JP2004018343A - 炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法とそのプラント及びその排熱回収型改質器 - Google Patents
炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法とそのプラント及びその排熱回収型改質器 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004018343A JP2004018343A JP2002178555A JP2002178555A JP2004018343A JP 2004018343 A JP2004018343 A JP 2004018343A JP 2002178555 A JP2002178555 A JP 2002178555A JP 2002178555 A JP2002178555 A JP 2002178555A JP 2004018343 A JP2004018343 A JP 2004018343A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fuel
- gas
- steam
- hydrogen
- heat
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E20/00—Combustion technologies with mitigation potential
- Y02E20/16—Combined cycle power plant [CCPP], or combined cycle gas turbine [CCGT]
Landscapes
- Hydrogen, Water And Hydrids (AREA)
Abstract
【課題】本発明の目的は、炭化水素燃料から高効率で電力と水素を併産する炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法とそのプラント及びその排熱回収型改質器並びに水蒸気発生器を提供することにある。
【解決手段】発電工程からの燃焼排ガスの熱を用いて水蒸気と燃料を触媒の存在下で反応をさせて水素を含む可燃性ガスを発生させる燃料改質工程と、燃料改質工程から出た燃焼排ガスによって水蒸気を発生させる第一蒸気発生工程と、燃料改質工程で生成される可燃性ガスの熱によって水蒸気を発生させる第二蒸気発生工程と、第二蒸気発生工程で得られる可燃性ガスを水素とそれ以外のガスに分離するガス分離工程とを有し、ガス分離工程で得られる水素を含まないガスを発電工程の燃料として供給する炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法。
【選択図】 図1
【解決手段】発電工程からの燃焼排ガスの熱を用いて水蒸気と燃料を触媒の存在下で反応をさせて水素を含む可燃性ガスを発生させる燃料改質工程と、燃料改質工程から出た燃焼排ガスによって水蒸気を発生させる第一蒸気発生工程と、燃料改質工程で生成される可燃性ガスの熱によって水蒸気を発生させる第二蒸気発生工程と、第二蒸気発生工程で得られる可燃性ガスを水素とそれ以外のガスに分離するガス分離工程とを有し、ガス分離工程で得られる水素を含まないガスを発電工程の燃料として供給する炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化水素原料を用いた新規な電力と水素の併産方法とそのプラント及びその排熱回収型改質器に関する。
【0002】
【従来の技術】
水素はクリーンな二次原料及び燃料であり、化学製品原料、鉱石還元剤、硫黄化合物の脱硫剤、燃料電池用燃料として使用され、また今後事業用の発電燃料、自動車用燃料等への期待が大きい。現在最も一般的な水素の製造方法は天然ガス、石油系燃料の部分酸化法又は水蒸気改質法である。また石炭やバイオマスを原料とする場合は部分酸化(ガス化)により製造されている。その他、太陽熱や光、又は各種の触媒を用いた水の分解法も試みられている。
【0003】
一方、電力もクリーンエネルギーであり、その利便性から今後消費量が増大する。化石燃料の最も環境性に優れた使い方として、電力と水素の二次エネルギーへの転換が考えられ、両者を高効率で同時に生産するシステムが望まれる。石油精製業や製鉄業では電力と水素を同時に必要としているが、一般に両者は別々の燃料で別々の方法で製造されている。同時に製造する方法としては、例えば固体の炭化水素原料を酸素でガス化し、生成したガスの一部をガスタービン燃料として発電する一方、他の一部のガスを変性して水素を製造するシステムが提示されている。
【0004】
同時に製造する方法としては、例えば固体の炭化水素原料を酸素でガス化し、生成したガスの一部をガスタービン燃料として発電する一方、他の一部のガスを変性して水素を製造するシステムが提示されている。
【0005】
近年、発電工程からの排熱を利用して燃料を水蒸気改質し、得られた可燃性ガスから水素とオフガスに分離し、電力と水素を得ようとする試みがなされている。特開平2−207144号公報には、発電工程からの排熱を利用して燃料を水蒸気改質し、得られた可燃性ガスから水素とオフガスに分離することに関し、排熱からは蒸気のみを発生させ、この蒸気とメタノールを改質器に導入して生成ガスから水素を分離し、オフガスをガスタービンの補助燃料とすることが、記載されている。また特開2002−122030号公報には燃焼排ガスの熱回収で得られた水蒸気を天然ガスの改質用に供給し、得られた改質ガスから水素を分離し、オフガスを改質器加熱の燃料、又はガスタービンの補助燃料に用いることが示されている。
【0006】
同じく排熱利用ではあるが、電力のみを目的としたものとして、特開平8−2609142号公報には、燃焼排ガスの熱を使って天然ガスを改質し、改質ガスから水素を分離し、水素を燃料電池の燃料とする一方、オフガスはガスタービンの補助燃料とすることが示されている。
【0007】
天然ガスの水蒸気改質温度は相対的に高い一方、燃焼排ガスの温度はそれに対して低いので、上述の公知例ではいかに改質の転換率を高めるかに主眼があり、その原理と作用は古くから知られているメタン−水蒸気改質反応特性に基づき(例えば、P.Wellman & S.Katell, ゛How Pressure and Temperature Affect Steam−Methane Reforming”, Hydrocarbon Processing & Petroleum REFINER,Vol.42,No.6,June 1963)、改質の温度、圧力等がそれぞれ工夫されている。また、排熱を利用したメタノールの改質に関しても、ガスタービン排ガスの熱による改質や(例えば、新エネルギー・産業技術綜合開発機構、H7年度石油火力発電所メタノール転換等実施試験委託業務報告書、平成8年3月)、自動車排ガスの排気管に触媒を充填した改質器を設置し、メタノールを改質してCO、H2を含むガスを製造し、これを冷却した後、吸気管に導入してエンジンに供すること(広田寿男、メタノール改質エンジンの研究、自動車技術、Vol.34,No.10,1980)等が知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
化石燃料などの一次エネルギーから二次エネルギーへの転換では熱効率を高めることが必須であり、電力と水素の併産においても同様である。即ち、一次エネルギーから電力と水素の製造量の合計を最大にすることである。水素又は電力個々の製造に関する熱効率は以下が代表的である。例えば天然ガスにより水蒸気改質法で水素を製造する場合、水蒸気改質に必要な熱は原料である天然ガスを一部燃焼するので、熱効率を上げるため燃焼排ガスの熱は水蒸気の発生や燃焼用空気の予熱に合理的に利用されており、その結果、単位天然ガス量当りの水素製造量は0.22Nm3/Nm3で、熱効率は78%である(松浦康夫、“石炭ガス化、ガス化発電プラントの経済性”、アイピーシー、1992年)。
【0009】
また電力でいえば、天然ガスによる最新のガスタービン、蒸気タービン複合発電システムでは発電効率48〜50%であり、これに燃料電池を加えた複合システムでは55〜60%となる。しかし、電力と水素を併産する場合、各々の技術、システムを単に組み合わせただけでは、それぞれの最高効率が限界である。例えば原料のそれぞれ50%を電力と水素の製造に用いたとして、熱効率は0.5×50%+0.5×78%=64%であり、仮に全量水素を製造した場合でも前記の78%前後である。前記、固体燃料をガス化し電力と水素を併産する場合には全て電力を製造する場合で45〜48%、全て水素を製造する場合で75〜80%であり、両者の併産では少なくとも80%を超えることはなかった。
【0010】
前記、排熱利用で改質し水素を分離する公知例では、水素が分離されたオフガスはガスタービンの補助燃料であったり、他の加熱源であったりし、いずれにしてもガスタービンには主燃料として原料である天然ガスを供給しているため電力と水素を併産する際の燃料使用量が多く、水素を分離したオフガスは有効なエネルギーの利用にはなっていない。
【0011】
なお、ガスタービン排熱利用で発電のみを行う前記公知例には電力と水素の併産は示されていないが、天然ガスの転換率を高めるため改質温度を上げることが必要となり、加熱用の熱が使われていたり、蒸気の発生と利用プロセスが最適でなかったりし、熱効率(発電効率)を阻害する要因となっていた。
【0012】
本発明の目的は、発電機関の一次エネルギーを排熱として利用して代表的なクリーン燃料である電力と水素を高い効率でエネルギー転換できる炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法とそのプラント及びその排熱回収型改質器を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明では、発電設備から出る排熱を利用して燃料の改質を行い、改質ガス中の水素を分離した後、改質されなかったガスを発電設備の燃料とする電力と水素の回収率を高くするものである。
【0014】
本発明は、発電工程から排出される燃焼排ガス熱によって気体又は液体の炭化水素燃料を触媒の存在下で反応させて水素を含む可燃性ガスを発生させる燃料改質工程と、該燃料改質工程で生成される可燃性ガスを水素とそれ以外のガスに分離するガス分離工程とを有し、該ガス分離工程で得られる前記水素以外のガスを前記発電工程の主燃料として供給すること、又は前記燃料改質工程で生成される可燃性ガスを冷却させる熱交換工程と、該冷却された前記可燃性ガスを水素と水素以外のガスに分離するガス分離工程とを有し、該ガス分離工程で得られる前記水素以外のガスを前記発電工程の燃料として供給する炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法にある。
【0015】
又、本発明は、発電工程から排出される燃焼排ガスの熱によって気体又は液体の炭化水素燃料を触媒の存在下で反応させて水素を含む可燃性ガスを発生させる燃料改質工程と、該燃料改質工程から出た前記燃焼排ガスの熱によって水蒸気を発生させる第一水蒸気発生工程と、前記燃料改質工程で生成される前記可燃性ガスの熱によって水蒸気を発生させる第二水蒸気発生工程と、前記第一水蒸気発生工程及び第二水蒸気発生工程で得られる前記水蒸気と前記燃料とを混合させて前記燃料改質工程に導入する工程とを有する炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法にある。
【0016】
即ち、本発明は、より具体的には、気体又は液体の炭化水素燃料から電力と水素を生産する方法において、発電工程からの燃焼排ガスの熱によって水蒸気と前記燃料を触媒の存在下で反応をさせて水素を含む可燃性ガスを発生させる燃料改質工程と、燃料改質工程からの燃焼排ガスの熱を更に回収して燃料改質に必要な水蒸気1を発生させる第一蒸気発生工程と、前記燃料改質工程で生成する可燃性ガスの熱を回収することによって水蒸気2を発生させる第二蒸気発生工程と、第二蒸気発生工程で熱を回収された可燃性ガスを、主に水素を含むガスと水素以外のガスに分離するガス分離工程と、第一、第二蒸気発生工程で発生した水蒸気と前記燃料を混合させて燃料改質工程に導入する工程とを有し、ガス分離工程で得られる水素を含まないガスを発電工程の燃料として発電し、ガス分離工程で得られた水素を貯蔵又は需要先に送るようにした炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法にある。
【0017】
ここにおいて、燃料改質工程及び第一、第二蒸気発生工程を常圧又はそれ以下の圧力で実施し、第二蒸気発生工程で熱を回収された可燃性ガスを復水工程に導入し、水蒸気を除去した可燃性ガスを加圧して続くガス分離工程に導入し、ガス分離工程で得られた水素を含まない可燃性ガスをガスタービンの運転に好適な圧力まで加圧した後、発電工程に導入することにより、発生電力の所内消費量を最小限にし正味の熱効率を高めることとした。この場合、第一水蒸気発生工程からの燃焼排ガス、及び第二水蒸気発生工程からの可燃性ガスの温度がそれぞれ飽和温度になるように充分熱回収された時の水蒸気量と原料の容積比(熱回収限界容積比、mol/mol)が3.5以下となるように燃焼排ガス温度と熱効率を設定すると高い効率が得られる。更に、この熱回収限界容積比が、改質反応において炭素析出障害を防止しうる水蒸気と原料の容積比(改質操作容積比、mol/mol)より大きい場合、熱回収限界容積比と改質操作容積比の差に相当する水蒸気を発電工程に導入して発電機の出力を増加させると、総合熱効率が一層向上する。
【0018】
電力と水素の需要は変動するので、上述の工程で電力と水素を製造する設備で水素貯蔵設備を設け、水素需要の変動に応じて貯蔵量と需要先供給量を調節する設備とした。
【0019】
炭化水素原料としては、CH4、C3H8及びC4H10を主成分とするガス又は液体、石油精製系液体燃料、廃油、有機物や廃棄物の熱分解で生成した液状物及びこれら複数個の混合物等、触媒の存在下で水蒸気との反応で水素を生成できるものが対象である。
【0020】
図1は本発明の炭化水素燃料からの電力と水素の併産を実施するプロセスとそのプラントの基本構成図である。本プロセスは発電工程10、燃料改質工程20、第一水蒸気発生工程30、第二水蒸気発生工程50、水素分離工程60より構成される。発電工程10からの燃焼排ガス15を燃料改質工程20に導入する。続いてここからの燃焼排ガス16を続く第一蒸気発生工程30に導入する。燃料1は脱硫等の前処理(図示しない)をした後、ガス混合工程70に導入し、ここで第一水蒸気発生工程で発生した水蒸気32及び後述する第二水蒸気発生工程で発生した水蒸気52と混合する。燃料改質工程20には触媒を充填した改質器21が設置されており、ここからの改質ガス25を第二水蒸気発生工程50に導入する。ここで発生した水蒸気52が前述のガス混合工程70に導入される。第二水蒸気発生工程で熱を回収された改質ガス26は冷却器(図示なし)によって水分が除かれて水素分離工程60に導入され、水素ガス61と水素を含まない可燃性ガスである発電用燃料ガス65に分離される。水素を含まない発電用燃料ガス65が発電工程10の主燃料となる。しかし、発電工程10では、起動時には別途設けられた燃料供給手段から燃料が供給される。又、第一、第二蒸気発生器には水2が供給される。
【0021】
このようなプロセスにおける燃料の改質特性について説明する。燃料はメタンガスを例とする。改質特性には温度、圧力、水蒸気と燃料(メタンガス)の容積割合(以降、S/C、単位 mol/mol)が影響することが公知である。改質温度Trfは燃焼排ガスの温度と熱交換器の特性により決まる。発電に用いる内燃機関の燃焼排ガスの温度は400〜700℃が一般的であり、本発明でもこの範囲を対象とする。このような温度の排ガスと熱交換するので、改質温度は燃焼排ガスの温度より低くなり、500℃レベルを対象としなければならない。温度が低いと当然改質の程度(メタン転換率)は低くなるが、ここで重要なことは低い温度でもその温度における改質反応の平衡状態まで到達するかどうかである。改質器内では(1)式の改質反応と(2)式のCO転化反応が併発している。
【0022】
【式1】
【0023】
【式2】
【0024】
現在、改質触媒はNi系が代表的であり、水素製造専用のシステムでは800〜850℃の状態で用いられる。この温度では平衡に近い状態で反応が進み、メタン転換率は90%以上である。これより低い温度で平衡到達度を調べた結果、Ni系触媒は500℃程度でも、適当な空間速度(SV;Space Velocity)を与えれば、その温度における平衡まで到達することを確認した。即ち、本発明が対象とする燃焼排ガスの温度レベルでも、メタン転換率自体は水素製造専用の条件より低いが、改質反応は平衡状態までは進むのである。
【0025】
圧力については低いほど改質反応に有利である。一方、本発明の対象とするプロセスでは水素分離や発電工程があり、これらは通常加圧系である。プロセス全体で適正な圧力を探索し、少なくとも改質工程は常圧とした。
【0026】
図2にメタン転換率ηrf、改質ガス量、改質ガス組成に及ぼすS/Cの影響を示す。改質温度Trfは(a)500℃と(b)550℃のケースとした。メタン転換率ηrfは(3)式で定義した。
【0027】
ηrf= 1 [{改質ガス中のメタン量(mol/h)}/{供給メタン量(mol/h)}] (3)
【0028】
Trf=500℃の場合、2.5≦S/C≦4.5の範囲でS/Cの増加と共にメタン転換率は増加し、ηrf=38〜54%である。また水素は1.5〜2.1mol/mol発生する。改質ガス中の組成では水蒸気が42〜53%と最も多く、続いて水素32〜34%、メタンガス7〜15%、CO+CO2ガスの順番である。本発明では、CH4、CO、CO2の混合ガスを発電用燃料ガスとするが、これらの割合は15〜23%である。図2(b)のTrf=550℃の場合には、ηrf=53〜73%と、温度が高くなる分だけメタン転換率は高くなり、改質ガス中の水素割合も大きくなる。
【0029】
図2はS/Cに対する特性であるが、本発明では、燃焼排ガスの熱量で改質反応の熱量と蒸気発生熱量を賄うので、この熱収支が成立する範囲が存在する。即ち、(4)式及び(5)式を満足する条件が好ましい。
【0030】
回収可能熱量≧改質反応熱量+水蒸気発生熱量 (4)
【0031】
回収可能熱量≒発電用燃料ガス発熱量×(1−発電効率)×熱回収効率+改質
ガス顕熱×熱回収効率 (5)
【0032】
熱回収効率は第一蒸気発生工程からの燃焼排ガス35の温度及び第二蒸気発生工程からの改質ガス26の温度を何度にするかで決まる。当然排熱は最大限回収するのがよく、燃焼排ガス35と改質ガス26の温度はいずれもその圧力での飽和温度、常圧では100℃前後となるようにする。発電効率ηeは発電機器の性能やシステムで決まり、例えば高温ガスタービンを用いた場合は、例えば35%である。図2には熱回収率80%として(4)式を満たす、即ち熱収支が成立する範囲を併記した。(a)Trf=500℃の場合、例えばηe=35%では、S/C≦3.71で熱収支が成立する。S/Cをこれ以上にすると、回収熱量で改質と蒸気発生熱量が賄えない。これ以下では燃焼排ガス35又は改質ガス26の温度が100℃以上となり、まだ熱回収の余地がある。このように最も多く熱回収できる限界のS/Cが存在するが(以降、熱回収限界S/Cと称す)、熱回収限界S/Cはηeが大きくなるほど小さくなる。これはηeが高いほど、燃焼排ガス熱量が少なくなり、発生できる蒸気量が少なくなるからである。(b)Trf=550℃の場合にも同様に熱収支の成立範囲を示したが、各発電効率における熱回収限界S/Cは500℃の場合に比べ小さくなる。これは温度が高くなると、メタン転換率が高くなり改質の熱量を多く必要とすること、また蒸気温度自体は高くなる事から、熱収支的に発生できる蒸気量が少なくなるためである。
【0033】
以上が改質反応の特性であるが、次に電力と水素の回収量の向上という観点から、両者を併せた総合熱効率について説明する。総合熱効率ηtotの定義は次のようである。
【0034】
ηtot=(発生電力+水素発熱量)/(供給メタン発熱量) (6)
【0035】
図2によると、ηeが小さいほど、即ち発生電力が少ないほど(熱回収限界S/Cが大きくなるほど)水素量は多くなり、両者はS/Cに対して相反関係にある。そこで熱回収限界S/Cにおける総合熱効率を求めて、両者の関係を図3に示した。この図3にはTrf=500、550℃に加え、530、570℃の結果も示した。その結果、ηeとTrfが異なっても、総合効率は熱回収限界S/Cで関係付けられ、熱回収限界S/Cの低下と共に大きくなることが明らかとなった。
【0036】
即ち、燃焼排ガス及び改質ガスからの熱を最大限回収するような条件では、総合熱効率は熱回収限界S/Cに強く規定され、特定の総合熱効率以上とするには熱回収限界S/Cを特定の値以下にするのがよい。図1のプロセスでわかるように、本プロセスの熱損失は第一水蒸気発生工程からの燃焼排ガスのエンタルピと第二水蒸気発生工程からの改質ガスの冷却損失であり、これらの温度を例えば100℃と規定すると、結局プロセスからの熱損失は改質のために供給した水の量(水と燃料の比)に支配されるということである。図3から、総合熱効率が従来改質設備の熱効率78〜80%を上回るには、熱回収限界S/Cが3.5以下になるような発電工程や熱回収工程を持ったプロセスにすればよい。
【0037】
一方、S/Cの選定は主に炭素析出障害防止の観点からも規定され、現在、S/C=3前後以上が一般的である。図3でわかるように、80%以上の総合熱効率を可能とする熱回収限界S/Cには3.0以上の条件が存在し、本発明の成立条件は改質器での炭素析出防止条件をも満たす。従って、熱回収限界S/Cが例えば3.0以上の場合、改質工程に導入する水蒸気と燃料の比(以降、改質操作S/Cと称す)を3.0程度にすることが可能である。この場合、発生した水蒸気は余ることになる。そこで本発明ではこの水蒸気を発電工程の燃焼機関に導入して、機関の熱出力を増加させることにした。その結果、後述の実施例で説明するように総合熱効率は更に増大する。
【0038】
以上、総合熱効率を高く出来ることを説明したが、実際には発生した電力は水素の分離や発電設備への燃料供給の動力に使われるので、この分を差し引いた電力が生産されることになる。この正味熱効率を大きくするには、加圧の動力を最小限にする必要がある。この動力は水素分離方式と深く係わっている。水素分離工程は大きく、i)PSA(又はTSA)とii)分離膜方式がある。i)は通常、常圧〜加圧下で吸着し、減圧下で脱着する。ii)は通常原料側は加圧下であり、例えば0.4〜1.0MPaである。発電工程の燃焼器が加圧で作動する場合(例えばガスタービン)、加圧方式には次の3つの方法が考えられる。
【0039】
A)i)を用いて水素分離工程は常圧で行い、水素が分離された改質ガス(発電用燃料ガス)を燃焼器圧力まで加圧する。
B)i)又はii)を用い、水素分離工程の前で発電工程に必要な圧力まで一度に加圧する−1段加圧法。
C)i)又はii)を用い、まず水素分離工程に必要な圧力まで加圧し、水素が分離された後のガスを更に発電工程に必要な圧力まで加圧する−2段加圧法。
【0040】
一方、加圧動力は作動流体の量に比例するが、図2に示したように、改質ガス中には水蒸気の割合が最も多く、続いて水素、メタンガス、CO+CO2ガスの順番である。水蒸気を除いた組成では、水素が60〜80%を占め、残りが発電用燃料ガスである。従って、上記C)の方法のように、まず、水素分離用に低い圧力で一旦加圧し、水素が除かれた発電用燃料ガスを更に加圧する方法が最も加圧動力が少ない。A)の方式は吸着が例えば1100kPaで脱着が300kPaなので、改質ガス25の加圧は不要であるが、脱着にかなり動力を要する。この動力は吸着剤の性能に依存するが、ケースB)の動力よりは少ない。従って、本発明ではC)又はA)の方式を採用することで、正味熱効率を大きくすることとした。C)の場合、当然ながら、ガスタービンの圧力が水素分離工程の圧力と等しいか小さい場合は第二の加圧工程は不要となる。
【0041】
ところで、前記ii)の水素分離法は一般的に加温下で実施される。金属膜の場合は温度が高いほど分離性能は優れ、450〜600℃で操作される。また高分子膜の場合は同様に50〜100℃である。本発明では改質ガスを水素分離工程に必要な圧力まで加圧するとガスの温度が210〜240℃に上昇するので、その温度条件で分離が可能な膜が好適である。
【0042】
熱回収限界容積比と改質操作容積比の差に相当する水蒸気を発電工程に導入する場合、第一水蒸気発生工程を加圧系統と常圧系統に分離し、常圧系統からの水蒸気を改質工程用、加圧系統からの水蒸気を発電工程用とする。発電工程用水蒸気は直接発電工程の燃焼機関に導入するので、圧力は燃焼機関に好適な圧力とし、例えば2.0MPaである。この場合、水を加圧することになるので加圧動力は極めて少ない。
【0043】
以上、本発明は、未反応の燃料を含む改質ガスから先ず水素を分離し、残りのガスで発電する、いわば物質のカスケード利用であり、S/Cの選定と2段加圧法により、一次エネルギーから電力と水素を効率よく発生させられるものである。
【0044】
更に、本発明は、発電プラントで得られる燃焼排ガスの熱によって気体又は液体の炭化水素燃料を触媒の存在下で反応させて水素を含む可燃性ガスを発生させる燃料改質器と、該燃料改質器で得られる前記可燃性ガスを水素とそれ以外のガスとに分離するガス分離器と、前記ガス分離器で得られる前記水素以外のガスを前記発電プラントの主燃料として供給するラインとを有すること、又は前記燃料改質器で得られる前記可燃性ガスを冷却する熱交換器と、該冷却された前記可燃性ガスを水素とそれ以外のガスとに分離するガス分離器と、前記ガス分離器で得られる前記水素以外のガスを前記発電プラントの燃料として供給するラインとを有することを特徴とする炭化水素燃料からの電力と水素の併産プラントにある。本発明についてより具体的には以下の実施例によって説明する。
【0045】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
図4はガスタービン発電プラントを用いた本発明のシステム構成図である。本システムは空気圧縮機11、燃焼器12、ガスタービン13、排熱回収型改質器40、改質器21、第一水蒸気発生器31、第二水蒸気発生器51、冷却器80、第一加圧機120、水素分離装置60、第二加圧機130、及び発電機14より構成される。燃焼器12には後述の方法で製造された発電用燃料ガス65を主燃料として燃焼が行われる。この主燃料に対して補助的に別途燃料供給手段を設けることができる。ガスタービン13からの燃焼排ガス15は排熱回収型改質器40に導入される。
【0046】
排熱回収型改質器は燃焼排ガスを流通させるダクトであり、その内部に、改質器21と第一水蒸気発生器31が納めてあり、改質反応と水蒸気発生が、燃焼排ガス15の熱により逐次行われるようになっている。改質器は燃料1と水蒸気の改質反応をさせるもので改質触媒が装填されている。改質触媒は例えばNi系である。触媒の量は所定の燃料が所定の転換率となるように決められる。
【0047】
改質器の構造は伝熱管タイプのものやプレート熱交換型のものであり、いずれにしても熱伝達が速やかに行わせるため、高温側(燃焼排ガス側)には例えばフィンや溝を付けた構造とする。改質器と第一水蒸気発生器の中間にガス混合器70が設置されている。これは第一、及び第二水蒸気発器から発生した水蒸気32、52と燃料1を集合させるパイプ又は容器であり、混合ガス33が改質器の入口に流れるようになっている。改質器を通過した燃焼排ガス16は第一蒸気発生器31に導入される。
【0048】
第一水蒸気発生器及び第二水蒸気発生器は、節炭器、蒸発器、過熱器で構成される排熱回収型の蒸気発生器である。ここには後述する冷却器80で回収された温水5、6が導入される。第一水蒸気発生器では燃焼排ガス16が飽和温度(常圧で100℃前後)になるまで熱を回収する。低温燃焼排ガス35はそのまま大気に放出される。燃料1は流量を調節した後、ブロワー110により混合器70に送られる。改質器21を出た改質ガス25は第二水蒸気発生器51に送られる。ここで改質ガスと水の熱交換が行われ、水蒸気52が発生する。この水蒸気は前述混合器70に送られる。
【0049】
第二水蒸気発生器を出た改質ガス26は冷却器80に導入される。冷却器では改質ガス中の水分4が凝縮され、これを前記改質用の水蒸気源とする。熱損失を低減するため、冷却温度はできるだけ高いのがよく、例えば70〜90℃である。なお、ここで回収される水の量は供給時より減少しているので、給水2が必要で、これは給水ポンプ100で供給される。復水4と給水2は給水ポンプ101及び102でそれぞれ第一、第二水蒸気発生器50に送られる。冷媒81としては空気又は冷水等である。
【0050】
冷却器80によって改質ガス27から水分が復水4となって除去され、更に第一加圧機120で昇圧され水素分離装置60に送られる。この圧力は水素分離に好適な圧力とする。水素分離法としては、例えば高分子膜法であり、その圧力は例えば1.0MPaである。改質ガス26をこの圧力まで加圧すると断熱圧縮により温度は約210〜240℃に上昇するので、温度を調節して分離装置に流通する。水素分離装置60の低圧側からは分離された水素ガス61が発生する。それ以外のガスを発電量燃料ガス65とする。このガスを第二加圧機130に通し、供給に好適な圧力、例えば2.0MPaまで加圧する。第二加圧機には起動時に燃料1を加圧できるよな系統が設置されている。加圧された発電用燃料ガス66は流量調節弁90で流量を調節された後、燃焼器12に導入される。
【0051】
なお、水素分離装置から得られる水素は高純度であるが、発電用燃料ガス66は組成は、図2に示したように、CH4、CO2、COが主成分である。しかし水素分離装置の性能や操作条件によっては水素は100%分離されなく、発電用燃料ガス側にもわずかに含まれる。本明細書では、発電用燃料ガスのことを、便宜上、“水素以外のガス”と表現する場合があるが、これは水素がまったく含まれない、という意味ではなく、“水素分離装置の性能を充分発揮した上で分離されなかった水素が含まれるガス”、という意味で用いる。
【0052】
本装置の運転方法は次のようである。起動時には全系統が低温なので、まず燃料1を第二加圧機130を通して直接、燃焼器12に供給してガスタービン13を起動させる。ボイラ40には燃焼排ガス15が流れるので、第一水蒸気発生器31に予め設定した量の水6を供給して水蒸気32を発生させ、この水蒸気32を改質器21に導入し、更に第二水蒸気発生器51に流通させてこの系統を加熱する。同様に予め設定した量の水5を第二水蒸気発生器51に流通させ水蒸気52を発生させる。蒸気温度が適正になった時点で燃料1を混合器70にも流し改質反応を開始させる。改質ガスが前記の工程を経て水素分離装置(水素分離工程)に導入され、水素が生成し始めると同時に、発電量燃料ガス65が燃焼器12に導入される。この導入開始と共に、燃料1を第二加圧機130から混合器70に随時切り替えて起動用燃料ガス量を減少し、最終的に改質ガス25から水素を分離して得た発電量燃料ガス65に全て置き換える。以降、燃料流量とS/Cを制御しながら定常運転を行う。
【0053】
前述したように、本発明では限界S/Cで操作することが重要であり、このため、排熱回収型改質器40からの低温燃焼排ガス35の温度と第二水蒸気発生器からの改質ガス26の温度を飽和温度近くに維持するよう、給水5及び6の量を制御する。運転中は混合器70から燃焼器12の入口までの全系が可燃性ガスが存在するので、停止時にはまず燃料1の供給を停止した後、暫らくの間は給水を続け予熱で発生される水蒸気で全系がパージされるようにする。
【0054】
本発明では改質温度を決める一番の要因は燃焼排ガス温度であり、この温度はガスタービンの仕様により異なるので、熱効率に及ぼすその影響を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
この実施例では燃焼器温度を一定とし、燃焼排ガス15の温度が異なるケース、例えば圧力比が異なる仕様での比較である。燃焼排ガス温度が低いということはガスタービン自体の熱効率は高いことを意味する。なお、熱回収は充分行い、低温燃焼排ガス35及び改質ガス26の温度はいずれも102〜104℃の条件である。改質器入口温度というのは混合器70における混合ガス33の温度であり、出口温度というのは改質ガス25の温度である。
【0057】
本実施例のような熱交換型の改質器では混合ガスの入口と出口で温度の分布が生じる。入口側は300℃を超えた程度であり、実質的には改質器の下流側で反応が顕著である。入口温度は高いほど改質器での熱負荷は軽減するが、高すぎると燃焼排ガス15との温度差が小さくなり熱交換効率的には不利である。水素製造用の改質器においても水蒸気の入口温度は300〜350℃が典型であり、本実施例の排熱回収型改質器においてもそのレベルの温度が得られた。燃焼排ガス35と改質ガス26にはケース1で70℃程度の温度差があり、この差は燃焼排ガス温度が高くなるほど大きくなった。燃焼排ガス35の温度が高くなると伝熱量も増えるが、それに伴い改質反応が進んで吸熱量が増加するので、これらの収支関係で表1の温度になったものである。
【0058】
メタン転換率は48〜55%となった。総合熱効率の内、電力の占める効率(発電効率)と水素の占める効率は表のようであり、水素の占める割合が大きい。燃焼排ガス温度の増大により発電効率は低下する一方、改質反応は進み水素の発生量が増大する。その結果として、総合熱効率は燃焼排ガス温度と共に増大する。総合熱効率から第一、第二加圧工程で消費される電力を差し引いた正味熱効率は35〜80%となった。
【0059】
(実施例2)
表2には燃焼器温度を高くすることで燃焼排ガス温度を高くしたケースの比較である。例えば圧力比は同じ仕様である。表1と同様、いずれも熱回収は充分行い、燃焼排ガス35及び改質ガス26の温度は102〜104℃である。燃焼排ガス温度の上昇に伴い改質器出口温度が上昇し、メタン転換率は増大する。一方発電効率自体は低下するが、その結果として総合熱効率は燃焼排ガス温度と共に上昇した。ケース6、7で正味熱効率は80%以上となっており、S/Cは3.52以下であった。
【0060】
【表2】
【0061】
(実施例3)
表3にはラジアルタービンを用いた小型の発電機を備えたシステムに適用した例を示す。圧縮比は例えば4、燃焼器温度が970℃である。燃焼排ガス温度は高くなり、メタン転換率は59.6%となった。この結果発電効率は低くなるが総合統合効率は80%以上となる。この実施例では燃焼圧力は水素分離圧力とほぼ等しくしたので、第二加圧工程は不要となり、加圧動力も小さくなるので、正味熱効効率は80%近くになった。
【0062】
【表3】
【0063】
(実施例4)
表1〜3には熱回収限界S/Cが3.5以上のケースも示したが、このケースの場合、改質操作S/Cを、例えば3.0とすると発生蒸気量が余る。このような場合には余剰な蒸気を発電工程に供給するのが良い。図5は、ガスタービン発電プラントを用いたこのような場合のシステム構成図である。本実施例においても、図4と同様に得られた改質ガス25は水素61が分離され、残った可燃性ガスが発電用燃料ガス65を主燃料として用いられる。起動時及びその後の運転は実施例1と同様である。本実施例は図4に示した排熱回収型改質器40に、第三水蒸気発生器41を改質器21と第一水蒸気発生器31との間に設け、それへの給水系統及びそれによって得られる水蒸気42を燃焼器12に導入する系統を追加したものである。水7は給水ポンプ160で加圧され、発生した水蒸気42はそのまま燃焼器12へ供給される。水蒸気圧力は燃焼器12の操作に好適な圧力、例えば2.0MPaである。この実施例では給水ポンプ101及び102で供給される水蒸気量は改質操作S/Cが所定の値、例えば3.0になるようにし、給水ポンプ160で供給される水蒸気量は、低温燃焼排ガス35の温度が飽和温度になるように供給する。なお、低温排ガス35を公知の方法で復水器に通して冷却し、回収された水を原料の水7の一部にしてもよい。水蒸気42を燃焼器12に導入することによってガスタービンのパワーを高めることができる。
【0064】
前述の表1のケース1では熱回収限界S/C=3.93なので、この発電工程の仕様において、改質操作S/Cを変えた場合の結果を表4に示す。
【0065】
【表4】
【0066】
ケース1は熱回収限界S/Cで操作した場合、1−1、1−2、1−3は改質操作S/Cをそれぞれ3.5、3.0、2.5とした場合である。改質操作S/Cを小さくするに伴い総合効率は上昇した。
【0067】
これは、改質操作S/Cを小さくするに伴いガスタービン燃焼器に供給される水蒸気量が増えるので発電量が増加することと、燃焼排ガス熱量が増加するので改質器の温度が高くなり、S/Cは減少するが温度上昇の効果でメタン転換率は上昇し、結果として水素生成量の減少が低く抑えられたためである。改質器の操作S/Cを3.0とすると、正味効率は80.5%となった。
【0068】
(実施例5)
実施例1〜3のケース3、6及び8についても図5のシステムで同様に実施した結果、表5に示すように、いずれのケースでも正味熱効率は増大した。ケース8−1はラジアルタービンを用いて圧力比4.0とした場合であるが、正味熱効率は83%と極めて高効率となった。
【0069】
【表5】
【0070】
以上、第一水蒸気発生工程からの燃焼排ガス及第二水蒸気発生工程からの可燃性ガスの温度がそれぞれ飽和温度になるように充分熱回収された時の水蒸気量と原料の容積比(熱回収限界S/C、mol単位)が、ほぼ3.5以下となるような排熱温度と熱効率を持つ発電工程の仕様とする時に、高い総合熱効率が得られる。改質器操作条件がこれより小さい場合は余剰の水蒸気を発電工程の熱機関に導入することで更に高い効率が達成できる。
【0071】
電力と水素を併産する設備においては需要の変動に対応する必要がある。このため図4及び図5のシステムにおいて水素貯蔵設備150を設置する。水素貯蔵設備150は加圧貯蔵容器、又は水素貯蔵合金、又は液体水素容器である。水素需要が少ない時には加圧ポンプ140によって分離された水素ガスを貯蔵する。貯蔵設備から需要の変動に対して適宜水素151を外部需要系統61へ流す。
【0072】
炭化水素原料としては、CH4を主成分とするガス、例えば天然ガス、炭層メタンガス、メタンハイドレート、都市ガス、発酵メタンガスが好適である。また水蒸気により改質されうるC3H8を主成分とするガス又は液体、C4H10を主成分とするガス又は液体、石油精製系液体燃料、廃油、有機物や廃棄物の熱分解で生成した液状物等、水蒸気により改質されうる原料でそれぞれ単独及び複数個の混合物が可能である。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、一次エネルギーを代表的なクリーン燃料である電力と水素に高い効率で転換できるので、省資源、省エネルギー及び一層の環境保全が図れる。発電工程にガスタービンを用いた場合、小規模なシステムにおいても熱効率は低下せず、同様な効果があるので、民生用から事業用まで広く電力と水素の需要に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法そのプラントを示す基本構成図である。
【図2】本発明の改質反応特性を説明する図である。
【図3】本発明の総合熱効率特性を説明する図である。
【図4】本発明をガスタービン発電プラントに適用したその全体構成図である。
【図5】本発明をガスタービン発電プラントに適用した他の全体構成図である。
【符号の説明】
1…燃料、2…水、3…空気、10…発電工程、11…空気圧縮機、12…燃焼器、13…ガスタービン、15…燃焼排ガス、20…改質工程、21…改質器、25…改質ガス、30…第一水蒸気発生工程、31…第一水蒸気発生器、32…水蒸気、35…低温燃焼排ガス、40…排熱回収型改質器、41…第三水蒸気発生器、50…第二水蒸気発生工程、51…第二水蒸気発生器、60…水素分離工程、61…水素、65…発電用燃料ガス、70…混合器、80…冷却器、81…冷媒、90…発電用燃料ガス流量調節弁、100、101、102…給水ポンプ、110…燃料ブロワー、120…第一加圧器、130…第二加圧器、140…水素加圧機、150…水素貯蔵設備第、160…加圧給水ポンプ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化水素原料を用いた新規な電力と水素の併産方法とそのプラント及びその排熱回収型改質器に関する。
【0002】
【従来の技術】
水素はクリーンな二次原料及び燃料であり、化学製品原料、鉱石還元剤、硫黄化合物の脱硫剤、燃料電池用燃料として使用され、また今後事業用の発電燃料、自動車用燃料等への期待が大きい。現在最も一般的な水素の製造方法は天然ガス、石油系燃料の部分酸化法又は水蒸気改質法である。また石炭やバイオマスを原料とする場合は部分酸化(ガス化)により製造されている。その他、太陽熱や光、又は各種の触媒を用いた水の分解法も試みられている。
【0003】
一方、電力もクリーンエネルギーであり、その利便性から今後消費量が増大する。化石燃料の最も環境性に優れた使い方として、電力と水素の二次エネルギーへの転換が考えられ、両者を高効率で同時に生産するシステムが望まれる。石油精製業や製鉄業では電力と水素を同時に必要としているが、一般に両者は別々の燃料で別々の方法で製造されている。同時に製造する方法としては、例えば固体の炭化水素原料を酸素でガス化し、生成したガスの一部をガスタービン燃料として発電する一方、他の一部のガスを変性して水素を製造するシステムが提示されている。
【0004】
同時に製造する方法としては、例えば固体の炭化水素原料を酸素でガス化し、生成したガスの一部をガスタービン燃料として発電する一方、他の一部のガスを変性して水素を製造するシステムが提示されている。
【0005】
近年、発電工程からの排熱を利用して燃料を水蒸気改質し、得られた可燃性ガスから水素とオフガスに分離し、電力と水素を得ようとする試みがなされている。特開平2−207144号公報には、発電工程からの排熱を利用して燃料を水蒸気改質し、得られた可燃性ガスから水素とオフガスに分離することに関し、排熱からは蒸気のみを発生させ、この蒸気とメタノールを改質器に導入して生成ガスから水素を分離し、オフガスをガスタービンの補助燃料とすることが、記載されている。また特開2002−122030号公報には燃焼排ガスの熱回収で得られた水蒸気を天然ガスの改質用に供給し、得られた改質ガスから水素を分離し、オフガスを改質器加熱の燃料、又はガスタービンの補助燃料に用いることが示されている。
【0006】
同じく排熱利用ではあるが、電力のみを目的としたものとして、特開平8−2609142号公報には、燃焼排ガスの熱を使って天然ガスを改質し、改質ガスから水素を分離し、水素を燃料電池の燃料とする一方、オフガスはガスタービンの補助燃料とすることが示されている。
【0007】
天然ガスの水蒸気改質温度は相対的に高い一方、燃焼排ガスの温度はそれに対して低いので、上述の公知例ではいかに改質の転換率を高めるかに主眼があり、その原理と作用は古くから知られているメタン−水蒸気改質反応特性に基づき(例えば、P.Wellman & S.Katell, ゛How Pressure and Temperature Affect Steam−Methane Reforming”, Hydrocarbon Processing & Petroleum REFINER,Vol.42,No.6,June 1963)、改質の温度、圧力等がそれぞれ工夫されている。また、排熱を利用したメタノールの改質に関しても、ガスタービン排ガスの熱による改質や(例えば、新エネルギー・産業技術綜合開発機構、H7年度石油火力発電所メタノール転換等実施試験委託業務報告書、平成8年3月)、自動車排ガスの排気管に触媒を充填した改質器を設置し、メタノールを改質してCO、H2を含むガスを製造し、これを冷却した後、吸気管に導入してエンジンに供すること(広田寿男、メタノール改質エンジンの研究、自動車技術、Vol.34,No.10,1980)等が知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
化石燃料などの一次エネルギーから二次エネルギーへの転換では熱効率を高めることが必須であり、電力と水素の併産においても同様である。即ち、一次エネルギーから電力と水素の製造量の合計を最大にすることである。水素又は電力個々の製造に関する熱効率は以下が代表的である。例えば天然ガスにより水蒸気改質法で水素を製造する場合、水蒸気改質に必要な熱は原料である天然ガスを一部燃焼するので、熱効率を上げるため燃焼排ガスの熱は水蒸気の発生や燃焼用空気の予熱に合理的に利用されており、その結果、単位天然ガス量当りの水素製造量は0.22Nm3/Nm3で、熱効率は78%である(松浦康夫、“石炭ガス化、ガス化発電プラントの経済性”、アイピーシー、1992年)。
【0009】
また電力でいえば、天然ガスによる最新のガスタービン、蒸気タービン複合発電システムでは発電効率48〜50%であり、これに燃料電池を加えた複合システムでは55〜60%となる。しかし、電力と水素を併産する場合、各々の技術、システムを単に組み合わせただけでは、それぞれの最高効率が限界である。例えば原料のそれぞれ50%を電力と水素の製造に用いたとして、熱効率は0.5×50%+0.5×78%=64%であり、仮に全量水素を製造した場合でも前記の78%前後である。前記、固体燃料をガス化し電力と水素を併産する場合には全て電力を製造する場合で45〜48%、全て水素を製造する場合で75〜80%であり、両者の併産では少なくとも80%を超えることはなかった。
【0010】
前記、排熱利用で改質し水素を分離する公知例では、水素が分離されたオフガスはガスタービンの補助燃料であったり、他の加熱源であったりし、いずれにしてもガスタービンには主燃料として原料である天然ガスを供給しているため電力と水素を併産する際の燃料使用量が多く、水素を分離したオフガスは有効なエネルギーの利用にはなっていない。
【0011】
なお、ガスタービン排熱利用で発電のみを行う前記公知例には電力と水素の併産は示されていないが、天然ガスの転換率を高めるため改質温度を上げることが必要となり、加熱用の熱が使われていたり、蒸気の発生と利用プロセスが最適でなかったりし、熱効率(発電効率)を阻害する要因となっていた。
【0012】
本発明の目的は、発電機関の一次エネルギーを排熱として利用して代表的なクリーン燃料である電力と水素を高い効率でエネルギー転換できる炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法とそのプラント及びその排熱回収型改質器を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明では、発電設備から出る排熱を利用して燃料の改質を行い、改質ガス中の水素を分離した後、改質されなかったガスを発電設備の燃料とする電力と水素の回収率を高くするものである。
【0014】
本発明は、発電工程から排出される燃焼排ガス熱によって気体又は液体の炭化水素燃料を触媒の存在下で反応させて水素を含む可燃性ガスを発生させる燃料改質工程と、該燃料改質工程で生成される可燃性ガスを水素とそれ以外のガスに分離するガス分離工程とを有し、該ガス分離工程で得られる前記水素以外のガスを前記発電工程の主燃料として供給すること、又は前記燃料改質工程で生成される可燃性ガスを冷却させる熱交換工程と、該冷却された前記可燃性ガスを水素と水素以外のガスに分離するガス分離工程とを有し、該ガス分離工程で得られる前記水素以外のガスを前記発電工程の燃料として供給する炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法にある。
【0015】
又、本発明は、発電工程から排出される燃焼排ガスの熱によって気体又は液体の炭化水素燃料を触媒の存在下で反応させて水素を含む可燃性ガスを発生させる燃料改質工程と、該燃料改質工程から出た前記燃焼排ガスの熱によって水蒸気を発生させる第一水蒸気発生工程と、前記燃料改質工程で生成される前記可燃性ガスの熱によって水蒸気を発生させる第二水蒸気発生工程と、前記第一水蒸気発生工程及び第二水蒸気発生工程で得られる前記水蒸気と前記燃料とを混合させて前記燃料改質工程に導入する工程とを有する炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法にある。
【0016】
即ち、本発明は、より具体的には、気体又は液体の炭化水素燃料から電力と水素を生産する方法において、発電工程からの燃焼排ガスの熱によって水蒸気と前記燃料を触媒の存在下で反応をさせて水素を含む可燃性ガスを発生させる燃料改質工程と、燃料改質工程からの燃焼排ガスの熱を更に回収して燃料改質に必要な水蒸気1を発生させる第一蒸気発生工程と、前記燃料改質工程で生成する可燃性ガスの熱を回収することによって水蒸気2を発生させる第二蒸気発生工程と、第二蒸気発生工程で熱を回収された可燃性ガスを、主に水素を含むガスと水素以外のガスに分離するガス分離工程と、第一、第二蒸気発生工程で発生した水蒸気と前記燃料を混合させて燃料改質工程に導入する工程とを有し、ガス分離工程で得られる水素を含まないガスを発電工程の燃料として発電し、ガス分離工程で得られた水素を貯蔵又は需要先に送るようにした炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法にある。
【0017】
ここにおいて、燃料改質工程及び第一、第二蒸気発生工程を常圧又はそれ以下の圧力で実施し、第二蒸気発生工程で熱を回収された可燃性ガスを復水工程に導入し、水蒸気を除去した可燃性ガスを加圧して続くガス分離工程に導入し、ガス分離工程で得られた水素を含まない可燃性ガスをガスタービンの運転に好適な圧力まで加圧した後、発電工程に導入することにより、発生電力の所内消費量を最小限にし正味の熱効率を高めることとした。この場合、第一水蒸気発生工程からの燃焼排ガス、及び第二水蒸気発生工程からの可燃性ガスの温度がそれぞれ飽和温度になるように充分熱回収された時の水蒸気量と原料の容積比(熱回収限界容積比、mol/mol)が3.5以下となるように燃焼排ガス温度と熱効率を設定すると高い効率が得られる。更に、この熱回収限界容積比が、改質反応において炭素析出障害を防止しうる水蒸気と原料の容積比(改質操作容積比、mol/mol)より大きい場合、熱回収限界容積比と改質操作容積比の差に相当する水蒸気を発電工程に導入して発電機の出力を増加させると、総合熱効率が一層向上する。
【0018】
電力と水素の需要は変動するので、上述の工程で電力と水素を製造する設備で水素貯蔵設備を設け、水素需要の変動に応じて貯蔵量と需要先供給量を調節する設備とした。
【0019】
炭化水素原料としては、CH4、C3H8及びC4H10を主成分とするガス又は液体、石油精製系液体燃料、廃油、有機物や廃棄物の熱分解で生成した液状物及びこれら複数個の混合物等、触媒の存在下で水蒸気との反応で水素を生成できるものが対象である。
【0020】
図1は本発明の炭化水素燃料からの電力と水素の併産を実施するプロセスとそのプラントの基本構成図である。本プロセスは発電工程10、燃料改質工程20、第一水蒸気発生工程30、第二水蒸気発生工程50、水素分離工程60より構成される。発電工程10からの燃焼排ガス15を燃料改質工程20に導入する。続いてここからの燃焼排ガス16を続く第一蒸気発生工程30に導入する。燃料1は脱硫等の前処理(図示しない)をした後、ガス混合工程70に導入し、ここで第一水蒸気発生工程で発生した水蒸気32及び後述する第二水蒸気発生工程で発生した水蒸気52と混合する。燃料改質工程20には触媒を充填した改質器21が設置されており、ここからの改質ガス25を第二水蒸気発生工程50に導入する。ここで発生した水蒸気52が前述のガス混合工程70に導入される。第二水蒸気発生工程で熱を回収された改質ガス26は冷却器(図示なし)によって水分が除かれて水素分離工程60に導入され、水素ガス61と水素を含まない可燃性ガスである発電用燃料ガス65に分離される。水素を含まない発電用燃料ガス65が発電工程10の主燃料となる。しかし、発電工程10では、起動時には別途設けられた燃料供給手段から燃料が供給される。又、第一、第二蒸気発生器には水2が供給される。
【0021】
このようなプロセスにおける燃料の改質特性について説明する。燃料はメタンガスを例とする。改質特性には温度、圧力、水蒸気と燃料(メタンガス)の容積割合(以降、S/C、単位 mol/mol)が影響することが公知である。改質温度Trfは燃焼排ガスの温度と熱交換器の特性により決まる。発電に用いる内燃機関の燃焼排ガスの温度は400〜700℃が一般的であり、本発明でもこの範囲を対象とする。このような温度の排ガスと熱交換するので、改質温度は燃焼排ガスの温度より低くなり、500℃レベルを対象としなければならない。温度が低いと当然改質の程度(メタン転換率)は低くなるが、ここで重要なことは低い温度でもその温度における改質反応の平衡状態まで到達するかどうかである。改質器内では(1)式の改質反応と(2)式のCO転化反応が併発している。
【0022】
【式1】
【0023】
【式2】
【0024】
現在、改質触媒はNi系が代表的であり、水素製造専用のシステムでは800〜850℃の状態で用いられる。この温度では平衡に近い状態で反応が進み、メタン転換率は90%以上である。これより低い温度で平衡到達度を調べた結果、Ni系触媒は500℃程度でも、適当な空間速度(SV;Space Velocity)を与えれば、その温度における平衡まで到達することを確認した。即ち、本発明が対象とする燃焼排ガスの温度レベルでも、メタン転換率自体は水素製造専用の条件より低いが、改質反応は平衡状態までは進むのである。
【0025】
圧力については低いほど改質反応に有利である。一方、本発明の対象とするプロセスでは水素分離や発電工程があり、これらは通常加圧系である。プロセス全体で適正な圧力を探索し、少なくとも改質工程は常圧とした。
【0026】
図2にメタン転換率ηrf、改質ガス量、改質ガス組成に及ぼすS/Cの影響を示す。改質温度Trfは(a)500℃と(b)550℃のケースとした。メタン転換率ηrfは(3)式で定義した。
【0027】
ηrf= 1 [{改質ガス中のメタン量(mol/h)}/{供給メタン量(mol/h)}] (3)
【0028】
Trf=500℃の場合、2.5≦S/C≦4.5の範囲でS/Cの増加と共にメタン転換率は増加し、ηrf=38〜54%である。また水素は1.5〜2.1mol/mol発生する。改質ガス中の組成では水蒸気が42〜53%と最も多く、続いて水素32〜34%、メタンガス7〜15%、CO+CO2ガスの順番である。本発明では、CH4、CO、CO2の混合ガスを発電用燃料ガスとするが、これらの割合は15〜23%である。図2(b)のTrf=550℃の場合には、ηrf=53〜73%と、温度が高くなる分だけメタン転換率は高くなり、改質ガス中の水素割合も大きくなる。
【0029】
図2はS/Cに対する特性であるが、本発明では、燃焼排ガスの熱量で改質反応の熱量と蒸気発生熱量を賄うので、この熱収支が成立する範囲が存在する。即ち、(4)式及び(5)式を満足する条件が好ましい。
【0030】
回収可能熱量≧改質反応熱量+水蒸気発生熱量 (4)
【0031】
回収可能熱量≒発電用燃料ガス発熱量×(1−発電効率)×熱回収効率+改質
ガス顕熱×熱回収効率 (5)
【0032】
熱回収効率は第一蒸気発生工程からの燃焼排ガス35の温度及び第二蒸気発生工程からの改質ガス26の温度を何度にするかで決まる。当然排熱は最大限回収するのがよく、燃焼排ガス35と改質ガス26の温度はいずれもその圧力での飽和温度、常圧では100℃前後となるようにする。発電効率ηeは発電機器の性能やシステムで決まり、例えば高温ガスタービンを用いた場合は、例えば35%である。図2には熱回収率80%として(4)式を満たす、即ち熱収支が成立する範囲を併記した。(a)Trf=500℃の場合、例えばηe=35%では、S/C≦3.71で熱収支が成立する。S/Cをこれ以上にすると、回収熱量で改質と蒸気発生熱量が賄えない。これ以下では燃焼排ガス35又は改質ガス26の温度が100℃以上となり、まだ熱回収の余地がある。このように最も多く熱回収できる限界のS/Cが存在するが(以降、熱回収限界S/Cと称す)、熱回収限界S/Cはηeが大きくなるほど小さくなる。これはηeが高いほど、燃焼排ガス熱量が少なくなり、発生できる蒸気量が少なくなるからである。(b)Trf=550℃の場合にも同様に熱収支の成立範囲を示したが、各発電効率における熱回収限界S/Cは500℃の場合に比べ小さくなる。これは温度が高くなると、メタン転換率が高くなり改質の熱量を多く必要とすること、また蒸気温度自体は高くなる事から、熱収支的に発生できる蒸気量が少なくなるためである。
【0033】
以上が改質反応の特性であるが、次に電力と水素の回収量の向上という観点から、両者を併せた総合熱効率について説明する。総合熱効率ηtotの定義は次のようである。
【0034】
ηtot=(発生電力+水素発熱量)/(供給メタン発熱量) (6)
【0035】
図2によると、ηeが小さいほど、即ち発生電力が少ないほど(熱回収限界S/Cが大きくなるほど)水素量は多くなり、両者はS/Cに対して相反関係にある。そこで熱回収限界S/Cにおける総合熱効率を求めて、両者の関係を図3に示した。この図3にはTrf=500、550℃に加え、530、570℃の結果も示した。その結果、ηeとTrfが異なっても、総合効率は熱回収限界S/Cで関係付けられ、熱回収限界S/Cの低下と共に大きくなることが明らかとなった。
【0036】
即ち、燃焼排ガス及び改質ガスからの熱を最大限回収するような条件では、総合熱効率は熱回収限界S/Cに強く規定され、特定の総合熱効率以上とするには熱回収限界S/Cを特定の値以下にするのがよい。図1のプロセスでわかるように、本プロセスの熱損失は第一水蒸気発生工程からの燃焼排ガスのエンタルピと第二水蒸気発生工程からの改質ガスの冷却損失であり、これらの温度を例えば100℃と規定すると、結局プロセスからの熱損失は改質のために供給した水の量(水と燃料の比)に支配されるということである。図3から、総合熱効率が従来改質設備の熱効率78〜80%を上回るには、熱回収限界S/Cが3.5以下になるような発電工程や熱回収工程を持ったプロセスにすればよい。
【0037】
一方、S/Cの選定は主に炭素析出障害防止の観点からも規定され、現在、S/C=3前後以上が一般的である。図3でわかるように、80%以上の総合熱効率を可能とする熱回収限界S/Cには3.0以上の条件が存在し、本発明の成立条件は改質器での炭素析出防止条件をも満たす。従って、熱回収限界S/Cが例えば3.0以上の場合、改質工程に導入する水蒸気と燃料の比(以降、改質操作S/Cと称す)を3.0程度にすることが可能である。この場合、発生した水蒸気は余ることになる。そこで本発明ではこの水蒸気を発電工程の燃焼機関に導入して、機関の熱出力を増加させることにした。その結果、後述の実施例で説明するように総合熱効率は更に増大する。
【0038】
以上、総合熱効率を高く出来ることを説明したが、実際には発生した電力は水素の分離や発電設備への燃料供給の動力に使われるので、この分を差し引いた電力が生産されることになる。この正味熱効率を大きくするには、加圧の動力を最小限にする必要がある。この動力は水素分離方式と深く係わっている。水素分離工程は大きく、i)PSA(又はTSA)とii)分離膜方式がある。i)は通常、常圧〜加圧下で吸着し、減圧下で脱着する。ii)は通常原料側は加圧下であり、例えば0.4〜1.0MPaである。発電工程の燃焼器が加圧で作動する場合(例えばガスタービン)、加圧方式には次の3つの方法が考えられる。
【0039】
A)i)を用いて水素分離工程は常圧で行い、水素が分離された改質ガス(発電用燃料ガス)を燃焼器圧力まで加圧する。
B)i)又はii)を用い、水素分離工程の前で発電工程に必要な圧力まで一度に加圧する−1段加圧法。
C)i)又はii)を用い、まず水素分離工程に必要な圧力まで加圧し、水素が分離された後のガスを更に発電工程に必要な圧力まで加圧する−2段加圧法。
【0040】
一方、加圧動力は作動流体の量に比例するが、図2に示したように、改質ガス中には水蒸気の割合が最も多く、続いて水素、メタンガス、CO+CO2ガスの順番である。水蒸気を除いた組成では、水素が60〜80%を占め、残りが発電用燃料ガスである。従って、上記C)の方法のように、まず、水素分離用に低い圧力で一旦加圧し、水素が除かれた発電用燃料ガスを更に加圧する方法が最も加圧動力が少ない。A)の方式は吸着が例えば1100kPaで脱着が300kPaなので、改質ガス25の加圧は不要であるが、脱着にかなり動力を要する。この動力は吸着剤の性能に依存するが、ケースB)の動力よりは少ない。従って、本発明ではC)又はA)の方式を採用することで、正味熱効率を大きくすることとした。C)の場合、当然ながら、ガスタービンの圧力が水素分離工程の圧力と等しいか小さい場合は第二の加圧工程は不要となる。
【0041】
ところで、前記ii)の水素分離法は一般的に加温下で実施される。金属膜の場合は温度が高いほど分離性能は優れ、450〜600℃で操作される。また高分子膜の場合は同様に50〜100℃である。本発明では改質ガスを水素分離工程に必要な圧力まで加圧するとガスの温度が210〜240℃に上昇するので、その温度条件で分離が可能な膜が好適である。
【0042】
熱回収限界容積比と改質操作容積比の差に相当する水蒸気を発電工程に導入する場合、第一水蒸気発生工程を加圧系統と常圧系統に分離し、常圧系統からの水蒸気を改質工程用、加圧系統からの水蒸気を発電工程用とする。発電工程用水蒸気は直接発電工程の燃焼機関に導入するので、圧力は燃焼機関に好適な圧力とし、例えば2.0MPaである。この場合、水を加圧することになるので加圧動力は極めて少ない。
【0043】
以上、本発明は、未反応の燃料を含む改質ガスから先ず水素を分離し、残りのガスで発電する、いわば物質のカスケード利用であり、S/Cの選定と2段加圧法により、一次エネルギーから電力と水素を効率よく発生させられるものである。
【0044】
更に、本発明は、発電プラントで得られる燃焼排ガスの熱によって気体又は液体の炭化水素燃料を触媒の存在下で反応させて水素を含む可燃性ガスを発生させる燃料改質器と、該燃料改質器で得られる前記可燃性ガスを水素とそれ以外のガスとに分離するガス分離器と、前記ガス分離器で得られる前記水素以外のガスを前記発電プラントの主燃料として供給するラインとを有すること、又は前記燃料改質器で得られる前記可燃性ガスを冷却する熱交換器と、該冷却された前記可燃性ガスを水素とそれ以外のガスとに分離するガス分離器と、前記ガス分離器で得られる前記水素以外のガスを前記発電プラントの燃料として供給するラインとを有することを特徴とする炭化水素燃料からの電力と水素の併産プラントにある。本発明についてより具体的には以下の実施例によって説明する。
【0045】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
図4はガスタービン発電プラントを用いた本発明のシステム構成図である。本システムは空気圧縮機11、燃焼器12、ガスタービン13、排熱回収型改質器40、改質器21、第一水蒸気発生器31、第二水蒸気発生器51、冷却器80、第一加圧機120、水素分離装置60、第二加圧機130、及び発電機14より構成される。燃焼器12には後述の方法で製造された発電用燃料ガス65を主燃料として燃焼が行われる。この主燃料に対して補助的に別途燃料供給手段を設けることができる。ガスタービン13からの燃焼排ガス15は排熱回収型改質器40に導入される。
【0046】
排熱回収型改質器は燃焼排ガスを流通させるダクトであり、その内部に、改質器21と第一水蒸気発生器31が納めてあり、改質反応と水蒸気発生が、燃焼排ガス15の熱により逐次行われるようになっている。改質器は燃料1と水蒸気の改質反応をさせるもので改質触媒が装填されている。改質触媒は例えばNi系である。触媒の量は所定の燃料が所定の転換率となるように決められる。
【0047】
改質器の構造は伝熱管タイプのものやプレート熱交換型のものであり、いずれにしても熱伝達が速やかに行わせるため、高温側(燃焼排ガス側)には例えばフィンや溝を付けた構造とする。改質器と第一水蒸気発生器の中間にガス混合器70が設置されている。これは第一、及び第二水蒸気発器から発生した水蒸気32、52と燃料1を集合させるパイプ又は容器であり、混合ガス33が改質器の入口に流れるようになっている。改質器を通過した燃焼排ガス16は第一蒸気発生器31に導入される。
【0048】
第一水蒸気発生器及び第二水蒸気発生器は、節炭器、蒸発器、過熱器で構成される排熱回収型の蒸気発生器である。ここには後述する冷却器80で回収された温水5、6が導入される。第一水蒸気発生器では燃焼排ガス16が飽和温度(常圧で100℃前後)になるまで熱を回収する。低温燃焼排ガス35はそのまま大気に放出される。燃料1は流量を調節した後、ブロワー110により混合器70に送られる。改質器21を出た改質ガス25は第二水蒸気発生器51に送られる。ここで改質ガスと水の熱交換が行われ、水蒸気52が発生する。この水蒸気は前述混合器70に送られる。
【0049】
第二水蒸気発生器を出た改質ガス26は冷却器80に導入される。冷却器では改質ガス中の水分4が凝縮され、これを前記改質用の水蒸気源とする。熱損失を低減するため、冷却温度はできるだけ高いのがよく、例えば70〜90℃である。なお、ここで回収される水の量は供給時より減少しているので、給水2が必要で、これは給水ポンプ100で供給される。復水4と給水2は給水ポンプ101及び102でそれぞれ第一、第二水蒸気発生器50に送られる。冷媒81としては空気又は冷水等である。
【0050】
冷却器80によって改質ガス27から水分が復水4となって除去され、更に第一加圧機120で昇圧され水素分離装置60に送られる。この圧力は水素分離に好適な圧力とする。水素分離法としては、例えば高分子膜法であり、その圧力は例えば1.0MPaである。改質ガス26をこの圧力まで加圧すると断熱圧縮により温度は約210〜240℃に上昇するので、温度を調節して分離装置に流通する。水素分離装置60の低圧側からは分離された水素ガス61が発生する。それ以外のガスを発電量燃料ガス65とする。このガスを第二加圧機130に通し、供給に好適な圧力、例えば2.0MPaまで加圧する。第二加圧機には起動時に燃料1を加圧できるよな系統が設置されている。加圧された発電用燃料ガス66は流量調節弁90で流量を調節された後、燃焼器12に導入される。
【0051】
なお、水素分離装置から得られる水素は高純度であるが、発電用燃料ガス66は組成は、図2に示したように、CH4、CO2、COが主成分である。しかし水素分離装置の性能や操作条件によっては水素は100%分離されなく、発電用燃料ガス側にもわずかに含まれる。本明細書では、発電用燃料ガスのことを、便宜上、“水素以外のガス”と表現する場合があるが、これは水素がまったく含まれない、という意味ではなく、“水素分離装置の性能を充分発揮した上で分離されなかった水素が含まれるガス”、という意味で用いる。
【0052】
本装置の運転方法は次のようである。起動時には全系統が低温なので、まず燃料1を第二加圧機130を通して直接、燃焼器12に供給してガスタービン13を起動させる。ボイラ40には燃焼排ガス15が流れるので、第一水蒸気発生器31に予め設定した量の水6を供給して水蒸気32を発生させ、この水蒸気32を改質器21に導入し、更に第二水蒸気発生器51に流通させてこの系統を加熱する。同様に予め設定した量の水5を第二水蒸気発生器51に流通させ水蒸気52を発生させる。蒸気温度が適正になった時点で燃料1を混合器70にも流し改質反応を開始させる。改質ガスが前記の工程を経て水素分離装置(水素分離工程)に導入され、水素が生成し始めると同時に、発電量燃料ガス65が燃焼器12に導入される。この導入開始と共に、燃料1を第二加圧機130から混合器70に随時切り替えて起動用燃料ガス量を減少し、最終的に改質ガス25から水素を分離して得た発電量燃料ガス65に全て置き換える。以降、燃料流量とS/Cを制御しながら定常運転を行う。
【0053】
前述したように、本発明では限界S/Cで操作することが重要であり、このため、排熱回収型改質器40からの低温燃焼排ガス35の温度と第二水蒸気発生器からの改質ガス26の温度を飽和温度近くに維持するよう、給水5及び6の量を制御する。運転中は混合器70から燃焼器12の入口までの全系が可燃性ガスが存在するので、停止時にはまず燃料1の供給を停止した後、暫らくの間は給水を続け予熱で発生される水蒸気で全系がパージされるようにする。
【0054】
本発明では改質温度を決める一番の要因は燃焼排ガス温度であり、この温度はガスタービンの仕様により異なるので、熱効率に及ぼすその影響を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
この実施例では燃焼器温度を一定とし、燃焼排ガス15の温度が異なるケース、例えば圧力比が異なる仕様での比較である。燃焼排ガス温度が低いということはガスタービン自体の熱効率は高いことを意味する。なお、熱回収は充分行い、低温燃焼排ガス35及び改質ガス26の温度はいずれも102〜104℃の条件である。改質器入口温度というのは混合器70における混合ガス33の温度であり、出口温度というのは改質ガス25の温度である。
【0057】
本実施例のような熱交換型の改質器では混合ガスの入口と出口で温度の分布が生じる。入口側は300℃を超えた程度であり、実質的には改質器の下流側で反応が顕著である。入口温度は高いほど改質器での熱負荷は軽減するが、高すぎると燃焼排ガス15との温度差が小さくなり熱交換効率的には不利である。水素製造用の改質器においても水蒸気の入口温度は300〜350℃が典型であり、本実施例の排熱回収型改質器においてもそのレベルの温度が得られた。燃焼排ガス35と改質ガス26にはケース1で70℃程度の温度差があり、この差は燃焼排ガス温度が高くなるほど大きくなった。燃焼排ガス35の温度が高くなると伝熱量も増えるが、それに伴い改質反応が進んで吸熱量が増加するので、これらの収支関係で表1の温度になったものである。
【0058】
メタン転換率は48〜55%となった。総合熱効率の内、電力の占める効率(発電効率)と水素の占める効率は表のようであり、水素の占める割合が大きい。燃焼排ガス温度の増大により発電効率は低下する一方、改質反応は進み水素の発生量が増大する。その結果として、総合熱効率は燃焼排ガス温度と共に増大する。総合熱効率から第一、第二加圧工程で消費される電力を差し引いた正味熱効率は35〜80%となった。
【0059】
(実施例2)
表2には燃焼器温度を高くすることで燃焼排ガス温度を高くしたケースの比較である。例えば圧力比は同じ仕様である。表1と同様、いずれも熱回収は充分行い、燃焼排ガス35及び改質ガス26の温度は102〜104℃である。燃焼排ガス温度の上昇に伴い改質器出口温度が上昇し、メタン転換率は増大する。一方発電効率自体は低下するが、その結果として総合熱効率は燃焼排ガス温度と共に上昇した。ケース6、7で正味熱効率は80%以上となっており、S/Cは3.52以下であった。
【0060】
【表2】
【0061】
(実施例3)
表3にはラジアルタービンを用いた小型の発電機を備えたシステムに適用した例を示す。圧縮比は例えば4、燃焼器温度が970℃である。燃焼排ガス温度は高くなり、メタン転換率は59.6%となった。この結果発電効率は低くなるが総合統合効率は80%以上となる。この実施例では燃焼圧力は水素分離圧力とほぼ等しくしたので、第二加圧工程は不要となり、加圧動力も小さくなるので、正味熱効効率は80%近くになった。
【0062】
【表3】
【0063】
(実施例4)
表1〜3には熱回収限界S/Cが3.5以上のケースも示したが、このケースの場合、改質操作S/Cを、例えば3.0とすると発生蒸気量が余る。このような場合には余剰な蒸気を発電工程に供給するのが良い。図5は、ガスタービン発電プラントを用いたこのような場合のシステム構成図である。本実施例においても、図4と同様に得られた改質ガス25は水素61が分離され、残った可燃性ガスが発電用燃料ガス65を主燃料として用いられる。起動時及びその後の運転は実施例1と同様である。本実施例は図4に示した排熱回収型改質器40に、第三水蒸気発生器41を改質器21と第一水蒸気発生器31との間に設け、それへの給水系統及びそれによって得られる水蒸気42を燃焼器12に導入する系統を追加したものである。水7は給水ポンプ160で加圧され、発生した水蒸気42はそのまま燃焼器12へ供給される。水蒸気圧力は燃焼器12の操作に好適な圧力、例えば2.0MPaである。この実施例では給水ポンプ101及び102で供給される水蒸気量は改質操作S/Cが所定の値、例えば3.0になるようにし、給水ポンプ160で供給される水蒸気量は、低温燃焼排ガス35の温度が飽和温度になるように供給する。なお、低温排ガス35を公知の方法で復水器に通して冷却し、回収された水を原料の水7の一部にしてもよい。水蒸気42を燃焼器12に導入することによってガスタービンのパワーを高めることができる。
【0064】
前述の表1のケース1では熱回収限界S/C=3.93なので、この発電工程の仕様において、改質操作S/Cを変えた場合の結果を表4に示す。
【0065】
【表4】
【0066】
ケース1は熱回収限界S/Cで操作した場合、1−1、1−2、1−3は改質操作S/Cをそれぞれ3.5、3.0、2.5とした場合である。改質操作S/Cを小さくするに伴い総合効率は上昇した。
【0067】
これは、改質操作S/Cを小さくするに伴いガスタービン燃焼器に供給される水蒸気量が増えるので発電量が増加することと、燃焼排ガス熱量が増加するので改質器の温度が高くなり、S/Cは減少するが温度上昇の効果でメタン転換率は上昇し、結果として水素生成量の減少が低く抑えられたためである。改質器の操作S/Cを3.0とすると、正味効率は80.5%となった。
【0068】
(実施例5)
実施例1〜3のケース3、6及び8についても図5のシステムで同様に実施した結果、表5に示すように、いずれのケースでも正味熱効率は増大した。ケース8−1はラジアルタービンを用いて圧力比4.0とした場合であるが、正味熱効率は83%と極めて高効率となった。
【0069】
【表5】
【0070】
以上、第一水蒸気発生工程からの燃焼排ガス及第二水蒸気発生工程からの可燃性ガスの温度がそれぞれ飽和温度になるように充分熱回収された時の水蒸気量と原料の容積比(熱回収限界S/C、mol単位)が、ほぼ3.5以下となるような排熱温度と熱効率を持つ発電工程の仕様とする時に、高い総合熱効率が得られる。改質器操作条件がこれより小さい場合は余剰の水蒸気を発電工程の熱機関に導入することで更に高い効率が達成できる。
【0071】
電力と水素を併産する設備においては需要の変動に対応する必要がある。このため図4及び図5のシステムにおいて水素貯蔵設備150を設置する。水素貯蔵設備150は加圧貯蔵容器、又は水素貯蔵合金、又は液体水素容器である。水素需要が少ない時には加圧ポンプ140によって分離された水素ガスを貯蔵する。貯蔵設備から需要の変動に対して適宜水素151を外部需要系統61へ流す。
【0072】
炭化水素原料としては、CH4を主成分とするガス、例えば天然ガス、炭層メタンガス、メタンハイドレート、都市ガス、発酵メタンガスが好適である。また水蒸気により改質されうるC3H8を主成分とするガス又は液体、C4H10を主成分とするガス又は液体、石油精製系液体燃料、廃油、有機物や廃棄物の熱分解で生成した液状物等、水蒸気により改質されうる原料でそれぞれ単独及び複数個の混合物が可能である。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、一次エネルギーを代表的なクリーン燃料である電力と水素に高い効率で転換できるので、省資源、省エネルギー及び一層の環境保全が図れる。発電工程にガスタービンを用いた場合、小規模なシステムにおいても熱効率は低下せず、同様な効果があるので、民生用から事業用まで広く電力と水素の需要に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法そのプラントを示す基本構成図である。
【図2】本発明の改質反応特性を説明する図である。
【図3】本発明の総合熱効率特性を説明する図である。
【図4】本発明をガスタービン発電プラントに適用したその全体構成図である。
【図5】本発明をガスタービン発電プラントに適用した他の全体構成図である。
【符号の説明】
1…燃料、2…水、3…空気、10…発電工程、11…空気圧縮機、12…燃焼器、13…ガスタービン、15…燃焼排ガス、20…改質工程、21…改質器、25…改質ガス、30…第一水蒸気発生工程、31…第一水蒸気発生器、32…水蒸気、35…低温燃焼排ガス、40…排熱回収型改質器、41…第三水蒸気発生器、50…第二水蒸気発生工程、51…第二水蒸気発生器、60…水素分離工程、61…水素、65…発電用燃料ガス、70…混合器、80…冷却器、81…冷媒、90…発電用燃料ガス流量調節弁、100、101、102…給水ポンプ、110…燃料ブロワー、120…第一加圧器、130…第二加圧器、140…水素加圧機、150…水素貯蔵設備第、160…加圧給水ポンプ。
Claims (18)
- 発電工程から排出される燃焼排ガスの熱によって気体又は液体の炭化水素燃料を触媒の存在下で反応させて水素を含む可燃性ガスを発生させる燃料改質工程と、該燃料改質工程で生成される可燃性ガスを水素とそれ以外のガスに分離するガス分離工程とを有し、該ガス分離工程で得られる前記水素以外のガスを前記発電工程の主燃料として供給することを特徴とする炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法。
- 発電工程から排出される燃焼排ガスの熱によって気体又は液体の炭化水素燃料を触媒の存在下で反応させて水素を含む可燃性ガスを発生させる燃料改質工程と、該燃料改質工程で生成される可燃性ガスを冷却する熱交換工程と、該冷却された前記可燃性ガスを水素とそれ以外のガスに分離するガス分離工程とを有し、該ガス分離工程で得られる前記水素以外のガスを前記発電工程の燃料として供給することを特徴とする炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法。
- 発電工程から排出される燃焼排ガスの熱によって気体又は液体の炭化水素燃料を触媒の存在下で反応させて水素を含む可燃性ガスを発生させる燃料改質工程と、該燃料改質工程から出た前記燃焼排ガスの熱によって水蒸気を発生させる第一水蒸気発生工程と、前記燃料改質工程で生成される前記可燃性ガスの熱によって水蒸気を発生させる第二水蒸気発生工程と、前記第一水蒸気発生工程及び第二水蒸気発生工程で得られる前記水蒸気と前記燃料とを混合させて前記燃料改質工程に導入する工程とを有することを特徴とする炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法。
- 発電工程から排出される燃焼排ガスの熱によって気体又は液体の炭化水素燃料を触媒の存在下で反応させて水素を含む可燃性ガスを発生させる燃料改質工程と、該燃料改質工程からの前記燃焼排ガスを用いて水蒸気を発生させる第一水蒸気発生工程と、前記燃料改質工程で生成される前記可燃性ガスの熱によって水蒸気を発生させる第二水蒸気発生工程と、該第二水蒸気発生工程で得られる前記可燃性ガスを水素とそれ以外のガスに分離するガス分離工程と、前記第一水蒸気発生工程及び第二水蒸気発生工程で得られる前記水蒸気と前記燃料とを混合させて前記燃料改質工程に導入する工程とを有し、前記ガス分離工程で得られる前記水素以外のガスを前記発電工程の燃料として供給することを特徴とする炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法。
- 請求項3又は4において、前記燃料改質工程、第一水蒸気発生工程及び第二水蒸気発生工程は常圧又はそれ以下の圧力であり、前記第二水蒸気発生工程から排出される前記可燃性ガスを復水工程に導入し水蒸気を除去する水蒸気除去工程と、該水蒸気を除去した前記可燃性ガスを前記ガス分離工程に必要な圧力まで加圧する第一加圧工程と、前記ガス分離工程で得られた水素を含まない前記可燃性ガスをガスタービン発電の運転に必要な圧力まで加圧する第二加圧工程とを有することを特徴とする炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法。
- 請求項1〜5のいずれかにおいて、前記発電工程はガスタービン発電でることを特徴とする炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法。
- 請求項3〜6のいずれかにおいて、前記第一水蒸気発生工程から排出される燃焼排ガス及第二水蒸気発生工程から生成される前記可燃性ガスの温度がそれぞれ飽和温度になるように熱回収された時の水蒸気量と原料の容積比(熱回収限界容積比mol/mol)が、3.5以下となるように前記発電工程における前記燃焼排ガスの温度と熱効率を設定することを特徴とする炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法。
- 請求項7において、前記熱回収限界容積比が、前記燃料改質工程において炭素析出障害を防止しうる水蒸気と原料の容積比(改質操作容積比mol/mol)より大きい場合、前記熱回収限界容積比と改質操作容積比の差に相当する水蒸気を動力発生用作動流体として前記発電工程に導入することを特徴とする炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法。
- 請求項8において、前記第一水蒸気発生工程を加圧系統と常圧系統とに分離し、該常圧系統から生成される水蒸気を動力発生用作動流体として前記燃料改質工程に用い、前記加圧系統から生成される水蒸気を前記発電工程に用いることを特徴とする炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法。
- 請求項1〜9のいずれかにおいて、前記水素を貯蔵する水素貯蔵工程を有し、水素需要の変動に応じてその貯蔵量と需要先供給量とを調節することを特徴とする炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法。
- 請求項1〜10のいずれかにおいて、前記炭化水素原料は、CH4 、C3H8及びC4H10のいずれかを主成分とするガス又は液体、石油精製系液体燃料、廃油、有機物及び廃棄物の熱分解生成された液状物又はこれらの混合物のいずれかからなることを特徴とする炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法。
- 発電プラントで得られる燃焼排ガスの熱によって気体又は液体の炭化水素燃料を触媒の存在下で反応させて水素を含む可燃性ガスを発生させる燃料改質器と、該燃料改質器で得られる前記可燃性ガスを水素とそれ以外のガスとに分離するガス分離器と、前記ガス分離器で得られる前記水素以外のガスを前記発電プラントの主燃料として供給するラインとを有することを特徴とする炭化水素燃料からの電力と水素の併産プラント。
- 発電プラントで得られる燃焼排ガスの熱によって気体又は液体の炭化水素燃料を触媒の存在下で反応させて水素を含む可燃性ガスを発生させる燃料改質器と、該燃料改質器で得られる前記可燃性ガスを冷却する熱交換器と、該冷却された前記可燃性ガスを水素とそれ以外のガスとに分離するガス分離器と、前記ガス分離器で得られる前記水素以外のガスを前記発電プラントの燃料として供給するラインとを有することを特徴とする炭化水素燃料からの電力と水素の併産プラント。
- 発電プラントで得られる燃焼排ガスの熱によって気体又は液体の炭化水素燃料を触媒の存在下で反応させて水素を含む可燃性ガスを発生させる燃料改質器と、該燃料改質器から出た前記燃焼排ガスの熱によって水蒸気を発生させる第一水蒸気発生器と、前記燃料改質器で生成される前記可燃性ガスの熱によって水蒸気を発生させる第二水蒸気発生器と、前記第一水蒸気発生器及び第二水蒸気発生器で得られる前記水蒸気と前記燃料とを混合させて前記燃料改質器に導入するラインとを有することを特徴とする炭化水素燃料からの電力と水素の併産プラント。
- 発電プラントで得られる燃焼排ガスの熱によって気体又は液体の炭化水素燃料を触媒の存在下で反応させて水素を含む可燃性ガスを発生させる燃料改質器と、該燃料改質器からの前記燃焼排ガスを用いて水蒸気を発生させる第一水蒸気発生器と、前記燃料改質器で生成される前記可燃性ガスの熱によって水蒸気を発生させる第二水蒸気発生器と、該第二水蒸気発生器で得られる前記可燃性ガスを水素と水素以外のガスとに分離するガス分離器と、前記第一水蒸気発生器及び第二水蒸気発生器で得られる前記水蒸気と前記燃料とを混合させて前記燃料改質器に導入するラインと、前記ガス分離器で得られる前記水素以外のガスを前記発電プラントの燃料として供給するラインとを有することを特徴とする炭化水素燃料からの電力と水素の併産プラント。
- 発電機、圧縮機、タービン及び燃焼器を備えたガスタービン発電プラントから排出される燃焼排ガスの下流側にあって、前記排ガスの熱によって気体又は液体の炭化水素燃料を触媒の存在下で反応させて水素を含む可燃性ガスを発生させる燃料改質器と該燃料改質器の下流側に設けられ前記燃焼排ガスによって水蒸気を発生させる第一水蒸気発生器が一体となった排熱回収型改質器と、前記燃料改質器で得られる前記可燃性ガスの熱によって水蒸気を発生させる第二水蒸気発生器と、該第二水蒸気発生器で得られる前記可燃性ガスを水素とそれ以外のガスとに分離するガス分離器と、前記第一水蒸気発生器及び第二水蒸気発生器で得られる前記水蒸気と前記燃料とを混合させて前記燃料改質器に導入するラインと、前記ガス分離器で得られる前記水素以外のガスを前記燃焼器に供給するラインとを有することを特徴とする炭化水素燃料からの電力と水素の併産プラント。
- 請求項12〜16のいずれかにおいて、前記燃焼排ガスの熱によって水蒸気を発生させる第三水蒸気発生器を有し、該第三水蒸気発生器によって得られた前記水蒸気を前記発電プラントに導入するラインを有することを特徴とする炭化水素燃料からの電力と水素の併産プラント。
- ガスタービン発電プラントから排出される燃焼排ガスの下流側にあって、前記排ガスの熱によって気体又は液体の炭化水素燃料を触媒の存在下で反応させて水素を含む可燃性ガスを発生させる燃料改質器と、該燃料改質器の下流側にあって前記燃焼排ガスによって水蒸気を発生させる第一水蒸気発生器と、第三水蒸気発生器とが一体となった構成であることを特徴とする排熱回収型改質器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002178555A JP2004018343A (ja) | 2002-06-19 | 2002-06-19 | 炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法とそのプラント及びその排熱回収型改質器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002178555A JP2004018343A (ja) | 2002-06-19 | 2002-06-19 | 炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法とそのプラント及びその排熱回収型改質器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004018343A true JP2004018343A (ja) | 2004-01-22 |
Family
ID=31176247
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002178555A Pending JP2004018343A (ja) | 2002-06-19 | 2002-06-19 | 炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法とそのプラント及びその排熱回収型改質器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004018343A (ja) |
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007126351A (ja) * | 2005-08-17 | 2007-05-24 | Honda Motor Co Ltd | エネルギーステーション |
JP2008162822A (ja) * | 2006-12-27 | 2008-07-17 | Mitsui Zosen Plant Engineering Inc | 炭層ガスの改質システム |
JP2008179487A (ja) * | 2006-12-28 | 2008-08-07 | Toshiba Corp | ガス改質器 |
WO2009072991A2 (en) * | 2007-12-07 | 2009-06-11 | Agni Inc Pte. Ltd. | Integration of fuel cells, hydrogen reformer, fuel processor, absorption chiller, heat recovery steam generator and internal combustion engines |
JP2009149464A (ja) * | 2007-12-20 | 2009-07-09 | Petroleum Energy Center | 定置型水素製造用改質装置 |
JP2009149466A (ja) * | 2007-12-20 | 2009-07-09 | Petroleum Energy Center | 定置型水素製造装置改質器の起動方法 |
JP2009298616A (ja) * | 2008-06-11 | 2009-12-24 | Ihi Corp | グリセリン改質装置および改質方法 |
KR20130023134A (ko) * | 2011-08-26 | 2013-03-07 | 아이에프피 에너지스 누벨 | 병합된 스팀 발생 다발을 갖는 수소 제조용 교환기-반응기 |
JP2014504247A (ja) * | 2010-11-22 | 2014-02-20 | シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ | 液体水素および電気の生成方法 |
KR20160041179A (ko) * | 2014-10-06 | 2016-04-18 | 현대중공업 주식회사 | 연료개질장치 및 그를 포함하는 합성가스 제조 시스템 |
-
2002
- 2002-06-19 JP JP2002178555A patent/JP2004018343A/ja active Pending
Cited By (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007126351A (ja) * | 2005-08-17 | 2007-05-24 | Honda Motor Co Ltd | エネルギーステーション |
JP2008162822A (ja) * | 2006-12-27 | 2008-07-17 | Mitsui Zosen Plant Engineering Inc | 炭層ガスの改質システム |
JP2008179487A (ja) * | 2006-12-28 | 2008-08-07 | Toshiba Corp | ガス改質器 |
WO2009072991A3 (en) * | 2007-12-07 | 2010-04-29 | Agni Inc Pte. Ltd. | Integration of fuel cells, hydrogen reformer, fuel processor, absorption chiller, heat recovery steam generator and internal combustion engines |
WO2009072991A2 (en) * | 2007-12-07 | 2009-06-11 | Agni Inc Pte. Ltd. | Integration of fuel cells, hydrogen reformer, fuel processor, absorption chiller, heat recovery steam generator and internal combustion engines |
JP2009149464A (ja) * | 2007-12-20 | 2009-07-09 | Petroleum Energy Center | 定置型水素製造用改質装置 |
JP2009149466A (ja) * | 2007-12-20 | 2009-07-09 | Petroleum Energy Center | 定置型水素製造装置改質器の起動方法 |
JP2009298616A (ja) * | 2008-06-11 | 2009-12-24 | Ihi Corp | グリセリン改質装置および改質方法 |
JP2014504247A (ja) * | 2010-11-22 | 2014-02-20 | シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ | 液体水素および電気の生成方法 |
KR20130023134A (ko) * | 2011-08-26 | 2013-03-07 | 아이에프피 에너지스 누벨 | 병합된 스팀 발생 다발을 갖는 수소 제조용 교환기-반응기 |
JP2013067551A (ja) * | 2011-08-26 | 2013-04-18 | IFP Energies Nouvelles | 熱交換型反応器 |
KR101923231B1 (ko) | 2011-08-26 | 2019-02-27 | 아이에프피 에너지스 누벨 | 병합된 스팀 발생 다발을 갖는 수소 제조용 교환기-반응기 |
KR20160041179A (ko) * | 2014-10-06 | 2016-04-18 | 현대중공업 주식회사 | 연료개질장치 및 그를 포함하는 합성가스 제조 시스템 |
KR101992468B1 (ko) * | 2014-10-06 | 2019-06-25 | 현대중공업 주식회사 | 연료개질장치 및 그를 포함하는 합성가스 제조 시스템 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP3054519B1 (en) | Reversible fuel cell system and method for operating a fuel cell system | |
US7634915B2 (en) | Systems and methods for power generation and hydrogen production with carbon dioxide isolation | |
RU2516527C2 (ru) | Системы и способы производства сверхчистого водорода при высоком давлении | |
US5955039A (en) | Coal gasification and hydrogen production system and method | |
US20110223500A1 (en) | Mcfc power generation system and method for operating same | |
US20050123810A1 (en) | System and method for co-production of hydrogen and electrical energy | |
US7718159B2 (en) | Process for co-production of electricity and hydrogen-rich gas steam reforming of a hydrocarbon fraction with input of calories by combustion with hydrogen in situ | |
US5669216A (en) | Process and device for generating mechanical energy | |
Ortiz et al. | Optimization of power and hydrogen production from glycerol by supercritical water reforming | |
US20100015486A1 (en) | Power generating plant | |
JP2016530235A (ja) | 柔軟に運転可能な電力プラントおよびそれの運転のための方法 | |
JP2008163944A (ja) | 部分的co2回収式サイクルプラント用の改質システム | |
CN114466815A (zh) | 用于二氧化碳的转化的工艺 | |
JP6943406B2 (ja) | 燃料電池システム及び燃料電池システムを運転する方法 | |
JP4744971B2 (ja) | 低質廃熱回収システム | |
JP2004018343A (ja) | 炭化水素燃料からの電力と水素の併産方法とそのプラント及びその排熱回収型改質器 | |
Hou et al. | A novel structure of natural gas, electricity, and methanol production using a combined reforming cycle: Integration of biogas upgrading, liquefied natural gas re-gasification, power plant, and methanol synthesis unit | |
JP4632532B2 (ja) | 水素製造方法およびシステム | |
JP2662298B2 (ja) | 二酸化炭素分離装置を有するパワープラント | |
JPH11111320A (ja) | 内部燃焼型改質器を使用する燃料電池発電における炭酸ガス、窒素ガス及びアルゴンガスの回収、固定方法 | |
EP3410013B1 (en) | Combustion gas supply system | |
JP2000054852A (ja) | ガスタ―ビン複合サイクル発電システム | |
JPH04334729A (ja) | 発電方法 | |
JP4938299B2 (ja) | 燃料電池発電装置の運転方法 | |
JP2002285175A (ja) | ジメチルエーテル併産複合発電システムとその運用方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040806 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070604 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070612 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20071016 |