JP2013033177A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】画像形成装置において静電潜像が形成される像担持体について簡易な構成で画像流れを検知する。
【解決手段】交流電圧を印加した帯電部材による像担持体の帯電においてスパイク放電と呼ばれる異常放電を検知することにより、画像流れが発生するか否かを判断する。その判断に基づいて異常に関する情報を発信する。
【選択図】図16

Description

本発明は画像流れ検知が可能な画像形成装置に関する。
従来、電子写真装置や静電記録装置等の画像形成装置では、静電潜像が形成される感光体等の像担持体(被帯電体)の表面を帯電する装置として、コロナ帯電器が広く用いられていた。コロナ帯電器には、コロナ放電によってオゾンや窒素酸化物等の放電生成物が大量に発生する問題がある。
近年では、放電生成物の発生量が少ないという特長を持った接触式帯電装置が実用化されている。これは、被帯電体に対して導電性の帯電部材を接触させ、帯電部材に電圧を印加して被帯電体に対して放電を行わせて被帯電体の表面を所定の電位に帯電させるものである。
接触式帯電装置には、帯電部材に対して、直流電圧を印加して被帯電体を帯電する「DC帯電方式」と、直流電圧に交流電圧を重畳した帯電バイアスを印加して被帯電体を帯電する「AC帯電方式」がある。いずれの方式においても、帯電バイアスが印加された接触帯電部材により、被帯電体表面が所定の電位に帯電される。
このAC帯電方式に関しては、本出願人は、先に特許文献1の提案を行っている。このAC帯電方式においては、帯電部材は、被帯電体と接触する接触領域と、この接触領域よりも被帯電体移動方向下流側で被帯電面との距離が大きくなっていく離間面領域とを具備する。そして、直流電圧と交流電圧(ピーク間電圧は、帯電部材に直流電圧を印加して被帯電体の帯電が開始する電圧Vthの2倍以上)を重畳した帯電バイアスを帯電部材に印加する。
被帯電面と帯電部材の前記離間面領域との間に振動電界を形成することで、交流成分が被帯電面の帯電電位を均一にでき、被帯電体表面を所定の電位に収束させることができる。交流電圧の波形として、しばしば正弦波が用いられるが、矩形波、三角波、パルス波でも良い。
AC帯電方式では、過剰な交流電圧を用いると、帯電部材と被帯電体との間に流れる交流放電電流が増える。その為、放電生成物が被帯電体に付着することによって高温高湿環境下で画像が流れる等の画像不良が発生する。このように、帯電時に発生する放電生成物が被帯電体に付着することにより、画像流れが発生することがある。
そこで、本出願人は、先に特許文献2の帯電装置の提案を行っている。この装置はスパイク放電と呼ばれる異常放電を検知しその検知情報に基づいて、被帯電体を均一に帯電し、かつ帯電部材と被帯電体の間に流れる交流放電電流を小さくすることができる、帯電部材に印加する帯電バイアスを決定するものである。
また、転写材(記録材)としてタルクを多く含んだ紙を使用し、かつ紙と被帯電体としての像担持体が直接接触する場合に、画像流れが発生しやすい。タルクは、高温高湿環境下で吸湿すると、低抵抗化する。低抵抗化したタルクを多く含む紙を搬送すると、紙に接触する部品に低抵抗タルクが蓄積される。したがって、蓄積された低抵抗タルクは、紙に接触する部品から紙へ、さらには像担持体へと転移するので、紙に接触する部品の長手位置において、画像流れが発生しやすい。
特許文献3では、トナー濃度検出手段により画像流れを検知し、画像流れが発生したら回復手段の動作をする提案がされている。
特許第1975999号公報 特許第4336608号公報 特開2003−131531号公報
画像流れの検知と対策に関して、特許文献1及び2には記載はない。特許文献3では、トナー濃度検知手段を長手全域に配置しなければならず、構成が複雑になってしまう。
本発明は上記課題を解決するものである。本発明の目的は、画像形成装置において像担持体について簡易な構成で画像流れを検知することである。また、本発明の目的は、簡易な構成で、画像流れが発生している長手位置を検知することである。また、本発明の目的は、画像流れ発生の原因となる部品を推定することである。
上記の目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、静電潜像が形成される回転可能な像担持体と、交流電圧を印加され前記像担持体を帯電する帯電部材と、前記帯電部材に交流電圧を印加した際に前記帯電部材と前記像担持体との間に流れる交流電流を測定する電流測定手段と、ft≧10000(Hz)の特定周波数ftを満たす交流電流を特定電流とした時、前記帯電部材に交流電圧を印加したときに前記電流測定手段で測定される交流電流から特定電流抽出手段で抽出される特定電流に基づいて前記像担持体における画像流れ発生の可能性の有無を判断し、その判断に基づいて異常に関する情報を発信する制御手段と、を有することを特徴とする。
また、上記の目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の他の代表的な構成は、静電潜像が形成される回転可能な像担持体と、交流電圧を印加され前記像担持体を帯電する帯電部材と、前記帯電部材に交流電圧を印加した際に前記帯電部材と前記像担持体との間に流れる交流電流を測定する電流測定手段と、前記交流電圧の周波数をfとして、ft≧10・fの特定周波数ftを満たす交流電流を特定電流とした時、前記帯電部材に交流電圧を印加したときに前記電流測定手段で測定される交流電流から特定電流抽出手段で抽出される特定電流に基づいて前記像担持体における画像流れ発生の可能性の有無を判断し、その判断に基づいて異常に関する情報を発信する制御手段と、を有することを特徴とする。
本発明によれば簡易な構成で画像流れを検知できる。
実施例に係る画像形成装置を示す概略構成図 帯電ローラの概略構成図 画像流れ検知装置の概略構成図 帯電部上流における感光ドラム表面電位と帯電直流電圧の間に差が存在しない場合の帯電電流波形の平均値 帯電ローラに印加する直流電圧を変化させた時の感光ドラム表面電位の変化を示す図 帯電部上流における感光ドラム表面電位と帯電直流電圧の間に差が存在する場合の帯電電流波形の平均値 帯電部上流における感光ドラム表面電位と帯電直流電圧の間に600Vの電位差を設けた状態で、Vpp=800V時の帯電電流波形測定例 帯電部上流における感光ドラム表面電位と帯電直流電圧の間に600Vの電位差を設けた状態で、Vpp=1200V時の帯電電流波形測定例 帯電部上流における感光ドラム表面電位と帯電直流電圧の間に600Vの電位差を設けた状態で、Vpp=1450V時の帯電電流波形測定例 帯電部上流における感光ドラム表面電位と帯電直流電圧の間に600Vの電位差を設けた状態で、Vpp=1700V時の帯電電流波形測定例 帯電部上流での感光ドラム表面電位が0Vで、帯電ローラに印加する直流電圧が変化した時の、スパイク放電電流の最大瞬時電流が最大になる交流電圧条件における、スパイク放電電流の最大瞬時電流の変化を示す図 Vppを変化させた時の、スパイク放電電流の最大瞬時電流変化を示す実測例 図8の拡大図 画像流れとスパイク放電電流の関係図 Vppを変化させた時のスパイク放電電流の最大瞬時電流変化を、画像流れ発生有りと無しで比較した図 実施例1における画像流れ検知のフローチャート図 実施例2における画像流れ検知のフローチャート図 画像形成装置の動作工程図 給紙カセットから転写ニップ部に至る転写材搬送路の展開図
[実施例1]
本実施例では、電子写真方式のプリンタにおいて、帯電部材に直流電圧に交流電圧を重畳した帯電バイアスを印加して回転可能な像担持体(被帯電体)としての感光ドラム(電子写真感光体)を帯電した時に流れる帯電電流からスパイク状の放電電流を抽出する。ここで、スパイク状の放電電流(スパイク放電電流、異常放電電流)とは、ft≧10000(Hz)の特定周波数ftを満たす交流電流(特定電流)、又は交流電圧の周波数をfとして、ft≧10・fの特定周波数ftを満たす交流電流(特定電流)である。スパイク放電、及びその検知の仕方自体は特許文献2に記載されている。
本発明者は、このスパイク状の放電電流と画像流れに相関があることを発見した。そこで、スパイク放電電流を所定の閾値と比較して、スパイク放電電流が所定の閾値未満ならば感光ドラムに関して画像流れ発生の可能性が有り、閾値以上ならば画像流れ発生の可能性は無しと検知する。以下で、詳細に説明する。
(1)プリンタの構成
図1は、本実施例に係る画像形成装置を示す概略構成図である。この画像形成装置は電子写真方式のレーザビームプリンタである。即ち、パーソナルコンピュータなどのホスト装置21から制御手段である制御回路部(CPU)16に入力する画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応した画像を転写材(記録材)Pに形成して出力することができる。
制御回路部16はホスト装置21やプリンタ操作部22との間で電気的情報の授受をすると共に、画像形成装置の画像形成動作を、メモリ(不図示)に記憶させた所定の制御プログラムや参照テーブルに従って統括的に制御する。したがって、以下に説明する画像形成シーケンス制御やその他の各種制御は全て制御回路部16によって実行される。プリンタ操作部22は、各種のプリント条件設定用キー(不図示)や表示器22aを有している。
本画像形成装置は、回転可能な像担持体としての感光ドラム1を備えている。感光ドラム1の周囲には、感光ドラム1に関与するプロセス手段としての、帯電ローラ2、現像装置4、転写ローラ5、クリーニング装置6が配設されており、現像装置4の上方には露光装置3が配設されている。
また、感光ドラム1と転写ローラ5間(当接部)の転写ニップ部Nよりも転写材搬送方向の上流側の転写材搬送路には転写ガイド7が配設されている。転写ガイド7の転写材搬送方向の上流側には、給紙カセット(給紙部)17が配置されている。また、転写ニップ部Nよりも転写材搬送方向の下流側の転写材搬送路には、除電針8、搬送ガイド9、定着装置10が配設されている。
感光ドラム1は、本実施例では負帯電の有機感光体であり、アルミニウム製のドラム基体1aの外周面に感光体層1bを有しており、駆動手段(不図示)により所定の周速で矢印の時計方向に回転駆動される。
感光ドラム1は回転過程において表面が接触帯電手段としての帯電ローラ2によって所定の極性、電位に均一に帯電される。帯電ローラ2は導電性ローラであり、感光ドラム1に対して帯電部位において所定の押圧力で接触させて配設されており、感光ドラム1の回転に従動して回転する。帯電ローラ2に帯電バイアス電源11から印加される所定の帯電バイアスによって感光ドラム1が本実施例では負極性の所定の電位に一様に帯電される。
露光装置3は、不図示のレーザドライバ、レーザダイオード、ポリゴンミラーなどを備えたレーザスキャナである。制御回路部16から入力した画像信号に対応して変調されたレーザ光をレーザダイオードから出力する。そして、そのレーザ光を高速回転するポリゴンミラーで走査し、反射ミラー3aを介して感光ドラム1の一様に帯電されている表面を感光ドラム1の露光部位において画像露光Lする。これにより、感光ドラム1の表面に画像情報に対応した静電潜像が形成される。
現像装置4は感光ドラム1の現像部位にて感光ドラム1の表面とほぼ当接する回転自在な現像スリーブ4aを備えている。そして、現像バイアス電源12から所定の現像バイアスが印加された現像スリーブ4aにより、現像部位にて感光ドラム1の静電潜像にトナーを付着させてトナー像として顕像化する。より詳しくは、感光ドラム1に形成された静電潜像に、現像部位にて感光ドラム1の帯電極性(負極性)と同極性の現像バイアスが印加された現像スリーブ4aにより、感光ドラム1の帯電極性(負極性)と同極性に帯電されたトナーを付着させる。これにより、静電潜像をトナー像として顕像化する。
転写ローラ5は芯金に導電性弾性層を設けた回転自在な導電性ローラであり、感光ドラム1に対して転写部位において所定の押圧力で接触させて配設されており、感光ドラム1と転写ニップ部Nを形成している。この転写ニップ部Nに対して給紙カセット17の側から転写材Pが所定の制御タイミングで導入されて挟持搬送される。
即ち、給紙カセット17には転写材Pとしての用紙(カットシート、枚葉紙)が積載されて収容されている。その積載されている転写材Pの最上位の記録材Pが所定の給紙タイミングで回転制御される給紙ローラ18により一枚分離されて給紙カセット17から繰り出されて転写材搬送路19により転写ニップ部Nに向けて搬送される。転写材Pは搬送の途中でレジストローラ対20で一時受け止められて斜行矯正を受ける。そして、その後のレジストローラ対20の回転により所定の制御タイミングで搬送されて転写ガイド7を介して転写ニップ部Nに導入される。
レジストローラ対20による転写材Pの送り出しタイミングは感光ドラム1に形成されたトナー像の先端部が転写ニップ部Nに到達するタイミングで転写材Pの先端部も転写ニップ部Nに丁度到達するタイミングである。転写材Pが転写ニップ部Nを挟持搬送されている間、転写ローラ5に対して転写バイアス電源13からトナーの帯電極性とは逆極性の所定電位の転写バイアスが印加される。これにより、転写材Pに感光ドラム1と転写ローラ5と間に発生する静電力によって、感光ドラム1上のトナー像が順次に転写される。
転写ニップ部Nを出た転写材Pは除電針8で除電されて感光ドラム1から分離され搬送ガイド9を介して定着装置10に導入される。定着装置10は、回転自在な定着ローラ10aと加圧ローラ10bを有しており、定着ローラ10aと加圧ローラ10bと間の定着ニップにて転写材Pを挟持搬送しながら、転写材Pの表面に転写されたトナー像を加熱加圧して熱定着させる。定着装置10を出た転写材Pは画像形成物として画像形成装置の外部に排出される。
クリーニング装置6は、感光ドラム1の表面をクリーニング部位において摺擦する弾性クリーニングブレード(クリーニング部材)6aを有している。転写ニップ部Nにおける転写材Pに対するトナー像の転写後に感光ドラム1の表面に残った転写残トナーはクリーニングブレード6aの摺擦により除去されて回収される。クリーニングブレード6aで清掃された感光ドラム1は繰り返して画像形成に供される。
図18に制御回路部16が実行する画像形成装置の動作工程図を示した。
1)前多回転工程:画像形成装置の始動(起動)動作期間(ウォーミング期間)である。装置のメイン電源スイッチ(不図示)のONにより、装置の駆動手段(不図示)を起動させて、所要のプロセス機器の準備動作を実行する。
2)スタンバイ:所定の始動動作期間終了後、駆動手段の駆動を停止させて、画像形成開始信号(プリントジョブスタート信号)が入力されるまで装置をスタンバイ(待機)状態に保持する。
3)前回転工程:画像形成開始信号の入力に基づいて、駆動手段を再駆動させて、所要のプロセス機器の画像形成前動作を実行する期間である。より実際的は、a:画像形成装置が画像形成開始信号を受信、b:フォーマッタで画像を展開(画像のデータ量やフォーマッタの処理速度により展開時間は変わる)、c:前回転工程開始、という順序になる。なお、前記1)の前多回転工程中に画像形成開始信号が入力している場合は、前多回転工程の終了後、前記2)のスタンバイ無しに、引き続き前回転工程に移行する。
4)画像形成動作:所定の前回転工程が終了すると、引き続いて前記の画像形成プロセスが実行されて、画像形成済みの記録材が出力される。連続画像形成ジョブの場合は前記の画像形成プロセスが繰返されて所定枚数分の画像形成済みの転写材が順次に出力される。
5)紙間工程:連続画像形成ジョブの場合において、一の転写材Pの後端と次の転写材Pの先端との間隔工程であり、転写部や定着装置においては非通紙状態期間である。
6)後回転工程:1枚だけの画像形成ジョブの場合にその画像形成済みの記録材が出力された後、あるいは連続画像形成ジョブの場合にその連続画像形成ジョブの最後の画像形成済みの記録材が出力された後も駆動手段を引き続き所定の時間駆動させる。これにより所要のプロセス機器の画像形成ジョブ後動作を実行する期間である。
7)スタンバイ:所定の後回転工程終了後、駆動手段の駆動が停止し、次の画像形成開始信号が入力されるまで装置をスタンバイ状態に保持する。
上記において、4)の画像形成実行時が画像形成動作時であり、1)の前多回転工程時、3)の前回転工程時、5)の紙間工程時、6)の後回転工程時や、画像形成動作の任意の中断期間が非画像形成時である。また、非画像形成時とは、上記の前多回転工程時、前回転工程時、紙間工程時、後回転工程時、中断時のうちの少なくとも1つの工程時、さらにはその工程時内の少なくとも所定時間である。
(2)画像流れ検知装置の詳細な説明
(2−A)帯電ローラ2
図2は帯電部材である帯電ローラ2の層構成を示す模式図である。本実施例において感光ドラム1を帯電する帯電ローラ2は、芯金(支持部材)2aの外回りに、下層2b、中間層2c、表層2dを下から順次に積層した3層構成である。下層2bは帯電音を低減するための発泡スポンジ層であり、中間層2cは帯電ローラ全体として均一な抵抗を得るための導電層であり、表層2dは感光体ドラム1上にピンホール等の低耐電圧部があってもリークが発生するのを防止するために設けている保護層である。
(2−B)画像流れ検知装置
図3は画像流れ検知装置14の概略構成図である。本実施例における画像流れ検知装置14は、AC帯電時に流れる帯電電流から、スパイク放電電流を抽出し、閾値と比較して画像流れを検知するが、スパイク放電電流と画像流れに相関があることを利用している。詳細は後述する。
帯電ローラ2に電圧を印加する帯電バイアス電源11は直流(DC)電源11aと交流(AC)電源11bを有している。制御回路部(CPU)16は帯電バイアス電源11から出力される直流電圧及び交流電圧を制御する。帯電バイアス電源11から直流電圧に交流電圧を重畳した帯電バイアスが芯金2aを介して帯電ローラ2に印加されることで、回転する感光ドラム1の表面が所定の電位に帯電される。
15は感光ドラム1を介して帯電ローラ2に流れる帯電電流を測定する電流測定手段としての帯電電流測定回路である。この回路15から測定された帯電電流情報が画像流れ検知装置14に入力される。
画像流れ検知装置14は、特定電流抽出手段であるスパイク放電電流抽出回路14aと統計処理回路14bを有する。スパイク放電電流抽出回路14aは帯電電流測定回路15から入力された電流情報から特定周波数を有する特定電流である特定周波数電流(スパイク放電電流)を抽出する機能を有する。本発明においては、ft≧10000(Hz)の特定周波数ftを満たす交流電流、又は交流電圧の周波数をfとして、ft≧10・fの特定周波数ftを満たす交流電流を特定電流としている。
統計処理回路14bはスパイク放電電流抽出回路14aから入力されたスパイク放電電流情報を所定の方法にしたがって統計処理し、その情報を元に感光ドラム1に関する画像流れの有無(画像流れ発生の可能性の有無)を検知する。そして、制御回路部16に検知結果を出力する機能を有する。
このように画像流れ検知装置14は、帯電電流測定回路15から入力された帯電電流情報を用いて、画像流れを検知する機能を有する。本実施例では後述するとおり、制御回路部16は、画像流れ検知装置14から入力する画像流れの検知結果を元に、画像流れを防止するシーケンス制御(画像流れ対策シーケンス)を実行する。以下で、画像流れの検知原理を詳細に説明する。
(3)画像流れ検知方法の詳細な説明
(3−A)スパイク放電電流の発生
本発明者は、帯電部上流における感光ドラム表面電位(帯電前電位)と帯電ローラ2に印加する直流電圧(帯電後電位と同じ)の間に差が存在する時に、ある交流電圧を印加すると、交流電圧の一周期より十分に早いスパイク放電電流が発生することを発見した。ここで、帯電部上流とは、感光ドラム1の回転方向に関して帯電ローラ2よりも上流側の感光ドラム表面部分である。以下でその発生状況の詳細を説明する。
図3に示す通り、帯電電流測定回路15を感光ドラム基体1aとグラウンドGの間に設ける。帯電電流測定回路15は、帯電ローラ2と比べて充分小さい負荷抵抗1kΩと、その負荷抵抗を流れる電流を測定する回路(電流計)を有する。帯電ローラ2に印加する帯電バイアスは、周波数1kHz、直流電圧−600V、正弦波で、ピーク間電圧Vppを変化させる。その時の帯電電流波形の変化を調べた。帯電部上流における感光ドラム表面電位と帯電直流電圧の間に差が存在しない場合の、帯電電流波形の平均値を図4に示す。
図4に示すように、Vppを、a:500V、b:750V、c:1000V、d:1250V、e:1500V、f:1750V、g:2000Vと上昇するに従って、交流帯電電流のピーク間の値も上昇する。あるVppから帯電電流波形の破線で囲った領域が歪みだし、交流放電電流が流れる。この場合、正負両極性ともに、同様な波形をしている。
図5に帯電ローラ2に印加する直流電圧を変化させた時の感光ドラム表面電位を示す。図から分かるように、この例では、帯電ローラ2に直流電圧を印加した時に感光ドラム1への放電が開始する電圧Vthは−600Vである。図4では、Vpp=2Vth付近から交流放電電流が発生している事がわかる。
これに対して、帯電部上流における感光ドラム表面電位と帯電直流電圧の間に600Vの電位差が存在する場合の、帯電電流波形の平均値を図6に示す。
Vppをa:500V、b:750V、c:1000V、d:1250V、e:1500V、f:1750V、g:2000Vと上昇するに従って、交流帯電電流のピーク間の値も上昇する。あるVppから帯電電流波形の破線で囲った領域が歪みだし、交流放電電流が流れる。この場合、正極性側では図4の正極性側とほぼ同様に交流放電電流成分が増加しているのに対し、負極性側では交流放電電流発生直後の交流放電電流成分の波形が著しく歪んでいて、交流放電電流が増加するにつれて図4の負極性側とほぼ同様な波形になる。
そこで、交流放電が開始する付近のVppでは、非常に放電状態が不安定であると考え、帯電部上流における感光ドラム表面電位と帯電直流電圧の間に600Vの電位差を設けた状態で、Vppを変化させて、平均せずに帯電電流波形を測定した。
図7から図10に帯電電圧波形に同期を合わせた測定例を示す。図7はVpp800V、図8はVpp1200V、図9はVpp1450V、図10はVpp1700Vの実測例である。
図8と図9でスパイク放電電流が発生している。それぞれ、帯電電圧波形に同期を合わせて一周期分測定した。一条件について3回測定してある。
Vppを変化させた時の、スパイク放電電流の最大瞬時電流変化を図12に示す。Vppを0Vから徐々に変化させると、始めはスパイク放電電流が発生しないが、2Vth付近(本実施例では1200V)ではスパイク放電電流が発生し、更に高いVppではスパイク放電電流が発生していないことが分かる。この理由を以下に示す。
2Vth未満で交流放電電流が発生しない時には、スパイク放電電流も発生しない。交流放電電流が小さい時には、放電量が過小な為、長手方向全体を均一に放電できず、または時間的に均一に放電できず、局所的な放電が起こりやすい不安定な状態になる。交流放電電流が大きい時には、放電量が充分な為、長手方向全体を均一に放電でき、かつ時間的にも均一に放電でき、安定した放電が得られる。
次に、スパイク放電電流の特徴を以下で説明する。図13に、図8の拡大図を示す。本実施例では、スパイク放電電流の立ち上がり時間は約0.3μs、時定数は約1μsである。従って、交流電圧の一周期1msより十分に早い。スパイク放電は不安定な放電のため、スパイク放電の最大瞬時電流は、印加するVppによって異なり、一周期ごとに変化する。本実施例では、交流帯電電流の実効値より大きな最大瞬時電流を持ったスパイク放電電流が発生するVppが存在した。一周期で複数回スパイク放電電流が発生することも多い。
図11に、帯電部上流での感光ドラム表面電位が0Vで、帯電ローラ2に印加する直流電圧が変化した時の、スパイク放電電流の最大瞬時電流が最大になる交流電圧条件における、スパイク放電電流の最大瞬時電流の変化を示す。帯電部上流での感光ドラム表面電位(帯電前電位)と帯電ローラ2に印加する直流電圧(帯電後電位と同じ)の差が変化した場合、著しくスパイク放電電流の発生状況が変化することが分かる。
これより、0Vから実際に帯電する電位Vdに帯電する時にスパイク放電電流が発生するかどうかを精度よく確認するためには、帯電部上流での感光ドラム表面電位と帯電ローラ2に印加する直流電圧の差がある程度以上必要であることが分かる。図11の例では、ΔVは450V以上であることが望ましい。
(3−B)スパイク放電電流と画像流れの関係
本発明者は、感光ドラム1の表面抵抗が低下し画像流れが発生する条件では、帯電ローラ2に交流放電開始電圧であるVpp=2Vthを印加し、帯電前電位と帯電後電位に差が存在する時でも、大きなスパイク放電電流が流れないことを発見した。
図14に、画像流れとスパイク放電電流の関係図を示す。ここで、画像流れランクは、以下の通り評価した。画像ランク3は画像流れの発生無し、画像ランク2は画像流れが軽微に発生、画像ランク1は、画像流れが発生。これは、画像流れが発生し感光ドラム1の表面抵抗が低下する時には、交流放電電流が小さい場合でも、局所的に過剰な放電が起きにくいことを示す。
図15に、Vppを変化させた時のスパイク放電電流の最大瞬時電流変化を、画像流れ発生有りと無しで比較した図を示す。本実施例では、この関係を利用して、スパイク放電電流が0.2mA未満ならば画像流れ有り、スパイク放電電流が0.2mA以上ならば画像流れ無しと検知する。
(3−C)画像流れ検知方法の実施例
本実施例では、制御回路部16は画像流れの検知を画像形成動作前の前回転時(前回転工程:図18)にて行う。図3に示す通り、帯電電流測定回路15を感光ドラム基体1aとグランドGの間に設ける。帯電電流測定回路15は、帯電ローラ2と比べて充分小さい負荷抵抗1kΩと、その負荷抵抗を流れる電流を測定する回路を有する。
図3に示す画像流れ検知装置14を説明する。スパイク放電電流抽出回路14aは、帯電電流測定回路15から入力された帯電電流情報からスパイク放電電流を抽出する機能を有する。具体的には、画像流れ検知装置14は、始めに、帯電前電位と帯電後電位の差が0V、かつVpp=2VthとなるバイアスVpp1200Vを印加した条件で、帯電電流波形I0を測定し、測定結果をメモリ(不図示)に保存する。
次に、帯電前電位と帯電後電位の差が所定値以上(好ましくは450V以上)、かつVpp=2VthとなるバイアスVpp1200Vを印加した条件で、帯電電流波形I1を測定し、測定結果をメモリに保存する。
そして、帯電電流波形の差分I0−I1を算出することで、スパイク放電電流を抽出することができる。
統計処理回路14bは、スパイク放電電流抽出回路14aから入力されたスパイク放電電流の最大瞬時電流情報を、一周期を一回として、5回測定し、最大値と最小値を除き、残りの平均値を算出する。これにより、スパイク放電電流の最大瞬時値電流測定精度を向上することができる。
そして、スパイク放電電流の平均最大瞬時電流が0.2mA未満ならば画像流れ有り、0.2mA以上ならば画像流れ無し、と検知する。その後、制御回路部16に画像流れの検知結果を出力する。
このように画像流れ検知装置14は、帯電電流測定回路15から入力された帯電電流情報を用いて、画像流れを検知する機能を有する。
そして、本実施例では後述するとおり、制御回路部16は、画像流れ検知装置14で検知された画像流れの検知結果を元に、画像流れを防止するシーケンス制御を実行する。
図16に本実施例1における画像流れ検知のフローチャート図を示す。帯電ローラ2に印加する帯電バイアスは周波数1kHz、正弦波で、フローチャートに従って、直流電圧Vdcとピーク間電圧Vppを変化させる。以下で詳細に説明する。
・Step1:感光ドラム1を回転開始する。
・Step2:Vpp1600V、Vdc0Vの帯電バイアスを印加し、感光ドラム1を0Vに帯電する。ここでは、感光ドラム1を安定して0Vに帯電するために、感光ドラム1が1周以上回転する間、Vpp>2×VthとなるバイアスVpp1600Vを印加し続ける。
・Step3:Vpp1200V、Vdc0Vの帯電バイアスを印加し、感光ドラム1を0Vに帯電する。そして、Vpp=2VthとなるバイアスVpp1200Vを印加している間、帯電電流波形I0を測定し、測定結果をメモリに保存する。
・Step4:Vpp1200V、Vdc−600Vの帯電バイアスを印加し、感光ドラム1を−600Vに帯電する。ここでは、感光ドラム1の帯電前電位が0Vである間(帯電バイアスを切り替えてから感光ドラム1が1周回転するまでの間)、かつVpp=2VthとなるバイアスVpp1200Vを印加している間、帯電電流波形I1を測定し、測定結果をメモリに保存する。
・Step5:帯電電流波形の差分I0−I1を算出し、スパイク放電電流を抽出する。
・Step6:スパイク放電電流の最大瞬時電流Ispを算出する。
・Step7:スパイク放電電流の最大瞬時電流Ispを閾値0.2mAと比較し、Ispが0.2mA未満ならば画像流れ有り、Ispが0.2mA以上ならば画像流れ無しと検知する。
制御回路部16は、画像流れ検知装置14で検知される画像流れの検知結果を元に、以下のシーケンス制御を実行する。
画像流れ無しの場合は、画像形成動作(図18)を開始する。画像流れ有りの場合は、画像形成動作に移行しないで、感光ドラム1を所定時間回転する制御をする。感光ドラム1を回転することにより、感光ドラム1に付着している低抵抗物質がクリーニングブレード6aでかき落されて画像流れの回復が図られる。
そして、感光ドラム1の所定時間の回転後に、Step2に戻って再びStep2〜7による画像流れの有り無し検知シーケンスが実行される。画像流れ無しの検知がなされた場合は画像形成動作を開始する。未だに画像流れ有りの検知の場合は、画像形成動作に移行しないで、感光ドラム1を所定時間回転する制御をしてクリーニングブレード6aによる画像流れの回復を図る。そして、画像流れ無しが検知されるまで、Step2〜7のシーケンスが繰り返し実行される。
この場合において、Step2〜7による画像流れの有り無し検知シーケンスが所定の回数繰り返えされたら、感光ドラム1の交換要求を操作部22の表示部22a、或いはホスト装置21側の表示部21aに表示して使用者に交換を促すようにするのもよい。この表示をすると共に画像形成装置の駆動を停止させる制御とすることもできる。
なお、帯電電流波形測定時には、ノイズ電流の影響を減らし、スパイク放電電流の測定精度を向上するために、現像バイアス及び転写バイアスを印加しないことが望ましい。
このように、実施例1を実施することにより、簡易な構成で画像流れが発生するか否かを判断し、その判断に基づいて異常に関する情報を発信することが出来る。
(4)補 足
1)本実施例では、帯電前電位と帯電後電位に差を設ける方法として、帯電バイアスの直流電圧を0Vから−600Vに切り替える方法を採用した。しかし、必ずしもこの限りではない。例えば、転写バイアスを印加することで、帯電前電位と帯電後電位に差をつけてもよい。また、帯電部上流に感光ドラムを全面露光する前露光装置を配設してこれを使用することで、帯電前電位を0Vにしてもよい。
これより、帯電前電位と帯電後電位の差を450V以上にすることができ、Vpp=2Vthの帯電バイアスを印加した時に発生するスパイク放電電流が大きくなり、画像流れ発生の有無を精度よく検知することができる。
2)本実施例では、画像流れ有りと検知した後に、所定時間感光ドラム1を回転することで、感光ドラム1から画像流れ原因物質を除去したが、必ずしもこの限りではない。例えば、感光ドラムヒーターを備えている場合に、ヒーターを使って感光ドラム1を熱することで画像流れの回復が図られる。
即ち、感光ドラム1を加熱する加熱手段を有し、画像流れ対策シーケンスはその加熱手段を所定時間加熱状態にする、または加熱手段による感光ドラム1の加熱温度を通常時の加熱温度より所定時間高くする制御である。
3)本実施例では、画像流れ検知時にVpp=2Vth(1200V)を印加したが、必ずしもこの限りではない。例えば、図12から分かるように、Vppが1200V以上1400V以下の帯電バイアスが印加されていれば、画像流れを検知できる。様々な帯電部材、感光ドラム1を計測した結果、Vppが1.6×Vth以上2.4×Vth以下の範囲内では、スパイク放電電流の最大瞬時電流が大きな値を計測することができた。したがって、Vppが1.6×Vth以上2.4×Vth以下の範囲内の帯電バイアスを印加して、画像流れを検知することが望ましい。
4)また、本実施例では、Vppを固定して画像流れを検知したが、必ずしもこの限りではない。例えば、2Vth付近の電圧を含むようにVppを変化させてもよい。この場合、Vppを上昇させても、下降させてもよい。
5)本実施例では、スパイク放電電流(特定電流)の発生を見積もる制御変数として最大瞬時電流を用いたが、スパイク放電電流の発生を見積もることができるならばどのような制御変数でもよい。
例えば、最大瞬時電流が所定の閾値以上のスパイク放電電流発生数(所定時間内の特定電流の発生数)や、所定の閾値以上にスパイク放電電流が流れている時間(所定期間内の特定電流の流れている時間)が挙げられる。また、所定の閾値以上に流れているスパイク放電電流の時間積分値(総電荷量:所定期間内の特定電流の時間積分値)、交流放電電流が発生する一定の時間内における交流放電電流の標準偏差等が挙げられる。
6)帯電ローラ2に印加する帯電バイアスの直流電圧、及び交流電圧の周波数、波形を限定するものではない。本実施例では周波数を1kHzにしたが、良好な帯電均一性を得る為に、感光ドラム1のプロセススピード(周方向に回転する速さ)に合わせて周波数を変化させてもよい。本実施例では正弦波を用いたが、矩形波、三角波、ノコギリ波、パルス波等、他の波形を用いてもよい。
7)本実施例では、帯電バイアスを決定する際に変化する量として交流電圧のピーク間電圧を用いたが、限定するものではない。例えば、交流電圧の周波数や、波形を変化させてもよい。
8)感光ドラム1・帯電ローラ2の構成の個体差が極端に変化しないならば、高温高湿(H/H)環境、または、低温低湿(L/L)環境における、帯電ローラ2に直流電圧を印加した時に感光ドラム1への放電が開始する電圧Vthは、既定値であってもよい。
9)また、Vthを求める手段を備えていてもよい。例えば、直流電圧を印加した時の直流帯電電流を測定できる装置を備えていれば、直流電圧を印加した時に感光ドラム1への放電が開始する電圧から急激に直流帯電電流が増加するので、Vthを求めることができる。
10)本実施例では、スパイク放電電流の立ち上がり時間は約0.3μsであったが、帯電ニップ全体の構成や状態からスパイク放電電流の立ち上がり時間が決まることが判明した。そこで、様々な層構成・抵抗分布を持った被帯電体や帯電部材についても同様に、スパイク放電電流の立ち上がり時間を測定したところ、スパイク放電電流の立ち上がり時間をτ、帯電部材に印加する交流電圧の周波数をfとすると、
τ≦100μs もしくは τ≦1/(10×f)
を満たすことが分かった。そこで、本発明では、上記条件を満たし、所定の最大瞬時電流以上の交流放電電流をスパイク放電電流と定義した。
11)一般に、周波数fHzの信号を捕らえる為には、ナイキスト周波数2fHz以上でサンプリングしなければならない。従って、帯電電流を測定するサンプリング周波数をfs、スパイク放電電流の時定数をτとすると、
fs>2/τ
を満たすように設定する必要がある。
本実施例では、スパイク放電電流の時定数τは約1μsであるので、帯電電流測定回路のサンプリング周波数fsは、ナイキスト周波数2MHz以上である、fs=5MHzを用いた。
12)帯電部材に印加する帯電バイアス及び帯電ニップ全体の構成や状態からスパイク放電電流の時定数τが決まることが判明した。特に、帯電部材や被帯電体の抵抗構成・表面性・形状の影響が大きい。そこで、様々な帯電バイアスや、様々な層構成・抵抗分布を持った帯電部材や被帯電体についても同様に、スパイク放電電流の時定数τを測定したところ、0.01μsから100μsの間に分布していることが分かった。
ただし、ほとんどの測定例では、0.1μsから10μsの間に分布している。従って、少なくとも0.02MHz以上のサンプリング周波数を必要とする。なお、温度や湿度等の環境変化や、帯電ローラの表面の汚れ状態変化によるスパイク放電電流の時定数変化は小さい。
これらの事実より、標準的な帯電バイアス及び帯電ニップ全体の構成について、スパイク放電電流の時定数τを測定しておき、それに合わせてサンプリング周波数を決めて、使用の初期から最後まで一定としてもよい。各々の帯電ニップ全体の構成について、使用初期にスパイク放電電流の時定数τを測定し、その時定数に合わせて帯電電流測定回路のサンプリング周波数を決めてもよい。また、帯電バイアスや被帯電体・帯電部材の個体差を考えても充分に早い帯電電流測定回路のサンプリング周波数を用いてもよい。
13)帯電電流測定回路15は、スパイク放電電流の発生を確認できるように、所定の値以上のスルーレートが必要である。本実施例では、帯電電流測定回路15のスルーレートは、20V/μsである。帯電電流測定回路のスルーレートは上記の値に限定するものではなく、スパイク放電電流の時定数τに合わせて変化してもよい。
例えば、スパイク放電電流の時定数をτ、帯電電流測定回路のスルーレートをTとすると、少なくともT×τ≧1を満たすスルーレートならば、スパイク放電電流の発生状況を確認できる。この場合、スパイク放電電流の時定数τは0.01μsから100μsの間に分布しているので、スルーレートは少なくとも10V/ms以上でなければならない。
スパイク放電電流の最大瞬時電流が所定の値以下かどうかを確認できるならば、どのようなスルーレートでもよい。
帯電電圧波形に同期を合わせると、スパイク放電電流が発生する時間領域は一定である。そこで、帯電電流を測定する時間をスパイク放電電流が発生する時間領域を含む一定期間に限定するとスパイク放電電流の測定精度が高くなる。本実施例以外でも、帯電電流を測定する時間をスパイク放電電流が発生する時間領域を含む一定期間に限定する方法ならば、どのような方法でもよい。
14)帯電電流からスパイク放電電流を抽出できる電気回路ならば、どのような電気回路でもよい。以下に他の例を示す。帯電前電位と帯電後電位の差が所定値以上(好ましくは450V以上)、かつVpp=2VthとなるバイアスVpp1200Vを印加した条件で、帯電電流測定回路からの出力信号を二つに分ける。
一方の信号は、スパイク放電電流を通すがそれ以上の高周波成分を通さない低域通過フィルタ回路aを通し、差分比較回路の入力aに入れる。他方の信号は、スパイク放電電流を通さない低域通過フィルタ回路bを通し、差分比較回路の入力bへ入れる。これにより、帯電電流測定回路からの出力信号に乗っていた高周波ノイズを除去でき、精度良くスパイク放電電流を抽出できる。
15)本実施例では、スパイク放電電流の測定精度を向上するため、一つの交流電圧条件について、一周期を一回として、5回測定し、最大値と最小値を除き、残りの平均値を出した。しかし、測定方法や測定回数、統計方法は必ずしもこの限りではない。例えば、複数周期に渡る測定を一回としてもいいし、測定値全てについて平均してもよい。スパイク放電電流の発生状況が周期ごとに毎回異なることをおりこんで画像流れ検知するのに充分な精度ならば、どのような方法を取ってもよい。
16)本実施例では、画像流れ検知は、前回転時に実施したが、必ずしもこの限りではない。例えば、複数枚画像出力中の紙間時等の非画像形成時において実行してもよい。特に、現像用・転写用等の他の高圧電源から発生するノイズが、帯電ローラに印加する交流電圧を求める電気回路に影響を与えることを避ける為、現像用・転写用等の他の高圧電源が動作していない時に帯電バイアス制御を実行することが望ましい。
17)本実施例では、帯電部材の形状・抵抗構成として、3層構成の帯電ローラの例を挙げたが限定するものではない。例えば、帯電部材として、複層構成の導電性ブレード・ブラシを用いてもよい。
18)本実施例では、画像流れ検知時も、画像形成動作時も直流電圧に交流電圧を重畳した帯電バイアスを帯電部材に印加したが、必ずしもこの限りではない。例えば、画像流れ検知時は直流電圧に交流電圧を重畳した帯電バイアスを帯電部材に印加し、画像形成動作時は直流電圧のみを帯電部材に印加してもよい。
19)画像形成装置は電子写真画像形成装置に限られず、静電潜像が形成される像担持体として静電記録誘電体を用いる静電記録装置であってもよい。
[実施例2]
次に、本発明に係る他の実施例について説明する。本実施例のプリンタ、画像流れ検知装置14の基本的な構成は、実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
実施例1では、帯電前電位と帯電後電位に差を設ける方法として、帯電バイアスの直流電圧を0Vから−600Vに切り替える方法を採用した。それに対して、本実施例では、画像露光Lに用いる露光装置3を用いて、帯電前電位と帯電後電位に差を設ける。
ここで、装置を構成する部材について長手あるいは長手方向とは、回転する部材の回転軸線方向又は転写材搬送路面において転写材搬送方向に直交する方向またはその方向に並行な方向である。
本実施例では、感光ドラム1の長手の一部のみ露光することにより、画像流れが発生している感光ドラム長手位置を特定することができる。
また、感光ドラム1の画像流れ発生長手位置情報と、転写材P(以下、紙と記す)と接触する部品の長手位置情報から、画像流れ発生原因部品を推定することができる。なお、紙Pと接触する部品の長手位置情報はあらかじめ制御回路部16のメモリに入力されている。以下で、画像流れの発生原因部品になりやすい給紙ローラ18の交換をプリンタ操作部22の表示器22a、或いはホスト装置21側の表示器21aに表示する例を説明する。
図19は給紙カセット17から転写ニップ部Nに至る転写材搬送路19の展開図である。本実施例において給紙カセット17からの大小各種幅サイズの紙Pの搬送は紙幅中心のいわゆる中央基準搬送である。Wmaxは最大通紙幅である。17a・17aは給紙カセット17内の左右のサイドガイドであり、紙Pはこの左右のサイドガイド17a・17aで左右側を規制されて給紙カセット17内に積載されて収容されている。
給紙ローラ18は転写材搬送路19の幅方向中央部に位置しており、給紙カセット17に収容されている紙Pの最上位紙の上面の幅方向中央部に接触して回転駆動される。18aは給紙ローラ18の回転軸である。これにより最上位紙Pが一枚分離されて給紙カセット17から繰り出されて転写材搬送路19により転写ニップ部Nに向けて搬送される。
感光ドラム1、帯電ローラ2、転写ローラ5の長さは最大通紙幅Wmaxよりも長い。露光装置3の感光ドラム1に対する露光幅は帯電ローラ2の長さと略同じである。給紙ローラ18の長さは最大通紙幅Wmaxよりも短い。
給紙カセット17において紙Pと接触する給紙ローラ18の長手位置情報はあらかじめ制御回路部16のメモリに入力されている。給紙ローラ18は紙表面を強く擦って紙Pを搬送するため、給紙ローラ18の表面にタルクを多く含んだ紙粉が付着しやすい。タルクは高温高湿環境下で吸湿すると低抵抗化する。
給紙ローラ18に低抵抗化したタルクが多く付着すると、低抵抗タルクは給紙カセット17において給紙ローラ18から紙Pへ転移し、さらに転写ニップ部Nにおいて紙Pから感光ドラム1に転移する。従って、感光ドラム1の長手方向において給紙ローラ18の長手位置に対応する領域Aのドラム周面は低抵抗タルクの付着により画像流れが発生する状態となりやすい。即ち、給紙ローラ18は感光ドラム1に対する画像流れの発生原因部品になりやすい。
そこで、本実施例では、この給紙ローラ18に起因する画像流れを検知して給紙ローラ18の交換を促すようにしたものである。図17は、実施例2における画像流れ検知シーケンスのフローチャート図である。制御回路部16はこの検知シーケンスを例えば前回転時に実行する。
・Step1:感光ドラム1を回転開始する。
・Step2:帯電ローラ2にVpp1200V、Vdc−600Vの帯電バイアスを印加し、感光ドラム1を−600Vに帯電する。そして、帯電前電位が安定して−600Vになった後に、帯電電流波形I0を測定し、測定結果を保存する。ここで、Vpp=2Vthである。
・Step3:Vpp1200V、Vdc−600Vの帯電バイアスを印加し、感光ドラム1を−600Vに帯電する。そして、感光ドラム1の長手方向において給紙ローラ18の長手位置に対応するドラム領域Aが−100Vになるように露光装置3で露光する。これにより、帯電前電位は、ドラム領域Aでは−100V、ドラム領域A以外のドラム領域B・B(給紙ローラ以外の長手位置)では−600Vとなる。この状態時における帯電電流波形I1を測定し、測定結果を保存する。
・Step4:帯電電流波形の差分I0−I1を算出し、スパイク放電電流を抽出し、スパイク放電電流の最大瞬時電流Isp1を算出する。
・Step5:Vpp1200V、Vdc−600Vの帯電バイアスを印加し、感光ドラム1を−600Vに帯電する。そして、ドラム領域A以外のドラム領域B・Bが−100Vになるように露光装置3で露光する。これにより、帯電前電位は、ドラム領域Aでは−600V、ドラム領域B・Bでは−100Vとなる。帯電電流波形I2を測定し、測定結果を保存する。
・Step6:帯電電流波形の差分I0−I2を算出し、スパイク放電電流を抽出し、スパイク放電電流の最大瞬時電流Isp2を算出する。
・Step7:スパイク放電電流の最大瞬時電流Isp1、Isp2と閾値0.2mAを比較し、以下のように判定する。
ケース1)Isp1≧0.2mAかつIsp2≧0.2mAならば、画像流れ無しと検知する。
ケース2)Isp1<0.2mAかつIsp2≧0.2mAならば、ドラム領域Aのみで画像流れ有りと検知する。
ケース3)Isp1≧0.2mAかつIsp2<0.2mAならば、ドラム領域B・Bで画像流れ有りと検知する。
ケース4)Isp1<0.2mAかつIsp2<0.2mAならば、画像流れ有りと検知する。
・Step8:画像流れの検知結果から以下のシーケンスを実行する。
ケース1)画像形成開始
ケース2)給紙ローラ交換表示
ケース3)所定時間感光ドラム回転
ケース4)所定時間感光ドラム回転
以上まとめると、下記の表1の通りである。
本実施例では、ケース2)のように領域A(給紙ローラ長手位置)のみで画像流れ有りと検知した場合、給紙ローラ18の交換表示をする例を挙げたが、本発明はこれに限定するものではない。画像流れの発生源となる可能性がある部品の長手位置を画像露光して、画像流れの有無を検知し、画像流れが検知された場合、その部品の交換を表示する方法、ならばどのような方法でもよい。
このように、実施例2を実施することにより、簡易な構成で、画像流れが発生している感光ドラム長手位置を検知できる。また、画像流れ発生の原因となる部品を推定できる。
1・・像担持体、2・・帯電部材、15・・電流測定手段、14a・・特定電流抽出手段、14・・画像流れ検知装置、16・・制御回路部

Claims (8)

  1. 静電潜像が形成される回転可能な像担持体と、
    交流電圧を印加され前記像担持体を帯電する帯電部材と、
    前記帯電部材に交流電圧を印加した際に前記帯電部材と前記像担持体との間に流れる交流電流を測定する電流測定手段と、
    ft≧10000(Hz)の特定周波数ftを満たす交流電流を特定電流とした時、前記帯電部材に交流電圧を印加したときに前記電流測定手段で測定される交流電流から特定電流抽出手段で抽出される特定電流に基づいて前記像担持体における画像流れ発生の可能性の有無を判断し、その判断に基づいて異常に関する情報を発信する制御手段と、
    を有することを特徴とする画像形成装置。
  2. 静電潜像が形成される回転可能な像担持体と、
    交流電圧を印加され前記像担持体を帯電する帯電部材と、
    前記帯電部材に交流電圧を印加した際に前記帯電部材と前記像担持体との間に流れる交流電流を測定する電流測定手段と、
    前記交流電圧の周波数をfとして、ft≧10・fの特定周波数ftを満たす交流電流を特定電流とした時、前記帯電部材に交流電圧を印加したときに前記電流測定手段で測定される交流電流から特定電流抽出手段で抽出される特定電流に基づいて前記像担持体における画像流れ発生の可能性の有無を判断し、その判断に基づいて異常に関する情報を発信する制御手段と、
    を有することを特徴とする画像形成装置。
  3. 前記制御手段は前記情報に基づいて画像流れ対策シーケンスを実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記像担持体の表面を摺擦するクリーニング部材を有し、前記画像流れ対策シーケンスは前記像担持体を所定時間回転させる制御であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記像担持体を加熱する加熱手段を有し、前記画像流れ対策シーケンスは前記加熱手段を所定時間加熱状態にする、または前記加熱手段による前記像担持体の加熱温度を通常時の加熱温度より所定時間高くする制御であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
  6. 前記制御手段は前記情報に基づいて前記像担持体の交換を促す信号を発信することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  7. 前記像担持体は電子写真感光体であり、前記制御手段は、前記像担持体における画像流れ発生の可能性の有無を判断する際、前記像担持体の長手方向の一部を露光して前記像担持体の長手方向の一部での画像流れ発生の可能性の有無を判断することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像形成装置。
  8. 前記制御手段は、前記像担持体の長手方向の一部での画像流れ発生の可能性を有りと判断した場合、その長手方向の一部に対応する画像流れ発生原因部品の交換を促す信号を発信することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
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