JP2013032729A - 圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】潤滑油供給部材7をパイプ材の塑性加工で形成し、かつ主軸6の主給油路61内径部における熱処理後のリーマ加工を廃止できる圧縮機を得る。
【解決手段】第1、第2軸受81、91を夫々潤滑するために、主給油路61から主軸6の外周に貫通する第1、第2副給油路62、63、および主給油路61内に非圧入状態で設けられて、軸方向に延びる弓状に曲げられた潤滑油供給部材7を備え、軸方向に延在する貫通孔73と、主給油路61より小径の小径筒部72と、主給油路61と実質同一径の大径筒部71とを有し、少なくとも3点以上にて主給油路61の内壁に潤滑油供給部材7が当接している。これにより摩擦力により潤滑油供給部材7の位置ずれを防止することができ、潤滑油供給部材7は、パイプ材を曲げて拡管加工することにより容易に形成できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、流体を圧縮して吐出する圧縮機に関するものである。
従来、特許文献1に記載の圧縮機が知られている。これにおいては、電動機等の駆動力を圧縮機構部に伝達する主軸が、第1軸受、および第2軸受により回転可能に支持されており、主軸内部に軸方向に延びる主給油路、および主給油路と第1軸受、および第2軸受を連通する第1副給油路、第2副給油路を有している。更に、主給油路内部には、第1、第2軸受へ潤滑油を適正に分配し給油するための潤滑油供給部材が軸方向に延在している。
特開2009−275698号公報
主軸内におかれた潤滑油供給部材は、潤滑油を流通するための貫通孔を有し、外形形状は、主給油路内径より小径の小径筒部、および、主給油路内径と略同形状の大径筒部を有している。大径筒部は、主給油路内周に圧入固定されており、主軸に対し潤滑油供給部材を固定するとともに、潤滑油路を区画している。
なお、主軸は、第1軸受、および第2軸受との間でラジアル荷重を受けながら摺動するため、高硬度を必要とする。主軸は軸受内を摺動するため、カーボン材料を蒸着して形成した軸受と接する部分が硬くないと、主軸の表面が磨耗してしまう。そのため、切削加工後、浸炭焼入れ等の熱処理を行ない、軸受と接する部分を硬くしている。この熱処理後、第1軸受、および第2軸受に所定の面粗さを確保するため、研磨仕上げをしている。
図9は、上記特許文献1の技術をベースとして形成された公知の圧縮機の主軸の構成を示す断面図である。また、図10は、図9に示された主軸内の潤滑油供給部材の断面図である。また、図11は図10の上方向から見たつば部の正面拡大図である。図10のパイプ状の潤滑油供給部材7は、外径と内径の一部が切削加工で製作されている。潤滑油供給部材7はストレートに形成され、大径筒部71で圧入固定されている。
小径筒部72は、片持ち構造となっているが、運転時に振れ回りによる折損、あるいは大径筒部71のずれ、および、抜けを防止するため、先端に切り欠きを有するつば部76を設け、主給油路61の内径とつば部76との間の隙間を少なくし、つば部76で小径筒部72をガイドすることにより、振れ回りを防止している。
上記、従来公知の構成によると、潤滑油供給部材7を主軸6の主給油路61内に圧入固定している。従って、圧入の関係で主給油路61内径の精度が高いことが要求される。例えば、従来の図9において、主軸6の全体を熱処理している。この場合、ドリルで切削加工した後に熱処理を行う。この熱処理の結果、歪が発生する。この歪のために、主給油路61の内径部におけるリーマ加工を施す必要を生じる。なお、浸炭焼入れ等の熱処理は内径部分まで必要ではないが、内径部分まで硬くなってしまう。この硬くなった部分をリーマ加工しなければならない。従って、主軸6の主給油路61の内径部を熱処理後にリーマ仕上げすることが、コストアップ要因となっている。
なお、リーマ仕上げとは主軸6の中の孔の内径を削って寸法精度を高めることを言う。また、潤滑油供給部材7の大径筒部71を主給油路61内に圧入するため、切削加工による仕上げが必要であり、更にコストアップする。また、潤滑油供給部材7の小径筒部72の先端につば部76を設けるためには、潤滑油供給部材7全体に、複雑な切削加工を行う必要があり、これによってもコストが高くなる問題があった。
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目して成されたものであり、その目的は、潤滑油供給部材をパイプ材の塑性加工で形成し、かつ主軸の主給油路内径部について、熱処理後のリーマ加工を廃止し、加工コストを低減しつつ、潤滑油供給機能を満足させることができる圧縮機を得ることを目的とする。
従来技術として列挙された特許文献の記載内容は、この明細書に記載された技術的要素の説明として、参照によって導入ないし援用することができる。
本発明は上記目的を達成するために、下記の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、圧縮機構部(10)、圧縮機構部(10)を回転駆動する主軸(6)、主軸(6)を回転可能に支持する軸受(81、91)、主軸(6)内を軸方向に延びる主給油路(61)、軸受(81、91)を潤滑するために、主給油路(61)から主軸(6)の外周に貫通する副給油路(62、63)、および主給油路(61)内に設けられて軸方向に延びる潤滑油供給部材(7)を備え、潤滑油供給部材(7)は、軸方向に延在する貫通孔(73)と、主給油路(61)の内径より小径であり曲げられた小径筒部(72)を有し、少なくとも3点以上にて主給油路(61)の内壁に当接していることを特徴としている。
この発明によれば、潤滑油供給部材(7)は、曲げられて主給油路(61)の内壁に3点以上にて支持され、その摩擦力により位置ずれを防止することができる。この場合、潤滑油供給部材(7)は主給油路(61)の内壁に圧入固定されていないため、潤滑油供給部材(7)を圧入のために切削仕上げする必要はない。また、主給油路(61)の内壁も圧入のために精度よく仕上げる必要はなく、熱処理後のリーマ仕上げの必要がない。更に、小径筒部(72)の先端につば部を設ける必要がなく、切削加工の必要がない。すなわち、本構成によれば、潤滑油供給部材(7)は、パイプ材を曲げ加工により形成することができる。従って、低コストでも確実に、第1、第2軸受(81、91)に潤滑油を分配供給することができる。
請求項2に記載の発明では、圧縮機構部(10)、圧縮機構部(10)を回転駆動する主軸(6)、主軸(6)を回転可能に支持する第1、第2軸受(81、91)、主軸(6)内を軸方向に延びる主給油路(61)、第1、第2軸受(81、91)を夫々潤滑するために、主給油路(61)から主軸(6)の外周に貫通する第1、第2副給油路(62、63)、および主給油路(61)内に設けられて軸方向に延びる潤滑油供給部材(7)を備え、潤滑油供給部材(7)は、曲げられて形成されており、軸方向に延在する貫通孔(73)と、主給油路(61)より小径の小径筒部(72)と、主給油路(61)と実質同一径の大径筒部(71)とを有し、小径筒部(72)と大径筒部(71)とにおいて、少なくとも3点以上にて、主給油路(61)の内壁に潤滑油供給部材(7)が当接していることを特徴としている。
この発明によれば、潤滑油供給部材(7)は、曲げられて形成され、大径筒部(71)から小径筒部(72)にかけて、主給油路(61)の内壁に少なくとも3点支持され、その摩擦力により潤滑油供給部材(7)の位置ずれを防止することができる。更に、大径筒部(71)は、主給油路(61)と実質同一径のため、主給油路(61)と大径筒部(71)との間の隙間が極めて少なく、潤滑油路を厳密に区画して形成することができる。この場合、潤滑油供給部材(7)は主給油路(61)内壁に圧入固定されていないため、大径筒部(71)を切削仕上げする必要はない。また、主給油路(61)内壁も精度よく仕上げる必要はなく、熱処理後のリーマ仕上げの必要がない。更に、小径筒部(72)の先端につば部(76)を設ける必要がなく、つば部の切削加工は必要がない。すなわち、本構成によれば、潤滑油供給部材(7)は、パイプ材を曲げ加工および拡管加工することにより容易に形成することができる。従って、低コストで、かつ加工精度によらず、確実に第1、第2軸受(81、91)に潤滑油を分配供給することができる。
請求項3に記載の発明では、主軸(6)における主給油路(61)の内壁に、潤滑油供給部材(7)の大径筒部(71)が、かしめられて固定されていることを特徴としている。
この発明によれば、潤滑油供給部材(7)の大径筒部(71)が、主軸(6)の主給油路(61)内壁にかしめ固定されている。よって、固定力を更に向上させるのに好適である。また、かしめにより、潤滑油供給部材(7)の大径筒部(71)と、主給油路(61)の内壁との間に実質隙間がなくなり、大径筒部(71)と主給油路(61)との間からの潤滑油の洩れを低減することができ、より厳密に潤滑油路を区画形成することができる。
請求項4に記載の発明では、主給油路(61)の内壁に突起状段差(604)を有し、突起状段差(604)と、小径筒部(72)と大径筒部(71)との間の切替り部(704)とが接触し、大径筒部(71)の端部内周部(706)が拡開され、端部外周部(705)が、主給油路(61)の内壁にかしめられていることを特徴としている。
この発明によれば、潤滑油供給部材(7)の大径筒部(71)は、突起状段差(604)と、端部外周部(705)との二箇所にて主給油路(61)の内壁に当接するため、主給油路(61)内における潤滑油供給部材(7)の固定力を向上することができる。また、潤滑油が流れる通路の区画も、上記二箇所のシールにて行なうことになるため、より確実なものとなる。
請求項5に記載の発明では、潤滑油供給部材(7)の小径筒部(72)は、螺旋状に曲げられて主給油路(61)の内壁に、少なくとも一部が線接触していることを特徴としている。
この発明によれば、潤滑油供給部材(7)の小径筒部(72)の一部が、主給油路(61)の内壁に螺旋状に曲げられて線接触している。これにより、潤滑油供給部材(7)と主給油路(61)の内壁との接触長さが通常のストレート状態での接触長さより長く取れ、振回りに対する保持力を、全方向にわたり、より強くすることができる。また、潤滑油路を螺旋状とすることにより、潤滑油に遠心力を付加し、第1、第2軸受(81、91)に連通する第1副給油路(62)および第2副給油路(63)への潤滑油流れを促進することができる。更には、主軸(6)の回転によりポンプ作用を付与することができ、潤滑油分配量を回転数に応じて調整することができる。
請求項6に記載の発明では、主軸(6)の主給油路(61)の中心線に対して弓状に湾曲している潤滑油供給部材(7)が、主給油路(61)内に挿入され、潤滑油供給部材(7)が主給油路(61)内に弾性力により固定されていることを特徴としている。
この発明によれば、潤滑油供給部材(7)が、主軸(6)内の主給油路(61)内で弓状に湾曲しており、潤滑油供給部材(7)が、主給油路(61)に挿入されることにより、主給油路(61)の内壁に弾性力で固定されている。よって、弾性力で固定されることにより生じる摩擦力により潤滑油供給部材(7)の位置ずれを防止することができる。
請求項7に記載の発明では、主軸(6)の主給油路(61)内おいて、潤滑油供給部材(7)が、該潤滑油供給部材(7)の両端より圧縮力を受けて座屈変形することにより曲げられていることを特徴としている。
この発明によれば、潤滑油供給部材(7)は、主軸(6)の主給油路(61)内へ挿入後に曲げて固定することができるため、挿入前の潤滑油供給部材の湾曲量を小さく、もしくは0に設定することが可能で、主給油路(61)内への潤滑油供給部材(7)の挿入時の抵抗を小さくすることができる。よって、挿入作業の工数を低減できるとともに、挿入時の擦れによる異物発生(材料の剥がれ)を防止することができる。
なお、特許請求の範囲および上記各手段に記載の括弧内の符号ないし説明は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を分かり易く示す一例であり、発明の内容を限定するものではない。
本発明の第1実施形態を示す圧縮機の縦断面図である。 図1の圧縮機に使用した主軸の縦断面図である。 図2の主軸内の潤滑油供給部材の縦断面図である。 図1の圧縮機内の潤滑油の流れを示した縦断面図である。 本発明の第2実施形態を示す圧縮機における主軸の縦断面図である。 図5に示した主軸の各部断面図であり、図6の(a)は、図5のA−A断面図、図6の(b)は、図5のB−B断面図、図6の(c)は、図5のC−C断面図、図6の(d)は、図5のD−D断面図である。 本発明の第2実施形態における潤滑油供給部材の製造工程を示し、ベース上に載置された筒状保持具内に主軸を挿入してパンチを用いてかしめ加工する工程を説明する一部断面図である。 図7のパンチ先端部における加工の状態を拡大して示す一部断面図である。 従来の特許文献1の技術をベースとして形成された公知の圧縮機の主軸の構成を示す断面図である。 図9に示された主軸内の潤滑油供給部材の断面図である。 図10の上方向から見たつば部の正面拡大図である。
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。
各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組合せることも可能である。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1ないし図4を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態を示す圧縮機の縦断面図である。図1において、圧縮機1は、ヒートポンプ式給湯機に適用されている。このヒートポンプ式給湯機は、ヒートポンプサイクルによって給湯水を加熱するもので、圧縮機1は、ヒートポンプサイクルにおいて冷媒を圧縮して吐出する機能を果たす。
ヒートポンプサイクルは、圧縮機1の吐出冷媒と給湯水とを熱交換させて給湯水を加熱する水−冷媒熱交換器、水−冷媒熱交換器から流出した冷媒を減圧膨張させる減圧手段としての可変絞り機構、可変絞り機構にて減圧膨張された冷媒を外気と熱交換させて蒸発させる室外蒸発器、および、圧縮機1を環状に接続した蒸気圧縮式の冷凍サイクルである。
更に、本実施形態のヒートポンプサイクルでは、冷媒として二酸化炭素を採用しており、圧縮機1から吐出された高圧冷媒が冷媒の臨界圧力以上となる超臨界冷凍サイクルを構成している。また、冷媒には、圧縮機1内部の各摺動部位を潤滑する潤滑油(冷凍機油)が混入されており、この潤滑油の一部は冷媒とともにサイクルを循環している。
このヒートポンプサイクルでは、室外蒸発器と圧縮機1の吸入口との間に、冷媒の気液を分離して余剰冷媒を蓄えるとともに、圧縮機1吸入口側へ気相冷媒を流出させる気液分離器を配置している。更に、ヒートポンプ式給湯機は、ヒートポンプサイクルの他に、水−冷媒熱交換器にて加熱された給湯水を貯湯する貯湯タンク、貯湯タンクと水−冷媒熱交換器との間で給湯水を循環させる給湯水循環回路等を有して構成されている。
次に、図1により、本実施形態の圧縮機1の詳細構成について説明する。図1中の上下の各矢印は、圧縮機1をヒートポンプ給湯機へ搭載した状態における上下の各方向を示している。圧縮機1は、流体である冷媒を吸入し、圧縮して吐出する圧縮機構部10、この圧縮機構部10を駆動する電動機部(電動モータ部)20、および、電動機部20から圧縮機構部10へ回転駆動力を伝達する駆動軸である主軸6等をハウジング30内に収容した電動式の圧縮機である。
更に、この圧縮機1は、図1に示すように、主軸6の回転軸が鉛直方向(上下方向)に延びており、圧縮機構部10と電動機部20とを鉛直方向に配置した、いわゆる縦置きタイプに構成されている。より具体的には、本実施形態では、圧縮機構部10が電動機部20の下方側に配置されている。
まず、ハウジング30は、鉛直方向に延びる筒状部材31、筒状部材31の上端部を塞ぐ上蓋部材32および筒状部材31の下端部を塞ぐ下蓋部材33を有し、これらを一体に接合して密閉容器構造としたものである。筒状部材31、上蓋部材32および下蓋部材33は、いずれも鉄で形成されており、これらは溶接にて接合されている。更に、ハウジング30の筒状部材31の側方には、ブラケット44を介して後述する油分離器40が接合されている。ハウジング30および油分離器40はいずれも鉛直方向に延びる縦長形状に形成されている。
次に、電動機部20は、周知のように、固定子をなすステータおよび回転子をなすロータを有している。ステータは、磁性材からなるステータコアおよびステータコアに巻き付けられたステータコイルによって構成されている。そして、ステータコイルに電力を供給することによって、ロータを回転させる回転磁界を発生させる。
なお、ステータコイルへの電力の供給は、ハウジング30の上端部に配置された給電端子23を介して行われる。この給電端子23は、ハウジング30の上蓋部材32の中央部に形成された孔を塞ぐように固定された給電端子固定板24の表裏を貫通するように配置されている。
ロータは、永久磁石を有して構成されており、ステータの内周側に配置されている。このロータは回転軸方向に延びる円筒状に形成され、更に、ロータの軸中心穴には、回転軸方向に延びる略円筒状の主軸6が圧入により固定されている。従って、ステータコイルに電力が供給されて回転磁界が発生すると、ロータおよび主軸6が一体に回転する。
主軸6は、略円筒状に形成され、その内部には前述の潤滑油を流通させる主給油路61、この主給油路61から、主軸6と第1軸受81との摺動部位へ潤滑油を導く第1副給油路62、および、主給油路61から、主軸6と第2軸受91との摺動部位へ潤滑油を導く第2副給油路63が形成されている。なお、主軸6内部の詳細構成については後述する。
また、主軸6は、ロータよりも軸方向長さが長く形成されており、軸方向一端側である下端側(圧縮機構部10側)は、ロータの最下端部よりも下方側に延び、軸方向他端側(圧縮機構部10の反対側)は、ロータの最上端部よりも上方側に延びている。そして、主軸6のロータよりも下方側の部位には、軸方向と垂直な水平方向に突出する鍔部251が形成されている。
鍔部251には、ロータおよび主軸6の偏心回転を抑制するバランスウェイト254が配置されている。なお、ロータの鉛直方向両側にも同様の機能を発揮するバランスウェイト221、222が配置されている。更に、主軸6のロータよりも下方側の部位のうち、ロータと鍔部251との間の部位は、ミドルハウジング36に形成された第1軸受81によって回転可能に支持されている。つまり、第1軸受81は、主軸6の軸方向一端側である下端側を支持している。更に、第1軸受81は、主軸6の軸方向から見たときに、円形状となる内周面で主軸6の外周面を受ける、すべり軸受として構成されている。
ミドルハウジング36は、上方側から下方側に向かって階段状に外径および内径が拡大する円筒形状を有しており、ミドルハウジング36の外径および内径が最も小さい上方側部位に第1軸受81が形成されている。更に、その外径および内径が最も大きい下方側部位の外周面がハウジング30の筒状部材31に当接した状態で固定されている。
一方、主軸6のロータよりも上方側の部位は、第2軸受91によって回転可能に支持されている。つまり、第2軸受91は、主軸6の軸方向他端側である上端側を支持している。更に、第2軸受91は、主軸6の軸方向から見たときに、その内周形状が主軸6の外周形状と相似形の円形に形成されたすべり軸受として構成されている。
また、第2軸受91は、介在部材28を介してハウジング30の筒状部材31に固定されている。介在部材28は、水平方向に拡がる環状板の外周部を下方側に向かって屈曲させた形状に形成され、その外周部がハウジング30の筒状部材31に当接した状態で固定されている。また、第2軸受91の上端部には水平方向に突出する鍔部271が形成されており、鍔部271が介在部材28上に固定されている。
より具体的には、第2軸受91の鍔部271が、図示しないボルトによって介在部材28に締結されている。これにより、介在部材28に対する第2軸受91の水平方向位置を調整可能にして、主軸6の軸合わせ(芯出し)を容易に実現できるようにしている。なお、第1、第2軸受81、91における主軸6の支持構成については、主軸6内部の詳細構成とともに後述する。
次に、圧縮機構部10は、上述したように、それぞれ渦巻き状に形成された歯部を有する可動スクロール11および固定スクロール12からなるスクロール型の圧縮機構である。可動スクロール11は、前述のミドルハウジング36のうち内径が最も大きい下方側部位の内周側に配置され、固定スクロール12は、可動スクロール11の下方側に配置されている。
可動スクロール11および固定スクロール12は、周知のように、それぞれ円板状の基板部を有しており、双方の基板部は、互いに鉛直方向に対向するように配置されている。固定スクロール12の基板部は、図示しないボルトにより、ミドルハウジング36に固定されている。
可動スクロール11の基板部の上面側の中心部には、主軸6の下端部が挿入される円筒状のボス部113が形成されている。主軸6の下端部は、主軸6の回転中心に対して偏心した偏心部253になっている。従って、可動スクロール11内には、主軸6の偏心部253が挿入されている。
更に、可動スクロール11およびミドルハウジング36の間には、可動スクロール11が偏心部253周りに自転することを防止する図示しない自転防止機構が設けられている。このため、主軸6が回転すると、可動スクロール11は偏心部253周りに自転することなく、主軸6の回転中心を公転中心として旋回しながら公転運動する。
また、可動スクロール11には、基板部から固定スクロール12側に向かって突出する渦巻き状の歯部が形成されている。一方、固定スクロールには、基板部から可動スクロール11側に向かって突出するとともに、可動スクロール11の歯部に噛み合う渦巻き状の歯部が形成されている。
そして、両スクロール11、12の歯部同士が噛み合って複数箇所で接触することによって、回転軸方向から見たときに三日月形状に形成される作動室15が複数個形成される。なお、図1では、複数個の作動室15のうち1つの作動室15のみに符号を付しており、他の作動室15については符号を省略している。
作動室15は、可動スクロール11が公転運動することによって回転軸周方向に外周側から中心側へ容積を減少させながら移動する。更に、作動室15には、図示しない冷媒供給路を通じて冷媒が供給されるようになっており、作動室15の容積が減少することによって作動室15内の冷媒が圧縮される。
作動室15に冷媒を供給する冷媒供給路としては、具体的に、ハウジング30の筒状部材31に形成された冷媒吸入口、および、固定スクロール12側の基板部の内部に形成された冷媒吸入路によって構成される。なお、この冷媒吸入路は、両スクロール11、12の歯部の最外周側に形成される作動室15に連通している。
このように、本実施形態の圧縮機構部10では、主軸6の回転に伴って作動室15が回転軸周方向に移動するため、作動室15内の冷媒の圧力によって主軸6に作用する径方向の荷重の向きが変化する。つまり、本実施形態の圧縮機構部10は、回転軸方向から見たときに、主軸6の回転に伴って第1、第2軸受81、91が主軸6からの荷重を受ける荷重点が移動する荷重点移動型圧縮機構である。
また、可動スクロール11側の歯部および固定スクロール12側の歯部の軸方向先端部には、作動室15の気密性を確保するためのチップシールが装着されている。チップシールは、樹脂材料にて、歯部の渦巻き方向に沿って延びる角柱状に形成されている。
そして、可動スクロール11側のチップシールは、可動スクロール11側の歯部のうち固定スクロール12側の基板部に対向する先端面に形成されたチップシール溝に嵌め込み固定され、固定スクロール12側のチップシールは、固定スクロール12側の歯部のうち可動スクロール11側の基板部に対向する先端面に形成されたチップシール溝に嵌め込み固定されている。
また、固定スクロール12側の基板部の中心部には、作動室15で圧縮された冷媒が吐出される吐出穴123が形成されている。更に、吐出穴123の下方側には、吐出穴123と連通する吐出室124が形成されている。吐出室124は、固定スクロール12の基板部の下面に形成された凹部によって形成されている。
更に、吐出室124には、作動室15への冷媒の逆流を防止する逆止弁をなすリード弁19が配置されている。また、吐出室124へ流入した冷媒は、固定スクロール12側の基板部内に形成された冷媒吐出路、および、ハウジング30の筒状部材31に形成された冷媒吐出口(いずれも図示せず)を介して、ハウジング30外部へ吐出される。冷媒吐出口には、冷媒配管を介して、油分離器40の冷媒流入口432が接続されている。すなわち、図1の※印相互間は図示しない冷媒配管で接続されている。
油分離器40は、ハウジング30から吐出された圧縮冷媒から潤滑油を分離し、分離された潤滑油をハウジング30内に戻す機能を果たす。具体的には、油分離器40は、鉛直方向に延びる筒状部材41、筒状部材41の上端部を塞ぐ上蓋部材42および筒状部材41の下端部を塞ぐ下蓋部材43を有し、これらを一体に接合して密閉容器構造としたものである。
筒状部材41、上蓋部材42および下蓋部材43は、いずれも鉄で形成されており、これらは溶接にて接合されている。更に、油分離器40の筒状部材41は、鉄で形成されたブラケット44を介して、ハウジング30の筒状部材31に溶接にて接合されている。これにより、油分離器40がハウジング30の側方に固定されている。
上蓋部材42は、外筒部材および内筒部材によって構成された二重筒構造になっている。外筒部材および内筒部材は、鉛直方向に延びる円筒状の部材であり、内筒部材は、外筒部材の内部のうち上方側に挿入されている。そして、外筒部材の内周側と内筒部材の外周側との間に形成される円筒状空間430には、油分離器40の冷媒流入口432から流入した冷媒が導入される。従って、油分離器40の冷媒流入口432は、外筒部材のうち円筒状空間430の側方部位に形成されている。
また、円筒状空間430の上端部は内筒部材によって閉塞されている。具体的には、内筒部材の上端部が残余の部位よりも拡径されていて、外筒部材の上端開口部421を閉塞している。更に、内筒部材の上端開口部45は、潤滑油が分離された冷媒を油分離器40の外部、すなわち圧縮機1の外部の水−冷媒熱交換器の入口側へ吐出する冷媒吐出口を構成している。
油分離器40のうち筒状部材41および下蓋部材43によって形成される下方側部位は、冷媒から分離された潤滑油を貯める貯油タンクとしての役割を果たす。油分離器40の下蓋部材43には、貯められた潤滑油を油分離器40外部に流出させる油流出口431が形成されている。
油流出口431には、油配管46が接続されており、油配管46は、ハウジング30の筒状部材31に固定された配管接続部材34に接続されている。配管接続部材34は、ハウジング30の筒状部材31に形成された貫通穴を貫通し、固定スクロール12側の基板部の側面に形成された挿入穴126に圧入されている。
また、固定スクロール12側の基板部の内部には、挿入穴126に連通する固定側導油路が形成されている。この固定側導油路は、配管接続部材34および挿入穴126を介して流入した潤滑油を固定スクロール12側の基板部の上面(可動スクロール11側の基板部側の面)に開口する開口穴へ導く。
更に、可動スクロール11側の基板部の内部には、固定側導油路の一方の通路と断続的に連通する可動側導油路が形成されている。より具体的には、可動側導油路の一端側は、可動スクロール11側の基板部の下面(固定スクロール12側の基板部の面)に、固定スクロール12側の基板部の上面に形成された開口穴と対向するように開口している。
これにより、可動スクロール11の公転運動に伴って可動側導油路の開口が固定側導油路の開口と重なったりずれたりすることになるので、可動側導油路が固定側導油路と断続的に連通することになる。また、可動側導油路の他端側は、可動スクロール11のボス部113の内側に開口している。
このため、可動側導油路と固定側導油路が断続的に連通することによって、油分離器40から固定側導油路へ流入した潤滑油が、可動側導油路を介して、ボス部113と主軸6の偏心部253との間の隙間に導入され、次いで主軸6の下端部側から主軸6の内部に形成された主給油路61へ流入する。
また、固定スクロールの下方側には、区画部材18が配置され、区画部材18の下方側のハウジング30内の最下部には、潤滑油を貯める貯油室35が形成されている。区画部材18には、鉛直方向に貫通する貫通穴が形成されている。この貫通穴は、固定スクロール12側の基板部の内部に形成された通路を介して、上述した冷媒吸入路と同様に、両スクロール11、12の歯部の最外周側に形成される作動室15に連通している。
従って、作動室15へ流入する潤滑油の流量は、固定スクロール12側の基板部の内部に形成された絞り路の通路断面積(圧力損失)によって、調整することができる。また、貫通穴には、貯油室35に貯留された潤滑油を吸い上げるパイプ182が下方側から挿入されている。
主軸6の内部に形成された主給油路61は、図1の圧縮機に使用した主軸6の縦断面図である図2に示すように、主軸6の軸方向に延びて主軸6の下端面にて開口しており、主軸6の上端面においては閉塞部材100で閉塞されている。そして、前述の如く、主給油路61には主軸6の軸方向一端側である下端側から、可動側導油路から流出した潤滑油が流入する。
第1副給油路62および第2副給油路63は、主軸6の径方向に延びて主給油路61と主軸6の外表面とを連通させる連通孔として形成されている。更に、第2副給油路63は、第1副給油路62よりも鉛直方向上方側に配置されている。また、主給油路61の内部には、主軸6の下端側から流入した潤滑油を、第1副給油路62よりも上方側に配置された第2副給油路63の入口近傍へ導く潤滑油ガイド部材としての、パイプ部材からなる潤滑油供給部材7が配置されている。
この潤滑油供給部材7は、主軸6の軸方向に延びるとともに、その下端部が残余の部位よりも拡径された配管で形成され、拡径された下端部の外周面が主給油路61の内壁面に当接して非圧入状態で固定されている。なお、本実施形態では、断面円形状の円管状の潤滑油供給部材7を採用しているが、断面多角形状、断面楕円形状等の管で潤滑油供給部材7を形成してもよい。
潤滑油供給部材7によって導かれた潤滑油の一部は、まず第2副給油路63へ供給され、その残りの潤滑油が主給油路61と潤滑油供給部材7との間の隙間を流通して第1副給油路62へ供給される。換言すると、第1副給油路62および第2副給油路63には、主給油路61へ流入した潤滑油が順次供給される。そして、本実施形態では、第1副給油路62および第2副給油路63のうち先に潤滑油が供給される副給油路は、第2副給油路63となる。
潤滑供給部材7は、全体として湾曲するように塑性変形されている。そして、潤滑供給部材7は、主軸6の主給油路61の内壁に小径筒部72で2箇所(当接点t1、t2)、大径筒部71で1箇所(当接点t3)当接して支持されている。潤滑油は、高圧側で分離・貯油されていたものを減圧機構13(図1)にて減圧した後、可動スクロール11のボス内部空間410に流入する。
この時、主給油路61の内壁と大径筒部71との隙間は極めて小さく実質零となるため、潤滑油路は区画されている。このため、潤滑油は潤滑油供給部材7の貫通孔73内を通り、小径筒部72の先端まで持ち上がってから流出する。流出した潤滑油の一部は、主軸6の第2副給油路63を通り、第2軸受91を潤滑する。その後、潤滑油は、潤滑油供給部材7の小径筒部72と主給油路61との間の隙間を流動、下降し、第1副給油路62から第1軸受81に流入し潤滑する。
上述のように、湾曲している潤滑油供給部材7を主給油路61内に挿入し、弾性固定する点について、図3を用いて更に説明する。図3は、図2の主軸内の潤滑油供給部材7の縦断面図である。前述したように、主軸6の主給油路61は先端部が止め栓100により先端からの潤滑油流出を防止している。潤滑供給部材7は、主軸6の主給油路61の内壁に図の当接点t1、当接点t2、当接点t3にて当接している。
なお、接触は当然、3点以上であってもかまわないし、線接触、面接触であってもかまわない。図3において、潤滑油供給部材7の単品状態での当接点t1と当接点t3を結んだ線に対し、小径筒部72の最も離れた部位を当接点t2とし、当接点t1と当接点t3を結んだ直線に対して当接点t2までの垂直方向のオフセット距離をδとしている。
この潤滑油供給部材7の単品状態でのオフセット距離δの値(オフセット距離δ1とする)を、主軸6の主給油路61内に潤滑油供給部材7を挿入した後のオフセット距離δの値(オフセット距離δ2とする)より、大きくすることにより(δ1>δ2とすることにより)、潤滑油供給部材7は弾性変形し、その反力により主給油路61内壁に押付けられ、保持される。
この第1実施形態においては、第1、第2軸受81、91があるため、主軸7表面の浸炭焼入れは必要である。しかし、この第1実施形態では、寸法精度を高めるための主給油路61の内壁部のリーマ加工は不要である。また、従来の図10のパイプ状の潤滑油供給部材7は、全部切削加工で製作されていたが、この第1実施形態は、パイプ材を切断して端面を拡管加工するため、製造が容易である。
図4は、図1の圧縮機1内の潤滑油の流れを示した縦断面図である。図4において、油分離器40の冷媒流入口432に流入した冷媒は、図4の矢印に示すように、油分離器40内の円筒状空間430に導入される。そして、円筒状空間430において冷媒に旋回流れを生じさせ、冷媒の旋回流れによって生じる遠心力の作用によって、冷媒から潤滑油が分離される。潤滑油が分離された冷媒は、油分離器40上方の冷媒吐出口45から、圧縮機1の吐出冷媒として水−冷媒熱交換器の冷媒入口側へ吐出される。
また、冷媒から分離された潤滑油は、重力によって油分離器40の内部を流下して油分離器40内の下部に貯められる。油分離器40の内部に貯められた潤滑油は、油流出口431、油配管46、挿入穴126、減圧機構13、およびボス内部空間410を介して、断続的に、主軸6の下端部側から主軸6の内部に形成された主給油路61へ流入する。
主軸6の主給油路61へ流入した潤滑油は、潤滑油供給部材7によって、第2副給油路63の入口近傍へ導かれて、その一部が第2副給油路63へ流入する。第2副給油路63へ流入した潤滑油は、主軸6と第2軸受91との摺動部位へ供給され、この摺動部位を潤滑した後、重力の作用によってハウジング30内を下方側に流れて貯留室35へ戻る。
潤滑油供給部材7から流出した潤滑油のうち、第2副給油路63へ流入しなかった残りの潤滑油は、重力の作用によって主給油路61と潤滑油供給部材7との間の隙間を第1副給油路62側へ向かって流れ、第1副給油路62へ流入する。第1副給油路62へ流入した潤滑油は、主軸6と第1軸受81との摺動部位へ供給されて、この摺動部位を潤滑した後、貯留室35へ戻る。
一方、貯油室35に貯留された潤滑油は、パイプ182、貫通穴、固定スクロール12側の基板部の内部に形成された通路を介して、両スクロール11、12の歯部の最外周側に形成される作動室(圧縮室)15に流入する。そして、作動室15を出た潤滑油は、図示を省略した※相互間の冷媒配管を経て、油分離器40の冷媒流入口432に流入する。
本実施形態の圧縮機1は、上記の如く作動して、ヒートポンプサイクルにおいて、冷媒を吸入し、圧縮して吐出する機能を発揮する。更に、本実施形態の圧縮機1によれば、潤滑油ガイド部材である潤滑油供給部材7を備えているので、主軸6と第1軸受81との第1摺動部位、および、主軸6と第2軸受91との第2摺動部位の双方に適切に潤滑油を供給することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以降の各実施形態においては、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成および特徴について説明する。図5は、本発明の第2実施形態を示す圧縮機における主軸の縦断面図である。図6は、図5に示した主軸の各部断面図であり、図6の(a)は、図5のA−A断面図、図6の(b)は、図5のB−B断面図、図6の(c)は、図5のC−C断面図、図6の(d)は、図5のD−D断面図である。
図5において、潤滑油供給部材7の小径筒部72を主軸6の主給油路61の内壁に螺旋状に線接触固定させている。また、図6から明らかのように、断面位置によって接触位置は螺旋状に変化している。これにより、主軸6の主給油路61内壁に全方向に渡り接触するとともに、螺旋であるため、通常のストレートの接触より、接触長さを長く取ることができ、より支持力を確保することができる。
また、潤滑油供給部材7の貫通孔73を通過する潤滑油に遠心力を与えることができ、主軸6の外周に延びている第2副給油路63への潤滑油の流入を容易にすることができる。また、螺旋形状のため、ねじ効果によるポンプ作用のため、潤滑油をよりスムーズに送ることが可能になる。更には、主軸6の回転によるポンプ作用によって、潤滑油分配量を回転数に応じて調整することができる。
更に、主軸6の主給油路61内壁に、径変更段差部605を設けており、この径変更段差部605を挟んだ、大径筒部71と反対側の出口側内径部606の径を大きくしている。この構成により、出口側内径部606の螺旋形状を大きくでき、万が一潤滑油供給部材7が主給油路61内でずれた場合でも、小径筒部72が径変更段差部605に引っかかり、潤滑油供給部材7の位置ずれを止めることができる。
次に、図7、図8により、螺旋形状を、座屈を利用した組み付けにより形成する製造工程について説明する。図7は、本発明の第2実施形態における潤滑油供給部材の製造工程を示し、ベース310上に載置された筒状保持具320内に主軸6を逆さに挿入してパンチ300を用いてかしめ加工する工程を説明する一部断面図である。また、図8は、図7のパンチ300の先端部における加工の状態を拡大して示す一部断面図である。
図7において、筒状保持具320内に挿入した潤滑油供給部材7の初期状態は、ストレート、もしくは主給油路61内壁に突っ張らない程度の軽い湾曲形状である。従って、主軸6内への潤滑油供給部材7の挿入作業は簡単となり、かつ、挿入時にかじりによる異物を出す心配もない。
また、ベース310には、荷重受け座311が形成されており、潤滑油供給部材7の小径筒部72の先端部を受けて、荷重を支えるとともに、小径筒部72の先端位置を決めている。筒状保持具320に主軸6および潤滑油供給部材7をセットすると、図8の大径筒部71と小径筒部72の間のテーパ状の切替り部704は、主軸6の突起状段差604から離れた状態になるよう、潤滑油供給部材7の全長はあらかじめ長めに設定されている。その状態で、上部よりパンチ300にて軸方向に荷重Fを作用させると、まずパンチ300の荷重Fは、潤滑油供給部材7のみに圧縮力として作用する。
その圧縮力により、潤滑油供給部材7の小径筒部72に座屈が生じ、主軸6の主給油路61の内壁に張り付く形で変形する。この時、座屈後の変形形態は、潤滑油供給部材7の全長を調整すれば、ほぼ安定して螺旋状になる。
上記の座屈工程は、切替り部704と、突起状段差604とが接触するまで圧縮された時点で終了し、その後は、大径筒部71のかしめ工程へと移行する。そして、所定のパンチ荷重まで達した時点で、かしめ工程は終了する。上記から明らかなように、座屈による小径筒部72の螺旋形状の形成と、大径筒部71のかしめ部の形成はプレスの1工程で実施することができ、加工工数は低く抑えることができる。
また、主軸6の主給油路61の内壁には、突起状段差604が設けられている。潤滑油供給部材7の大径筒部71と小径筒部72の間には切替り部704があり、テーパ状となっており、その一部が突起状段差604と接触している。
なお、図8のように、大径筒部71の端部に、パンチ300にて軸方向の荷重Fを印加すると、突起状段差604と切替り部704は強く押付けられ食い込みが生ずる。また、パンチ30の先端はテーパ部301があり、大径筒部71の端部に軸方向荷重Fを印加した場合、径方向の分力により、大径筒部71の端部内周部706に押し広げる力が作用し、大径筒部71のかしめ部となる端部外周部705の径が拡大する。
それによって、大径筒部71の端部外周部705は、主軸6の主給油路61の内壁に押付けられ密着し、いわゆるかしめ固定がなされる。なお、パンチ300により加工の過程で、主軸6と潤滑油供給部材7との間のクリアランスGは、図8の上方から潰れていくが、完全には潰れないで少し残ってもよい。上述したように、パンチ300による加工前の状態ではパイプからなる潤滑油供給部材7は長めに製作されている。そして、パンチ300によるかしめの過程で螺旋状に曲がる。
以上により、主給油路61内に潤滑油供給部材7を挿入し当接させただけの場合に比べ、螺旋状に曲げられた潤滑油供給部材7は、より強固に固定することができる。また、大径筒部71の端部外周部705へのかしめによって、大径筒部71と主軸6の間の隙間が実質零になるため、漏れのない正しい潤滑油の通路を形成することができる。更に、この構成によると、切替り部704と突起状段差604との接触部、および大径筒部71の端部外周部705の、二箇所にて固定されているため、潤滑油供給部材7の振れ回りのモーメント荷重に対してより強固に固定することができる。
(その他の実施形態)
本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。例えば、上述の第1実施形態では、図2のように、大径筒部71と小径筒部72とを形成したが、潤滑油がパイプ状の潤滑油供給部材7内を流れればよいため、これらの大径筒部71と小径筒部72とがなくても構成できる。
また、第1実施形態に示した弓状に曲げた潤滑油供給部材7も、あらかじめ軽く弓状に曲げておいてから、図7の筒状保持具320と同様の治具内に収納した後、両端に荷重を印可してプレスすることにより、弓状に座屈変形させて形成してもよい。
更に、図7のように、筒状保持具320内に収納した主軸6内で螺旋形状に座屈させたが、あらかじめ大きめの外径の螺旋形状に座屈させた潤滑油供給部材7を製作しておき、これを主軸6に挿入してもよい。更に、治具を用いて潤滑油供給部材7を螺旋状に軽く曲げてから、筒状保持具320内に挿入し、所定の方向に螺旋状に更に曲がるように、潤滑油供給部材7をパンチ300で座屈変形させてもよい。
1 圧縮器
6 主軸
7 潤滑油供給部材
61 主給油路
62 第1副給油路
63 第2副給油路
71 大径筒部
72 小径筒部
73 貫通孔
81 第1軸受
91 第2軸受
100 止め栓
300 パンチ
301 テーパ部
310 ベース
311 荷重受け座
320 筒状保持具
604 突起状段差
605 径変更段差部
606 出口側内径部
705 端部外周部
704 切替り部
t1、t2、t3 当接点

Claims (7)

  1. 圧縮機構部(10)、
    前記圧縮機構部(10)を回転駆動する主軸(6)、
    前記主軸(6)を回転可能に支持する軸受(81、91)、
    前記主軸(6)内を軸方向に延びる主給油路(61)、
    前記軸受(81、91)を潤滑するために、前記主給油路(61)から前記主軸(6)の外周に貫通する副給油路(62、63)、および
    前記主給油路(61)内に設けられて軸方向に延びる潤滑油供給部材(7)を備え、
    前記潤滑油供給部材(7)は、軸方向に延在する貫通孔(73)と、前記主給油路(61)の内径より小径であり曲げられた小径筒部(72)を有し、少なくとも3点以上にて前記主給油路(61)の内壁に当接していることを特徴とする圧縮機。
  2. 圧縮機構部(10)、
    前記圧縮機構部(10)を回転駆動する主軸(6)、
    前記主軸(6)を回転可能に支持する第1、第2軸受(81、91)、
    前記主軸(6)内を軸方向に延びる主給油路(61)、
    前記第1、第2軸受(81、91)を夫々潤滑するために、前記主給油路(61)から前記主軸(6)の外周に貫通する第1、第2副給油路(62、63)、および
    前記主給油路(61)内に設けられて軸方向に延びる潤滑油供給部材(7)を備え、
    前記潤滑油供給部材(7)は、曲げられて形成されており、軸方向に延在する貫通孔(73)と、前記主給油路(61)より小径の小径筒部(72)と、前記主給油路(61)と実質同一径の大径筒部(71)とを有し、前記小径筒部(72)と前記大径筒部(71)とにおいて、少なくとも3点以上にて、前記主給油路(61)の内壁に前記潤滑油供給部材(7)が当接していることを特徴とする圧縮機。
  3. 前記主軸(6)における前記主給油路(61)の内壁に、前記潤滑油供給部材(7)の前記大径筒部(71)が、かしめられて固定されていることを特徴とする請求項2記載の圧縮機。
  4. 前記主給油路(61)の内壁に突起状段差(604)を有し、
    前記突起状段差(604)と、前記小径筒部(72)と前記大径筒部(71)との切替り部(704)とが接触し、
    大径筒部(71)の端部内周部(706)が拡開され、端部外周部(705)が主給油路(61)の内壁にかしめられていることを特徴とする請求項3に記載の圧縮機。
  5. 前記潤滑油供給部材(7)の前記小径筒部(72)は、螺旋状に曲げられて前記主給油路(61)の内壁に、少なくとも一部が線接触していることを特徴とする請求項1ないし4に記載の圧縮機。
  6. 前記主軸(6)の前記主給油路(61)の中心線に対して弓状に湾曲している前記潤滑油供給部材(7)が、主給油路(61)内に挿入され、前記潤滑油供給部材(7)が前記主給油路(61)内に弾性力により固定されていることを特徴とする請求項1ないし5に記載の圧縮機。
  7. 前記主軸(6)の前記主給油路(61)内おいて、前記潤滑油供給部材(7)が、該潤滑油供給部材(7)の両端より圧縮力を受けて座屈変形することにより曲げられていることを特徴とする請求項1ないし6に記載の圧縮機。
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