JP2013032557A - 金属の表面処理方法と表面処理された杵又は臼 - Google Patents

金属の表面処理方法と表面処理された杵又は臼 Download PDF

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Abstract

【課題】所定の膜厚の合金層を、水平な平面のみでなく湾曲面にも確実に設ける。種々の金属からなる合金層をピンホールなく安定して設ける。金属粉末の付着にバインダを使用しながら、短時間に乾燥して、種々の母材金属の表面に種々の金属の合金層を速やかに能率よく設ける。
【解決手段】金属の表面処理方法は、母材金属1の表面に薄膜7を配置し、かつ、この薄膜7と母材金属1との間に、母材金属1と異なる金属粉末2をバインダ6で付着して金属粉末層3を設ける仮膜工程と、この仮膜工程の後、薄膜7の表面に、薄膜7を溶融することなくエネルギービーム4を照射してバインダ6を乾燥させる乾燥工程と、この乾燥工程でバインダ6を乾燥させた後、さらに、薄膜7の表面にエネルギービーム4を照射して、薄膜7を溶融し、あるいは溶融することなく、金属粉末2を溶融して母材金属1の表面に合金層5を設けるビーム照射工程とからなる。
【選択図】図4

Description

本発明は、母材金属の表面に異種金属の合金層を設ける表面処理方法とこの方法で表面処理された杵又は臼に関し、とくに、粉末状の製剤を打錠して錠剤にする杵又は臼の打錠表面の処理に最適な金属の表面処理方法とこの方法で表面処理された杵又は臼に関する。
金属は、表面処理をして、その表面状態を用途に最適な状態に処理している。たとえば、表面を硬化し、あるいは摩擦係数を小さくして耐摩耗性を向上し、さらに、表面に絶縁層を設けて金属表面を絶縁している。金属の表面処理方法として、メッキ、溶射、浸炭等の方法が開発されている。メッキは、種々の薬品を使用することから廃液処理に手間がかかる欠点がある。また、溶射は、金属粉末を溶融状態に加熱して母材金属の表面に吹き付けるので装置が大がかりとなり、簡単に表面処理するのが難しい。また、浸炭は、特定の元素しか母材金属に浸透できず、また処理にも手間がかかる欠点がある。
これらの表面処理の欠点を解消する方法として、バインダと金属粉末とを混合し、これを母材金属の表面に塗布して金属粉末層を設け、金属粉末層に電子ビームを照射して金属粉末を母材金属に合金化する方法が開発されている。電子ビームを照射する工程は、真空中での処理であるので、有機バインダを用いるものでは有機バインダが電子ビームで加熱されると大量のガスとなって真空度を低下させるため不適当である。水ガラスなどの無機バインダが好ましいが、この方法でもバインダを硬化させるには長時間の乾燥が必要であるという欠点がある。
電子ビームを照射する工程に先立って、バインダを乾燥炉等で乾燥することで、電子ビームを照射する工程においてガスの発生を防止できる。しかしながら、この方法は、バインダの乾燥に極めて時間がかかる欠点がある。とくに、バインダは表面から乾燥されるので、母材金属との界面の乾燥に極めて長い時間がかかる。母材金属との界面で乾燥していないバインダは、金属粉末を確実に母材金属に結合しておらず、この状態で電子ビームを照射すると、母材金属に確実に結合していない金属粉末が電子ビームで飛散してしまう弊害がある。このため、バインダの乾燥に極めて長い時間を必要とする欠点がある。
この欠点を解消するために、バインダを使用することなく、母材金属の表面に金属粉末を載置する状態で、その金属粉末の上面を、合金化母材と同一または類似の材質からなる薄板で覆い、真空雰囲気中において電子ビームを薄板の上から照射して合金層を設ける方法が開発されている。(特許文献1参照)
特開2002−194562号公報
特許文献1の方法は、金属粉末をバインダで付着することなく、これを母材金属の表面に載置し、その表面を薄板で覆って電子ビームを照射するので、バインダを乾燥させる必要がない。このため、バインダからのガス発生を阻止しながら、金属粉末を母材金属に合金層として溶融できる。しかしながら、この方法は、バインダを使用しないで金属粉末を母材金属の表面に載置するので、金属粉末を均一な厚さで、しかも、特定の厚さにコントロールしながら載置するのが難しく、さらに、バインダで結合されない金属粉末は、水平な平面状でない母材金属の上面、たとえば、薬剤を成形する杵のように、表面を湾曲面とする母材金属には、均一な厚さに載置できない欠点がある。さらに、この方法は、金属粉末の表面に薄板を密着させて電子ビームを照射するが、湾曲面の凹部に薄板を密着させるのも極めて難しく、表面を平面状としない母材金属の表面処理を効果的にできない欠点がある。
さらに、特許文献1の方法は、母材金属の表面にバインダで付着しない金属粉末を薄板で覆う状態で、薄板に電子ビームを照射するので、薄板と金属粉末との融点に制約を受け、薄板よりも融点の高い金属粉末を合金層にできない欠点がある。それは、金属粉末の融点が薄板よりも高いと、薄板が溶融された状態で金属粉末が溶融されず、電子ビームを照射する状態において、金属粉末の飛散を薄板で阻止できないからである。このため、この方法は、合金層の金属成分に制約を受け、種々の金属の合金層を実現できない欠点もある。
電子ビームを照射する工程で金属粉末が花火のように飛散されると、合金層を安定して所定の膜厚にできず、さらに合金層には無数のピンホールができて母材金属の表面を露出させて腐食させる等の欠点がある。
本発明は、さらにこの欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、所定の膜厚の合金層を、水平な平面のみでなく湾曲面にも確実に設けることができ、さらに種々の金属からなる合金層をピンホールなく安定して設けることができ、さらにまた、金属粉末の付着にバインダを使用するにもかかわらず、極めて短時間に乾燥して、種々の母材金属の表面に種々の金属の合金層を速やかに能率よく設けることができる金属の表面処理方法と、この方法で表面処理された杵又は臼を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明の金属の表面処理方法は、母材金属1の表面に薄膜7を配置し、かつ、この薄膜7と母材金属1との間に、母材金属1と異なる金属粉末2をバインダ6で付着して金属粉末層3を設ける仮膜工程と、この仮膜工程の後、薄膜7の表面に、薄膜7を溶融することなくエネルギービーム4を照射してバインダ6を乾燥させる乾燥工程と、この乾燥工程でバインダ6を乾燥させた後、さらに、薄膜7の表面にエネルギービーム4を照射して、薄膜7を溶融し、あるいは溶融することなく、金属粉末2を溶融して母材金属1の表面に合金層5を設けるビーム照射工程とからなる。
以上の金属の表面処理方法は、金属粉末の付着にバインダを使用することで、バインダを使用する特徴を実現しながら、バインダを使用する欠点を解消して、母材金属の表面に合金層を形成できる特徴、すなわち、所定の膜厚の合金層を、水平な平面のみでなく湾曲面にも確実に設けることができ、さらに種々の金属からなる合金層をピンホールなく安定して設けることができる特徴がある。さらにまた、以上の表面処理方法は、金属粉末の付着にバインダを使用するにもかかわらず、バインダを極めて短時間に乾燥して、種々の母材金属の表面に種々の金属の合金層を速やかに能率よく設けることができる特徴も実現する。すなわち、以上の表面処理方法は、金属粉末層の乾燥工程において、金属粉末層の表面を薄膜で覆い、この薄膜の表面にエネルギービームを照射してバインダを乾燥させるので、わずかに数十秒と、従来の方法とは比較にならない短時間にバインダを乾燥して、金属粉末を母材金属や薄膜の表面に確実に結合できる。とくに、以上の方法は、金属粉末層と母材金属の界面、あるいは金属粉末層と薄膜との界面までも、エネルギービームを照射する時間帯であるほんの数十秒の間の極めて短時間に乾燥できる。薄膜を介してエネルギービームが照射されるバインダは、照射されるエネルギービームのエネルギーによって、殆ど瞬時に金属粉末層の界面まで乾燥されるからである。従来の方法、すなわち金属粉末層を設けた母材金属を乾燥炉で加熱して乾燥させる方法は、表面から乾燥されるので、母材金属との界面まで確実に乾燥させるのには数時間も必要とするのに対し、以上の方法は、わずか数十秒と比較にならない極めて短時間に、金属粉末層の全体を確実に乾燥して、金属粉末を確実に母材金属や薄膜に結合する。以上の表面処理方法は、バインダを乾燥させる状態で、金属粉末層の表面を薄膜で覆って、この薄膜にエネルギービームを照射して、金属粉末を溶融して母材金属との合金層を形成する。合金層となる金属粉末層は、バインダで強固に母材金属や薄膜の表面に結合されて、所定の膜厚にコントロールされているので、これを薄膜を介して照射されるエネルギービームで溶融することで、母材金属の表面に所定の膜厚の合金層を安定して設けることができる。とくに、エネルギービームを照射する工程で、金属粉末の飛散は、薄膜で阻止されると共に、さらにバインダで強固に結合されていることによっても防止される。このため、母材金属の表面に設けられる合金層は、ピンホールなどが発生せず、均一な膜厚に安定して設けることができる。
さらにまた、以上の方法は、金属粉末をバインダで母材金属や薄膜に付着する状態で、その表面を薄膜でカバーするので、薄膜で簡単にその表面を覆うことができる。また、従来のように、薄膜を金属粉末層の表面に密着させて金属粉末の飛散や移動を阻止するように保護する必要がない。したがって、薄膜を金属粉末層に必ずしも密着する状態で覆う必要がない。このため、金属粉末層の表面を簡単に薄膜で覆うことができ、さらに母材金属の表面に設けている湾曲面などの凹部をも薄膜で簡単に覆って、安定して合金層を設けることができる。
ちなみに、表面処理されない合金工具鋼に硫酸銅の飽和溶液を塗布すると2〜3秒で赤錆が発生するが、本発明の実施例の方法で表面処理された合金工具鋼では同じ条件で24時間放置後も、まったく腐食が発生しなかった。また、実際にアセトアミノフェン50%、乳糖33%、コーンスターチ14%、L−HPC(低置換度のヒドロキシプロピルセルロース)3%で処方した打錠粉末で錠剤を成形した場合、硬質クロームメッキされた杵では、杵打錠面に付着が発生したが、これに対して、本発明の実施例の方法で試作した杵は、打錠面への付着を見いだせなかった。
金属の表面処理方法は、仮膜工程において、金属粉末層3を母材金属1の表面に設けることができる。
この方法は、金属粉末層を簡単に設けることができる。
金属の表面処理方法は、仮膜工程において、金属粉末層3を薄膜7の母材金属1との対向面7Aに設けることができる。
本発明の金属の表面処理方法は、仮膜工程において、金属粉末層3を母材金属1の表面と、薄膜7の母材金属1との対向面7Aとに設けることができる。
本発明の金属の表面処理方法は、薄膜7に、ステンレス、アルミニウム、チタン、ニッケル、タンタル、ニオブ、モリブデン、ジルコニウム、およびこれ等の合金の何れかからなる薄膜を使用することができる。
以上の金属の表面処理方法は、薄膜に種々の薄膜を使用することで、安価なステンレス薄膜を使用しながら、照射されるエネルギービームによる変質がなく、安定してエネルギービームを照射できる特徴がある。
本発明の金属の表面処理方法は、薄膜7の厚さを10μm以上とすることができる。さらに、本発明の金属の表面処理方法は、薄膜7の厚さを1mm以下とすることができる。
本発明の金属の表面処理方法は、仮膜工程において、バインダ6と金属粉末2を混合してゲル状の混合体とし、この混合体を母材金属1の表面に塗布して、金属粉末層3を設けることができる。
以上の表面処理方法は、金属粉末とバインダとをゲル状の混合体として母材金属の表面に付着するので、刷毛などで簡単に塗布できる。
本発明の金属の表面処理方法は、バインダ6に増粘剤を添加することができる。
以上の表面処理方法は、バインダに増粘剤を使用するので、増粘剤の添加量でゲル状の混合体の粘度を自由にコントロールして、所定の膜厚に塗布できる。
本発明の金属の表面処理方法は、仮膜工程において、使用される金属粉末2が、W、C、B、Ti、Ni、Cr、Si、Mo、Ag、Au、Ba、Be、Ca、Co、Cu、Fe、Mg、Mn、Nb、Pt、Ta、V、F、S、及びこれ等の金属のフッ化物、硫化物、窒化物、炭化物、ホウ化物の少なくとも何れかを含むことができる。
本発明の金属の表面処理方法は、仮膜工程において、使用される金属粉末2が、たとえば、フッ化ナトリウム、硫化ナトリウム、炭化ナトリウム、ホウ化ナトリウム、フッ化カリウム、硫化カリウム、炭化カリウム、ホウ化カリウム、ステアリン酸マグネシウム、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、窒化硼素のいずれかを含むことができる。
本発明の金属の表面処理方法は、仮膜工程において使用される金属粉末2を、複数金属の合金と金属を含む化合物とすることができる。
本発明の金属の表面処理方法は、仮膜工程において使用する金属粉末2の平均粒径を0.03μm以上とすることができる。さらに、本発明の金属の表面処理方法は、仮膜工程において使用する金属粉末2の平均粒径を500μm以下とすることができる。
本発明の金属の表面処理方法は、母材金属1を、Fe、Al、Cu、鉄合金、アルミ合金、銅合金、Ag、Au、Ba、Ca、Co、Mg、Mn、Ni、Nb、Pt、Ta、Ti、Vを含む金属、銀合金、金合金、カルシウム合金、コバルト合金、クロム合金、マグネシウム合金、マンガン合金、ニッケル合金、ニオブ合金、タンタル合金、チタン合金、バナジウム合金、焼結金属、F、S、及びこれ等の金属のフッ化物、硫化物、窒化物、炭化物、ホウ化物のいずれかとすることができる。
本発明の金属の表面処理方法は、母材金属1が、錠剤を打錠する杵又は臼で、打錠表面に合金層5を設けることができる。
本発明の杵又は臼は、以上の表面処理方法で打錠表面に合金層5を設けている。
この杵又は臼は、所定の膜厚の合金層を、水平な平面のみでなく湾曲している打錠表面にも確実に設けることができる。また、打錠表面には種々の金属からなる合金層をピンホールなく安定して設けることができる。さらにまた、金属粉末の付着にバインダを使用するにもかかわらず、極めて短時間に乾燥して、打錠表面に種々の金属の合金層を速やかに能率よく設けることができる。
本発明の一実施例にかかる金属の表面処理方法の仮膜工程を示す一部拡大断面図である。 本発明の一実施例にかかる錠剤を打錠する杵又は臼の一部拡大断面図である。 本発明の一実施例にかかる金属の表面処理方法の乾燥工程とビーム照射工程に使用する電子線照射装置の一例を示す概略図である。 本発明の一実施例にかかる金属の表面処理方法で母材金属の表面に合金層を設ける状態を示す概略図である。 本発明の他の実施例にかかる金属の表面処理方法で母材金属の表面に合金層を設ける状態を示す概略図である。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための金属の表面処理方法を例示するものであって、本発明は金属の表面処理方法を以下のものに特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
本発明の金属の表面処理方法は、図1の仮膜工程で、母材金属1の表面に薄膜7を配置してその表面をカバーすると共に、薄膜7と母材金属1との間に金属粉末層3を設け、次の乾燥工程で金属粉末層3を乾燥した後、ビーム照射工程において、図3に示すように、薄膜7の表面にエネルギービーム4を照射して、図4に示すように、母材金属1の表面に合金層5を設ける。本発明の金属の表面処理方法は、乾燥工程において、母材金属1の表面に金属粉末層3を設ける方法と、薄膜7の母材金属1との対向面7Aに金属粉末層3を設ける方法と、母材金属1と薄膜7の両方に金属粉末層3を設ける方法とがある。母材金属1の表面に設けられ、あるいは薄膜7の母材金属1との対向面7Aに設けられた金属粉末層3は、母材金属1と薄膜7との間に配設され、薄膜7に照射されるエネルギービーム4で溶融されて母材金属1と合金層5を形成する。
本発明の金属の表面処理方法は、母材金属1の表面に合金層5を設けて、この合金層5で母材金属1の表面を改質するものである。以下、打錠機に使用する杵又は臼の表面処理方法を詳述する。ただし、本発明の表面処理方法は、表面処理する金属の用途を杵又は臼には特定しない。
図2は、打錠機を示している。この打錠機は、上下一対の杵31と臼32で薬剤粉末を加圧成形して錠剤に加工する。この打錠機は、臼32の中心に、上下に貫通して円柱状の臼孔33を設けている。この臼孔33に下から下杵31Bを、上から上杵31Aを挿入している。下杵31Bの上下位置を調整して錠剤を成形する臼孔33内の容積を所定の大きさに設定する。下杵31Bを所定の位置に配置して、臼孔33に薬剤粉末が充填される。この状態で、上杵31Aが臼孔33に挿入され、これが薬剤粉末を圧縮して錠剤を成形する。その後、下杵31Bを上昇させて、成形された錠剤を臼孔33から取り出す。
上杵31Aが薬剤粉末をプレスする打錠圧は、たとえば1〜30kN、好ましくは5〜30kN、さらに好ましくは約8〜25kNである。臼孔33の内径は、たとえば3mm〜20mm、好ましくは約3mm〜13mm、さらに好ましくは4mm〜10mmである。臼孔33の形状は円柱状、オーバルまたはオブロングなどの異形とすることもできる。下杵31Bと上杵31Aは、臼孔33に挿入される先端部分を、臼孔33の内径にほぼ等しく、正確にはわずかに小さい柱状として、臼孔33にスムーズに挿入でき、かつ、臼孔33との間から薬剤粉末を漏らさないで成形できるようにしている。
杵31は、図2の拡大断面図に示すように、薬剤粉末を圧縮する打錠表面34に合金層5からなる打錠表面層を設けている。打錠表面層の合金層5は、打錠表面34に薬剤粉末が付着するのを防止すると共に、耐久性を向上する。本発明の杵又は臼の打錠表面の処理方法は、以下に示す方法で杵の打錠表面に合金層5を設ける。
杵や臼に使用する母材金属1は、たとえばFe、Al、Cu、鉄合金、アルミ合金、銅合金、Ag、Au、Ba、Ca、Co、Mg、Mn、Ni、Nb、Pt、Ta、Ti、Vを含む金属、銀合金、金合金、カルシウム合金、コバルト合金、クロム合金、マグネシウム合金、マンガン合金、ニッケル合金、ニオブ合金、タンタル合金、チタン合金、バナジウム合金、焼結金属、F、S、金属のフッ化物、金属の硫化物、金属の窒化物、金属の炭化物、金属のホウ化物等が使用される。金属のフッ化物、金属の硫化物、金属の窒化物、金属の炭化物、金属のホウ化物からなる母材金属は、このましくは、Fe、Al、Cu、Ag、Au、Ba、Ca、Co、Mg、Mn、Ni、Nb、Pt、Ta、Ti、V等の金属のフッ化物、硫化物、窒化物、炭化物、ホウ化物が使用される。
金属粉末層3の金属粉末2は、母材金属1表面の摩擦抵抗を小さくし、さらに耐摩耗性を向上するために、フッ化ナトリウム、硫化ナトリウム、炭化ナトリウム、ホウ化ナトリウム、フッ化カリウム、硫化カリウム、炭化カリウム、ホウ化カリウム、ステアリン酸マグネシウム等の有機酸マグネシウムの何れかを含むものを使用する。金属粉末層3の金属粉末2は、複数の異なる金属粉末2を混合したものを使用することもできる。さらに、金属粉末層3の金属粉末2は、母材金属1より融点の低い金属粒を使用し、また、反対に母材金属1よりも融点の高い金属粒を使用することもできる。さらに、母材金属1よりも融点の低い金属と融点の高い金属の両方を混合したものを使用することもできる。
さらに、金属粉末層3を形成する金属粉末2には、Na、K、W、C、B、Ti、Ni、Cr、Si、Mo、Ag、Au、Ba、Be、Ca、Co、Cu、Fe、Mg、Mn、Nb、Pt、Ta、V、F、S、これ等の金属のフッ化物、硫化物、窒化物、炭化物、ホウ化物の少なくとも何れかを含むものを使用することもできる。金属粉末層3の金属粉末2は、複数の異なる金属粉末2を混合したものを使用することもできる。さらに、金属粉末2は、母材金属1より融点の低い金属粒を使用し、また、反対に母材金属1よりも融点の高い金属粒を使用することもできる。さらに、母材金属1よりも融点の低い金属と融点の高い金属の両方を混合したものを使用することもできる。母材金属1表面の摩擦抵抗を小さくし、さらに耐摩耗性を向上するには、たとえば金属粉末として、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、窒化硼素、ステアリン酸マグネシウム、フッ化ナトリウム、硫化ナトリウム、炭化ナトリウム、ホウ化ナトリウム、フッ化カリウム、硫化カリウム、炭化カリウム、ホウ化カリウムのいずれかを使用し、あるいはこれ等の混合物を使用する。
金属粉末2には、平均粒径を0.03μmないし500μm、好ましくは0.1μmないし50μm、さらに好ましくは0.3μmないし10μmとする母材金属1とは異なる金属粉末2を使用する。金属粉末は、平均粒径の大きい厚い金属粉末を使用して、厚い金属粉末層を設けることができる。ただ、金属粉末は、バインダに混合されて母材金属の表面に塗布されるので、平均粒径の小さい金属粉末を使用して、厚い金属粉末層を設けることもできる。微細な平均粒径の金属粉末は、合金層の表面を平滑にする働きがある。ただ、金属粉末をエネルギービームで溶融して合金層とすることで、合金層の表面を平滑にすることもできる。したがって、融点の低い金属粉末は、平均粒径を大きくして表面を平滑面にすることもできる。
金属粉末2は、仮膜工程においてバインダ6に混合されて、母材金属1の表面に付着され、あるいは薄膜7の母材金属1との対向面7Aに付着され、あるいは又、母材金属1と薄膜7の両方の表面に付着されて、母材金属1と薄膜7との間に金属粉末層3を設ける。金属粉末層3は、金属粉末2とバインダ6とを混合して、これを母材金属1の表面や薄膜7の表面に塗布して設けられる。バインダ6は、水や有機溶媒などの溶媒や接着剤が使用できる。バインダ6に水などの粘度の低い溶媒を使用するには、増粘剤を添加して、ゲル化させることで安定して簡単に金属粉末層3を設けることができる。増粘剤を添加してバインダ6の粘度を調整することで、母材金属1や薄膜7の表面に所定の厚さに簡単に塗布できるからである。ただ、バインダには必ずしも増粘剤を添加する必要はない。
増粘剤は、天然系およびその誘導体や合成系のものが使用できる。天然系の増粘剤は、デンプン、アルギン酸、寒天、多糖類、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、アルブミン、カゼイン等が使用できる。また、合成系の増粘剤として、ビニル系,ビニリデン系化合物、ポリエステル系化合物、ポリアミド系化合物、ポリエーテル系化合物、ポリグリコール系化合物、ポリビニルアルコール系化合物、ポリアルキレンオキサイド系化合物、ポリアクリル酸系化合物等が使用できる。
バインダ6は、水などの溶媒に代わって接着剤も使用できる。接着剤のバインダ6は、水溶性又は有機溶媒溶解性のものであって、たとえば、糖類やセルローズ類を使用する。さらに、具体的には、バインダ6には、アラビアゴム、トラガント、ガラヤゴム、カラメル、デンプン、可溶性デンプン、デキストリン、αデンプン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、ローカストピーンガム、カゼインなどであり、半合成品では、リグニンスルホン酸塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチル化デンプンナトリウム塩、ヒドロキシエチル化デンプン、デンプンリン酸エステルナトリウム塩、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、アセチルセルロース、エステルガムのいずれかからなる天然物、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム塩、水溶性共重合体、部分けん化酢酸ビニルとビニルエーテルの共重合体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸及びそのエステルまたは塩の重合体または共重合体、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、クマロン樹脂、石油樹脂、フェノール樹脂のいずれかからなる合成物のいずれかを単独であるいは複数種を混合したものを使用する。さらに、バインダ6には、紫外線を照射して硬化する照射硬化樹脂を使用することもできる。
バインダ6と金属粉末2の混合体は、ゲル状の状態における粘度を調整して、金属粉末層3の膜厚をコントロールすることができる。混合体の粘度は、添加する増粘剤の種類や添加量で調整し、あるいは使用するバインダ6の種類で調整する。粘度の高いゲル状の混合体は、厚い金属粉末層3を塗布するのに好都合である。また、混合体を塗布する塗膜を厚くして、金属粉末層3の膜厚を厚くすることもできる。ゲル状の混合体の粘度は、バインダ6と金属粉末2との混合比で調整することもできる。
バインダ6は、乾燥工程で乾燥されて、ビーム照射工程で消失される。バインダ6は、エネルギービーム4を照射して金属粉末2を母材金属1との合金層5とするのに先だって、金属粉末2を母材金属1に結合するものである。バインダ6は、エネルギービーム4で消失するが、バインダ6に添加する成分を合金層5に含ませることもできる。
乾燥工程は、薄膜7と母材金属1との間に金属粉末層3を設ける状態で、薄膜7の表面にエネルギービーム4を照射して、金属粉末層3のバインダ6を乾燥させる。乾燥工程は薄膜7をエネルギービーム4で溶融することなく、バインダ6を乾燥させる。エネルギービーム4は電子ビーム又はレーザービームである。電子ビームは、真空中で薄膜7の表面に照射する。乾燥工程は、金属粉末層3の表面を薄膜7で覆うことで、照射されるエネルギービーム4で金属粉末2を花火のように飛散させて消失するのを防止しながら、バインダ6を速やかに乾燥させる。乾燥工程は、母材金属1を真空状態に減圧された密閉チャンバー内に配置してエネルギービーム4を照射することで、バインダ6を真空凍結乾燥状態として速やかに乾燥できる。
金属粉末2は、ビーム照射工程でエネルギービーム4のエネルギーで合金層5となる。ビーム照射工程は、エネルギービーム4のエネルギーで金属粉末2を加熱して母材金属1と結合させて合金層5とする。ビーム照射工程は、エネルギービーム4を薄膜7の表面に照射する。ビーム照射工程は、薄膜7と金属粉末2と母材金属1表面とを溶融して合金層5とすることができる。このビーム照射工程は、照射するエネルギービーム4で薄膜7を溶融するように、エネルギービーム4の強度を調整し、かつ、エネルギービーム4で溶融されるように薄膜7の材質と膜厚を調整する。
ビーム照射工程は、薄膜を溶融することなく、薄膜を介して金属粉末を加熱して、金属粉末と母材金属を溶融して合金層とすることもできる。この方法は、エネルギービームで溶融されない材質や厚さの薄膜を使用し、かつ、エネルギービームのエネルギーを薄膜が溶融しない大きさとする。
さらに、ビーム照射工程では、エネルギービームを等間隔で照射して、合金層の表面に複数列のライン状の凹凸を形成することもできる。たとえば、ビーム照射工程において、0.2mm間隔で、出力の調整されたエネルギービームを照射した場合、断面形状を山形状とする、複数列の凸条を有する合金層を形成できる。この凸条の山の高さは、金属粉末の種類、照射するエネルギービームのエネルギーの大きさや照射時間等により調整が可能である。
ビーム照射工程においても、乾燥された金属粉末層3の表面に薄膜7を配置して、薄膜7の表面にエネルギービーム4を照射するので、エネルギービーム4で金属粉末2を火花のように飛散させるのを防止しながら、母材金属1の表面に合金層5を設けることができる。この方法は、照射されるエネルギービーム4で薄膜7を溶融して薄膜7と金属粉末2の両方を母材金属1との合金層5とし、あるいは薄膜を溶融することなく、金属粉末を母材金属との合金層とすることができる。
乾燥工程とビーム照射工程において、金属粉末層3の表面を覆う薄膜7は、膜厚を約100μmとするステンレスやアルミニウムなどの金属製の薄膜が使用される。ただし、金属製の薄膜は、必ずしもステンレスやアルミニウムとする必要はなく、チタン、ニッケル、タンタル、ニオブ、モリブデン、ジルコニウム、およびこれ等の合金の何れかの金属からなる薄膜も使用できる。乾燥工程に使用される薄膜7は、エネルギービーム4を照射して溶融されないものが使用される。エネルギービーム4で溶融されない薄膜7は、融点の高い金属薄膜を使用し、あるいは厚い金属薄膜を使用して、エネルギービーム4の強度を小さくする。ビーム照射工程に使用される薄膜7は、エネルギービーム4で溶融して合金層5となり、あるいは溶融することなく金属粉末層と母材金属とを溶融して合金層とするものが使用される。エネルギービーム4で溶融される金属薄膜7は、融点の低い金属薄膜7を使用し、あるいはエネルギービーム4を強くして溶融される。
薄膜7は、膜厚を10μm以上、好ましくは30μm以上、さらに好ましくは50μm以上とする。薄膜が薄すぎると、エネルギービームによる金属粉末の飛散を防止するのが難しくなる。反対に薄膜を厚くすると、金属粉末層に照射するエネルギービームのエネルギーを強くする必要があるので、薄膜は1mmよりも薄く、好ましくは500μmよりも薄く、さらに好ましくは300μmよりも薄くする。薄膜7は、間の金属粉末層3を介して母材金属1の表面に接触し、あるいは接近する位置に配置されて、ビーム照射工程で金属粉末層3を被覆する。
図3は、乾燥工程とビーム照射工程に使用する電子線照射装置10を示す。この電子線照射装置10は、薄膜7で表面をカバーしている母材金属1を密閉チャンバー11に入れ、密閉チャンバー11を真空にして、薄膜7を介して金属粉末層3にエネルギービーム4である電子ビーム4Aを照射する。なお、密閉チャンバー11は、目的に応じて窒素ガスなどの気体雰囲気下にしてもよい。乾燥工程における電子ビーム4Aは、薄膜7を溶融することなく、薄膜7を介して金属粉末層3のバインダ6を加熱して乾燥する。ビーム照射工程における電子ビーム4Aは、金属粉末2を母材金属1に結合できる最適なエネルギー密度として、薄膜7の表面に照射される。電子線照射装置10は、ヒーター18を加熱して電子を放射する電子銃12と、電子銃12から放射される電子線を電子ビーム4Aに磁界で集束する集束コイル13と、集束された電子ビーム4Aを磁界で母材金属1の表面に走査する偏向コイル14とを備える。
電子銃12は、ヒーター18が加熱されて熱電子を放出するカソード15と、カソード15から放出される電子の数、すなわち電子ビーム4Aの電流値をコントロールするバイアス電極16と、電子ビーム4Aを加速するアノード17とを備える。カソード15とバイアス電極16は負電圧、アノード17は高電圧の正電圧が電源19から供給される。電子銃12から放射される電子ビーム4Aは、集束コイル13でもって母材金属1の表面に所定の面積のスポットに集束される。さらに、偏向コイル14で電子ビーム4Aを走査して、薄膜7を介して母材金属1の全面に電子ビーム4Aを照射する。
電子ビーム4Aのエネルギーは、アノード17の加速電圧と、バイアス電極16の負電圧による電子ビーム4Aの電流値と、偏向コイル14による走査速度とでコントロールできる。アノード17の加速電圧を高くし、バイアス電極16の負電圧を小さくし、電子ビーム4Aを集束するスポットの面積を小さくし、さらに電子ビーム4Aの走査速度を遅くして、照射領域のエネルギー密度を高くできる。
電子線照射装置10が薄膜7の表面に照射する電子ビーム4Aのエネルギーは、薄膜7の材質と厚さ、金属粉末層3の材質と膜厚、さらに母材金属1の種類により、乾燥工程とビーム照射工程の各々において最適値に設定される。乾燥工程における電子ビーム4Aのエネルギーは、薄膜7を溶融することなくバインダ6を速やかに乾燥できる最適値に設定され、ビーム照射工程における電子ビーム4Aのエネルギーは、金属粉末層3と母材金属1とを合金状態に結合する大きさ、あるいは薄膜7と金属粉末2の両方を溶融して母材金属1と合金状態とする大きさとする。以上の方法では、金属粉末2と母材金属1とを合金状態に結合し、あるいは薄膜7と金属粉末2と母材金属1とを合金状態として結合して、母材金属1の表面に、合金層5からなる打錠表面層を設ける。
ビーム照射工程における電子ビームのエネルギーは、母材金属より融点の低い金属粉末からなる金属粉末層を設け、あるいは母材金属よりも高い融点の金属粉末からなる金属粉末層を設け、薄膜の表面に電子ビームを照射して、金属粉末と母材金属とを溶融して母材金属に結合して合金層とする大きさにコントロールする。母材金属よりも低融点の金属粉末は、母材金属よりも溶融されやすく、溶融された金属粉末に母材金属が含まれた合金層、すなわち母材金属の含有量の少ない合金層ができる。また、母材金属よりも高融点の金属粉末は、母材金属よりも溶融され難く、溶融された母材金属に金属粉末が含まれた合金層、すなわち母材金属の含有量の多い合金層ができる。
さらに、仮膜工程においては、平均粒径の異なる金属粉末を混合して、表面に凹凸のある金属粉末層を設けることができる。この金属粉末層を電子ビームで合金層とすると、金属粉末層は、表面に凹凸のある状態で母材金属1に結合されて、表面を凹凸面とする合金層の打錠表面層が形成される。
さらに、仮膜工程において、異なる金属からなる複数の金属粉末を使用して、異なる金属を混合している金属粉末層を設けることもできる。この金属粉末層を電子ビーム4で溶融すると、複数種の金属粒からなる合金層の打錠表面層を母材金属の表面に形成できる。
また、ビーム照射工程において、電子ビームのエネルギーを、薄膜と金属粉末の両方を溶融する大きさとする方法は、合金層に薄膜と金属粉末と母材金属とが含まれる。
さらに、本発明の表面処理方法は、仮膜工程と乾燥工程とビーム照射工程とを複数回繰り返して、母材金属の表面に、複数の合金層を積層するように設けることもできる。この方法は、図5に示すように、仮膜工程と乾燥工程とビーム照射工程とを繰り返すことによって、多層の合金層5を母材金属1の表面に積層できる。このように、母材金属1の表面に複数の合金層5を積層する方法は、母材金属1の表面に厚い膜を形成できる。さらに、母材金属1の表面に積層される複数の合金層5は、同じ金属とすることも、異なる金属とすることもできる。同じ金属からなる合金層5を母材金属1の表面に積層する方法は、同一金属からなる膜厚の厚い合金層5を母材金属1の表面に形成できる。また、異なる金属からなる合金層5を母材金属1の表面に積層する方法は、性質の異なる複数の金属膜を積層状態で母材金属1の表面に形成できる。
以上の方法は、乾燥工程とビーム照射工程において、薄膜7の表面に電子ビーム4Aを照射するが、電子ビームに代わってレーザービームを照射して、バインダを乾燥し、また母材金属に合金層を設けることもできる。すなわち、電子ビームのエネルギーに代わってレーザービームのエネルギーで、バインダを乾燥し、また金属粉末や薄膜と母材金属とを合金状態とすることができる。レーザービームは、電子のエネルギーに代わって、電磁波のエネルギーで金属粉末や薄膜、さらに母材金属を溶融して、母材金属の表面に合金層を形成する。レーザービームは、電子ビームのように真空中には限らず、大気中で薄膜の表面に照射することができる。ただ、レーザービームを真空中で照射することもできるのは言うまでもない。
母材金属1の表面に設けられた合金層5は、研磨工程で表面を平滑な面に加工することができる。ただ、本発明の金属の表面処理方法は、母材金属1の表面を薄膜7でカバーしてエネルギービーム4を照射するので、薄膜7でカバーしない従来の方法に比較して、母材金属1表面の合金層5は平滑な面となる。したがって、合金層5の表面は必ずしも研磨することなく種々の用途に使用できる。
研磨が必要な場合は、母材金属表面の合金層の表面を研磨して平滑とする。研磨工程は本発明に必須の工程ではないが、合金層を研磨することで表面を所定の平滑度にコントロールしてより摩擦抵抗を小さくできる。また、合金層が接触する被接触面の摩耗も少なくできる。研磨工程は、母材金属の合金層に研磨粒をショットブラストして処理される。研磨粒にはシリコンカーバイト、シリカ、アルミナ、あるいはこれらの混合物である無機の微粉末、さらにW、C、B、Ti、Ni、Cr、Si、Mo、Ag、Au、Ba、Be、Ca、Co、Cu、Fe、F及びフッ化物、Mg、Mn、Nb、Pt、S及び硫化物、Ta、Vの少なくとも何れかを含む金属粒も使用できる。研磨工程でショットブラストに使用される研磨粒は平均直径を1μmよりも大きく、また50μmよりも小さくする。
研磨工程は、合金層を研磨して、Ra(表面の算術平均粗度)を最適値に調整する。ショットブラストによる研磨方法は、研磨粒の粒径で研磨後のRaをコントロールできる。研磨粒の平均粒子径を小さくすると、研磨後のRaは小さくなる。反対に研磨粒の平均粒子径を大きくすると、研磨後のRaは大きくなる。さらに、研磨によって、Raは小さくなるので、研磨量を大きく、言い替えると加工表面を厚く研磨してRaを小さくできる。
合金層からなる打錠表面のRaは、錠剤の剥離に影響を与える。薬剤粉末の剥離をよくするために、打錠表面のRaは、0.1μm以上であって、5μm以下とする。0.1μmより小さくても、また5μmより大きくても薬剤粉末の剥離が悪くなる。ショットブラストによる表面研磨は、打錠表面のRaをコントロールしながら、研磨量を調整できる特徴がある。合金層の研磨は、必ずしもショットブラストとする必要はない。たとえば、バフ研磨して、Raを最適値にコントロールすることもできるからである。バフ研磨は、使用するバフの材質や研磨時間で、加工表面のRaをコントロールできる。
ショットブラストして表面を平滑に研磨した後、さらにショットピーニングして、打錠表面を梨地処理することもできる。梨地処理された打錠表面は、打錠する錠剤の種類によっては剥離性を向上できる。
(1)仮膜工程
杵又は臼の母材金属1である鋼材(SKD−11)の表面に、フッ化ナトリウムからなる金属粉末2を、バインダ6と金属粉末2とを混合してゲル状の混合体とし、これを母材金属1の表面に塗布して、膜厚を1mm程度とする金属粉末層3を設ける。金属粉末2の平均粒径は10μm、バインダ6は増粘剤としてデンプンを添加している水を使用する。デンプンの添加量は水100mlに対して30gとする。バインダ6と金属粉末2の混合比は、100重量部のバインダ6に対して金属粉末2を100重量部以上とする。この工程で、母材金属1の表面にフッ化ナトリウムの金属粉末層3を設ける。この状態で、金属粉末層3の表面に、厚さを100μmとするステンレス製の薄膜7を積層して、金属粉末層3の表面をカバーする。
(2)乾燥工程
フッ化ナトリウムの金属粉末層3の表面を薄膜7で被覆している母材金属1を密閉チャンバー11に入れ、密閉チャンバー11を排気して真空として、薄膜7の表面に電子ビーム4Aを照射してバインダ6を乾燥させる。
この工程で、電子ビーム4Aを平行に走査して、薄膜7を介して金属粉末層3の全面に均一に電子線照射すると、薄膜7は溶融されることなく、金属粉末層3のバインダ6は電子ビーム4Aのエネルギーで乾燥される。また、バインダ6は、真空引きされた密閉チャンバーによっても速やかに乾燥される。照射される電子ビーム4Aは、直接に金属粉末層3に照射されず、薄膜7を介してエネルギーが供給されるので、電子ビーム4Aで金属粉末層3の金属粉末2やバインダ6が飛散されることなく、バインダ6は速やかに乾燥される。
乾燥工程における電子線照射の条件は、以下のように設定する。密閉チャンバー11の真空度は10Pa以下とし、電子ビームのスポットの直径は集束電流で調整する。
集束電流値………………………688mA
加速電圧…………………………40KV
ビーム電流………………………1mA
電子ビームの走査面積…………φ10mm
全面の走査時間…………………10秒
(3)ビーム照射工程
金属粉末層3を乾燥した後、金属粉末層3の表面を、厚さを50μmとするアルミニウム製の薄膜7を積層して、金属粉末層3の表面をカバーする。密閉チャンバー11を排気して真空とする状態に保持して、薄膜7の表面に電子ビーム4Aを照射して、アルミニウム製の薄膜7を溶融すると共に、金属粉末2と母材金属1の表面を溶融して母材金属1の表面に合金層5を設ける。
電子線照射の条件は、以下のように設定する。密閉チャンバー11の真空度は7Pa以下とし、電子ビームのスポットの直径は集束電流で調整する。
集束電流値………………………688mA
加速電圧…………………………40KV
ビーム電流………………………1.5mA
電子ビームの走査面積…………φ10mm
全面の走査時間…………………150秒
電子ビーム4Aを平行に走査して、全走査面積に均一に電子線照射すると、母材金属1の表面に鉄とフッ化ナトリウムとアルミニウムを合金状態とする潤滑性に優れた合金層5ができる。この合金層5は、単にフッ化ナトリウムをショットピーニングして母材金属の表面に付着した表面処理に比較して、鉄とフッ化ナトリウムとアルミニウムとが合金状態となって強く結合し、極めて優れた潤滑性と耐摩耗性を実現する。
さらに、以上の仮膜工程と、乾燥工程と、ビーム照射工程を複数回繰り返して、母材金属の表面に、母材金属の鉄と合金状態となって強く結合しているフッ化ナトリウムの合金層を厚く設けることができる。
ビーム照射工程において、乾燥工程と同じ100μmのステンレス製の金属薄膜7を使用し、ビーム照射工程における電子線照射条件を以下のように変更して、薄膜7を溶融することなく、金属粉末2と母材金属1表面とを溶融して母材金属1に合金層5を設ける以外、実施例1と同様にして、母材金属1の表面に合金層5を設ける。
加速電圧…………………………40KV
ビーム電流………………………2.2mA
電子ビームの走査面積…………φ10mm
全面の走査時間…………………80秒
電子ビームを全面に走査して、金属粉末と母材金属表面を溶融して、母材金属の表面に、鉄とフッ化ナトリウムを合金状態とする潤滑性に優れた合金層ができる。この合金層は、単にフッ化ナトリウムをショットピーニングして母材金属の表面に付着した表面処理に比較して、鉄とフッ化ナトリウムとが合金状態となって強く結合し、極めて優れた潤滑性と耐摩耗性を実現する。
(1)仮膜工程
母材金属1である鋼材(SKD−11)の表面に、フッ化ナトリウムからなる金属粉末2を、バインダ6と金属粉末2とを混合してゲル状の混合体とし、これを薄膜7の母材金属1との対向面7Aに塗布して、膜厚を1mm程度とする金属粉末層3を設ける。金属粉末2の平均粒径は実施例1と同じように、10μm、バインダ6は増粘剤としてデンプンを添加している水を使用する。デンプンの添加量は水100mlに対して30gとする。バインダ6と金属粉末2の混合比は、100重量部のバインダ6に対して金属粉末2を100重量部以上とする。この工程で、薄膜7の母材金属1との対向面7Aにフッ化ナトリウムの金属粉末層3を設ける。薄膜7には、厚さを50μmとするアルミニウム製の薄膜7を使用する。金属粉末層3を設けた薄膜7を母材金属1の表面に積層して、薄膜7で金属粉末層3を被覆する状態とする。
(2)乾燥工程
密閉チャンバー11の真空度は10Pa以下とし、電子線照射の条件を以下のように設定して、バインダ6を乾燥させる。
集束電流値………………………688mA
加速電圧…………………………40KV
ビーム電流………………………1.0mA
電子ビームの走査面積…………φ10mm
全面の走査時間…………………10秒
(3)ビーム照射工程
バインダ6を乾燥した後、薄膜7で母材金属1の表面を覆う状態に保持し、乾燥工程の密閉チャンバーから取り出すことなく、真空状態に保持して、薄膜7の表面に電子ビーム4Aを照射して、アルミニウム製の薄膜7と、金属粉末2と、母材金属1の表面を溶融して母材金属1の表面に合金層5を設ける。
電子線照射の条件は、以下のように設定する。密閉チャンバー11の真空度は7Pa以下とする。
集束電流値………………………688mA
加速電圧…………………………40KV
ビーム電流………………………2.0mA
電子ビームの走査面積…………φ10mm
全面の走査時間…………………150秒
電子ビーム4Aを平行に走査して、全走査面積に均一に電子線照射すると、母材金属1の表面に鉄とフッ化ナトリウムとアルミニウムを合金状態とする潤滑性に優れた合金層5ができる。この合金層5も、単にフッ化ナトリウムをショットピーニングして母材金属の表面に付着した表面処理に比較して、鉄とフッ化ナトリウムとアルミニウムとが合金状態となって強く結合し、極めて優れた潤滑性と耐摩耗性を実現する。
(1)仮膜工程
母材金属1である鋼材(SKD−11)の表面に、フッ化ナトリウムからなる金属粉末2を、バインダ6と金属粉末2とを混合してゲル状の混合体とし、これを母材金属1の表面と、薄膜7の母材金属1との対向面7Aに塗布して、母材金属1の表面と、薄膜7の表面の両方に、各々膜厚を 0.5mmとする金属粉末層3を設ける。金属粉末2の平均粒径は実施例1と同じように、10μm、バインダ6は増粘剤としてデンプンを添加している水を使用する。デンプンの添加量は水100mlに対して30gとする。バインダ6と金属粉末2の混合比は、100重量部のバインダ6に対して金属粉末2を100重量部以上とする。薄膜7には、厚さを50μmとするアルミニウム製の薄膜7を使用する。金属粉末層3を設けた薄膜7を母材金属1の表面に積層して、薄膜7で金属粉末層3を被覆する状態とする。
(2)乾燥工程
密閉チャンバー11の真空度は10Pa以下とし、電子線照射の条件を以下のように設定して、バインダ6を乾燥させる。
集束電流値………………………688mA
加速電圧…………………………40KV
ビーム電流………………………1.0mA
電子ビームの走査面積…………φ10mm
全面の走査時間…………………10秒
(3)ビーム照射工程
バインダ6を乾燥した後、薄膜7で母材金属1の表面を覆う状態に保持し、乾燥工程の密閉チャンバーから取り出すことなく、真空状態に保持して、薄膜7の表面に電子ビーム4Aを照射して、アルミニウム製の薄膜7と、金属粉末2と、母材金属1の表面を溶融して母材金属1の表面に合金層5を設ける。
電子線照射の条件は、以下のように設定する。密閉チャンバー11の真空度は7Pa以下とする。
集束電流値………………………688mA
加速電圧…………………………40KV
ビーム電流………………………2.0mA
電子ビームの走査面積…………φ10mm
全面の走査時間…………………150秒
電子ビーム4Aを平行に走査して、全走査面積に均一に電子線照射すると、母材金属1の表面に鉄とフッ化ナトリウムとアルミニウムを合金状態とする潤滑性に優れた合金層5ができる。この合金層5も、単にフッ化ナトリウムをショットピーニングして母材金属の表面に付着した表面処理に比較して、鉄とフッ化ナトリウムとアルミニウムとが合金状態となって強く結合し、極めて優れた潤滑性と耐摩耗性を実現する。
(1)仮膜工程
母材金属1のTi表面に、二硫化タングステンの金属粉末2からなる金属粉末層3を設けて、薄膜7でカバーする。金属粉末2である二硫化タングステンの平均粒径は20μm、バインダ6には実施例1と同じものを使用する。金属粉末層3の表面にアルミニウム製で厚さを30μmとする薄膜7を積層して、表面をカバーする。
(2)乾燥工程
金属粉末層3を設けた母材金属1の表面を、ステンレス薄膜7でカバーする状態で、密閉チャンバー11に入れ、密閉チャンバー11を排気して真空として、バインダ6を真空凍結乾燥させながら、母材金属1の表面に薄膜7を溶融することなく電子ビーム4Aを照射する。電子線照射の条件は以下のように設定する。密閉チャンバー11の真空度は7Pa以下とする。
集束電流値………………………688mA
加速電圧…………………………40KV
ビーム電流………………………1.5mA
電子ビームの走査面積…………φ10mm
全面の走査時間…………………10秒
(3)ビーム照射工程
バインダ6を乾燥した後、密閉チャンバーから取り出すことなく、真空状態に保持しながら、薄膜7の表面を電子ビーム4Aで平行に走査して、薄膜7と金属粉末2と母材金属1表面とを溶融して、母材金属1の表面に、アルミニウムとチタンと二硫化タングステンを合金状態とする耐摩耗性に優れた合金層5を設ける。
密閉チャンバー11の真空度は7Pa以下として、電子線照射の条件は以下のように設定する。
集束電流値………………………688mA
加速電圧…………………………40KV
ビーム電流………………………1.8mA
電子ビームの走査面積…………φ10mm
全面の走査時間…………………150秒
以上の工程で母材金属1の表面に設けられる合金層5は、ステアリン酸マグネシウムとチタンとが合金状態となって強く結合し、極めて優れた耐摩耗性を実現する。
乾燥工程において、電子ビーム4Aに代わって、大気中で薄膜7の表面にレーザービームを照射する以外、実施例1と同様にして母材金属1の表面に、鉄とフッ化ナトリウムとアルミニウムを合金状態とする潤滑性に優れた合金層5を設ける。
以上の実施例1〜6で打錠表面を表面処理している杵と臼は、滑沢剤を全く配合しない以下の処方の錠剤を、乾式直打法にて打錠して、2000錠の打錠後も、杵に薬剤が付着せず、綺麗な錠剤が成形できる。
薬剤の組成
イププロフェン………………………50重量%
ヒドロキシプロピルスターチ………30重量%
合成ケイ酸アルミニウム……………10重量%
結晶セルロース………………………10重量%
得られた錠剤は、口腔内で30秒以内に崩壊する速崩壊錠として打錠された。
本発明は、金属の表面を表面処理して、母材金属単体では実現できず、またメッキ等の表面処理では実現できない、極めて優れた耐久性と剥離性を実現して、理想的な状態で使用できる特性を実現する。とくに、母材金属の表面に合金層を設けるのに使用する金属粉末をバインダで付着しながら、バインダの欠点を解消して、安定して能率よく合金層を設けることができる。
1…母材金属
2…金属粉末
3…金属粉末層
4…エネルギービーム 4A…電子ビーム
5…合金層
6…バインダ
7…薄膜 7A…対向面
10…電子線照射装置
11…密閉チャンバー
12…電子銃
13…集束コイル
14…偏向コイル
15…カソード
16…バイアス電極
17…アノード
18…ヒーター
19…電源
31…杵 31A…上杵
31B…下杵
32…臼
33…臼孔
34…打錠表面

Claims (17)

  1. 母材金属(1)の表面に薄膜(7)が配置され、かつこの薄膜(7)と前記母材金属(1)との間に、母材金属(1)と異なる金属粉末(2)をバインダ(6)で付着して金属粉末層(3)を設ける仮膜工程と、
    この仮膜工程の後、前記薄膜(7)の表面に、薄膜(7)を溶融することなくエネルギービーム(4)を照射してバインダ(6)を乾燥させる乾燥工程と、
    前記乾燥工程でバインダ(6)を乾燥させた後、さらに、前記薄膜(7)の表面にエネルギービーム(4)を照射して、薄膜(7)を溶融し、あるいは溶融することなく、金属粉末(2)を溶融して母材金属(1)の表面に合金層(5)を設けるビーム照射工程とからなる金属の表面処理方法。
  2. 前記仮膜工程において、前記金属粉末層(3)を母材金属(1)の表面に設ける請求項1に記載される金属の表面処理方法。
  3. 前記仮膜工程において、前記金属粉末層(3)を薄膜(7)の母材金属(1)との対向面(7A)に設ける請求項1に記載される金属の表面処理方法。
  4. 前記仮膜工程において、前記金属粉末層(3)を母材金属(1)の表面と、薄膜(7)の母材金属(1)との対向面(7A)とに設ける請求項1ないし3のいずれかに記載される金属の表面処理方法。
  5. 前記薄膜(7)に、ステンレス、アルミニウム、チタン、ニッケル、タンタル、ニオブ、モリブデン、ジルコニウム、およびこれ等の合金の何れかからなる薄膜を使用する請求項1ないし4のいずれかに記載される金属の表面処理方法。
  6. 前記薄膜(7)の厚さが10μm以上である請求項1ないし5のいずれかに記載される金属の表面処理方法。
  7. 前記薄膜(7)の厚さが1mm以下である請求項1ないし6のいずれかに記載される金属の表面処理方法。
  8. 前記仮膜工程において、バインダ(6)と金属粉末(2)を混合してゲル状の混合体とし、この混合体を母材金属(1)の表面に塗布して、金属粉末層(3)を設ける請求項1ないし7のいずれかに記載される金属の表面処理方法。
  9. 前記バインダ(6)に増粘剤を添加する請求項8に記載される金属の表面処理方法。
  10. 前記仮膜工程において、使用される金属粉末(2)が、W、C、B、Ti、Ni、Cr、Si、Mo、Ag、Au、Ba、Be、Ca、Co、Cu、Fe、Mg、Mn、Nb、Pt、Ta、V、F、S、及びこれ等の金属のフッ化物、硫化物、窒化物、炭化物、ホウ化物の少なくとも何れかを含む請求項1ないし9のいずれかに記載される金属の表面処理方法。
  11. 前記仮膜工程において、使用される金属粉末(2)が、フッ化ナトリウム、硫化ナトリウム、炭化ナトリウム、ホウ化ナトリウム、フッ化カリウム、硫化カリウム、炭化カリウム、ホウ化カリウム、ステアリン酸マグネシウム、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、窒化硼素のいずれかを含む請求項10に記載される金属の表面処理方法。
  12. 仮膜工程において使用される金属粉末(2)が、複数金属の合金と金属を含む化合物である請求項1ないし11のいずれかに記載される金属の表面処理方法。
  13. 仮膜工程において使用する金属粉末(2)の平均粒径が0.03μm以上である請求項1ないし12のいずれかに記載される金属の表面処理方法。
  14. 仮膜工程において使用する金属粉末(2)の平均粒径が500μm以下である請求項1ないし13のいずれかに記載される金属の表面処理方法。
  15. 母材金属(1)がFe、Al、Cu、鉄合金、アルミ合金、銅合金、Ag、Au、Ba、Ca、Co、Mg、Mn、Ni、Nb、Pt、Ta、Ti、Vを含む金属、銀合金、金合金、カルシウム合金、コバルト合金、クロム合金、マグネシウム合金、マンガン合金、ニッケル合金、ニオブ合金、タンタル合金、チタン合金、バナジウム合金、焼結金属、F、S、及びこれ等の金属のフッ化物、硫化物、窒化物、炭化物、ホウ化物のいずれかである請求項1ないし14のいずれかに記載される金属の表面処理方法。
  16. 前記母材金属(1)が、錠剤を打錠する杵又は臼で、打錠表面に合金層(5)を設ける請求項1ないし請求項15のいずれかに記載される金属の表面処理方法。
  17. 請求項1ないし16の表面処理方法で打錠表面に合金層(5)を設けてなる杵又は臼。
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