JP2013036852A - ガスセンサ装置およびガスセンサを用いた濃度測定方法 - Google Patents

ガスセンサ装置およびガスセンサを用いた濃度測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガスセンサにより測定される出力値から得られるガス中の特定ガス成分の濃度の値の精度をより高くすることができるガスセンサ装置及びガスセンサを用いた濃度測定方法を提供する。
【解決手段】ガスに含まれる特定ガス成分の濃度である特定成分濃度をに応じた出力値を出力するガスセンサ10と、ガスの圧力を測定する圧力センサ20と、ガスセンサ10から出力される出力値、および、圧力センサ20により測定されたガスの圧力値に基づいて特定成分濃度を算出する演算部30と、が設けられたガスセンサ装置1において、演算部30はフィックの法則から導き出された式であって、出力値および圧力値の関数である式に基づいて仮特定成分濃度を算出し、仮特定成分濃度および圧力値の関数である補正項に基づいて補正値を算出し、補正値を用いて仮特定成分濃度を補正して特定成分濃度を算出することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、被検出ガスの濃度を測定するガスセンサを備えるガスセンサ装置及びガスセンサを用いた濃度測定方法、特に、ガスセンサから出力される出力値に対して圧力補正を行う必要がある場合に用いて好適なガスセンサ装置及びガスセンサを用いた濃度測定方法に関する。
ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関においては、消費燃料の低減を図るためや、排気ガスの浄化を図るために、燃焼室に送り込まれるガスと燃料との割合である混合比を調節する制御が一般的になっている。この混合比を制御するために、吸気ガスに含まれる特定ガス成分(例えば酸素)の割合や、排気ガスに含まれる特定ガス成分の割合を測定するために、ガスセンサが用いられている。
ガスセンサは、測定対象であるガス中に配置されるセンサ素子を備え、このセンサ素子から特定ガス成分の割合である特定ガス成分の濃度(例えば酸素濃度)に関する出力値が出力される。しかしながら、センサ素子から出力される出力値は、測定対象であるガス中の特定ガス成分の濃度だけではなく、ガスの圧力の影響も受けることが知られている。
近年においては、内燃機関に対する制御がきめ細かくなっていることから、特定ガス成分の濃度の値も、正確であることが求められ始めている。そこで、測定対象であるガス中のより正確な特定ガス成分の濃度を求めるために、ガスセンサから出力される出力値から、圧力の影響を除去する種々の方法が提案されている(例えば、特許文献1および2参照。)。
特許文献1および2では、測定対象であるガス中の特定ガス成分の濃度を測定するセンサ素子と、圧力を測定する圧力センサとが設けられた構成が開示されている。そして、特許文献1および2には、センサ素子から出力された特定ガス成分の濃度に関する出力値に対して、圧力センサにより測定された圧力値に基づく係数を乗じて、特定ガス成分の濃度に関するガスセンサの出力値から圧力の影響を除去する方法(補正方法)が提案されている。
特開平6−273381号公報 特開2005−061420号公報
特定ガス成分の濃度に関するガスセンサの出力値の補正を行わない場合と比較して、上述の特許文献1および2に記載された補正方法を用いることにより、特定ガス成分の濃度の値の精度はより正確になる。しかしながら、内燃機関に対する制御は、現在そして将来において更に精緻になると予想される。この場合、特定ガス成分の濃度の値も、さらに精度が高い値が要求されることになる。つまり、上述の特許文献1および2に記載された補正方法では、要求される精度で特定ガス成分の濃度の値を得ることが困難になるという問題があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、ガスセンサにより測定される出力値から得られる、ガス中の特定ガス成分濃度の値の精度をより高くすることができるガスセンサ装置及びガスセンサを用いた濃度測定方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明のガスセンサ装置は、内燃機関に設けられた流路内を流れるガスに含まれる特定ガス成分の濃度に応じた出力値を出力するガスセンサと、前記ガスの圧力を測定する圧力センサと、前記ガスセンサから出力される前記出力値、および、前記圧力センサにより測定された前記ガスの圧力値に基づいて特定成分濃度を算出する演算部と、が設けられたガスセンサ装置であって、前記演算部は、フィックの法則から導かれた式であって、前記ガスセンサから出力される前記出力値、および、前記圧力センサにより測定された前記圧力値の関数である式に基づいて仮特定成分濃度を算出し、さらに、前記仮特定成分濃度および前記圧力センサにより測定された前記圧力値の関数である補正項に基づいて補正値を算出し、前記補正値を用いて前記仮特定成分濃度を補正して前記特定成分濃度を算出することを特徴とする。
本発明のガスセンサ装置によれば、フィックの法則から導かれた式であって、ガスセンサの出力値及び圧力センサの圧力値の関数である式に基づいて、特定成分の濃度(仮特定成分濃度)を算出しているため、特定成分の濃度に関するガスセンサの出力値に補正を行わない場合と比較して、特定成分の濃度の値の精度をより正確にすることができる。
さらに、本発明のガスセンサ装置によれば、フィックの法則に基づいて求められた仮特定成分濃度に誤差が含まれていても、仮特定成分濃度、および、圧力センサにより測定された圧力値の関数である補正項に基づく補正値を用いて仮特定成分濃度を補正することで、補正後の特定成分濃度の誤差が小さくすることができる。
本発明の発明者は、フィックの法則に基づく式により算出された仮特定成分濃度には、特定ガス成分の濃度とガスの圧力とに対する更なる依存性があることを実験により発見した。つまり、同じ特定ガス成分の濃度を有するガスであっても、ガスの圧力が異なると算出される仮特定成分濃度に違い(誤差)が出ることを発見した。そこで、仮特定成分濃度及び圧力値の関数である補正項から算出された補正値を用いて、仮特定成分濃度を補正することにより、仮特定成分濃度からガスの圧力による変動を除去し、誤差をより小さくした特定成分濃度を求めることができる。なお、補正値を用いた仮特定成分濃度の補正方法としては、仮特定成分濃度に対して補正値を減算する、または、加算する方法が望ましい。
なお、本発明のガスセンサ装置は、内燃機関に設けられた流路内を流れるガスが吸気ガスであってもよいし、排気ガスであっても良いが、吸気ガスであることが好ましい。吸気ガスにおいては、ガスの圧力変動が大きいため、ガスセンサの出力値と特定成分濃度とにより誤差が生じやすい状況となる。それに対し、本発明のガスセンサ装置を用いることで、吸気ガスであっても、ガスセンサの出力値からガスの圧力による変動を除去し、誤差をより小さくした特定成分濃度を求めることができる。
上記発明において前記演算部は、下式
Figure 2013036852
(Ip:前記ガスセンサから出力される前記出力値、P:前記圧力センサにより測定された前記圧力値、A、B:2つの圧力値と、2つの圧力値に対応する2つの出力値とにより算出される2つの仮特定成分濃度を近似可能にする定数)
にて仮特定成分濃度を算出することが望ましい。
このように、上式を用いて仮特定成分濃度を算出しているため、特定成分の濃度に関するガスセンサの出力値に補正を行わない場合と比較して、特定成分の濃度の値の精度をより正確にすることができる。その上、上式にて算出された仮特定成分濃度には、誤差が含まれるが、仮特定成分濃度、および、圧力センサにより測定された圧力値の関数である補正項に基づく補正値を用いて仮特定成分濃度を補正することで、補正後の特定成分濃度の誤差が小さくすることができる。
上記発明において前記補正項は、前記圧力センサにより測定された圧力値に係る多項式であることが望ましい。
このように、補正項を測定された圧力値に係る多項式とすることで、演算部により求められる特定成分濃度の誤差をより小さくすることができる。例えば、仮特定成分濃度のガス圧力に対する依存性が、ガス圧力の変化に応じて連続的に変化する場合であっても、当該変化に対応した多項式を補正項として用いることにより、特定成分濃度の誤差が大きくなることを抑制できる。
上記発明において前記多項式における各項にはそれぞれ異なる係数が含まれ、該係数は、前記仮特定成分濃度の関数であることが望ましい。
このように、補正項の各項における係数が、仮特定成分濃度の関数とすることで、演算部により求められる特定成分濃度の誤差を更に小さくすることができる。例えば、仮特定成分濃度のガス圧力に対する依存性が、ガスの圧力によって大きく変化し、固定された多項式である補正項を用いても補正が十分でない場合には、特定成分濃度の誤差を小さくすることは難しい。この場合であっても、多項式の各項の係数を仮特定成分濃度に応じて変化させることにより、補正項により補正可能な範囲を広くすることができ、特定成分濃度の誤差が大きくなることをより確実に抑制できる。
また、本発明のガスセンサを用いた濃度測定方法は、内燃機関に設けられた流路内を流れるガスに含まれる特定ガス成分の濃度に応じた出力値を出力するガスセンサ、及び前記ガスの圧力を測定する圧力センサを流路に配置し、前記ガスセンサから出力される前記出力値、および、前記圧力センサにより測定された前記ガスの圧力値に基づいて特定成分濃度を算出するガスセンサを用いた濃度測定方法であって、前記特定成分濃度を算出する際に、フィックの法則から導かれた式であって、前記ガスセンサから出力される前記出力値、および、前記圧力センサにより測定された前記圧力値の関数である式に基づいて仮特定成分濃度を算出し、さらに、前記仮特定成分濃度および前記圧力センサにより測定された圧力値の関数である補正項に基づいて補正値を算出し、前記補正値を用いて前記仮特定成分濃度を補正して前記特定成分濃度を算出することを特徴とする。
本発明のガスセンサを用いた濃度測定方法によれば、フィックの法則から導かれた式であって、ガスセンサの出力値及び圧力センサの圧力値の関数である式に基づいて、特定成分の濃度(仮特定成分濃度)を算出しているため、特定成分の濃度に関するガスセンサの出力値に補正を行わない場合と比較して、特定成分の濃度の値の精度をより正確にすることができる。
さらに、本発明のガスセンサを用いた濃度測定方法によれば、フィックの法則に基づいて求められた仮特定成分濃度に誤差が含まれていても、仮特定成分濃度、および、圧力センサにより測定された圧力値の関数である補正項に基づく補正値を用いて仮特定成分濃度を補正することで、補正後の特定成分濃度の誤差が小さくすることができる。
上記発明において前記仮特定成分濃度を算出する際に用いられる式は下式
Figure 2013036852
(Ip:前記ガスセンサから出力される前記出力値、P:前記圧力センサにより測定された前記圧力値、A、B:2つの圧力値と、2つの圧力値に対応する2つの出力値とにより算出される2つの仮特定成分濃度を近似可能にする定数)
であることが望ましい。
このように、上式を用いて仮特定成分濃度を算出しているため、特定成分の濃度に関するガスセンサの出力値に補正を行わない場合と比較して、特定成分の濃度の値の精度をより正確にすることができる。その上、上式にて算出された仮特定成分濃度には、誤差が含まれるが、仮特定成分濃度、および、圧力センサにより測定された圧力値の関数である補正項に基づく補正値を用いて仮特定成分濃度を補正することで、補正後の特定成分濃度の誤差が小さくすることができる。
上記発明において前記補正項は、前記圧力センサにより測定された圧力値に係る多項式であることが望ましい。
このように、補正項を測定された圧力値に係る多項式とすることで、演算により求められる特定成分濃度の誤差をより小さくすることができる。例えば、仮特定成分濃度のガス圧力に対する依存性が、ガス圧力の変化に応じて連続的に変化する場合であっても、当該変化に対応した多項式を補正項として用いることにより、特定成分濃度の誤差が大きくなることを抑制できる。
上記発明において前記多項式における各項にはそれぞれ異なる係数が含まれ、該係数は、前記仮特定成分濃度の関数であることが望ましい。
このように、補正項の各項における係数が、仮特定成分濃度の関数とすることで、演算により求められる特定成分濃度の誤差を更に小さくすることができる。例えば、仮特定成分濃度のガス圧力に対する依存性が、ガスの圧力によって大きく変化し、固定された多項式である補正項を用いても補正が十分でない場合には、特定成分濃度の誤差を小さくすることは難しい。この場合であっても、多項式の各項の係数を仮特定成分濃度に応じて変化させることにより、補正項により補正可能な範囲を広くすることができ、特定成分濃度の誤差が大きくなることをより確実に抑制できる。
本発明のガスセンサ装置及びガスセンサを用いた濃度測定方法によれば、ガスセンサにより測定される出力値から得られるガス中の特定ガス成分の濃度の値の精度をより高くすることができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係るガスセンサ装置の概略構成を説明する模式図である。 図1のECUにおける酸素濃度の算出方法を説明するフローチャートである。 補正項の係数Cを求める計算式の係数a,b,cを説明するグラフである。 補正項の係数Cを求める計算式の係数d,eを説明するグラフである。 ガスセンサ装置で測定された酸素濃度の測定誤差を説明するグラフである。
この発明の一実施形態に係るガスセンサ装置1について、図1から図5を参照して説明する。図1は、本実施形態に係るガスセンサ装置1の概略構成を説明する模式図である。
ガスセンサ装置1は、図1に示すように、内燃機関40に吸入される吸気ガスに含まれる酸素の濃度を測定するものである。ガスセンサ装置1により測定された酸素濃度は内燃機関40の制御、例えば空燃比の制御に用いられるものである。ガスセンサ装置1には、酸素センサ(ガスセンサ)10と、圧力センサ20と、エンジンコントロールユニット(演算部)30(以下「ECU30」と表記する。)と、が主に設けられている。
なお、本実施形態では、本発明のガスセンサ装置1を、内燃機関40に吸入される吸気ガスに含まれる酸素濃度を測定する例に適用して説明するが、内燃機関40から排気される排気ガスに含まれる酸素濃度を測定する例に適用してもよく、特に限定するものではない。但し、吸気ガスにおいては、ガスの圧力変動が大きく、後述するセンサ素子の出力値とO2濃度により誤差が生じやすい状況となるため、本発明のガスセンサ装置を用いることが有効となる。
酸素センサ10および圧力センサ20は、内燃機関40の吸入配管41であって、排気再循環配管43(以下、「EGR配管43」と表記する。)との合流点よりも内燃機関40側、言い換えると下流側に配置されている。また、吸入配管41における酸素センサ10および圧力センサ20の配置位置よりも上流側には、吸入配管41を流れる空気の流量を調節する吸気弁44が設けられている。なお、酸素センサ10および圧力センサ20の配置は、酸素センサ10が上流側に配置されていてもよいし、圧力センサ20が上流側に配置されていてもよく、特に限定するものではない。
なお、EGR配管43は、排気配管42と吸入配管41とをつなぐ配管であり、排気配管42を流れる排気ガスの一部を吸入配管41に導くもの、言い換えると排気ガスを再循環させるものである。EGR配管43には、排気ガスの再循環量を調節する調節弁45が設けられている。
酸素センサ10は、吸入配管41の内部を流れる吸気ガスに含まれる酸素濃度を測定するセンサであり、酸素濃度に応じた出力値の1つである電流Ipを出力するものである。電流Ipの値は、吸気ガスに含まれる酸素濃度に応じて変化すると共に、吸入配管41を流れる吸気ガスの圧力にも応じて変化する。言い換えると、電流Ipは、酸素濃度の関数であるとともに、吸気ガス圧力の関数でもある。なお、酸素センサ10としては、上述の特性を有する公知のセンサであればよく、特にその形式等を限定するものではない。
圧力センサ20は、吸入配管41の内部を流れる吸気ガスの圧力を測定するセンサであり、吸気ガスの圧力に応じた測定信号を出力するものである。なお、圧力センサ20としては、公知の圧力センサを用いることができ、特に限定するものではない。
ECU30は、酸素センサ10の出力値および圧力センサ20の圧力値に基づいて、吸入配管41の内部を流れる吸気ガスの酸素濃度を演算により求めるものであり、少なくとも、求められた酸素濃度に基づいて内燃機関40の運転状態を制御するものである。ECU30における酸素濃度の算出方法については後述する。
次に、上記の構成からなるガスセンサ装置1における酸素濃度の算出方法について説明する。図2は、図1のECU30における酸素濃度の算出方法を説明するフローチャートである。
最初に、ECU30は、酸素センサ10から出力される出力値(電流Ip)、および、圧力センサ20から出力される測定信号である圧力に係る電気信号を取得する処理を実行する(S11)。圧力に係る電気信号は、ECU30において予め記憶されているテーブルなどに基づいて、吸入配管41の内部を流れる吸気ガスの圧力値Pに変換される。
次にECU30は、下記の式(1)に基づいて、仮O2濃度(特許請求の範囲の「仮特定成分濃度」に相当する。)を算出する処理を実行する(S12)。仮O2濃度は、フィックの法則から導かれる式(1)に、電流Ipの値および吸気ガスの圧力値Pを代入して得られる酸素濃度の値である。
Figure 2013036852
ここで、Ipは酸素センサ10から出力された出力値であり、Pは圧力センサ20により測定された圧力値である。なお、A、Bは2つの圧力値に対して算出される仮特定成分濃度が近似可能な定数であり、具体的には、Aは下記の式(2)により定まる定数、Bは下記の式(3)により定まる定数である。
Figure 2013036852
ここで、Lは酸素センサ10の拡散孔の長さ(m)、Rは気体定数(8.314JK-1mol-1)、Sは酸素センサ10の拡散孔の断面積(m2)、Fはファラデー定数(9.6485×104Cmol-1)、Tは酸素センサ10の拡散孔を通過する時のガスの温度(K)である。
なお、上述の係数Aおよび係数Bは、上述の式(2)および式(3)に基づいて求めてもよいし、予めO2濃度および圧力が判っているガスの酸素濃度を測定して、実験的に求めてもよく、特に限定するものではない。
上記の式(1)は、下記のフィックの法則である式(4)から導かれる式(5)に、分子拡散係数Dm(=kT1.75/P)およびクヌーセン拡散係数Dk(=k'T0.5)を合成した拡散係数DABの式(6)を代入して整理して得られる式(7)に基づくものである。
Figure 2013036852
ここで、cAの上にドット(・)が付されたものは、成分Aのモル質量速度(=cAA)であり、wAは、成分Aのモル分率(=cA/c)であり、cの上にドット(・)が付されたものは、モル質量速度(=cv)であり、cはモル濃度(kmol/m3)である。また、PAは、成分Aの分圧(kPa)であり、Pは圧力(kPa)であり、PA/Pは、成分Aの濃度(%)である。
Figure 2013036852
Figure 2013036852
仮O2濃度が算出されると、ECU30は、次に係数Cを算出する計算式を決定する処理を実行する(S13)。係数Cは、仮O2濃度からO2濃度(特許請求の範囲の「特定成分濃度」に相当する。)を求める下記の式(8)の補正項に含まれる係数である(式(9)参照)。
Figure 2013036852
係数Cは、圧力センサ20により測定された吸気ガスの圧力に応じて異なる計算式に基づいて算出される。本実施形態では、所定の圧力値PT未満の場合には、下記の式(10)が計算式として選択され、圧力値PT以上の場合には、下記の式(11)が計算式として選択される例に適用して説明する。
Figure 2013036852
xは圧力センサ20により測定された吸気ガスの圧力である。
ここで、aは仮O2濃度の値に基づいて定まる係数であり、具体的には図3(a)に示すように、仮O2濃度の値が高くなる伴い値が小さくなる係数である。bは仮O2濃度の値に基づいて定まる係数であり、具体的には図3(b)に示すように、仮O2濃度の値が高くなる伴い値が大きくなる係数である。cは仮O2濃度の値に基づいて定まる係数であり、具体的には図3(c)に示すように、仮O2濃度の値が高くなる伴い値が小さくなる係数である。
dは仮O2濃度の値に基づいて定まる係数であり、具体的には図4(a)に示すように、仮O2濃度の値によって変化する係数である。eは仮O2濃度の値に基づいて定まる係数であり、具体的には図4(b)に示すように、仮O2濃度の値が高くなる伴い値が小さくなる係数である。
ECU30において係数Cを算出する計算式が選定されると、次に、係数Cを算出する処理がECU30によって実行される(S14)。
例えば、圧力センサ20により測定された吸気ガス圧力が圧力値PT未満の場合には、ECU30は上記の式(10)を計算式として選択し、算出された仮O2濃度に対応する係数a,b,cの値、および、圧力センサ20により測定された吸気ガス圧力に基づいて係数Cの値を算出する処理を実行する。
係数Cの値が算出されると、補正項の値である補正値を演算で求める処理がECU30によって実行される(S15)。具体的には、上述の式(9)、算出された仮O2濃度、および、S14において算出された係数Cの値に基づいて、補正項の値が演算により求められる。
そして、上述の式(8)、算出された仮O2濃度、および、S15において算出された補正項の値に基づいて、O2濃度(特定成分濃度)の算出処理がECU30により実行される(S16)。以上により、ガスセンサ装置1における酸素濃度の算出が完了する。
次に、本実施形態のガスセンサ装置1で測定された酸素濃度の測定誤差(測定精度)について、図5を参照しつつ、従来の測定方法に基づく酸素濃度(本実施形態における仮O2濃度に相当する。)の測定誤差と対比しながら説明する。
図5では、縦軸を酸素濃度の測定誤差(Error)とし、横軸を測定対象である吸気ガスの圧力としている。また、測定対象の吸気ガスに含まれる酸素の濃度(O2 conc.)が15%の時の測定結果を菱形(◆,◇)のグラフで表し、18%の時の測定結果を四角(■,□)のグラフで表し、21%の時の測定結果を三角(▲,△)のグラフで表している。さらに、本実施形態のガスセンサ装置1による測定誤差は、白抜きの菱形(◇)、四角(□)、三角(△)のグラフで表し、比較対象である従来の測定方法に基づく測定誤差は、黒塗りの菱形(◆)、四角(■)、三角(▲)のグラフで表している。
まず測定誤差における、測定対象である吸気ガスの圧力の影響について着目して説明する。
従来の測定方法に基づく酸素濃度の測定誤差は、全ての酸素濃度について(◆,■,▲について)、空気圧力の増減に伴い測定誤差の程度が大きく変動している。具体的には、所定の圧力値PT未満の範囲では、空気圧力の増加に伴い測定誤差が大きくなり、圧力値PT以上の範囲では、空気圧力の増加に伴い測定誤差が小さくなる。
なお、ここで述べる所定の圧力値PTと、上述のS13における所定の圧力値PTとは同一の値である。言い換えると、係数Cの算出に用いられる計算式は、吸気ガス圧力に対する仮O2濃度の変化の態様に基づいて選択される。
これに対して、本実施形態のガスセンサ装置1で測定された酸素濃度の測定誤差は、全ての酸素濃度について(◇,□,△について)、吸気ガス圧力の増減に関わらず測定誤差は、比較的狭い範囲内で変動している。言い換えると、本実施形態のガスセンサ装置1は、吸気ガス圧力の増減の影響を受けることなく、一定の誤差範囲内の酸素濃度を出力することができる。
次に測定誤差における、測定対象である吸気ガスの酸素濃度の影響について着目して説明する。
従来の測定方法に基づく酸素濃度の測定誤差は、酸素濃度の変化に伴い測定誤差の程度が大きく変動している。具体的には、酸素濃度が高くなる(◆→■→▲)に伴い、測定誤差が小さくなる。これに対して、本実施形態のガスセンサ装置1で測定された酸素濃度の測定誤差は、酸素濃度の変化に伴い測定誤差の程度が変動するものの、明らかに変動の幅が小さくなっている。
以上から、本実施形態のガスセンサ装置1による酸素濃度の測定誤差は、従来の測定方法に基づく酸素濃度の測定誤差と比較して、測定対象である吸気ガスの圧力の影響を受けにくく、かつ、吸気ガスの酸素濃度の影響も受けにくいことが判る。
上記の構成によれば、フィックの法則から導かれた式(1)に基づいて求められた仮O2濃度に誤差が含まれていても、仮O2濃度、および、圧力センサ20により測定された圧力値Pの関数である補正項に基づく補正値を用いて仮O2濃度を補正することで、仮O2濃度から吸気ガスの圧力による変動を除去し、補正後のO2濃度の誤差が小さくすることができる。つまり、酸素センサ10により測定される酸素濃度の精度をより高くすることができる。
式(1)にて示すように、
Figure 2013036852
にて仮特定成分濃度が算出されることで、酸素濃度に関する酸素センサの電流値Ipに補正を行わない場合と比較して、酸素濃度の精度をより正確にすることができる。その上、式(1)にて算出された仮O2濃度には、誤差が含まれるが、仮O2濃度、および、圧力センサ20により測定された圧力値Pの関数である補正項に基づく補正値を用いて仮O2濃度を補正することで、補正後のO2濃度の誤差が小さくすることができる。
式(9)および式(10)、または、式(9)および式(11)に示すように、補正項を測定された圧力値xに係る多項式とすることで、ECU30により求められるO2濃度の誤差をより小さくすることができる。例えば、仮O2濃度の吸気ガス圧力に対する依存性が、吸気ガス圧力の変化に応じて連続的に変化する場合であっても、当該変化に対応した多項式を補正項として用いることにより、O2濃度の誤差が大きくなることを抑制することができる。
補正項の各項における係数a,b,cまたは係数d,eを、仮O2濃度の関数とすることで、ECU30により求められるO2濃度の誤差を更に小さくすることができる。例えば、仮O2濃度の吸気ガス圧力に対する依存性が、吸気ガスの圧力によって大きく変化し、固定された多項式である補正項を用いても補正が十分でない場合には、O2濃度の誤差を小さくすることは難しい。この場合であっても、多項式の各項の係数a,b,cまたは係数d,eを仮O2濃度に応じて変化させることにより、補正項により補正可能な範囲を広くすることができ、O2濃度の誤差が大きくなることをより確実に抑制することができる。
なお、上述の実施形態では、仮O2濃度を算出する際に式(1)を用いる例に適用して説明したが、上述の式(1)における指数部分(−A・Ip(B+P)/P)をテイラー展開した式を用いて仮O2濃度を算出してもよく、特に限定するものではない。
また、上述の実施形態では、酸素センサ10の電流値Ipを出力値として用いたが、これに限らず、酸素センサ10の電圧値Vpを出力値として用いても良い。
1…ガスセンサ装置、10…酸素センサ(ガスセンサ)、20…圧力センサ、30…エンジンコントロールユニット(演算部)、40…内燃機関

Claims (8)

  1. 内燃機関に設けられた流路内を流れるガスに含まれる特定ガス成分の濃度に応じた出力値を出力するガスセンサと、
    前記ガスの圧力を測定する圧力センサと、
    前記ガスセンサから出力される前記出力値、および、前記圧力センサにより測定された前記ガスの圧力値に基づいて特定成分濃度を算出する演算部と、
    が設けられたガスセンサ装置であって、
    前記演算部は、
    フィックの法則から導かれた式であって、前記ガスセンサから出力される前記出力値、および、前記圧力センサにより測定された前記圧力値の関数である式に基づいて仮特定成分濃度を算出し、
    さらに、前記仮特定成分濃度および前記圧力センサにより測定された前記圧力値の関数である補正項に基づいて補正値を算出し、
    前記補正値を用いて前記仮特定成分濃度を補正して前記特定成分濃度を算出することを特徴とするガスセンサ装置。
  2. 前記演算部は、下式
    Figure 2013036852
    (Ip:前記ガスセンサから出力される前記出力値、P:前記圧力センサにより測定された前記圧力値、A、B:2つの圧力値と、2つの圧力値に対応する2つの出力値とにより算出される2つの仮特定成分濃度を近似可能にする定数)
    にて仮特定成分濃度を算出することを特徴とする請求項1に記載のガスセンサ装置。
  3. 前記補正項は、前記圧力センサにより測定された圧力値に係る多項式であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガスセンサ装置。
  4. 前記多項式における各項にはそれぞれ異なる係数が含まれ、
    該係数は、前記仮特定成分濃度の関数であることを特徴とする請求項3記載のガスセンサ装置。
  5. 内燃機関に設けられた流路内を流れるガスに含まれる特定ガス成分の濃度に応じた出力値を出力するガスセンサ、及び前記ガスの圧力を測定する圧力センサを流路に配置し、前記ガスセンサから出力される前記出力値、および、前記圧力センサにより測定された前記ガスの圧力値に基づいて特定成分濃度を算出するガスセンサを用いた濃度測定方法であって、
    前記特定成分濃度を算出する際に、
    フィックの法則から導かれた式であって、前記ガスセンサから出力される前記出力値、および、前記圧力センサにより測定された前記圧力値の関数である式に基づいて仮特定成分濃度を算出し、
    さらに、前記仮特定成分濃度および前記圧力センサにより測定された圧力値の関数である補正項に基づいて補正値を算出し、
    前記補正値を用いて前記仮特定成分濃度を補正して前記特定成分濃度を算出することを特徴とするガスセンサを用いた濃度測定方法。
  6. 前記仮特定成分濃度を算出する際に用いられる式は下式
    Figure 2013036852
    (Ip:前記ガスセンサから出力される前記出力値、P:前記圧力センサにより測定された前記圧力値、A、B:2つの圧力値と、2つの圧力値に対応する2つの出力値とにより算出される2つの仮特定成分濃度を近似可能にする定数)
    であることを特徴とする請求項5記載のガスセンサを用いた濃度測定方法。
  7. 前記補正項は、前記圧力センサにより測定された圧力値に係る多項式であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のガスセンサを用いた濃度測定方法。
  8. 前記多項式における各項にはそれぞれ異なる係数が含まれ、
    該係数は、前記仮特定成分濃度の関数であることを特徴とする請求項7記載のガスセンサを用いた濃度測定方法。
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