JP2013040905A - 電流検知装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】測定電流が流れる導線を囲む磁気コア3に巻回した励磁コイル4と、設定した閾値に応じて、前記磁気コアを飽和状態又はその近傍の状態で、前記励磁コイルに供給する磁化電流の向きを反転させる矩形波電圧を発生する発振手段6と、該発振手段6から出力される前記矩形波電圧のデューティ変化に基づいて前記測定電流を検知する電流検知手段7と、前記発振手段から出力される矩形波電圧の周波数を検知する周波数検知手段8と、該周波数検知手段で検知した周波数に基づいて前記発振手段の閾値を設定する閾値設定手段と、前記励磁電流を供給する二次巻線の巻数を複数段階に選択可能として電流検出特性を変化させる巻数選択手段5とを備えた。
【選択図】図1
Description
この特許文献1に記載された従来例では、図10(a)に示す構成を有する。すなわち、軟質磁性体製の同形,等大に構成された円環状をなすコア101及び102と、各コア101及び102に等しい回数巻回された励磁コイル103と、各コア101及び102にわたるよう一括して巻回された検出コイル104とを備えている。
励磁コイル103には図示しない交流電源が、また検出コイル104には図示しない検出回路が接続されている。そして、両コア101及び102の中心に電流を測定する対象物たる被測定導線107が挿通されている。
励磁コイル103はこれに通電したとき両コア101及び102に生じる磁場が逆相であって互いに打ち消し合うようコア101及び102に巻回されている。
今、被測定導線107に矢印で示す如く下向きに直流電流値Iが通電しているものとすると、この直流分に相当する磁束密度が重畳される結果、磁束密度Bは図10(b)に破線で示す如く、台形波のうち、上方の台形波はその幅が拡大され、一方下方の台形波はその幅が縮小された状態となる。
この検出コイル104で捉えられた検出信号は被測定導線107を流れる直流の電流値Iに対応しており、これを処理することで電流値Iを検出することができる。
さらに、コア101,102を飽和領域まで励磁する必要があるので、大きな励磁電流が必要となり、センサの消費電流が大きいという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、周囲環境条件により影響を受けることが少なく、小型、低コスト、低消費電流で、微小電流の検知を行うことができる電流検知装置を提供することを目的としている。
さらに、巻数選択手段によって、磁気コアに巻装する二次巻線の巻数を切換えることができるので、所望の電流検出特性を選択することができる。
また、本発明に係る電流検知装置の第2の態様は、前記巻数選択手段が、前記二次巻線の異なる複数の巻数位置に個別に接続した複数の引出線と、該複数の引出線が個別に接続された複数の固定端子及び該複数の固定端子中の1つを選択する可動端子を有する選択スイッチとを備えている。
さらに、本発明に係る電流検知装置の第3の態様は、前記閾値設定手段が、前記周波数検知手段で検知した前記矩形波電圧の周波数が所定の設定値より小さい場合に、前記閾値を前記励磁電流の波高値が小さくなるように設定し、検知した前記矩形波電圧の周波数が前記所定の設定値より高い場合に、前記閾値を前記励磁電流の波高値が大きくなるとともに、前記矩形波電圧の周波数が前記所定の設定値よりも低くなるように設定する。
この構成によると、待機時や測定電流が小さい場合は閾値電流低く設定することが可能となり、励磁電流の低減が可能となる。
さらに、磁気センサ等を使用しないので、堅牢で、周囲環境条件により影響を受けることが少ない電流検知装置を提供できる。
しかも、発振手段の閾値を矩形波電圧の周波数に応じて変更するので、励磁電流を抑制して、消費電流を低減することができる。
また、巻数選択手段によって、磁気コアに巻装した二次巻線の巻数を選択できるので、検出範囲は狭くても高感度で微小電流を検出したい場合や、感度は低くても広範囲の電流を検知した場合等の使用条件に応じて電流検出特性の設定を行うことができる。
図1は本発明に係る電流検知装置の一実施形態を示す構成図である。図中、1は電流検知装置であって、例えば漏電検知等の対象物に設けられた例えば10A〜800Aの往復の電流Iが流れる導線2a,2bの微小な差異電流を検知する。ここで、健全状態では導線2a,2bに流れる電流の和はゼロであるが、漏電や地絡などでは導線2a,2bに流れる電流の和が零にならず、検出対象とする例えば15mA〜500mA程度の微小な差異電流が流れる。これら導線2a,2bの回りには導線2a,2bを一次巻線とするようにリング状の磁気コア3が配設されている。つまり、磁気コア3内に導線2a,2bが一次巻線として挿通されている。
巻数選択部5は、励磁コイル4の異なる複数の巻数位置に接続された例えば4本の接続線L1〜L4と、各接続線L1〜L4の他端が接続された選択スイッチSWとを備えている。接続線L1は励磁コイル4の例えば巻き始め側に接続され、接続線L4は、励磁コイル4の巻き終わりに接続されている。
選択スイッチSWは、図2に示すように、接続線L1〜L4が接続される固定端子Ts1〜Ts4と、これら固定端子Ts1〜Ts4中の一つを選択する可動端子Tmとを備えている。
発振回路6は、図3に示すように、コンパレータとして動作するオペアンプ11を備えている。このオペアンプ11の出力側及び反転入力側に出力端子to1及びto2が接続されている。また、オペアンプ11の反転入力側は抵抗12を介してグランドに接続され、オペアンプ11の非反転入力側は、オペアンプ11の出力側及びグランド間に直列に接続された分圧抵抗13、14及び15における分圧抵抗13及び14間に接続されている。
そして、オペアンプ11の出力側と出力端子to1との接続点に外部出力端子toが接続されている。
Vth1={R1/(R1+R2+R3)}Va …………(1)
また、アナログスイッチ回路16がオン状態であるときには、閾値電圧Vth2は下記(2)式で表される。
Vth2={R1/(R1+R3)}Va …………(2)
このため、今、アナログスイッチ回路16がオフ状態であるものとすると、このときの閾値電圧Vth1と励磁コイル4及び抵抗12との接続点Dの電圧Vdとが比較されて、その比較出力が図4(a)に示す矩形波の出力電圧Vaとして出力側から出力される。
今、図4(a)に示すように、時点t1で、オペアンプ11の出力側の出力電圧Vaがハイレベルとなると、これが励磁コイル4に印加される。このため、励磁コイル4を出力電圧Vaと抵抗12の抵抗値R12とに応じた励磁電流Ibで励磁する。このとき、励磁電流Iexは、図4(b)に示すように、出力電圧Vaの立ち上がり時点から比較的急峻に立ち上がり、その後緩やかに増加する放物線状となる。
一方、オペアンプ11の反転入力側の励磁コイル4及び抵抗12の接続点Dの電圧Vdは、励磁コイル4の励磁電流Iexの増加に応じて増加し、その後励磁電流Iexが再度急峻に増加して、電圧Vdが時点t2で図4(b)のF点で非反転入力側の閾値電圧Vth1を上回ると、オペアンプ11の出力電圧Vaが図4(a)に示すように、ローレベルに反転する。
このとき、閾値電圧Vthは、出力電圧Vaがローレベルとなっていることにより、閾値電圧Vth1も低い電圧−Vth1となっている。そして、オペアンプ11の反転入力側の励磁コイル4及び抵抗12の接続点Dの電圧Vdが、励磁コイル4の励磁電流Ibの減少に応じて減少し、この電圧Vdが時点t3で非反転入力側の閾値電圧−Vth1を下回ると、オペアンプ11の出力電圧Vaが図4(a)に示すように、時点t1と同様にハイレベルに反転する。
ところで、磁気コア3は、図5(a)に示すように角型比の大きな磁束密度Bと磁界の強さHとの関係を表すB−H特性を有し、高透磁率材料の非線型な特性を有する。このB−H特性を有する磁気コア3のインダクタンスは、導線2a,2bの差電流が零であるときに、図5(b)に示すように飽和電流付近Gで急激に消失する。磁気コア3を貫通する導線2a,2bに任意の検出対象となる微小な差電流Cが生じると、図5(b)のB−H特性は、破線図示のように差電流Cに応じて磁界の強さHの正方向にシフトしてインダクタンスが消失するタイミングが変化する。
この励磁電流Iexの向きが切り換わる電流値が変化することにより、励磁コイル4と抵抗12との接続点Dの電圧Vdが閾値電圧Vth1を上回るタイミングが遅れることになる。このため、オペアンプ11から出力される出力電圧Vaの立ち下がり時点が導線2a,2bの差電流の電流値Cに応じて図4(a)で破線図示のように遅れる。この結果、出力電圧Vaの矩形波電圧のデューティ比が導線2a,2bの差電流の電流値Cに応じて変化する。
したがって、周波数−電圧変換回路81の出力電圧Vfが基準電圧Vref以下であるときには比較回路83から出力される周波数検知信号Sfがローレベルを維持するが、出力電圧Vfが基準電圧Vrefを超えると比較回路83から出力される周波数検知信号Sfがハイレベルとなる。
この図7から明らかなように、電流値C2が励磁コイル4に通電された場合には、破線図示のように磁気コア3の飽和により励磁電流Iexの傾きが閾値電流±Ith1に向かって急峻に変化し始める前に図7の点H2で閾値電流±Ith1に到達してしまうため、実線図示の電流値C=0の場合と比較すると、発振周波数が高くなるとともに、デューティ比の変化が略零となる。
このため、発振回路6の発振周波数は変わらずに、電流値C2に応じたデューティ変化が得られる。このため、デューティ検出回路7で検出されるデューティ比が電流値C2に応じたものとなり、正確な電流検知を行うことができる。
以上のように、発振回路6の発振周波数を検出することにより、測定する電流値に応じて閾値電流を切り換えることができ、待機時や測定電流が小さい場合の閾値電流を低く設定できるので、励磁電流の低減が可能となる。
測定電流と閾値電流との関係を纏めると下記1表に示すようになる。
したがって、電流検出範囲が狭くて良いが、電流検出感度を高めたいときには、巻数Nが小さくなるように巻数選択部5の選択スイッチSWにおける可動端子Tmで固定端子Ts1を選択する。これによって、励磁コイル4の巻数Nが少なくなり、電流検出感度を高めることできる。
つまり、巻数選択部5の選択スイッチSWの可動端子Tmで固定端子Ts1、Ts2、Ts3及びTs4の順に選択することにより、電流検出感度は高感度状態から低感度状態に徐々に切換わり、逆に電流検出範囲は、狭い範囲から広範囲に徐々に切換わることになる。
したがって、1つの電流検知装置で、電流検出感度重視の電流検出特性と電流検出範囲重視の電流検出特性との双方を選択することができ、巻数選択部5によって微小電流の検出特性を使用者の使用条件に応じた所望特性に設定することができる。
また、上記実施形態においては、1つの励磁コイル4の巻数Nを選択スイッチSWで選択する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、巻数の異なる複数の励磁コイルを磁気コア3に巻装し、複数の励磁コイルを選択スイッチで選択するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、2本の導線2a及び2bの差電流を検知する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、1本の導線に流れる微小電流を検出することもできる。
Claims (3)
- 測定電流が流れる一次巻線と、該一次巻線から電気的に絶縁された磁気コアにより前記一次巻線と磁気的に結合されている二次巻線とを備えた電流検知装置であって、
設定した閾値に応じて、前記磁気コアを飽和状態又はその近傍の状態で、前記二次巻線に供給する励磁電流の向きを反転させる矩形波電圧を発生する発振手段と、
該発振手段から出力される前記矩形波電圧のデューティ変化に基づいて前記測定電流を検知する電流検知手段と、
前記発振手段から出力される矩形波電圧の周波数を検知する周波数検知手段と、
該周波数検知手段で検知した周波数に基づいて前記発振手段の閾値を設定する閾値設定手段と、
前記励磁電流を供給する二次巻線の巻数を複数段階に選択可能として電流検出特性を変化させる巻数選択手段と
を備えたことを特徴とする電流検知装置。 - 前記巻数選択手段は、前記二次巻線の異なる複数の巻数位置に個別に接続した複数の引出線と、該複数の引出線が個別に接続された複数の固定端子及び該複数の固定端子中の1つを選択する可動端子を有する選択スイッチとを備えていることを特徴とする請求項1に記載の電流検知装置。
- 前記閾値設定手段は、前記周波数検知手段で検知した前記矩形波電圧の周波数が所定の設定値より小さい場合に、前記閾値を前記励磁電流の波高値が小さくなるように設定し、検知した前記矩形波電圧の周波数が前記所定の設定値より高い場合に、前記閾値を前記励磁電流の波高値が大きくなるとともに、前記矩形波電圧の周波数が前記所定の設定値よりも低くなるように設定すること特徴とする請求項1又は2に記載の電流検知装置。
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