JP5960655B2 - スポット・レーザ複合溶接継手 - Google Patents

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Description

本発明は、少なくとも1枚が高強度鋼板である、2枚の鋼板を重ね合わせて溶接された溶接継手に関し、詳しくは、スポット溶接とレーザ溶接を併用して作製された溶接継手に関する。
自動車を軽量化するために、自動車の骨格部品への高強度鋼板の適用が進んでいるが、自動車骨格部品としての強度および剛性の向上を実現するには溶接部の強度および剛性も向上させる必要がある。鋼板の溶接方法としては、スポット溶接が非常に有効な手段であるが、鋼板の高強度化に対してスポット溶接部の継手強度の向上幅は小さく、溶接継手全体の強度および剛性の向上は難しい。つまり、スポット溶接点間の距離を小さくしてスポット溶接点数を増やそうとしても、隣の電極への分流が起こりやすくなるため、溶接継手全体の強度および剛性を向上させるには限界があった。
一方、レーザ溶接については、連続的な線接合が可能であり、しかも、後述のスポット・レーザ複合溶接法を採用した場合でも接合点間の距離に関する制約がないため、上手く接合させることができれば強度および剛性を高められる可能性がある。しかし、レーザ溶接については、鋼板間の隙間(以下、「板隙」ともいう。)の大きさにより継手強度が大きく変化する欠点がある。被接合対象鋼板として、2枚の重ね合わせ鋼板のうち少なくとも1枚に高強度鋼板を用いた場合、プレス時の精度が低下しているため、溶接時に板隙の存在が不可避的であり、レーザ溶接単体での適用に難しさがある。そのため、スポット溶接や抵抗溶接をした後にレーザ溶接するような手段(スポット・レーザ複合溶接法)が検討されている(例えば、特許文献1,2参照)。
このような接合方法で製造された継手は、強度や剛性面で良好な特性(継手特性)が得られると期待される。しかしながら、2枚の重ね合わせ鋼板のうち少なくとも1枚に高強度鋼板を用いて一般的なスポット溶接により作製した溶接継手のスポット溶接部の間にレーザ溶接を施しても継手特性の改善効果が十分に得られなかったり、継手特性がばらついたりする問題があった。
特開平4−84685号公報 特開2010−264503号公報
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、高強度鋼板を含む重ね合わせ鋼板をスポット・レーザ複合溶接して得られる溶接継手であっても、継手強度に優れるスポット・レーザ複合溶接継手を提供することにある。
本発明者らは、2枚の重ね合わせ鋼板のうち少なくとも1枚に高強度鋼板を用いて一般的なスポット溶接により作製した溶接継手のスポット溶接部の間にレーザ溶接を施しても継手特性の改善効果が十分に得られなかったり、継手特性がばらついたりする原因について検討したところ、高強度鋼板を含む重ね合わせ鋼板をスポット溶接する場合、鋼板同士を確実に密接させて通電できるようにするためには、電極チップによる加圧力を高く設定する必要があり、高い加圧力で通電するとスポット溶接部が加圧により変形し、ナゲット周囲に板隙が形成され、その結果、スポット溶接に加えてレーザ溶接を施した際に適正な接合状態が実現できていないことがわかった。
そこで、本発明者らは、スポット溶接とレーザ溶接を併用することで継手特性を最大限向上させ、かつ、安定的に継手特性を確保できる溶接継手を実現すべく、さらに検討を行った。その結果、レーザ溶接併用による継手強度向上効果を得るためには、ナゲット周囲の板隙が0.2mm以下になるようにする必要があることがわかった。一方、上記板隙を小さくするには、従来のスポット溶接法でも溶接電流を小さくしたり、電極チップによる加圧力を低下させたりすることで実現できるが、その場合、チリを発生させることなく十分な大きさのナゲット径を確保することができずスポット溶接部の強度を確保できない問題がある。そのため、上記板隙を0.2mm以下に小さくするのと同時に、スポット溶接部のナゲット径を4√t(t:平均板厚)以上確保すれば良いことに想到し、この知見に基づき、以下の発明を完成するに至った。
本発明に係る継手強度に優れるスポット・レーザ複合溶接継手は、
板厚がtおよびtの2枚の鋼板が重ね合わされて溶接された溶接継手であって、
前記2枚のうち少なくとも1枚の鋼板は、引張強度590MPa以上の高強度鋼板であり、
2つ以上のスポット溶接部を備えるとともに、
隣接する各2つのスポット溶接部の間に、合計で2mm以上の溶接面積を有するとともに、前記2枚の鋼板の合計板厚(t+t)の80%以上の溶込み深さを有する、1つまたは2つ以上のレーザ溶接部を備え、
前記2つ以上のスポット溶接部のナゲット径が、いずれも4√{(t+t)/2}以上(ナゲット径、tおよびtの単位はすべてmm)であり、
前記2つ以上のスポット溶接部のコロナボンド部の外側における、前記2枚の鋼板の間の隙間が、いずれも0.2mm以下である
ことを特徴とする。
本発明によれば、所定のナゲット径を有するスポット溶接部の間に、所定の合計溶接面積で所定の溶込み深さを有するレーザ溶接部を設けるとともに、各スポット溶接部のコロナボンド部の外側における板隙を所定値以下とすることで、高強度鋼板を含む重ね合わせ鋼板をスポット・レーザ複合溶接して得られる溶接継手の継手強度を大幅に向上させることが可能となった。
本発明の実施形態に係るスポット・レーザ複合溶接継手の概略構成を示す、(a)は平面図、(b)は(a)におけるA−A線断面図である。 (a)は従来技術で用いられる通常のDR型電極チップ、(b)は本発明に係るスポット・レーザ複合溶接継手の作製に好適に用いられる外加圧型電極チップの概略構成を示す縦断面図である。 本発明に係るスポット・レーザ複合溶接継手の作製に好適に用いられる、別の電極チップの概略構成を示す縦断面図である。 実施例における、スポット・レーザ複合溶接継手の概略構成を示す、(a)は平面図、(b)は正面図である。 実施例における、別のスポット・レーザ複合溶接継手の概略構成を示す、(a)は平面図、(b)は正面図である。 実施例でスポット溶接に使用した溶接チップ先端部の概略形状を示す部分縦断面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の実施形態に係るスポット溶接継手は、図1に示すように、板厚がtおよびtの2枚の鋼板1,2が重ね合わされて溶接された溶接継手であって、前記2枚のうち少なくとも1枚の鋼板は、引張強度590MPa以上の高強度鋼板であり、2つ以上のスポット溶接部3,…,3を備えるとともに、隣接する各2つのスポット溶接部3,3の間に、合計で2mm以上の溶接面積を有するとともに、前記2枚の鋼板1,2の合計板厚(t+t)の80%以上の溶込み深さhを有する、1つまたは2つ以上のレーザ溶接部(本実施形態では1つのみの場合を例示)4,…,4を備え、前記2つ以上のスポット溶接部3,…,3のナゲット31の径dが、いずれも4√{(t+t)/2}以上(d、tおよびtの単位はすべてmm)であり、前記2つ以上のスポット溶接部3,…,3のコロナボンド部32の外側における、前記2枚の鋼板1,2の間の隙間5,…,5が、いずれも0.2mm以下である。
以下、本発明を規定する要件について詳細に説明する。
〔板厚がtおよびtの2枚の鋼板1,2が重ね合わされて溶接された溶接継手〕
本発明に係る溶接継手は、薄鋼板の接合を対象としており、2枚の鋼板1,2の板厚t,tは、同じでも、異なっていてもよいが、ともに0.1〜5.0mmの範囲、さらには、ともに0.2〜3.0mmの範囲とするのが推奨される。
〔前記2枚のうち少なくとも1枚の鋼板は、引張強度590MPa以上の高強度鋼板〕
本発明の作用効果は、低強度の鋼板(例えば軟鋼)同士のスポット・レーザ溶接継手に対しても発現するが、上述したように本発明の課題は、高強度鋼板のスポット・レーザ複合溶接で顕在化することから、本発明は、2枚の鋼板1,2のうち少なくとも1枚の鋼板が高強度鋼板の場合を対象とする。すなわち、2枚とも高強度鋼板であってもよいし、1枚は高強度鋼板、他の1枚は低強度の鋼板(例えば軟鋼)の組み合わせであってもよい。また、2枚とも高強度鋼板の場合は、同じ種類の鋼板同士であってもよいし、異なる種類の組み合わせであってもよい。高強度鋼板としては、自動車骨格部品の部品強度を維持・向上させつつ、軽量化を図るため、引張強度が590MPa以上、好ましくは780MPa以上、さらに好ましくは980MPa以上のものを用いる。なお、鋼板の種類としては、冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板、合金化亜鉛めっき鋼板、アルミめっき鋼板等、表面処理の有無、相違を問わない。
〔隣接する各2つのスポット溶接部の間に、合計で2mm以上の溶接面積を有するとともに、前記2枚の鋼板の合計板厚(t+t)の80%以上の溶込み深さを有する、1つまたは2つ以上のレーザ溶接部を備え〕
スポット溶接部3,3の間にレーザ溶接部を設けることで継手特性の向上効果を得るには、2mm以上、好ましくは4mm以上、さらに好ましくは4mm以上の溶接面積で、2枚の鋼板1,2の合計板厚(t+t)の80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上の溶込み深さhを確保することが必要である。また、レーザ溶接部の平面形状については、上記溶接面積が確保されれば、図1に例示するような円状に限らず、直線状、C字状、楕円状、螺旋状等、その形状は問わない。また、スポット溶接部3,3の間に設けるレーザ溶接部の個数(溶接点数)については、1つに限られず、溶接面積の合計(合計溶接面積)が上記値(2mm以上、好ましくは4mm以上、さらに好ましくは4mm以上)を確保できるのであれば、2つ以上設けてもよい。
〔前記2つ以上のスポット溶接部3,…,3のナゲット31の径dが、いずれも4√{(t+t)/2}以上(d、tおよびtの単位はすべてmm)〕
各スポット溶接部の強度を確保するには、十分な溶接面積を確保する必要があるため、ナゲット径dは、4√{(t+t)/2}以上、好ましくは4.5√{(t+t)/2}以上、さらに好ましくは5√{(t+t)/2}以上とする。ここで、スポット溶接では継手強度をナゲット径で管理することが一般的に行われており、板厚t(単位:mm)の薄鋼板同士の重ね合わせスポット溶接では、ナゲット径を4√t以上あるいは5√t以上とすることが要求されている。本発明における上記ナゲット径dの規定は、これに倣って4√t以上、好ましくは4.5√t以上、さらに好ましくは5√tとし、板厚tとして平均板厚(t+t)/2を採用したものである。
〔前記2つ以上のスポット溶接部3,…,3のコロナボンド部32の外側における、前記2枚の鋼板1,2の間の隙間5,…,5が、いずれも0.2mm以下〕
重ね合わせ部をレーザ溶接する場合、レーザ出力と送り速度で決まる入熱量が小さすぎると溶け込み不良により接合不足となり、大きすぎると溶け落ちが発生するため健全な溶接部が確保できず、適正範囲の入熱量で健全な接合が可能になる。板隙が大きくなりすぎると、接合不足となる入熱量の範囲が拡大して、適正範囲がなくなってしまうため継手特性が劣化する。また、板隙が中間的な大きさの領域では、入熱量の適正範囲が狭いため、健全な溶接部が得られたり、溶込み不良や溶け落ちが発生したりして継手特性のバラつきが大きくなる。そのため、スポット溶接部のナゲット31の周囲(コロナボンド部32の外側)に形成される板隙5は安定的にレーザ溶接部の継手強度が確保できるように0.2mm以下、好ましくは0.15mm以下、さらに好ましくは0.1mm以下にする必要がある。
つぎに、本発明に係る溶接継手の好ましい作製方法を説明する。
〔本発明に係る溶接継手の好ましい作製方法〕
従来のように、DR型や先端平滑型などの通常の電極チップ(図2(a)参照)を用い、鋼板の重ね合わせ部を一対の電極チップで挟み込んでスポット溶接を行う場合、ナゲット径を大きくするために溶接電流を高めていくと、抵抗発熱により加熱されて溶融した領域が2枚の鋼板の重ね合わせ面に沿って外方向に向かって広がりながらナゲットが形成されるため、中チリが発生しやすくなり、接手強度が劣化してしまう。また、上記溶融領域を鋼板の重ね合わせ面から外方向に広がらせないようにしようとして、電極チップによる加圧力を高めると、電極チップの周りの2枚の鋼板の間が開いてしまい、その開いた隙間(板隙)を通じて溶融物が外方向にはみ出すため、却って中チリの発生につながり、接手強度が劣化してしまう問題がある。したがって、従来の電極チップを用い、溶接電流や加圧力を制御する方法では、本発明で規定するスポット溶接部のナゲット径とナゲット周囲の板隙の要件をともに満足させることは困難である。
そこで、本発明者らは、本発明で規定するスポット溶接部のナゲット径とナゲット周囲の板隙の要件をともに満足させる手段について種々検討した結果、例えば、以下の手段により容易かつ確実に、これらの要件をともに満足させ得ることを見出した。
すなわち、電極チップを、チップ中心部とチップ外周部に分けて別体で構成し、チップ中心部は従来の電極チップと同様の銅系材料からなり、チップ外周部は高熱伝導性材料からなるものとし、さらにチップ中心部とチップ外周部の間に非電導性膜を介在させ、チップ中心部とチップ外周部とを独立して加圧力が調整できるように構成した電極チップ(本明細書では「外周部加圧型電極チップ」と呼ぶ。)を用いる(図2(b)参照)。そして、スポット溶接に際し、電流値と、チップ中心部およびチップ外周部の加圧力とを独立して調整することで、本発明で規定するスポット溶接部のナゲット径とナゲット周囲の板隙をともに満足させることができる。
つまり、チップ中心部に通電し、2枚の鋼板の接触面間で発熱させてナゲットを形成させる一方、チップ外周部には、非電導性膜でチップ中心部との間を絶縁することで、通電させず、かつ、熱伝導性の高い材料を鋼板に接触させて抜熱しながら適度な加圧力で挟みつける。
これにより、鋼板の合わせ面からの溶融物のはみ出しを防止することで中チリの発生を抑制して、十分に大きなナゲット径を確保するとともに、形成されたナゲットの周囲を冷却することで、ナゲット周囲における板隙の拡大が抑制されることになる。
この結果、本発明で規定するナゲット径およびナゲット周囲の板隙をともに満足させることが可能となる。
そして、上記外周部加圧型電極チップによるスポット溶接と並行して、または、前記スポット溶接の後に、当該スポット溶接により形成される、または、形成された、隣接する2つのスポット溶接部の間に、レーザ出力と送り速度を適宜調整してレーザ溶接することにより、合計で2mm以上の溶接面積を有するとともに、前記2枚の鋼板の合計板厚(t+t)の80%以上の溶込み深さを有する、1つまたは2つ以上のレーザ溶接部を形成させればよい。
なお、上記外周部加圧型電極チップによるスポット溶接に代えて、図3に示すように、DR型や先端平滑型などの通常の電極チップ11,11の周りにガス冷却ノズル12,…,12を設置し、電極チップ周囲を強制冷却しながらスポット溶接する(この場合、パルス通電を行うことで、さらに強制冷却の効果を高めることができる)ことでも、中チリの発生を抑制して、十分に大きなナゲット径を確保しつつ、ナゲット周囲における板隙の拡大が抑制され、本発明で規定するナゲット径およびナゲット周囲の板隙をともに満足させることが可能である。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
被接合鋼板として、表1に示す成分組成を有する鋼板を用い、表2に示す鋼種および板厚の2枚の鋼板を種々組み合わせて重ね合わせスポット・レーザ複合溶接を行った。具体的には、図4、図5に示すように、幅60mm×長さ150mmの鋼板の板幅方向に中心点間隔40mmで2点のスポット溶接を行い、その後、この2つのスポット溶接部の間の1箇所(1点)にレーザ溶接を施して溶接継手を作製した。図4はレーザ溶接部を円状に形成したもの、図5はレーザ溶接部を直線状に形成したもの、をそれぞれ示す。
スポット溶接装置としては、単相交流式抵抗スポット溶接機(50Hz)を用い、図6に概略の断面形状を示す(a)通常のクロム銅合金製のDR型電極チップ、または、(b)外周加圧型電極チップのいずれかを取り付けたものを用いた。(b)の外周加圧型電極チップとしては、チップ中心部、チップ外周部ともにクロム銅合金製とし、非導電性膜としてAlN膜をチップ中心部に被覆することで、チップ外周部とを電気的に絶縁し、チップ中心部とチップ外周部とを摺動可能にバネで締結したものを用いた。そして、このバネのバネ定数を調整することにより、チップ中心部とチップ外周部とによる加圧力の分配を3:1の比率とした。また、レーザ溶接装置としては、IPG製10kWファイバーレーザ接合機 YLR−10000を用いた。
そして、表2に示す溶接条件で、スポット溶接の全加圧力(チップ中心部とチップ外周部とによる合計加圧力)、電流値および通電時間、ならびに、レーザ溶接の出力および溶接速度を種々変更してスポット・レーザ複合溶接を行った。なお、試験No.1−11では、(a)の通常のクロム銅合金製のDR型電極チップの周りにガス冷却ノズルを設置した装置(図5参照)を用い、冷却ガスとしてArガスを20NL/minの流量で吹き付けながら、パルス通電5回(1回あたり6ms)の条件でスポット溶接を行った。
試験結果を表3に示す。
ここに、溶接後の溶接継手について、先ず、平面視にてレーザ溶接部の合計溶接面積を測定する。次いで、2つのスポット溶接部のナゲットの平面視中心同士を通る板厚方向断面を切り出し、同断面の画像を撮影したものを画像解析することにより、スポット溶接部のナゲット径およびナゲット周囲の板隙、ならびに、レーザ溶接部の溶込み深さを測定した。なお、2つのナゲット外側における最大隙間をナゲット周囲の板隙と定義した。また、レーザ溶接部の平均深さをレーザ溶接部の溶込み深さと定義した。
また、上記と同一条件で作製した溶接継手について、別途、せん断引張試験を実施し、破断時の継手強度を測定した。
継手強度は、スポット溶接部のナゲット径、レーザ溶接部の溶接面積および溶込み深さだけでなく、母材の鋼板強度、板厚等にも大きく影響を受けるため、その絶対値で発明の効果を評価することが難しい。
そこで、本実施例では、2枚の鋼板(母材)の鋼種および板厚の組み合わせが同じで、スポット溶接の電極チップとして従来のDR型のものを用い、2点のスポット溶接のみ(レーザ溶接は行わない)で作製した溶接継手の継手強度を基準とし、スポット溶接の電極チップの形式および溶接条件、ならびにレーザ溶接の溶接条件を変更して溶接継手を作製し、その結果得られた継手強度が前記基準に対して20%以上高い値を示した場合を、優れた継手強度を有する溶接継手が得られたとして合格(○)と判定し、20%に満たない場合を不合格(×)と判定した。さらに、前記基準に対して25%以上高い値を示した場合には、より優れた継手強度を有する溶接継手が得られたとして◎で表示し、前記基準に対して30%以上高い値を示した場合には、特に優れた継手強度が得られたとして◎◎で表示して区別した。
表3において、試験No.1−4〜1−6、1―11、2−2、3−2の溶接継手は、本発明の要件を全て満たす発明例である。いずれの発明例の溶接継手も、継手強度は、基準より20%以上高くなっており、継手強度が大幅に改善されていることがわかる。
これに対して、試験No.1−1、2−1、3−1の溶接継手は、通常のDR型電極チップを用いてスポット溶接のみで作製した基準となる溶接継手(比較例)であり、スポット溶接部のナゲット径は本発明の規定を満たすものの、レーザ溶接を施していないため、十分に高い継手強度が得られていない。
また、試験No.1−2、1−3、1−7〜1−10の溶接継手は、本発明の要件のいずれかを満足しない比較例である。これらの比較例の溶接継手の継手強度は、基準の溶接継手(試験No.1−1)の継手強度からの向上効果が20%に満たず、改善効果が不足していることがわかる。
例えば、試験No.1−2、1−3の溶接継手は、スポット溶接した後にレーザ溶接を施したことで、スポット溶接部のナゲット径、レーザ溶接部の溶込み深さおよび合計溶接面積は本発明の規定を満たすものの、スポット溶接を通常のDR型電極チップで行ったため、板隙が大きくなり、十分な継手強度の向上効果が得られていない。
また、試験No.1−7〜1−10の溶接継手は、外周加圧式の電極チップを用いてスポット溶接した後に、レーザ溶接を施したものの、試験No.1−7はレーザ溶接部の合計溶接面積が不足し、試験No.1−8はスポット溶接時における溶接電流が低すぎたためナゲット径が不足し、試験No.1−9はレーザ出力が高すぎたためレーザ溶接部が溶け落ちてしまい、試験No.1−10はレーザ溶接時の溶接速度が高すぎたため溶込み深さが不足し、いずれも、十分な継手強度の向上効果が得られていない。
以上の結果より明らかなように、本発明を適用することで、引張強度が590MPa以上の高強度鋼板を含む重ね合わせ鋼板をスポット・レーザ複合溶接して得られる溶接継手であっても、継手強度に優れるスポット・レーザ複合溶接継手を提供できることが確認された。
1,2…鋼板
3…スポット溶接部
31…ナゲット
32…コロナボンド部
4…レーザ溶接部
5…2枚の鋼板1,2の間の隙間(板隙)
、t…板厚
…ナゲット径
…溶込み深さ

Claims (1)

  1. 板厚がtおよびtの2枚の鋼板が重ね合わされて溶接された溶接継手であって、
    前記2枚のうち少なくとも1枚の鋼板は、引張強度590MPa以上の高強度鋼板であり、
    2つ以上のスポット溶接部を備えるとともに、
    隣接する各2つのスポット溶接部の間に、合計で2mm以上の溶接面積を有するとともに、前記2枚の鋼板の合計板厚(t+t)の80%以上の溶込み深さを有する、1つまたは2つ以上のレーザ溶接部を備え、
    前記2つ以上のスポット溶接部のナゲット径が、いずれも4√{(t+t)/2}以上(ナゲット径、tおよびtの単位はすべてmm)であり、
    前記2つ以上のスポット溶接部のコロナボンド部の外側における、前記2枚の鋼板の間の隙間が、いずれも0.2mm以下である
    ことを特徴とする継手強度に優れるスポット・レーザ複合溶接継手。
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