JP2013049601A - エネルギー供給システム - Google Patents

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Abstract

【課題】水素及び電力を高効率で供給できるエネルギー供給システムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、冷熱源11と、発電設備13と、前記発電設備の排熱を用いて有機ハイドライドの脱水素反応により水素を生成する脱水素化装置14とを備え、少なくとも水素および電力を外部に供給するエネルギー供給システムであって、前記冷熱源が液化ガスまたは液化ガスのボイルオフガスであり、前記脱水素化装置14で生成された生成物と前記冷熱源との間の熱交換により、前記生成物を水素と脱水素化物に分離する気液分離装置12を備えたエネルギー供給装置を特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機ハイドライドを水素源として脱水素反応によって水素を製造、供給する脱水素化装置と発電機を備えるエネルギー供給システムに関する。
本技術分野の背景技術として、特開2010−43078号公報(特許文献1)がある。この公報には、「高圧水素製造供給においてタービンの排熱を用いて高効率なエネルギーシステムを提供する」と記載されている(要約参照)。また、特開2003−165707号公報(特許文献2)がある。この公報には、「〜ボイルオフガスの有効活用で、低温液化ガスの利用効率向上〜」と記載されている。
特開2010−043708号公報 特開2010−1961号公報
特許文献1には、低温液化ガスを燃料とした地域エネルギー有効利用システムについて低温液化ガスの利用率向上を目的として、貯蔵された低温液化ガス貯蔵タンクを備え、低温液化ガスを燃料として走行する車両に搭載される車載タンクに低温液化ガスを供給するためのエネルギー供給源と、前記低温液化ガスを燃料として駆動されるエネルギー発生設備と、前記低温液化ガス貯蔵タンク内で蒸発したボイルオフガスを前記エネルギー発生設備に導くボイルオフガス供給ラインとを備えた地域エネルギー有効システムが記載されている。一方、特許文献2には、低温液化ガスの冷熱エネルギーを利用し、プラントの効率向上および敷地面積の低下のため、所定の製造プロセスを実施するに当たって海水を取水し冷却水として用いる所定の製造プラントと、LNGを海水との熱交換により気化させる気化設備を備えるLNGプラントとが隣接する複合プラントであって、前記製造プラントの取水ラインから海水の少なくとも一部を前記LNGプラントの気化設備における熱交換用の海水として供給し、熱交換後の海水を前記製造プラントの取水ラインに返送することを特徴とするプラントについて記載されている。
しかしながら、特許文献1については、LNGの冷熱やエンジンやタービンでの発電のみを考慮したものを前提としており、エネルギーの利用効率はボイルオフ燃料×発電機器の効率分上昇するに留まる。
また、特許文献2については、LNGの冷熱を室温に近い海水(空気)と熱交換するには、大きなエクセルギー損失が生じる冷熱回収であり、熱交換機の設計も難しくなる。
本発明は、水素及び電力を高効率に供給できるエネルギー供給システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、冷熱源と、発電設備と、前記発電設備の排熱を用いて有機ハイドライドの脱水素反応により水素を生成する脱水素化装置とを備え、少なくとも水素および電力を外部に供給するエネルギー供給システムであって、前記脱水素化装置で生成された生成物と前記冷熱源との間の熱交換により、前記生成物を水素と脱水素化物に分離する気液分離装置を備えることを特徴とするエネルギー供給装置である。また、冷熱源として液化ガスまたは液化ガスのボイルオフガスを利用することを特徴とする。
本発明のエネルギー供給装置は、有機ハイドライドの脱水素反応ガスすなわち脱水素化物と水素の混合ガスを冷熱源で気液分離することにより高効率かつ低コストでエネルギー供給が可能となる。また、発電設備からの排ガスを低温ガスの気化に用いることで気化器の設計が容易になり、気化器のコンパクト化が可能となる。
本発明の第1実施形態に係るエネルギー供給システムの構成を模式的に表す図である。 本発明の第2実施形態に係るエネルギー供給システムの構成を模式的に表す図である。 本発明の第3実施形態に係るエネルギー供給システムの構成を模式的に表す図である。 本発明の第4実施形態に係るエネルギー供給システムの構成を模式的に表す図である。
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
図1は、第1の実施形態に係る構成の概念図である。図1に示すエネルギー供給装置10は、排気管を備えた発電設備13、有機ハイドライドから脱水素化反応によって水素を生成する触媒を備える脱水素反応器14、冷熱源11、冷熱源の冷熱を利用して脱水素反応器14から排出される脱水素化ガスの気液分離をするための気液分離器12で構成される。また、その他に脱水素反応器14に供給される有機ハイドライドを貯蔵する有機ハイドライドタンク15、気液分離器12で分離された脱水素化物を貯蔵する脱水素化物タンク16を備える。
脱水素反応器14は発電設備の排気管に接続されており、発電設備の排気管を流れる排ガスの熱エネルギーと熱交換できる構造になっている。また、脱水素反応器14は気液分離器12および有機ハイドライドタンク15にも配管で接続されている。脱水素反応器14の触媒には有機ハイドライドを吹き付けることが可能となっており、発電設備の排ガスによって脱水素反応温度にまで触媒が温められた際に、有機ハイドライドを触媒に吹き付けると、脱水素反応により、水素と脱水素化物を生成する。このとき生成物は高温のため、ガス状になり、脱水素反応器14から排出され、気液分離器に送られる。
気液分離器12は、冷熱源11および脱水素反応14と配管で接続されており、冷熱源11が流れる流路と脱水素反応器14の生成物が流れる流路を備え、両者で熱交換する構成である。気液分離器12では、冷熱源11からの冷熱エネルギーにより脱水素反応14の生成物を冷却することで、生成物を水素ガスと脱水素化物に分離する。分離された水素ガスは配管を介して水素を利用する機器あるいは水素を貯蔵するタンクに供給される。また、脱水素化物は配管を介して脱水素化物タンク16に貯蔵される。
なお、脱水素化物は融点以下の温度にすると固化して配管を塞ぎ、流れなくなるため、気液分離器12は脱水素化物の融点よりも高い温度に維持する必要がある。このため、気液分離器12のいずれかの部分に温度センサーを設け、気液分離器12の温度を管理することが望ましい。気液分離器12の温度管理の一例としては、気液分離器12のいずれかの部分に温度センサーを設け、冷熱源と気液分離器を接続する配管に流量計と流量調整用のバルブ、気液分離器に発電機からの排気ガスを導入する排ガス管と排ガス流量調整用バルブを接続し、温度センサーからの信号で気液分離器の温度を測定し、いずれかのバルブの開度を調整することで、温度を調整することが可能である。また、気液分離器12の温度により脱水素化物の飽和蒸気圧が変化する。そのため、気液分離器12の温度を制御することにより、気液分離により得られる水素ガス中の脱水素化物の量を調整することができ、気液分離により得られる水素ガスの濃度をコントロールすることも可能となる。
冷熱源11としては、LNG(Liquid Natural Gas)、LPG(Liquefied Petroleum Gas)、液体水素、ジメチルエーテル(DiMethyl Ether)、液化酸素、液化窒素、液化アルゴン、液化炭酸ガス、等の液化ガス、又は、液化ガスから発生するボイルオフガスを使用する。液化ガスは、ガスを加圧、冷却し、液化して貯蔵したものであり、使用時には液化ガスを気化して燃料ガスとして用いられる。従来、液化ガスを気化する際に液化ガスが持つ冷熱エネルギーは有効利用されていない。本実施例のシステムでは、液化ガスを用いた燃料ガスの供給システムと、有機ハイドライドの脱水素化反応による水素供給システムを組み合わせたことにより、液化ガスの冷熱エネルギーを脱水素化反応で生成された生成物の気液分離に利用することで、液化ガスの冷熱エネルギーを有効に利用することができる。また、液化ガスは非常に低温であるため、気液分離器12の設計の簡易化や省スペース化、並びに、分離された水素濃度を向上できる。一方、脱水素反応器14の生成物が持つ熱エネルギーは液化ガスの気化に利用されており、システム全体の効率を向上できる。
また、液化ガスは保存時や輸送時において、外部からの自然入熱などで気化したボイルオフガスが発生する。このボイルオフガスも冷熱源として利用することができ、ボイルオフガスが持つ冷熱エネルギーを有効利用することができる。
発電設備13は、エンジン、タービン、固体酸化物形燃料電池、リン酸形燃料電池、溶融炭酸塩形燃料電池など、電力の他に排熱を生成する発電システムである。また、図示はしていないが、発電設備13の燃料としてはガソリン、軽油、天然ガス、LPG、DME、メタノール、水素やこれらを混合したものなどが使用され、貯蔵タンクやパイプラインにて貯蔵、供給する。また、気液分離器12と発電設備13とを接続し、気液分離器12で分離された水素を発電設備13の燃料として供給することも可能である。また、発電設備13がエンジンの場合には、ガソリンなどの液体燃料と気液分離装置からの水素ガスを混合燃焼させることにより、燃焼効率向上が可能である。
同様に、冷熱源がLNG、LPG、液体水素、DMEなどの発熱量をもつ低温ガス燃料の場合には、気液分離器12から排出される低温ガスを発電設備13の燃料として供給することも可能である。
この構成により、本発明のエネルギー供給装置10は、発電設備の排熱および冷熱源となる液化ガスの冷熱の有効利用、水素による燃焼効率向上によりシステム全体の効率向上が可能となる。
本実施例では、電力と水素の他、冷熱源が気化した燃料ガスがエネルギーとしてシステムの外部へ供給される。
本実施例では、発電機器の規模を小さくし、さらに高効率に運転することが可能なエネルギー供給装置の例を説明する。
図2は、実施例2におけるエネルギー供給装置100を示す構成図の例である。本実施例は、電力と水素を供給する際に、水素供給の割合を増加させるための好ましいシステム構成である。
実施例1で既に説明した構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
実施例1で示したエネルギー供給装置では、脱水素反応器からの水素供給量は発電設備から発生する排熱量に依存する。発電効率が高い発電機を用いた場合、投入されるエネルギーに対して排出される熱エネルギーが少なくなるため、脱水素反応器114からの水素供給量は小さくなる。例えば、水素ステーションに応用する場合には、ある程度の水素供給量が必要となる。このため、本実施例では、発電設備113と水電気分解装置117を電線ケーブルで接続し、発電設備113の電力の全てもしくは一部を水電気分解装置117に供給し、水電気分解装置117で発電設備113の電力を水素に変換して供給する構成とした。すなわち、本実施例のエネルギー供給装置では、発電設備の電力を利用して水の電気分解を行うことで、水電気分解装置117から酸素と水素を供給可能な構成としたことで、脱水素反応器114と水電気分解装置117から発生する水素をエネルギーとして供給することができる。このように電力エネルギーを水素エネルギーに変換することで、全体として発電設備の規模を小さくすることが可能となる。
ここで、従来、水電気分解装置117による水素供給では、発生する酸素および水素の中には、水分が含まれており、水素の純度を高くするために除湿機を具備させていた。本実施例では、水電気分解装置117と熱交換器112とを配管で接続し、水電気分解装置117から発生する水分を含む水素を冷熱源と熱交換することで、水蒸気を液化することが可能となり除湿が可能となる。これにより除湿機を削減可能となり水素製造コストの低下およびシステム全体の高効率化に寄与が可能となる。
また、図示はしていないが、発電設備113がエンジン等の燃焼を行う装置の場合には、水電気分解装置117と発電設備113を配管で接続し、水電気分解装置117で生成された酸素を発電設備113の燃料供給口に接続し、水電気分解装置で発生した酸素を発電設備113に供給することで燃焼効率が向上し、発電設備113の発電出力の向上が可能となる。これにより水素生成効率の向上、発電効率の向上が可能となる。
本実施例では、電力と水素の他、冷熱源が気化した燃料ガス、水電解装置から排出される酸素がエネルギーとしてシステムの外部へ供給される。
本実施例では、実施例1のエネルギー供給装置を天然ガス供給基地に適用した際のエネルギー供給装置の例を説明する。実施例1で既に説明した構成と同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
図3は、実施例3におけるエネルギー供給装置200を示す構成図の例である。LNGの沸点は−160℃であり、保存時に外部からの自然入熱などで気化したボイルオフガスが発生する。このボイルオフガスを気液分離器212に送りLNGのボイルオフガスからの冷熱を利用して、気液分離器212で水素と脱水素化物の分離を行う。気液分離器212を通過したオフガスは発電設備213に燃料として供給することも可能である。また、発電設備213から排気される排熱において、脱水素反応器214で利用されなかった熱エネルギーは天然ガス供給ラインに配置された気化器217に送られ、気化熱として使用する。本実施例では気液分離器212と気化器217を分割したが実施例1で示したように一体としても良い。従来は海水などを汲み上げて気化器に流していたが、気化器217に脱水素反応器214の排熱を利用することにより気化器217の小型化やポンプ電力の省エネ化が可能となる。また、LNGの気化について従来は室温に近い海水や空気を利用していたが、それよりも高温の熱源を用いることにより熱交換器の設計の簡易化や省スペース化が期待できる。
また、気液分離器212から発生した水素は水素単独として供給することも可能であるが、天然ガスと混合することで、CO2排出量原単位を低下することが可能となり、クリーンな燃料を供給することが可能となる。
本実施例では、電力と水素の他、冷熱源であるLNGが気化した天然ガスがエネルギーとしてシステムの外部へ供給される。
本実施例では、実施例1のエネルギー供給装置を工場に適用した際のエネルギー供給装置の例を説明する。実施例1で既に説明した構成と同一の機能を有する部分については、説明を省略する。図4は、実施例4におけるエネルギー供給装置300を示す構成図の例である。本実施例では、LNGの冷熱を用いて気液分離器312で水素と脱水素化物の分離を行う。気液分離器312を通過した天然ガスは発電設備313に燃料として供給し、発電し、工場に電力を供給する。天然ガスの利用方法としてはこの限りではなく、一部を燃焼熱源として、工場の熱需要に割り当てることも可能である。また、反応器で利用されなかった熱エネルギーは工場内の空調など熱需要に割り当てる。このような構成により、システム全体の効率向上が可能となる。
本実施例では、電力と水素の他、反応器の排熱がエネルギーとしてシステムの外部へ供給される。
11,111 冷熱源
12,112,212,312 気液分離器
13,113,213,313 発電設備
14,114,214,314 脱水素反応器
217 気化器

Claims (8)

  1. 冷熱源と、発電設備と、前記発電設備の排熱を用いて有機ハイドライドの脱水素反応により水素を生成する脱水素化装置とを備え、少なくとも水素および電力を外部に供給するエネルギー供給システムであって、
    前記冷熱源が液化ガスまたは液化ガスのボイルオフガスであり、
    前記脱水素化装置で生成された生成物と前記冷熱源との間の熱交換により、前記生成物を水素と脱水素化物に分離する気液分離装置を備えることを特徴とするエネルギー供給装置。
  2. 請求項1において、前記液化ガスはLNG、LPG、液体水素、ジメチルエーテル、液化酸素、液化窒素、液化アルゴン、液化炭酸ガスのいずれかであることを特徴とするエネルギー供給装置。
  3. 請求項1において、前記冷熱源が液化ガスであり、前記気液分離装置により前記液化ガスを気化することを特徴とするエネルギー供給装置。
  4. 請求項3において、前記液化ガスを気化したガスを燃料ガスとして供給することを特徴とするエネルギー供給装置。
  5. 請求項1において、水電気分解装置を具備し、前記発電設備ないしは送電系統からの電力で水素および酸素を供給するエネルギー供給装置。
  6. 請求項5において、前記水電気分解装置から発生した水素および酸素に混合した水蒸気を、冷熱源からの冷熱で除湿することを特徴とするエネルギー供給装置。
  7. 請求項1において、前記気液分離装置に発電設備からの排ガスを供給し、前記気液分離装置に供給する低温ガスと排ガスの量を調整し、前記気液分離装置の温度を制御することを特徴とするエネルギー供給装置。
  8. 請求項7において、前記気液分離装置の温度制御により、前記気液分離装置で分離された水素ガスの濃度を制御することを特徴とするエネルギー供給装置。
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