JP2013048867A - 内視鏡装置及び内視鏡の滅菌方法 - Google Patents

内視鏡装置及び内視鏡の滅菌方法 Download PDF

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恭義 大田
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Abstract

【課題】滅菌装置の滅菌室で滅菌される内視鏡の内部空間と外部空間(滅菌室)との圧力差が生じた時に、内部空間と外部空間とを連通することなく且つ簡単な構成で圧力差を減少することができる。
【解決手段】手元操作部12、該手元操作部12に基端部が連結された挿入部14、該手元操作部12に基端部が連結されたユニバーサルケーブル16、及び該ユニバーサルケーブル16の先端部に連結されたコネクタ18を有する内視鏡10と、内視鏡10に形成され、該内視鏡10の内部空間56と外部空間68とを連通する連通口58と、連通口58に連結され、内部空間56と外部空間68との圧力差によって膨縮可能なバルーン部材60と、を備えた。
【選択図】図6

Description

本発明は内視鏡装置及び内視鏡の滅菌方法に係り、特にオートクレーブ滅菌装置のように滅菌室の減圧及び加圧をともなって内視鏡を滅菌する場合であっても、内視鏡の破損を防止する技術に関する。
医療診断に使用された内視鏡は、洗浄装置の液体によって、その外表面が洗浄消毒された後、オートクレーブ滅菌装置によって滅菌処理されることが通常である。
オートクレーブ滅菌装置による滅菌処理は、高温高圧の水蒸気を内視鏡が収納された滅菌室に供給する方法である。したがって、内視鏡の内部空間に水蒸気が浸入して内視鏡の内蔵物、特に水分を嫌うCCD等の電気部品が破損しないように、内視鏡は気密構造になっている。
一方、オートクレーブ滅菌装置での滅菌の際に、滅菌処理の前に、滅菌室の気圧を真空状態まで減圧するため、滅菌室が減圧状態になると共に、滅菌処理時には水蒸気を加圧した状態で滅菌室に供給するため、滅菌室が加圧状態になる。
滅菌室の減圧時及び加圧時に、滅菌室に収納された内視鏡が気密構造のままであると、内視鏡の内部空間と外部空間との圧力差によって柔軟な挿入部やユニバーサルケーブルの外皮チューブ等が膨張したり収縮したりして破損する虞がある。
かかる対策として、特許文献1では、オートクレーブ滅菌装置の滅菌室を減圧、加圧した際に、圧力調整機構のベローズが伸縮して弁体が内視鏡操作部に形成された通気孔から自動的に外れることで内視鏡内を外部に連通させ、これにより内視鏡内部空間と外部空間との圧力差をなくすことによって内視鏡が破損することを防止している。
特開昭56−121531号公報
しかしながら、特許文献1は、弁体が通気孔から外れることで内部空間と外部空間とを連通させることにより内視鏡の破損を防止できるが、加圧時に内部空間と外部空間とが連通すると内部空間に水蒸気が浸入してしまうという欠点がある。これにより、CCD等の電気部品が水蒸気で高い湿度環境に置かれるため、滅菌後には直ちに内部空間を除湿する処理を行わなくてはならない。
また、ベローズが伸縮して弁体が内視鏡操作部に形成された通気孔から外れることで、内視鏡内を外部に連通させる圧力調整機構は、機構的に複雑であり故障し易いという欠点もある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、滅菌装置の滅菌室で滅菌される内視鏡の内部空間と外部空間(滅菌室)との圧力差が生じた時に、内部空間と外部空間とを連通することなく且つ簡単な構成で圧力差を減少することができる内視鏡装置及び内視鏡の滅菌方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の内視鏡装置は、手元操作部、該手元操作部に基端部が連結された挿入部、該手元操作部に基端部が連結されたユニバーサルケーブル、及び該ユニバーサルケーブルの先端部に連結されたコネクタを有する内視鏡と、前記内視鏡に形成され、該内視鏡の内部空間と外部空間とを連通する連通口と、前記連通口に連結され、前記内部空間と前記外部空間との圧力差によって膨縮可能な膨縮体と、を備えたことを特徴とする。
本発明の内視鏡装置によれば、滅菌装置の滅菌室で滅菌される内視鏡の内部空間と外部空間(例えば滅菌室)との圧力差が生じた時に、膨縮体が圧力差に応じて膨張したり収縮したりするので、内視鏡の内部空間と外部空間とを連通することなく且つ簡単な構成で圧力差を減少することができる。
これにより、オートクレーブ滅菌装置のように滅菌室の減圧及び加圧をともなって内視鏡を滅菌する場合であっても、内視鏡の破損を防止することができる。また、本発明では、内部空間と外部空間とを連通することなく圧力差を減少できるので、内視鏡の気密構造に問題がなければ、オートクレーブ滅菌後に内視鏡の内部空間を除湿しないで、施術者が使用するまで保管することも可能である。
なお、内視鏡を滅菌室で滅菌する場合、内視鏡の外部空間とは滅菌室のことを意味し、以下同様である。したがって、外部空間のことを滅菌室と言う場合もある。
膨縮体としてはバルーン部材が好ましく、バルーン部材は膨張したときの形状が長尺状になる長尺状バルーン部材であることが特に好ましい。バルーン部材は膨縮体としてのコストも安価であり、内視鏡の滅菌処理ごとに使い捨てできる。また、長尺状バルーン部材であれば膨張しても棒状に長くなるだけなので、例えばオートクレーブ滅菌装置の滅菌室の高さを高くする必要がない。
本発明の内視鏡装置においては、前記膨縮体は、前記内視鏡の前記連通口に一端が連結されると共に他端が前記外部空間に開放された筒状部材と、前記筒状部材内に摺動自在に設けられた摺動駒と、前記筒状部材と前記摺動駒との摺動面を気密状態に維持する気密構造と、を備え、前記摺動駒が移動することにより、前記一端と前記摺動駒との間の前記筒状部材内の容積が膨縮することが好ましい。
これは、膨縮体のバルーン部材とは別の態様であり、このような構成の膨縮体も好ましく使用することができる。
本発明の内視鏡装置においては、前記連通口は前記圧力差によって膨縮しない内視鏡の硬質部分に形成されることが好ましい。
内視鏡の軟質部だと圧力差によって変形し、連結気密が保持できない。
本発明の内視鏡装置は、前記内視鏡を収納すると共に、前記内視鏡の連通口に設けられた連通口コネクタに着脱自在に連結可能な第1コネクタと、前記膨縮体の膨縮体用コネクタに着脱自在に連結可能な第2コネクタとを有する滅菌バッグを更に備えることが好ましい。
これにより、例えばオートクレーブ滅菌装置のような滅菌装置で滅菌後、滅菌バッグに収納したまま施術者が内視鏡を使用するまで保管できるので、内視鏡が外気に触れて汚染されることがない。
本発明の内視鏡装置は、前記膨縮体の膨縮体用コネクタと前記滅菌バッグの第2コネクタとは、連結することにより前記膨縮体と前記内視鏡の内部空間とが連通され、連結を解除することにより前記第2コネクタの前記外部空間との連通が閉塞されて前記内視鏡の内部空間を封止する構造であることが好ましい。
これにより、内視鏡を滅菌バッグに収納したまま保管することができるだけでなく、滅菌後は不必要な膨縮体を取り外しても、滅菌バッグ内に外部空間の空気が浸入することがない。
前記目的を達成するために、本発明の内視鏡の滅菌方法は、内視鏡を滅菌装置の滅菌室に収納して滅菌する際に、前記滅菌室の減圧及び加圧をともなう内視鏡の滅菌方法において、前記内視鏡の内部空間と外部空間とを連通する連通口に、前記内部空間と前記外部空間との圧力差によって膨縮可能な膨縮体を取り付ける膨縮体取付け工程と、前記内視鏡を前記滅菌室に収納する滅菌室収納工程と、前記滅菌室が減圧されて前記膨縮体が膨張することにより、前記連通口を介して前記内視鏡内部空間側のエアを前記膨縮体側に移動させる第1の圧力調整工程と、前記滅菌室が加圧されて前記膨張した膨縮体が収縮することにより、前記連通口を介して前記膨縮体側のエアを前記内視鏡内部空間に移動させる第2の圧力調整工程と、を備えたことを特徴とする。
なお、膨縮体取付け工程と滅菌室収納工程とはどちらを先に行ってもよい。
本発明の内視鏡の滅菌方法によれば、滅菌室が減圧された場合は膨縮体が膨張するので内視鏡内部空間の空気が膨縮体側に流れる。したがって、内視鏡内部空間が減圧されるので、内視鏡内部空間と外部空間との圧力差が小さくなる。
また、滅菌室が加圧水蒸気で加圧された場合は膨張した膨縮体が収縮するので、膨縮体内の空気が内視鏡内部空間側に流れる。したがって、内視鏡内部空間が加圧されるので、内視鏡内部空間と外部空間との圧力差が小さくなる。
これにより、オートクレーブ滅菌装置のように滅菌室の減圧及び加圧をともなって内視鏡を滅菌する場合であっても、内視鏡の破損を防止することができる。
本発明の内視鏡装置及び内視鏡の滅菌方法によれば、滅菌装置の滅菌室で滅菌される内視鏡の内部空間と外部空間との圧力差が生じた時に、内部空間と外部空間とを連通することなく且つ簡単な構成で圧力差を減少することができる。
これにより、オートクレーブ滅菌装置のように滅菌室の減圧及び加圧をともなって内視鏡を滅菌する場合であっても、内視鏡の破損を防止することができる。
実施の形態の内視鏡装置の全体構成を示した外観図 図1に示した挿入部の先端部の端面を示した斜視図 手元操作部に形成した連通口にバルーン部材を連結する断面図 バルーン部材を連結する内視鏡の連通口をLGコネクタに設けた場合の斜視図 内視鏡をオートクレーブ滅菌装置で滅菌する準備段階の説明図 図5において滅菌室を減圧したときのバルーン部材の作用を説明する説明図 図5において滅菌室を加圧したときのバルーン部材の作用を説明する説明図 バルーン部材として長尺状バルーン部材を使用して滅菌室を減圧したときのバルーン部材の作用を説明する説明図 滅菌バッグに収納された内視鏡と滅菌バッグの外側に設けたバルーン部材との連結を説明する説明図 滅菌バッグ側の第2コネクタとバルーン部材用コネクタとを示した斜視図 滅菌バッグ側の第2コネクタとバルーン部材用コネクタとが接続された断面図 滅菌バッグ側の第2コネクタとバルーン部材用コネクタとが接続される直前状態を示した断面図 バルーン部材用コネクタ本体の内部構造を示した斜視図 膨縮体として、シリンダ構造体を使用した場合の説明図
以下添付図面に従って、本発明に係る内視鏡装置及び内視鏡の滅菌方法の好ましい実施の形態について詳述する。
[膨縮体としてバルーン部材を使用した第1実施の形態]
図1は、本発明が適用された内視鏡10の全体図である。
同図に示す内視鏡10は、施術者が把持する手元操作部12と、この手元操作部12に基端部が連結されて体腔内に挿入される挿入部14とを備える。手元操作部12には、ユニバーサルケーブル16の基端部が接続され、ユニバーサルケーブル16の先端部にLGコネクタ18が設けられる。LGコネクタ18は不図示の光源装置に着脱自在に接続され、これによって後述する照明窓に前記光源装置から照明光が送られる。また、LGコネクタ18には、ケーブル20を介して電気コネクタ22が接続され、電気コネクタ22が不図示のプロセッサに着脱自在に接続される。なお、図1の符号23は、電気コネクタ22のキャップであり、洗浄時に電気コネクタ22に装着される。
手元操作部12には、送気・送水ボタン24、吸引ボタン26、及びシャッターボタン28が並設されるとともに、一対のアングルノブ30、30が設けられる。また、手元操作部12には鉗子挿入部32が設けられ、鉗子挿入部32の開口端に鉗子栓34が装着される。
挿入部14は、手元操作部12側から順に可撓管部36、湾曲部38、及び先端部40によって構成される。湾曲部38は、手元操作部12のアングルノブ30、30を回動することによって遠隔的に湾曲操作される。これにより、先端部40を所望の方向に向けることができる。
図2の如く先端部40の先端面42には、観察窓44、前述した照明窓46、46、送気・送水ノズル48、及び鉗子口50が設けられる。
観察窓44の後方には観察光学系、CCD(不図示)が配設され、このCCDを支持する基板には信号ケーブル(不図示)が接続される。信号ケーブルは図1の挿入部14、手元操作部12、ユニバーサルケーブル16等に挿通されて電気コネクタ22まで延設され、不図示のプロセッサに接続される。観察窓44から取り込まれた観察像は、前記CCDの受光面に結像されて電気信号に変換された後、この電気信号が前記信号ケーブルを介してプロセッサに出力され、映像信号に変換される。これにより、プロセッサに接続されたモニタ(不図示)に観察画像が表示される。
図2の照明窓46、46の後方にはライトガイド(不図示)の出射端が配設されている。このライトガイドは、図1の挿入部14、手元操作部12、ユニバーサルケーブル16に挿通され、LGコネクタ18まで延設される。したがって、LGコネクタ18が光源装置(不図示)に接続されると、光源装置から照射された照明光が前記ライトガイドを介して図2の照明窓46、46に伝送され、照明窓46、46から前方に照射される。
送気・送水ノズル48は、図1の送気・送水ボタン24によって操作される送気・送水バルブ(不図示)に連通され、さらにこの送気・送水バルブはLGコネクタ18の送気・送水コネクタ52に連通される。送気・送水コネクタ52には不図示の送気・送水手段が接続され、この送気・送水手段からエア及び水が供給される。したがって、送気・送水ボタン24を操作することによって、図2の送気・送水ノズル48からエア又は水を観察窓44に向けて噴射することができる。
鉗子口50は、図1の鉗子挿入部32に、図3の鉗子チャンネル33を介して連通されている。よって、鉗子挿入部32から鉗子等の処置具を挿入することによって、この処置具を図2の鉗子口50から導出することができる。また、鉗子口50は、図1の吸引ボタン26によって操作される吸引バルブ(不図示)に連通され、さらにこの吸引バルブがLGコネクタ18の吸引コネクタ54に接続される。したがって、吸引コネクタ54に不図示の吸引ポンプを接続し、吸引ボタン26で吸引バルブを操作することによって、鉗子口50から病変部等を吸引することができる。
次に内視鏡装置64について説明する。
図3に示すように、内視鏡装置64は、上記の如く構成された内視鏡10と、内視鏡10に形成され、該内視鏡10の内部空間56と外部空間68(滅菌室68という場合もある)とを連通する連通口58と、連通口58に着脱自在に連結されるバルーン部材60(例えばゴム風船)で構成される。なお、図3では、連通口58を、手元操作部12に形成した例で示している。
また、図3では、手元操作部12の内部空間56のみ示しているが、この内部空間56は、図1に示した挿入部14、ユニバーサルケーブル16、LGコネクタ18、及びケーブル20のそれぞれの内部空間と連通されている。そしてこの内部空間は、内視鏡10を構成する各部材の各接合部をパッキン(不図示)によって補強連結することにより内視鏡10の外部から密閉されている。即ち、内視鏡10自体が気密構造となっている。
図3の如く連通口58は、手元操作部12の外壁面であって鉗子挿入部32の反対側面に開口されている。また、連通口58には、連通口コネクタ62が備えられている。
なお、連通口58の配置位置は、手元操作部12に限らず、図4に示すようにLGコネクタ18に配置してもよい。即ち、連通口58は、後記する滅菌処理において生じる内視鏡の10の内部空間56と外部空間68との圧力差によって膨縮しない内視鏡の硬質部分に形成されることが好ましい。また、連通口58の配置位置は、圧力差によって膨縮しない硬さが維持できるのであれば、挿入部14、又はユニバーサルケーブル16に設けてもよい。つまり、連通口58の配置位置は、内視鏡10の内部空間56に連通可能な位置であればいかなる位置であってもよい。
また、図3に示すバルーン部材60は、内視鏡10の内部空間56と外部空間68との圧力差によって膨縮可能な特性を有する。この場合、圧力差によって最も膨縮し易い内視鏡部分よりも膨縮率の大きな特性を有することが好ましい。内視鏡10の膨縮し易い部分としては柔軟な挿入部14やユニバーサルケーブル16の外皮チューブ等があり、バルーン部材60はこれらの内視鏡部分よりも更に膨縮し易いことが必要である。バルーン部材60としてはゴム風船を好適に使用することができる。
また、バルーン部材60の開口はバルーン部材用コネクタ74に固着されており、バルーン部材用コネクタ74を内視鏡10の連通口コネクタ62に連結することにより、内視鏡10の内部空間56とバルーン部材60の内部とが連通する。図3ではバルーン部材用コネクタ74に雌ねじ74Aを刻設し、連通口コネクタ62に雄ねじ62Aを刻設することで、互いに螺合する連結機構を示したが、この連結機構に限定するものではない。要は、バルーン部材用コネクタ74と連通口コネクタ62とを気密状態で連結できる機構であればどのようなものでもよい。
次に、上記の如く構成された内視鏡装置64を用いて、内視鏡10をオートクレーブ滅菌装置66で滅菌処理する際の、バルーン部材60の作用を説明する。
図5〜図7は、オートクレーブ滅菌装置66で内視鏡10を滅菌する内視鏡の滅菌方法を示すものである。
オートクレーブ滅菌装置66は、主として、密閉可能な滅菌室68と、滅菌室68を減圧する真空装置70と、高圧・高温の水蒸気を滅菌室68に供給する蒸気供給装置72と、真空装置70及び蒸気供給装置72を制御する制御装置76とで構成される。また、滅菌室68と真空装置70とは真空配管78により連結されると共に、滅菌室68と蒸気供給装置72とは蒸気供給配管80により連結される。
そして、内視鏡10を滅菌する場合、先ず図5に示すように、内視鏡10の連通口コネクタ62にバルーン部材60のバルーン部材用コネクタ74を連結すると共に、内視鏡10を滅菌室68に収納する。この場合、内視鏡10の内部空間56はバルーン部材60と連通される以外は気密構造になっている。例えば、電気コネクタ22のキャップ23は閉めておく。
次に、図6に示すように、制御装置76が真空装置70を駆動して滅菌室68の空気を矢印Aで示すように吸引することにより滅菌室68を減圧する。滅菌室68内の圧力は、通常、大気圧に対して−0.06〜−0.1MPa程度に減圧される。この減圧操作では、後の高圧・高温の水蒸気による滅菌処理時に、内視鏡10の細部まで蒸気を浸透させるためである。
この減圧操作によって滅菌室68内が減圧されるので、内視鏡10よりも膨張し易いバルーン部材60が膨張する。したがって、内視鏡10の内部空間56のエアは矢印Bで示すように連通口58,連通口コネクタ62、バルーン部材用コネクタ74を介してバルーン部材60側に移動する。これにより、内視鏡10の内部空間56の圧力が減圧されるので、内部空間56と滅菌室68との圧力差が減少する(第1の圧力調整工程)。
この場合、理想的には、内視鏡10の内部空間56の圧力と、滅菌室68の圧力とが等しい、いわゆる圧力差がなくなることが好ましい。したがって、滅菌室68が減圧されたときのバルーン部材60の膨張体積と、内視鏡10の内部空間56の圧力が滅菌室68の圧力と同じになるのに必要な内部空間56からバルーン部材60への移動エア体積とが、同じになる大きさにバルーン部材60が膨張することが理想的である。
したがって、膨張率の異なるバルーン部材60を複数用意して、滅菌室68の減圧度に応じて適切な膨張率のバルーン部材60を選択することが好ましい。例えばゴム風船の膨張率であれば、ゴムの材質や厚みを変えることで膨張率を変えることができる。
次に、図7に示すように、制御装置76が蒸気供給装置72を駆動して、矢印Cで示すように高温・高圧の水蒸気(110℃〜130℃程度)を滅菌室68に供給して内視鏡10を滅菌する。これにより、滅菌室68は加圧状態になる。滅菌室68の圧力は、通常、大気圧に対して+0.2〜+0.3MPa程度に加圧される。
この加圧操作によって滅菌室68内が加圧されるので、内視鏡10よりも収縮し易いバルーン部材60が収縮する。したがって、収縮したバルーン部材60の空気は、矢印Dに示すように、バルーン部材用コネクタ74、連通口コネクタ62、連通口58を介して内視鏡10の内部空間56に移動する。これにより、内部空間56の圧力が加圧されるので、内部空間56と滅菌室68との圧力差が減少する(第2の圧力調整工程)。
なお、本実施の形態では、減圧操作と加圧操作とを各1回行うようにしたが、減圧操作と加圧操作との組み合わせを複数回繰り返しても良い。
なお、図6から分かるように、バルーン部材60が球形状に膨張すると、滅菌室68の高さが低いとバルーン部材60のスムーズな膨張を阻害する。したがって、滅菌室68の高さが低い場合には、長尺状バルーン部材60Aを使用することが好ましい。
図8は、バルーン部材60として長尺状バルーン部材60Aを使用して滅菌室68を減圧した場合である。図8から分かるように、長尺状バルーン部材60Aであれば、滅菌室68の減圧にともなって膨張したときに棒状に長くなるだけなので、球形状に膨張するバルーン部材60よりも滅菌室68の高さが問題にならない。
上記実施の形態では、内視鏡10を滅菌室68に直接収納して滅菌するようにしたが、内視鏡10を滅菌バッグ51に収納した状態で滅菌することが好ましい。
この場合、滅菌バッグ51内でバルーン部材60が膨縮すると、バルーン部材60が膨張する空間を確保しなくてはならず、大きな滅菌バッグ51が必要になる。
そこで、本実施の形態の内視鏡装置64では、図9に示すように、内視鏡10を収納すると共に、内視鏡10の連通口58に設けられた連通口コネクタ62に着脱自在に連結される第1コネクタ59と、バルーン部材60のバルーン部材用コネクタ74に着脱自在に連結可能な第2コネクタ75とを有する滅菌バッグ51を更に備えるようにした。
滅菌バッグ51は、滅菌紙とフィルムとを組み合わせた袋状体であり、内視鏡10を収納した後、ヒートシールして封止する。滅菌紙は菌の浸入を防ぎ且つガス通気性があるように形成され、オートクレーブ滅菌装置66での高温・高圧な水蒸気は滅菌バッグ51を通過して内視鏡10を滅菌する。また、フィルムはポリエチレンテレフタレートとポリプロピレン又はポリエチレンの複合フィルムが一般的に使用される。
滅菌バッグ51は内視鏡10を収納可能な大きさの例えば矩形状に形成される。そして、袋状体の滅菌バッグ51の上面(下面でもよい)から内側(袋状体の内側)に向けて内視鏡10の連通口コネクタ62と連結する第1コネクタ59が形成される。また、滅菌バッグ51の天面から外側(袋状体の外側)に向けてバルーン部材60のバルーン部材用コネクタ74と連結する第2コネクタ75が形成される。そして、これら第1コネクタ59及び第2コネクタ75は滅菌バッグ51の上面に固定された支持板55に支持される。また、第1コネクタ59と第2コネクタ75とは支持板55に形成された貫通孔55A(図11、12参照)を介して連通している。
図10は、バルーン部材用コネクタ74と滅菌バッグ51の第2コネクタ75とを示す斜視図であり、図11はバルーン部材用コネクタ74と第2コネクタ75とが接続された断面図、図12は接続される直前の断面図である。なお、図11及び図12では、滅菌バッグ51の第1コネクタ59を支持板55で兼用するようにし、支持板55の貫通孔55Aに雌ねじ59Aが刻設されており、この雌ねじ59Aが内視鏡の10の連通口コネクタ62の雄ねじ62Aに螺合する連結機構で示してある。しかし、この連結機構に限らずカップリング連結のように連結時の気密性が保持できればよい。
図11、図12に示すように、第2コネクタ75は、基部82、ガイド管84、バルブ本体86、及びスプリング(付勢部材)88から構成される。
基部82は、貫通孔55AにOリング89を介して連結される連結管90と、連結管90と一体に構成されて、図10の如く外周部に係合溝(係止部)92を備えた環状部94とから構成される。
ガイド管84は、基部82の環状部94に嵌合される。これによって、ガイド管84が連結管90と同軸上に配置される。また、ガイド管84の略中間部の外周面には等間隔に4個の開口部96、96…が備えられている。これらの開口部96、96…にバルブ本体86の気流路98が連通された際に、バルーン部材60との連通が第2コネクタ75を介して成される。
バルブ本体86は、その内部に十字状の前記気流路98と気流路98に連通された1本の主流路100とが備えられており、3本のOリング102、104、106を介してガイド管84内にスライド自在に嵌挿されている。また、Oリング102、104によって気流路98の気密性が保持されている。
スプリング88は連結管90内に配置されており、このスプリング88によってバルブ本体86が閉方向に付勢されている。
一方、バルーン部材用コネクタ74は、第2コネクタ75が挿入される筒状の本体108を備えている。本体108の先端部の開口端には、図13の如く2本のピン110、110が内側に向けて対向配置されている。これらのピン110、110が図10に示した環状部94の切欠き112に挿入され、この状態でバルーン部材用コネクタ74を第2コネクタ75に対して回動させることにより、ピン110、110が図11の如く、係合溝92、92に係合される。これによって、滅菌バッグ51の第2コネクタ75にバルーン部材60のバルーン部材用コネクタ74が接続される。なお、この接続時において、スプリング88の付勢力がバルブ本体86を介してバルーン部材用コネクタ74に加えられているので、結果的にピン110、110は係合溝92、92に付勢されて係合される。よって、バルーン部材用コネクタ74及び第2コネクタ75同士の接続が強固になっている。
一方、バルーン部材用コネクタ74の本体108の基端部には、ピン114が突設されている。また、ピン114の周りには図13の如く、通気口115、115…が備えられている。バルーン部材用コネクタ74の本体108が第2コネクタ75のガイド管84に案内されて接続方向(図12の位置から図11の位置に向う方向)に移動されてくると、ピン114が、バルブ本体86の端部116を押圧する。これにより、バルブ本体86がスプリング88の付勢力に抗してガイド管84内でスライド移動し、前述の如くピン110、110が係合溝92、92に係合した接続位置で、バルブ本体86の気流路98がガイド管84の開口部96、96…と連通する。即ち、図11に示した接続位置で、バルーン部材60と内視鏡10の内部空間56とが連通される。なお、符号118は、バルーン部材用コネクタ74に設けられたOリングである。このOリング118によって滅菌バッグ51の第2コネクタ75とバルーン部材用コネクタ74とが図11に示す接続位置において気密が保持される。
これにより、内視鏡10を滅菌バッグ51に収納してオートクレーブ滅菌装置66の滅菌室68で滅菌処理する際には、内視鏡10の連通口コネクタ62を滅菌バッグ51の第1コネクタ59に連結すると共に、バルーン部材用コネクタ74を滅菌バッグ51の第2コネクタ75に連結する。これにより、内視鏡10の内部空間56とバルーン部材60とを連通することができる。したがって、図5〜図7で説明した内視鏡の滅菌方法を、滅菌バッグ51に内視鏡10を収納したままで同様に行うことができる。また、バルーン部材60は滅菌バッグ51の外側に取り付けられるので、滅菌室68の減圧及び加圧によってバルーン部材60が膨縮しても、滅菌バッグ51が邪魔になることがない。
また、内視鏡10の滅菌処理が終わったら、滅菌バッグ51の第2コネクタ75とバルーン部材用コネクタ74とを離脱させて滅菌バッグ51からバルーン部材60を取り外しても、第2コネクタ75からの空気漏れを防止できる。
したがって、内視鏡10を滅菌バッグ51に収納したまま保管することができるだけでなく、滅菌後は不必要なバルーン部材60を外すことができる。
[膨縮体としてシリンダ構造のものを使用した第2実施の形態]
図14に示すように、膨縮体は、内視鏡10の連通口58に一端122Aが連結されると共に他端122Bが外部空間(減圧室)68に開放された筒状部材122と、筒状部材122内に摺動自在に設けられた摺動駒124と、筒状部材122と摺動駒124との摺動面を気密状態に維持する気密構造126と、で構成される。これにより、摺動駒124が矢印X方向に摺動すれば、一端122Aと摺動駒124との間の筒状部材内の容積が膨張する。また、摺動駒124が矢印Y方向に摺動すれば、一端122Aと摺動駒124との間の筒状部材内の容積が収縮する。以下、この膨縮体をシリンダ状膨縮体120という。
上記の気密構造126としては、例えば摺動駒124の摺動面にU字パッキン126Aをリング状に設ける態様を好ましく採用できる。また、シリンダ状膨縮体120の一端122Aには、内視鏡10の連通口58に設けられた連通口コネクタ62に連結される膨縮体コネクタ128が設けられる。連通口コネクタ62と膨縮体コネクタ128との連結は、連結気密性が保持できれば、ねじ構造でもカップリング構造でも何でもよい。
そして、図5〜図7に示したオートクレーブ滅菌装置66の滅菌室68で内視鏡10を滅菌する際には、連通口コネクタ62に膨縮体コネクタ128を連結してシリンダ状膨縮体120を取り付ける。
これにより、制御装置76が真空装置70を駆動して滅菌室68の空気を図6の矢印Aで示すように吸引して滅菌室68を減圧すると、図14の摺動駒124は矢印X方向に摺動する。したがって、内視鏡10の内部空間56のエアは図6の矢印Bで示すように連通口58,連通口コネクタ62、膨縮体コネクタ128を介してシリンダ状膨縮体120側に移動する。これにより、内視鏡10の内部空間56の圧力が減圧されるので、内部空間56と滅菌室68との圧力差が減少する(第1の圧力調整工程)。
この場合、理想的には、内視鏡10の内部空間56の圧力と、滅菌室68の圧力とが等しい、いわゆる圧力差がなくなることが好ましい。したがって、滅菌室68が減圧されたときのバルーン部材60の膨張堆積と、内視鏡10の内部空間56の圧力が滅菌室68の圧力と同じになるのに必要な内部空間56からシリンダ状膨縮体120への移動エア体積とが、同じになるように摺動駒124の移動距離を設定することが理想的である。
したがって、筒状部材122に前記した理想的な移動距離となるようにストッパ130を設けることが好ましい。ストッパの位置は、予め実験等により試行錯誤で決めればよい。
次に、制御装置76が蒸気供給装置72を駆動して、図7の矢印Cで示すように高温・高圧の水蒸気(110℃〜130℃程度)を滅菌室68に供給して内視鏡10を滅菌する。これにより、滅菌室68は加圧状態になる。
この加圧操作によって滅菌室68内が加圧されるので、図14のA方向に移動した摺動駒124は、図14のY方向に摺動する。したがって、シリンダ状膨縮体120の空気は、図7の矢印Dに示すように、膨縮体コネクタ128、連通口コネクタ62、連通口58を介して内視鏡10の内部空間56に移動する。これにより、内部空間56の圧力が加圧されるので、内部空間56と滅菌室68との圧力差が減少する(第2の圧力調整工程)。
なお、シリンダ状膨縮体120の場合にも、図9のバルーン部材60の代わりにシリンダ状膨縮体120を滅菌バッグ51に連結すれば、内視鏡10を滅菌バッグ51に収納した状態で滅菌室68で滅菌処理できることは言うまでもない。
10…内視鏡、12…手元操作部、14…挿入部、16…ユニバーサルケーブル、18…LGコネクタ、20…ケーブル、22…電気コネクタ、23…キャップ、24…送気・送水ボタン、26…吸引ボタン、28…シャッターボタン、30…アングルノブ、32…鉗子挿入部、33…鉗子チャンネル、34…鉗子栓、36…可撓管部、38…湾曲部、40…先端部、42…先端面、44…観察窓、46…照明窓、48…送気・送水ノズル、50…鉗子口、51…滅菌バッグ、52…送気・送水コネクタ、54…吸引コネクタ、55…支持板、55A…貫通孔、56…内部空間、58…連通口、59…滅菌バッグの第1コネクタ、59A…雌ねじ、60…バルーン部材、62…連通口コネクタ、64…内視鏡装置、66…オートクレーブ滅菌装置、68…外部空間(滅菌室)、70…真空装置、72…蒸気供給装置、74…バルーン部材用コネクタ、75…滅菌バッグの第2コネクタ、76…制御装置、78…真空配管、80…蒸気供給配管、82…基部、84…ガイド管、86…バルブ本体、88…スプリング、89…Oリング、90…連結管、92…係合溝、94…環状部、96…開口部、98…気流路、100…主流路、102、104、106…Oリング、108…本体、110…ピン、112…切欠き、114…ピン、115…通気口、116…端部、118…Oリング、120…シリンダ状膨縮体、122…筒状部材、124…摺動駒、126…気密構造、128…膨縮体コネクタ、130…ストッパ

Claims (8)

  1. 手元操作部、該手元操作部に基端部が連結された挿入部、該手元操作部に基端部が連結されたユニバーサルケーブル、及び該ユニバーサルケーブルの先端部に連結されたコネクタを有する内視鏡と、
    前記内視鏡に形成され、該内視鏡の内部空間と外部空間とを連通する連通口と、
    前記連通口に連結され、前記内部空間と前記外部空間との圧力差によって膨縮可能な膨縮体と、を備えたことを特徴とする内視鏡装置。
  2. 前記膨縮体はバルーン部材であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
  3. 前記バルーン部材は膨張したときの形状が長尺状になる長尺状バルーン部材であることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
  4. 前記膨縮体は、
    前記内視鏡の前記連通口に一端が連結されると共に他端が前記外部空間に開放された筒状部材と、
    前記筒状部材内に摺動自在に設けられた摺動駒と、
    前記筒状部材と前記摺動駒との摺動面を気密状態に維持する気密構造と、を備え、前記摺動駒が移動することにより、前記一端と前記摺動駒との間の前記筒状部材内の容積が膨縮することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
  5. 前記連通口は前記圧力差によって膨縮しない内視鏡の硬質部分に形成されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1に記載の内視鏡装置。
  6. 前記内視鏡を収納すると共に、前記内視鏡の連通口に設けられた連通口コネクタに着脱自在に連結可能な第1コネクタと、前記膨縮体の膨縮体用コネクタに着脱自在に連結可能な第2コネクタとを有する滅菌バッグを更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の内視鏡装置。
  7. 前記膨縮体の膨縮体用コネクタと前記滅菌バッグの第2コネクタとは、連結することにより前記膨縮体と前記内視鏡の内部空間とが連通され、連結を解除することにより前記第2コネクタの前記外部空間との連通が閉塞されて前記内視鏡の内部空間を封止する構造であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1に記載の内視鏡装置。
  8. 内視鏡を滅菌装置の滅菌室に収納して滅菌する際に、前記滅菌室の減圧及び加圧をともなう内視鏡の滅菌方法において、
    前記内視鏡の内部空間と外部空間とを連通する連通口に、前記内部空間と前記外部空間との圧力差によって膨縮可能な膨縮体を取り付ける膨縮体取付け工程と、
    前記内視鏡を前記滅菌室に収納する滅菌室収納工程と、
    前記滅菌室が減圧されて前記膨縮体が膨張することにより、前記連通口を介して前記内視鏡内部空間側のエアを前記膨縮体側に移動させる第1の圧力調整工程と、
    前記滅菌室が加圧されて前記膨張した膨縮体が収縮することにより、前記連通口を介して前記膨縮体側のエアを前記内視鏡内部空間に移動させる第2の圧力調整工程と、を備えたことを特徴とする内視鏡の滅菌方法。
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