JP2009074477A - スクロール式流体機械 - Google Patents

スクロール式流体機械 Download PDF

Info

Publication number
JP2009074477A
JP2009074477A JP2007245212A JP2007245212A JP2009074477A JP 2009074477 A JP2009074477 A JP 2009074477A JP 2007245212 A JP2007245212 A JP 2007245212A JP 2007245212 A JP2007245212 A JP 2007245212A JP 2009074477 A JP2009074477 A JP 2009074477A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bush
scroll
bearing portion
fluid machine
orbiting scroll
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007245212A
Other languages
English (en)
Inventor
Shin Kurita
慎 栗田
Tetsuzo Matsuki
哲三 松木
Shinichi Okamoto
真一 岡本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP2007245212A priority Critical patent/JP2009074477A/ja
Publication of JP2009074477A publication Critical patent/JP2009074477A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Rotary Pumps (AREA)

Abstract

【課題】最適なスラスト軸受部材を用い、軸受各部の耐摩耗性及び耐焼き付き性を向上し、信頼性を高めるとともに、エネルギー効率を向上させたスクロール式流体機械を提供するもの。
【解決手段】スクロール圧縮機100は、ジャーナル軸受部94及び主軸受部72を鋼板の表面上に形成された焼結層にカーボンを含む樹脂を含浸させたカーボンバイメタルを適用して構成し、駆動ブッシュ(第1ブッシュ)95及びブッシュ(第2ブッシュ)73に表面改質処理を施したことを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、冷媒や空気、その他の作動流体を対象にしたスクロール式流体機械に関し、特にエネルギー効率及び信頼性を向上させたスクロール式流体機械に関するものである。
近年、地球環境保護の観点から、蒸気圧縮式冷凍サイクルに温暖化係数が小さい冷媒(たとえば、自然冷媒等)を適用することが多い。中でも、二酸化炭素(CO2 )を適用した蒸気圧縮式冷凍サイクルが年々増加傾向にある。この二酸化炭素は、フロン冷媒と同様のサイクル動作であるが、その動作圧力がフロン冷媒に比べて約4倍と高いという特徴を持っている。そのため、圧縮ガス荷重が、フロン冷媒であるHFC(ハイドロフルオロカーボン)冷媒に対して大幅に増大し、ジャーナル軸受やスラスト軸受を流体潤滑に維持できず、回転軸及び軸受材で金属接触が生じ、摩耗や焼付に至ることになる。
その解決策として、軸、軸受材の適正化、面圧低減を狙った軸受面積拡大ならびに冷凍機油の粘度グレードを高める等の検討がなされている。そのようなものとして、「オルダムリングを揺動スクロールと固定スクロールの各々の渦巻歯の外周側の台板間に配設し、揺動スクロールの背面のボス部を除くほぼ全面と、フレームのスラスト軸受部の凹部を除くほぼ全面を摺接させるようにしたスクロール圧縮機」が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。
特開2007−146813号公報(第5頁、第2図)
二酸化炭素のような高圧冷媒を用いる場合において、軸受の耐摩耗性や耐焼き付き性を向上させるため、軸受面積を拡大すると、機械損失が増大し、性能が低下してしまう。また、軸受部への必要給油量が増し、軸受部と圧縮室とが接近した構造のスクロール圧縮機では、軸受給油が圧縮室内へ流入し、油上りが増大してしまうという課題が生じる。一般的に、ジャーナル軸受の軸受隙間を小さく設定すると最小油膜厚さが厚くなることが知られている。しかしながら、軸受隙間を縮小すると、組み立て時においてジャーナル軸受内にクランクシャフトを挿入する際、こじりが生じ易く、組立性が悪化してしまうという課題が生じる。
また、二酸化炭素を冷媒として用いた場合の運転圧力比は、従来冷媒同等であるものの、固定容積比をもつスクロール圧縮機においては、不足圧縮や過圧縮時の高圧と連通直前の圧縮室内との差圧が従来冷媒に比べ、大幅に増大する。そのため、旋回スクロールの挙動が不安定になり、各軸受部では、局所的な片当たりが生じ、焼き付きが発生してしまうという課題が生じる。このような課題を解決するものとして特許文献1に記載のスクロール圧縮機が提案されているが、高い信頼性を得るために各軸受部に対する最適な材料についての言及はない。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、各軸受部に最適な部材を用い、各軸受部の耐摩耗性及び耐焼き付き性を向上し、信頼性を高めるとともに、エネルギー効率を向上させたスクロール式流体機械を提供するものである。
本発明に係るスクロール式流体機械は、鏡板の一方の面に渦巻状突起を立設した固定スクロールと、鏡板の一方の面に渦巻状突起を立設し、他方の面における略中心部に旋回スクロールボス部を形成し、この渦巻状突起が前記固定スクロールの前記渦巻状突起と噛み合わされて密閉した圧縮室を形成する旋回スクロールと、鉛青銅系もしくは青銅系の材料で構成され、前記旋回スクロールの他方の面と摺動するスラスト軸受部材と、前記旋回スクロールの自転運動を阻止するためのオルダムリングと、前記旋回スクロールボス部に係合する偏心ピン部を上端面に形成したクランクシャフトと、前記偏心ピン部を、第1ブッシュを介して軸支するジャーナル軸受部と、前記クランクシャフトを、第2ブッシュを介して軸支する主軸受部と、前記主軸受部を設けるための貫通孔が略中心部に形成され、主軸受部及び前記スラスト軸受部材を保持するフレームとを有し、前記ジャーナル軸受部及び前記主軸受部を鋼板の表面上に形成された焼結層にカーボンを含む樹脂を含浸させたカーボンバイメタルを適用して構成し、前記第1ブッシュ及び前記第2ブッシュに表面改質処理を施したことを特徴とする。
本発明に係るスクロール式流体機械によれば、表面改質処理した第1ブッシュ及び第2ブッシュと、カーボンバイメタルを適用したジャーナル軸受部及び主軸受部とを組み合わせているため、ジャーナル軸受部及び主軸受部の耐摩耗性及び耐焼付性を向上でき、信頼性及びエネルギー効率の向上が可能になる。また、第1ブッシュ及び第2ブッシュのみに表面改質処理を施すため、クランクシャフトの材料の設計自由度を高めることができ、低コスト化設計が可能になる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るスクロール圧縮機100の縦断面図である。図2は、スクロール圧縮機100の要部を拡大した拡大縦断面図である。図3は、圧縮部20を分解した状態を示す分解図である。図4は、揺動軸受部94及び主軸受部72を拡大して示す拡大縦断面図である。図1〜図4に基づいて、スクロール圧縮機100の構成及び動作について説明する。このスクロール圧縮機100は、スクロール式流体機械の代表として、たとえば二酸化炭素(CO2 )冷媒を圧縮するスクロール圧縮機を表している。
このスクロール圧縮機100は、たとえば冷蔵庫や冷凍庫、自動販売機、空気調和器、冷凍装置、給湯器等の冷凍サイクル(ヒートポンプサイクル)の構成要素である。つまり、スクロール圧縮機100は、冷凍サイクルを循環するCO2 冷媒を吸入し、圧縮して高温高圧の状態として吐出させるものである。なお、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
このスクロール圧縮機100は、圧縮部20と駆動部30とに分類できる。この圧縮部20及び駆動部30は、密閉容器(シェル)10内に収納されている。この密閉容器10は、圧力容器となっている。図1に示すように、圧縮部20が密閉容器10の上側に配置され、駆動部30が密閉容器10の下側に配置されている。この密閉容器10の底部は、冷凍機油1を貯留する油だめ11となっている。また、密閉容器10には、CO2 冷媒ガスを吸入するための吸入側配管12と、CO2 冷媒ガスを吐出するための吐出側配管13とが連接されている。
圧縮部20は、吸入側配管12から吸入したCO2 冷媒ガスを圧縮して密閉容器10内の吐出空間15に排出する機能を有している。この吐出空間15に排出されたCO2 冷媒ガスは、吐出側配管13からスクロール圧縮機100の外部に吐出されるようになっている。駆動部30は、圧縮部20でCO2 冷媒ガスを圧縮するために、圧縮部20を構成する旋回スクロール50を駆動する機能を果たすようになっている。つまり、駆動部30がクランクシャフト40を介して旋回スクロール50を駆動することによって、圧縮部20でCO2 冷媒ガスを圧縮するようになっているのである。
圧縮部20は、旋回スクロール50と、固定スクロール60と、フレーム70とで概略構成されている。図1に示すように、旋回スクロール50は下側に、固定スクロール60は上側に配置されるようになっている。固定スクロール60は、鏡板61と、鏡板61の一方の面に立設された渦巻状突起であるラップ部62とで構成されている。また、旋回スクロール50も、鏡板51と、鏡板51の一方の面に立設され、ラップ部62と実質的に同一形状の渦巻状突起であるラップ部52とで構成されている。旋回スクロール50及び固定スクロール60は、ラップ部52とラップ部62とを互いに噛み合わせ、密閉容器10内に装着されている。そして、ラップ部52とラップ部62との間には、相対的に容積が変化する圧縮室21が形成される。
固定スクロール60は、フレーム70に図示省略のボルト等によって固定されている。固定スクロール60の中央部には、圧縮され、高圧となったCO2 冷媒ガスを吐出する吐出ポート63が形成されている。そして、圧縮され、高圧となったCO2 冷媒ガスは、固定スクロール60の上部に設けられている吐出空間15に排出されるようになっている。また、ラップ62側における鏡板61の外周部には、後述するオルダムリング80の突起部82を収容する収容溝66が2つ形成されている。
旋回スクロール50は、固定スクロール60に対して自転運動することなく公転旋回運動を行うようになっている。旋回スクロール50の他方の面、つまり鏡板61におけるラップ部52とは反対側面(以下、スラスト面55と称する)には、ガス荷重を負荷するため、鉛青銅系もしくは青銅系の材料で構成された第1スラスト軸受部材(スラスト軸受部材)91を設けている。この第1スラスト軸受部材91は、旋回スクロール50の公転旋回運動に伴って、フレーム70に固定される第2スラスト軸受部材92と摺動するようになっている。また、第2スラスト軸受部材92には、第1スラスト軸受部材91と第2スラスト軸受部材92上面との摺動部に給油するための油流路93が形成されている。
この油流路93は、第2スラスト軸受部材92を鉛直方向に貫通するように複数形成されている。また、旋回スクロール50のスラスト面55側の略中心部には、中空円筒形状の旋回スクロールボス部53が形成されている。この旋回スクロールボス部53には、後述するクランクシャフト40の上端に設けられた偏心ピン部41を軸支する揺動軸受部94が備えられており、偏心ピン部41を係合する第1ブッシュである駆動ブッシュ95が装着されている。つまり、偏心ピン部41が駆動ブッシュ95を介して旋回スクロールボス部53に嵌入(係合)され、揺動軸受部94に軸支されているのである。
揺動軸受部94は、鋼板の表面上に形成された焼結層にカーボンを含む樹脂を含浸させたカーボンバイメタルを適用して構成されている。また、駆動ブッシュ95には、表面改質処理を施している。つまり、駆動ブッシュ95は、窒化用途の材料を選定し、その材料に窒化処理を施し、その表面硬度をHv1000以上に設定して構成されている。そして、揺動軸受部94の内周と駆動ブッシュ95の外周との間に形成される軸受隙間δ1 と揺動軸受部94の内径D1 との比(δ1 /D1 )の最小値(δ1 /D1 min)を、δ1 /D1 min≧1.8/1000に設定する。また、ラップ部52側における鏡板51の外周部には、後述するオルダムリング80の突起部81を収容する収容溝56が2つ形成されている。
フレーム70は、シェル101の内周面に固着されて主軸受部72と第2スラスト軸受部材92を保持するようになっている。主軸受部72は、ジャーナル軸受で構成されており、クランクシャフト40を軸支するようになっている。つまり、主軸受部72は、クランクシャフト40を貫通させるために形成されているフレーム70の中心部の貫通孔の内周面と接するように設けられている。この主軸受部72には、別部材で構成されている第2ブッシュであるブッシュ73が装着されている。そして、クランクシャフト40がブッシュ73を介してフレーム70の中心部を貫通している。
主軸受部72についても、揺動軸受部94と同様に、鋼板の表面上に形成された焼結層にカーボンを含む樹脂を含浸させたカーボンバイメタルを適用して構成する。また、ブッシュ73についても、駆動ブッシュ95と同様に、表面改質処理が施されており、窒化用途の材料を選定し、その材料に窒化処理を施し、その表面硬度をHv1000以上に設定して構成する。そして、主軸受部72の内周と、ブッシュ73の外周との間に形成される軸受隙間δ2 と主軸受部72の内径D2 のと比(δ2 /D2 )の最小値(δ2 /D2 min)を、δ2 /D2 min≧2.2/1000に設定する。
揺動軸受部94及び主軸受部72では、駆動ブッシュ95及びブッシュ73がそれぞれ平行軸になっているため隙間小とできるが、隙間小では給油量が不足してしまうので、給油量が不足しないように適度な間隔をあけることが要求される。そこで、揺動軸受部94及び主軸受部72を金属系材料で構成することにより、隙間を大きく設定することができる。つまり、揺動軸受部94及び主軸受部72を金属系材料で構成すれば、その熱膨張の差を利用して、給油量が不足しない程度の隙間を形成することができる。
また、フレーム70の第2スラスト軸受部材92との設置面(以下、内側下端面74と称する)には、第2スラスト軸受部材92を固定する。第2スラスト軸受部材92及び第1スラスト軸受部材91でスラスト軸受部90を構成している。さらに、フレーム70には、旋回スクロール50のスラスト面55側から軸方向下側に貫通する排油穴71が形成されており、スラスト面55を潤滑した冷凍機油1を油だめ11に戻すようになっている。図1では、排油穴71が1つだけ形成されている場合を例に示しているが、これに限定するものではない。たとえば、排油穴71を2つ以上形成してもよい。なお、フレーム70は、その外周面を焼きばめや溶接等によって密閉容器10の内周面に固定するとよい。
駆動部30は、クランクシャフト40に固定されたロータ(回転子)31と、密閉容器10に固定されたステータ(固定子)32と、駆動軸であるクランクシャフト40とで構成されている。ロータ31は、クランクシャフト40に固定され、ステータ32への通電が開始することにより回転駆動し、クランクシャフト40を回転させるようになっている。また、ステータ32の外周面は焼きばめ等により密閉容器10に固定されている。すなわち、ロータ31及びステータ32で電動機を構成しているのである。
クランクシャフト40は、作用するガス荷重に対し、許容撓み量を確保できる剛性をもち、切削性が良好であって、低コスト化できる材料を選定して構成するとよい。クランクシャフト40の上端部は、旋回スクロール50の旋回スクロールボス部53と回転自在に嵌合する偏心ピン部41が形成されている。クランクシャフト40のブッシュ73及び駆動ブッシュ95の内周面と接する部分には、クラウニング加工が施されているものとする。また、クランクシャフト40の内部には、上端面まで連通している給油流路42が形成されている。この給油流路42は、油だめ11に貯留してある冷凍機油1の流路となるものである。
油だめ11に溜まっている冷凍機油1は、クランクシャフト40の回転に伴い、冷凍機油1を吸い上げて給油流路42を流れて圧縮部20に給油されるようになっている。給油流路42は、フレーム70の主軸受部72に給油するため、主軸受部72の高さ位置で分岐し、第1給油孔44を形成している。また、給油流路42は、揺動軸受部94に給油するため、旋回スクロールボス部53の高さ位置で分岐し、第2給油孔45を形成している。
旋回スクロール50と固定スクロール60との間には、旋回スクロール50の偏心旋回運動中における自転運動を阻止するためのオルダムリング80が配設されている。オルダムリング80は、リング部83と、旋回スクロール50側の2つの突起部81と、固定スクロール60側の2つの突起部82とで構成されている。このオルダムリング80は、旋回スクロール50と固定スクロール60との間に配設され、旋回スクロール50の自転運動を阻止するとともに、公転旋回運動を可能とする機能を果たすようになっている。つまり、オルダムリング80は、旋回スクロール50の自転防止機構として機能している。
突起部81は、オルダムリング80のリング部83の旋回スクロール50側に設けられており、オルダムリング80の中心に関して対称位置に対向配置されている。また、突起部82は、オルダムリング80のリング部83の固定スクロール60側に設けられており、オルダムリング80の中心に関して対称位置に対向配置されている。そして、上述したように、旋回スクロール50及び固定スクロール60には、収容溝56及び収容溝66が形成されている。
オルダムリング80は、突起部81が旋回スクロール50の収容溝56に収容(係合)されることによって所定方向(2つの収容溝56を結ぶ直線方向)に往復運動(摺動)することができるようになっている。また、オルダムリング80は、突起部82が固定スクロール60の収容溝66に収容(係合)されることによって所定方向(2つの収容溝66を結ぶ直線方向、つまり収容溝56を結ぶ直線方向と直交する直線方向)に往復運動(摺動)することができるようになっている。
ここで、スクロール圧縮機100の動作について説明する。
電動機を構成するロータ31は、ステータ32が発生する回転磁界からの回転力を受けて回転する。それに伴って、ロータ31に固定されたクランクシャフト40が回転駆動する。旋回スクロール50は、クランクシャフト40の偏心ピン部41に係合されており、旋回スクロール50の自転回転運動がオルダムリング80の自転防止機構によって公転旋回運動に変換される。このクランクシャフト40の回転駆動によって、密閉容器10内のCO2 冷媒ガスが固定スクロール60のラップ部62と旋回スクロール50のラップ部52とにより形成される圧縮室21内へ流れ、吸入過程が開始する。
圧縮室21内にCO2 冷媒ガスが吸入されると、偏心させられた旋回スクロール50の公転旋回運動で、圧縮室21の容積を減少させる圧縮過程へと移行する。つまり、圧縮部20では、旋回スクロール50が公転旋回運動すると、CO2 冷媒ガスが吸入口となる旋回スクロール50のラップ部52及び固定スクロール60のラップ部62の最外周開口部から取り込まれて、旋回スクロール50の回転とともに徐々に圧縮されながら中心部に向かうようになっている。なお、冷凍サイクルを循環してきた低圧状態のCO2 冷媒は、吸入側配管12から密閉容器10内に流入するようになっている。
この圧縮過程では、圧縮室21内のCO2 冷媒の圧力が上昇する。このガス荷重及び旋回運動に伴う遠心力が、旋回軸受部90及び主軸受部72に作用する。このとき、旋回スクロール50には、軸方向のガス荷重が作用するため、旋回スクロール50のスラスト面55に設けた鉛青銅系もしくは青銅系の第1スラスト軸受部材91は、第2スラスト軸受部材92に押付けられて摺動する。スクロール圧縮機100では作動冷媒に二酸化炭素を用いているので、動作圧及び第2スラスト軸受部材92で受ける荷重(以後、スラスト荷重と称する)が高くなるが、オルダムリング80を固定スクロール60と旋回スクロール50との間に配設しているため、スラスト面55側を有効利用できる。
そして、圧縮室21で圧縮されたCO2 冷媒ガスは、吐出過程に移行する。つまり、CO2 冷媒ガスは、固定スクロール60の吐出ポート63を通過し、吐出空間15を経由してからスクロール圧縮機100の外部へと吐出されるのである。吐出空間15に連通直後の圧縮室21内の圧力が吐出空間15内の圧力より低い場合には、逆流が生じ、吐出空間15内から圧縮室21内にCO2 冷媒が流入し、圧縮室21内の圧力が上昇する。吐出空間15に連通直後の圧縮室21内の圧力と吐出空間15内の圧力との差圧が増大すると、径方向やスラスト方向のガス荷重変動が拡大する。CO2 冷媒においては、そのガス荷重変動の平均荷重レベルが高いが、その変動レベルも、従来冷媒より大幅に増大する。その後、ステータ32への通電を停止するとスクロール圧縮機100は停止する。
次に、冷凍機油1の流れについて説明する。
密閉容器10の油だめ11に貯留されている冷凍機油1は、クランクシャフト40が回転すると図示省略のポンプによってクランクシャフト40の給油流路42内を汲み上げられる。そして、フレーム70の主軸受部72の高さ位置でクランクシャフト40の径方向に設けられた第1給油孔44と、クランクシャフト40の上端面側とに分流する。第1給油孔44に流入した冷凍機油1は、フレーム70の主軸受部72に給油され、主軸受部72を潤滑する。
クランクシャフト40の上端面側に流入した冷凍機油1は、旋回スクロールボス部53の高さ位置でクランクシャフト40の径方向に設けられた第2給油孔45と、クランクシャフト40の上端面側とに分流する。第2給油孔45に流入した冷凍機油1は、揺動軸受部94に給油され、揺動軸受部94を潤滑し、揺動軸受部94の下方からフレーム70の内周を流れて、フレーム70の内側下端面74へと流れ落ちる。また、第2スラスト軸受部材92には設けた油流路93が形成されているので、冷凍機油1が油流路93を下側から上側へと流れてスラスト面55と第1スラスト軸受部材91との摺動を潤滑する。
クランクシャフト40の上端面側へ分流した冷凍機油1を、旋回スクロール50の公転旋回運動に伴い旋回スクロール50のラップ部52側表面の外周へも流れるようにしておけば、旋回スクロール50とオルダムリング80のリング部83との摺動をも潤滑することが可能になる。その後、冷凍機油1は、排油穴71を経由して油だめ11と戻るようになっている。なお、旋回スクロール50とオルダムリング80のリング部83との潤滑は、CO2 冷媒中に含有されている冷凍機油1で行われてもいる。
以上のように、スクロール圧縮機100では、CO2 のような動作圧の高い冷媒に対し、窒化処理した駆動ブッシュ95とカーボンバイメタルを適用した揺動軸受部94とを組み合わせるとともに、軸受隙間δ1 の最適値を設定しているため、揺動軸受部94の耐摩耗性及び耐焼付性が向上することになる。また、表面処理の対象を駆動ブッシュ95のみとするため、クランクシャフト40の材料の設計自由度を高めることができ、低コスト化設計が可能になる。
さらに、駆動ブッシュ95の内面の表面硬度をも高く設定するため、従来適用していた駆動ブッシュプレートを不要化でき、構造の簡素化を実現することができる。スラスト荷重も同様に増大するが、オルダムリング80を固定スクロール60と旋回スクロール50との間に配置し、スラスト面圧を低減するとともに、第1スラスト軸受部材91に鉛青銅系もしくは青銅系材料を適用するため、旋回軸受部90での焼き付き性を向上することが可能になる。なお、実施の形態では、スクロール式流体機械の一例としてスクロール圧縮機100について説明したが、他のスクロール式流体機械、たとえばポンプ等にも適用することができる。
実施の形態に係るスクロール圧縮機の断面構成を示す縦断面図である。 スクロール圧縮機の要部を拡大した状態を示す拡大縦断面図である。 圧縮部を分解した状態を示す分解図である。 ジャーナル軸受部及び主軸受部を拡大して示す拡大縦断面図である。
符号の説明
1 冷凍機油、10 密閉容器、11 油だめ、12 吸入側配管、13 吐出側配管、15 吐出空間、20 圧縮部、21 圧縮室、30 駆動部、31 ロータ、32 ステータ、40 クランクシャフト、41 偏心ピン部、42 給油流路、44 第1給油孔、45 第2給油孔、50 旋回スクロール、51 鏡板、52 ラップ部、53 旋回スクロールボス部、55 スラスト面、56 収容溝、60 固定スクロール、61 鏡板、62 ラップ部、63 吐出ポート、66 収容溝、70 フレーム、71 排油穴、72 主軸受部、73 ブッシュ、74 内側下端面、80 オルダムリング、81 突起部、82 突起部、83 リング部、90 旋回軸受部、91 第1スラスト軸受部材、92 第2スラスト軸受部材、93 油流路、94 揺動軸受部、95 駆動ブッシュ、100 スクロール圧縮機。

Claims (7)

  1. 鏡板の一方の面に渦巻状突起を立設した固定スクロールと、
    鏡板の一方の面に渦巻状突起を立設し、他方の面における略中心部に旋回スクロールボス部を形成し、この渦巻状突起が前記固定スクロールの前記渦巻状突起と噛み合わされて密閉した圧縮室を形成する旋回スクロールと、
    鉛青銅系もしくは青銅系の材料で構成され、前記旋回スクロールの他方の面と摺動するスラスト軸受部材と、
    前記旋回スクロールの自転運動を阻止するためのオルダムリングと、
    前記旋回スクロールボス部に係合する偏心ピン部を上端面に形成したクランクシャフトと、
    前記偏心ピン部を、第1ブッシュを介して軸支するジャーナル軸受部と、
    前記クランクシャフトを、第2ブッシュを介して軸支する主軸受部と、
    前記主軸受部を設けるための貫通孔が略中心部に形成され、主軸受部及び前記スラスト軸受部材を保持するフレームとを有し、
    前記ジャーナル軸受部及び前記主軸受部を鋼板の表面上に形成された焼結層にカーボンを含む樹脂を含浸させたカーボンバイメタルを適用して構成し、
    前記第1ブッシュ及び前記第2ブッシュに表面改質処理を施した
    ことを特徴とするスクロール式流体機械。
  2. 前記ジャーナル軸受部の内周と前記第1ブッシュの外周との間に形成される軸受隙間δ1 と前記ジャーナル軸受部の内径D1 との比の最小値を1.8/1000以上に設定する
    ことを特徴とする請求項1に記載のスクロール式流体機械。
  3. 前記主軸受部の内周と前記第2ブッシュの外周との間に形成される軸受隙間δ2 と前記主軸受部の内径D2 との比の最小値を2.2/1000以上に設定する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のスクロール式流体機械。
  4. 前記第1ブッシュ及び前記第2ブッシュの表面に窒化処理が施されている
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスクロール式流体機械。
  5. 前記第1ブッシュ及び前記第2ブッシュの表面硬度がHv1000以上である
    ことを特徴とする請求項4に記載のスクロール式流体機械。
  6. 前記クランクシャフトの前記第1ブッシュ及び前記第2ブッシュの内周面と接する部分がクラウニング形状である
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のスクロール式流体機械。
  7. 作動冷媒として二酸化炭素を用いた
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のスクロール式流体機械。
JP2007245212A 2007-09-21 2007-09-21 スクロール式流体機械 Pending JP2009074477A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007245212A JP2009074477A (ja) 2007-09-21 2007-09-21 スクロール式流体機械

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007245212A JP2009074477A (ja) 2007-09-21 2007-09-21 スクロール式流体機械

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009074477A true JP2009074477A (ja) 2009-04-09

Family

ID=40609685

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007245212A Pending JP2009074477A (ja) 2007-09-21 2007-09-21 スクロール式流体機械

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009074477A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114616394A (zh) * 2019-11-07 2022-06-10 三菱电机株式会社 涡旋式压缩机和制冷循环装置

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08121483A (ja) * 1994-10-20 1996-05-14 Senju Metal Ind Co Ltd 軸受材料
JPH09195956A (ja) * 1997-03-07 1997-07-29 Mitsubishi Electric Corp スクロール圧縮機
JPH1113660A (ja) * 1997-06-19 1999-01-19 Daikin Ind Ltd スクロール圧縮機
JP2001289169A (ja) * 2000-04-05 2001-10-19 Matsushita Electric Ind Co Ltd 圧縮機
JP2002147354A (ja) * 2000-11-14 2002-05-22 Matsushita Electric Ind Co Ltd 圧縮機

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08121483A (ja) * 1994-10-20 1996-05-14 Senju Metal Ind Co Ltd 軸受材料
JPH09195956A (ja) * 1997-03-07 1997-07-29 Mitsubishi Electric Corp スクロール圧縮機
JPH1113660A (ja) * 1997-06-19 1999-01-19 Daikin Ind Ltd スクロール圧縮機
JP2001289169A (ja) * 2000-04-05 2001-10-19 Matsushita Electric Ind Co Ltd 圧縮機
JP2002147354A (ja) * 2000-11-14 2002-05-22 Matsushita Electric Ind Co Ltd 圧縮機

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114616394A (zh) * 2019-11-07 2022-06-10 三菱电机株式会社 涡旋式压缩机和制冷循环装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4775494B2 (ja) スクロール圧縮機
JP2009097486A (ja) 圧縮機
JP6554926B2 (ja) スクロール圧縮機
JP6351749B2 (ja) スクロール圧縮機
JP2008138572A (ja) スクロール式流体機械
JP6745913B2 (ja) 圧縮機
JP6104396B2 (ja) スクロール圧縮機
JP2001041162A (ja) 容積形流体機械
JP4749136B2 (ja) スクロール圧縮機
US11434908B2 (en) Compressor having lubrication structure for thrust surface
JP6328322B2 (ja) すべり軸受を有する圧縮機
JP2009074477A (ja) スクロール式流体機械
JP5864883B2 (ja) スクロール圧縮機
JP6611648B2 (ja) スクロール圧縮機
JP2016156297A (ja) スクロール圧縮機
JP4811200B2 (ja) 電動圧縮機
JP4888427B2 (ja) 圧縮機
JP3574904B2 (ja) 密閉式容積形圧縮機
JP2013204488A (ja) スクロール式流体機械
JP3858580B2 (ja) 密閉型電動圧縮機
JP4797548B2 (ja) 密閉型電動圧縮機
KR102124491B1 (ko) 압축기
JP5147489B2 (ja) スクロール圧縮機
US10816000B2 (en) Compressor having centrifugation structure for supplying oil
JP4301122B2 (ja) スクロール圧縮機

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100118

A977 Report on retrieval

Effective date: 20111031

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20111101

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20111227

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120515