JP2013049649A - ε−カプロラクタムの製造方法 - Google Patents

ε−カプロラクタムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】不純物が少なく高品質のε−カプロラクタムを収率良く製造できるε−カプロラクタムの製造方法を提供する。
【解決手段】滴下晶析法を適用して粗ε−カプロラクタムから精製ε−カプロラクタムを得るε−カプロラクタム精製工程A、ε−カプロラクタム精製工程Aで得られる晶析母液に蒸発晶析法を適用して第一回収ε−カプロラクタムと第一回収母液とを得る一段目ε−カプロラクタム回収工程B、及び、第一回収母液に含まれる溶媒を少なくとも一部除去し、濃縮された第一回収母液に溶融晶析法を適用して第二回収精製ε−カプロラクタムを得る二段目ε−カプロラクタム回収工程Cを有しており、第一回収ε−カプロラクタムをε−カプロラクタム精製工程Aの原料として回収し、第二回収精製ε−カプロラクタムをε−カプロラクタム精製工程Aと一段目ε−カプロラクタム回収工程Bとのいずれか一方または両方の原料として回収する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ε−カプロラクタムの製造方法に関し、特に、シクロヘキサノンオキシムのベックマン転位で得られた不純物を含む粗ε−カプロラクタムを晶析して、高品質のε−カプロラクタムを収率良く製造する方法に関する。
ε−カプロラクタムは、ナイロン−6の製造中間体として重要な化合物であり、各種の製造方法が知られている。例えば、シクロヘキサノンオキシムを発煙硫酸等の酸性媒体存在下でベックマン転位させることにより、大量に製造される。この方法は、付加価値が少ない大量の硫安を副生するという問題を有している。
これを改良する方法として、固体触媒を用いた気相ベックマン転位反応によるε−カプロラクタムの製造方法が公知である。気相ベックマン転位反応に用いる固体触媒としては、ホウ酸系触媒、シリカ・アルミナ触媒、固体リン酸触媒、複合金属酸化物触媒、ゼオライト系触媒等が提案されている。
しかしながら、この方法で得られるε−カプロラクタムは種々の不純物を含有している。周知の如くε−カプロラクタムはポリアミドの原料として使用されるが、合成繊維またはフィルムとして用いられるポリアミド系製造用のε−カプロラクタムは高純度のものが要求されるので、上記方法により得られた粗ε−カプロラクタムは通常、晶析、抽出、蒸留、水添等の種々の方法によって精製されている。
これらの精製方法の中で、晶析法は、蒸留法などに比べてエネルギー的に有利であり、比較的多くの不純物を一挙に除去できる方法として知られている。晶析法としては、分離対象の液を冷却して結晶を析出させる冷却晶析法、分離対象の液中の溶媒を蒸発除去して濃縮することで結晶を析出させる蒸発晶析法、分離対象液に貧溶媒を添加することで目的物の溶解度を下げて結晶を析出させる貧溶媒晶析法、種々の方法で結晶を析出させた後に結晶の温度を上昇させて不純物を除去する溶融晶析法などが工業的に頻繁に用いられている。
特許文献1には、溶融した粗ε−カプロラクタムと冷却した有機溶媒とを併注混合することにより、ε−カプロラクタムを晶析せしめ、これを固液分離して精製ε−カプロラクタムを製造する方法が開示されている。
特許第4182273号公報
通常、晶析法を用いて精製ε−カプロラクタムを製造する場合に、固液分離した晶析母液中に少なからぬε−カプロラクタムが溶出してしまう。また、製造されるε−カプロラクタムには高い純度が求められているため、固液分離して得られた結晶を多量の洗浄液を用いて洗浄することが一般的であり、この洗浄液にも相当量のε−カプロラクタムが溶出してしまう。このようなε−カプロラクタムの溶出は、製造ロスをもたらして収率の低下を招くという問題がある。
本発明の目的は、ε−カプロラクタム精製工程で溶出されたε−カプロラクタムを、不純物を低減した状態で回収し、回収したε−カプロラクタムを再利用することにより、高品質のε−カプロラクタムを収率良く製造できるε−カプロラクタムの製造方法を提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明に係るε−カプロラクタムの製造方法は、シクロヘキサノンオキシムからε−カプロラクタムを製造する方法において、シクロヘキサノンオキシムをベックマン転位させて得られた粗ε−カプロラクタムの加熱溶融物を冷却された溶媒と共に晶析槽内に併注して晶析させ、固液分離により精製ε−カプロラクタムと晶析母液とに分離するε−カプロラクタム精製工程、
該ε−カプロラクタム精製工程で得られる晶析母液中の溶媒を蒸発させながら晶析母液中のε−カプロラクタムを晶析させる蒸発晶析と、これに続いて行う固液分離とにより、前記晶析母液を第一回収ε−カプロラクタムと第一回収母液とに分離する一段目ε−カプロラクタム回収工程、及び
前記第一回収母液に含まれる溶媒を少なくとも一部除去し、濃縮された第一回収母液を冷却して第一回収母液中のε−カプロラクタムを晶析させ、これに続いて行う固液分離により前記第一回収母液を第二回収ε−カプロラクタムと第二回収母液とに分離し、得られた第二回収ε−カプロラクタムを完全には融解させないでその一部が融解する溶出温度まで昇温して、第二回収ε−カプロラクタム中の不純物を融解物と共に溶出させて、第二回収精製ε−カプロラクタムを得る二段目ε−カプロラクタム回収工程
を有しており、
前記一段目ε−カプロラクタム回収工程で得られた第一回収ε−カプロラクタムを前記ε−カプロラクタム精製工程の原料として回収し、前記二段目ε−カプロラクタム回収工程で得られた第二回収精製ε−カプロラクタムを前記ε−カプロラクタム精製工程と前記一段目ε−カプロラクタム回収工程とのいずれか一方または両方の原料として回収することを特徴とする。
本発明のε−カプロラクタムの製造方法は、ε−カプロラクタム精製工程と、一段目ε−カプロラクタム回収工程と、二段目ε−カプロラクタム回収工程とを有している。
ε−カプロラクタム精製工程では、シクロヘキサノンオキシムをベックマン転位させて
得られる粗ε−カプロラクタム加熱溶融物と冷却した溶媒とを晶析槽内に併注して晶析させ、固液分離により精製ε−カプロラクタムを得る。加熱溶融した粗ε−カプロラクタムと冷却した溶媒とを晶析槽に併注する直接冷却方式の晶析法を適用することにより、間接冷却晶析法で見られるような晶析槽の伝熱面で起こるスケーリングは抑制される。
一段目ε−カプロラクタム回収工程では、前段のε−カプロラクタム精製工程の固液分離により得られる晶析母液中の溶媒を蒸発させてε−カプロラクタムを晶析させ、これに続く固液分離により第一回収ε−カプロラクタムを得る。ε−カプロラクタム精製工程で生じた溶媒を含む晶析母液の蒸発潜熱を利用して、減圧冷却晶析することにより、間接冷却方式で見られるような晶析槽の伝熱面でのスケーリングは抑制され、この結果、安定的に高い品質の第一回収ε−カプロラクタムを得る。この得られた第一回収ε−カプロラクタムは、ε−カプロラクタム精製工程の原料として再利用する。
二段目ε−カプロラクタム回収工程では、前段の一段目ε−カプロラクタム回収工程で得られる第一回収母液から、含まれる溶媒を少なくとも一部除去して濃縮する。その後、濃縮された第一回収母液を一旦冷却晶析して、その第一回収母液中に含まれるε−カプロラクタムを結晶化させ、これに続く固液分離により第二回収ε−カプロラクタムを得て、得られたε−カプロラクタムの結晶を完全には融解させないで、その一部が融解する溶出温度まで昇温して結晶中に含まれる不純物を溶出させ、最後に残った結晶を完全に融解させて、第二回収精製ε−カプロラクタムを得る。この得られた第二回収精製ε−カプロラクタムは、ε−カプロラクタム精製工程と一段目ε−カプロラクタム回収工程とのいずれか一方または両方の原料として再利用する。二段目ε−カプロラクタム回収工程では、溶融晶析法を適用しているため、不純物を溶出により容易に除去できて、ε−カプロラクタム精製工程と一段目ε−カプロラクタム回収工程とのいずれか一方または両方の原料として適する低不純物濃度の第二回収精製ε−カプロラクタムが得られる。
また、二段目ε−カプロラクタム回収工程に先だって、予め第一回収母液を濃縮することとしているため、二段目ε−カプロラクタム回収工程で用いる設備を小型化することができ、また、二段目ε−カプロラクタム回収工程における冷却晶析に必要なエネルギーを抑制することができる。
以上のことから、本発明のε−カプロラクタムの製造方法にあっては、上記のようなε−カプロラクタム精製工程、一段目ε−カプロラクタム回収工程及び二段目ε−カプロラクタム回収工程を組み合わせることにより、ε−カプロラクタムの生産ロスが少なく、高品質な精製ε−カプロラクタムが得られる。
本発明に係るε−カプロラクタムの製造方法は、前記第一回収母液を二層以上に分液させ、前記ε−カプロラクタムを主としては含まない層を除去することで、前記第一回収母液に含まれる溶媒を少なくとも一部除去することを特徴とする。
本発明のε−カプロラクタムの製造方法にあっては、第一回収母液に含まれる溶媒を分液により一部除去できるため、容易に第一回収母液を濃縮することができる。
本発明に係るε−カプロラクタムの製造方法は、固体触媒を用いてシクロヘキサノンオキシムを気相ベックマン転位させて前記粗ε−カプロラクタムを得ることを特徴とする。
本発明のε−カプロラクタムの製造方法にあっては、ε−カプロラクタム精製工程の原料となる粗ε−カプロラクタムが、シクロヘキサノンオキシムを固体触媒を用いて気相ベックマン転位させた反応混合物から蒸留などにより不純物を除去することで得られる。
本発明に係るε−カプロラクタムの製造方法は、前記第一回収母液中のε−カプロラクタムを晶析槽の冷却された壁面上に晶析させて、第二回収ε−カプロラクタムを得、続いて行う固液分離により第二回収母液を分離した後、前記壁面の温度を上昇させて該壁面上に晶析した第二回収ε−カプロラクタムを前記溶出温度まで昇温することを特徴とする。
本発明のε−カプロラクタムの製造方法にあっては、溶融晶析槽の冷却された壁面上に第一回収母液中のε−カプロラクタムを晶析し、第二回収母液を分離した後に、その壁面の温度を上昇させて、晶析した第二回収ε−カプロラクタムの一部のみが融解する溶出温度まで昇温させる。溶出温度まで昇温させた後に、壁面上に結晶として残存している第二回収ε−カプロラクタムを、壁面の温度を第二回収ε−カプロラクタムの融点以上まで昇温して、溶融液として回収する。よって、壁面上の結晶は完全に溶解されるので、経時的な壁面でのスケーリング成長は見られず、安定した溶融晶析が行える。
本発明のε−カプロラクタムの製造方法では、貧溶媒晶析と冷却晶析とを組み合わせた滴下晶析法を適用したε−カプロラクタム精製工程、蒸発晶析法を適用した一段目ε−カプロラクタム回収工程、及び溶融晶析法を適用した二段目ε−カプロラクタム回収工程を有しているので、原料を有効に利用できて、高品質のε−カプロラクタムを高い収率にて製造することができる。また、収率が向上するので、ε−カプロラクタム自体のコストの低減化を図ることができる。さらに、二段目ε−カプロラクタム回収工程に先だって、予め第一回収母液を濃縮することとしているため、二段目ε−カプロラクタム回収工程で用いる設備を小型化することができ、また、二段目ε−カプロラクタム回収工程で必要なエネルギーを抑制することができる。
本発明に係るε−カプロラクタムの製造方法のプロセス工程を示す図である。 溶融晶析のラボスケール実験装置を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明に係るε−カプロラクタムの製造方法のプロセス工程を示す図である。
本発明のε−カプロラクタムの製造方法は、ε−カプロラクタム精製工程Aと、一段目ε−カプロラクタム回収工程Bと、二段目ε−カプロラクタム回収工程Cとを有している。以下、各工程について詳細に説明する。
(ε−カプロラクタム精製工程A)
まず、ε−カプロラクタムの原料であるシクロヘキサノンオキシムを、固体触媒を用いて気相でベックマン転位反応させ、粗ε−カプロラクタムを得る。固体触媒としては、ゼオライト系触媒を用いることが好適である。加熱により溶融状態の粗ε−カプロラクタムを冷却された溶媒と共に晶析槽内に併注して、滴下晶析させる〔図1中、符号a1で示す滴下晶析〕。溶媒としては、炭素数6〜12の脂肪族直鎖炭化水素、脂肪族側鎖炭化水素、脂環式炭化水素等が挙げられる。晶析温度は、40℃〜60℃程度が好ましい。晶析処理後のスラリー状のε−カプロラクタム溶液を、遠心分離型デカンター、遠心ろ過機などの固液分離機に導入する。導入されたスラリー溶液は、ε−カプロラクタム結晶からなる固相と、不純物を含有する液相とに分離される〔図1中、符号a2で示す固液分離〕。結晶に付着した不純物を除去するべく、ε−カプロラクタム結晶を有機溶媒で洗浄することで、更に高い純度のε−カプロラクタムを得ることもできる。
ε−カプロラクタム精製工程では、加熱溶融した粗ε−カプロラクタムと冷却した溶媒とを晶析槽に併注することで、間接冷却晶析法で見られるような伝熱面でのスケーリングを抑制できる。また、蒸発晶析法を採用する場合には必要となる減圧のための真空槽または晶析槽の耐圧化などの設備費増大を回避できる。また、溶融晶析法により精製ε−カプロラクタムの品質及び収率を確保するためには、不純物を溶出させる際に発生する液を回収する必要があるので、処理量が多いε−カプロラクタム精製工程に溶融晶析法を適用した場合には設備サイズ及び機器数が膨大になることが考えられるが、ε−カプロラクタム精製工程に滴下晶析法を適用することで、このような不具合を回避できる。
(一段目ε−カプロラクタム回収工程B)
ε−カプロラクタム精製工程Aにて得られる晶析母液を晶析槽に注入し、晶析母液中の溶媒を蒸発させてε−カプロラクタムを晶析させる〔図1中、符号b1で示す蒸発晶析〕。晶析温度は、20℃〜60℃程度が好ましい。晶析処理後のスラリー状のε−カプロラクタム溶液を固液分離機に導入する。導入されたスラリー溶液は、ε−カプロラクタム結晶からなる固相と、不純物を含有する液相とに分離される〔図1中、符号b2で示す固液分離〕。
結晶に付着した不純物を除去するべく、ε−カプロラクタム結晶を有機溶媒で洗浄することで、更に高い純度のε−カプロラクタムを得ることもできる。この得られた第一回収ε−カプロラクタムは、ε−カプロラクタム精製工程Aの原料として再利用される。つまり、この第一回収ε−カプロラクタムは溶融された後に、ε−カプロラクタム精製工程Aでの晶析槽内に注入される。
一段目ε−カプロラクタム回収工程Bでは、ε−カプロラクタム精製工程Aの固液分離により得られる晶析母液を蒸発させてε−カプロラクタムを晶析させ、これに続く固液分離により第一回収ε−カプロラクタムと第一回収母液とを得る。ε−カプロラクタム精製工程Aで発生する溶媒を含んだ晶析母液の蒸発潜熱を利用して、減圧冷却晶析することにより、間接冷却方式で見られるような晶析槽の伝熱面でのスケーリングは抑制され、この結果、安定的に高い品質の回収ε−カプロラクタムを得ることができる。
一段目ε−カプロラクタム回収工程Bにあって、ε−カプロラクタム精製工程Aと同様に、ε−カプロラクタム精製工程Aで得られた晶析母液から添加された溶媒を蒸留分離した後、またはそのままの晶析母液に、別の冷却した貧溶媒を添加することにより晶析させることも可能であるが、添加した溶媒の回収設備及び溶媒回収用益費などのコストがかかり現実的ではない。一方、間接冷却晶析方式の場合には伝熱面でのスケーリングが発生し、連続安定運転が難しい。よって、含まれている溶媒を減圧下で蒸発させることで、溶媒の蒸発潜熱を利用して冷却晶析する本発明の手法(蒸発晶析法)が、スケーリングも抑制できて最も効率的である。
(二段目ε−カプロラクタム回収工程C)
一段目ε−カプロラクタム回収工程Bにて得られる第一回収母液には相当量のε−カプロラクタムが溶解しているため、本実施形態の製造方法においては、ε−カプロラクタムの回収率を向上させる目的で、第一回収母液からさらにε−カプロラクタムを晶析させる。しかし、第一回収母液は、ε−カプロラクタム精製工程Aにて得られる晶析母液よりもε−カプロラクタムの含有量が減っている一方で、上述の滴下晶析を行う際に有機溶媒が添加されており、ε−カプロラクタムの含有率が低く、且つ全体の体積が大きくなっている。そのため、第一回収母液からさらにε−カプロラクタムを晶析させる際に、第一回収母液をそのまま用いると、設備が大型化し、設備運転のために膨大なエネルギーが必要となる。
そこで、本実施形態の製造方法においては、第一回収母液から、予め少なくとも一部の溶媒を除去することにより、第一回収母液を濃縮し、当該濃縮した第一回収母液を、後段の工程で晶析させることにより、効率的にε−カプロラクタムを回収することとしている。
例えば、第一回収母液には、当初の粗ε−カプロラクタムに含まれる未反応のシクロヘキサノンオキシムや副生物など、ε−カプロラクタムの溶解度が高い成分(不純物)と、滴下晶析で用いた炭素数6〜12の脂肪族直鎖炭化水素、脂肪族側鎖炭化水素、脂環式炭化水素等のε−カプロラクタムの溶解度が低い成分(溶媒)と、が含まれる。これらは、互いに相溶しにくいことから、貯留槽などでの貯留、機械的液−液遠心分離装置の使用などにより、第一回収母液は、主としてε−カプロラクタムを含む層と、主として滴下晶析で用いた溶媒の層(ε−カプロラクタムを主としては含まない層)と、に分離する。そこで、主としてε−カプロラクタムを含む層と、主として滴下晶析で用いた溶媒の層とを分離させた後、滴下晶析で用いた溶媒の層を除去することにより、第一回収母液の体積を減少させ濃縮された第一回収母液とする〔図1中、符号c1で示す分液〕。これにより、後段の設備を小型化することができ、また、晶析に必要なエネルギーを抑制することができる。なお、貯留槽などでの貯留中は、第一回収母液を静置することとしてもよく、緩やかに流動させることとしてもよい。
もちろん、第一回収母液を加熱や減圧することにより、少なくとも一部の溶媒を除去することとしてもよい。このような加熱や減圧による溶媒の除去は、上述の分液による溶媒除去と組み合わせて行うこととしても構わない。
次いで、少なくとも一部の溶媒が除去され濃縮された第一回収母液を溶融晶析槽に注入し、第一回収母液を冷却して第一回収母液中のε−カプロラクタムを晶析させる〔図1中、符号c2で示す冷却晶析〕。晶析処理後の固体と液体との混合物は、ε−カプロラクタム結晶(第二回収ε−カプロラクタム)を含む固相と、不純物を含有する液相(第二回収母液)とに分離される〔図1中、符号c3で示す固液分離〕。分離された液相(第二回収母液)は、廃油として外部に排出する。
分離された第二回収ε−カプロラクタムを完全には融解させないでその一部が融解する溶出温度まで昇温して、第二回収ε−カプロラクタム中の不純物を融解物と共に溶出させて、第二回収精製ε−カプロラクタムを得る〔図1中、符号c4で示す溶融晶析〕。この溶出液は、ε−カプロラクタムの回収率を高めるためには、二段目ε−カプロラクタム回収工程Cの原料として回収することが望ましいが、外部へ排出しても構わない。
得られた第二回収精製ε−カプロラクタムは、ε−カプロラクタム精製工程Aの原料と一段目ε−カプロラクタム回収工程Bとのいずれか一方または両方の原料として再利用される。つまり、この第二回収精製ε−カプロラクタムは溶融された後に、加熱溶融液としてε−カプロラクタム精製工程Aでの晶析槽内と一段目ε−カプロラクタム回収工程Bでの晶析槽内とのいずれか一方または両方に注入される。
二段目ε−カプロラクタム回収工程Cでは、原料となる一段目ε−カプロラクタム回収工程Bで得られた第一回収母液中の不純物濃度が非常に高いので、通常の冷却晶析を行って結晶と母液とを固液分離しただけでは、結晶中に多量の不純物が残るため、結晶を洗浄液で洗浄したとしても満足できる結晶品質を得ることは困難である。更に、不純物が多い原料を冷却晶析した場合には、得られるスラリー溶液の粘度が高く、伝熱面でのスケーリング発生の問題だけではなく、晶析槽からスラリー溶液を抜き出す配管等においてスラリー溶液による閉塞の可能性もあり、安定的な連続運転への懸念がある。
ε−カプロラクタムを回収する場合に、その回収の工程数が増えるほど、各回収工程へ供給される晶析母液などの原料中の不純物濃度は著しく高くなるため、その回収工程で回収されるε−カプロラクタム中の不純物濃度も高くなる。そのような不純物濃度が高いε−カプロラクタムを上流側へ戻して再利用した場合、各回収工程内で不純物が蓄積し、精製工程で得られる精製ε−カプロラクタムの品質にも影響を及ぼす。結果として、最終製品の品質が規格外となる可能性もあることから、数段の回収工程を採用しているケースでは、後段ほど高い精製性能が求められる。
本発明の二段目ε−カプロラクタム回収工程Cでは、溶融晶析法を適用しているので、含まれる不純物が極めて少なく、ε−カプロラクタム精製工程と一段目ε−カプロラクタム回収工程とのいずれか一方または両方で悪影響を及ぼさない程度に品質が高い第二回収精製ε−カプロラクタムを回収できる。よって、この得られた第二回収精製ε−カプロラクタムをε−カプロラクタム精製工程と一段目ε−カプロラクタム回収工程とのいずれか一方または両方で再利用しても、これらの各工程に悪影響を及ぼすことはない。
また、第二回収精製ε−カプロラクタムを回収する際に、加熱溶融液として回収するため、晶析槽の伝熱面へのスケーリングは加熱溶融液を回収する都度に解消され、スケーリング発生の問題がない。
なお、溶融された第二回収精製ε−カプロラクタムの純度が所望の基準(ε−カプロラクタム精製工程Aの原料と一段目ε−カプロラクタム回収工程Bの原料とのいずれか一方または両方の再利用に悪影響を及ぼさない基準)を満たさない場合には、この第二回収精製ε−カプロラクタムの溶融物を、前段の各工程に戻さずに、溶融晶析槽に再注入して、上述したような二段目ε−カプロラクタム回収工程Cを再度行う。このように必要に応じて、二段目ε−カプロラクタム回収工程Cを繰り返すことにより、所望の基準を満たす純度の第二回収精製ε−カプロラクタムを確実に前段の工程に回収することができる。
以上のように、本発明のε−カプロラクタムの製造方法では、滴下晶析法を適用したε−カプロラクタム精製工程Aと、蒸発晶析法を適用した一段目ε−カプロラクタム回収工程Bと、溶融晶析法を適用した二段目ε−カプロラクタム回収工程Cとを組み合わせて、一段目ε−カプロラクタム回収工程Bでの回収物をε−カプロラクタム精製工程Aの原料に再利用し、二段目ε−カプロラクタム回収工程Cでの回収物をε−カプロラクタム精製工程Aの原料と一段目ε−カプロラクタム回収工程Bの原料とのいずれか一方または両方に再利用しているので、含有される不純物の量が少なくて品質が高いε−カプロラクタムを高い収率にて製造することが可能である。その場合に、安定した連続運転も容易である。また、二段目ε−カプロラクタム回収工程に先だって、予め第一回収母液を濃縮することとしているため、二段目ε−カプロラクタム回収工程で用いる設備を小型化することができ、二段目ε−カプロラクタム回収工程で必要なエネルギーを抑制することができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
(ε−カプロラクタム精製工程A)
連続的に以下の操作を行った。流量は単位時間当たりの重量で示した。高シリカ型ゼオライト触媒を用い、メタノール共存下に380℃の温度条件でシクロヘキサノンオキシムの気相ベックマン転位反応を実施して反応生成物を得た。この反応生成物から低融点物、高融点物を蒸留により除いて粗ε−カプロラクタムを得た。得られた粗ε−カプロラクタムの品質は、GC分析により、ε−カプロラクタム:99.131%、シクロヘキサノンオキシム(OXM):139ppm、3−N−メチル4,5,6,7−テトラヒドロベンズイミダゾール(MTHI):398ppm、1,2,3,4,6,7,8,9−オクタヒドロフェナジン(OHP):430ppmであった。
この粗ε−カプロラクタムを溶融して75℃とし、その溶融物200部と、n−ヘプタン/シクロヘキサン=3(重量比)の溶媒を5℃とした400部とを、ジャケットを56℃に保温した晶析槽に連続的に注加した。晶析温度は55℃で、平均滞留時間は約30分であった。晶析槽から600部の割合でスラリー液を、保温した遠心分離型デカンター(固液分離機)へ送液し、約50℃に保温した同組成の溶媒80部で固体を連続的にリンスし、150部の割合で結晶を、530部の割合で分離液を得た。得られた結晶をサンプリングし、GC分析したところ、GC純度:96.33%、n−ヘプタン:2.06%、シクロヘキサン:1.26%、OXM、MTHI、OHPは未検出であった。上記のような連続運転は24時間以上安定的に操業できた。
(一段目ε−カプロラクタム回収工程B)
連続的に以下の操作を行った。流量は単位時間当たりの重量で示した。ε−カプロラクタム精製工程Aで得られた分離液(晶析母液)の組成は、溶媒含量86.35%、n−ヘプタン/シクロヘキサン=2.75(重量比)であった。また、溶媒を除いたGC分析値は、ε−カプロラクタム:97.69%、OXM:1220ppm、MTHI:451ppm、OHP:849ppmであった。
この分離液894部を圧力240Torr、温度58.5℃の条件で溶媒を蒸気として留出させた。留去した溶媒の量は386部であった。蒸発しなかった残液を後述の固液分離で得られる液相230部と共に、90Torr、40.6℃の晶析槽へ注入し、100部の溶媒で気相部の器壁等を洗浄しながら、溶媒を留去させることによってε−カプロラクタムの結晶を析出させた。留出した溶媒は冷却し、380部の溶媒を凝縮により回収した。
晶析槽内の平均滞留時間は74分であった。結晶スラリー468部が連続的に抜き出され、40℃に保温した遠心分離型デカンター(固液分離機)で固液分離することにより結晶128部を得た。この結晶を溶融して組成を分析したところ、溶媒含量:8.59%、n−ヘプタン/シクロヘキサン=3.98(重量比)であった。GC分析値は、ε−カプロラクタム:99.68%、OXM:129ppm、MTHI:69ppm、OHP:25ppmであった。
上記のような操作により、ε−カプロラクタム精製工程Aでの分離液(晶析母液)中に含有されていたε−カプロラクタム119.2部のうち116.6部を結晶として回収することができた。得られたε−カプロラクタムは、本発明における第一回収ε−カプロラクタムに該当する。
また、回収されたε−カプロラクタムの組成はε−カプロラクタム精製工程Aでの原料の組成よりも、純度は高く、各不純物濃度は低い。よって、この回収されたε−カプロラクタム (第一回収ε−カプロラクタム)をε−カプロラクタム精製工程Aの原料として再利用することにより、製造される精製ε−カプロラクタムに悪影響が及ぶことはなく、高品質のε−カプロラクタムの収率が上昇する。
(二段目ε−カプロラクタム回収工程C:1回目)
バッチ的に以下の操作を行った。重量は晶析1バッチ当たりの重量で示した。第一ε−カプロラクタム回収工程Bでの固液分離により、二層に分離した第一回収母液を得て、その第一回収母液から分液処理により溶媒層を除去し、275.9部の晶析原料を得た。得られたε−カプロラクタム(晶析原料)は、本発明における第二回収ε−カプロラクタムに該当する。
得られた晶析原料の組成は、溶媒含量:17.00%、n−ヘプタン/シクロヘキサン=4.34(重量比)であった。また、溶媒を除いたGC分析値は、ε−カプロラクタム:72.07%、OXM:2.31%、MTHI:5335ppm、OHP:7870ppmであった。
二重管構成をなす溶融晶析槽の内管側にこの晶析原料液を仕込み、仕込んだ原料の温度が40℃となるように、外管側に熱媒体を通液した。その後、導入する熱媒体の温度を調節して、原料温度0℃にて内管の壁面に結晶(第二回収ε−カプロラクタム)を析出させた。続いて、未結晶の母液 (第二回収母液)を排出した後に、熱媒体の温度を結晶温度が53.5℃となるまでゆっくり上昇させた。この際、結晶(第二回収ε−カプロラクタム)は、完全には融解しないでその一部が融解した。そして、溶出した不純物を含むε−カプロラクタムは排出させた。
最後に、熱媒体の温度を80℃まで上昇させて、内管に残った結晶物を溶融させ、溶融物として83.5部を回収した。回収後の溶融晶析槽の二重管内部へのスケーリングはまったく見られなかった。回収した溶融物の組成は、溶媒含量:0.39%、n−ヘプタンのみであった。また、溶媒を除いたGC分析値は、ε−カプロラクタム:96.17%、OXM:3090ppm、MTHI:586ppm、OHP:894ppmであった。
上記の操作により回収したε−カプロラクタムの組成は、一段目ε−カプロラクタム回収工程Bの原料の組成と比べて、ややε−カプロラクタム純度が低く、OXM及びOHPについては濃度が高かったことから、上記の操作で得られた回収ε−カプロラクタムを原料として、再度晶析を行った。
(二段目ε−カプロラクタム回収工程C:2回目)
バッチ的に以下の操作を行った。重量は晶析1バッチ当たりの重量で示した。上述した1回目の二段目ε−カプロラクタム回収工程Cで得られた回収ε−カプロラクタム75.0部を原料として2回目の溶融晶析を行った。
溶融晶析槽の内管側にこの晶析原料液を仕込み、仕込んだ原料の温度が50℃となるように、外管側に熱媒体を通液した。その後、導入する熱媒体の温度を調節して、原料温度40℃にて結晶(第二回収ε−カプロラクタム)を析出させた。続いて、未結晶の母液 (第二回収母液)を排出した後に、熱媒体の温度を結晶温度が58.9℃となるまでゆっくり上昇させた。その際に溶出した不純物を含むε−カプロラクタムは排出させた。
最後に、熱媒体の温度を80℃まで上昇させて、内管に残った結晶物(第二回収精製ε−カプロラクタム)を溶融させ、溶融物として50.6部を回収した。回収後の二重管内部へのスケーリングはまったく見られなかった。回収した溶融物の組成は、溶媒含量が検出限界以下であった。また、溶媒を除いたGC分析値は、ε−カプロラクタム:98.40%、OXM:1237ppm、MTHI:232ppm、OHP:335ppmであった。
上記の操作により回収したε−カプロラクタム(第二回収精製ε−カプロラクタム)の組成は、一段目ε−カプロラクタム回収工程Bの原料の組成と比べて、ε−カプロラクタム純度が高く、不純物濃度も同等もしくは低かった。よって、上記の操作により回収したε−カプロラクタム(第二回収精製ε−カプロラクタム)を一段目ε−カプロラクタム回収工程Bへ戻して再利用しても、一段目ε−カプロラクタム回収工程Bで得られる回収ε−カプロラクタムの品質は向上する方向であり、更に上流のε−カプロラクタム精製工程Aでの精製ε−カプロラクタムの品質へ悪影響を及ぼすことはない。
なお、上述した例では、二段目ε−カプロラクタム回収工程Cで回収した第二回収精製ε−カプロラクタムを一段目ε−カプロラクタム回収工程Bのみへ戻す場合について説明したが、二段目ε−カプロラクタム回収工程Cで回収された第二回収精製ε−カプロラクタムの組成が、ε−カプロラクタム精製工程Aでの原料の組成よりも優れている場合には、その回収された第二回収精製ε−カプロラクタムをε−カプロラクタム精製工程Aへ戻して再利用できることは勿論である。
図2は、二段目ε−カプロラクタム回収工程Cで使用する溶融晶析のラボスケール実験装置を示す図であり、本装置を用いて上述したような溶融晶析の評価を行った。溶融晶析槽1は、円筒状の内管2及び外管3を有するSUS製の二重管構成をなしている。内管2には上方の注入口2aから原料が注入され、処理後の液相は下方の排出口2bから取り出される。外管3では下方の入口3aから導入された熱媒体が上方の出口3bから排出される。この熱媒体の循環により、内管2内の原料が所望の温度に維持される。内管2の排出口2b近傍にはバルブ4が設けられており、バルブ4は制御部5によりその開閉が制御される。
次に、本発明に対する比較例として、一段目ε−カプロラクタム回収工程の次段の工程(二段目ε−カプロラクタム回収工程)として、冷却晶析法を適用したε−カプロラクタム回収工程を実行した例について説明する。
(比較例:二段目ε−カプロラクタム回収工程(冷却晶析))
連続的に以下の操作を行った。流量は単位時間当たりの重量で示した。一段目ε−カプロラクタム回収工程Bで得られた固液分離液の組成は、溶媒含量:45.35%、n−ヘプタン/シクロヘキサン=7.64(重量比)であった。また、溶媒を除いたGC分析値は、ε−カプロラクタム:76.68%、OXM:4018ppm、MTHI:3899ppm、OHP:10017ppmであった。
この固液分離液11.3部を連続的な間接冷却にて−0.8℃の温度で結晶化させて、結晶スラリーを得た。得られた結晶スラリーに対して遠心分離器にて固液分離を行い、不純物を含むε−カプロラクタム結晶3.44部と母液7.86部とを得た。ε−カプロラクタムの結晶を2倍量のシクロヘキサンで洗浄し、再度遠心分離器でシクロヘキサンを除去した。得られた結晶の組成は、溶媒含量:0.71%、n−ヘプタン/シクロヘキサン=0.58(重量比)であった。また、溶媒を除いたGC分析値は、ε−カプロラクタム:94.11%、OXM:970ppm、MTHI:1130ppm、OHP:217ppmであった。連続的な運転で間接冷却面へのスケーリングが観察された。また、晶析槽から結晶スラリーを抜き出すラインが度々閉塞して、安定的に運転することが困難であった。
得られたε−カプロラクタムの組成は、回収先の一段目ε−カプロラクタム回収工程Bの原料の組成と比較して、純度が低く、MTHI濃度も高いことから、上記の操作で得られた回収ε−カプロラクタムを一段目ε−カプロラクタム回収工程へリサイクルした場合、同工程の原料の不純物濃度が高くなり、同工程で得られる第一回収ε−カプロラクタムの品質が悪化する。結果として、ε−カプロラクタム精製工程での精製ε−カプロラクタムの品質も悪化して、製品の品質規格が満足できない可能性が生じる。
なお、上述した例では、ゼオライト系触媒を用いて気相ベックマン転位により得た粗ε−カプロラクタムを用いる場合について説明したが、本発明が適用し得る粗ε−カプロラクタムとしては、これに限定されるものではない。
A ε−カプロラクタム精製工程
B 一段目ε−カプロラクタム回収工程
C 二段目ε−カプロラクタム回収工程

Claims (4)

  1. シクロヘキサノンオキシムからε−カプロラクタムを製造する方法において、シクロヘキサノンオキシムをベックマン転位させて得られた粗ε−カプロラクタムの加熱溶融物を冷却された溶媒と共に晶析槽内に併注して晶析させ、固液分離により精製ε−カプロラクタムと晶析母液とに分離するε−カプロラクタム精製工程、
    該ε−カプロラクタム精製工程で得られる晶析母液中の溶媒を蒸発させながら晶析母液中のε−カプロラクタムを晶析させる蒸発晶析と、これに続いて行う固液分離とにより、前記晶析母液を第一回収ε−カプロラクタムと第一回収母液とに分離する一段目ε−カプロラクタム回収工程、及び
    前記第一回収母液に含まれる溶媒を少なくとも一部除去し、濃縮された第一回収母液を冷却して第一回収母液中のε−カプロラクタムを晶析させ、これに続いて行う固液分離により前記第一回収母液を第二回収ε−カプロラクタムと第二回収母液とに分離し、得られた第二回収ε−カプロラクタムを完全には融解させないでその一部が融解する溶出温度まで昇温して、第二回収ε−カプロラクタム中の不純物を融解物と共に溶出させて、第二回収精製ε−カプロラクタムを得る二段目ε−カプロラクタム回収工程
    を有しており、
    前記一段目ε−カプロラクタム回収工程で得られた第一回収ε−カプロラクタムを前記ε−カプロラクタム精製工程の原料として回収し、前記二段目ε−カプロラクタム回収工程で得られた第二回収精製ε−カプロラクタムを前記ε−カプロラクタム精製工程と前記一段目ε−カプロラクタム回収工程とのいずれか一方または両方の原料として回収することを特徴とするε−カプロラクタムの製造方法。
  2. 前記第一回収母液を二層以上に分液させ、前記ε−カプロラクタムを主としては含まない層を除去することで、前記第一回収母液に含まれる溶媒を少なくとも一部除去することを特徴とする請求項1に記載のε−カプロラクタムの製造方法。
  3. 固体触媒を用いてシクロヘキサノンオキシムを気相ベックマン転位させて前記粗ε−カプロラクタムを得ることを特徴とする請求項1または2に記載のε−カプロラクタムの製造方法。
  4. 前記第一回収母液中のε−カプロラクタムを晶析槽の冷却された壁面上に晶析させて、第二回収ε−カプロラクタムを得、続いて行う固液分離により第二回収母液を分離した後、前記壁面の温度を上昇させて該壁面上に晶析した第二回収ε−カプロラクタムを前記溶出温度まで昇温することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のε−カプロラクタムの製造方法。
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