JP2013052330A - 排ガス浄化触媒 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた排ガス浄化性能を発揮し得る排ガス浄化触媒を提供する。
【解決手段】排ガス浄化触媒は、複数の細孔からなる多孔質構造を有し、ガス拡散速度が0.15〜0.45μm/secである。排ガス浄化触媒は、複数の細孔からなる多孔質構造を有し、ガス拡散速度が0.15〜0.45μm/secであり、細孔径が1μmより大きい細孔の細孔総容積に対する細孔径が1μm以下の細孔の細孔総容積の比が1〜4である。排ガス浄化触媒は、複数の細孔からなる多孔質構造を有し、ガス拡散速度が0.15〜0.45μm/secであり、細孔径が1μm超200μm以下の細孔の細孔総容積に対する細孔径が0.03μm以上1μm以下の細孔の細孔総容積の比が1〜4である。
【選択図】図5

Description

本発明は、排ガス浄化触媒に関する。更に詳細には、本発明は、ガス拡散に着目して多孔質構造を制御した排ガス浄化触媒に関する。
従来、圧損を抑制し、触媒性能を向上させた、低圧損・高浄化性能のセラミック触媒体が提案されている。このセラミック触媒体は、基材セラミック表面に触媒成分を直接担持可能なセラミック担体に、主触媒成分及び助触媒成分を担持してなる排ガス浄化用のセラミック触媒体である。このセラミック触媒体においては、基材セラミックが多数の気孔を有する構造であり、これら気孔の内表面を含む基材セラミック表面に、主触媒成分として貴金属触媒及び助触媒成分としてセリア、セリア・ジルコニア固溶体、及びセリア・ジルコニア固溶体に遷移金属元素を含有させたものから選ばれる少なくとも1つが直接担持されている。また、このセラミック触媒体においては、助触媒成分の50重量%以上が気孔内表面に担持されており、助触媒成分の平均粒径が、基材セラミックの平均気孔径の1/3以下で、かつセラミック担体の外表面に担持される助触媒成分の層の厚さが20μm以下である(特許文献1参照。)。
特許第4079717号
しかしながら、上記特許文献1に記載のセラミック触媒体にあっては、本発明者らの検討において、ガス拡散が阻害され、優れた排ガス浄化性能が得られていないという問題点があった。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的とするところは、優れた排ガス浄化性能を発揮し得る排ガス浄化触媒を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため排ガス浄化触媒でのガス拡散と排ガス浄化性能との関係に着目して鋭意検討を重ねた。
そして、その結果、多孔質構造を有する排ガス浄化触媒において、ガス拡散速度を所定の範囲とすることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の排ガス浄化触媒は、複数の細孔からなる多孔質構造を有し、ガス拡散速度が0.15〜0.45μm/secである。
本発明によれば、複数の細孔からなる多孔質構造を有し、ガス拡散速度が0.15〜0.45μm/secである構成としたため、優れた排ガス浄化性能を発揮し得る排ガス浄化触媒を提供することができる。
試験例1〜8の排ガス浄化触媒でのガス拡散流量と排ガス浄化性能(HC転化率)との関係を示すグラフである。 試験例1〜8の排ガス浄化触媒でのガス拡散速度と排ガス浄化性能(HC転化率)との関係を示すグラフである。 試験例1〜8の排ガス浄化触媒での細孔径が1μm以下の細孔容積とガス拡散速度との関係を示すグラフである。 試験例1〜8の排ガス浄化触媒での細孔径が1μm以下の細孔の細孔総容積/細孔径が1μmより大きい細孔の細孔総容積とガス拡散速度との関係を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る排ガス浄化触媒の構造を部分的に拡大して説明する説明図である。 試験例1〜8の排ガス浄化触媒のHC浄化性能評価の結果を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態に係る排ガス浄化触媒について詳細に説明する。
本実施形態の排ガス浄化触媒は、複数の細孔からなる多孔質構造を有する排ガス浄化触媒であって、ガス拡散速度が0.15〜0.45μm/secであり、好ましくは細孔径が1μmより大きい、より好ましくは細孔径が1μm超200μm以下の細孔の細孔総容積に対する細孔径が好ましくは1μm以下、より好ましくは細孔径が0.03μm以上1μm以下、更に好ましくは0.1μm以上1μm以下の細孔の細孔総容積の比が1〜4であるものである。
このような構成とすることにより、優れた排ガス浄化性能を発揮し得るものとなる。
なお、以下「細孔径が1μmより大きい細孔の細孔総容積に対する細孔径が1μm以下の細孔の細孔総容積の比」を「多孔質構造特性比」ということがある。
多孔質構造特性比は、詳しくは後述する検討の積み重ねによって導き出されたものである。端的に言えば、排ガス浄化性能を向上させるためには、ガス拡散量を増やすことが重要であるため、分子拡散領域となる細孔径を多くすることが重要であり、更に浄化反応に寄与する面積が広いことも重要であるので、細孔径が1μm以下の細孔、特に0.1μm以上1μm以下の細孔の細孔総容積の割合が重要となる。
また、多孔質構造特性比が1未満の領域は、従来の触媒では触媒層が剥離して形成できないおそれがある領域であり、多孔質構造特性比が4超の領域は、ガス拡散が阻害される領域である。
更に、細孔径の上限値及び下限値は、下記試験例1〜8の排ガス浄化触媒での細孔径の上限値及び下限値である。
本発明者らが、試験例1〜8の排ガス浄化触媒でのガス拡散流量と排ガス浄化性能(HC転化率)との関係を検討したところ、図1に示すように、これらの間には明らかな相関関係を見出すことができなかった。そこで、本発明者らが更に検討を重ねたところ、図2に示すように、排ガス浄化触媒でのガスが細孔内表面に接触する速度(以下「ガス拡散速度」ということがある。)と排ガス浄化性能(HC転化率)との間に明らかな相関関係があることを見出した。つまり、ガス拡散速度が0.15〜0.45μm/secのときに優れた排ガス浄化性能(HC転化率)を発揮し得ることを見出した。
ここで、「ガス拡散速度(μm/sec)」は、細孔(=触媒成分を含む粒子間の空隙など)内に拡散するガス流れの速さを計算したものである。具体的には、「ガス拡散流量(L/sec)」を「細孔の表面積(cm)」で割って得た値である。この値が大きいほど、1秒当たりのガス拡散流量が増える、又は細孔内に拡散したガスが細孔表面積に短時間で当たることを意味する。
また、「ガス拡散速度(μm/sec)」の計算には、(a)細孔分布(細孔容量(cm/g)vs細孔径(μm))、(b)細孔径ごとの細孔数(個)、(c)細孔径ごとの細孔表面積(cm/個)、(d)各細孔径ごとの細孔一個当たりのガス拡散流量(L/sec/個)、(e)分子拡散係数及びクヌッセン拡散係数を用いる。具体的な計算は以下(1)〜(7)のように行う。
(1):細孔分布測定で得られた細孔径ごとの細孔容量(cm/g)を用いて、「細孔一つ一つは円筒型をしている」との仮定の下、細孔一個当たりの細孔容量(cm/個)を各細孔径ごとに計算する。
(2):細孔径ごとの細孔容量を、細孔一個当たりの細孔容量で割って、各細孔径ごとの細孔数を計算する。
(3):ガスが「球状に均一に広がる」との仮定の下、拡散係数(cm/sec)を用いて、各細孔径ごとのガス拡散流量(L/sec/個)を計算する。このとき、細孔径が1μmより大きい場合の拡散係数は分子拡散係数を用い、細孔径が1μm以下の場合の拡散係数はクヌッセン拡散係数を用いて、ガス拡散流量を計算する。
(4):(2)で計算した各細孔径ごとの細孔数(個)と、(3)で計算したガス拡散流量(L/sec/個)から、細孔径ごとのガス拡散流量を求め、それらを合算してガスの総拡散流量(L/sec)を計算する。
(5):(1)の「細孔一つ一つは円筒型をしている」との仮定の下、細孔径ごとに細孔一個当たりの表面積(cm/個)を計算する。
(6):(2)で計算した、各細孔径ごとの細孔数を用いて、細孔径ごとの細孔表面積(cm)を計算し、それらを合算する。
(7):(4)で計算したガスの総拡散量(L/sec)を、(6)で計算した細孔表面積の合計値(cm)で割って、細孔内を拡散するガスのガス拡散速度(μm/sec)を算出する。
ところで、ガス拡散速度は、排ガス浄化触媒の使用条件に依存するため、更に検討を重ねた。すると、図3に示すように、細孔径が1μm以下の細孔の細孔容積とガス拡散速度との間には明らかな相関関係を見出すことができなかった一方で、図4に示すように細孔径が1μmより大きい細孔の細孔総容積に対する細孔径が1μm以下の細孔の細孔総容積の比との間に明らかな相関関係があることを見出した。
すなわち、図2及び図4から、ガス拡散速度0.15〜0.45μm/secとなる細孔径が1μmより大きい細孔の細孔総容積に対する細孔径が1μm以下の細孔の細孔総容積の比が1〜4の範囲において、排ガス浄化触媒は優れた排ガス浄化性能(HC転化率)を示すことが分かる。
図5は、本発明の一実施形態に係る排ガス浄化触媒の構造を部分的に拡大して説明する説明図である。
図5に示すように、本実施形態の排ガス浄化触媒1は、ハニカム形状に成形され、触媒成分を含む粒子を直接担持可能なセラミックス担体2と、セラミックス担体2に直接担持された触媒成分を含む粒子4とを含み、上述した所定の関係を満足するものである。
ここで、「触媒成分を含む粒子」には、触媒成分のみからなる粒子を含む意味に解釈しなければならない。また、触媒成分としては、例えば、主触媒成分や助触媒成分がある。
セラミックス担体としては、例えば、自動車用排ガス浄化触媒であれば、図5に示すようにハニカム形状に成形したものが好適に用いられるがこれに限定されるものではない。すなわち、ペレット状、粉体、フォーム体、繊維状、中空繊維状などの形状のセラミックス担体を適用することもできる。
また、セラミックス担体としては、例えば、コーディエライトを主成分とするものが、高い耐熱性が要求される自動車用などの排ガス浄化触媒に好適に用いられるがこれに限定されるものではない。すなわち、アルミナ、スピネル、ムライト、チタン酸アルミニウム、リン酸ジルコニウム、炭化珪素、ゼオライト、ペロブスカイト、シリカアルミナなどのセラミックス材料を用いたセラミックス担体を適用することもできる。
更に、セラミックス担体としては、例えば、その表面に、触媒成分を含む粒子を直接担持可能な多数の細孔を有するセラミックス担体を用いることができる。触媒成分を含む粒子を直接担持可能な細孔は、具体的には、セラミック結晶格子中の欠陥(酸素欠陥または格子欠陥)、セラミック表面の微細なクラック、セラミックを構成する元素の欠損のうち、少なくとも1種類からなり、複数種類を組み合わせて形成することもできる。担持される触媒成分イオンの直径は、通常、0.1nm程度であるので、コーディエライトの表面に形成される細孔は、直径又は幅が、0.1nm以上であれば、触媒成分イオンを担持可能であり、セラミックス担体の強度を確保するには、細孔の直径又は幅が触媒成分イオンの直径の1000倍(100nm)以下で、できるだけ小さい方が好ましい。好ましくは、1〜1000倍(0.1〜100nm)である。細孔の深さは、触媒成分イオンを保持するために、その直径の1/2倍(0.05nm)以上であることが好ましい。この大きさで、従来と同等な量の触媒成分(1.5g/L)を担持可能とするには、細孔の数が、1×1011個/L以上、好ましくは1×1016個/L以上、より好ましくは1×1017個/L以上である。
セラミックス担体の表面に形成される細孔のうち、結晶格子の欠陥には、酸素欠陥と格子欠陥(金属空格子点と格子歪)がある。酸素欠陥は、セラミック結晶格子を構成するための酸素が不足することにより生ずる欠陥で、酸素が抜けたことにより形成される細孔に触媒成分を担持できる。格子欠陥は、セラミック結晶格子を構成するために必要な量以上の酸素を取り込むことにより生じる格子欠陥で、結晶格子の歪みや金属空格子点によって形成される細孔に触媒成分を担持することが可能となる。
具体的には、コーディエライトハニカム構造体が、酸素欠陥又は格子欠陥の少なくとも1種類を単位結晶格子に1個以上有するコーディエライト結晶を好ましくは4×10−6%以上、より好ましくは4×10−5%以上含有する。また、酸素欠陥又は格子欠陥の少なくとも1種類をコーディエライトの単位結晶格子当たり好ましくは4×10−8個以上、より好ましくは、4×10−7個以上含有すると、セラミックス担体の細孔の数が上記所定数以上となる。このような細孔は、以下に記載される方法によって形成することができる。
例えば、結晶格子に酸素欠陥を形成するには、ケイ素(Si)源、アルミニウム(Al)源、マグネシウム(Mg)源を含むコーディエライトの原料を成形、脱脂した後、焼成する工程において、(1)焼成雰囲気を減圧又は還元雰囲気とする、(2)原料の少なくとも一部に酸素を含まない化合物を用い、低酸素濃度雰囲気で焼成することにより、焼成雰囲気又は出発原料中の酸素を不足させるか、(3)酸素以外のセラミックの構成元素の少なくとも1種類について、その一部を該元素より価数の小さな元素で置換する方法が採用できる。コーディエライトの場合、構成元素は、Si(4+)、Al(3+)、Mg(2+)と正の電荷を有するので、これらを価数の小さな元素で置換すると、置換した元素との価数の差と置換量に相当する正の電荷が不足し、結晶格子としての電気的中性を維持するため、負の電荷を有するO(2−)を放出し、酸素欠陥が形成される。
また、格子欠陥については、(4)酸素以外のセラミック構成元素の一部を該元素より価数の大きな元素で置換することにより形成できる。コーディエライトの構成元素であるケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)の少なくとも一部を、その元素より価数の大きい元素で置換すると、置換した元素との価数の差と置換量に相当する正の電荷が過剰となり、結晶格子としての電気的中性を維持するため、負の電荷を有するO(2−)を必要量取り込む。取り込まれた酸素が障害となって、コーディエライト結晶格子が整然と並ぶことができなくなり、格子歪が形成される。この場合の焼成雰囲気は、大気雰囲気として、酸素が十分に供給されるようにする。あるいは、電気的中性を維持するために、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)の一部を放出し、空孔が形成される。なお、これら欠陥の大きさは数オングストーム以下と考えられるため、窒素分子を用いたBET法のような通常の比表面積の測定方法では、比表面積として測定できない。
酸素欠陥及び格子欠陥の数は、コーディエライト中に含まれる酸素量と相関関係があり、上記した必要量の触媒成分の担持を可能とするには、酸素量が47質量%未満(酸素欠陥)又は48質量%より多く(格子欠陥)なるようにするのがよい。酸素欠陥の形成により、酸素量が47質量%未満になると、コーディエライト単位結晶格子中に含まれる酸素数は17.2より少なくなり、コーディエライトの結晶軸のb軸の格子定数は16.99より小さくなる。また、格子欠陥の形成により、酸素量が48質量%より多くなると、コーディエライト単位結晶格子中に含まれる酸素数は17.6より多くなり、コーディエライトの結晶軸のb軸の格子定数は16.99より大きく又は小さくなる。
また、セラミックス担体としては、例えば、その表面に、多数の置換元素を有するセラミックス担体が好適に用いられる。そして、この元素に対して触媒成分を化学的に結合することにより、γ−アルミナ等のコート層を形成することなしに、触媒成分を直接担持可能とする。触媒成分を直接担持可能な元素は、セラミックス担体を構成する元素以外の元素で、且つ触媒成分と化学的に結合することが可能な元素であり、セラミックス担体を構成する元素のうち少なくとも1種類の元素と置換されることにより導入される。例えば、コーディエライトの場合、酸素を除くセラミックの構成元素であるケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)と置換される元素には、これら構成元素よりも担持される触媒成分との結合力が大きく、触媒成分を化学的結合により担持可能な元素が用いられる。具体的には、これら構成元素と異なる元素で、その電子軌道にd又はf軌道を有する元素が挙げられ、好ましくはd又はf軌道に空軌道を有するか、又は酸化状態を2つ以上持つ元素が用いられる。d又はf軌道に空軌道を有する元素は、担持される触媒成分(特に触媒貴金属)とエネルギー準位が近く、電子の授与が行われやすいため、触媒成分と結合しやすい。また、酸化状態を2つ以上持つ元素も、電子の授与が行われやすく、同様の作用が期待できる。
d又はf軌道に空軌道を有する元素の具体例としては、タングステン(W)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、セリウム(Ce)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)などを挙げることができる。これら元素のうち1種類を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これら元素のうち、タングステン(W)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、セリウム(Ce)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)は、酸化状態を2つ以上持つ元素であり、特に、タングステン(W)、コバルト(Co)を使用することが好ましい。酸化状態を2つ以上持つ元素の具体例としては、その他、銅(Cu)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)などを挙げることができる。
これら置換元素で、セラミックス担体の構成元素を置換する場合には、セラミックス担体を作製する際に、セラミック原料中に置換元素の原料を添加、混練する方法を採用することができる。この場合には、予め、置換される構成元素の原料の一部を置換量に応じて減らしておく。その後、混練した原料を通常の方法で、成形、乾燥させた後、大気雰囲気中で脱脂、焼成する。または、予め、置換される構成元素の原料の一部を置換量に応じて減らしたセラミック原料を、通常の方法で、混練、成形、乾燥させた後、置換元素を含む溶液に含浸させて置換元素を添加することもできる。置換元素を含浸させた成形体は、溶液から取り出して乾燥させた後、同様に大気雰囲気中で脱脂、焼成する。このように成形体に含浸させる方法を用いると、成形体表面に置換元素を多く存在させることができ、その結果、焼成時に表面で元素置換がおきて固溶体を生じやすくなるので、より効果的である。
置換元素の量は、総置換量が、置換される構成元素の原子数の0.01%以上50%以下、好ましくは5〜20%の範囲となるようにするのがよい。なお、置換元素が、セラミックス担体の構成元素と価数の異なる元素である場合には、価数の差に応じて格子欠陥又は酸素欠陥が同時に生じるが、置換元素を複数使用し、置換元素の酸化数の和と、置換される構成元素の酸化数の和とが等しくなるようにすれば、欠陥は生成しない。従って、欠陥等を生成させたくない場合には、このように、全体として価数の変化がないようにするとよい。
これらのセラミックス担体の表面に、触媒成分を含む粒子をさせることで、本発明の排ガス浄化触媒が得られる。
ここで、「セラミックス担体の表面」には、担体の外表面 (ハニカム担体であればセル壁表面)だけでなく、上述した細孔の内表面も含む意味に解釈しなければならない。
主触媒成分である触媒貴金属としては、例えば、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)などが好適に用いられ、その中の少なくとも1種類を必要に応じて使用することができる。これら触媒貴金属がセラミックス担体に化学的に結合していると、結合力が大きくなるために、耐熱性が高くなり、熱劣化しにくくなって、触媒貴金属が高表面積を維持できる。また、助触媒成分を更に担持する場合には、助触媒成分の必要量を従来に比べて少なくすることができる。例えば、セラミックス担体の外表面における助触媒成分の量を少なくすることができる。
助触媒成分としては、目的に応じて種々の成分を用いることができ、例えば、自動車用三元触媒では、周囲の酸素濃度の変動に応じて酸素を吸放出する酸素吸蔵能成分が好適に用いられる。このような作用を有する酸素吸蔵能成分の具体例としては、セリア(CeO)、セリア/ジルコニア固溶体(CeO/ZrO)などを挙げることができる。
なお、主触媒成分として、貴金属以外の金属元素等を用いることができることは言うまでもない。
セラミックス担体の構造中の複数の細孔は、焼成時にバインダ成分や造孔材が燃焼したり原料に含まれる成分が溶けた後に形成されるもので、細孔径は、触媒成分を担持した後に上記説明した所定の関係を満足するように制御する。
ところで、例えば、直径が0.1nm程度の触媒イオンとして担持された後、金属化される貴金属触媒は、容易に細孔内部に入り込む。これに対し、酸素吸蔵能成分等の助触媒成分は、通常、比較的粒径の大きい酸化物からなるため、細孔内部に入り込めず、細孔内の貴金属触媒との距離が離れるおそれがある。触媒成分を細孔内部に入れ込むには、粒径が細孔径より十分小さいことが必要であり、好ましくは、触媒成分を含む粒子の平均粒径が、平均細孔径の1/3以下、より好ましくは1/6以下である。
このように触媒成分、特に助触媒成分の平均粒径を小さくすることで、貴金属触媒と助触媒成分の両方を細孔内に担持させることができる。これにより、酸素吸蔵能成分等の助触媒成分と、予め細孔内表面に担持されている貴金属触媒との距離を近づけて、酸素吸蔵能を向上させることができる。
なお、主触媒成分及び助触媒成分は、少なくともセラミックス担体の外表面に開口する表面部の細孔内部に担持されていれば、上記効果が得られる。より内部に存在する細孔の内表面には、排ガスが侵入しにくいので、助触媒成分が担持されていなくても、浄化性能が大きく低下することはなく、排ガスと接触しやすく浄化への寄与度が大きい表面部に触媒成分を担持させることで、少ない担持量で効率よく排ガスを浄化することができる。助触媒成分の担持量は、通常、触媒体積1L当たり20〜150g、好ましくは、40〜90gの範囲内であるがこれに限定されるものではなく、助触媒成分の種類や必要特性によって適宜調整することができる。
酸素吸蔵能成分、例えばセリア(CeO)は、雰囲気の酸素濃度が高い場合にはセリウム(Ce)の価数が4+であるが、酸素濃度が低下すると価数が3+となり、価数の変化により電気的中性が崩れるため、酸素を放出又は吸収することにより電気的中性を維持する。すなわち、酸素を吸蔵又は放出して触媒性能が最適となるように空燃比を調整する機能を有している。セリア/ジルコニア固溶体(CeO/ZrO)において、ジルコニアは耐熱性を向上させる作用を有する。従って、酸素吸蔵量を増加させたい時はセリアリッチ(例えば、70質量%CeO/30質量%ZrO)に、耐熱性を高めたい時はジルコニアリッチに(例えば、10質量%CeO/90質量%ZrO)することが好ましい。
なお、コーディエライトにタングステン(W)、コバルト(Co)などの置換元素を導入した場合、酸化物である酸素吸蔵能成分は、通常、主触媒成分である触媒貴金属に比べると、コーディエライトに導入されるタングステン(W)、コバルト(Co)の置換元素との結合力が弱い。そこで、好適には、酸素吸蔵能成分に、第2成分として遷移金属元素を導入することが好ましい。遷移金属元素の具体例としては、タングステン(W)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、セリウム(Ce)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)などを挙げることができる。これら元素の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
助触媒成分についても、その結合力が弱いと、高温で長時間使用された場合に熱凝集しやすくなり、劣化するおそれがあるが、置換元素と結合しやすい遷移金属元素を導入することで、助触媒成分中の遷移金属元素をセラミックス担体表面の置換元素に化学的に結合させることができる。よって、触媒成分の結合力が増し、より劣化しにくい触媒とすることができる。なお、第2成分としての遷移金属元素を含有させる場合、好適には、セリア/ジルコニア固溶体に遷移金属元素を固溶又は置換させるのがよい。
触媒成分の担持は、触媒成分のイオンを含む水又はアルコール溶液を調製して、セラミックス担体に含浸させた後、乾燥、焼き付けする通常の方法によって行うことができる。焼き付けは、溶媒が蒸発する温度以上、1000℃未満の温度で行い、1000℃以上では劣化のおそれがあるので好ましくない。助触媒成分の場合は、セリア、セリア/ジルコニア固溶体等の酸化物粒子を分散させたスラリーを用いることもできるが、セリウムやジルコニウムイオン、アルコキシドなどを含む溶液を用いると、粒径を小さくすることができる。これにより、γ−アルミナ等のコート層なしで、所定量の触媒成分を担持することができる。触媒成分の担持量は、溶液中の触媒成分濃度によって調整することができ、触媒成分の担持量を増加させたい場合には、溶液の含浸、焼き付け工程を繰り返し行うこともできる。主触媒成分と助触媒成分の担持は、通常、各成分毎に行うが、複数の成分を含む溶液を用いて同時に行うことも可能である。
以下、本発明を試験例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(試験例1)
まず、コーディエライト原料として、タルク、カオリン、アルミナ、水酸化アルミニウムを使用し、Si源の5%をW、同じくSi源の5%をCoに置換して、コーディエライトの理論組成点付近となるように調製した。この原料に、造孔材、バインダ、潤滑剤、保湿剤及び水分を適量添加し、混練して、ハニカム形状に成形した。得られたハニカム成形体を、大気雰囲気で1260℃で焼成して、複数の細孔からなる多孔質構造を有し、コーディエライトハニカム構造体よりなるセラミックス担体を得た。
主触媒成分である触媒貴金属を担持するため、白金及びロジウムを担持したアルミナ粒子(平均粒径3μm)を分散させたスラリー中に、上記のようにして得られたセラミックス担体を5分間浸漬した。担体を引き上げ、余剰なスラリーを取り除いた後、乾燥させ、大気雰囲気で600℃で焼き付けた。触媒担持量は、Ptが1.0g/L、Rhが0.2g/Lであった。次に、助触媒成分として、平均粒径が1μmのセリア・ジルコニア固溶体粒子を分散させたスラリー中に、触媒貴金属を担持させたセラミックス担体を5分間浸漬した。担体を引き上げ、余剰なスラリーを取り除いた後、乾燥させ、大気雰囲気で600℃で焼き付けて、セリア・ジルコニア固溶体をコートし、本例の排ガス浄化触媒を得た。セリア・ジルコニア固溶体の担持量は、90g/Lであった。
得られた排ガス浄化触媒における、担体細孔径は7μm、担体気孔率は37体積%、担体概要は量産担体、セル数は600、ミル数は3.5、触媒層数は2、触媒粒径(1層目/2層目)は3μm/3μm、触媒浸み込みor非浸み込みは(非浸み込み)、造孔材(活性炭)混合率は0質量%、ガス拡散量は1.98L/msec、ガス拡散速度0.35μm/sec、1μm以下の細孔の細孔容積は28.8cm3、1μmより大な細孔の細孔容積は19.7cm3、合計容積は48.5cm3、1μm以下の細孔の容積/全容積は0.59、1μmより大な細孔の容積/全容積は0.41、細孔容積比は1.47であった。
本例の排ガス浄化触媒の仕様を表1に示す。
Figure 2013052330
(試験例2〜試験例8)
表1に示す仕様の各例の排ガス浄化触媒を作製した。
(HC浄化性能評価)
各例の排ガス浄化触媒について、大気雰囲気で800℃、5時間の耐久試験を施した。その後、下記評価条件下、Cの浄化性能(転化率)を測定した。得られた結果を表1に併記すると共に、図6に示す。
(評価条件)
セラミックス担体:35cm(φ30mm×L50mm)
空間速度 :41000/hr
ガス組成 :A/F=14.55
図6より、本発明の範囲に属する試験例1〜7は、本発明外の試験例8と比較して、優れたHC転化率を示すことが分かる。更に、試験例1〜5は、試験例6及び7に対して優れたHC転化率を示すことが分かる。
なお、上述の作用効果が得られるメカニズムは、以下のように推定されている。但し、以下のメカニズムはあくまでも推測に基づくものである。従って、以下のメカニズム以外のメカニズムにより上述のような効果が得られていたとしても、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
試験例1〜7の排ガス浄化触媒においては、排ガス(HC)がある特定のガス拡散速度となるような多孔質構造を有している。このガス拡散速度は、排ガス(HC)と触媒成分との間で触媒作用が効果的に発揮されるような速度であると考えられる。また、試験例1〜5の排ガス浄化触媒においては、所定の多孔質構造を有している。そのため、排ガス(HC)と触媒成分との間で触媒作用が効果的に発揮されると考えられる。
以上、本発明を若干の実施形態及び試験例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、上述した各実施形態及び各試験例においては、排ガス中の炭化水素(HC)を例に挙げて説明したが、雰囲気と比較して、触媒との接触速度が浄化に寄与する反応であれば、一酸化炭素(CO)や窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)など浄化対象となる排ガス成分については特に限定されるものではない。
1 排ガス浄化触媒
2 セラミックス担体
4 触媒成分を含む粒子

Claims (3)

  1. 複数の細孔からなる多孔質構造を有する排ガス浄化触媒であって、
    ガス拡散速度が0.15〜0.45μm/secであることを特徴とする排ガス浄化触媒。
  2. 細孔径が1μmより大きい細孔の細孔総容積に対する細孔径が1μm以下の細孔の細孔総容積の比が1〜4であることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化触媒。
  3. 細孔径が1μm超200μm以下の細孔の細孔総容積に対する細孔径が0.03μm以上1μm以下の細孔の細孔総容積の比が1〜4であることを特徴とする請求項1又は2に記載の排ガス浄化触媒。
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