレクトスポット溶接法(a)、シリーズスポット溶接法(b)およびインダイレクトスポット溶接法(c)の溶接要領の説明図である。 (a)は1サイクルで溶接を行う場合における通電時間と通電電流との関係を、(b)は2サイクルで溶接を行う場合における通電時間と通電電流との関係を示した図である。 (a)は時間帯t1-1経過後の金属板と電極との接触状態を示した図、(b)は時間帯t1-2経過後に金属板同士が接触した状態を示した図、(c)は時間帯t1-3経過後に金属板同士が冶金的に接合された状態を示した図、(d)は時間帯t1-4経過後に安定した接合面積が確保され、欠陥のない健全な接合部が得られた状態を示した図、(e)は時間帯t1-3において、通電電流を急激に上昇させた場合に、過度の発熱や変形により、割れや溶け落ちが発生した状態を示した図である。 時間帯t1-4またはtm-4での通電終了後に、引き続く時間帯tZにおいて電流を段階的または連続的に減少させる状態を示した図である。 実施例1における鋼板間のスペーサの配置条件を示した図である。

Claims (7)

  1. 重ね合わせた少なくとも2枚の金属板に対し、同一面側から離隔した位置に一対の電極を押し当てて溶接を行うシリーズスポット溶接またはインダイレクトスポット溶接により、高張力鋼板を溶接するに際し、通電時間を4つの時間帯t1-1,t1-2,t1-3,t1-4に分割し、まず最初の時間帯t1-1において電流C1-1を通電したのち、時間帯t1-2では電流C1-1よりも高い電流C1-2を通電し、ついで時間帯t1-3では通電電流をC1-2から段階的または連続的に増大し、その後時間帯t1-4では時間帯t1-3で到達した最高電流C1-3以上の電流C1-4を通電することを特徴とする、高張力鋼板のシリーズスポットまたはインダイレクトスポット溶接法。
  2. 請求項1において、前記時間帯t1-4における電流C1-4での通電後、さらに
    通電時間を3つの時間帯tm-2,tm-3,tm-4に分割し、時間帯tm-2では前段の時間帯t1-4における電流C1-4よりも低い電流Cm-2を通電し、ついで時間帯tm-3では通電電流をCm-2から段階的または連続的に増大し、その後時間帯tm-4では時間帯tm-3で到達した最高電流Cm-3以上かつ前段の時間帯t1-4における電流C1-4以上の電流Cm-4で通電する処理を、
    1回または2回以上繰り返し施すことを特徴とする、高張力鋼板のシリーズスポットまたはインダイレクトスポット溶接法。
  3. 請求項1または2において、最後の高電流通電後、引き続く時間帯tZで電流を段階的または連続的に減少して通電を終了することを特徴とする、高張力鋼板のシリーズスポットまたはインダイレクトスポット溶接法。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、時間帯t1-1,t1-2,t1-3,t1-4がそれぞれ、t1-1:0.03〜0.20s、t1-2:0.08〜0.60s、t1-3:0.03〜0.20s、t1-4:0.03〜0.24sであることを特徴とする、高張力鋼板のシリーズスポットまたはインダイレクトスポット溶接法。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、電流C1-1,C1-2,C1-3,C1-4がそれぞれ、C1-1:2.0〜10.0 kA、C1-2:2.5〜12.0 kA、C1-3:3.0〜16.0 kA、C1-4:3.0〜16.0 kAであることを特徴とする、高張力鋼板のシリーズスポットまたはインダイレクトスポット溶接法。
  6. 請求項2〜5のいずれかにおいて、時間帯tm-2,tm-3,tm-4がそれぞれ、tm-2:0.08〜0.60s、tm-3:0.03〜0.20s、tm-4:0.03〜0.24sであることを特徴とする、高張力鋼板のシリーズスポットまたはインダイレクトスポット溶接法。
  7. 請求項2〜6のいずれかにおいて、電流Cm-2,Cm-3,Cm-4がそれぞれ、Cm-2:2.5〜12.0 kA、Cm-3:3.0〜16.0 kA、Cm-4:3.0〜16.0 kAであることを特徴とする、高張力鋼板のシリーズスポットまたはインダイレクトスポット溶接法。
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